侵襲医学 平成18年度概説試験

(獲得)
○ 実施日: 2006.7.7 13:00〜15:00
○ 試験時間: 120分
○ 問題用紙:問題用紙は数ページの冊子で持ち帰り可。解答用紙はA4三枚(大問1つにつき一枚)。
○ 不合格: ?人


問1.術前評価 ( 麻酔前評価 ) の要点を記せ。
2005年概説 問1.参照。

問2.区域麻酔 ( 局所麻酔 )j 去を 4 つ挙げ、その適応、禁忌、合併症について記せ。
2005年卒試 問2.参照。

問3.以下の各小問について a〜e より適当なものを 1 つ選び、解答欄に記せ。

1 】麻酔の歴史上の人物と関係の深い事項の組み合わせとして正しいのはどれか。
a プリーストリ Priestley ― クロロホルム麻酔
b モ一トン Morton ― エーテル麻酔の公開
c  ビクトリア Victoria女王 ― オリーブ油
d  華岡青洲 ― 笑気 (亜酸化窒素 ) の発見
e オバ一トン・マイヤー Overton-Meyer ― 酸素の発見
(答)b
a 1774年O2発見。 c エーテルを用いた無痛抜歯。 d お産でクロロホルム。 e オリーブ油。

2 】麻酔薬について正しいのはどれか。
a セボフルランは気道刺激性が強い。
b ケタミン静脈内投与による全身麻酔を全静脈麻酔と言う。
c 最小肺胞濃度が高い吸入麻酔薬ほど作用が強い。
d 血液溶解度 ( 血液 / ガス分配係数 ) が低いほど導入速度が速い。
e 静脈麻酔薬バルピツレートの作用部位は神経細胞の Ca チャネルである。
(答)d
e GABAA受容体Clチャネル。

3 】麻酔薬とその作用について正しいのはどれか。
a ミダゾラム   解離性麻酔
b プロポフォール   NMDA受容体拮抗薬
c チアミラール   脳保護作用
d ケタミン   ベンゾジアゼピン受容体拮抗薬
e フェンタニル   微生物汚染
(答)c
a 解離性麻酔はケタミン。 b GABAA受容体Clチャネル。 d NMDA受容体拮抗薬。 

4 】呼吸について正しいのはどれか。
a 脊髄くも膜下麻酔や硬膜外麻酔は呼吸抑制を伴わないため、全身麻酔より安全である。
b 全身麻酔の導入に伴って、機能的残気量は増加する。
c 呼気終末陽圧 (PEEP) は、機能的残気量を減少させる。
d 肥満患者では機能的残気量が減少しているため、全身麻酔の導入に伴い肺の血液酸素化能は容易に悪化し得る
e 慢性閉塞性肺疾患 (COPD) 患者では、クロージングキャパシティーが低下している
(答)


5 】麻酔中の呼吸について正しいのはどれか。
a ミダゾラムには呼吸抑制作用がない。
b セボフルランは換気の二酸化炭素応答曲線を左方に移動させる。
c モルヒネによる呼吸抑制の特徴は頻呼吸である 01
d 仰臥位での横隔膜の弛緩は機能的残気量を増加させる。
e 陥没呼吸は気道閉塞の兆候である。
(答)e
2005年概説 問3.3】

6 】術中の偶発低体温の影響について正しいのはどれか。
a 術後感染症の発生率が低下する。
b 心筋虚血の発生率が高くなる。
c 酸素解離曲線が右方移動する。
d 吸入麻酔からの覚醒が早くなる。
e 癌の再発率が低くなる。
(答)b
a 増加。 d 覚醒遅延。

7 】周術期の高血糖について正しいのはどれか。
a 蛋白質の異化を抑制する。
b 創傷治癒を促進する。
C MAC を低下させる。
d 虚血性神経障害を増強する。
e 低体温防止効果がある。
(答)


8 】脳脊髄液について正しいのはどれか。
a 脈絡叢で分泌され、クモ膜の繊毛で再吸収される。
b 脊椎管内には 150ml 存在する。
c 正常脳脊髄液の比重は』主主で 1.000 ± 0.003 である。
d 側臥位での正常圧は 100~150cmH20 である。
e 弱酸性である。
(答)a
b 20〜35ml。 c 37℃で1.006±0.003。 d 80〜150mmHg。 e pH7.35〜7.60。

9 】身体各部位と皮膚知覚帯 dermatome の組み合わせについて正しいのはどれか。
a 第 5 指  第 7 頚神経
b 乳頭  第 2 胸神経
c 剣状突起先端部  第 6 胸神経
d 臍  第 12 胸神経
e 踵  第 5 腰神経
(答)c
a C8。 b Th4。 d Th10。 e S1。

10 】脊髄くも膜下麻酔について正しいのはどれか。
a 全脊髄くも膜下麻酔では意識消失を認める。
b 脊髄くも膜下麻酔では交感神経よりも知覚神経が早く遮断される。
c 脊髄くも膜下麻酔では硬膜外麻酔よりも局所麻酔薬中毒が起こりゃすい。
d 脊髄くも膜下麻酔では分離麻酔が容易である。
e 脊髄くも膜下麻酔後の頭痛は頭部を高くすることで軽減する。
(答)a
b B→Aδ→Aβの順。 c 硬膜外で局麻薬中毒。 d 困難。 

11 】帯状癌疹について正しいのはどれか。
a 皮疹が出現し、その数日後に痛みが生じてくることが多い。
b 発症部位の皮膚の知覚低下を認めても、痛みが軽い場合には神経ブロック療法の適応にはならない。
C 三叉神経第 3 枝領域に好発する。
d 顔面神経が冒されると Ramsey-Hunt 症候群を呈する。
e 運動神経が冒されることはない。
(答)d
2005年概説 問3.26】

12 】麻酔中のモニタリングについて誤っているのはどれか。
a 重症慢性閉塞性肺疾患ではカプノグラム呼気相のだらだらした上昇が認められる。
b 動脈の触診は客観性に欠けるため「安全な麻酔のためのモニター指針には取り上げられていない。
c 心電図による心筋虚血の検出頻度を上げるには複数の誘導をモニターするのが有利である。
d 直腸温と皮膚温の較差は交感神経の緊張度の指標となる。
e 末梢循環不全が進行するとパルスオキシメータは作動しなくなる。
(答)b

13 】反射性循環調節に関する組み合わせとして正しいのはどれか。
A Bezold-Jariseh 反射  徐脈
b 頚動脈洞  迷定神経
C 心肺圧受容器反射  高圧系圧受容器
d 心房圧受容器  動脈圧の変化を感受
e 動脈圧受容器反射  緩徐な動脈圧の調節
(答)


14 】肺動脈楔入圧の変化とその原因の組み合わせとして正しいのはどれか。
a 肺動脈楔入圧低下  左心不全
b 肺動脈楔入圧低下  容量不足
c 肺動脈楔入圧上昇  体血管拡張
d 肺動脈楔入圧上昇  亜硝酸薬投与
e 肺動脈楔入圧低下  フェニレフリン投与
(答)


15 】心拍数を減少させる薬剤はどれか。
a イソプロテレノール 
b アドレナリン
c プロプラノロール
d ベラパミル
e エフェドリン
(答)c、d
2004年概説 問3.13】

16 】酸塩基平衡の代償反応について正しいのはどれか。
a 呼吸性アシドーシスに伴う換気応答の 80% は末梢化学受容器を介する呼吸中枢の刺激である。
b 代謝性代償よりも呼吸性代償の方が代償反応の完成までに時間を要する。
c 代謝性アルカローシスに対する呼吸性代償は低酸素血症にともなう呼吸刺激のために不十分なものになりやすい。
d 水素イオンは血液脳関門を通過する。
e 頚動脈小体の興奮は迷走神経を介して呼吸中枢へ伝えられる。
(答)c
2005概説 問3.14】

17 】酸素代謝について正しいのはどれか。
a 細胞内の酸素消費の 90%以上は核で行われる。
b 細胞内での酸素の備蓄を担っているのが活性酸素腫である。
C ミトコンドリア DNA は解糖系の酵素をコードしている。
D Hypoxia Indueible Factor (HIF) は解糖系酵素の発現を誘導する。
e 酸化的リン酸化は酸素分子の酸化と共役している。
(答)d
2005年概説 問3.15】

18 】アセタゾラミドの作用について正しいのはどれか。
a 炭酸脱水酵素の活性を増加させる。
b 肺気腫には禁忌である。
C 動脈血液ガス分析では代謝性アルカローシスを呈する。
d 脳内の二酸化炭素の量は増加する。
e 眼圧を上昇させる。
(答)d
2005年概説 問3.18】

19 】覚醒遅延の鑑別診断について誤っているのはどれか。
a チアミラールは超短時間作用性なので頻回投与しても覚醒遅延をきたさない。
b ベンゾジアゼピンの作用遷延はフルマゼニルで拮抗可能である。
C 麻薬の作用遷延はナロキソンで拮抗可能である。
d 鑑別診断として脳血管障害の発生を挙げることができる。
e 低体温は MAC を低下させる。
(答)a
2005年概説 問3.20】

20 】上行大動脈遮断を伴う冠動脈バイパス術後の脳梗塞は塞栓に起因すると考えられている。上行大動脈の動脈硬化病変の検索に最も有効なのはどれか。
A 胸部 X 線写真
b 心臓カテーテル検査
C 経食道心エコー検査
D 術野で行う上行大動脈のエコー検査
E 胸部造影 CT 検査
(答)e

21 】妊婦の変化として正しいのはどれか。
a 呼吸性アシドーシスを呈する。
b 重症妊娠中毒症患者の循環血液量は増加している。
c 機能的残気量は増加する。
d 腎血流量は減少する。
e 全末梢血管抵抗は減少する。
(答)e

22 】帝王切開の麻酔管理について正しいのはどれか。
a 揮発性吸入麻酔薬には子宮収縮作用がある。
b 低血圧には硫酸マグネシウムの静脈内投与有効である。
c 脊髄くも膜下麻酔での頭側への広がりは非妊婦に比べ妊婦で大きい。
d サクシニルコリンは胎盤を容易に通過する。
e 誤嚥性肺炎のリスクは非妊婦よりも妊婦で低い。
(答)


23 】新生児よりも成人において高値を示すのはどれか。
a 呼吸商
b 体重当りの機能的残気量
c 死腔換気率
d 肺コンブライアンス
e 気道抵抗
(答)b
2005年概説 問3.24】

24 】小児では術前の絶飲食期間を成人より短くする必要がある。その理由として不適切なのはどれか。
a 細胞外液量の体重に占める割合が成人よりも小児で多い。
b 小児の基礎代謝率は高い。
c 小児は過度の経口摂取制限により、容易に脱水に陥る。
d 胃液のpHは成人より小児で高い。
e 小児は長い絶飲食を精神的に耐えられない。
(答)d
2005年概説 問3.25】

25 】血液の構感名盆主その血中半減期の組み合わせとして誤っているのはどれか。
a 赤血球 60 日
b 血小板 7〜14 日
c 好中球 6 時間
d アルブミン 18〜20 日
e フィブリノーゲン 3〜4 時間
(答)a

26 】輸血療法について正しいのはどれか。
a 術前にヘモグロビン濃度 10g/d し以下の貧血を認めれば、術前から赤血球輸血を開始する。
b 輸血後 GVHD の予防策は新鮮血を用いた輸血を行うことである。
c 手術出血による循環血液量を回復させるためには新鮮凍結血祭を用いる。
d 輸血関連急性肺障害 (TRALI) には、輸血用血液中の抗 HLA 抗体、抗顆粒球抗体が関与している。
e 血小板輸血の適応は、血小板数 10 万 /ml 未満である。
(答)a
2005年概説 問3.27】

27 】緊急時の輸血について誤っているのはどれか。
a 大量出血が発生したので T&S( タイプ & スクリーン ) が済んでいる赤血球濃厚液を交叉試験なしで輸血した。
b 外来に出血性ショック症例が搬入されたが、血液型判定を待つ時間的余裕はないと判断し、O型赤血球濃厚液の輸血を開始した。
C 血液型 B 型の症例における手術中に大量出血となった。院内の B 型赤血球濃厚液を使い果たしてしまったので、在庫のあったO型赤血球濃厚液で輸血を継続した。
d 血液型ひ型寄手術定例主竪急の新鮮凍結幽鋪血を要する事態となったが O 型新鮮凍結血祭の院内在庫がなかったので、在庫のあった AB 型新鮮凍結血漿を輸血した。
e 血液型 O 型の手術症例で O 型赤血球濃厚液が不足したので、AB 型赤血球濃厚液の輸血を開始した。
(答)


28 】侵襲と栄養に関して誤っているのはどれか。
a. 急性的飢餓の場合は代謝が低下し、慢性的飢餓の場合は代謝が元進する。
b. 術後の体重減少は侵襲の程度に比例する。
c. ストレス発生期間中においては、非蛋白質カロリーの60〜70%を炭水化物で供給する。
d. チアミンが補給されない状態で高カロリー輸液が行われると、乳酸の産生・蓄積をきたして重篤なアシドーシスとなることがある。
e. 長期間の栄養補給を必要とする患者では、腸管の機能が保たれていれば腸痩造設術で栄養補給を行うのが望ましい。
(答)


29 】全身性炎症性症候群 (Systemic Inflammatory Response Syndrome,SIRS) を診断するための項目とその値の組み合わせとして正しいのはどれか。
a 動脈血二酸化炭素分圧  50mmHg
b  白血球数  10,500/mm3
C 体温  35.4℃
d 心拍数  55/ 分
e  C 反応性たんぱく質  9.4mg/dl
(答)


30 】自動体外式除細動器 (AED) の使用について正しいのはどれか。
a 所定の研修を受けた者だけが使用できる。
b 心肺蘇生 ( 人工呼吸と胸骨圧迫 ) が無効な場合にのみ使用する。
c 通電の際にも胸骨圧迫を継続する。
d 通電後は循環のサインを確認することなく心肺蘇生を再開する。
e 傷病者が雪や氷の上に倒れている際には使用できない。
(答)e

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