内分泌・代謝 平成17年度卒業試験

平成17年11月9日実施(復元)
全部で17セクターに分かれるのは例年通り。
問題は解答用紙と一緒になっていて1人1人配るので獲得はやや難。
前半に問題傾向が変わっているものがあり、やや難化。
1枚目
【1】1.【症例】69歳男性。若い頃は特に病気知らずで子供も2人いる。約6ヶ月前より全身倦怠感、脱力や眠気を自覚するようになり、最近では倦怠感強度のため臥床がちで日常活動も困難となり近医受診した。血圧88/52と低血圧であり、検尿は比重1015、糖(-)潜血(-)蛋白(-)ケトン(-)CRP(-)だった。末梢血は貧血無く、WBCは6400と正常、好酸球が12%と上昇しており、Na 132、血糖54と低値、Kは4.9と正常範囲内だった。精査を勧められ当科受診。嗅覚に異常を認めず、色素沈着も認められなかった。
A.考えられる疾患または状態を3つ選び、記号を○で囲め。
1.汎下垂体機能低下  2.中枢性尿崩症  3.Addison病
4.ACTH単独欠損  5.先天性副腎低形成  6.Kallmann症候群
7.Klinfelter症候群  8.ステロイド内服

B.最優先で測る血中ホルモンを2つ記せ。

C.Bについて分泌予備能を調べるのに有用な負荷試験を2つ記せ。

D.画像診断として最適なものを選び、記号を○で囲め。
1.頭部CT  2.副腎シンチグラム  3.甲状腺エコー
4.頭部MRI  5.頭部血管造影

2.詳しい病歴聴取と精査の結果、血中LH,FSHの低値とテストステロンの低値も判明した。
E.LH,FSH分泌予備能を調べるのに有用な刺激試験を2つ記せ。

F.甲状腺機能検査、TRH負荷試験の結果、甲状腺に軽度〜中等度の機能低下をみとめた。甲状腺ホルモンの補充を開始するにあたって、全体の病像を考慮した上で注意すべきことは何か。1〜2行で述べよ。

G.この患者は最終的に続発性腺機能低下症を有すると判明した。ホルモン補充療法について適切なものを次より2つ選べ。
1.LH-RHパルス療法を積極的に行う。
2.HCG/HMG療法により内因性テストステロン分泌を促進する治療を積極的に行う。
3.患者が望めば、テストステロン補充療法を行う。
4.患者が望まなければ、何もしない。

H.以上のことを考えてこの症例の病因として考えられるものを全て記せ。(例:副腎腫
瘍)

3.組み合わせとして適切なものを選び、例に倣って回答欄に記せ。
例(1,a)ただし、重複はない。
 1. 骨粗鬆症            a. 45XO
 2. 11deoxycortisol過剰(先天性)  b.Cushing症候群
 3. 男性仮性半陰陽         c.原発性アルドステロン症
 4. 低ゴナドトロピン性性腺低形成  d.男性化、高血圧
 5. 翼状頚             e.高ゴナドトロピン性性腺低形成
 6. LH-RHパルス療法       f.結核感染後の副腎石灰化
 7. インスリン抵抗性、多毛     g.インスリン分泌低下
 8. 精細管             h.精子産生
 9. 色素沈着            i.多嚢胞卵巣症候群
 10.47XXY             j.17α-hydroxylase欠損症

2枚目
【2】1.性腺機能低下症に属する以下の説明に該当する疾患名を挙げよ。
1)染色体構成が47XXYを示し、女性化乳房や無精子症を呈する。
2)その完全欠損は精巣性女性化症と呼ばれ、外見は女性型、膣は盲端、子宮はなく、思春期以降に原発性無月経を主訴に病院を訪れ診断される。
(答)1)Klinefelter症候群 2)アンドロゲン受容体異常症
※H16概説4ページ性腺・副腎、H16卒試3ページ と同じです。

2.38歳女性。3年前から頭痛と胸部圧迫感があり、最近高血圧を指摘された。身長160cm,体重58kg,血圧182/110,脈拍80/分。胸腹部に異常所見はみられない。一般生化学ではNa 148mEq/L , K 2.5mEq/Lと電解質異常がある以外特記事項なし。鑑別診断と、確定診断に必要な検査について述べて下さい。
04卒試性腺副腎3と同一

3. 褐色細胞腫の臨床症状ならびに高血圧の治療、禁忌薬剤に関して知るところを述べよ。
<解答>2004年度卒試3枚目と同じ。
症状:5-H's disease @Hypertension、AHypermetabolism:やせ、頻脈、振戦、発汗過多、FFA↑、T.chol↑、便秘、BHyperglycemia(高血糖)、CHeadache、DHyperhydrosis(多汗)
治療:α1-blockerとβ-blockerを併用する。β-blocker単独投与は発作を招くので禁忌。

3枚目 副甲状腺・Ca代謝
【3】検診でたまたま血中Ca 7.5mg/dlを指摘された患者が来院した。その他の検査値の情報は持参していない。正しい組み合わせを選びなさい。
1)まず最初に知らなければならない測定値はなにか。
1.intactPTH  2.尿中cAMP  3.PTHrP  4.血中P  5.血中アルブミン
a)1  b)2  c)3  d)4  e)5

2)血中アルブミン 2.8g/dl、血中P 3.0mg/dl、intactPTH正常であった場合、どのような画像検査を選択するか。
1.上腹部超音波  2.頭部CT  3.MIBGシンチグラム
4.頚部超音波  5.MIBIシンチグラム
a)1のみ  b)12  c)123  d)145  e)345

2)血中アルブミン 4.2g/dl、血中P 5.4mg/dl、intactPTH高値であった場合、どのような画像検査を選択するか。
1.手骨写 2.頭部CT 3.MIBIシンチグラム 4.上腹部超音波 5.MIBGシンチグラム
a)1のみ  b)12  c)123  d)145  e)345

2)血中アルブミン 4.2g/dl、血中P 5.4mg/dl、intactPTH低値であった場合、合併の有無を検査すべき疾患はどれか。
1.褐色細胞腫 2.プロラクチノーマ 3.橋本病 4.副腎皮質機能低下症 5.早発閉経
a)1のみ  b)12  c)123  d)145  e)345

4枚目
【4】28歳女性。11歳で初潮を迎え、25歳で結婚した。妊娠歴はない。結婚以来月経不順で、3ヶ月前より無月経となり、近くの産婦人科に行ったが子宮、卵巣には異常認めなかった。診察にて乳頭より乳汁漏出を認めたため、以下の検査を行った。病態の鑑別疾患を挙げよ。(その疾患である可能性についてもそれぞれ述べよ。配点8点)

検査結果 正常値
PRL 658ng/ml 〜15ng/ml
LH 正常(下限) 5〜20mU/ml
FSH 正常 5〜15mU/ml
E2(エストラジオール) <10pg/ml 10〜80pg/ml
TSH 正常 0.2〜4.0μU/ml
fT4 正常 1.0〜2.2ng/dl

5枚目
【5】2.正しいものにはマル、謝っているものにはバツをつけよ
( )2型糖尿病は単一遺伝子によるものである
( )糖尿病性神経障害は非対称性末梢感覚神経障害である
( )網膜症の増悪した糖尿病患者にはインスリン療法により急速に血糖を下げる
( )糖尿病性昏睡はインスリン療法の絶対適応である
( )糖尿病では無痛性心筋虚血が多く、冠動脈造影にて多枝病変が多い
( )インスリンは胎盤通過性であり、巨大児のリスクとなるため妊婦には禁忌である

6枚目 脂質代謝(中牟田先生担当分)
【6】1.30歳女性が検診にて高脂血症を指摘されて来院した。家族歴として、母、姉に高脂血症があり治療を受けている。検査結果としては、総コレステロール350mg/dl(正常220mg/dl以下)、中性脂肪100mg/dl(正常150mg/dl以下)、HDLコレステロール60mg/dl(正常範囲内)であった。
1 この患者さんのWHOの高脂血症の分類はどれか。
1 I  2 IIa  3 III  4 IV  5 V

6.本症例のような高脂血漿の鑑別診断として最も大事なものを一つ選ぶ。
a甲状腺機能低下症  bネフローゼ症候群  c副腎機能低下症
d糖原病  e性腺機能異常症
答え aかb???

7枚目
7ページ
【7】1.バセドウ病のときに高値を示すものはどれか
a.ALP  b.T-Chol  c.CK  d.TSH受容体抗体  e.TSH

2. 無痛性甲状腺炎で高くなる検査値はどれか。
a. 遊離T4値  b. CRP  c. 血沈  d. 抗TPO抗体  e. 甲状腺ヨード摂取率

3クレチン症の時、高値を示すのはどれか?
a身長  bTSH値  cCK  d総コレステロール  e知能指数

4甲状腺の乳頭癌と濾胞癌の鑑別に有用なのはどれか?
a血中サイロキシン値 b超音波 c甲状腺シンチグラム d細胞診 eCT fMR

5.甲状腺分化癌の遠隔転移で多い部位は。
a.肝  b.腎  c.肺  d.脳  e.骨

6.チオナマイド系抗甲状腺薬の副作用として注意を要するものはどれか。重複可
a心房細動  b蕁麻疹  c肝障害  d白血球減少  e腎障害
2003年甲状腺の問題6問目と同じでした。

8枚目
【8】中から正解三問選択
1乳癌の術後補助には内分泌療法を用いる  2タモキシフェンは閉経後に有効
3アロマターゼ阻害は閉経前には無効  4LHRHアゴニストは抗癌剤に匹敵する
5液下リンパ節転移がなければ化学療法は必要ない

9枚目
【9】1.甲状腺悪性腫瘍について正しいものを選べ。
1.小児期の頚部放射線照射は甲状腺分化癌の誘因になる。 2.乳頭癌が大多数を占める。
3.未分化癌は分化癌に比べ若年層に多い。 4.髄様癌は血中カルシトニンが低値を示す。
A.1  B.1,2  C.2,3  D.1,3,4  E.1〜4全て

2.甲状腺癌手術の合併症について正しいものを選べ。
1.反回神経麻痺は最も注意すべきものの一つである。
2.テタニーが出現した場合、副甲状腺ホルモンの補充を行う。
3.術後出血によって、脳循環障害や気道閉塞を起こすことがある。
4.喉頭浮腫も注意すべき合併症の一つである。
A.1  B.1,2  C.2,3  D.1,3,4  E.1〜4全て

3.甲状腺腫瘍の治療について誤っているものを選べ。
1.甲状腺悪性リンパ腫は手術よりも化学療法や放射線療法を選択することが多い。
2.甲状腺乳頭癌は予後良好であるためリンパ節廓清は必要ない。
3.肺に多発転移がみられた場合でも基本は外科的切除である。
4.未分化癌に対しては積極的な手術適応はない。
A.1  B.1,2  C.2,3  D.1,3,4  E.1〜4全て

4.上皮小体機能亢進症について正しいものを選べ。
1.原発性のものの大部分が腺腫によるものである。
2.多発性内分泌腫瘍を考慮する必要がある。
3. 続発性の外科的治療は全腺摘出、一腺移植が基本である。
4.診断には血中PTH測定が必要である。
A.1  B.1,2  C.2,3  D.1,3,4  E.1〜4全て

10枚目
【10】○×で8問
(1)肥満におけるインスリン抵抗性には肥満細胞からでるアデイボネクチンが関与している
(4) 高脂血症IIa型にはHMG-CoA還元酵素を用いる。
(5) 経口糖負荷試験で境界型を示す人も動脈硬化のハイリスク群である。
(7)PCOSでは男性ホルモン、女性ホルモンは共に過剰状態を示す

11枚目 一内科 下田慎治先生担当○×
【11】○×問題
(2)続発性アミロイドーシスのアミロイド蛋白はAL蛋白であり、遺伝性アミロイドーシスではAA蛋白である。
(3)ポルフィリン症は大きく肝性、骨髄性、および腎性ポルフィリンに大別される
(4)Wilson病では一過性に溶血性貧血をきたすことがある。
(5)アミロイドーシスではコンゴレッド染色が有効である
(6)ポルフィリン症ではポルフィリン体が大便や小便に大量に排泄される。
(8)Wilson病は原因不明の肝臓疾患の場合に鑑別が必要であり、劇症肝炎の原因となりうる。
(9)アミロイドが心臓に沈着した場合のもので注意が必要な病態は虚血性心疾患である
(10)アミロイドーシスの確定診断には肝生検がよく施行される。
(11)Wilsonでは銅のレンズ核への沈着が起こるためパーキンソン様症状をきたすことが多い。
(12)Wilson病では血中セルロプラスミン高値となる結果、銅の排泄が促進される。
(14)晩発性皮膚ポルフィリン症はアルコール性肝障害を含めた肝臓疾患の原因となる。
(15)日光過敏は造血プロトポルフィリン症や晩発性皮膚ポルフィリン症にあるのに反し、急性間欠性ポルフィリン症ではないことが多い
4.○
10.× 肝生検は出血や肝破裂の恐れがあるので頻繁にはしない。

12枚目
【12】A、正しい組み合わせを選べ。
(1)プリン、ピリミジン体は核酸の構成成分として遺伝情報を伝達する媒体であり、プリン体は6員環、ピリミジン体は5員環と6員環を有している。
(2)DNA、RNAを構成するヌクレオチドは、プリン体についてはde novo合成系とsalvage合成系がある。
(3) アデニンとグアニンはビリミジン体からつくられる。

B、正しい組み合わせを選べ。
(2)急性痛風性関節炎は、第一足基関節に疼痛、発赤、腫脹することが多く、大部分が片側性である。
(3)痛風結節は耳介部軟骨に好発し、ピロリン酸カルシウムからなる。
(4)痛風の発作期にはコルヒチンは効果がないが、発作の前兆期に使用することで予防効果が期待される。

13枚目
【13】3.以下の文章で正しいものの組み合わせはどれか?
(1)ビタミンD は骨粗鬆症の治療に使用されている
(2)ビタミンB2欠乏により結膜炎を起こすことがある
(3)新生児の出血傾向ではビタミンK欠乏を疑わなくてはならない
(4)脚気の発症は年々急激に減少しつつある
(5)葉酸欠乏によって末梢神経障害をきたすことがある
a)135  b)145  c)123  d)235  e)125

4.次のうち正しい組み合わせはどれか。
1)ビタミンB――慢性アルコール症  2)葉酸――脂溶性ビタミン
3)ビタミンD――トリプトファン  4)骨粗鬆症――ビタミンE
5)アスコルビン酸――壊血病
a)124  b)145  c)125  d)235  e)234

14枚目 脳外-下垂体疾患の外科治療- 松角先生担当 1問2点
【14】(1)下垂体腫瘍の外科治療についての記載で正しいものを1つ選べ。
 1.下垂体腫瘍の手術法としては、開頭手術と経蝶骨洞手術とがある。
 2.トルコ鞍上部に伸展する腫瘍は、開頭手術の絶対適応である。
 3.プロラクチン産生腫瘍は必ず手術治療が必要である。
 4.経蝶骨洞手術は、手術視野が広く浅い利点がある。
 5.経蝶骨洞手術は、視神経障害、尿崩症や内頚動脈損傷は起こりえない。
答:1

(2)下垂体腫瘍と診断されていた患者が、突然、頭痛、嘔吐、冷や汗、眼球運動障害、視野視力障害をきたした。何が起こった可能性が最も高いか。
 1.急性硬膜外血腫 2.急性硬膜下血腫 3.クモ膜下出血 4.小脳出血 5.下垂体卒中
答:5

15枚目 高杉先生
【15】1.わが国の骨粗鬆症治療薬として誤っているものを一つ選べ。
aビスフォスフォネート bエストロゲン cビタミンD dビタミンC eカルシウム

2.転倒骨折の予防対策として誤っているのはどれか。一つ選べ。
a.住居のバリアフリー化  b.下肢筋力の強化  c.バランス機能訓練
d.ヒッププロテクター  e.ベッド上安静

16枚目 神宮寺誠也先生
【16】1.骨粗鬆症について誤っているものを2つ選べ。
a.リモデリングの異常である。  b.原発性と続発性がある。
c.退行性骨粗鬆症には閉経後骨粗鬆症と老人性骨粗鬆症がある。
d.閉経後骨粗鬆症では骨皮質の萎縮が顕著である。
e.椎体圧迫骨折では神経症状は起こらない。
解答:d,e

2.誤っているものを2つ選べ
 a. 骨の形成は主に骨細胞からなる  b. 骨芽細胞は破骨細胞の分化を促す
 c. 骨のリモデリングにおいて骨の形態変化を伴わない
 d. 骨型アルカリフォスファターゼは骨形成マーカーである
 e. ビスフォスフォネートは骨芽細胞のアポトーシスを誘導する

17枚目
2.日本人の乳癌について、正しいものをえらべ。
a乳管内にとどまり、乳腺への浸潤も狭い範囲にとどまるものを非浸潤癌という。
b乳癌の多くは筋上皮細胞由来である。
c浸潤性発育をするものを硬癌、膨張性発育をするものを充実腺菅癌、管内発育をするものを乳頭腺菅癌という。
d乳腺粘液癌は手術後の予後が悪い。
1 c  2d  3bc  4acd

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