内分泌・代謝 平成18年度概説試験


平成18年度 内分泌・代謝 概説試験
(復元)(大問番号は微妙に違うかも知れません。全部で18問)
(★マークは覚えてる限り付け加えたものです。微妙に違うかもしれませんがご了承ください)
○ 実施日: 2006.6.26 10:00〜12:00
○ 試験時間: 120分
○ 問題用紙: 問題用紙・解答用紙セットでA4 22ページ。大問は18個。それぞれの分野の先生が出題。
○ 不合格: 12人くらい

【1】<総論・高柳先生>(初)
次の用語と関連のあるキーワードを下の語群から選べ。
1. McCune症候群 
2. ステロイドホルモン 
3. コアクチベーター 
4. ペプチドホルモン

[語群]
a.Gsα突然変異  b.Ca sensinp receptor異常  c.脂溶性・反応が遅い  d.アミノ酸誘導体
e.水溶性・反応が速い  f.基本転写装置  g.解離定数

<解答>1. a , 2. c , 3. f , 4. e
1. McCune-Albright症候群では体細胞のGsα遺伝子に機能獲得型のミスセンス変異がモザイクで認められます。(→year note D-75)
2. 4. 水に不溶性のステロイドホルモンは分解・除去されるのを免れ、血液や組織液中にいる時間が長いため、水溶性のペプチドホルモンに比べ持続性の長い応答に関わる傾向が見られます。
3.  転写調節因子が直接基本転写因子と相互作用して転写を制御することは稀で、多くの場合、コアクチベーターあるいはメディエーターと呼ばれる因子を介して作用します。


【2】<副腎・柳瀬先生>(新傾向)
1.64歳男性。会社の検診で糖尿病を発見され来院した。理学所見で中心性肥満・満月様顔貌・水牛様肩が認められた。検査所見では白血球15,000/mm~3、好中球80%、血清コルチゾール値は測定感度以下であった。鑑別診断として適切なものに〇をつけよ。
1. 下垂体腫瘍によるクッシング病
2. 異所性ACTH産生腫瘍
3. コルチゾール抵抗性   
4. 副腎腫瘍によるクッシング症候群
5. 糖質コルチコイドの服用

<解答> 5. (→yaer note D-51〜55)
1. 2. 4. Cushing症候群では血清コルチゾール高値 
3. コルチゾール抵抗症では血清コレステロール値が高値であるにも関わらずCushing症候群様の症状が見られません。この問題の病態に合うのはコルチゾール過敏症です。
5. 糖質コルチコイドが下垂体にnegative feedbackをかけるので、ACTHの分泌が低下し、コルチゾールの分泌も低下します。


★2.アジソン病の成因を2つ記せ。(語句で)

<解答> 結核、特発性(自己免疫)、両側副腎への癌転移、アミロイドーシス、サルコイドーシス など (→year note D-61)
Addison病は両側副腎の慢性的病変により、皮質からの副腎皮質ホルモンの分泌低下を来した疾患。
結核が37%、特発性(自己免疫による)が42%で、この2つが主な原因となります。


★3.原発性アルドステロン症についてその病態と診断について述べよ。

<解答> (→year note D-55,56)
病態: Connの3基準 @アルドステロン↑(これにより低K血症が見られる) Aレニン↓ B尿中17-OHCSまたは17-KS排泄量正常
診断: 低K血症+高血圧があり @ループ利尿薬・グリチルリチン製剤を使用していない A尿中Kの排泄(≧30mEq/日)が持続している B血清レニン↓アルドステロン↑ の3つを満たす

【3】<性腺・下垂体@(GH)・野村先生>(過去問とやや似た感じ)
★T.性腺機能低下症に属する以下の説明に該当する疾患名を挙げて下さい。
1) 性染色体構成が47XXYを示し、女性化乳房や無精子症を呈する。
2) 嗅覚脱失ないし低下を伴う低ゴナドトロピン性性腺機能低下症。発生初期の嗅原基にみられるにLH-RH発現細胞の視床下部への遊走の異常が原因と考えられる。
3) その完全型欠損は精巣性女性化症候群と呼ばれ、外見は女性型、膣が盲端、子宮はなく、思春期以降に原発性無月経を主訴に病院を受診し始めて診断される。

<解答>1) Klinefelter症候群 , 2) Kallmann症候群 , 3) 男性仮性半陰陽 (→year note D-73,6,74)


U.○×問題
1) 男性性腺機能低下症では、LH-RH負荷試験、HCG試験などにより、障害部位が中枢性か末梢性かを鑑別することが治療の選択のうえで重要である。
2) 3β-hydroxydehydrogenase欠損症、11β-hydroxylase欠損症、21-hydroxylase欠損症などは先天性副腎過形成と総称される。
3) 21-hydroxylase欠損症は女性仮性半陰陽である。
4)Turner症候群ではX染色体のみでY染色体はない疾患であるが、GH療法などは行わない。

<解答> 1) ○ 2) ○ 3) ○ 4) ×
1) 中枢性か末梢性かによって治療法が変わってきます。
2) これらの欠損症ではコルチゾールの生成が減少し、下垂体前葉からのACTH分泌亢進により副腎皮質の過形成が見られます。(→year note D-65)
3) 21-hydroxylase欠損症は先天性副腎性男性化症候群の原因で、女性では男性化、男性では性早熟などを来します。(→year note D-66)
4) Turner症候群ではGH療法・女性ホルモン治療を行います。(→year note D-73)


V.〇×問題
1.先端肥大症はGHの過剰分泌が骨端線閉鎖後に生じた場合に見られ、その99%は下垂体のGH産生腫瘍が原因であり、多くはmacroadenoma(>10mm)として発見される。
2.先端肥大症では、TRHあるいはLH‐RH負荷試験でしばしば奇異性反応を認め、GHの増加をみる。
3.先端肥大症の薬物療法として、ブロモクリプチン、オクトレオチドが用いられる。
4.先端肥大症の死因の第一位は、心血管合併症である。
5.治療目標はソマトメジンCの正常化ならびに75グラム経口ブドウ糖負荷試験でのGHの頂値が1ng/ml以下である。
6.McCune-Albright症候群やCarney complexに合併することがある。

<解答> 1.○?  2.○  3.○  4. ○ 5. ○ 6.× (→year note D-10〜12,51,75)
※ acromegalyの邦訳は、「末端肥大症」か「先端巨大症」が正しいが、先生はごちゃ混ぜにして使っている様子。原文のまま。
1.GH過剰分泌が骨端線閉鎖前に起こると巨人症、骨端線閉鎖後に起こると末端肥大症となります。
大半は下垂体腺種によるものですが、99%かどうかは不明。
他の原因として膵ラ氏島腫瘍、気管支カルチノイドに伴う下垂体過形成、肺癌などによる異所性GH産生腫瘍などがあります。
下垂体腺種は大きいものが多く、トルコ鞍の拡大・破壊が特徴的。
2.文章通り。
3.文章通り。
4.文章通り。http://www.acromegaly.jp/outline/epidemiology.html参照。
5.文章通り。http://www.acromegaly.jp/guidance/judgment.html参照。
6.McCune-Albright症候群では末端肥大症が合併することがありますが、Carney complexは常染色体優性遺伝性のCushing症候群で小児期の発育遅延を認めます。


【4】<副甲状腺・大江先生>(新傾向?)
(1)検診で血中Ca13.5mg/dl、血中P2.0mg/dl、intactPTH高値を指摘された。既往歴、または罹患している疾患・合併症は?
@下垂体腫瘍  A膵ラ氏島腫瘍  B尿路結石症  C骨粗鬆症  D副甲状腺機能亢進症
a)@のみ、b)@A、c)@AB、d)@CD、e)すべて

<解答> ? (→year note D-42,43,68,141)
高Ca、低P、高PTHで、原発性副甲状腺機能亢進症が考えられます。
@ ? 副甲状腺の腺腫ならば原発性副甲状腺機能亢進症の原因となりますが、下垂体腺種では…?しかし、選択肢では@は必ず○になります。
A ○ 膵ラ氏島腫瘍のZollinger-Ellison症候群で原発性副甲状腺機能亢進症を合併することがあります。
B ○ 原発性副甲状腺機能亢進症で尿路結石が見られます。
C × 骨粗鬆症ではCa、Pは原則的に正常範囲です。
D ○ 原発性副甲状腺機能亢進症の検査所見です。


(2)癌末期、悪心嘔吐、Ca18.5、治療としてふさわしいものは?
@生食1L、フロセミド20mg点滴  Aビスフォスフォネート点滴  Bドーパミン  Cステロイドパルス  DビタミンD
a)@のみ、b)@A、c)@AB、d)@CD、e)BCD

<解答> b) (→year note D-45)
悪性腫瘍に伴う高Ca血症です。
治療法としては多量の輸液+ループ利尿薬(フロセミドなど)、カルシトニン、ビスフォスフォネートがあります。
サイアザイド系利尿薬はCa吸収を促進するため禁忌。


(3)若い女性、テタニーを繰り返す。検査としてふさわしいものは?
@血中Ca、Pi、PTH  A血ガス、K、Mg  BMIBGシンチ  C頸部血管造影  DEllsworth-Howard試験
a)すべて  b)@A  c)@AD  d)@CD  e)D

<解答> c) (→year note D-45〜48,55〜5763,64)
テタニーは副甲状腺機能低下症、偽性副甲状腺機能低下症、ビタミンD欠乏症、過換気症候群、原発性アルドステロン症などで起こります。
@ ○ テタニーは副甲状腺機能低下症に共通して見られる症状なので、これらの検査値から疾患を特定する必要があります。
A ○ 血ガスで過換気症候群を、K、Mgで原発性アルドステロン症を診断します。
B × MIBGシンチは褐色細胞腫の診断に有用ですが、テタニーとは関係ないと思います。
C × 上記の疾患では特に頚部血管造影は必要ないような気がします。選択肢的にも×。
D ○ 偽性副甲状腺機能低下症を分類するために必要です。


(4)腎不全、低Ca維持、注意することは?
@腎性骨異栄養  A三次性副甲状腺機能亢進症  B偽性副甲状腺機能低下症  Cサルコイドーシス  D肝硬変
a)@のみ、b)@A、c)@AB、d)@CD、e)BCD

<解答> c)
@ ○ 腎不全による副甲状腺機能亢進症でPTH分泌が過剰となり、骨吸収と骨形成のバランスがくずれ、骨量が減少します。
A ○ 基礎疾患による血中Ca低下のためにPTH合成が促進されて続発性副甲状腺機能亢進症が起こります。二次性としているものもあり、三次性かどうかは不明ですが…。(→year note D-44)
B ○ PTHに対する腎・骨の不応症により副甲状腺機能低下症に類似した症候を呈することがあります。(→year note D-47)
C × サルコイドーシスでは高Ca血症が見られます。
D × 肝硬変の進行に伴って腎不全を発症することはあるようですが、逆は不明です。選択肢的に×。


【5】<下垂体AB・岡部先生>(やや過去問、やや新傾向)
1.高プロラクチン血症の原因を列記せよ。

<解答>
視床下部障害、下垂体プロラクチン産生腫瘍、薬剤(エストロゲン・ドパミン受容体拮抗薬・ドパミン生成抑制薬)、原発性甲状腺機能低下 など (→year note D-12)


★2.下垂体前葉機能低下による病態を、それぞれのホルモンについて記せ。

<解答> (→year note D-8,9)
GH →小児:発育障害  成人:体脂肪の増加と筋組織の低下
PRL →乳汁分泌障害
ACTH →易疲労性、食欲不振、体重減少、低血圧、低血糖、意識障害、筋力低下
LH, FSH →小児:性成熟の障害  成人:無月経、性欲低下、陰毛・腋毛の脱落、性器の萎縮
TSH →耐寒性の低下、粘液水腫、皮膚乾燥、精神機能低下、便秘


【6】<糖尿病>(やや過去問、やや新傾向)
T.
症例)58歳、男性
家族歴)父にDM
既往歴・生活歴)特記すべきことはなし。
現病歴)10年前、検診で高血糖(220mg/dl)を指摘されたが放置。最近口渇・多尿が出現し、視力低下を自覚したため来院。
現状)173cm、78kg、BP 158/98mmHg、眼底増殖前糖尿病網膜症。胸腹部異常なし。神経学的所見:アキレス腱反射低下。
検査)尿糖++、尿蛋白±、尿ケトン−、尿中Alb 180mg/day、HbA1c 7.4%、1日血糖朝食前132、後242、昼食前156、後135、夕食前166、後266、空腹時インスリンは18.6mU/ml、尿中c−ペプチド120μg/日

(1)この患者では、75gグルコース負荷試験を行う必要があるか否か。

<解答> (→year note D-80)
75gグルコース負荷試験(OGTT)を行う必要はありません。
この症例では随時血糖値200mg/dl以上、早朝空腹時血糖値126mg/dl以上を共に満たしており、明らかな糖尿病です。
75gOGTTは明らかな糖尿病患者以外の人が、糖尿病なのかどうかを診断するために行う検査です。


(2)糖尿病診断の確定の根拠を述べよ。

<解答> (→year note D-80)
@随時血糖値200mg/dl以上  A早朝空腹時血糖値126mg/dl以上  B75gOGTTで2時間値が200mg/dl以上
のうち1つ以上を満たしており、
A.別の日に@〜Bを1つ以上満たす  B.口渇・多尿・多飲・体重減少などの症状を示す  C.HbA1c≧6.5%  D.糖尿病網膜症が見られる
のうち1つ以上を満たしている場合、糖尿病と診断できます。


(3)体格指数は約(  )で肥満症があるため、減量・食事療法を行う必要がある。
(身長173cm、体重78kg)

<解答> 26
体格指数(body mass index)=体重÷(身長×身長)
78÷1.73÷1.73≒26


(4)(微量Alb尿・顕性たんぱく尿)(いずれかに○)を認めるため、血糖コントロール以外にも、(高たんぱく食・血圧コントロール)が重要である。

<解答> 順に 微量Alb尿、血圧コントロール (year note E-56,57)
尿中Alb排泄量が30〜300mg/日である場合を微量Alb尿、300mg/日以上である場合を顕性蛋白尿といいます。
糖尿病腎症が見られる患者さんでは血圧コントロール(130/85mmHg以下)が重要です。
また、高たんぱく食は腎症の悪化を招くため、腎症が進行している患者さんはたんぱく・塩分の摂取を制限します。


U.メタボリックシンドロームについて知るところを記せ。

<解答>
動脈硬化性疾患の危険性を高める複合型リスク症候群のこと。
ウエスト周囲径が男性で85cm、女性で90cm以上で
@ 血清脂質異常(トリグリセリド値150mg/dl以上 または HDLコレステロール値40mg/dl未満)
A 血圧高値(収縮期血圧130mmHg以上 または 拡張期血圧85mmHg以上)
B 高血糖(空腹時血糖値110mg/dl以上)
の3項目のうち2つ以上を満たす場合をメタボリックシンドロームとします。


V.○×問題
1.スルホニルウレア薬は肥満2型糖尿病の第一選択薬である。
2.ビグアナイド薬は筋肉でのブドウ糖新生を抑制する。
3.チアゾリジン系薬物は、膵β細胞からのインスリン分泌を促進する。
4.αグルコシダーゼ阻害薬はフルクトースの吸収を選択的に抑制する。
5.インスリンは胎盤を通過し、巨大児となるため妊婦には禁忌である。
6.網膜症の進展を阻止するため、単純網膜症の段階から積極的に光凝固療法を行う。
7.糖尿病患者は、中小動脈の多発梗塞(ラクナ梗塞)がよく見られる。
8.糖尿病腎症は進行例でもネフローゼ症候群を起こすことはない。

<解答>
1.○ SU薬は膵臓からのインスリン分泌を促進します。まずはSU薬、効果が不十分であれば他の薬剤、といった感じです。(→year note D-83)
2.× BG薬は肝臓での糖新生を抑制します。
3.× チアゾリジン誘導体はインスリン抵抗性の改善作用があります。インスリン分泌を促進するのはSU薬とフェニルアラニン誘導体です。
4.○? αグルコシダーゼ阻害薬にはアカルボースとボグリボースの2種類があり、ボグリボースは二糖類水分解酵素のみを阻害します。…が、アカルボースは多糖類分解酵素全般を阻害するようです。
5.× 妊婦の血糖コントロールはインスリンが基本です。
6.× 光凝固療法の適応となるのは網膜に増殖性の変化が見られる場合です。初期では血糖コントロールの方が重要だと思います。
7.○ 糖尿病3大合併症(眼・腎・神経)はいずれも細小血管の梗塞が原因と言われています。
8.× 続発性ネフローゼ症候群の30〜40%が糖尿病腎症によるものです。(→year note E-52)


【7】<脂質代謝>(問題数減少。内容は同じ感じ)
○×問題。
★1.食物中のコレステロール、中性脂肪(主にモノグリセリド)は小腸上皮で吸収され、再合成されカイロミクロン(粒子)となり血中、リンパ液中に放出される。
★2.肝でVLDLは合成され血管内皮上に存在するLPL(リポプロテイライペース)で中性脂肪を引き抜かれ、IDLと変化する。
★3.家族性高コレステロール血症はLDLレセプターの異常であり、そのヘテロ型は500人に1人と決してまれな病気ではない。
4.高コレステロール血症には主にHMG-CoA還元酵素阻害薬が用いられ、高トリグリセライド血症には主としてフィブラート系(ベザフィブラート)薬剤が使用される。重大な副作用として横紋筋融解症があげられる。

<解答> (→year note D-100〜104)
1.○ year note D-101の図参照。
2.○ 文章通り。
3.○ ホモ型は約100万人に1人で、小児期より冠動脈硬化症を発症し、平均26歳で心血管系疾患で死亡します。参考までに。
4.○ 高脂血症に用いられる治療薬の副作用として横紋筋融解症があります。


【8】<甲状腺・岡村先生>(過去問+α)
(   )に適切な語句を記入せよ。

A.thyroxineはアラニンの側鎖から(1      )ベンゼン核(outer ring)のヨードが1つ脱ヨードされるとヨードが3個のT3となり生物活性が強くなる。
C.おたまじゃくしから蛙への変態には(3     )が必要である
D.取り込まれたヨードは(4     )という酵素の働きで有機化される。チロシンを直接有機化することは困難で、(5     )という分子量66万の巨大蛋白の上で行われる。
TPOやTgに対する抗体が陽性であれば自己免疫性の甲状腺炎が考えられるが、これは九大卒業の(6     )先生が1912年に詳細な病理所見を発表した疾患である。
E.甲状腺の機能の指標としては(7    )と(8    )がある。
H.抗甲状腺剤の副作用として重要なものは(18    )がある。
I.血中遊離T4とTSH値がともに高値を示すことは稀である。甲状腺中毒症があれば(20    )、なければ(21    )が考えられる。

<解答> (→year note D-22〜35)
1: 2つの?
空欄の位置が微妙すぎてよくわかりませんが、アラニンの側鎖にチロシンが2つ重合したものが甲状腺ホルモンです。
チロシンに含まれるヨードが3個であればT3、4個であればT4(thyroxine)になります。
3: 甲状腺ホルモン
4: 甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)
5: サイログロブリン(thyroglobulin, Tg)
6: 橋本 策(はかる)
7: 甲状腺刺激ホルモン(TSH)
8: 血中遊離T4(FT4)
18: 無顆粒球症
  他に抗甲状腺剤の副作用で命に関わるものとしては肝障害などがあります。
20: TSH産生腫瘍
21: 甲状腺ホルモン不応症


【9】<乳腺外科・黒木先生>(過去問とほぼ同じ)
(1)乳癌に関して下記の記述の中で、正しいものを選びなさい。
1. 乳腺症と乳癌は超音波検査でほとんど鑑別できる。
2. マンモグラフィーで線状・分枝微細石灰化は乳癌の確定的所見である。
3. 血性乳頭は・・・。
4. 乳癌は良悪境界病変が多いので、診断確定には切除生検が必要である。
5. 皮膚が陥凹するDelleは皮膚浸潤の所見である。
(a)1,2,3  (b)1,2,4 (c)1,2,5 (d)1,3,4 (e)1,3,5  (f)1,4,5 (g)2,3,4 (h)2,3,5 (i)2,4,5 (j)3,4,5

<解答> (b)? (→year note I-140〜142)
1. ○ 乳腺症では大小の嚢胞像が混在しており、乳癌では辺縁不規則で内部構造が不均一となります。
2. ○ 参考までに線維腺種のマンモグラフィーでは卵殻状石灰化像が見られます。
3. ?
4. ○? year note I-143の【病理医の視点】が微妙です。
この記述からすると診断確定には切除生検が必要なように思えますが、「まれに」良性病変の…とあるので、良悪境界病変が多いとは言えない気がします。
答えは3.の文章次第です。
5. × 皮膚侵襲の所見は橙皮様皮膚(peau d' orange)や豚皮様皮膚(pig skin)です。


(2)乳癌(特に硬癌)の超音波所見として、正しいものの組み合わせを選びなさい。
1.前方境界線を圧排することが多い。
2.内部エコーは不均一である。
3.点状の高輝度エコーが認められることが多い。
4.腫瘤エコーは低エコーとなり後方エコーは増強する。
5.境界エコーは帯状を示す。
(a)1,2,3  (b)1,2,4 (c)1,2,5 (d)1,3,4 (e)1,3,5  (f)1,4,5 (g)2,3,4 (h)2,3,5 (i)2,4,5 (j)3,4,5

<解答> (h) (→year note I-140〜143)
1. × よくわかりませんが、選択肢的に×。
2. ○ 境界不整で内部不均一です。
3. ○ 石灰化による高輝度エコーが見られます。
4. × 後方エコーは減弱・消失します。
5. ○ 粗雑・帯状の境界エコーを示します。


(3)正しいものを3つ選べ
1.タモキシフェンによりエストロゲンを阻害する治療法は閉経前乳癌には無効である
2.術後化学内分泌療法は乳癌の再発を有意に押さえることが出来る
3.術後の再発には抗がん剤を用いての治癒を目指す
4.LHRHアゴニストは閉経前内分泌感受性乳癌に有効である。
5.アロマターゼ阻害薬は閉経後乳癌の治療に用いられる
(a)1,2,3  (b)1,2,4 (c)1,2,5 (d)1,3,4 (e)1,3,5  (f)1,4,5 (g)2,3,4 (h)2,3,5 (i)2,4,5 (j)3,4,5

<解答> (i) (→year note I-143)
1. × タモキシフェンは閉経前乳癌に対しても使われます。
2. ○ 効果がなければ行われていないと思うので…。
3. × 閉経後乳癌に対してはホルモン(内分泌)療法が有効です。
4. ○ 閉経前リンパ節転移陽性患者に対しては化学内分泌併用療法が行われます。
5. ○ 閉経後乳癌には抗エストロゲン薬(タモキシフェン)、アロマターゼ阻害薬、プロゲステロン薬が使われます。


【10】<?>


【11】<アミノ酸代謝・下田先生>(ほぼ同じ。図は毎年同じ)

(a)(b)(d)に該当する疾患は何か?

<解答> (a)ネフローゼ症候群  (b)肝硬変  (d)多発性骨髄腫
参考までに(c)慢性感染症・悪性腫瘍  (e)無γグロブリン血症  です。詳しくは2005年概説11番参照。


【12】<ビタミン代謝・新納先生>(新傾向)
T.(1)以下の文章の中で正しくないものはどれか?
@ carotene摂取過剰により中毒を起こすことはない。
A チアミンは腸内細菌叢から内因性に合成される。
B ビタミンB12欠乏の患者に治療効果を期待して葉酸を投与することがある。
C 骨粗鬆症の治療としてビタミンK投与が行われている。
D 葉酸欠乏性貧血はビタミンB12で治療可能である。
a)@AC、b)@BD、c)@CD、d)ABC、e)ABD

<解答> e) (→year note D-149〜151, G-27〜29)
@ ○ 脂溶性ビタミン(ビタミンA,D,E,K)は過剰症を起こしますが、カロチン摂取過剰は中毒を起こさずcarotenosisとなって皮膚が黄染します。
A × チアミン(=ビタミンB1)は腸内細菌叢から作られることはありません。腸内細菌叢から合成されるのはビタミンK、ビオチンです。
B × ビタミンB12欠乏の患者に葉酸を投与すると、神経障害が悪化することがあるため禁忌です。
C ○ ビタミンDにビタミンKを併用して投与することにより、骨形成を促進し骨粗鬆症を改善します。
D × 葉酸欠乏性貧血の治療は葉酸投与です。


U.
1)正しい組み合わせをひとつ選びなさい。
1.ビタミンD  ―  壊血病
2.葉酸  ―  メチルマロン酸
3.ビタミンA  ―  Bitot斑
4.ナイアシン  ―  慢性アルコール症
5.ビタミンB12  ―  Shilling test
a) 123 b) 145 c)235 d)234 e)345

<解答> e) (→year note D-149〜151)
1.× ビタミンD欠乏症で起こるのはくる病。壊血病はビタミンC欠乏症。
2.× ビタミンB12欠乏症でメチルマロン酸尿症が起こります。
3.○ ビタミンA欠乏症で角膜乾燥症(Bitot斑)が見られます。
4.○ 慢性アルコール中毒はナイアシン欠乏症の原因となります。
5.○ 放射活性のあるB12の吸収を測定します。


2)正しい組み合わせをひとつ選びなさい。
1.dry beriberi  ―  多発性神経炎
2.腎臓  ―  D-25水酸化酵素 
3.ビタミンK  ―  新生児メレナ
4.チアミン  ―  運動失調
5.ビタミンE  ―  低色素性小球性貧血
a)124 b)134 c)145 d)234 e)345

<解答> b) (→year note D-149〜151)
1.○ dry beriberi(乾性脚気)の主体は多発性神経炎で、表在知覚優位の末梢神経障害、筋力低下、腱反射低下などを来します。
2.× 肝臓でビタミンDに作用します。
3.○ 母乳中はビタミンKが少ないため、母乳栄養児によく見られます。
4.○ 慢性アルコール中毒などで見られ、チアミン欠乏によりWernicke脳症を引き起こします。
5.× ビタミンE欠乏症で見られるのは溶血性貧血です。


【13】<核酸代謝・中島先生>(2005概説と全く同じ)
★A. プリン体とピリミジン体についての記載で正しいものの組み合わせを選びなさい。
1. プリン、ピリミジン体は核酸の構成成分として遺伝情報を伝達する媒体である。プリン体は6員環を、ピリミジン体は5員環と6員環を有している。
2. DNA、RNAを作り出す原料となるリボヌクレオチドは、プリン体合成系では種々のアミノ酸から作り出されるde novo合成とすでに合成され、代謝された産物から再利用を図るsalvage合成系から供給される。
3. アデニン、グアニンはピリミジン体である。
4. カフェインは体を直接興奮させるのではなく、アデノシンの受容体に結合して、アデノシンの作用を阻害して興奮作用を惹起する。
(a)1,2   (b)3,4   (c)1,3   (d)2,4   (e)4のみ

<解答> (d)
1. × プリン体が5員環と6員環、ピリミジン体が6員環のみで逆です。
2. ○ 文章通り。
3. × A,Gがプリン体、C,Tがピリミジン体です。
4. ○ カフェインがアデノシンと類似の構造を持っていることによります。


B. 核酸の代謝異常についての記載で正しいものの組み合わせを選びなさい。
1. ピリミジン代謝異常症であるUMP合成酵素欠損症では、オロット酸が代謝されずに蓄積し、オロット酸尿症を呈する。
2. de novo合成系の酵素であるhypoxantine phosphoribosyl transferase(HPRT)欠損症では、高尿酸血症、中枢神経症状を呈する。
3. hypoxantine phosphoribosyl transferase(HPRT)欠損症は、Lesch-Nyhan症候群とよばれ、常染色体劣性遺伝であり、近親婚のある家系に認められることが多い。
4. アデノシンからイノシンへの反応を媒介する酵素adenosine deaminase欠損症では、細胞性免疫の低下は著明であるが、液性免疫の低下は見られない。
(a)1,2   (b)3,4   (c)1,3   (d)2,4   (e)4のみ

<解答> (a) (→year note D-120)
1. ○ 文章通り。
2. ○ HPRT(HGPRT)欠損症ではプリン体の代謝異常により高尿酸血症、中枢神経症状を呈します。
3. × 伴性劣性遺伝です。
4. × adenosine deaminase欠損症ではB細胞、T細胞両方の産生が困難になります。


C. 痛風・高尿酸血症について正しいものを選べ。
1.痛風は、関節リウマチが女性に多いのに対して、中年以降の男性、女性に同じくらいの頻度で見られる。
2.急性痛風性関節炎は、第一足基関節に疼痛、発赤、腫張することが多く、大部分が片側性である。
3.痛風結節は耳介部軟骨に好発し、ピロリン酸カルシウムからなる。
4.産生過剰型の高尿酸血症に対して、排泄促進薬であるベンズブロマロンを用いると、尿酸結石ができやすい。
a.12   b.34   c.13   d.24   e.4のみ

<解答> d. (→year note D-117〜119)
1. × 痛風の好発年齢は30〜60歳で、95%以上が男性。
2. ○ 文章通り。
3. × 痛風結節は尿酸Naの結晶。好発部位は耳介・足。
4. ○ 文章通り。腎機能が低下している患者や、すでに 尿路結石が生じている患者にはアロプリノールを投与します。


★D. 核酸の代謝異常についての記載で正しいものの組み合わせを選びなさい。
1. 痛風患者の20%に尿路結石症を認め、結石成分は大部分が尿酸であり、カルシウム結石は少ないのが特徴である。
2. コルヒチンは、発作後にはほとんど効果がない。前兆があったときに服用すると予防効果があるとされている。
3. 痛風発作時は、高尿酸血症の改善無くして発作消失は難しいので、尿酸合成阻害剤アロプリノールや尿酸排泄促進剤ベンズブロマロンを用いて、尿酸値を下げることが必要である。
4. 高尿酸血症はメタボリック・シンドロームに大きく関わっているが、尿酸値を下げることにより動脈硬化疾患のリスクを下げ得ることは実証されていない。
(a)1,2   (b)3,4   (c)1,3   (d)2,4   (e)4のみ

<解答> (a) (→year note D-117〜119)
1. ○ 文章通り。尿酸結石なのでX線陰性なのが特徴です。
2. ○ 文章通り。
3. × アロプリノールやベンズブロマロンは慢性期の治療薬で、急性発作には有効ではありません。
4. × 高尿酸血症によって動脈硬化などの血管障害が引き起こされるので、尿酸値を下げることは有効だと思います。


【14】<甲状腺外科・小島先生>(新傾向も内容はあまり変わらず)
1.甲状腺癌で最も頻度が高いのは(   )である。
2.術後合併症として片側反回神経麻痺が生じたときの症状は(   )である。
3.甲状腺髄様癌の腫瘍マーカーとして血清中の(   )が有用である。
4.続発性副甲状腺機能亢進症の原因として(   )がある。

<解答> 1.乳頭癌  2.嗄声  3.CEA  4.慢性腎不全 (→year note D-37〜40,44)
1.甲状腺癌の頻度は 乳頭癌:80〜90% 濾胞癌:5〜10% 未分化癌:2〜4% 髄様癌:1〜2% 悪性リンパ腫:2〜4%
2.他の合併症として 声門浮腫、テタニー(上皮小体損傷による)、上喉頭神経外枝麻痺など。
3.髄様癌の特徴は CEA↑、カルシトニン↑、間質にアミロイド沈着。
4.続発性副甲状腺機能亢進症とは、基礎疾患による血中Ca低下のためにPTH合成が促進された状態のこと。
  原因は、慢性腎不全、くる病・骨軟化症、偽性副甲状腺機能低下症、Cushing症候群、妊娠、授乳、ビタミンD欠乏など。


【15】<脳外科・松角>(新傾向。ただ、授業中に出す問題を教えてくれた)
★1.正しいものを1つ選べ。
(1)(2)(3)(4)覚えてないです。
(5)経蝶形骨での下垂体腫瘍除去術では、尿崩症を伴う。(○) (→year note D-18)

★2.下垂体卒中の画像が提示。処置としてふさわしいのは次のうちどれか。
(1)(2)(4)(5)覚えてないです。
(3)緊急手術を行う。(○)

【16】<整形外科・高杉先生>(過去問と似た感じ)
★(1)骨粗鬆症に関連する骨折の好発部位として誤っているものを一つ選べ。
a) 大腿骨 b) 脊椎 c) 上腕骨 d) 橈骨 e) 脛骨

<解答> e)
骨粗鬆症に関連する骨折の好発部位は堆体、大腿骨近位部、橈骨遠位端、上腕骨近位端など。(→year note D-140)


★(2)転倒骨折の予防としてふさわしくないものはどれか。
a.b.c.d.覚えてないです。
e)ベッドの上で安静にしておく。


【17】<整形外科・神宮司先生>(だいたい過去問通りか。+α)
(1)骨粗鬆症のリスクファクターとして誤っているものを選べ。
1.高齢  2.肥満  3.多量の飲酒  4.多量の喫煙  5.過度のコーヒー

<解答> 2.
骨粗鬆症のリスクファクターは肥満ではなくやせ。
他に閉経、無月経症、偏食、運動不足、日光照射不足、糖尿病、胃切除など。(→year note D-140)


★(2)骨粗鬆症の治療に効果があると認められているものを次から3つ選べ。
1.ビスフォスフォネイト  2.活性型ビタミンD3  3.エストロゲン  4.カルシトニン  5.カルシウム

<解答> 1.2.3.4.5. 全部?
year note D-141に全て治療薬として書かれています。
閉経後のエストロゲン投与は子宮内膜癌と乳癌のリスクを上昇させるため、プロゲステロンとの合剤を投与。
カルシトニンには骨粗鬆症に伴う疼痛の改善作用もあります。
骨粗鬆症に対するエストロゲン投与にはあまり効果がないというエビデンスが2004年に出たという話もあるので、この中からあえて3つ選ぶとすれば1.2.4.でしょうか。


【18】<乳腺病理・豊島先生>(新傾向。マルチョイ2問)
1.正しいものの組み合わせ
a.多くの乳癌や乳管上皮過形成性病変は比較的大きな乳管に発生する。
b.乳腺線維腺腫は閉経期前後に好発し内部に乳癌を伴うことが多い。
c.筋上皮細胞は乳腺小葉に限局して見られる。
d.乳腺症は腺症、嚢胞、乳管上皮過形成、アポクリン化生、線維化などからなる多彩な組織像を示す。
1.a,bのみ 2.b,cのみ 3.c,dのみ 4.aのみ 5.dのみ

<解答> 5.
a: × 乳癌の大部分は終末細乳管から発生します。
b: × 線維腺腫の好発年齢は20〜30歳。線維腺種内に乳癌が存在することはありません。
c: × 上皮と筋上皮の二層性を示すのは腺管です。
d: ○ 文章通り。乳腺症は乳癌のリスク病変と考えられています。

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