感染症・中毒 平成14年度概説試験

実施日: 2002. 6. 17(月)

1枚目【ウイルス感染症総論・血液由来ウイルス、輸入感染症(林教授)】

1.コレラについて、正しい記述を全て選びなさい。
@ CT産生株によって起こる急性腹症である。:急性腹症の定義(『消化管・腹膜』馬場先生のレジュメより)「腹痛が急激に発症し、短期間の間に緊急手術の必要性の判断を迫られるような腹部の急性疾患の総称」。コレラに発熱・腹痛はありません。
A 潜伏期間は7日〜10日。:通常1 日以内⇒×
B 水溶性血便。:血便はでません⇒×
C O139ベンガル型は伝染性は低いが、抗菌剤耐性が多い。⇒○

2.ペストについて、正しい記述を全て選びなさい。
@ ペスト菌は、グラム陰性菌に分類される。⇒グラム陰性桿菌○
A 潜伏期は5日。⇒1〜9日だが5日の報告が最多。○
B 腺ペストでは、リンパ節の疼痛性腫脹、潰瘍形成がみられる。⇒○
C 肺ペストは、ヒトへの感染も起こり、予後不良である。⇒肺胞が壊れて、痰やペスト菌エアロゾルを排出することで感染します○

3.マラリアについて、正しい記述を全て選びなさい。
@ 熱帯熱マラリアの潜伏期が最も短い。⇒○6〜10日。三日熱は12〜15日、卵型もほぼ同じで四日熱は16〜21日。
A 熱帯熱マラリアでは、高度の虫血症のため、赤血球の変形能が亢進、粘着性の低下がみられ、毛細血管の栓塞がおこる。⇒×変形能低下、粘着性亢進。意識障害や痙攣がおこるのはこのためです。
B 卵形マラリアは再発しない。⇒あり×
C 殆どの場合、クロロキンが有効である。⇒×熱帯熱には耐性株が多発。

4.ヒストプラズマについて、正しい記述を全て選びなさい。
@ 免疫能が低下している場合、播種性虫血症となる。⇒○
A コウモリにかまれると感染する。⇒コウモリの糞から感染×
B アジアに多い。⇒米国など×
C 肺ヒストプラズマ症は殆どが慢性化する。⇒一過性にインフルエンザ様症状を呈する急性型が90%。×

5.ラッサ熱について、正しい記述を全て選びなさい。
@ アレナウイルスは、マストミスの唾液、尿から排出される。⇒○
A 潜伏期は5〜20日で、ヒトからヒトへの感染もある。⇒1-2週間。体液を介しての感染は起こります。○
B 高熱、消化器症状、筋肉痛がみられる。⇒はじめはインフルエンザ様の発症。○
C リバビリンが有効である。⇒○これにより死亡率は数%にまで低下しました。

6.デング出血熱について、正しい記述を全て選びなさい。
@ フラビウイルスによる感染症である。⇒○
A tourniquet試験陽性。⇒○
B 粘膜出血がみられる。⇒鼻出血・消化器出血を伴います○。
C ヘマトクリット値の低下がみられる。⇒×上昇。

7.輸入感染症について、正しい記述を全て選びなさい。
@ 三日熱マラリアは隔日に発熱する。⇒48時間。○
A エボラ出血熱の致命率は低い。⇒高い。×
B ペストでは色素変化を起こすため、黒死病とよばれる。⇒黒いのは出血性壊死病変のためです。×
C コレラの治療には輸液が重要である。⇒○脱水が激しいため

8.輸入感染症について、正しい記述を全て選びなさい。
@ ペストの治療には、ニューキノロン系が有効である。⇒○レボフロキサシン、スパルフロキサシンなど。
A ペストは、ヒトからヒトへ接触感染する。⇒肺ペストなら感染します。○
B マラリアの症状としては、発熱、貧血、肝腫が重要である。⇒×肝腫ではなく脾腫。
C コレラの症状として発熱は重要である。⇒×発熱・腹痛はない。

9.輸入感染症について、正しい記述を全て選びなさい。
@ 脳性マラリアになるのは熱帯熱マラリアである。⇒○
A 酩酊様顔貌は、ペスト感染による意識障害時の特徴である。⇒○
B デング熱は、ヒトからヒトへの感染はない。⇒ない○
C コクシジオイデスは雑草を噛んで口腔粘膜に感染することもある。⇒○

10.輸入感染症について、正しい記述を全て選びなさい。
@ クリミア・コンゴ熱は、アフリカ大陸のみにみられるウイルス性出血熱である。⇒旧ソヴィエトの兵士がクリミア地方で感染したのが最初です。×
A ラッサ熱は、草原の地域に多いと考えられている。⇒○
B ペストはネズミから咬まれることによって感染する。⇒×ノミに咬まれることによる。
C 四日熱マラリアは、数年から数十年後に再発することがある。⇒○

2枚目【小児科】
 注: 病原体名、病名は、日本語・英語どちらでも可。但し、略号は不可。
5/14・5/31プリントから
問1.次の( )にはいる適切な語句を解答欄に記入せよ。同じ番号が複数ある場合があるので注意すること。
a)periodic lateralized epileptiform discharged(PLEDs)は、(1.単純ヘルペス)ウイルスによる脳炎を疑う上で参考となる脳波所見である。本症の早期診断には、PCR法による髄液中の(1. 単純ヘルペス )ウイルスDNAの検出が有用であり、治療の第一選択薬は(2.アシクロビル )である。本ウイルスの小児期の症候性初感染では、(3. 歯肉 )の発赤腫脹が特徴的な所見である。☆3.ヘルペス性歯肉口内炎(herpetic gingivostomatitis)
b)(4.インフルエンザ菌 )は細菌性髄膜炎および(5.喉頭蓋炎 )の起炎菌として重要である。(5. )は、喘鳴と吸気性呼吸困難をきたす急性細菌性気道感染症である。
c)(6.マクロライド )系抗菌剤が第一選択となる小児肺炎の起炎菌には肺炎マイコプラズマや(7.肺炎クラミジア )などがある。末梢血における(8. 白血球増多)を特徴とする(9.百日咳 )にも本剤が第一選択となる。(9. 百日咳)においては、(10.母体由来)抗体は感染防御に有効ではなく、また罹患月齢が低いほど無呼吸発作や脳症のリスクが高くなる。
d)発疹症の中で急性小脳失調の原因として最も頻度の高いのは(11. varicella-zoster virus(VZV))である。(12. 帯状疱疹)は(11. varicella-zoster virus(VZV) )の原因ウイルスの再活性化でみられる臨床像である。
e)新生児敗血症/髄膜炎の産科的リスクファクターには、(13. 母体の発熱(分娩前))、(14. 早期産(分娩時))などがある。
f)先天性(15. 風疹)症候群の多くは、妊婦が第一三半期に(15.風疹 )に罹患することにより発生する。本症による永続的障害の中で最も頻度が高いのは、(16.感音性難聴 )である。☆16.他に先天性心疾患・白内障。
g)サイトメガロウイルスの(17. 胎内)感染を受けた児の約90%は無症状であるが、その約10%において後に精神運動発達遅滞や(16. 難聴)がみられることが知られている。
h)免疫グロブリンのうち、胎生期に最も早く産生がみられるのは、Ig(18. M)である。Ig(18.M )は、(10. 母体由来 )抗体に含まれないため、(17. 風疹)感染の有無を出生後に評価する指標としても用いられる。

問2.サルモネラ感染症の代表的病型を2つ列挙し、それぞれに対する一般的な治療方針を簡潔に記せ。STEP他参照
@ 胃腸炎型:自然治癒するので原則的に抗生物質は投与せず、必要に応じて対症療法を行う。
A チフス型:腸チフスの治療に準じる。抗生物質はニューキノロン系を用いる。

3枚目【細菌・真菌感染症(下野先生、岡田先生)】5/10プリントなど参照

1)感染症の成り立ちについて、三大要因をあげながら概説せよ。(4)
病原体・宿主・感染経路。
@ 病原体:病原性(pathogenicity)の有無、毒力(virulence)の有無、臓器親和性(organotropism)、などにより感染が成り立つか否かが決まる。臓器親和性の例として、中枢神経系への髄膜炎菌、呼吸器系へのH.influenzaeの感染などがある。
A 宿主:感染成立には宿主側の因子も必要である。ヒトの場合皮膚・粘膜といった機械的バリアが存在し、感染しようとする病原体はまずこのバリアを突破する必要がある。生体内に入ると、細胞性免疫または体液性免疫、また好中球による病原体の貪食などの病原体排除の機構が働く。これらのシステムにより絶滅しなかった病原体は生体内に感染を成立させることが可能となる。
B 感染経路:病原体が生体に感染するための経路には空気・飛沫・接触・一般担体(汚染された食品・水・薬剤・装置・器具によって伝播するもの)・病原性媒介生物による感染(蚊、蝿、鼠など)などがある。空気感染では5μm以下の粒子が空気の流れによって拡散する。飛沫感染では1m以下の短い距離を病原体を含んだ飛沫が飛ぶ。接触感染には直接接触伝播、間接接触伝播がある。
3)(なぜか3になってる)次の言葉に最も関連するものを下記のA〜Kから2つずつ選べ。(8)

 抗生物質関連性腸炎原因菌    ( D.Clostrisium difficile  ) ( F.MRSA  )
 消化管に偽膜を形成するもの   (  D.Clostrisium difficile ) (  F.MRSA )
 食中毒原因菌      ( C.サルモネラ菌  ) ( G.カンピロバクター  )
 髄膜炎原因菌(頻度の高いもの) ( B.Streptococcus pneumoniae  ) ( I.Hemophillus influenzae )

A.化膿性連鎖球菌  B.Streptococcus pneumoniae  
C.サルモネラ菌   D.Clostrisium difficile     E.Candida
F.MRSA     G.カンピロバクター       H.クリプトコッカス
I.Hemophillus influenzae               K.緑膿菌

4)薬剤耐性菌について少なくとも3つ挙げ、耐性菌の問題点について述べよ。(3)
MRSA、多剤耐性緑膿菌、VRE
耐性菌として問題になっている菌は、普通健常者に感染してもとくに症状を表さないものがほとんどである。これらが問題になるのは、手術後、白血病などの化学療法中、あるいは自己免疫病の治療中などで免疫低下状態にある患者の多くいる病院内においてである。これらは免疫抑制状態の生体に感染すると多彩な症状を呈し、適切な治療を行わなければ死にいたるものも多いが、問題は治療の際に通常使われる抗生剤が耐性のために著効しないので、より強力な抗生剤を用いなくてはならない点にある。強力な抗生剤の使用はさらなる耐性株の出現を誘発するのみならず、患者にとっても過剰な常在菌の排除により菌交代現象を引き起こしたりして、生体への負担となる。

<感染症中毒>
7枚中の4枚目 中毒 担当:井上尚英(今年は2内科鶴屋和彦先生。6/1)
1、有機リン酸中毒の病態、症状、治療を記せ。
○病態:AchE酵素活性を阻害⇒過剰Achがムスカリン受容体、ニコチン受容体、中枢神経に蓄積。
○ 症状:通常は暴露から1〜2時間で、ムスカリン作用(縮瞳・発汗・気管分泌物の低下)、ニコチン作用(筋線維性攣縮)、中枢神経作用(興奮・痙攣・昏睡)、遅発性末梢神経障害、が出現。
○ 第一選択はアトロピン、PAMは48時間以内なら有効。
2、「ハチ刺され」の患者が来院した。何を観察し、どのように治療していくか。
下図参照。今年の講義ではハチは出てきていないようです。

■ ハチ刺傷治療の一般的なフローチャート ■
全身性の皮膚症状 (紅斑・蕁麻疹など)
あ  り
な  し
呼吸困難・血圧低下
局所の腫脹
あ  り
な  し
強  い
弱  い
アナフィラキシー
ショックに
対する治療
ステロイド薬静注
抗ヒスタミン薬静注
肝庇護薬静注
ステロイド薬内服
抗ヒスタミン薬内服
ステロイド剤軟膏塗布
ステロイド剤
軟膏塗布

刺されたのが初めてか、過去に刺されたかは重要です。アナフラキシーショックは極めて短時間(早い時は数分)で起こるので注意が必要。
3、「急性アルコール中毒」の治療について述べよ。
主として支持療法:呼吸、循環管理。低体温を緩徐に復温。胃洗浄や活性炭の投与はしない。

5枚目 【ウイルス感染症各論 担当:永淵正法】
1.以下の設問について正否(○×)で答えよ。(5点)
(1)ウイルス抗体測定で、IgM,IgGのクラスが判定できるのはELISAテストである。
(2)CF抗体の測定は、既感染のスクリーニング検査として有用である。
(3)サイトメガロウイルスは骨髄移植時の間質性肺炎、網膜炎、肝炎等と関連がある。
(4)ツツガムシ病にテトラサイクリン系抗生物質が有用である。
(5)A型肝炎にインターフェロンが有用である。
(6)伝染性単核症では、EBウイルスの感染によりトランスフォームした末梢血Bリンパ球を攻撃するCD8陽性T細胞が著明に増加している。
(7)伝染性単核症では、アシクロビルが著効する。
(8)伝染性単核症患者に細菌感染症の合併予防目的でアンピシリンの投与が推奨されている。
(9)ヒトヘルペスウイルス6は突発性発疹の病原体である。
(10)コクサッキーA群ウイルスは無菌性髄膜炎と関連がある。
解答)
(1)○
(2)×CF抗体は比較的早期に消失する
(3)○
(4)○
(5)×⇒HAVには用いません。原則として急性期には入院し、安静臥床。入院中は血液検査などで重症化、劇症化、肝外症状の有無を観察して、症状に応じた治療法がとられます。
(6)○
(7)×無効。対症療法が主体。
(8)×禁忌。紅斑性丘疹が高頻度に出現。
(9)、(10)○

2、以下の症例について、最も考えられる疾患、鑑別診断、検査、治療について簡潔に述べよ。(5点)
 症例は28歳の女性。元来健康。6ヶ月前に結婚した。2日前、悪寒、38℃レベルの発熱、咽頭痛を訴えた。ほとんど食事が出来ず、健康時より体重が1.5Kg減少している。口腔、舌に水疱性の病変が多発している。手や足には病変は認めない。
抹消血検査で、Hb13.8g/dl、RBC486万/mm3乗、Ht46%、
plt.18.0万/mm3乗、WBC2800/mm3乗であった。妊娠反応は陰性。
解答)診断:
ポイントは1.水疱が見られる、2.WBC高くない3.手足に病変ない4.最近結婚している5.悪寒・発熱、6.水疱は口腔と舌にできている、などです。まず1,2から細菌ではなくウイルス感染が疑われます。ウイルスで水疱といえばHSV、ポックスウイルス、エンテロウイルス(属名でない)、コクサッキーウイルス、などが思い浮かびます。とりあえずこのなかから絞ってみましょう。HSVは上記のような症状を示すのでここで除外はできません。保留。ポックスの代表は天然痘ですが、もちろん撲滅されているのでありえません。もうひとつの代表的な伝染性軟属腫では、発熱は伴わず、6ヶ月〜1年で自然治癒しますからこれも除外です。3.で「手足」とわざわざ書いてあるのは、手足口病(コクサッキー/エンテロ71)、ヘルパンギーナを除外するためかもしれませんが、両者とも乳幼児やこどもでよく見られる病気ですから、年齢を考えるとすぐに除外できます。ついでにヘルパンギーナでは水疱は口蓋咽頭部にできますから6.に合いません。ということで、残ったHSVを検討します。元来健康で結婚後このような症状がでたということから、夫からの夫婦間感染が疑われます。HSVが口唇ヘルペスの原因であること、初発は発熱や悪寒で発症することからHSVと鑑別できます。

検査:水疱内容あるいは咽頭拭い液により、鏡検で核内封入体、HSV抗原の確認、ペア血清で抗体価が4倍以上の上昇、ELISAによるIgM抗体価の上昇、などから診断します。

治療:アシクロビル。これで効果不十分ならビダラビン。

6枚目 【呼吸器感染症 担当:鍋島茂樹】
語群より適切な語句を選び、文章内の( )に記号で記入せよ。
@ 細胞内寄生菌は主として(D)内で増殖する菌のことであり、殺菌の免疫担当細胞となるのは(C)である。代表的な菌種は(A)である。
A.結核菌  B.肺炎球菌  C.リンパ球  D.食細胞  E.インフルエンザ菌

A 呼吸器においては鼻腔から肺胞に至るまで( )なバリアがあり、病原微生物に対応している。最終的に( )ミクロン以下の大きさの物質が肺胞に侵入できるといわれている。肺胞内には( )が常在しており侵入微生物に反応して( )などのシグナルを出し、炎症細胞を誘導する。
A.2  B.10  C.好中球  D.マクロファージ  E.サイトカイン
F.細菌  G.間歇的  H.連続的  I.アドレナリン  J.リンパ球
解答)順に、H、A、D、E

2. 関係が深いと思われるものを線で結べ。
              浸潤影      中葉
              間質影      結節影
               肺癌      肺尖
    心のシルエットサイン陽性      びまん性小粒状影
          成人型肺結核症      気管支肺炎
解答)浸潤影―気管支肺炎、間質影―びまん性小粒状影、肺癌−結節影、心のシルエットサイン陽性−中葉、成人型肺結核症―肺尖

3.( )内より適切な語句を選び○で囲め。
  代表的な市中肺炎の原因菌として(肺炎球菌・溶連菌・緑膿菌)があげられる。また、最近は(肺炎クラミジア・嫌気性菌・結核菌)などによる非定型肺炎が増加しており注意が必要である。肺炎の抗生剤治療を開始するにあたり最も重要なことは(喀痰グラム染色・末梢血白血球数・CRP)である。院内肺炎は何らかの基礎疾患をもった入院患者が罹患する肺炎であり、原因菌として(グラム陽性球菌・グラム陰性桿菌)が多く(抗菌薬耐性・消毒剤耐性)を認めることが多い。

<解答>
肺炎球菌、肺炎クラミジア、喀痰グラム染色、グラム陰性桿菌、抗菌剤耐性
<注>市中肺炎は肺炎球菌、ブドウ球菌、マイコプラズマ、ウイルス、クラミジア。WBCやCRPは感染症でなくとも上昇する。グラム染色で用いる抗生剤を決定したり、肺炎の活動性の推移を追うことができる。院内感染では腸内細菌群、緑膿菌、黄ブ菌(含むMRSA)など。

7枚目 【消化器感染症 担当:古庄憲浩】
1. 細菌性食中毒のついて正しいものを2つ選びなさい。
@ 細菌性食中毒は、発症様式の違いによって、感染型、毒素型、混合型(中間型)に分類される。
A 食中毒の起炎菌では、腸炎ビブリオ、カンピロバクター、黄色ブドウ球菌が多い。
B 初診時は原因菌が不明であるため、抗生物質にニューキノロン系薬やホスホマイシンが使用されることはない。
C 毒素型食中毒は、食品の加熱処理により多くは予防可能である。

<解答>
○@細菌性食中毒には生体外毒素型(黄ブ菌など)、生体内毒素型(コレラなど)、細胞侵入型(腸炎ビブリオなど)がある。
○A腸炎ビブリオ、サルモネラ、病原性大腸菌、カンピロバクター、黄ブ菌の順に多い。
×B基本的には輸液による電解質、体液管理で抗生物質を用いないが、患者の状態によってはエンピリカルにニューキノロンなどを用いる。
×C黄ブ菌や腸炎ビブリオの毒素は耐熱性。

2. ヘリコバクター・ピロリ感染症について正しいものを3つ選びなさい。
@ 本菌は胃十二指腸潰瘍との関連が報告されるが、生検組織から検出されることはない。
A 胃癌において、疫学的な研究から本菌感染により慢性萎縮性胃炎が胃前庭部に発生し、長い年月にわたって炎症が続くことが胃癌発生の危険因子とされている。
B 一般に、加齢とともに本菌感染率は低下する。
C 本菌感染の有無の診断には尿素呼気テスト、血清抗体測定など非侵襲的方法がある。
D 本菌陽性の消化性潰瘍については、制酸薬と抗菌薬の併用が薦められている。

<解答>
×@生体組織の培養、組織像がGolden standard。
○A
×B増加する。
○C尿素呼気テストは感度95%、特異度100%。血清抗体は感度80〜90%、特異度90%。
○DPPI+マクロライド+アモキシシリンの三剤併用療法を行う。

3. 胃アニサキス症について正しいものを3つ選びなさい。
@ 刺身、すし、ばってら、しめサバなど、生食後数日して胃痛、悪心・嘔吐などを呈することが多い。
A 胃アニサキス症が疑われた場合は、速やかに胃透視検査を行い、虫体の証明をする。
B 胃粘膜は、浮腫状に隆起し、出血斑などを伴った粘膜に胃アニサキス幼虫が刺入しつつある所見が観察される。
C 鑑別診断としては、消化管穿孔、イレウス、急性虫垂炎などの急性腹症などがある。
D 治療は、内視鏡的に病変部を摘出するほうが望ましい。

<解答>
×@生鮮魚摂取後平均3〜8時間で発症することが多い。
×AGIFによる。
○B
○C
○D

4. 腸管出血性大腸菌について誤っているものを1つ選びなさい。
@ 腸管出血性大腸菌感染症は、Vero細胞に致死的に働くVero毒素を産出する。
A 腸管出血性大腸菌感染症の主症状は、血便と激しい腹痛である。
B 血便を訴えて数日後に溶血性尿毒症症候群や脳症を続発することがある。
C 感染初期は補液のみの対症療法に徹し、決して抗生物質の投与は行わない。

<解答>
○@Vero細胞というサル由来株化細胞に作用する毒素。
○A水溶性血便と腹痛が主訴。
○B10%にHUSや脳症の可能性がある。
×C3日以内に抗菌薬を投与すれば、HUSの発症が低下する。

5. ウイルス性肝炎について誤っているものを1つ選びなさい。
@ A型肝炎は高率に慢性化する。
A B型肝炎において性行為は重要な感染経路である。
B C型肝炎は高率に慢性化し、原発性肝臓癌の主因である。
C Epstein−Barr Virus(EBV)感染は成人の場合、一過性の肝障害やリンパ節腫張を来たす。

<解答>
×@A型肝炎は慢性化しない。
○A血液、垂直(産道)、性交による。
○B慢性化率70%、原発性肝癌の75%。
○C伝染性単核症。弛張発熱、全身リンパ節(肝、脾)の系統的腫脹、異型リンパ球の増加が三徴。

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