感染症・中毒 平成16年度概説試験

平成16年6月17日実施(120分)
持ち帰った原本をデータ化。問題は解答用紙と共通。7枚組で1枚目のみA4、あとはA3。
101人中9人不合格。

1枚目(永淵正法:一内科、医学部保健学科)
1.以下の設問につき正否(O×)で答えよ。(10点)
@ウイルス抗体測定で、IgM、IgGのクラスが判定できるのはEIA法である。(○)
AHI検査は初感染の抗体検査として有用である。(○)
Bサイトメガロウイルスは骨髄移植時の間質性肺炎、網膜炎、肝炎などと関連がある。(○)
Cツツガムシ病にアンピシリン系抗生物質が有効である。(×)
D単純ヘルペスウイルス感染症にアシクロビルが有用である。(○)
E伝染性単核症では、EBウイルス感染細胞に対するCD8陽性細胞障害性T細胞が著しく増加している。(○)
F伝染性単核症患者に細菌感染症の合併予防目的でアンピシリンの投与が推奨されている。(×)
Gヒトヘルペスウイルス6は突発性発疹の病原体である。(○)
Hエンテロウイルス70は急性出血性結膜炎を来す。(○)
Iコクサッキーウイルスは手足口病と関連がある。(○)
(解説)
@酵素免疫測定法(EIS)の一つの優位点は、IgGとIgMを分離して測定できることである。
AHIとは、赤血球凝集抑制反応のこと。HI抗体価は長く持続する(たとえば風疹で生涯免疫がある場合は8倍以上の価の持続)ので既感染も調べられる。
B免疫抑制状態にある患者で起こる。他にHIV患者の日和見感染など。
Cツツガムシ病にはテトラサイクリン系が第一選択。
E○伝染性単核症では異型リンパ球(CD8+T細胞)の出現が特徴的。
F細菌合併症が考えられる場合はエリスロマイシン、ミノマイシンを用いる。ABPC(アンピシリン)は皮疹を生じさせるため禁忌。
I○ コクサッキーA群による。

2枚目 ウイルス感染症総論、輸入感染症 担当:林純
以下の設問について、回答群より選びなさい。
回答群[a.(ア)のみ正しい  b.(エ)のみ正しい  c.(ア)(イ)(ウ)が正しい  d.全て正しい  e.全て誤っている]
1.コレラについて、正しい記述の組合せを選びなさい。
(ア)米のとぎ汁様便
(イ)潜伏期は1週間である。
(ウ)高熱をきたす。
(エ)腹痛が著明である。
(解答)a
(解説)
(ア)○ 特徴的臨床症状。
(イ)× 1〜3日。
(ウ)× 発熱はない。
(エ)× 腹痛もない。

2.ペストについて、正しい記述の組合せを選びなさい。
(ア)潜伏期は5日。
(イ)ダニによって媒介される。
(ウ)ペストでは、空気感染もある。
(エ)ペスト菌は、グラム陰性菌である。
(解答)?
(解説)
(ア)○ 5日が最も多い。短いもの1日、長いもの9日の報告例もある。
(イ)× 媒介はノミによる。
(ウ)× 感染動物(ネズミなど)との接触、感染動物を吸血したノミに刺されることで感染。ただし、肺ペストではリンパ系からの血行感染と肺ペスト患者よりの飛沫感染により感染する。
(エ)○ グラム陰性桿菌。

3.マラリアについて、正しい記述の組合せを選びなさい。
(ア)熱帯熱マラリアでは、悪寒・戦慄は激しくない。
(イ)熱帯熱マラリアの赤血球感染率は10〜40%もある。
(ウ)メスのハマダラカの媒介により感染する。
(エ)四日熱マラリアは感染後72時間以内に発症する。
(解答)c
(解説)
(ア)○ 戦慄はない。
(イ)○ 選択肢より。
(ウ)○
(エ)× 潜伏期間は約3週間。

4.インフルエンザについて、正しい記述の組合せを選びなさい。
(ア)インフルエンザはA,B,C,D,E型がある。
(イ)潜伏期は2週間である。
(ウ)インフルエンザC型に抗原変異が著明である。
(エ)reservoirはカモ(水禽類)と考えられている。
(解答)?
(解説)
(ア)× A、B、C型。
(イ)× 1〜5日。
(ウ)× 最も変異しにくい。
(エ)?

5.クリミア・コンゴ出血熱について、正しい記述の組合せを選びなさい。
(ア)マダニにより媒介される。
(イ)感染者のうち約20%が発症する。
(ウ)ダニの活動期の春に流行する。
(エ)病原菌はナイロウイルスである。
(解答)d
(解説)
(ア)○ その通り。
(イ)○ 選択肢より。
(ウ)○ 選択肢より。
(エ)○ その通り。

6.デング出血熱について、正しい記述の組合せを選びなさい。
(ア)フィロウイルスによる感染症である。
(イ)コガタアカイエカから感染する。
(ウ)ヒトからヒトの感染もある。
(エ)デング・ショック症候群ではヘマトクリットの低下がみられる。
(解答)e
(解説)
(ア)× フラビウイルスによる。
(イ)× ネッタイシマカから感染。
(ウ)× ヒトからヒトへの感染はない。
(エ)× ヘマトクリット値は上昇。

7.輸入感染症について、正しい記述の組合せを選びなさい。
(ア)熱帯熱マラリアは隔日で発熱する。
(イ)エボラ出血熱の致命率は低い。
(ウ)ペストでは色素変化を起こすため、黒死病とよばれる。
(エ)ラッサ熱は草原の地域に多くみられる。
(解答)b
(解説)
(ア)× 熱帯熱マラリアは発熱の間隔が一定しない(36〜48時間毎)。
(イ)× 高い。
(ウ)× 黒いのは出血性壊死病変による。
(エ)○

8.SARSについて、正しい記述の組合せを選びなさい。
(ア)死亡率は約10%である。
(イ)院内感染によって感染が拡大した。
(ウ)原因はコロナウイルスである。
(エ)感染防止のため飛沫・空気感染の対策を行えばよい。
(解答)c
(解説)
(ア)○ プリントには14〜15%とあるが、選択肢より。
(イ)○
(ウ)○ その通り。
(エ)×?接触感染もある。

9.HTLV−1について、正しい記述の組合せを選びなさい。
(ア)HTLV−1の感染様式としては細胞間感染である。
(イ)全てのリンパ性白血病の原因ウイルスである。
(ウ)東北日本が高浸淫地区である。
(エ)CD8陽性細胞に感染する。
(解答)e
(解説)
(ア)× 母乳感染、輸血、性交。
(イ)×
(ウ)× 西南部が中心。
(エ)× CD4陽性細胞に感染。

10.持続感染症について、正しい記述の組合せを選びなさい。
(ア)EBVは血液により感染する。
(イ)胆管細胞癌の大部分はHBV及びHCVの持続感染者から発生する。
(ウ)胃・十二指腸潰瘍は感染症と考えられない。
(エ)Burkitt腫、上咽頭癌はHIVと関連ある。
(解答)e
(解説)
(ア)× 一般に唾液を介して感染。輸血や移植では感染は稀。
(イ)× HCCの話。
(ウ)× ヘリコバクターピロリと関係が深い。
(エ)× EBウイルスと関連。

3枚目 細菌・真菌感染症 担当:下野信行
1)身体各部位の常在菌叢について知るところを述べなさい。(5)
(解答)
人体各部位には、それ自体には病原性を持たない常在菌が存在している。これら常在細菌叢の例を以下に述べる。皮膚にはブドウ球菌が、口腔・咽頭にもブドウ球菌の他、連鎖球菌やナイセリアなどが存在する。大腸には大腸菌、球腸菌、乳酸桿菌などが存在する。

2)院内でよく遭遇する菌の例を3つ挙げて、特徴を中心に述べなさい。(5)
(解答)
MRSA
メチシリンをはじめとする多くのβラクタム剤やその他の抗菌薬に耐性となったブドウ球菌のことである。院内感染の原因菌として重要で、これはβラクタム剤などの使用により耐性が誘導されたものと考えられる。バンコマイシンが有効と考えられてきたが、現在ではバンコマイシンに対しても耐性を有する株が報告されている。
VRE
バンコマイシン耐性腸球菌のこと。MRSAに対して有効なバンコマイシンさえ効かない腸球菌株で、現在使用可能な有効抗菌薬がない。
緑膿菌
元来、人体に対して弱毒であるが病院という特殊空間ではその感染症発生は多く見られる。その理由に日和見感染があり、これはこのように健康時には感染しない原因微生物に、宿免疫機能低下時に感染を来したものである。院内感染としては頻度が高い。中でもこの緑膿菌は薬剤耐性株も見つかっており、今後さらに頻度が高くなる可能性がある。

3)深在性真菌症の中でカンジダ血症も増加しつつある。どのような疾患、病態でどのような治療や処置をした時にカンジダ血症を疑うのか、またどのような検査を行うべきか知るところを述べなさい。(5)
(解答)
カンジダは一般には日和見感染症である。カンジダ血症は発熱や発疹のほかにDICを合併する可能性がある。ステロイド、IVH、抗生物質等が誘引となると考えられており、合併症として生じる眼内炎に注意が必要である。症状として飛蚊症、霧視などがあるので、これらの症状を見逃さないことが早期発見につながると考えられる。検査としては生検の他、血清中に抗原を認めればよい。

4)以下の文章で正しいものには○、誤りには×をつけなさい。(15)
(○)感染症の成り立ちには病原体、宿主、感染経路が重要であり、感染経路には空気感染、接触感染などがある。
(×)発熱患者の中では感染症の占める比率が最も多いので、発熱したら検査より先にまず抗生物質の投与を行うべきである。
(×)黄色ブドウ球菌感染症では、抗生物質に耐性であるMRSAが問題であり、保菌者であればすぐに治療を行うべきである。
(○)腸球菌は腸管内の常在菌の一つであるが、日和見感染症として、菌血症や心内膜炎などの重症感染症を引き起こすことがある。
(?)髄膜炎菌による髄膜炎を疑う場合には採取した髄液は冷蔵して検査室に提出しなければならない。
(○)腸管出血性大腸菌は旅行者下痢症の原因菌として知られ、赤痢様の症状を呈する。
(○)腸チフスの症状として悪寒、発熱、比較的徐脈、下痢などがあるが、好酸球が消失するのも特徴である。
(○)コレラは水様性下痢と嘔吐、それに伴う脱水が主症状であり、抗生物質は必ずしも必要ない。
(○)Helicobacter pyloriはヒトの胃粘膜から分離され、胃・十二指腸潰瘍や胃癌の発症に関連すると考えられている。
(○)レジオネラ菌はクーリングタワーの水の中で増殖し、主として空気感染する。
(×)三日熱マラリアはマラリアの中でも重篤で、ヘモグロビン尿などの症状を呈する。
(○)アスペルギルスは呼吸器感染を起こしやすく、肺に空洞を形成しやすいのが治療上問題である。
(○)Pneumocystis cariniiによる感染症は日和見感染症の一つで、急速に進行する呼吸困難、著明な低酸素血症、両側肺門から肺野に広がるスリガラス様陰影が特徴とされる。
(○)クリプトスポリジウムは塩素に対して抵抗性で、上水施設に感染しやすいためにアウトブレイクを起こすことがある。
(×)サルモネラによる食中毒は、海産物が原因であることが多い。→卵。

4枚目 神経病理学:岩城徹
1.孤発性クロイッフェルト・ヤコブ病の画像所見として正しいものはどれか。
(a)発症時には脳の高度な萎縮はみられない
(b)長期生存した症例ほど、脳萎縮が軽い
(c)脳梗塞を合併することが多い
(d)大脳の萎縮は左右差が著しい
(e)MRIの拡散強調画像で大脳皮質や線条体に高信号領域をみとめる
1(a)(b)、 2(a)(e)、 3(b)(c)、 4(c)(d)、 5(d)(e)
(解答)?
(解説)
(a)?
(b)?
(c)×
(d)?
(e)○ 基底核にも高信号が認められることが多い。

2.変異型クロイツフェルト・ヤコブ病について正しいものはどれか。
(a)高齢者に好発する
(b)ミオクローヌスや舞踏運動などの不随運動で発症する
(c)脳波で周期性同期性放電がみられる
(d)MRIの拡散強調画像で両側の視床枕に高信号領域をみとめる
(e)虫垂や扁桃などの末梢リンパ組織に異常プリオン蛋白が蓄積する
1(a)(b)、 2(a)(e)、 3(b)(c)、 4(c)(d)、 5(d)(e)
(解答)5
(解説)
(a)× 若年者に多い。
(b)× 症状としてはあるが、発症は精神障害、感覚障害。
(c)× 見られない。孤発性ではほぼ100%見られる。
(d)○
(e)○ 血液を介しての伝播の危険性がある。

3.プリオン(伝達性海綿状脳症の感染因子)として正しいものはどれか。
(a)ホルマリン液で失活する
(b)潜伏期間は感染力価の影響を受けない
(c)ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)による煮沸が不活性化に有効である
(d)通常のオートクレーブでは失活しない
(e)紫外線照射で失活する
1(a)(b)、 2(a)(e)、 3(b)(c)、 4(c)(d)、 5(d)(e)
(解答)3
(解説)
(a)× ホルマリン固定は無効。
(b)○ 選択肢より。
(c)○
(d)× 132℃、1時間で失活。
(e)× UV照射は無効。

4.孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病について正しいものはどれか。
1 有病率が牛海綿状脳症の多発地帯で高い
2 平均発症年齢は約20歳である
3 脳に老人斑が多数みられる
4 マウスに接種することにより病気を伝達させることが可能である
5 大脳皮質に比べて海馬の萎縮が高度である
(解答)4
(解説)
1 × BSEと関連があるのは変異型。孤発性は原因不明。
2 × 高齢者に多い。平均63才。
3 × 老人斑はアルツハイマー。
4 ○ 1968年、GibbsによるCJDの実験的伝播。
5 × 大脳の進行性萎縮が特徴。

5.ヒトの感染性プリオン病の原因となったものはどれか。
(a)スクレイピーに罹患した羊の肉
(b)角膜移植
(c)脳外科手術におけるヒト乾燥硬膜の移植
(d)組換え遺伝子技術により作製された成長ホルモン
(e)腎臓移植
1(a)(b)、 2(a)(e)、 3(b)(c)、 4(c)(d)、 5(d)(e)
(解答)?
(解説)
(a)× 直接ヒトには感染しない。
(b)?
(c)○
(d)?
(e)?

6.病名とその主な病変部位の組み合わせとして正しいものはどれか。
(a)単純ヘルペス脳炎−小脳
(b)ポリオ−脊髄前角
(c)牛海綿状脳症−延髄
(d)HIV脳症−大脳皮質
(e)脊髄癆−脊髄前根
1(a)(b)、 2(a)(e)、 3(b)(c)、 4(c)(d)、 5(d)(e)
(解答)3
(解説)
(a)× 側頭葉と前頭葉底面の壊死。
(b)○ 脊髄前角細胞や脳幹の運動神経ニューロンに感染し、これらを破壊。
(c)○ BSE罹患牛の延髄では、神経細胞及び周囲の神経網に空胞が見られる。
(d)× 選択肢から。
(e)× 後根神経節。

7.正しいものはどれか。
(a)プリオン蛋白のノックアウトマウスはプリオン病を発症しない
(b)Kuruは食人の儀式によって広がった風土病である
(c)日本では羊のスクレイピーの発症はない
(d)変異型クロイツフェルト・ヤコブ病のアミロイド斑はベータ蛋白質からなる
(e)英国における牛海綿状脳症は撲滅された
1(a)(b)、 2(a)(e)、 3(b)(c)、 4(c)(d)、 5(d)(e)
(解答)1
(解説)
(a)○ 完全ノックアウトマウスは感染材料を接種しても発症しない。
(b)○
(c)× 日本では昭和59年に北海道で初めて発生
(d)×
(e)× それはないでしょう。

8.正しいものはどれか。
(a)クリプトコッカス症は肺についで中枢神経系に多い
(b)ムコール症は糖尿病性ケトアシドーシス患者に生じやすい
(c)ヒト免疫不全ウイルスは脳に侵入しない
(d)進行性多巣性白質脳症は麻疹ウイルスによる
(e)成人T細胞性白血病ウイルスによるミエロパチーではウイルス抗体価は低い
1(a)(b)、 2(a)(e)、 3(b)(c)、 4(c)(d)、 5(d)(e)
(解答)1
(解説)
(a)○ クリプトコッカス性髄膜炎を引き起こす。
(b)○ 典型的な日和見感染症なので免疫低下状態にある本患者には生じやすいはず。
(c)× HIV脳症。
(d)× JCウイルス。
(e)× 患者脳脊髄液および血清中からしばしば高値のHTLV-1抗体が検出される。

5枚目
9.正しいものはどれか。
(a)進行麻痺はウイルス感染症である
(b)ゴム腫は梅毒トレポネーマ感染症である
(c)癩菌はZiel-Neelsen法にて赤く染色される
(d)結核菌は乾燥に弱い
(e)単純ヘルペス脳炎の好発部位は小脳である
1(a)(b)、 2(a)(e)、 3(b)(c)、 4(c)(d)、 5(d)(e)
(解答)3
(解説)
(a)× 梅毒トレポネーマ(スピロヘータ)感染症である。
(b)○
(c)○ 抗酸菌は赤色に、それ以外の細胞や一般細菌は青色に染まる。らい菌は抗酸菌。
(d)× 乾燥に対する抵抗性は非常に強い。
(e)× 側頭葉&前頭葉。

10.ウエストナイルウイルスについて正しいものはどれか。
(a)アメリカ合衆国で多くの患者が発生している
(b)主に蚊により媒介される
(c)ウイルス系統樹では日本脳炎ウイルスより黄熱ウイルスに近い
(d)カラスは感染しても発症しない
(e)患者は筋力低下を示すことは稀である
1(a)(b)、 2(a)(e)、 3(b)(c)、 4(c)(d)、 5(d)(e)
(解答)1
(解説)
(a)○
(b)○
(c)× 日本脳炎ウイルスに近いというのは有名。
(d)× 選択肢から。
(e)× 選択肢から。

中毒 槇田先生
A群の各項目と関係の深いものをB群より選び、その記号を解答欄に記せ。(重複使用は不可)
A群
1)トリアージ
2)ルイサイト
3)ホスゲン
4)エミット
5)カドミウム
6)トキシラボ
7)ヒ素
8)サリン
9)PAM
10)シアン化合物
B群
ア)クロマトグラフィ法
イ)血液剤
ウ)イタイイタイ病
エ)神経剤
オ)びらん剤
カ)ボーエン病
キ)窒息剤
ク)イムノアッセイ法
ケ)集団中毒
コ)コリンエステラーゼ
(解答)1―ケ、2―オ、3―キ、4―ク、5―ウ、6―ア、7―カ、8―エ、9―コ、10―イ

6枚目 担当:総合診療部 鍋島茂樹
1) 関係が深いと思われるものを線で結べ。
※注 線で結ぶのはパソコン上では難しいのでそれぞれ記号を付けて選ぶようにしました。
1)コンソリデーション
2)間質影
3)肺癌
4)心とのシルエットサイン陽性
5)成人型肺結核症
ア)舌区
イ)結節影
ウ)肺尖
エ)線状網状影
オ)ARDS
(解答)1―エ、2―オ、3―イ、4―ア、5―ウ

2)( )内の適切な語句を1つ○でかこめ。
代表的な市中肺炎の原因菌として(肺炎球菌・溶連菌・緑膿菌)があげられる。また、最近は(肺炎クラミジア・嫌気性菌・結核菌)などによる非定型肺炎が増加しており注意が必要である。肺炎の抗生剤治療を開始するにあたり最も重要なことは(喀痰グラム染色・喀痰培養・CRP)である。院内肺炎は何らかの基礎疾患をもった入院患者が罹患する肺炎であり、原因菌として(グラム陰性桿菌・グラム陽性桿菌)が多く(抗菌薬耐性・消毒剤耐性)を認めることが多い。
(解答)順に、肺炎球菌、肺炎クラミジア、喀痰グラム染色、グラム陰性桿菌、抗菌薬耐性

3)53歳の男性。基礎疾患は糖尿病。5日前より咳嗽・喀痰(膿性)があり、2日前より38℃以上の熱がある。来院時体温39.8℃、呼吸数22回/分、脈拍96/分、胸部レントゲンで右下葉全体に浸潤影がある。パルスオキシメータでSpO2は92%である。次の問に答えよ
・重症度分類(呼吸器病学会ガイドライン)で当てはまるものを○でかこめ。
軽症、中等症、重症
(解答)中等症
(解説)以下を参照。
肺炎の重症度分類(胸部X線及び身体所見による判定)

判定項目 軽 症 重 症
5項目中3項目以上に該当 5項目中3項目以上に該当
胸部X線像の陰影の広がり 1側肺の1/3まで 1側肺の2/3まで
体温 <37.5℃ ≧38.6℃
脈拍 <100/分 ≧130/分
呼吸数 <20/分 ≧30/分
脱水 (−) (+)

注1)チアノーゼ、意識レベルの低下、ショック状態の症例は上記とは関係なく重症とする。
注2)軽症と重症のいずれにも該当しないものを中等症とする。
(日本呼吸器学会「呼吸器感染症に関するガイドライン」2000より一部改変)

・喀疾グラム染色で肺炎球菌が考えられた。初期治療として適当なものの番号を○でかこめ。
1.入院してもらいペニシリン系またはカルバペネム系抗生剤を投与する。
2.外来で3日間毎日第3世代セフェムを点滴静注する。
3.外来で去疾剤を投与し、改善がなかったら来院してもらう。
4.入院してもらい、アミノ配糖体系抗生剤を投与する。
(解答)2
(解説)
まず3はないと思われる。「肺炎球菌性肺炎はペニシリンGが第一選択薬であり、エリスロマイシンも有効。さらに第T、U世代セフェムも選択となる。」という記述(year note I-45)から4もないだろう。重症でないので入院の必要もないかと。

中毒 担当:腎疾患治療部 平方秀樹
a)〜e)の記号のうち正しいものを答えよ。
【1】小児が誤飲したとき、胃洗浄の適応となるものはどれか。
1.たばこ  2.灯油  3.ろうそく  4.体温計の水銀  5.中性洗剤
a)1,2  b)1,5  c)2,3  d)3,4  e)4,5
(解答)b)
(解説)
1.○ 重症例では催吐・胃洗浄(摂取後1時間以内)。
2.× 石油類は表面張力が極めて低く、嘔吐によって誤嚥する危険性。催吐禁忌。
4.× 消化管から吸収されない。2〜3日後には便中に排泄。

【2】中毒と解毒剤の組合せで正しいのはどれか。
1.青酸中毒−亜硝酸・チオ硫酸
2.アスピリン−Nアセチルシスティン
3.バルビツール酸系睡眠薬中毒−フルマゼニル
4.有機リン中毒−PAM
5.ヒ素中毒−BAL
a)1,2,3  b)1,2,5  c)1,4,5  d)2,3,4  e)3,4,5
(解答)c)
(解説)
1.○
2.× 特異的拮抗薬はない。
3.× フルマゼニルはベンゾジアゼピン系睡眠薬の特異的拮抗薬。
4.○ アトロピンも。
5.○ 水銀、ヒ素、クロムに。

7枚目 小児科
注:病原体名、病名は、日本語、英語どちらでも可。ただし、略号は不可。
問1.次の( )に入る適切な語句を解答欄に記入せよ。同じ番号が複数ある場合があるので注意すること。
a)生後3か月以上の小児の細菌性髄膜炎では、初期治療として抗生物質に(1. )を併用するのが一般的である。これは中枢神経系に放出された(2. )類の作用を抑制して神経細胞の障害を最小限にとどめるためである。特に乳幼児期の起炎菌として最も頻度が高いグラム陰性桿菌である(3. )による髄膜炎では(4. )の発生を有意に抑えることが明らかにされている。
b)細菌性髄膜炎の主な後遺症は、精神運動発達遅滞、(4)、(5. )である。
c)わが国で無菌性髄膜炎の病原ウイルスとして頻度が最も高いのは、エンテロウイルス属と(6. )ウイルスである。
d)(7. )ウイルスの胎内感染によっておこる先天性(7)症候群の主要徴候は(4)、(8. )、白内障である。本症候群における遅発性の障害として(9. )や亜急性硬化性全脳炎様の脳障害が知られている。
e)伝染性紅斑の病原ウイルスは(10. )である。(10)は、(11. )球系の前駆細胞に好んで感染して破壊するため、ウイルス血症の時期には、骨髄中のこれらの細胞が激減する。本ウイルスの胎内感染で最もよくみられる異常は(12. )である。
f)(13. )感染症は自然治癒傾向を持つ発疹症であるが、的確な治療が行われなければ急性糸球体腎炎や(14. )などの臓器合併症を併発することがあり、注意が必要である。本症の治療には通常(15. )が用いられる。
g)中枢神経合併症として特に小脳炎をおこしやすい発疹症は、(16. )である。
h)Chlamydia trachomatis肺炎に特徴的な一般検査所見として、末梢血における(17. )球増多と免疫グロブリン高値がある。治療には(18. )系抗菌薬が用いられる。
i)(19. )は、気道感染症の中で吸気性呼吸障害、嗄声、犬吠様咳嗽をきたす(20. )の主要な原因ウイルスであり、また、(21. )に次いで細気管支炎の原因としても重要である。(20)に対しては、(22. )の吸入による治療が行われる。
j)(23. )の罹患者は三種混合(DPT)ワクチン未接種の児が大半をしめるが、特に乳児では特有の咳を認めずにいきなり無呼吸をきたすことがある。
k)伝染性単核症の原因である(24. )ウイルス、咽頭結膜熱の原因である(25. )ウイルス、(13)などは急性扁桃炎を引き起こし、扁桃に滲出物や偽膜を伴うことが多い。
l)小児のインフルエンザ罹患時に使用可能な解熱剤は(26. )のみである。
m)年長児の肺炎の中で最も頻度が高いのは(27. )肺炎で、(18)系抗菌薬が有効である。
n)Salmonella Enteritidisによる胃腸炎の原因食品として最も多いものが(28. )であるが、乳幼児では全身感染を引き起こすこともある。
o)腸管出血性大腸菌感染症の小児の6〜7%に出現する合併症に(29. )があり、重症例では輸血や透析療法が必要となることがある。一部は脳症に進展する。
p)(30. )ウイルス感染症は主に冬季に流行し、白色調の下痢、嘔吐、発熱などをきたす。一般に乳幼児ほど症状が強い。
(解答)1.?、2.?、3.インフルエンザ菌、4.難聴、5.?、6.ムンプス、7.風疹、8.先天性心奇形、9.進行性多巣性白質脳症?、10.ヒトパルボウイルス(parvo virus B-19)、11.赤芽、12.胎児水腫、13.A群溶連菌、14.リウマチ熱、15.ペニシリン系抗生剤、16.水痘、17.好酸、18.テトラサイクリン、19.パラインフルエンザウイルス、20.急性咽頭蓋炎、21.RSウイルス、22.エピネフリン、23.百日咳、24.EBウイルス(Epstein―Barrウイルス)、25.アデノウイルス、26.オセルタミビル、27.マイコプラズマ、28.マクロライド、29.溶血性尿毒症症候群(HUS)、30.ロタ

問2.一次性脳炎と二次性脳炎を説明し、原因となる病原体をそれぞれ1つずつ挙げよ。
一次性脳炎
説明:
病原体(   )

二次性脳炎
説明:
病原体(   )

問3.ウイルスの胎内感染が疑われる新生児におけるウイルス特異的IgG抗体およびIgM抗体の意義をそれぞれ述べよ。
特異的IgG:IgGは母体から胎児へと移行する。母体由来のIgGは半年ほど新生児体内に存在するので、母体が終生免疫を獲得している感染症に関しては新生児も母体由来IgGが存在する限りは免疫を持っていることになる。
特異的IgM:IgMは胎盤を通過しない。臍帯血でIgM値が高いとき、新生児に先天性の感染症が疑われる。

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