心身医学 平成16年度概説試験

平成16年7月2日実施(120分)
問題はA4で7枚。(両面で13ページ)解答用紙がA4、1枚。
入手した原本をデータ化。
102人受験、全員合格。

1.総論(10点)
(1)心身医学の成立背景について5つあげよ。
<参照>心身症の概念と診断(久保先生)のプリント
<解答>
・ 人間の心や行動に対する理解
・ 精神生理学の進歩
・ 身体偏重、器官重視の医学に対する批判・反省
・ 疾病構造の変化
・ ストレス耐性の低下

(2)さまざまな心理療法があるが、心理療法の効果の機序について5つあげよ。
<参照>心身症の治療とまとめ(久保先生)のプリント、H15概説大問2
<解答>
 治療者・患者の関係の質、 情緒的緊張の解放、 認知的洞察の獲得、 オペラント条件付け
 治療者との同一化、暗示と説得、新たな行動・思考パターンのリハーサルと反復

2.基礎心身医学(10点)
(1)ストレスによる身体反応でみられるものはどれか。
@副腎皮質の肥大
A胃・十二指腸潰瘍の発生
B胸腺の腫脹
Cリンパ節の腫脹
a@A,b@C,cAB,dBC
<参照>心身症の概念と診断(久保先生)のプリント、H15卒試1−1)(類)
<解答>a
セリエの三徴は、胸腺の萎縮・副腎の肥大・胃の出血性病変。

(2)Cannon,W.の緊急反応でみられる症状はどれか。
@血圧の低下
A心拍出量の増加
B胃腸運動の低下
C消化液分泌の亢進
a@A,b@C,cAB,dBC
<参照>心身症の概念と診断(久保先生)のプリント、H15卒試1−2)(類)
<解答>c
キャノンは、ネコをイヌに対峙させたときの血液に腸管の運動を抑制する物質が含まれていることを実験で確かめた(ノルアドレナリンの分泌の状態を見た)。緊急反応で見られる症状とは、交感神経刺激による症状。

(3)イヌにブザーの音のみを聞かせても通常は唾液の分泌は生じない。しかしブザーのすぐ後に餌を与えるようにすることを繰り返すと、やがてブザーの音のみで唾液を分泌するようになる。このことについて正しいのはどれか。
@餌で唾液が出るのが条件反射である。
Aブザーの音で唾液が出るのが無条件反射である。
Bブザーの音は条件刺激である。
Cこの一連の過程が条件づけと呼ばれる。
a@A,b@C,cAB,dBC
<参照>H15卒試1−3)
<解答>心身症の概念と診断(久保先生)のプリント、d
餌を見て唾液が出るのは生来の反応で「無条件反射」、ブザーの音の後に餌を与えるという行為を繰り返した結果、ブザーの音を聞かせただけで唾液が出るようになった場合、これを「条件反射」という。

(4)セリエの汎適応症候群(general adaptation syndrome)でみられる状態の順序で正しいのはどれか
a抵抗期−ショック相−反ショック相−疲はい期
bショック相−反ショック相−抵抗期−疲はい期
c抵抗期−反ショック相−ショック期−疲はい期
dショック相−反ショック相−疲はい期−抵抗期
<参照>心身症の概念と診断(久保先生)のプリント、H15卒試1−9)
<解答>b

(5)心理的ストレスによる心身の反応について誤っているのはどれか。
a下垂体前葉からの刺激により副腎皮質ホルモンの分泌が増加する
b交感神経の緊張は副腎髄質からのアドレナリン分泌を促進する
cうつ状態は自律神経機能異常を伴うことが多い
d心理的ストレスにより胃粘膜の血流は増加する
<参照>心身症の概念と診断(久保先生)のプリント
<解答>d(減少する→これが胃・十二指腸潰瘍の原因となる)

(6)ベンゾジアゼピン系の睡眠薬について正しいのはどれか。
@身体依存は起こすが精神依存は起こさない。
A長時間の使用で痴呆になる。
B薬物を急激に中止して出現する反跳不眠は長時間作用型より短時間作用型のものでみられる。
C作用発現が早く持続の短いものは熟眠障害より入眠障害の治療に適している。
a@A,b@C,cAB,dBC
<参照>H15卒試1−4)(類)
<解答>@BC?

(7)抗うつ薬について正しいのはどれか。
@副作用として抗コリン作用がある。
A効果発現までに2週間かかる。
B新しい抗うつ薬としてSMRIがある。
C三環系抗うつ薬はSSRIと比べ副作用が少ない。
a@A,b@C,cAB,dBC
<参照>心身症の概念と診断(久保先生)のプリント
<解答>a
BSSRI(selective serotonin reuptake inhibitor)とSNRI(serotonin noradrenaline reuptake inhibitor)
CSSRIのほうが副作用は少ない

(8)三環系抗うつ薬でよくみられる副作用はどれか。
@腹痛  A口渇  B排尿困難  C呼吸困難
a@A,b@C,cAB,dBC
<参照>心身症の概念と診断(久保先生)のプリント、H15卒試1−7)
<解答>c(抗コリン作用)

(9)ベンゾジアゼピン系抗不安薬の副作用で正しいのはどれか
@遅発性ジスキネジア  A健忘  B眠気  C錐体外路症状
a@A,b@C,cAB,dBC
<参照>心身症の概念と診断(久保先生)のプリント、H15卒試1−8)
<解答>c
睡眠薬なので眠気は当然ですが、前向健忘や身体依存も起こす。

(10)タイプA行動について適切な文章はどれか。
@心筋梗塞や心筋症の危険因子である。
A遺伝や素因に基づくため修正不能である。
B交感神経機能が亢進した状態になりやすい。
C精力的、競争的、野心的である。
a@A,bAB,cBC,d@C
<参照>循環器系の心身症(稲光先生)のプリント、H15概説2−1)、H15卒試11−1)(類)
<解答>c
@冠動脈疾患の危険因子で心筋症との関連は明らかでない。
A行動療法により修正は可能。

3.内分泌・糖尿病(10点)
(1)神経性食欲不振症制限型でしばしばみられる症状について述べた。正しい解答を選べ。
@過活動  A下剤乱用  B耳下腺腫脹  C産毛密生
a@A,bAB,cBC,d@B,e@C
<参照>摂食障害の病態・診断・治療(野崎先生)のプリント、H15概説5−1)(類)
<解答>e
A制限型よりもむちゃ食い・排泄型に見られる。

(2)DSM−Wによる神経性食欲不振症の診断基準について述べた。正しい解答を選べ。
@30歳以下  A20%以上のやせ  B食行動異常の存在  Cやせ願望が認められる
a@のみ正しい,bAのみ正しい,cBのみ正しい,dすべて誤り,eすべて正しい。
<参照>摂食障害の病態・診断・治療(野崎先生)のプリント、H15概説5−2)(類)
<解答>e
@、Aはむしろ厚生労働省の診断基準だと思うのですが、B、Cが確実に○なので。
ちなみに、厚生労働省の診断基準は@、A、Bに加えて体重や体型についての歪んだ認識、無月経(女性)、ほかの器質的疾患の除外、をあげています。
また、DSM−Wによる診断基準は、Bと15%以上のやせ、肥満恐怖、体重や体型についての歪んだ認識、無月経(女性)をあげています。

(3)神経性食欲不振症の検査所見について述べた。正しい解答を選べ。
@血清コレステロール値はしばしば低値を示す。  A制限型では低カリウム血症をしばしば認める。
Bコルチゾールはしばしば高値を示す。  C白血球数はしばしば低値である。
a@A,bAB,cBC,d@B,eAC
<参照>摂食障害の病態・診断・治療(野崎先生)のプリント、H15概説5−3)(類)
<解答>c
@血清コレステロール値は上昇する。
A利尿剤を乱用した場合には見られることがある。

(4)摂食関連物質について述べた。正しい解答を選べ。
@LeptinもニューロペプチドYも摂食抑制物質である。  AOrexinもCCKも摂食促進物質である。
BGhrelinもCRHも摂食抑制物質である。  C神経性食欲不振症ではLeptinは高値である。
a@Aのみ正しい,bABのみ正しい,cBCのみ正しい,d@のみ誤り,eすべて誤り
<参照>摂食障害の病態・診断・治療(野崎先生)のプリント、H15概説5−4)(類)、H14概説5−4)(類)
<解答>e
摂食抑制物質(神経性食欲不振症では低値):CCK、Leptin
摂食亢進物質(神経性食欲不振症では高値):Orexin、Ghrelin、ニューロペプチドY

(5)神経性食欲不振症の治療について正しい組み合わせはどれか。
@入院治療では通常目標体重を決める。
A経鼻経管栄養は望ましくない。
B著しい低体重(BMI<12)では中心静脈栄養(IVH)が必須である。
C患者が退院を希望すれば外来治療に移行するのがよい。
a@のみ正しい,b@A,c@B,d@C,eCのみ誤り
<参照>摂食障害の病態・診断・治療(野崎先生)のプリント
<解答>a
A摂取で足りない分を補うために行う。「これを避けるために摂食する」というのも動機付けの1つになる。
B神経性食欲不振症ではIVHは滅多にしない。
C入院治療が原則。

(6)糖尿病・代謝系の心身症について正しい組み合わせを選べ。
a.若い1型糖尿病患者の場合、血糖コントロールを大切と思っているので、過食をする人は普通人に比べて少ない。
b.糖尿病の治療経過に、個々の患者の性格が強く影響する。
c.糖尿病患者に対する、就職や結婚の差別はない。
d.患者と治療者の間で、同意できる治療目標を確立することが、糖尿病治療において重要である。
1(a,b) 2(b,c) 3(c,d) 4(a,d) 5(a,c) 6(b,d)
<参照>以下(10)まで:糖尿病・代謝系の心身症(瀧井先生)のプリントとH15概説6、H15卒試5
<解答>6

(7)糖尿病・代謝系の心身症について正しい組み合わせを選べ。
a.1型糖尿病の場合、インスリン注射をする以外に、食事療法や運動療法も2型糖尿病以上にしっかりやらなければならない。
b.糖尿病患者は、人生の他の仕事よりも、常に糖尿病治療を優先するべきである。
c.糖尿病合併症が出現した場合の患者の反応には、いろいろな種類がある。
d.糖尿病治療において、家族、友人、医療スタッフは重要な支援者である。
1(a,b) 2(b,c) 3(c,d) 4(a,d) 5(a,c) 6(b,d)
<解答>3
a:1型は遺伝的にインスリン産生がうまくいかない状態なので、インスリン注射さえ怠らなければ健常人とかわらない。

(8)糖尿病・代謝系の心身症について正しい組み合わせを選べ。
a.糖尿病は生活習慣病であり、糖尿病患者は他の人達よりも悪い生活習慣を持っていたから発症したと言える。
b.1型糖尿病の若い女性患者において、血糖コントロール不良の最も大きな要因の一つは摂食障害の合併である。
c.中年の男性の糖尿病治療を行う場合、患者の人生の社会的側面に対し特に配慮して、治療の仕方を考える必要がある。
d.糖尿病教育は、発症時にしっかり行っておけば、その後は必要のないものである。
1(a,b) 2(b,c) 3(c,d) 4(a,d) 5(a,c) 6(b,d)
<解答>2

(9)糖尿病・代謝系の心身症について正しい組み合わせを選べ。
a.過食を繰り返す糖尿病患者には、指示カロリーを少なくして食事制限の大切さを強調する必要がある。
b.患者が糖尿病を受け入れ良好なセルフケアをしていくためには、発症時において、糖尿病の恐ろしさにできるだけ直面させる必要がある。
c.1型糖尿病は、膵臓のランゲルハンス島のβ細胞の破壊により生じる。
d.食事制限は、糖尿病患者が感じるストレスの最も大きいものの一つである。
1(a,b) 2(b,c) 3(c,d) 4(a,d) 5(a,c) 6(b,d)
<解答>3

(10)糖尿病・代謝系の心身症について正しい組み合わせを選べ。
a.糖尿病であることで、患者はしばしば大きな引け目を感じるものである。
b.ストレスのかかる日常生活は、糖尿病患者が治療方針を守れない原因となる。
c.1型糖尿病も2型糖尿病も、食べ過ぎや運動不足が発症の主な原因である。
d.糖尿病の食事療法がうまく行くためには、発症後間もない時期に徹底した食事制限をして、少ないカロリーに慣れてもらうことが重要である。
1(a,b) 2(b,c) 3(c,d) 4(a,d) 5(a,c) 6(b,d)
<解答>1

4.アレルギー・呼吸器・免疫(10点)
(1)過換気症候群で正しいのはどれか。一つ選べ。
a過換気症候群を診断するときには過呼吸テストが大事である。
b過換気発作の時はPaO2の著明な上昇とpHの低下が認められる。
c過換気症候群は女性より男性の方が多い。
d発作の時は空気飢餓感や四肢の硬直が認められることが多い。
1(a,b)、2(b,c)、3(c,d)、4(d,a)
<参照>(5)まで「アレルギー・呼吸器系の心身症」(十川先生)授業プリント
(2)までH15概説7−1)、H14概説2−6)、7)、H15卒試3−9)、10)(類)
<解答>4
b:PaO2に著明な変化は見られず、むしろPaCO2の低下が顕著。これによりpHは上昇する。
c:女性が1.6〜2倍多い。

(2)過換気症候群で正しいのはどれか。一つ選べ。
@治療はまず酸素を投与することが大事である。
A治療として最近ではpaperbag rebreathing法はあまり行われなくなってきた。
B過換気症候群では発作時に脳血管が拡張し、拍動性の頭痛を伴うことが普通である。
C鑑別疾患としては低血糖、甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫などがある。
<解答>C
A安心感を与えることと共に重要。
B収縮して血流は低下する。これにより意識を失うことも。
C他にはてんかん、脳腫瘍、副甲状腺機能低下症など。

(3)神経性咳嗽について正しいのはどれか。一つ選べ。
@神経性咳嗽の特徴は湿性咳嗽である。
A神経性咳嗽の治療では鎮咳剤が非常に有効である。
B神経性咳嗽の鑑別ではcough variant asthmaは考えなくて良い。
C神経性咳嗽では心理社会的因子の負荷で症状が再現される。
<参照>H14概説2−8)(類)
<解答>C
@乾性咳嗽
A無効のことが多い。心理療法に効果がある。
B鑑別診断にあたって特に重要な疾患。

(4)気管支喘息を診断する上で重要な項目はどれか。
a胸部レントゲン撮影
b気道炎症の存在
c発作性の呼吸困難、喘鳴、咳
d気道過敏性の存在
e動脈血ガス分析の結果
1(a,b,c)、2(b,c,d)、3(c,d,e)、4(a,c,e)、5(a,d,e)
<参照>H15卒試3−3)
<解答>2
c:これが気管支喘息の三大症状。

(5)気管支喘息の治療のなかで正しいものはどれか。下記の( )の中から選べ。
a喘息薬物を大きく分けると気管支拡張剤と抗炎症剤に分かれる。
b吸入ステロイド剤は副作用が強くあまり用いられていない。
c最近の気道炎症論に基づき気管支拡張剤の使用が多くなった。
dピークフローメーターは持ち運びが大変なので、最近あまり用いられなくなった。
eピークフローメーターは自分の喘息状態の良い指標となるので、規則正しく測定することが望ましい。
1(a,b)、2(b,c)、3(c,d)、4(d,e)、5(e,a)
<参照>H15卒試3−1)(類)
<解答>5
a:気道の収縮に気管支拡張剤(β2刺激剤)、気道の炎症に抗炎症剤(吸入ステロイド)を用いる。
b:治療の主役。吸入では問題になる副作用は少ない。
c:炎症を抑える抗炎症剤(すなわち吸入ステロイド)が多くなった。

(6)ストレスと神経−免疫−内分泌系に関する次の記述のうち正しいものをあげよ
1.種々の心理社会的ストレスで免疫機能が影響される。
2.免疫系組織に分布している自律神経は副交感神経のみである。
3.脳の特定部位の刺激や破壊によって免疫機能は必ず亢進する。
4.インターロイキン3は発熱に深く関与している。
5.インターロイキン1には視床下部−下垂体−副腎軸を活性化させる作用がある。
a(1.2) b(2.3) c(3.4) d(4.5) e(1.5)
<参照>(10)まで「免疫系の心身医学」(須藤先生)授業プリント、H15概説16−6)
<解答>e
4:発熱に関与するのはIL−1、TNF、IFN−αなど。
5:発熱、摂食抑制にも関与している。

(7)ストレスと神経−免疫−内分泌系に関する次の記述のうち正しいものをあげよ
1.ストレス刺激は、主として副交感神経および視床下部−下垂体−副腎系を活性化させる。
2.ベルナールによって提唱されたホメオスタシス(生体恒常性維持)の概念は、セリエによってさらに発展し、汎適応症候群として集大成された。
3.身体的ストレスの方が心理的ストレスよりも免疫系に強く影響を与える
4.過労もストレスの原因になりうる。
5.神経系と免疫系は共通の情報伝達物質および受容体機構を持っている。
a(1.2) b(2.3) c(3.4) d(4.5) e(1.5)
<解答>d
1:副交感神経ではなく交感神経。
2:ベルナールの内部環境の概念を発展させ、キャノンがホメオスタシスを提唱。
3:選択肢より×。
5:サイトカインと総称。

(8)次のうち正しいものの組み合わせをあげよ
1.配偶者との死別−リンパ球幼若化反応の低下
2.喪失体験−口唇ヘルペス再発の増加
3.自然災害−NK細胞活性上昇
4.交感神経−グルココルチコイド
5.インターフェロン−食欲亢進
a(1.2) b(2.3) c(3.4) d(4.5) e(1.5)
<解答>a
1:T細胞の機能が低下する、とのことなので○でしょうか。
3:活性は低下する。
4:交感神経はカテコラミンを伝達物質とする。
5:逆に摂食抑制作用あり。

(9)次のうち正しいものの組み合わせをあげよ
1.内部環境−W.B.キャノン
2.火傷−物理・化学的ストレッサー
3.うつ病−NK細胞活性低下
4.インターロイキン5−視床下部−下垂体−副腎系の活性化
5.軸索反射−マクロファージ
a(1.2) b(2.3) c(3.4) d(4.5) e(1.5)
<解答>b
1:ベルナール。キャノンは緊急反応とホメオスタシス。
2:他に寒冷、騒音なども物理・化学的ストレッサー。
4:5ではなくIL−1。
5:よくわかりません。選択肢より×。

(10)次のうち正しいものの組み合わせをあげよ
1.細胞性免疫−NK細胞
2.肥満細胞−IgEレセプター
3.カテコラミン−Th1反応の増強
4.グルココルチコイド−Th1反応の増強
5.インターロイキン4−視床下部−下垂体−副腎系の活性化
a(1.2) b(2.3) c(3.4) d(4.5) e(1.5)
<解答>a
3、4に自信がありません。ただ1、2は間違いないと思うので…。
5:IL−1。

5.精神生理学的検査・神経筋肉系の心身症(10点)
(1)正しいものを選べ
1.自律神経検査法には、生理学的検査法、生化学的検査法、薬理学的検査法があり、形態学的検査法や放射線学的検査法は含まれない。
2.自律神経を介する反射には、内臓−内臓反射、体性−内臓反射、内臓−体性反射がある。
3.狭心痛は、内臓−体性反射である。
4.突然の痛覚刺激で脈拍や血圧が上がるのは、体性−内臓反射である。
5.排尿反射の求心路は下腹神経である。
(1)@AB (2)@CD (3)ABC (4)@BD (5)BCD
<参照>(10)まで「精神生理学的検査・神経筋肉系の心身症」(菅原先生)授業プリント
<解答>3
1:いずれも含まれる。
5:骨盤神経。

(2)圧受容器反射について正しいものを選べ
1.圧受容器反射の中枢は大脳皮質である。
2.血圧の変化は頸動脈や鎖骨下動脈にある圧受容器によって探知される。
3.圧受容器反射の求心路は、迷走神経と舌咽神経である。
4.圧受容器反射の遠心路には迷走神経が含まれる。
5.年齢とともに起立時の脈拍変動は小さくなる。
(1)@AB (2)@CD (3)ABC (4)@BD (5)BCD
<参照>H14概説3−3)
<解答>5
1:延髄
2:大動脈弓と頸動脈洞。求心路はそれぞれ迷走神経、舌咽神経。
4:心臓に作用する。交感神経は心臓、血管、副腎髄質に作用する。
5:受容器の感受性低下などが影響する。

(3)RSAについて正しいものを選べ
1.RSA(呼吸性洞性不整脈)は、生理的な現象である。
2.RSAは、呼吸をコントロールすることで随意的に変化させることができる。
3.CVRR(心電図RR間隔変動)は、主に副交感神経機能を表している。
4.加齢によりCVRRは大きくなる。
5.CVRRはアトロピンの投与によっても変化しない。
(1)@AB (2)@CD (3)ABC (4)@BD (5)BCD
<参照>H15概説10−2)、H14概説3−2)、H15卒試8−2)(類)
<解答>1
3:迷走神経の副交感神経成分。
4:小さくなる。RSAは主に学童期に見られる現象。
5:副交感神経系が遮断され、小さくなる。

(4)正しいものを選べ
1.自律神経系機能は生命維持に必要な生来的機能制御システムであり、学習によって随意的に調節することはできない。
2.BF(バイオフィードバック)は行動療法の領域に含まれない。
3.BFには、オペラント条件付けや認知的アプローチが含まれる。
4.「内部環境の恒常性」の概念はClaude Bernardによって提唱された。
5.「緊急反応」はWalter B.Cannonによって見出された。
(1)@AB (2)@CD (3)ABC (4)@BD (5)BCD
<解答>5
1:BFは「学習によって随意的に調節する」ことを狙ったものである。
5:大問2−2)も参照。

(5)正しいものを選べ
1.臨床BFには、EMG、ECG、EEGのみが含まれる。
2.臨床BFはリハビリテーションには応用されない。
3.Hans Selyeの主な業績には、全身適応症候群(general adaptation syndrome)の発見がある。
4.Edmond Jacobsonは漸進的弛緩法(progressive relaxation training)を開発した。
5.精神生理プロセスの自己学習にBFの手技が用いられることがある。
(1)@AB (2)@CD (3)ABC (4)@BD (5)BCD
<解答>5

(6)正しいものを選べ
1.痙性斜頸や書痙は局所性ジストニアに分類される。
2.局所性ジストニアの病態生理は筋緊張の異常であり中枢および末梢神経の障害である。
3.大脳基底核の障害とジストニアの関連が知られている。
4.局所性ジストニアにうつ病や不安障害が合併することはまれである。
5.書痙に関しては、新しい治療薬の適応疾患となった。
(1)@AB (2)@CD (3)ABC (4)@BD (5)BCD
<参照>H15概説10−4)、H15卒試8−8)、9)(類)
<解答>1
3:他に大脳皮質、副神経の機能異常との関連も。

(7)正しいものを選べ
1.痙性斜頸や書痙の治療にBFが用いられる。
2.うつ病に合併した痙性斜頸は、うつ病の治療により改善する場合が多い。
3.書痙は、社会不安障害の症状としても理解できる。
4.書痙の重症度はTsui scoreによって判定する。
5.BFと薬物用法の併用は原則として禁忌である。
(1)@AB (2)@CD (3)ABC (4)@BD (5)BCD
<解答>1
4:Tsui scoreは痙性斜頸の重症度判定に用いる。

(8)頭痛について正しいものを選べ
1.機能性頭痛の中で頻度の高いものは緊張型頭痛と片頭痛である。
2.緊張型頭痛に伴う肩凝りは、僧帽筋や頭板状筋の緊張による。
3.片頭痛発作は食事によって誘発されることがある。
4.片頭痛の前兆において頭部の血管は拡張している。
5.片頭痛の持続時間は1〜4時間程度である。
(1)@AB (2)@CD (3)ABC (4)@BD (5)BCD
<参照>H14概説3−7)、H15卒試8−4)(類)
<解答>1
4:前兆期には収縮しており、発作期に拡張する。
5:4〜72時間程度。

(9)頭痛について正しいものを選べ
1.片頭痛発作の痛みは緊張型頭痛の痛みよりも弱い。
2.緊張型頭痛は同じ姿勢を長時間続けると起こりやすい。
3.片頭痛発作は、休日に起こりやすい。
4.片頭痛には予防薬がある。
5.緊張型頭痛を予防できる薬は知られていない。
(1)@AB (2)@CD (3)ABC (4)@BD (5)BCD
<解答>3
1:痛みの強さの比較は難しいのでは…。
4:カルシウム拮抗薬。

(10)身体症状とうつ病について正しいものを選べ。
1.全身倦怠感や睡眠障害はうつ病に典型的な症状である。
2.うつ病においては食欲低下とともに過食になる場合もある。
3.手足のしびれや頭痛がうつ病の症状であることもある。
4.パニック発作や過呼吸はうつ病の症状である。
5.不安障害とうつ病が合併することはまれである。
(1)@AB (2)@CD (3)ABC (4)@BD (5)BCD
<解答>1
3:(参考)自律神経症状ばかりが目立ち、抑うつ気分はマスクされている状態を仮面うつ病という。
4:神経症の症状?うつ病は抑うつ気分、思考制止、微小妄想、自律神経症状など。

6.慢性疼痛(10点)
(1)次の文章の空欄に適切な言葉を下記から選べ。
国際疼痛学会による痛みの定義(1994)によると、"痛みとは組織の実質的あるいは(a)な組織の損傷と結びつくか、そのような障害を表す言葉を使って述べられる(b)な(c)体験である。"と定義されている。
(1)顕在的 (2)潜在的 (3)知覚 (4)感覚・情動 (5)客観的 (6)不快
<参照>この大問は「慢性疼痛」(細井先生)の授業プリント参照。今回から先生が交代した模様。
H14概説6−1)、H15卒試7−1)(類)
<解答>a:2、b:6、c:4

(2)痛みを伝える神経伝導路は複雑であり複数の経路が知られているが、大脳皮質の広い領域に投射して局在のはっきりしない不快な痛み体験に関連しているのは次のうちどの伝導路か?
(1)脊髄橋扁桃体経路 (2)内側脊髄視床路 (3)脊髄網様体視床路
(4)脊髄中脳路 (5)外側脊髄視床路
<解答>2

(3)次の文章の空欄に適切な言葉を下記から選べ。
近年痛みの研究が盛んになり、大脳皮質の体性感覚野以外に前部帯状回や島皮質といった(a)に関与する(b)系が侵害刺激によって活性化されていることがわかってきた。
(1)代謝 (2)末梢神経 (3)情動 (4)脳下垂体 (5)運動 (6)大脳辺縁
<解答>a:3、b:6

(4)次の文章の空欄に適切な言葉を下記から選べ。
抗うつ薬が痛みに奏功する機序は、シナプス間隙での(a)やノルアドレナリンといった神経伝達物質の(b)という作用により、(c)の機能を賦活することで、脊髄後角での侵害受容ニューロンを抑制することが知られている。
(1)再取り込み促進 (2)セロトニン (3)アセチルコリン (4)グルタミン酸
(5)逃避行動 (6)再取り込み阻害 (7)下行性疼痛抑制系 (8)脊髄視床路
<解答>a:2、b:6、c:7

(5)疼痛性障害の説明に関して正しいものを全てあげよ。
(a)虚偽性障害は含まれない。
(b)疼痛は社会的、職業的、そのほかの重要な領域の機能障害を引き起こしている。
(c)抗うつ薬よりも鎮痛薬が著効することが多い。
(d)痛みの原因を薬物療法で除去することでほとんどの痛みが改善する。
(1)ab (2)abc (3)全て (4)d
<参照>H14概説6−6)、H15概説9−4)(類)
<解答>1
c:抗うつ薬が有効なことが多い。

7.消化器心身症(10点)
(1)次の各々の記述のうち正しい組み合わせ1つを選べ。
a.胃・十二指腸潰瘍の発症・持続原因の1つにストレスがある。
b.胃・十二指腸潰瘍はヘリコバクターピロリの除菌により全て治癒する。
c.炎症性腸疾患においても消化器心身症の側面があり、心身両面の治療が有効である。
d.潰瘍性大腸炎の初期像は過敏性腸症候群と区別しがたい時がある。
@a,b Ab,c Ba,c,d Ca〜dすべて
<参照>この大問は「消化器系の心身症」(判田先生)の授業プリント参照
<解答>B

(2)次の各々の質問を読み、以下の項目のうち正しいもの1つを選べ。
a.消化器心身症は消化管機能異常をともなうことが少ない。
b.消化器心身症と被虐待歴の間に関連性はない。
c.消化器心身症の治療の目標は症状の消失より、症状のコントロールが主である。
d.消化器心身症の多くにヘリコバクターピロリが関与している。
@a  Ab  Bc  Cd
<参照>H15概説8−1)、H15卒試6−2)(類)
<解答>B

(3)次の各々の質問を読み、正しい組み合わせを1つ選べ。
a.消化器心身症とは腹部不定愁訴と同義である。
b.消化器内科を受診する患者の中でfunctional dyspepsia患者が胃十二指腸潰瘍患者よりかなり多い。
c.高齢者のdyspepsia症状は器質的疾患を疑うべきである。
d.胃食道逆流症と逆流性食道炎は同義である。
@a,b  Ab,c  Bc,d  Ca,d
<参照>H15卒試6−3)(類)
<解答>A
a:「機能異常は一般検査では見つけにくいが、症状に至る病態生理を理解せず単なる腹部不定愁訴として扱ってはいけない。
d:食道に炎症を起こさなくても、胃酸の逆流によって胸やけが起こっていると考えられるものを胃食道逆流症という。

(4)functional dyspepsiaのRomeU診断基準の症状の記述のうち正しいもの1つを選べ。
a.過去12ヶ月に連続する12週以上、上腹部中央に腹痛かつ腹部不快感が持続的または間歇的にみられる。
b.過去12ヶ月に必ずしも連続しない12週以上、上腹部中央に腹痛または腹部不快感が持続的または間歇的にみられる。
c.過去12ヶ月に連続する12週以上、上腹部中央に腹痛または腹部不快感が持続的または間歇的にみられる。
d.過去12ヶ月に必ずしも連続しない12週以上、上腹部中央に腹痛かつ腹部不快感が持続的または間歇的にみられる。
@a  Ab  Bc  Cd
<参照>H15概説8−3)、H15卒試6−4)(類)
<解答>A

(5)functional dyspepsiaについて正しい組み合わせを1つ選べ。
a.functional dyspepsiaは胃・十二指腸潰瘍を含む。
b.functional dyspepsiaは逆流性食道炎を含む。
c.functional dyspepsiaは排便によって腹痛が軽快することが多い。
d.functional dyspepsiaの診断には上部消化管の内視鏡検査は重要である。
e.functional dyspepsiaのRomeU診断基準の分類では胃・食道逆流型はない。
@a,b Ab,c Bc,d Cd,e Da,e
<参照>H15概説8−2)、H15卒試6−5)
<解答>C
「過去12ヶ月に必ずしも連続しない12週以上、上腹部中央に腹痛または腹部不快感が持続的または間歇的にあり、消化管内視鏡検査を含め、これらの症状を説明しうる器質的疾患がなく、また排便によって腹痛が軽快するような過敏性腸症候群ではないこと。」が規定されている。
a、b:胃・十二指腸潰瘍も逆流性食道炎も器質的疾患。
e:関連は強いが、「胃食道逆流症(GERD)」として独立した。

(6)過敏性腸症候群について正しい組み合わせを選べ。
a.一般人口の20%程度で女性に多い。
b.過敏性腸症候群では、血便が見られることが多い。
c.過敏性腸症候群様症状は炎症性腸疾患ではみられない。
d.過敏性腸症候群では、便秘と下痢が繰り返される事はない。
e.過敏性腸症候群は小腸の機能異常も含める。
@a,b Ab,c Bc,d Cd,e Da,e
<参照>H15概説8−4)、H15卒試6−6)
<解答>D
a:そして年齢は20〜40歳代に多い。
b:血液の混入はない。
d:下痢型、便秘型、下痢便秘交替型がある。
e:過敏性腸症候群は小腸と大腸の全体の機能異常としての概念。

(7)過敏性腸症候群の病態生理について正しい組み合わせを選べ。
a.過敏性腸症候群の機能異常は運動異常と知覚異常が関与しており、脳との関連性も大きい。
b.過敏性腸症候群患者は下部消化管の知覚(痛覚)閾値が低い事が多い。
c.過敏性腸症候群の消化器症状は不安・緊張やうつ症状と相関することも多い。
d.過敏性腸症候群の治療では、生活指導・食事療法など規則正しい生活習慣をつけさせることも重要である。
@a Ab,c Ba,c,d Ca〜dすべて
<参照>H15概説8−5)、H15卒試6−7)
<解答>C
d:心理療法も行い、心身両面からの治療を心がけることが重要である。

(8)胆道機能異常(胆道ジスキネジー)について正しい組み合わせを選べ。
a.胆道機能異常は症状が持続し、慢性疾患になることはない。
b.胆道機能異常は胆のう摘出後はみられない。
c.胆道機能異常は胆のうまたはオジ括約筋の機能異常から生じ、胆石様の症状を示す。
d.胆道機能異常と胃・十二指腸の機能異常が合併することも少なくない。
@a,b Ab,c Bc,d Ca,d
<参照>H15卒試6−8)
<解答>B
胆道ジスキネジーは「胆嚢が収縮して胆汁を総胆管に送り込むと同時に十二指腸乳頭括約筋(Oddi括約筋)が弛緩して十二指腸への流出を促進するという合目的協調運動」が機能異常(協調運動失調)を起こし、胆汁流出障害をきたすことにより胆道痛を生じる病態をいう。
b:Oddi括約筋の機能異常は起こりうる。

(9)胆道機能異常(胆道ジスキネジー)の初期診断と治療について正しい組み合わせを選べ。
a.肝機能検査、膵酵素の血液検査は必須ではない。
b.上部消化管内視鏡検査、腹部超音波検査は必須である。
c.胆嚢収縮試験は胆道機能異常の分類・診断に有効である。
d.抗コリン薬や消化管運動調節薬による対症療法が中心である。
e.抗うつ薬、抗不安薬や心理療法が有効な場合は少ない。
@a,b Ab,c Bc,d Cd,e
<参照>H15卒試6−9)(類)
<解答>A
a、b:除外診断を行うために必要ではないかと…。
c:胆道ジスキネジーは胆嚢の異常、Oddi括約筋の異常に分けると考えやすい。この分類のために有効。
d、e:心身症的要素が強いので抗うつ薬、抗不安薬や心理療法などを優先するのでは…。

(10)次の質問から正しい組み合わせを選べ。
a.機能性消化管障害の診断及び治療において、消化管運動異常、知覚異常、心理社会的因子の3つの相互の関連性を考える必要がある。
b.上腸間膜動脈(SMA)症候群は体重減少によって生じることはない。
c.上腸間膜動脈(SMA)症候群は腹部大動脈と上腸間膜動脈が十二指腸第V部を挟むことにより通過障害が起こる。
d.アルコール性肝障害の治療において、アルコール依存症との鑑別は重要であり精神科の専門医での治療の必要性も考慮しなければならない。
@a Ab,c Ba,c,d Ca〜dすべて
<参照>H15卒試6−10)(類)
<解答>B

8.心理面接(10点)
(1)心身医学における面接について誤っているものを選べ。
a.診断のための情報を得られる。
b.良好な医師−患者関係を築くのが重要である。
c.うまく面接ができれば患者が医師の指示に従うようになる。
d.面接自体には治療的な効果はない。
<参照>この大問は「心理面接」(有村先生)の授業プリント、H15概説14、H15卒試11参照
<解答>d

(2)面接の方法について1から4のうちで正しいものを選べ。
a.傾聴とは患者の訴えに耳を傾け、集中して聞くことである。
b.共感的理解とは相手に同情することであり,その理解が正確である必要はない。
c.受容とは患者の気持ちを意見や評価を下さず、ありのままに受け止め,患者の要求一切を許容して好きなようにさせることである。
d.支持とは患者を励ましたり保証を与えたり良好な医師−患者関係を確立することで患者を情緒的に安定させること。
1(ab) 2(bc) 3(cd) 4(ad)
<解答>4

(3)傾聴の方法について正しいものを選べ。
a.ただ黙っていっさいあいづちなどをはさまずに話を聞く。
b.相手の発言に対してくどいくらいにあいづちを使って聞く。
c.「そうなんですか」などのあいづちは相手の話の要所で使う。
d.全く相手の方を見ないで話を聞くことに集中する。
<解答>c (4)傾聴の方法について1から4のうちで正しいものを選べ。
a相手の話について、要点をまとめて相手に返す。
b相手の話に集中して聞く。
c記録をとるなど、他のことをしながら聞く。
d相手の話を聞く一方で聞き手も同じくらい話をする。
1(ab) 2(bc) 3(cd) 4(ad)
<解答>1

(5)インテーク面接について1から4のうちで正しいものを選べ。
aインテーク面接とはいわゆる医療面接のことである。
bインテーク面接は受理面接とも呼ばれる。
c心理学的、社会的、文化的情報の収集と評価を行う。
dインテーク面接では心理社会的な背景は取り扱わない。
1(ab) 2(bc) 3(cd) 4(ad)
<解答>2
a:患者あるいは来談者に対して最初に行われる心理学的立場からの面接。

(6)インテーク面接について1から4のうちで正しいものを選べ。
aインテーク面接ではすぐに治療を開始することが重要である。
b診断や病態仮説の構築のための情報を集める面接である。
c生物学的な立場からの面接である。
d社会適応状態,生育歴など心理社会的背景に関する情報を集める。
1(ab) 2(bc) 3(bd) 4(ad)
<解答>3
c:心理学的、社会的な立場からの面接。

(7)面接について1から4のうちで正しいものを選べ。
a面接の治療的側面を利用したものがカウンセリングである。
b医療領域において治療目的で実施される場合,心理療法,精神療法と呼ばれることが多い。
c教育,心理領域で実施される面接はカウンセリングでない。
d精神療法とは福祉領域で実施されるカウンセリングのことである。
1(ab) 2(bc) 3(bd) 4(ad)
<解答>1
d:医療領域で臨床心理士が実施する場合を「心理療法」、医師が実施する場合を「精神療法」と呼ぶことが多く、福祉・教育などの医療以外の領域で行われるものを含めて「カウンセリング」という。

(8)面接について1から4のうちで誤ったものを選べ。
a患者に保証を与えるのは、患者を支持する方法の一つである。
b医師が患者の要求をいつも許容していれば、患者は自分を受け入れられるようになる。
c医師が患者の話に対して適切にあいづちを打つことは、良好な医師−患者関係の構築に役立つ。
d患者の話を要約するのは患者との関係づくりには無関係である。
1(ab) 2(bc) 3(bd) 4(ad)
<解答>3

(9)面接について1から4のうちで正しいものを選べ。
a支持的精神療法で患者に保証を与えるのは禁忌である。
b支持的精神療法では、医師が患者の不安をやわらげる必要はない。
c患者を励ますのは、支持的精神療法の要素である。
d良好な医師患者関係が確立されると患者の情緒は安定する。
1(ab) 2(bc) 3(bd) 4(cd)
<解答>4

(10)面接について1から4のうちで正しいものを選べ。
a心身医学における面接では通常の医療面接より医師−患者関係の構築,面接の治療的側面に重きがおかれる。
b心身医学における面接では診断のための情報を得ることは考慮しなくて良い。
c面接がうまくできることと患者が医師の指示を守ることとは無関係である。
d面接で患者の訴えをうまく要約できれば患者は理解されたと感じる。
1(ab)2(ad)3(bd)4(cd)
<解答>2

9.心理テスト(10点)
(1)心理テストに関する記述のうち,正しいものの組み合わせを選びましょう.
a.投影法は,質問紙法に比べ採点が容易である.
b.投影法の採点は,熟練しないと信頼できる結果が得にくい.
c.親や兄弟への愛情欲求や敵意,憎しみなど,直接質問したときには答えにくいことでも,投影法テストでは診断できる.
d.治療者に対して正直に言えないことは,書記的方法を用いても答えられない.
1(ab) 2(bc) 3(ca) 4(da)
<参照>この大問は「心理テスト」(富岡先生)の授業プリント参照
<解答>2
a:質問紙法の法が容易。

(2)心理テストに関する記述のうち,正しいものの組み合わせを選びましょう.
a.心理テストの結果には回答者のその日の気分が反映されない.
b.心理テストを用いることで,観察や診察(面接)で分からないことが評価できる.
c.被験者のある一つの側面についての詳細な情報を得るために,テストバッテリーを組む.
d.心理テストが信頼性・妥当性の高いものであれば,被験者についての科学的評価が可能である.
1(ab) 2(bc) 3(ca) 4(db)
<参照>H15概説13−1)(類)
<解答>4
c:「ある一つの側面について」とは限らない。

(3)心理テストに関する記述のうち,正しいものの組み合わせを選びましょう.
a.多次元の情報が得られる心理テストもあり,多面的な情報を得るのに有効である.
b.心理テストの結果から治療方法を検討しないように心掛ける.
c.心理テストにより治療的介入の効果を判定してはならない.
d.投影法テストでは,無意識の心理までを評価の対象とする.
1(ab) 2(bc) 3(cd) 4(da)
<参照>H15概説13−4)、H14概説7−3)(類)
<解答>4

(4)心理テストに関する記述のうち,正しいものの組み合わせを選びましょう.
a.心理テストで測定された結果でその人の人格の全てが分かる.
b.質問紙法によるテストは,受験者の受験態度が反映し,実態を歪めることがある.
c.パーセンタイル得点が心理テストの解釈の時に用いられることがある.
d.投影法テストでは,評価者のうけた印象は解釈のときには考慮されない.
1(ab) 2(bc) 3(cd) 4(da)
<参照>H15概説13−5)、H14概説7−4)(類)
<解答>2

(5)心理テストに関する記述のうち,正しいものの組み合わせを選びましょう.
a.妥当性尺度の得点に問題があるときには,結果を正確に評価することが難しい.
b.CMI(Cornel Medical Index)では,身体症状の他に精神症状も評価される.
c.家や人物を絵に描く,描画法は心理テストではない.
d.知能検査は,心理テストではない.
1(ab) 2(cd) 3(ac) 4(bd)
<参照>H14概説7−5)(類)
<解答>1

(6)P−Fスタディ(絵画欲求不満テスト)に関する記述のうち,正しいものの組み合わせを選びましょう.
a.欲求不満場面での怒り感情の表出方法を評価できる.
b.被験者は,自身が絵画に登場する人物であると見立てて,どのように言われたことがあるかを記述する.
c.15歳以上では成人用の検査用紙を用いる.14歳以下には児童用の検査用紙を用いる.
d.怒りの矛先が自分自身にも他者にも向かわない場合には,反応失敗とする.
1(ab) 2(cd) 3(ac) 4(bd)
<参照>H14概説7−6)
<解答>2
b:「どのように言われたことがあるか」ではなく、「その状況にもし置かれたら何と言うか」を記述。
d:無責的とする。

(7)SCT(文章完成法テスト)に関する記述のうち,正しいものの組み合わせを選びましょう.
a.文章の構成能力を測定する知能検査である.
b.言語表現能力を測定する知能検査である.
c.SCT(文章完成法テスト)では,被験者は刺激文に関して想起することを文章で自由に表現する.
d.空想や願望についての質問もあり,被験者がどのような欲求をもっているのかを知ることができる.
1(ab) 2(cd) 3(ac) 4(bd)
<参照>H14概説7−7)(類)
<解答>2
a、b:あくまで知能ではなく人格を評価するもの。

(8)SDS(自己評価式抑うつ尺度)に関する記述のうち,正しいものの組み合わせを選びましょう.
a.正常者,神経症患者,うつ病患者の標準得点が分かっているので,被験者の得点がどの程度の抑うつの水準にあるのかを判定することができる.
b.質問項目は,精神的な項目のみで身体症状に関する項目は含まれない.
c.抑うつ気分とは反対の状態(例えば,たやすく決断できる)が質問項目に含まれることで,被験者がでたらめに回答したのかどうかを判定することができる.
d.ダミー項目以外の15項目の合計が得点となる.
1(ab) 2(cd) 3(ac) 4(bd)
<参照>H15概説13−2)、H14概説7−8)(類)
<解答>3
b:「便秘している」などもある。
d:ダミー項目なしの20問。

(9)STAI(状態−特性不安尺度)に関する記述のうち,正しいものの組み合わせを選びましょう.
a.その時の不安な気分と不安の感じやすさの2種類の不安を評価する.
b.状態不安の得点と特性不安の得点を合わせて,全般的不安得点とする.
c.得点をパーセンタイル得点に換算し不安の高さの解釈を行う.
d.状態不安の得点が50パーセンタイルであった場合,被験者の日頃の不安の感じやすさは平均的であると解釈できる.
1(ab) 2(cd) 3(ac) 4(bd)
<参照>H15概説13−3)、H14概説7−9)(類)
<解答>3
a:その時の不安な気分=状態不安、不安の感じやすさ=特性不安。
b:状態不安と特性不安とはあくまで別々に評価する。
d:被験者の「その時の不安な気分」は平均的であると解釈できる。

(10)MMPI(ミネソタ多面的人格目録)に関する記述のうち,正しいものの組み合わせを選びましょう.
a.得点をパーセンタイル得点に換算して各尺度の解釈を行う.
b.質問紙法によるテストであるため,奇妙な体験の経験の有無など,正直に回答しにくい項目は含まれな
い.
c.9つの精神的症状を測定することができる.
d.回答しなかった(不応答)項目の数も評価の対象となる.
1(ab)2(cd)3(ac)4(bd)
<参照>H14概説7−10)(類)
<解答>?
a:○
b:×頻度尺度、という項目が通常とは異なる異常な解答を検出する目的で構成されている。
c:×10個。心気症、抑うつ性、ヒステリー性、精神病質的偏椅性、性度(男性性、女性性)、パラノイア(偏執性)、精神衰弱性、精神分裂性、軽躁性、社会的内向性。
d:○不応答尺度として評価される。

10.交流分析(10点)
(1)交流分析について、正しいものを1つ選びなさい。
a.交流分析では、自分の性格を知ることをパターン分析という。
b.交流分析は、心理療法とはいえない。
c.交流分析では、人間関係において、相手を変えることで問題を解決していく。
d.交流分析とは、互いに反応しあっている人々の間で行われるコミュニケーションを分析することである。
<参照>この大問は「交流分析」(宮谷先生)の授業プリント、H15概説15参照
H15卒試10−1)(類)
<解答>d

(2)構造分析について、正しい組み合わせを1つ選びなさい。
1.交流分析では、自我状態を全部で6つに分けてとらえている。
2.親の自我状態のことをParentという。
3.子どもの自我状態のことをChildという。
4.常に1つの自我状態を機能させることが健康な状態であるとされる。
a.(1)と(3) b.(1)と(4) c.(2)と(3) d.(2)と(4)
<参照>H15卒試10−2)(類)
<解答>c
1:CP(批判的な親、critical parent)、NP(保護的な親、nurturing parent)、A(大人、adult)、FC(自由な子ども、free child)、AC(順応した子ども、adapted child)の5つ。
4:その時の状況などに応じて柔軟に機能させることができるのが健康な状態。

(3)構造分析について、正しい組み合わせを1つ選びなさい。
1.保護的な親とは、思いやりがあり世話好きな自我状態のことである。
2.大人の自我状態とは、感情に溺れて現状がみられないことをあらわす。
3.自由な子どもとは、責任感が強く批判的な自我状態のことである。
4.順応した子どもとは、相手に合わせ遠慮している自我状態のことである。
a.(1)と(4) b.(2)と(3) c.(1)と(3) d.(2)と(4)
<参照>H15卒試10−3)(類)
<解答>a
2:現実的、理知的、沈着冷静、合理的、無味乾燥。
3:「批判的な親」の説明。自由な子どもは自由奔放、直感的、感情的。

(4)基本的構えについて、正しい組み合わせになっているものを1つ選びなさい。
a.あなたはOKである、私はOKである−孤立・絶望
b.あなたはOKでない、私はOKである−独善・排他
c.あなたはOKである、私はOKでない−共存・協調
d.あなたはOKでない、私はOKでない−劣等感・ひがみ
<解答>b
a:共存・協調
c:劣等感・ひがみ
d:孤立・絶望

(5)交流分析において活用される心理テストを、次の中から1つ選びなさい。
a.STAI  b.MMPI  c.エゴグラム  d.SDS
<参照>H15卒試10−5)(類)
<解答>c
他の選択肢は心理テストの授業プリントと問題を参照。

(6)問5の心理テストについて、正しいものを1つ選びなさい。
a.自分のどこを変えたらいいのかを考えるきっかけになる。
b.他人の性格を変えるために行うものである。
c.自分の性格を知るためのものではない。
d.自分の知能を知るためのものである。
<参照>H15卒試10−6)(類)
<解答>a

(7)交流パターン分析について、正しい組み合わせを1つ選びなさい。
1.交流パターンは、全部で3つあるとされる。
2.相手の期待通りに反応すること(スムーズな触れ合い)を、相補的交流という。
3.ホンネとタテマエがあること(みせかけの交流)を、交叉的交流という。
4.予想外の反応が起こること(ゆき違いの交流)を、裏面的交流という。
a.(2)と(4) b.(1)と(3) c.(1)と(2) d.(3)と(4)
<参照>H15概説15−3)、H15卒試10−7)(類)
<解答>c
1:相補的、交叉的、裏面的交流の3つ。
3:裏面的交流。
4:交叉的交流。

(8)相補的交流を示した交流パターンを、下の中から1つ選びなさい。


<参照>H15卒試10−8)、9)(類)
<解答>b

(9)ゲーム分析について、正しいものを1つ選びなさい
a.ゲームとは、予測可能で定型化し、幸福な結末で終わるものである。
b.ゲームは「CP」の気づきなしに行われる。
c.ゲームは、常にその人がラケット感情を経験して終わる。
d.ゲームは、再び繰り返されることはない。
<参照>H15概説15−4)(類)
<解答>c
a:予測可能で定型化し、破壊的な結末で終わるもの。
b:「A」の気づきなしに行われる。
c:不快な感情。
d:Aを高め、ゲームをしていることに気付かないと繰り返される。

(10)脚本分析について、正しいものを1つ選びなさい
a.脚本では、幼少期に与えられた禁止令は重視されない。
b.脚本は、人生において繰り返されることはない。
c.脚本から脱却するには、これまでの生い立ち(生育歴)を考える必要はない。
d.脚本から脱却するための方法として、再決断療法がある。
<参照>H15概説10−5)(類)
<解答>d
a、b:脚本とは「幼少期に与えられた禁止令によって繰り返される人生のプログラム」
d:脚本に従わなくてもよい、という許可を得ること。

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