※問題が部分的にしか取れなかったらしいので1〜20はありません。
※参考文献「標準放射線医学 第6版」→以下、略して「標放」。
「ステップ 腎・呼吸器」、「ステップ 整形外科」→以下、略して「ス呼」「ス整」などと表記。
※まだ授業全て受けてない時点で作ってますので間違いとか多いかもしれません。あと何が重要なのかも分からないので、大して重要でない解説を書き過ぎていることもあると思いますが許してください。
21. IVRに関して誤りはどれか。
A)血管造影の技術を基にした非侵襲的治療法の総称である。
B)特徴として、低侵襲性、短時間治療、低コスト、短入院期間などが挙げられる。
C)モニター用のガイダンスとしては透視(X線)が一般的であるが、US(超音波)、CTなども用いられる。
D)合併症のリスクはほとんど無い。
E)目的、病態に応じて血管の閉塞、開通、または新たな吻合の形成等行う。
解答)A
A)×→低侵襲ではありますが非侵襲的ではありません。カテーテル入れたりしますし。
B)○→いろんなサイトにそう書いてありました。
C)○→同上。
D)○→低リスクですが…。慢性放射線皮膚炎とか、静脈穿刺で動脈傷つけて血胸とか、TAEで神経が虚血障害を受けたりとかが少しはあるみたいです。選択肢から考えて×っぽいです。
E)○→例をあげると、閉塞:TAE。開通:PTA。吻合の形成:TIPS。
22. 門脈圧亢進症に対するIVRとして誤りはどれか。
A)B-RTO
B)PTO
C)PTRA
D)TIPS
E)PSE
解答)C
門脈圧亢進症では食道静脈瘤・胃静脈瘤ができることに留意してください。以下に示す方法は門脈圧亢進症に対して用いられます。
・B-RTO(バルーン閉塞下逆行性経静脈性塞栓術):
静脈瘤の流出血管である胃腎短絡路に選択的にバルーンカテーテルを挿入して、逆行性に硬化剤を注入する。EIS(内視鏡的硬化療法)では治療困難な孤立性胃静脈瘤に対して行われる。
・PTO(経皮経肝静脈瘤塞栓術):
カテーテルを食道胃静脈瘤に連なる門脈側副血行路に直接挿入し、同部に血管硬化剤を注入し塞栓する。 (以上2つは標放p.669参照)
・TIPS(経頚静脈的肝内門脈大循環短絡術):
経皮的血管カテーテル法により、肝内の門脈枝と肝静脈との間に金属ステントを用いて短絡路を形成して門脈の減圧を図る。 (→標放p.677)
・PSE(部分的脾動脈塞栓術):
脾動脈にカテーテルを挿入して塞栓し、脾血流減少と脾実質の梗塞により脾機能を削減する。これにより、門脈圧を低下させられる。 (→標放p.670)
・PTRA(経皮経管的腎動脈形性術):腎動脈の狭窄やそれに対する形成術は門脈圧亢進症とは関係ないと思われます。
23. 関係の深い組み合わせはどれか。
1.縦隔腫瘍−extrapleural sign
2.肺胞性陰影−air bronchogram
3.粟粒結核−silhouette sign
4.肺癌−Kerley's B line
5.間質性陰影−vanishing lung
A)1,2 B)1,5 C)2,3 D)3,4 E)4,5
解答)A
1.○→extrapleural sign は縦隔腫瘍で見られます。「胸腔内で肺の外側に生じた巣流が肺に向かって増殖していく場合、腫瘤の辺縁が不整でも、壁側胸膜と肺胸膜の2枚の胸膜に隔てられているので、X線写真では辺縁が明瞭でスムーズになります。(→ス呼p.360)」
2.○→air bronchogramは肺胞性陰影のひとつです。 (→標放p.213)
3.粟粒結核…粟粒結核で見られるのはびまん性の粒状陰影である粟粒陰影です(→ス呼p.257)。
4.肺癌…原発性肺癌とKerley線の関係は薄いようです。 (→ス呼p.341,342)
5.×→vanishing lungは巨大ブラが存在するときの所見です(→ス呼p.308)。もしこれがvanishing tumor(葉間胸水の所見)ならたぶん○です
◆肺胞性陰影: (→標放p.213)
肺胞が水濃度の物質(浸出液・血液・水・タンパク・腫瘍細胞など)で置換され、X線上で均一な濃度で斑状の形態をとる陰影をいう。細菌性肺炎・肺胞蛋白症・肺胞性肺水腫・肺胞上皮癌などに見られ、初期には病巣は区域を単位とするが融合傾向が強く、急速に肺葉へと広がる。
・浸潤影:水様物質が肺胞腔に蓄積することで呈する境界不鮮明な陰影
・Air bronchogram:気管支内の空気が液体や他の組織の陰影に囲まれて樹枝状の透亮像として映し出されるもの。
・蝶形陰影:心陰影を中心に両側びまん性に広がる粒状影で、肺水腫・肺胞タンパク症でよく見られる。 漏出液が主として肺中央部の肺胞内に漏出したために生じた陰影である。
◆間質性陰影 (→標放p.213)
気管支・血管・リンパ管の走行に沿った陰影で、しばしばびまん性の広がりをもつ。間質に浮腫、細胞浸潤、線維化などが起こることにより生じる。間質性肺炎、ウイルス性肺炎、サルコイドーシス、転移性肺癌などに見られる。
・結節影:円形の陰影。粟粒陰影、腫瘤影など。
・線状影:カーリーラインなど。
・網状影:網目模様の陰影。蜂巣肺など。
24. 正常胸部X線写真について正しいのはどれか。
A)肺動静脈は並走する。
B)肺門部肺血管影は左より右が高い位置にある。
C)横隔膜は左より右が高い位置にある。
D)葉間胸膜(Fissure)は、左は2つ、右は1つである。
E)側面像では、胸骨後方と肺尖部付近の2ヵ所にX線透過性のよい部が見られる。
解答)C
A)×→気管支と肺動脈は並走しますが、肺静脈はそれらと離れて走行します。(→標放p.205)
B)×→肺門部血管影は左が右より高い位置にあります。 (→ス呼p.229)
C)○ (→ス呼p.229)
D)×→葉間胸膜は右に2つ、左に1つです。肺葉の数を考えれば分かります。 (→ス呼p.224)
E)×→写真を見た感じ肺尖部はあまり透過性がよくないように見えますが…。透過性が良いのは胸骨後方と、たぶんもう一箇所は心臓と胸椎と横隔膜の陰影で囲まれる部分(Holzknecht腔)ではないかと思います。 (→ス呼p.228写真、ホルツクネヒト腔については→ス循p.51)
25. 悪性腫瘍の骨転移について正しいのはどれか。
1.病的骨折を起こすことはない。
2.転移の経路はリンパ行性である。
3.前立腺癌では骨融解性転移を示すことが多い。
4.Wilms腫瘍では転移は極めて稀である。
5.骨スキャンはX線検査より検出に関して優れている。
A) 1,2 B)1,5 C)2,3 D)3,4 E)4,5
解答)E
1)×→しばしば病的骨折の原因となります。 (→ス整p.336)
2)×→骨転移は通常、血行性転移や直接浸潤であり、リンパ行性はまれです。
3)×→前立腺癌の骨転移では骨形成型を示します。 (→ス整p.337)
4)○→Wilms腫瘍は小児の腎臓に発生する悪性腫瘍で、よく肺転移を起こします。
骨転移の頻度は、男性では、肺癌>前立腺癌>腎癌。以下、肝癌、胃癌。
女性では、乳癌>肺癌>子宮癌。
5)○→早期の骨転移を見つけるのに優れています。骨シンチグラフィとも言います。
(→http://www.hosp.med.keio.ac.jp/kensa/hoshasen/rif/rd1.htm)
26. 無気肺について正しいのはどれか。 (→6月24日の講義)
1.右下葉では側面像で肺底後部にシャープな三角形の陰影として認められる。
2.左上葉では側面像では認めがたい。
3.中葉では正面像で心陰影とシルエットサインを作る。
4.左下葉では下行大動脈とシルエットサインを作る。
5.右上葉では正面像で辺縁が不鮮明である。
A)1,2 B)1,5 C)2,3 D)3,4 E)4,5
解答)D
●肺区域ごとの無気肺の特徴 (無気肺の部分は白っぽく写ります)
無気肺となった肺区域 | 正面像の特徴 | 側面像の特徴 |
左上葉 | ・辺縁のぼけた淡い陰影 ・左第1、2、3弓とシルエットサイン形成(することもあればしないこともある) ・肺門部は左が極端に高くなる。 ・左葉の血管影が拡散(下葉が伸びたため)。 |
・境界明瞭で淡い陰影 (下葉が前上方へ張り出した形) |
右上葉 | ・肺尖部付近に境界明瞭な陰影 ・S3と右第1弓によりシルエットサイン ・右の肺門部と葉間裂が上方に変位 |
・境界明瞭な三角形の陰影 |
中葉 | ・境界明瞭で淡い陰影(二等辺三角形) ・右第2弓とシルエットサイン形成 |
・境界明瞭な三角形の陰影 (上葉と下葉につぶされて楔形に) |
左下葉 | ・左の心陰影に重なるようにできる三角形の陰影 ・下行大動脈の左縁とシルエットサイン形成 ・左横隔膜の内側とシルエットサイン形成 |
・左の横隔膜陰影の後半部が消失 ・肺底部後方に四角形の陰影 |
右下葉 | ・肺底部の内側に三角形の陰影(左下葉のものとほぼ対称) ・右の心陰影はよく見える(シルエットサイン陰性) ・右横隔膜の内側でシルエットサイン陽性 |
・右の横隔膜陰影の後半部が消失 ・肺底部後方に四角形の陰影 |
右中下葉 | ・心臓の右側と横隔膜ともに輪郭が見えない (シルエットサイン陽性) |
・右の横隔膜の輪郭が消失する。 ※普通は1枚の写真で両側の横隔膜の辺縁が見える。 |
(→標放p.215〜217、 呼スp.316〜320、 6月24日の授業)
27. KerleyのB線について正しいのはどれか。
1.両肺尖部に認められることが多い。
2.約4-5cmの長さのことが多い。
3.気管支肺炎でみられることが多い。
4.リウマチ性心臓病でみられる。
5.本態は肥厚した小葉間隔壁である。
A)1,2 B)1,5 C)2,3 D)3,4 E)4,5
解答)E
1)×→Kerley's B lineは下肺野の側胸部の胸膜面に接して垂直に伸びます。
2)×→Kerley's B lineの長さは0.5〜2cmです。 (→標放p.242〜243)
3)×→気管支肺炎では肺門部より連続した浸潤陰影が見られます。 (→ス呼p.241)
4)○→僧帽弁狭窄症はリウマチ熱が原因で起こります(リウマチ性心臓病)。また、僧帽弁狭窄症では肺うっ血から肺水腫となり、KerleyのB線が見られます。 (→ス循p.198、 標放p.317)
5)○→正しいです。微量の葉間胸水で肥厚するようです。 (→ス呼p.352、 標放p.243)
28. 胸部X線写真の所見で、僧帽弁狭窄症において最も頻度の少ない所見はどれか。
A)Kerley's B line
B)肺静脈拡張
C)気管分岐部開大
D)心陰影左第四弓拡大
E)右心縁二重影
解答)D (→基本的に全てステップ循環器科p.198に詳しく載ってます)
D)×→僧帽弁が狭窄するのですから左室は拡大しません。
●僧帽弁狭窄症で見られるX線所見
・食道圧排像:左房の拡大により、側面像やRAOで食道の圧排が見られる。
・Kerley's B line:肺うっ血がおこり肺水腫になるので見られます。
・肺静脈拡張:僧帽弁狭窄により左心系に流れ込む血流の抵抗が高まるので肺静脈は拡張します。
(→標放p.251)
・気管分岐部開大:上方に拡大した左房により気管分岐角が広がります。
・右心縁二重影:右に拡大した左房により心右縁の内側に二重影(double shadowまたはdouble densityという)が見られます。 (→標放p.316)
・左第2弓の突出:肺高血圧のせいで肺動脈が拡張し、第2弓が突出します。
・左第3弓の突出:左房の拡大によります。
29. 骨の成長に関し、膜内骨化である骨はどれか。
1.長管骨
2.脊椎骨
3.肋骨
4.頭蓋冠
5.下顎骨
A)1,2 B)1,5 C)2,3 D)3,4 E)4,5
解答)E?
とりあえず頭蓋冠は膜内骨化(=膜性骨化)で間違いありません。いろんなトコに載ってます。あとは微妙ですが以下の一節を参考にしました。 (→標準整形外科学 p.23)
「扁平骨の内頭蓋骨と顔面骨は、最初から膜性骨化により形成される。例外的なのは下顎骨で、胎生期には軟骨が形成されているが、骨化様式は膜性骨化で周辺より骨化が進み軟骨は消失する。
短骨とその他の扁平骨は長管骨の骨幹部の形成と同様に中心部の肥大軟骨に石灰化が起こり、血管侵入、骨化(primary ossification center)という内軟骨性骨化で発育する。」
30. 骨陰影の増強の原因となるものはどれか。
1.くる病
2.前立腺がんの骨転移
3.大理石病
4.クッシング症候群
5.神経線維腫症
A)1,2 B)1,5 C)2,3 D)3,4 E)4,5
解答)C
●骨陰影の増強の原因:
・全身的…造骨性の骨転移(特に前立腺癌、乳癌、胃癌)、大理石病、骨髄硬化症、腎性異栄養症、Paget病、vitA,Dの過剰(→標放p.613)
・局所的…骨腫、類骨腫、骨肉腫、髄膜腫、硬化性骨髄炎、骨梗塞、Paget病(※これらは疾患特異性が乏しいそうです。) (→標放p.614)
●骨陰影の減弱の原因:
・全身的…骨形成不全症、骨粗鬆症、Cushing症候群、骨軟化症、くる病、副甲状腺機能亢進症、
白血病、多発性骨髄腫、骨髄線維症、Gaucher病 (→標放p.609)
・局所的…骨折、ギプス固定、関節リウマチ、骨結核、外傷による出血、神経麻痺、筋麻痺、火傷、
骨腫瘍による骨破壊 (→標放p.613)
31. 骨腫瘍に関して正しい記述はどれか。
1.ほとんどの骨腫瘍は骨端部から発生する。
2.骨膜反応は良性の骨腫瘍の特徴である。
3.硬化縁を有す骨腫瘍は悪性であることが多い。
4.骨腫瘍の鑑別診断では内部石灰化の性状は重要である。
5.骨腫瘍の診断では患者年齢を考慮する必要がある。
A)1,2 B)1,5 C)2,3 D)3,4 E)4,5
解答)E
A)×→骨幹端に好発します。 (→ス整p.320)
B)×→悪性骨腫瘍のときに顕著です。(→ス整p.321)
C)×→腫瘍周辺部の骨組織に硬化所見が見られるときは良性の可能性が高いです。(→ス整p.321)
D)○→それぞれの腫瘍ごとに様々な性状があります。(→標放p.635〜636)
E)○→年齢とX線所見と生検が特に重要です。 (→ス整p.321)
32. 画像所見上、脂肪を認める縦隔腫瘍はどれか。
A)神経鞘腫
B)胸腺腫
C)成熟奇形腫
D)神経芽腫
E)心膜嚢胞
解答)C
奇形腫には他にも毛髪、歯牙、消化器の腺上皮とかが入っていたりします。
(→標放p.248、292、6月25日の講義プリント)
33. 胸腺腫に合併する可能性のある疾患はどれか。二つ選べ。
1.筋無力症
2.嚢胞腎
3.慢性骨髄性白血病
4.骨髄腫
5.赤芽球癆
A)1,2 B)1,5 C)2,3 D)3,4 E)4,5
解答)B
胸腺腫に合併する疾患:
重症筋無力症(約20%)。低γグロブリン血症、赤芽球癆、多発性筋炎、Cushing症候群
(→ス呼p.363、6月25日の講義プリント ※先生は「高γグロブリンじゃない?」って言ってましたがどうやら勘違いのようです。どっちにしろこれはもう放射線科からは出題しないそうです。)
34. 縦隔腫瘍の画像診断において石灰化の検出に最も鋭敏な検査法はどれか。
A)CT
B)MRI
C)ガリウムシンチグラフィ
D)胸部単純エックス線検査
E)超音波検査
解答)A (→6月25日の講義)
CとEは授業で全く説明されなかったので違うでしょう。そもそも肺のシンチグラフィは換気とか血流を調べるためのものですし、エコーは空気とか骨とかのartifactが多すぎてとても使えないでしょう。
あと、「胸部のMRIは異常の検出のためのものではなく、CTで何か異常を検出したときにその性状を詳しく調べるために行うもの」と言ってたんでMRIも違うでしょう。レントゲンは腫瘤の内部の石灰化までは見えないので違います(授業の写真でもそうでしたし、標準放射線医学のp.226にもそんな例があります。)
35. 頭部外傷のCT像で、凸レンズ状の高吸収域が側頭骨の直下にみられた。最も考えられ易いのはどれか。 (→6月22日の講義)
A)急性硬膜外血腫
B)急性硬膜下血腫
C)慢性硬膜下血腫
D)慢性脳内血腫
E)急性くも膜下血腫
解答)A
・硬膜外血腫:レンズ状血腫。中硬膜動脈の損傷で起こりやすい。
・急性硬膜下血腫…三日月型の高吸収域。脳表の小動脈や架橋静脈の損傷で起こりやすい。
・慢性硬膜下血腫…三日月型の等〜低吸収域。再出血した場合は内部に高吸収域も見られる。
36. MRIについて正しいのはどれか。
1.ペースメーカー装着者も行える。
2.血流は信号強度に影響する。
3.使用する経静脈性造影剤(Gadolinium製剤)の副作用頻度は低い。
4.検査中、患者はかなりの騒音にさらされる。
5.骨によるartifactのため、後頭蓋窩は診断しにくい。
A)1,2,3 B)1,2,5 C)1,4,5 D)2,3,4 E)3,4,5
解答)D
1.×→鉄などの強磁性体を含む生命維持装置・脳動脈瘤クリップをつけている人には禁忌。
2.○→MRIの設定(TR、TEなどの値)によってある程度の幅はありますが基本的に、
・速い流れは無信号(flow voidという)、
・遅い流れは高信号(flow related enhancementまたはflow-in effectという)です。(→標放p.54、55)
3.○→ヨード系造影剤に比べて副作用頻度は低く、ごくまれにしか副作用は出ないようです。
4.○→古いものだと工事現場なみの騒音です。
5.×→MRIでは水分の殆どない骨皮質は無信号となり、骨からのartifactがないのが利点。このため、X線CTではartifactのために画像が不良になりやすい後頭蓋窩、胸郭入口部、脊髄もMRIでは明瞭に描出できます。 (→標放p.57)
※artifact…本来人体にはないが、データ取得と画像再構成の過程で発生する偽像。
37. MRIの方がCTよりも鋭敏にとらえられるものはどれか。
1.くも膜下出血
2.脳内石灰化
3.血管内の血流
4.急性期の梗塞
5.陳旧性出血巣
A)1,2,3 B)1,2,5 C)1,4,5 D)2,3,4 E)3,4,5
解答)E
1.×→急性期くも膜下出血の検出はCTの方が優れています。
(→http://www.proj.ehime-u.ac.jp/project/mafas/brainserg/sah.html)
2.×→石灰化の検出はCTの方がはるかに優れています。
3.○→選択肢より。MRIでは血液の流速によって信号強度が異なりますし、またCTと違って撮れる断面の方向も自由なので、推測ですがおそらくMRIの方がいいのではないかと思います。
4.○→超急性期の梗塞、後頭蓋窩病変、小梗塞の描出に優れています。梗塞巣は拡散強調画像(DWI)において高信号となります。CTでは困難です。(→標放p.106、 6月22日の講義)
5.○→全ての陳旧性の出血巣かどうかは分かりませんが、とりあえず慢性硬膜下血腫に関しては、
「MRI検査では誰が観ても解るような高信号の脳内血腫が見つかります。両側性の場合にはCT検査のみでは見落とされることがあり注意が必要です。(→http://www.jns.info/tukusi4.html)」だそうです。あと、陳旧性の脳梗塞・脳出血の鑑別についてはMRIの方が優れています。CTではどちらも低吸収域ですが、MRIのT2WIでは脳梗塞が高信号、脳出血は低信号です。(→6月22日プリント)
38. 脳血管障害のCTについて正しいのはどれか。
a.脳梗塞は発症後6時間経過すればほぼ100%診断可能である。
b.脳出血は発症直後よりほぼ100%診断可能である。
c.新鮮な出血巣は高吸収域として同定される。
d.くも膜下出血では通常脳底部の脳槽が高吸収を示す。
e.脳梗塞で造影剤による増強をみることは稀である。
1.a,b,c 2.a,b,e 3.a,d,e 4.b,c,d 5.c,d,e
解答)4
a.×→発症12時間以内では病変が不明か、わずかに灰白質の吸収値が低下する。(→標放p.90)
b.○→直後から高吸収域です。 (→6月22日の講義プリント)
c.○→新鮮な出血は高吸収域です。その後、辺縁部から低吸収値化し、造影CTにてリング状の増強を示すようになります。慢性期にはスリット状や点状の低吸収域となります。
d.○→出血は脳底部の脳槽を埋め、その後速やかに脳表のくも膜下腔に拡がる。(→標放p.85)
e.×→発症後数日から数週では造影CTで病変部が斑状に増強されます(→標放p.90)。
●脳梗塞のCT像の経過
病変が不明か僅かに灰白質の吸収値が低下(発症12時間以内)
→低吸収域が明瞭となり、血管性浮腫により脳室や脳溝が圧迫される(発症24〜72時間後)
→病変の吸収値が上昇し、正常脳に近づく。
この時期、造影CTで病変部が斑状に増強される。(発症後数日〜数週間)
39. CTで高吸収を示すものはどれか。
a.脂肪
b.急性期出血
c.石灰化
d.髄液
e.大脳白質
1.a,b 2.a,e 3.b,c 4.c,d 5.d,e
解答)3
●CTにおける組織の吸収値:
骨>血液>腫瘍>嚢腫>(水)>>脂肪>肺
※臓器は大体、血液〜腫瘍くらいの範囲にあります。一応臓器のCT吸収の順位を示しておきます:
甲状腺>肝>脾>膵>筋>腎>脳 (→標放p.13)
●石灰化した部分は高吸収です。 (→標放p.82〜84)
40. T1強調像で高信号を呈するものはどれか。
a.脂肪
b.亜急性期脳出血
c.髄液
d.骨皮質
e.大脳皮質
1. a,b 2.a,e 3.b,c 4.c,d 5.d,e
解答)1
●それぞれの組織、病変におけるT1、T2強調画像の特徴
組織、病変 | T1 Weighted Image (T1WI) |
T2 Weighted Image (T2WI) |
水、尿、胆汁、脳髄液、大部分の病変 (※これがMRIの基本パターン) |
低信号(黒) | 高信号(白) |
脂肪、高濃度のタンパク液、軽い石灰化 | 高信号 | 〈中等度〜低信号〉 |
亜急性期の出血巣(Met-Hb) | 高信号 | 〈高信号〉 |
骨皮質、空気、速い血流の血管(→flow void) | 〈無信号〉 | 無信号 |
強い線維化、筋肉、強い石灰化 慢性期の出血巣(hemosiderin) |
〈低信号〉 | 低信号 |
(→標放p、97、631など。その他、http://www006.upp.so-net.ne.jp/coral920/mr120.html)
※→6月18日の授業でやりました。表中の〈 〉付きの部分は授業で触れませんでしたので重要でもないし出題もされないと思われます。
41. T2強調像で高信号を呈するものはどれか。
a.脂肪
b.脳梗塞
c.髄液
d.骨皮質
e.大脳白質
1.a,b 2.a,e 3.b,c 4.c,d 5.d,e
解答)3
前の問題参照。
b)脳梗塞はT1低信号、T2高信号です。
e)正常脳の信号強度: T1強調画像では白質>灰白質>髄液となり、T2強調ではその逆。
42. 髄膜腫に認められる典型的なMRI所見はどれか。
a.dural tail sign
b.内耳道内に連続する腫瘤
c.不規則なリング状増強
d.腫瘤周囲の脳浮腫
e.硬膜に広く接する腫瘤
1.a,b 2.a,e 3..b,c 4.c,d 5.d,e
解答)2
a)○→髄膜腫は造影MRIにおいて均一な増強を示し、増強された腫瘍の辺縁が裾野を引くように硬膜に沿って増強される。これをdural tail signという。"dura"は硬膜のこと。(→標放p.102、99)
b)×→これはおそらく聴神経鞘腫のこと。聴神経鞘腫は造影MRIで不均一な増強を示し、内耳道から小脳橋角槽へと顔を出します。髄膜腫の鑑別疾患です。 (→標放p.106&6月22日の講義)
c)×→これは転移性脳腫瘍の特徴。(→標放p.102)
d)×→浮腫の程度はさまざま。 (→標放p.133)
e)○→硬膜と広基性に接する。 (→標放p.106、133)
43. 強く増強を示す部位が,ほぼ全例に認められる脳腫瘍はどれか。
a.星細胞腫
b.類上皮腫
c.微小下垂体腺腫
d.転移性脳腫瘍
e.髄膜腫
1.a,b 2.a,e 3.b,c 4.c,d 5.d,e
解答)5 (→標準放射線医学p.133〜134)
A.×→良性のものは増強されにくいです。退形成性星細胞腫(悪性のヤツ)ならば増強されます。
B.×→選択肢より。
C.×→正常の下垂体よりも増強効果が弱くなります。
D.○→リング状の強い増強です。
E.○→均一に強く増強されます。
●CTやMRIでほぼ全例に増強が見られる疾患:
髄膜腫、膠芽腫(リング状増強の事もあり)、退形成性星細胞腫、聴神経鞘腫、転移性脳腫瘍(殆どがリング状増強)など。
44. 次の脳構造のうち,高血圧性脳出血が最も多くみられる部位はどれか。
1.脳幹
2.小脳
3.視床
4.大脳皮質下
5.被殻
解答)5
レンズ核線条体動脈は高血圧性脳出血の好発部位です(6月18日の講義)。被殻はレンズ核線条体動脈の支配を受けているので好発部位と言えます。
●レンズ核線条体動脈の分布領域
・線条体:大脳基底核の入力核で、尾状核(側坐核を含む)、被殻から成ります。
・レンズ核:淡蒼球と被殻をあわせてレンズ核と呼びます。(※淡蒼球の主な支配動脈は前脈絡叢動脈)
・内包
(参考:神経解剖学(著:新見嘉兵衛)のp.202とp.203)
45. 経動脈的塞栓術の適応となりうる腫瘍はどれか。
a.乏突起膠腫
b.星細胞腫
c.髄膜腫
d.傍神経節腫
e.膠芽腫
1. a,b 2.a,e 3.b,c 4.c,d 5.d,e
解答)4
●経カテーテル動脈塞栓術(TAE)
頭頚部の腫瘍に用いる場合は、術中の出血量を減らし(輸血量を減らし)、腫瘍を軟化させ摘出術を容易にし、より安全に、短時間に腫瘍摘出術を行う目的で行われます。栄養血管が手術の初期に確保できない腫瘍、血管に富んだ腫瘍、動静脈瘻を有する腫瘍などが適応で、外科手術の1週間くらい前に行っておくのが普通のようです。数日〜数週間で自然に再開通したり新しい血管ができたりするそうです。特に髄膜腫はよい適応です(中硬膜動脈に支配される)。
(詳しくは→http://www003.upp.so-net.ne.jp/moyamoya/Intervention/tumor.htm)
・適応:
髄膜腫、血管芽腫、転移性腫瘍、神経鞘腫、傍神経節腫、頭皮腫瘍、頭蓋骨腫瘍、動静脈瘻を伴った血管腫(Kasabach-Merritt症候群を含む)、若年性血管線維腫、血管外皮腫、線維性異形成など
※下線付きのヤツは授業でも出てきました(6月22日)。
46. 動脈瘤の好発部位はどこか。
a.前下小脳動脈起始部
b.中大脳動脈分岐部
c.前交通動脈
d.内頚動脈後交通動脈分岐部
e.前脈絡叢動脈起始部
1.a,b,c 2.a,b,e 3.a,d,e 4.b,c,d 5.c,d,e
解答)4
●脳動脈瘤はウィリス動脈輪周辺に多く、以下のような頻度となっています。また、特にこれらの動脈が分岐するところが好発部位です。 (→6月18日の講義ノートより)
・前交通動脈(30〜35%)
・内頚動脈
・中大脳動脈(20%)
・後交通動脈(30〜35%)
47. 放射線治療について正しいのはどれか。
1.白内障は眼球が照射されたときの障害の一つである。
2.脊髄は放射線感受性が低く、照射を受けても障害が発生することはない。
3.食道を照射しても、通常食道炎が発生することはない。
4.甲状腺は放射線感受性が高く、他の頭頚部癌の照射では特に留意する必要がある。
5.肺が照射されると放射線肺炎を起こす頻度が高くなる。
A)1,2 B)1,5 C)2,3 D)3,4 E)4,5
解答)B?
1.○→12Gy以上ではほぼ全例に出ます。 (→標放p、711)
2.×→50Gyで障害が出始めるので45Gy以下にするよう、できるだけはずして照射する。
3.×→線量がどのくらいなのかも分からないので断定はできませんが、食道の放射線治療では4〜5週かけて合計で40Gy〜70Gyの線量を照射するので、食道炎が発生することは「ない」とはいえないでしょう(食道の耐容線量は60Gy)。食道粘膜に炎症が発生します。(→標放p、744)
4.×→甲状腺や膵臓などの線上皮細胞は感受性が低いです。1.は正しいだろうから選択肢的にもあり得ませんし…。
5.○?→放射性肺炎は確定的影響(※下の表参照)なので障害の起こる線量の閾値があります。閾値以下の線量なら殆ど障害は起こらないので、照射によって「頻度が高くなる」という表現は不適切な気がします。でも、線量が閾値を超えればどんどん頻度が高くなるのは事実ですし…。そもそもそんな2つの分類は全く考えてないのかもしれませんし謎です。
解説)謎です。一応以下に確率的影響と確定的影響について載せておきます。(→標準放射線医学p.790)
例 | 閾値 | 線量との相関 | 防護における目標 | |
確率的影響 | 癌、遺伝的影響 | ない | 発生率は直線的に増加 重症度は無関係 |
減少 |
確定的影響 | その他全て | ある | 発生率はS字曲線的に増加 重症度の増加 |
防止 |
※耐容線量…5年後に障害が5%発生する線量。50%発生する線量で書いてあったりもしますが、このプリントでは全て5%の方で書いてます。
(組織ごとの耐容線量は→標放p.699にあります)
48. 癌の放射線治療上の問題点の一つは近くに放射線障害を受けやすい組織、器官があるときいかに障害を少なくするかである。そのような正常組織はどれか。
1.小腸 2.脊髄 3.成人骨 4.子宮 5.水晶体
A)1,2,3 B)1,2,5 C)1,4,5 D)2,3,4 E)3,4,5
解答)B
組織や腫瘍ごとの相対的放射線感受性
放射線感受性 | 組織 | 腫瘍 |
最も高い | リンパ組織、骨髄、精腺上皮、卵巣上皮、腸上皮 | リンパ腫、白血病、セミノーマ |
かなり高い | 頭頚部の粘膜上皮、食道上皮、皮膚、水晶体、胃腺上皮 | 頭頚部、食道、皮膚、子宮頚部の扁平上皮癌 |
かなり低い | 成熟した骨、軟骨、唾液腺、肝、腎、膵、甲状腺などの腺上皮 | 乳腺、唾液腺や各種の内分泌腺の腺癌、肺の扁平上皮癌、骨肉腫 |
最も低い | 筋肉組織、神経組織 | 横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、神経節線維肉腫 |
また、@細胞分裂頻度の高いものほど、A将来の分裂回数が多いものほど、B形態および機能において未分化なものほど、放射線感受性が高いです(Bergonie-Tribondeauの法則)。
(→標放p.685。 他にも、2年のときの教科書「放射線基礎医学」のp.224、225にも載っています。)
※2番の脊髄は感受性がかなり低いはずだから答には入らないのではないかとも思いましたが、耐容線量が低い順に並べると「水晶体<小腸<脊髄<成人骨≪子宮」でしたので、実際の治療の話なら耐容線量を元に話すべきかな〜と思いましたので2番を選びました。
49. 正しいのはどれか。
1.脳組織の方が水晶体よりも障害を起こしやすい。
2.小児の皮膚は小児の骨より耐容線量が低い。
3.55Gy/5.5Wで脊髄に障害をきたす可能性がある。
4.小腸の耐容線量は小さく、腹部の照射時に問題になる。
5.肺の耐容線量は小さく、肺線維症が問題になる。
A)1,2,3 B)1,2,5 C)1,4,5 D)2,3,4 E)3,4,5
解答)E
1.×→水晶体の方が感受性が高いです。
2.×→成人と違い、小児の骨は成長しているので耐容線量が低いです。耐容線量は小児の骨が20Gy、皮膚が55Gyです。 (→標放p.699)
3.○→55Gy/5.5Wは「5.5週で合計55Gy照射する」という意味ですが、脊髄の耐容線量は50Gyなので、障害を来す可能性は有ります。
5.○→小さいです。肺炎や肺線維症がおこります。
50. X線やγ線に抵抗性なのはどれか。
1.肺小細胞癌
2.セミノーマ
3.悪性リンパ腫
4.骨肉腫
5.子宮体癌
A) 1,2 B)1,5 C)2,3 D)3,4 E)4,5
解答)E (→問題48の表を参考にしてください。)
補足)
1.×→肺小細胞癌は他の肺癌に比べて感受性が高いです。扁平上皮癌はかなり低いです。
5.○→子宮体癌は感受性が低いです。これに対して子宮頚癌は感受性が高いです。(→標放p.734)
※X線やγ線は、α線や中性子線に比べて効果が低いのでここに出ているのでしょう。
51. 正しいのはどれか。
1.レントゲンがラジウムを発見し、放射線が医学に利用されるようになった。
2.放射線治療での照射線量は吸収線量で表し、通常R(レントゲン)が用いられる。
3.人は、医療被ばくだけでなく、自然界からも被ばくしている。
4.一般的に細胞分裂の盛んな細胞は放射線感受性が高い。
5.放射線によるDNA損傷はかなりの部分が回復することが知られている。
A)1,2,3 B)1,2,5 C)1,4,5 D)2,3,4 E)3,4,5
解答)E
1.×→レントゲンが発見したのはX線(1895年)。ラジウムを発見したのはキュリー夫妻(1898年)。
2.×→放射線治療では吸収線量(単位質量の物質に吸収されたエネルギー)を用いますが、吸収線量はGyで表します。Rは照射線量(光子により生成された2次電子によって空気中に生じた電荷量:C/kg)の単位です。
52. 正しいのはどれか。
1.分割してX線を照射すると効果が減弱するのは、亜致死障害の回復が起こるためである。
2.放射線の生物作用は照射中の酸素分圧に依存して増強され、酸素がまったくない状態に比べて感受性は約2倍になる。
3.分割照射をすると、再酸素化の影響を受けるため、放射線治療には不利になる。
4.細胞の放射線感受性はG2,M期で高く、S期で低い。
5.照射期間が長くかかると、腫瘍細胞の再増殖が問題となる。
A)1,2,3 B)1,2,5 C)1,4,5 D)2,3,4 E)3,4,5
解答)C
2.×→酸素下では過酸化物やラジカルができやすいので増強されますが、X線やγ線の感受性は2.5〜3倍になります。一方、α線や中性子線は酸素分圧にほとんど影響されません。
3.×→放射線治療に有利になります。腫瘍の中で低酸素状態にある細胞は比較的放射線に抵抗性ですが、血管の近くの高酸素状態の腫瘍細胞は高感受性です。照射後、時間が経過するにつれて血管近くの細胞が死に、今まで低酸素状態にあった腫瘍細胞の酸素分圧が高くなり、放射線感受性が高まります(再酸素化)。したがって分割照射による再酸素化は有利にはたらきます。
(→標放p.689)
53. 放射線治療について正しいのはどれか。
1.高分化な腫瘍細胞ほど放射線感受性が低い。
2.therapeutic ratioは高いほど放射線治療の適応になる。
3.一般に使用されているγ線、X線では組織内酸素分圧は問題にならない。
4.細胞周期のM期とG1期で放射線感受性が低い。
5.一回線量が大きくなると、晩期有害事象がおこりやすくなる。
A)1,2,3 B)1,2,5 C)1,4,5 D)2,3,4 E)3,4,5
解答)B
1.○→ベルゴニエ・トリボンドーの法則により。
2.○→治療可能比(therapeutic ratio)は健常組織の耐容線量と腫瘍組織の致死線量の比。この比が大きいほど治療効果の期待が大きいです。1より大きければ大きいほど放射線治療のよい適応となる、という点で治療効果比と類似しています。
3.×→酸素増感比(OER)は2.5〜3になります。LETの高いα線や中性子線では酸素分圧は問題になりません(α線のOERは1です)。 (→標放p.686)
4.×→M期、G2期や、G1期からS期への移行期は放射線感受性が高いです。S期後半は放射線に抵抗性です。 (→標放p.686)
5.○→その通りです。選択肢的にも○。
※小線量で分割照射すれば、総線量が大きくなっても正常組織の晩期障害を抑えることができます。
54. 放射線治療が第一選択となる腫瘍はどれか。
1.子宮頚癌(IIIB期) 2.喉頭癌(I期) 3.肝癌 4.直腸癌 5.胃癌
A)1,2 B)1,5 C)2,3 D)3,4 E)4,5
解答)A
1.○→日本ではUb期までなら手術、Va以上なら放射線治療が用いられます。(→標放p.750)
2.○→T期(T1N0)なら声門上癌か声門癌かに関わらず根治照射を行います。
声門癌ならU期(T2N0)でも根治照射の適応です。 (→標放p.724)
5.×→胃癌が放射線治療の適応となることは少ないです。姑息療法としてなら使います(→標放p.745)
55. 正しいのはどれか。
1.一回分割線量が大きくなると治療効果比は大きくなる。
2.放射線治療が成功するかどうかは腫瘍と周囲正常組織の感受性による。
3.酸素分圧が高いと放射線感受性は高い。
4.細胞周期のG2-M期で放射線感受性は高い。
5.放射線による細胞致死率はX線と重粒子線で同じである。
A) 1,2,3 B)1,2,5 C)1,4,5 D)2,3,4 E)3,4,5
解答)D
1.×→治療効果比(TGF)に一回分割線量は関係ないと思われますが。
2.○→腫瘍の感受性が大きく、正常組織の感受性が小さい方が治療効果比が高くなります。
5.×→重粒子線(α線、炭素イオン線、アルゴンイオン線など)は、LETが高いため細胞致死率が高くなります。また線量分布が良いという利点もあります。
※LET…線エネルギー付与(linear energy transfer)。飛跡の単位長さあたりに失うエネルギー。高LET放射線では細胞周期に影響されず高い細胞致死効果をもつ。(→標放p.685、686)
※線量分布…照射野の中心軸に対して吸収線量がどのように分布するかという分布。重粒子線では体の深部の狭い範囲に高い線量が分布するので、体表の正常な組織や病変の周囲の組織に対して影響が少ない。 (→標放p.693〜695など)
※治療効果比…Therapeutic gain factor。癌組織のRBEと正常組織のRBEの比で、1より大きければ障害が起こらず治り、小さければ障害が起こる可能性が出てきます。
(TGF=癌組織のRBE/正常組織のRBE)
※RBE…生物学的効果比(Relative biological effectiveness)。放射線の効果をX線と比較したもの。大きいほどX線に比べて強いと言える。(RBE=X線により一定の生物学的効果を得るのに必要な線量/ある放射線により同じ生物学的効果をえるのに必要な線量)
(→治療効果比の話はhttp://www.katakuri.sakura.ne.jp/~sk1950/pc/radiation/rtkouka.htm)
56. 正しいのはどれか。
1.リニアックでは、X線または電子線を発生させることができる。
2.陽子線はブラッグピークを持つ。
3.炭素線は、X線に比べて生物学的効果が高い。
4.電子線のほうが、X線に比べて透過力が高い。
5.ガンマ線は放射線治療に用いることはない。
A)1,2,3 B)1,2,5 C)1,4,5 D)2,3,4 E)3,4,5
解答)A
1.○→リニアックは電子線、または高エネルギーX線を発生させられます。(→標放p.697)
2.○→中性子線以外の粒子線はBragg peakを形成します。(→放射線基礎医学p.277より)
3.○→重粒子線なので。選択肢的にも○。
4.×→X線やγ線は電磁波で、電子線は質量をもった粒子線なので、当然X線の方が透過力が高いです。また、中性子線は粒子線ですが、荷電していない上に粒子が小さいので非常に透過力が強いです。 (→標放p.691)
5.×→使います。ガンマナイフとか。
※Bragg peak:粒子線が生じさせる電離イオン対の数は、粒子の速度が遅いほど大きくなります。このため、深さ方向の線量分布を表す深部線量曲線において、粒子の飛跡の最後にピークができます。これをブラッグピークと呼びます。ブラッグピークの直後で粒子線は急速に減弱します。電荷を持たない中性子線やX線やγ線はブラッグピークを形成しません(→放射線基礎医学p.127など)。
57. 放射線の深部等線量曲線について正しいのはどれか。
1.コバルト遠隔照射装置によるγ線のビルドアップは15mmである。
2.リニアック6MVX線のビルドアップは5mmである。
3.陽子線はブラッグピークをもつ。
4.電子線はγ線、X線と違い、ある深さまで行ったら急速に減弱する。
5.中性子線の深部等線量曲線は電子線のそれと類似している。
A)1,2 B)1,5 C)2,3 D)3,4 E)4,5
解答)D
1.×→Co60のγ線のビルドアップは約5mmです。(→放射線基礎医学p.123の表より)
2.×→6MVのX線のビルドアップは約15mmです。(→同上)
3.と4.と5.→前問の解説参照。
※Build up…X線(γ線)のエネルギーが高くなると、2次電子のエネルギーも高くなり、入射した物体の表面で発生した2次電子はより深い部分まで到達して吸収されます。その結果、吸収線量は表面よりも少し深い部位でピークに達します。これをビルドアップと呼びます。ビルドアップの後は、ブラッグピークとは違い吸収線量が次第に低下します。これはX線が電磁波であり、電荷を持たないからです。
58. 正しいのはどれか。
1.X線ではそのエネルギーが高いほどbuild upが浅くなる。
2.炭素線はブラッグピークをもつ。
3.電子線はある深さに来ると急速に減弱する。
4.陽子線はブラッグピークをもつ。
5.γ線はある深さに来ると急速に減弱する。
A)1,2,3 B)1,2,5 C)1,4,5 D)2,3,4 E)3,4,5
解答)D (→56番と57番を参照)
59. Therapeutic Ratioについて正しいのはどれか。
1.5年生存率のことである。
2.正常組織耐容量対腫瘍組織致死量の比である。
3.非常に高いということは放射線治療に適することを意味する。
4.悪性リンパ腫ではTherapeutic Ratioは高い。
5.小細胞肺癌ではTherapeutic Ratioは低い。
A)1,2,3 B)1,2,5 C)1,4,5 D)2,3,4 E)3,4,5
解答)D
53番の治療可能比の話を参照。
5.×→肺小細胞癌は感受性が高いのだから、TRは高くなるはずです。(→50番を参照)
60. 正しいのはどれか。
1.3D conformal radiation therapyにより、副作用を低減することができる。
2.Intensity modulated radiation therapy(IMRT)とは、各照射方向のビームの強度を変えることにより、その総和としての線量分布を最適化する方法のことである。
3.ガンマナイフは、約30個のコバルト線源をもち、ガンマ線を集中して照射することができる。
4.ガンマナイフは非侵襲的な治療である。
5.ガンマナイフは、頸部リンパ節転移の治療はできない。
A)1,2,3 B)1,2,5 C)1,4,5 D)2,3,4 E)3,4,5
解答)B
1.○→3D−CRTはリニアックからの細い高エネルギーX線ビームと患者を乗せたベッドをコンピュータ制御のもとに回転させながら、頭部のみでなく躯幹部の病巣部に集中して照射する治療法で、線量分布が良くなり正常組織への副作用が少なくなります。
2.○→3D-CRTの技術に加えて、さらにビームの出力を変える事によって、線量分布はより腫瘍の原体形状に近くなります。 (→以上、標放p.705)
3.×→ガンマナイフは201個のコバルト線源を使い、γ線を1点に集中させます。
4.×→正常組織も少しは被曝しますし…。選択肢的にも×
5.○→「頭部直径30mm以下程度の小さな腫瘍や残存腫瘍の治療に用いられる」とあるので頚部リンパ節転移には使えないでしょう。
(→標放p.704、705)
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