総合試験 平成17年度卒業試験

平成17年12月2日実施(獲得) マークシート式、130分。
【1】患者に対し、治療を行う場合、インフォームドコンセントを得るのに、適切な人物はどれか。2つ選べ。
1.告知をされていない54歳の胃癌患者  2.23歳の胃潰瘍患者の母親
3.46歳の意識障害患者の家族  4.80歳の認知症患者の長男
5.自立している84歳の患者の長男

【2】白血病の患者にこれから化学療法を行う。インフォームドコンセントを得るために医師がとるべきと考えられる態度はどれか。2つ選べ。
1.複数の治療法を説明はするが、医師は特定の治療法については勧めない。
2.医師が勧める診療行為の危険性についても説明する。
3.患者が不安を抱きそうな医療情報の説明は差し控える。
4.診療行為を行わなかった場合の利益についても説明する。
5.事前に家族と相談して合意を得た方向で、患者に説明する。

【3】老人保健制度について正しいのはどれか。
1.保健医療機関で診察を受けるときは健康手帳を提示する。
2.医療費は公費と患者の一部負担金とですべて賄われる。
3.老人医療の対象者は医療保険に加入する必要はない。
4.老人訪問看護ステーションは在宅寝たきり老人の診療をする。
5.老人保健施設では入所者に対する医療行為は行わない。

【4】予防接種の禁忌について誤っているのはどれか。
1.発熱している者に対する予防接種は、不適当である。
2.心臓血管系疾患・腎疾患・肝疾患・血液疾患・発育障害などの基礎疾患を有することが明らかな者は、接種要注意者である。
3.急性灰白髄炎・麻疹・風疹の対象者については、妊娠していることが明らかな者は、不適当である。
4.痙攣の既往のある者は、予防接種の不適当者である。
5.別種ワクチン接種1週間以内の者は予防接種の不適当者である。

【5】ある患者が手術日当日の朝になって手術を受ける決心がつかないと主治医に強く訴えた。医学倫理上、主治医のとるべき対応として正しいのはどれか。2つ選べ。
1.基礎疾患が悪性腫瘍であれば手術を受けるように患者を説得する。
2.手術の準備をして上司の指示を待つ。 3.当日の手術は中止とし、患者とよく話し合う。
4.患者の不安の中で誤解に基づくものがないか検討する。
5.患者の家族に事情をよく説明し説得してもらう。

【6】誤っているのはどれか。
1.病棟でMRSA感染が広がった場合、医師についてもMRSA保菌の検討が必要である。
2.感染などのため隔離した部屋への入室ではガウンテクニックを励行する。
3.輸血が予想される良性疾患の手術ではできるだけ自己血輸血とする。
4.院内感染予防のために、一人の患者を診察したら、次の患者を診察する前に必ず手を洗う。
5.同室の患者から偶然に結核菌が検出された場合、混乱を招くので同室の患者にそうした事実を説明しない方が良い。

【7】死亡診断書について正しいのはどれか。
1.薬剤師は記載できる。  2.歯科医師は記載できる。
3.主たる死因として急性心不全は適当な病名である。
4.死亡した時間は死亡を確認した時間のことである。
5.主たる死因として呼吸不全は適当な病名である。

【8】40歳、独身男性。1か月前から微熱と全身倦怠感が続くため来院した。2週間前から近医で抗生物質などの投与を受けたがよくならない。この患者の検査や治療を進める上で適切でないのはどれか。2つ選べ。
1.前医に電話をして、これまでの検査や治療状況について問い合わせた。
2.5年前に受診歴があったので、保存カルテを倉庫から取り出して参考とした。
3.結婚歴や交遊歴などの病歴を詳細に聴取した。
4.患者には知られないようにAIDS抗体検査を行った。
5.診断を急ぐために、病歴や診察の結果とは無関係にできるだけ多くの血液検査を行った。

【9】末期癌患者への対応として適切なのはどれか。2つ選べ。
1.本人への病状説明は、予後を含めて包み隠さず、全てを一度に伝える。
2.本人への病状説明は、本人が何を知りたいのかを尊重し、感情の変化に応じて段階的に伝える。
3.末期癌患者の疼痛緩和に対して、ステロイドは有効である。
4.末期癌患者の疼痛緩和に対して、モルヒネは副作用が強く使用しない。
5.肉体的苦痛の激しい臨死患者に、家族の要請に応じて医師が致死的薬剤を投与することは法律的に正しい。

【10】3生月の乳児。出生体重2700g。身長体重ともに発育は月齢相当であった。Down様顔貌のfloppy infantで定頚はできていない。児の母親と祖母が「この子はDown症でしょうか」という心配でつれてきた。対応として適切なのはどれか。
1.染色体検査をしてみないと正確なことはいえないと説明した。
2.Down症に間違いないため、これからの養育が大変であると説明した。
3.児の染色体検査を母はすぐに希望しなかったが、主治医の判断で施行した。
4.母の不安が大きくこの年齢では臨床的に診断しにくいため、1歳以降の染色体検査をすすめた。
5.母が過剰に心配しないよう、染色体検査の結果を祖母にのみ伝える。

【11】8歳の男児。急性骨髄性白血病と診断され治療目的に入院した。担当医の対応として正しいのはどれか。
1.診断を迅速に確認するため問診前に骨髄穿刺を行った。
2.患児の学校から休学用の診断書の提出を求める電話連絡があったので、直ちに作成し送付した。
3.白血病の原因究明のため患児の血液を採取・保存することを説明し同意を得た。
4.両親の落胆が大きかったため治療の副作用と予後については説明せず治療を開始した。
5.治療3日目に両親が「今日の治療は受けたくない。」と申し出たが、治療開始前に治療実施についての承諾を得ていたため予定通り治療を行った。

【12】32歳の男性。発熱が続くため受診した。患者の承諾を得てHIVの検査をしたところ、HIV陽性の所見を得た。この結果について話してよい相手は誰か。2つ選べ。
1.患者本人  2.患者の配偶者  3.患者本人が希望する人
4.生命保険の審査担当者  5.患者の会社の上司

【13】緩和医療について誤っているのはどれか。
1.緩和ケアは、癌の末期のみならず、癌の治療の過程においても適用される。
2.緩和ケアの対象者は、患者及びその家族である。
3.末期癌患者の痛みは、身体的、精神的、社会的、及び霊的痛みを含めた全人的苦痛として対処すべきである。
4.がん患者には、適応障害、うつ病などの精神症状を高頻度に伴う。
5.硫酸モルヒネの作用持続時間は約4時間である。

【14】移植について正しいのはどれか。
1.脳死移植のドナーに移植予定臓器に悪性疾患があっても移植可能である。
2.脳死者ドナーでは本人と家族の同意が必要である。
3.生体移植で救命できる場合、ドナーを積極的に説得すべきである。
4.移植では内容如何を問わず情報は全てを報道関係に公表すべきである。
5.脳死移植のドナーでは脳死判定前にドナーの諸検査を進めておく。

【15】Aさんは末期癌であり、在宅で緩和ケアをうけている。B医師はAさんを週に2回、午後に往診している。最終往診した翌日の午前中に訪問看護婦から死亡を看取ったとの連絡があった。B医師は死亡確認に赴き、死亡を確認した結果、診療中の末期癌で死亡したと判断した。B医師のとるべき処置で法医学的に正しいのはどれか。
1.警察へ連絡し、監察医にみてもらうよう依頼する。
2.警察へ連絡し、死体を検案し死体検案書を発行する。
3.警察へは連絡せず、死体を検案し死体検案書を発行する。
4.訪問看護を最終診療とみなして警察へは連絡せず、死亡診断書を交付する。
5.死亡を看取った訪問看護婦に死亡診断書を書かせる。

【16】診療録の取扱いについて誤っているのはどれか。2つ選べ。
1.コンピューター導入のため、治療終了後5年以上経ったため診療録については破棄した。
2.警察官が交通事故をおこした患者のカルテの提出を求めてきたが断わった。
3.患者本人が同意していたので家族の診療録を開示した。
4.生命保険会社から診療録閲覧を依頼されたためコピーを渡した。
5.患者の上司から申し出があったため、診療録をみせた。

【17】妊娠28週の妊婦。重症の妊娠中毒症のために緊急入院し、帝王切開を行った。児は出生後NICUにて治療していたが、10時間後に死亡した。帝王切開を行った医師が発行すべき書類はどれか。
1.死体検案書  2.死産証書  3.死亡診断書  4.死胎検案書  5.埋葬許可書

【18】医療面接での話のすすめ方として適切でないのはどれか。2つ選べ。
1.患者の年齢、性などによらず、一定の形式で話を進める。
2.患者の話をよく聞き、途中でさえぎらない。
3.誘導的質問は誤った判断を招くことがある。
4.適宜、患者の話を要約することにより内容の確認を図る。
5.効率的に面接を行うために閉じられた質問を多用する。

【19】カルテの開示を行ってよいのはどれか。2つ選べ。
1.患者の上司が要求した時。  2.患者の友人が要求した時。
3.生命保険会社の人が患者の同意書を持参して要求した時。
4.警察官が要求した時。  5.患者の同僚が患者の同意書を持参して要求した時。

【20】小児科における医療面接の進め方で正しいのはどれか。
1.周産期の情報は患者が乳幼児の場合のみ聴取する。
2.患者本人は医療面接の対象としない。 3.家族歴は急性感染症の診断には役立たない。
4.予防接種歴は母子手帳での確認が必要である。
5.小児の訴えは保護者が代弁してもあいまいなことが多いので、なるべく正確な医学用語に言い換えて記載する。

【21】患者の満足する医師の態度として適切でないのはどれか。
1.専門的知識と技術を最新レベルに保っておく。
2.エビデンスに基づいた治療を選択する。  3.検査や治療の意義を十分説明する。
4.内服薬の副作用については患者に不安を与えるのでできる限りふせておく。
5.セカンド・オピニオンを聴くことを望む患者の権利を尊重する。

【22】死を宣告された患者がたどるとエリザベス キューブラー=ロスが述べた5段階について正しいのはどれか。
1.怒り−取り引き−抑うつ−否認−受容  2.否認−怒り−取り引き−抑うつ−受容
3.受容−取り引き−怒り−否認−抑うつ  4.怒り−受容−取り引き−抑うつ−否認
5.否認−怒り−取り引き−受容−抑うつ

【23】インフォームド・コンセントに含まれないことがらはどれか。
1.病名の告知  2.病状の説明  3.病名の決定  4.治療法の選択  5.予後の説明

【24】本邦の移植医療について正しいのはどれか。
1.脳死からの臓器提供は、本人の生前の書面による承諾が必須である。
2.脳死からの臓器提供は、本人の意志が不明な場合、家族の意志があれば良い。
3.脳死判定に平坦脳波は必須でない。
4.2回目の脳死判定は1回目の脳死判定の3時間後に行われる。
5.12歳の小児脳死ドナーからの臓器摘出は可能である。

【25】臨床研究、あるいは臨床試験について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.臨床研究あるいは臨床試験の発案、実行などに際してはヘルシンキ宣言を遵守する必要がある。
2.外科手術の標本で、病理診断に用いたあと廃棄処分になるものについては研究に利用する際に患者本人や家族への承諾は不要である。
3.認可後市販されている薬を用いた臨床試験には、参加する患者本人や家族への承諾は不要である。
4.厚生労働省の認可前の薬を用いた臨床試験には、参加する患者本人や家族への承諾は不要である。
5.臨床試験に際しては、患者がこれに参加することを拒否または中途で離脱しても十分な治療が受けられる事を保証する必要がある。

【26】中心静脈栄養について,誤っているのはどれか。2つ選べ。
1.糖の濃度は、静脈炎が起こらないよう10%以下に抑えなければならない。
2.ビタミンB群の添加が必要である。
3.カテーテルを鎖骨下静脈に挿入した場合、呼吸状態の変化に注意する必要がある。
4.カテーテルが閉塞した場合、低血糖が起きることがある。
5.発熱した場合、すぐにカテーテルを抜去するのではなく抗生物質を通常量より多く投与する。

【27】腹痛を訴える患児の腹部の診察について、誤っているのはどれか。
1.Blumberg徴候の有無を調べる。  2.筋性防御の有無を調べる。
3.腹痛の存在部位から診察を始める。  4.腸雑音を十分に聴取する。
5.思春期女児の場合には腹部X線検査を行う前に妊娠の有無を配慮する。

【28】合成グルココルチコイド(ステロイド)治療において誤っているのはどれか。2つ選べ。
1.末梢血の白血球数、好酸球数が増加する。  2.感染症を起こしやすい。
3.インスリン抵抗性糖尿病を起こしやすい。
4.椎体骨折を起こしやすい。  5.全身肥満を来たす。

【29】腹水を来たさない疾患はどれか。
1肝硬変症  2癌性腹膜炎  3胃潰瘍  4ネフローゼ症候群  5うっ血性心不全

【30】一次予防と考えられるのはどれか。
1.寝たきりゼロ作戦  2.予防接種  3.老人健康調査
4.低フェニルアラニン食  5.デイケア

【31】行動療法の特徴について誤っているのはどれか。2つ選べ。
1.行動療法では諸症状は学習の結果であると考える。
2.無意識を仮定し、目に見えない行動も対象とする。
3.実際は治療中、患者自身が行動する必要はない。
4.治療の目標は、不適応行動の修正、再学習である。
5.代表的治療として系統的脱感作法が挙げられる。

【32】4か月児健診でチェックすべき項目はどれか、2つ選べ。
1.首のすわり  2.股関節の開排制限  3.ヘパプラスチンテスト
4.パラシュート反射  5.発語

【33】誤っているのはどれか。2つ選べ。
1.成人での気道異物は一般的に右側気管支に多い。
2.腐食性の強い強酸、強アルカリを誤飲した患者の処置としては、まず催吐させる。
3.体表における熱傷面積が同じなら、成人の方が小児に比べより重症であるといえる。
4.緊張性気胸では、縦隔の健常側への著しい偏位が認められる。
5.自殺目的で大量の睡眠薬を服用した患者には、左側臥位で胃洗浄を行う。

【34】女性化乳房(gynecomastia)をきたさないのはどれか。
1.腎不全 2.思春期の男性 3.スピロノラクトンの服用 4.甲状腺機能低下症 5.肝硬変

【35】思春期の診察に関して正しいのはどれか。2つ選べ。
1.思春期患者の診察においては差恥心やプライバシーの保護に特に配慮して診察する。
2.二次性徴の発現時期には個人差が存在する。
3.多くの女性では年間身長増加量は初経初来前1年で最大となり、初経初来後も増加してゆく。
4.小人(低身長)症の判定は一般に同性、同年齢の標準身長の平均から-SD(標準偏差)以下の身長を示す場合に適用する。
5.思春期において遺伝的性と社会的性の不一致が認められる場合には、遺伝的性を尊重して対応する。

【36】出血性ショックであると考えにくい情報はどれか。3つ選べ。
1.中心静脈圧15cmH2O 2.血液pH7.54 3.頻脈 4.末梢静脈の虚脱 5.尿量150ml/時

【37】意識障害を有する救急患者について、誤っているのはどれか。2つ選べ。
1.糖尿病患者の場合にはグルコースの静脈内投与は禁忌である。
2.てんかん発作後に意識障害が持続することがある。
3.項部硬直を認める場合には髄膜脳炎やくも膜下出血を鑑別する必要がある。
4.慢性肺疾患のある患者に高濃度酸素吸入後に意識障害が起こった場合はCO2ナルコーシスの発症を疑う。
5.眼球浮き運動ocular bobbingを認める場合には視床出血の存在を疑う。

【38】56歳の男性。十二指腸潰瘍と狭心症の既往がある。昨夜、大量の飲酒の後、夜半急激な上腹部痛が生じ、救急車で来院した。来院時、苦悶様表情を呈し、上腹部は圧痛と筋性防御とが著明であった。体温37.5℃、脈拍95/分、整、血圧150/96mmHg。行うべきでないのはどれか。
1.胸部単純撮影(立位)  2.上部消化管造影(バリウム透視)
3.上部消化管内視鏡  4.腹部超音波検査  5.心電図

【39】誤っている組み合わせはどれか。
1.出血性ショック−腎血流量減少  2.心原性ショック−心係数2.0L/min/m2
3.敗血症性ショック−全身性炎症反応症候群(SIRS)
4.神経原性ショック−末梢血管収縮  5.アナフィラキシーショック−I型アレルギー

【40】診察について誤っているのはどれか。
1.下肢の方から頭側へ向かう腹壁静脈怒張は門脈圧亢進を示唆する。
2.触診では腹水は波動性を認める。  3.急性膵炎では背部に出血を認める。
4.皮下気腫では握雪感を認める。  5.下肢を指圧すると浮腫が判る。

【41】正しいのはどれか。2つ選べ。
1.意識障害患者ではまずバイタ.ルサインをチェックする。
2.刺激しても覚醒しない場合、意識障害の程度は10〜30/JCSと判定する。
3.嘔吐がある意識障害患者は仰臥位を保つ。
4.意識障害患者において導尿は禁忌である。
5.意識障害患者ではショック、低血糖の除外を行う。

【42】心停止状態で発見された直後の処置として有効とされているのはどれか。2つ選べ。
1.ネオフィリン点滴静注  2.ヘパリン静注  3.心室細動に対する電気的除細動
4.エピネフリンの静注  5.ステロイド点滴静注

【43】75歳の男性。感冒に対してアモキシシリンを処方された。数日後から1日10回におよぶ水様下痢が出現し、発熱を伴ってきたため来院した。大腸内視鏡検査で直腸−S状結腸に黄白色調の小隆起性病変が多発していた。便培養ではClostridium defficileを認めた。最も適切な薬剤はどれか。
1.クリンダマイシン  2.クラリスロマイシン  3.カナマイシン
4.塩酸バンコマイシン  5.ミノサイクリン

【44】正しいのはどれか。2つ選べ。
1本邦では欧米人に比し、冠攣縮性狭心症の頻度が高い。
2内分泌性高血圧のなかで最も頻度が高いのは褐色細胞腫である。
3近年、本邦でも脳卒中より心筋梗塞の発症頻度の方が高い。
4維持血液透析導入に至る基礎疾患としては高血圧性腎硬化症が最も多い。
5大動脈炎症候群は女性に多い。

【45】誤っているのはどれか。2つ選べ。
1.日本人の死因の順位は悪性新生物、心疾患、脳血管疾患の順である。
2.脳梗塞の死亡率は激減したが、脳出血のそれはむしろやや増加している。
3.悪性新生物による死亡に占める肺癌の割合は減少している。
4.悪性新生物による死亡に占める大腸癌の割合は増加している。
5.脳卒中の一番の危険因子は高血圧である。

【46】日本人の心血管病の疫学について誤っているのはどれか。2つ選べ。
1.降圧治療の普及により、脳出血の生命予後は改善した。
2.禁煙により脳梗塞の発症率は低下する。
3.急性心筋梗塞の発症率は時代とともに低下している。
4.高コレステロール血症は脳出血の危険を増す.
5.脳梗塞の発症率は男性の方が女性より高い。

【47】癌と関連ある微生物との組合せで誤っているのはどれか。2つ選べ。
1.肝癌−C型肝炎ウイルス  2.胃癌−ヘリコバクターピロリ
3.Burkittリンパ腫−EB(Epstein-Barr)ウイルス
4.大腸癌−大腸菌  5.乳癌−ヒトパピローマウイルス

【48】脾摘出術の適応とならないのはどれか。2つ選べ。
1.悪性貧血  2.特発性血小板減少性紫斑病  3.自己免疫性溶血性貧血
4.遺伝性球状赤血球症  5.再生不良性貧血

【49】高齢者について誤っているのはどれか。
1.肺活量は、高齢になると低下する。
2.高齢者の生理学的特徴として、動脈血酸素分圧の低下がある。
3.細胞外液量は高齢になると低下する。  4.高齢者では、尿濃縮能が低下する。
5.高齢者では、心負荷に対する予備力が低下する。

【50】高齢者について誤っているのはどれか。
1.体内の相対的総水分量は低下している。
2.薬剤に対し低濃度でも副作用を起こしやすい。
3.軽度の甲状腺機能亢進でも心不全を呈しやすい。
4.食後血糖値は若年者より低い傾向にある。
5.薬剤の肝・腎におけるクリアランスは低下しており血中濃度は増加しやすい。

【51】35歳の女性。突然の胸痛と息苦しさを訴えて来院した。3日前から左下肢の腫脹を認めていた。とくに外傷はなかった。理学所見では発熱はなく、呼吸数32/分、心拍数120/分、血圧は115/82mmHg。心音ではII音の亢進を認めた。左下肢は赤く腫脹し、圧痛を伴っている。呼吸音は正常で、胸部エックス線写真は異常なし。動脈血ガス分析ではPaCO2: 30mmHg, PaO2: 58mmHgであった。次に行うべき検査はどれか。
1.経食道超音波検査  2.経胸部超音波検査  3.心臓カテーテル検査
4.換気・血流シンチグラフィー  5.FDP/Dダイマー検査

【52】72歳の女性。糖尿病で食事療法のみで管理されていた。3日前から発熱、下痢および食欲不振が出現し、今朝から傾眠状態となったため救急車で来院した。体温37.6度、血圧100/60mmHg、脈拍98/分で整。皮膚は乾燥している。尿所見:蛋白(-)、糖(+++)、アセトン(+)。血液生化学検査では血糖880mg/dl,Na153mEq/l,K4.7mEq/l,pH7.40。適切な治療はどれか。2つ選べ。
1.低張性食塩水の静脈点滴  2.持続型インスリンの皮下注射
3.速効型インスリンの静脈内持続投与 4.重炭酸ナトリウムの投与 5.抗生物質の投与

【53】58歳の男性。43歳時に高血圧を指摘され、降圧治療を受けていたが、自覚症状はなく内服は不定期であった。仕事中に急に言葉が出にくくなり、右上下肢の力が抜け、その場に倒れ込んだ。頭痛を訴え、嘔吐し、呼びかけに対して反応が鈍いため、救急搬送されてきた。来院時、意識はJCS10、血圧160/98mmHg、脈拍78/分。心音、呼吸音に異常なし。神経学的所見では、失語及び右不全片麻痺を認めた。まず行うべき適切な処置はどれか。
1.吐物が気道に入らないよう麻痺側を上に側臥位とする。
2.降圧薬の舌下投与を行い直ちに降圧する。  3.腰椎穿刺を行い髄液の検査を行う。
4.頭部MRI検査を行う。  5.血栓溶解薬を投与する。

【54】DIC(播種性血管内凝固症候群)で、低下する検査値はどれか。3つ選べ。
1.アンチトロンビンIII  2.プロトロンビン時間
3.Fibrin/fibrinogen degradation product(FDP)
4.血漿プラスミノーゲン  5.血漿フィブリノーゲン

【55】喘息に対するステロイド薬使用について誤っているのはどれか。2つ選べ。
1.プレドニゾロン20mg/隔日と10mg/毎日の服用では副腎機能の抑制に差がみられる。
2.持続的筋注ステロイドは使用してはならない。
3.小児への吸入ステロイドは高用量でも発育抑制はみられない。
4.中等度以上の喘息患者においては、経口ステロイド薬が用いられる。
5.効果/副作用の比は、吸入療法が経口または注射による全身療法より優れている。

【56】45歳の女性。喘息の既往がある。感冒に対し近医で処方されたセフェム系抗生剤を昼食後内服した。15分後から突然強い呼吸困難が出現し、30分後救急車で外来受診した。来院時、意識清明、脈拍98/分整、血圧60/40mmHg、気道狭窄音は聴取されなかった。正しいのはどれか。3つ選べ。
1.アスピリン喘息である。  2.I型アレルギー反応が関与している。
3.皮膚テストで予知できる。  4.アドレナリンの皮下注射を行う。
5.気管支拡張剤の吸入を開始する。

【57】45歳の女性。咳、呼吸困難を主訴として来院した。来院時体温38.5℃、白血球数15200/μl(好中球82%・単球3%・好酸球2%・好塩基球1%)、血沈36mm(1hr)、CRP5.5mg/dl。両側下肺にfine crackleを聴取、胸部単純写真で下肺野に優位なスリガラス状陰影を認めた。入院後3日目、体温正常となり、胸部単純写真も改善したが、退院2日後には同様の症状で再入院となった.気管支鏡、Transbronchial lung biopsy(TBLB)、Bronchoalveolar lavage(BAL)を施行し、Bronchoalveolar lavage fluid(BALF)中のリンパ球の増加、CD4/CD8比0.55という結果を得た。正しいのはどれか。2つ選べ。
1.入院時血液ガス所見では低酸素血症がみられない。
2.Trichosporonに対する沈降抗体がみられる。
3.わが国では農夫肺についで多い。  4.治療は一般に気管支肺胞洗浄を行う。
5.肺には小さい類上皮細胞性肉芽腫がみられる。

【58】77歳の男性。10年来、経口糖尿病薬の投与を受けている。胃部分切除術後7日目、吻合部ドレーンからどろっとした胃内容を認めた。2〜3日前から発熱も認めていた。脱力感が高度である。血清ケトン体(-)、尿ケトン体(-)、尿糖:強陽性、動脈血pH7.3、HCO3-:30mEq/l、血液生化学所見:グルコース600mg/dl・ナトリウム155mEq/l・カリウム5.0mEq/l、尿素窒素20mg/dl、クレアチニン1.3mg/dl、血液浸透圧380mOsm/L。誤っているのはどれか。
1.初期に大量の輸液を行う。 2.全身的にはKは足りているので過剰にKを投与しない。
3.レギユラーインスリンの投与を行う。  4.絶飲絶食とする。
5.吻合部のドレナージを積極的に行う。

【59】次の文を読み、問59、60に答えよ。28歳の女性。右季肋部痛を主訴に来院した3か月前、胆石症に対し腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した。胆石は径2mmの小結石で胆嚢頚部に多数認められた。術後経過は良好で、術後8日目に自宅退院となった。血圧120/70mmHg、体温37.3℃、脈拍89/分整。眼球結膜に軽度の黄疸、右上腹部を中心とした圧痛を認め、同部に軽度の腹膜刺激症状を認めたが、鎮静剤で症状はかなり軽減していた。白血球12,000/mm3、CRP2.4mg/dl、ALP143U/l、LDH156U/l、T-Bil2.3mg/dl、AST56U/L、ALT45U/l。この症例で直ちに必要な検査はどれか。2つ選べ。
1.腹部単純X線写真  2.ERCP  3.CT  4.エコー  5.便潜血

【60】この症例で、考えられうる所見はどれか。3つ選べ。
1.肝内胆管の拡張  2.右横隔膜下膿瘍  3.Free Airの存在
4.膵管の拡張  5.小腸ガスの鏡面像

【61】次の文を読み、問61、62に答えよ。
54歳の女性。胸やけ、体重減少を主訴に来院した。
現病歴:5年前、手指、前腕、顔面皮膚の硬化が認められ、皮膚科で治療を受けていた。2年前から関節痛、筋肉痛が強度となった。同時期より胸焼けがあったが2か月前から増悪し、吐物に血が混じる様になった。また2か月で5kgの体重減少を認めた。
既往歴:特記すべきことなし
現症:身長152cm、体重38kg。体温は正常。血圧110/75mmHg。眼瞼結膜に貧血を認める。眼球結膜に黄疸なし。顔面、手指の皮膚の萎縮硬化、尖鼻、舌小体の短縮あり。胸部に異常なし。腹部は軽度膨隆し腸雑音はやや減弱。神経学的に異常なし。
血液検査所見:赤血球数345×10^4/mm3、白血球数10300/mm3、ヘモグロビン8.9g/dl、ヘマトクリット29%、血小板数32×10^4/mm3、血液生化学所見:AST14U/L、ALT6U/L、LDH395U/L、総ビリルビン0.6mg/dl、総コレステロール135mg/dl、尿素窒素24mg/dl、ナトリウム140mEq/L、カリウム4.3mEq/L、クロール100mEq/L、RA(-)、抗Scl-70抗体陽性。この患者で、予測される内視鏡所見はどれか。3つ選べ。
1.食道裂孔ヘルニア 2.食道癌 3.逆流性食道炎 4.食道潰瘍 5.下部食道の蠕動消失

【62】この症例で、診断、治療について.正しいのはどれか。2つ選べ。
1.確定診断には食道内圧検査が有用である。
2.確定診断には内視鏡下の生検が有用である。  3.放射線療法が有効である。
4.薬物療法に反応しなければ手術を勧める。  5.原疾患の治療が必要である。

【63】84歳の男性。身長169cm、体重56kg。昨日、幽門部の進行胃癌で胃切除術を施行した。意識は清明で、ドレーンからの出血もない。血圧134/68mmHg、脈拍72/分、尿量20ml/時、尿比重1.034であった。以下に術前の検査成績を示す。
WBC5190/μl、Hb9.6g/dl、Ht28.6%、Plt8.9×10^4/μl
TP8.4g/dl、Alb4.1g/dl、T.Bil0.8mg/dl、AST26U/l、ALT11U/l、LDH760U/l、ALP202U/l、BUN64mg/dl、クレアチニン2.6mg/dl、Na134mEq/l、K4.1mEq/l、Cl104mEq/l。
適切な処置はどれか。2つ選べ。
1.すぐに利尿剤を投与する。  2.まず輸液をカリウムfreeとし、輸液量を減らす。
3.直ちに血液透析を行う。  4.腎毒性抗生物質の投与を中止する。
5.中心静脈圧を測定する。

【64】45歳の男性。急性骨髄性白血病の患者で、骨髄移植後3か月、発熱と咳嗽、息切れが続いている。理学所見は38.6℃、血圧130/80mgHg、脈拍110/分、呼吸数30/分。斑丘疹が体全体に認められ、肺でdiffuse crackleが聴取でき、胸部単純写真では、両側肺野の、特に下肺野に間質性の浸潤像が認められた。喀痰検査、異常なし。気管支鏡検査では培養、真菌染色ともに陰性であった。しかし、肺生検の病理組織で核内封入体をもった大型の細胞が見いだされた。周囲にはプラズマ細胞とリンパ球の浸潤がみとめられた。診断はどれか。
1.カリー二肺炎  2.マイコプラズマ肺炎  3.サイトメガロウイルス肺炎
4.Bronchiolitis obliterans organizing pneumonia(BOOP)  5.レジオネラ肺炎

【65】10年前からSLEの診断でステロイド内服中(プレドニン10mg/日)の患者。腸閉塞の症状で発症し、諸検査でS字状結腸癌の診断を受けた。S字状結腸切除術予定である。術前、術後に行う処置として誤っているのはどれか。2つ選べ。
1.抜糸は通常通り術後1週間で行う。
2.手術日にヒドロコルチゾン300mgを投与し以後、漸減する。
3.術後経口開始は通常より遅らせる。  4.閉創には吸収糸を用いる。
5.術後、抗生物質は3週間以上行う。

【66】次の文を読み、問66〜68に答えよ。
83歳の女性。以前からときに上腹部痛を訴えることはあったが元気であった。4日前、夕食後に腹痛をきたし、深夜から38.7℃の発熱をみた。その後も午前中平熱に戻り夕方再び発熱をみることが3日間繰り返した。昨日、家族が皮膚の黄染に気付き、夜間、さらに異常な行動がみられた。今朝、受け答えがなく意識混濁がみられたため、家族が救急隊に連絡した。65歳時に胆石症のため胆嚢摘出術を受けた。体温37.8℃。脈拍90/分、整。血圧84/62mmHg。眼球結膜に明らかな黄疸を認める。腹部の理学的所見は意識が混濁しているため、不明である。
尿所見:蛋白(-)、糖(-)、尿ビリルビン(++)。血液所見:赤血球数385×10^4/μl、Hb12.0g/dl、白血球数13,600/μl、血小板数5×10^4/μl。血液生化学検査所見:総蛋白6.2g/dl、尿素窒素45mg/dl、クレアチニン2.5mg/dl、AST78U/l(基準<33)、ALT104U/l(基準<30)、CRP2.0mg/dl(基準<0.3)。この患者で急いで行うべき検査はどれか。2つ選べ。
1.腹部超音波検査  2.脳波検査  3.クレアチニンクリアランス
4.内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)  5.頭部CT

【67】この患者に適切な治療はどれか。2つ選べ。
1.内視鏡的胆管ドレナージ  2.閉鎖病棟隔離  3.血栓溶解薬点滴投与
4.経皮経肝胆管ドレナージ  5.血液透析

【68】考えられる診断名はどれか。2つ選べ。
1.老人性痴呆症  2.急性腎不全  3.急性閉塞性化膿性胆管炎
4.肝内胆汁うっ滞  5.脳梗塞

【69】24歳の女性。14歳のとき、1型糖尿病と診断され、インスリン治療を開始した。1日4回のインスリン注射でHbA1c9%前後である。22歳で結婚し、今回、無月経となったため、妊娠を疑い来院した。尿妊娠反応陽性であり、HbA1cは9.3%であった。誤っているのはどれか。
1.計画妊娠がなされておらず、奇形児の確率が高いので、人工妊娠中絶の適応である。
2.血糖のコントロール目標は食前100mg/dl以下、食後2時間120mg/dl以下である。
3.糖尿病妊婦では妊娠中毒症の合併頻度が高い。
4.妊娠中は糖尿病網膜症が急速に進行し、光凝固術が必要となることがある。
5.新生児は巨大児、低血糖、呼吸促迫症候群(IRDS)、黄疸などを合併しやすい。

【70】70歳の男性。45歳時に高血圧、50歳時に糖尿病を指摘されたが放置していた。62歳から間欠性跛行出現し、閉塞性動脈硬化症と診断された。最近、さらに血圧が上昇し、腎機能障害も認められたため、近医より紹介された。
生活歴:喫煙が30本/日、飲酒は日本酒2合/日。
現症:身長162cm、体重64kg。脈拍56/分整、血圧202/108mmHg、眼底Keith Wagener IIaで増殖性網膜症あり。心音・呼吸音は異常ないが上腹部に血管雑音聴取する。足背動脈は触知せず。
血液検査:Hb10g/dl、Ht35%、BUN40mg/dl、クレアチニン3.8mg/dl、Nal42mEq/l、K4.6mEq/l、空腹時血糖156mg/dl、HbAlc8.7%。検尿では蛋白2+、潜血±、糖2+、心電図上LVHを認めた。正しいのはどれか。
1.降圧治療の適応であり、β遮断薬が第1選択となる。
2.直ちに血管造影を施行すべきである。  3.ワーファリン投与が必須である。
4.腎血管性高佃庄の合併を除外する必要がある。
5.糖尿病性腎症の合併の可能性はない。

【71】46歳の男性。身長164cm、体重94kg。1か月前から持続する全身倦怠感を訴え、受診した。意識は清明で、血圧168/98mmHg、脈拍数80/分、眼底検査で出血と動脈の軽度狭小化を認めた。
尿検査:糖(3+)、蛋白(2+)、潜血(-)、ケトン(-)
血液生化学検査:TP7.5g/dl、Alb3.5g/dl、BUN30mg/dl、クレァチニン1.9mg/dl、Na135mEq/l、K3.7mEq/l、Cl102mEq/l、Glu320mg/dl、UA8.7mg/dl、HbAlc10.2%。現時点で実施すべき適切な治療法はどれか。2つ選べ。
1.血液透析を行う。  2.直ちにインスリンを投与し、血糖を正常化する。
3.塩分制限およびカロリー制限の食事療法を行う。
4.アンジテンシン変換酵素阻害薬を投与する。  5.利尿薬を静脈内投与する。
解答はbdではないかと考えました。極端な高血糖なので食事療法よりはまずインスリンではないかと。でARBで降圧し腎や血管の保護を図る。eの利尿薬はUAが高いので痛風発作を引き起こす懸念があり、禁忌肢かも。

【72】56歳の男性。10年前に多発性嚢胞腎と診断された。この3年間で腹部の腫瘤が増大し、最近では、食後に腹部膨満感が高度になった。8月10日から、風邪様症状があり、食欲が低下、まともに食事ができず、水も飲まず、家で寝ていた。8月21日、姉が尋ねていった時、呼びかけにも応じず、手足がふるえていたので、すぐに救急車を呼び搬送された。
緊急検査所見(外来受診時)=Hb12g/dl、WBC10,800/ml、血小板数12×10^4ml、BUN 140mg/dl、クレアチニン6mg/dl、Na156mEq/L、K6.2mEq/L、Cl118mEq/L、動脈血ガスpH7.14、PO2:98mmHg、PCO2:17mmHg、HCO3-:6mEq/l
この患者にみられる理学的所見として考えにくいのはどれか。2つ選べ。
1.顔面浮腫  2.頸静脈虚脱  3.腹部腫瘤  4.尿臭  5.湿性ラ音

【73】56歳の男性。身長175cm、体重52kg。日本酒2〜3合、35年間の飲酒歴がある。15年前から飲酒後の軽度の上腹部痛と背部痛を自覚している。最近、下痢および体重減少あり、精査のため来院した。
血清生化学検査:総蛋白7.4g/dl、アルブミン3.6g/dl、総ビリルビン1.1mg/dl、AST32U/l、ALT28U/l 、ALP208U/l、アミラーゼ89U/l、空腹時血糖140mg/dl、HbAlc7.8%。
上腹部超音波検査およびCT検査にて膵の萎縮、膵実質内に小石灰化および主膵管の拡張を認めた。正しいのはどれか。
1.膵型アミラーゼの高値と脂肪便を認めた。
2.膵性糖尿病の診断のためアルギニン負荷試験をおこなった。
3.直ちに絶食とし蛋白分解酵素剤を投与した。
4.内視鏡的逆行性胆管膵管造影の適応はない。
5.消化剤投与で血糖のコントロー.ルが良好となった。

【74】次の文を読み、問74〜76に答えよ。
51歳の女性。多飲、多尿と腰痛を訴え来院した。
現病歴:3か月前からSLEの診断で大量のプレドニンの治療を続けている。2週間前から多飲、多尿が出現し、1週間前から急に激しい腰痛が出現したため、来院した。閉経48歳。家族歴:糖尿病を認めない。現症:身長162cm、体重51kg、血圧124/84mmHg、顔面蝶形様紅斑、両手指凍瘡様皮疹を認める。尿所見:糖(3+)、蛋白(+)、沈渣に赤血球1〜5/1視野、白血球2〜6/1視野、円柱(-)。血液検査:赤沈20mm/1時間、赤血球数400万/ml、ヘモグロビン9.8g/dl、白血球数9800/ml(桿状核好中球6%、分葉核好中球72%、単球3%、リンパ球19%)、血小板数15.6万/ml。血液生化学検査:空腹時血糖220mg/dl、HbA1c7.2%、総蛋白6.2g/dl、アルブミン3.8g/dl、総コレステロール280mg/dl。腹部単純レントゲン写真:腰椎の変形(+)、石灰化(-)。SLEの診断に必要な検査はどれか。
1.抗DNA抗体 2.抗Sn抗体 3.SLE細胞 4.抗RNP抗体 5.抗カルジオリピン抗体

【75】この患者の糖尿病の特徴で誤っているのはどれか。
1.発症時よりインスリン分泌低下を来す。  2.発症時は過剰インスリン分泌を示す。
3.腎臓での糖の排泄閥値が低下する。  4.インスリン治療を必要とする。
5.インスリン抵抗性を来す。

【76】腰痛の原因として考えられるのはどれか。
1.尿路感染症  2.腎結石  3.椎体骨折  4.胆石症  5.腸閉塞

【77】次の文章を読み、問77、78に答えよ。
75歳の男性、糖尿病で食事療法中。63歳時、虚血性心臓病で、経皮的冠動脈形成術を受けたが、今でも胸痛が時々ある。2年前から200m前後の歩行で左下腿の疼痛がみられていたが、1か月前からは50m前後で疼痛がおこるようになり、部位も左大腿部にまで及ぶようになってきた。左足趾には潰蕩を認めるが痔痛の訴えはない。血管造影所見を別に示す。正しいのはどれか。

1.心臓カテーテル検査は必要ではない。
2.Fontaine分類では2度に相当する.
3.歩行によって左臀部に疼痛を伴うことがある。
4.糖尿病性神経症の可能性は低い。  5.側副血行路の発達は乏しい。

【78】この症例の治療について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.血行再建術の適応である。  2.冠動脈バイパス術の適応である。
3.安静時疼痛がないことより保存的治療の適応である。
4.経皮的血管形成術の適応である。  5.糖尿病に対しては治療法の再検討を要する。

【79】75歳の男性。総胆管結石の既往がある。皮膚の黄染に続き、発熱あり。便の色が白い。腹部超音波検査および腹部CT検査で、拡張した総胆管内に石灰化を伴う結石とともに、胆嚢腫大と肝内胆管の拡張を認める。誤っているのはどれか。
1.絶食にする。  2.抗生物質投与で待機的に治療する。
3.多くはE. coli、Klebsiellaなどのグラム陰性桿菌感染を伴う。
4.敗血症、シヨック、消費性凝固障害となりやすい。  5.緊急胆道減圧処置を行う。

【80】次の文を読み、問80、81に答えよ。
28歳の男性。3歳時、39℃台の発熱が5日以上続き、眼球結膜の充血、頚部リンパ節腫脹などの症状があり、入院したことがある。階段を駆け上がっている時に、急に胸痛が出現。冷汗や顔面蒼白も見られ、救急車で搬送された。病院到着後も胸痛は持続していた。意識混濁、脈拍数90/分、脈不整あり、奔馬調律。血圧78/60mmHg、呼吸音清明。心尖部に収縮期雑音を認める。3歳時に罹患したと考えられる疾患はどれか。
1.リウマチ熱  2.川崎病  3.若年性関節リウマチ
4.アレルギー性紫斑病  5.猫ひっかき病

【81】入院後、予想される検査データ(a〜d)の推移はどの順か。
a.心電図上の異常Qの出現  b.T波の増高、尖鋭化
c.血清LDHの上昇  d.心電図上のST上昇
1(a-d-b-c)  2(d-b-a-c)  3(d-c-a-b)  4(b-d-a-c)  5(a-b-d-c)

【82】消化管手術後のMRSA腸炎について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.術直後から発熱、下痢、腹痛で発症する。  2.白血球減少例は軽症である。
3.便のグラム染色ではグラム陰性桿菌を認める。
4.緑膿菌や腸球菌などの混合感染が多い。  5.胃内酸度の低下と関.連する。

【83】43歳の女性。30歳時に全大腸炎型潰瘍性大腸炎と診断され、以後、副腎皮質ステロイドと5アミノサリチル酸製剤による治療をうけてきたが、再発を繰り返している。6か月前から寛解を維持し、5アミノサリチル酸製剤のみの投与を受けていたが、4か月前から肝機能障害があり、増悪傾向がみられた。眼瞼結膜に貧血はなかったが、球結膜に軽度の黄疸を認め、腹部では肝を1横指触知した。腸音は正常で、圧痛は認めなかった。血液生化学検査:RBC381×10^4/μl、Hb11.5g/dl、Ht38.2%、WBC5400/l、Plt18.5×10^4/μl、TP7.1g/dl、Alb3.9g/dl、BUN22mg/dl、Cr0.8mg/dl、CRP0.1mg/dl、AST58U/L、ALT75U/L、ALP1087U/L、g-GTP482U/L、T-Bil2.3mg/dl、D-Bil1.8mg/dl最も疑われる診断はどれか。
1.薬剤性肝炎  2.自己免疫性肝炎  3.原発性胆汁性肝硬変
4.ウイルス性肝炎  5.硬化性胆管炎

【84】77歳の女性。5年前に進行胃癌に対して幽門部胃切除術をうけた。1〜2年前から手術創が膨隆するようになった。違和感も訴えるようになり、腹部CT検査を行った。別に示す。正しい診断はどれか。

1.胃癌の大動脈周囲リンパ節再発  2.胃癌の腹膜播種
3.腹壁瘢痕ヘルニア  4.大腸癌  5.胃癌の腹壁再発


【85】42歳の女性。Basedow病の治療中、左乳房の4cm大の腫瘤に気付き来院した。精査の結果、乳癌であったため胸筋温存乳房切除術を行なった。術当日の夜、39℃の発熱をきたした。血圧130/60mmHg、脈拍140/分、精神状態はやや不穏。腋窩に留置したドレーンからは出血は認めていない。誤っているのはどれか。2つ選べ。
1.ルゴール液を投与する。 2.体を冷却する。 3.テトライオドサイロニンを投与する。
4.交感神経β刺激薬を投与する。  5.ステロイドを投与する。
2004年52と同じ

【86】次の文を読み、問86〜88に答えよ。
7歳の男児。腹痛・嘔吐を主訴に来院した。妊娠・分娩異常なし。頚座7か月、独歩16か月、この頃から失調歩行あり。乳幼児期から中耳炎・肺炎を繰り返していた.6歳時、間けつ性の腹痛・嘔吐あり。当院で腸重積の診断、高圧浣腸整復が不能であったため、開腹術をうけた。その際、腸管に腫瘍が発見され、摘出術をうけた。現症:眼球結膜に血管拡張あり。肝脾腫・リンパ節腫大なし。神経学的所見で小脳失調の所見あり。
この患者でみられた腸管部の腫瘍の原因として、最も頻度が高い悪性疾患はどれか,
1.横紋筋肉腫  2.平滑筋肉腫  3.悪性リンパ腫  4.神経芽細胞腫  5.血管肉腫

【87】この患者の血液検査で見出されうる特異的な異常はどれか。
1.Tリンパ球数の上昇  2.血清α-fetoprotein値の上昇
3.抗プルキンエ細胞抗体の上昇  4.血清IgA値の上昇  5.血清lgE値の上昇

【88】染色体がこの疾患と同様の特徴を有する疾患はどれか。
1.Fanconi症候群 2.Di George症候群 3.色素性乾皮症 4.Wilson病 5.Gaucher病

【89】68歳の男性。腰痛のため近医(整形外科)を受診した。全身X線写真で頭蓋骨、腰椎、腸骨などに多くの骨融解像が認められ、精査加療のために入院した。血液検査で血中M蛋白が陽性であった。可能性の低い病態はどれか。
1.貧血  2.高カルシウム血症  3.神経障害  4.腎障害  5.高尿酸血症

【90】49歳の男性。以前から高血圧を指摘されていたが放置していた。今朝、突然崩れるように倒れたところを発見され、救急車で搬送された。来院時の血圧は250/140mmHg、脈拍112/分、不整脈なし。意識はJapan coma scaleで20。左片麻痺、重度の構音障害を認めた。発症2時間後の頭部CTを別に示す。適切な処置はどれか。2つ選べ。

1.降圧薬の投与を開始する。
2.グリセロールを投与し、脳浮腫の進展を抑制する。
3.栄養摂取のため、ただちに経鼻胃管から流動食を与える。
4.血腫の拡火を予防するため、血腫除去術を行う。
5.痙攣をひきおこす可能性があるため、抗けいれん薬を投与する。

【91】35歳の男性。アルコールを多量に飲んだ後、激しい.上腹部痛が生じた。アルコール歴あり。体温38.2度、血圧80/60mmHg、脈拍110/分、上腹部圧痛を認める。
血液所見:白血球数18200/μl、赤血球数380×10^4/μl、ヘモグロビン10.2g/dl、血小板数12×10^4/μl。血液生化学所見:総蛋白6.5g/dl、尿素窒素28mg/dl、クレアチニン2.0mg/dl、尿酸5.6mg/dl、総ビリルビン2.5mg/dl、直接ビリルビン1.5mg/dl、TTT3.5KU、ZTT5.0KU、Na138mmol/l、K3.8mmol/l、Cl4.5mmol/l、Ca6.0mmol/l、Fe80μg/dl、AST45U/L、ALT48U/l、LDH280U/l、ALP550U/l、ChE100U /l、アミラーゼ28000U/l、総コレステロール200mg/dl、空腹時血糖120mg/dl、CRP3.5mg/dl、動脈血ガス分析:PH7.15、PO2:75.5mmHg、PCO3:46.4mmHg、BE-8.5mmol/l。腹部CT画像を別に示す。正しいのはどれか。3つ選べ。

1.経口摂取を開始する。  2.蛋白分解酵素阻害剤を投与する。
3.抗生物質投与を開始する。  4.メイロンを投与する。
5.感染がなくても外科的処置の適応となる。

【92】70歳の男性。糖尿病歴20年。すでに三症を合併しているがインスリン治療により最近のHbA1cは7.5%とコントロール良好であった。前日から急に食欲が低下し、生汗が出るのに気づいたが放置していた。今日になり、呼吸困難を覚え、顔面と手足がむくんできたので来院した。体温36.6℃、血圧90/70mmHg、脈拍120/分で不整、呼吸数35/分、血糖値190mg/dl、尿ケトン体陰性。この患者の緊急の対処法で誤っているのはどれか。
1.心電図検査 2.動脈血ガス分析 3.心臓超音波検査 4.酸素吸入 5.緊急胸部CT検査

【93】55歳の女性。Progressiv systemic sclerosis(PSS)の診断でステロイドを5年間服用中である。PSSは落ち着いているが、上部消化管内視鏡検査で胃体上部から食道胃移行部にかけて、ボールマンIII型の進行胃癌が見つかった。胃全摘の予定である。誤っているのはどれか。2つ選べ。
1.胃食道吻合は端側吻合より端端吻合で行う。
2.創の抜糸は術後7日をめどに行う。  3.経口摂取開始を遅らせる。
4.手術日ヒドロコルチゾン300mgを投与し、以後漸減する。
5.より強力な抗生物質をより長めに投与する。

【94】75歳の肥満女性。最近2週間、全身倦怠と息切れを訴えていた。特に夜間に呼吸困難が増悪するため、ベッドを起こして寝ている。四肢の末梢には浮腫はなく頚静脈の怒張もない。肺基底部にラ音を聴取、心音はIII音を聴取した。この患者の前負荷と後負荷を軽減するのに有用なのはどれか。
1.塩分制限  2.カルシウム拮抗剤  3.ニトロール製剤
4.利尿剤  5.アンギオテンシン転換酵素阻害剤

【95】膠原病各疾患とその疾患固有の消化器病変の組み合わせで誤っているのはどれか。2つ選べ。
1.シェーグレン症候群−自己免疫性膵炎  2.強皮症−食道の蠕動運動低下および拡張
3.ベーチェット病−回盲部潰瘍  4.結節性多発動脈炎−吸収不良症候群
5.慢性関節リウマチ−胃前庭部潰瘍

【96】次の文を読み、問96〜98に答えよ。
40歳の女性。10歳時に、咽頭炎後に手足の不随意運動をきたし、心雑音を指摘された。35歳時から労作時息切れ、下肢の浮腫が出現した。38℃の発熱の持続および心雑音を指摘され入院した。現症:呼吸音清明、心尖部最強の全収縮期雑音および拡張中期雑音を聴取。下肢に浮腫を認める。検査:血沈48mm/1時間値、白血球10,000/ml、CRP4.8mg/dl、血液培養で緑色連鎖球菌を検出した。最も考えられる基礎疾患はどれか。
1.川崎病  2.リウマチ熱  3.急性小脳失調症  4.多発性神経炎  5.結節性硬化症

【97】病歴、身体所見、検査所見から最も考えられる疾患の組み合わせはどれか。
1.心室中隔欠損症+感染性心内膜炎  2.心房中隔欠損症+感染性心内膜炎
3.僧房弁閉鎖不全症+感染性心内膜炎  4.三尖弁閉鎖不全症+感染性心内膜炎
5.原発性心筋症+感染性心内膜炎

【98】適切な治療方針はどれか。
1強心剤、利尿剤の投与で経過観察する。  2ただちに外科的手術をおこなう。
3抗生剤を持続投与したのち外科的手術をおこなう。
4ステロイド投与したのち外科的手術をおこなう。
5ステロイド投与で経過観察をおこなう。

【99】多臓器不全についで正しいのはどれか。2つ選べ。
1.ARDSの治療には敗血症等の基礎疾患の治療が最も重要である。
2.急性腎不全は必ず乏尿に引き続いて起こる。
3.DICの治療には血小板の輸血が第一選択である。
4.多臓器不全の患者では耐糖能が障害されているため、点滴によるカロリーは最低限にとどめるべきである。
5.肝硬変合併例における術後肝不全は予後不良である。

【100】62歳の男性。20年前から高血圧あり、降圧療法を受けている。15年前から糖尿病の診断で、経口血糖降下薬の投与を受けている。本日、午後1時頃、突然目が見えなくなり、30分後に救急外来を受診した。脈拍84/分、整。血圧156/96mmHg。心音・呼吸音に異常なし。意識清明.瞳孔は左右同大、対光反射両側迅速。右同名半盲あり。運動・感覚系に異常なし。腱反射は−〜+、病的反射なし。尿蛋白(2+)、尿糖(2+)。血液生化学検査:総蛋白6.6g/dl、BUN30mg/dl、Cr2.1mg/dl、血糖256mg/dl。頭部CT検査では明かな異常所見を認めなかった。正しいのはどれか。
1.眼底出血の可能性が高い。  2.心内血栓や頚部血管病変の精査が必要である。
3.髄膜炎による視神経障害を疑い、脳髄液検査を行う。
4.ネフローゼ症候群に伴う凝固亢進が誘因となっている。
5.第2病日のCTで右後頭葉に梗塞巣の出現が予想される。

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