神経解剖学・発生学 平成14年度最終試験

平成15年3月7日実施 120分
解答は翌日掲示されたもの。

1.下の断面A−Cの位置を、正中断面図の1〜8の中から選びその番号を解答欄に記入しなさい。さらに、断面A−Cの番号が示す構造の名称を解答欄に記入しなさい。

断面
番号 5 7 2

 

1 上丘 10 下小脳脚 19 脳梁
2 中脳水道 11 三叉神経脊髄路核 20 側脳室
3 内側毛帯 12 内側毛帯 21 尾状核
4 大脳脚 13 錐体 22 視床
5 黒質 14 オリーブ核 23 被殻
6 赤核 15 背側副オリーブ核 24 内包
7 動眼神経核 16 孤束核 25 淡蒼球
8 中心灰白質 17 迷走神経背側核 26 第三脳室
9 舌下神経核 18 脳弓 27 乳頭体

2.(1)―(30)にあてはまる適切な語句を下の解答欄に記入しなさい。
A.背側視床は多数の神経核からなり、(1)によって大きく3つの神経核群にわけることができる。前核は乳頭体核から入力を受け、一方、(2)回との間で相反性の結合をしている。(2)回からは海馬形成へ入力しそこからの出力は(3)として乳頭体核へ結合する。この回路は、一般的に(4)の情動回路と呼ばれている。広義の外側核はさらに背側と腹側の核群に分けられる。腹側の核群も更にいくつかの核群に分けられるが運動に関係しているのが(5)核及び前腹側核であり、ここには(6)核及び淡蒼球からの入力がある。主に頭部以外の知覚に関係しているのが(7)核であり、脊髄視床路及び(8)系として脊髄からの入力を受け、(9)回に投射している。(7)核及び(9)回には著明な(10)がみられる。(11)核は腹側視床由来と考えられ、その構成ニューロンは(12)を伝達物質としている。(11)核は他の視床核と異なり(13)に投射していないことが特徴で、視床で中継される情報のゲーティング機能をしていると考えられている。

B.大脳基底核の入力部にあたるのは尾状核と(14)で、両者をまとめて線条体と呼んでいる。(15)部と(16)は(12)を神経伝達物質とする大脳基底核の出力部として主に、視床の3つの核、(5)核、前腹側核、及び中心正中核に投射する。解剖学的には(16)から視床への投射経路は(17)とレンズ核束とがあり、両者が合流して(18)となる。機能的には、大脳基底核は2つの経路で視床を制御していると考えられる。これは直接経路と間接経路と呼ばれ、両者のバランスが大脳基底核の機能には重要となってくる。この2つの経路のバランスを決めるのに重要なのが、(19)を神経伝達物質とする中脳のニューロン群であり、主に、(20)部を起始とする線維が内側前脳束として上行し、線条体に投射し、異なるレセプターを介して(21)経路の線条体ニューロンに興奮性に、他方の経路の線条体ニューロンに抑制性に作用する。このためこれらの(19)性中脳ニューロン群からの作用が低下すると大脳基底核出力部からの出力は(22)し、そのため運動が(23)することになる。

C.網膜からの投射線維は視索として(24)核に入力している。ここからの投射線維は(25)として(26)溝のまわりにあるBrodmam17野に終止している。側脳室下角を乗り越えるように走行している(25)の一部は(24)核の外側半からでた線維が主に走行し、Brodmam17野の(27)壁に投射する。この投射線維は特に、(28)と呼ばれ、交通事故等で側頭部を損傷したときに損傷を受けることがある。例えば、左の(28)が損傷を受けた時、視野の(29)の部位の障害が起こる可能性が高いと考えられる。一方、両側の側頭側の視野欠損がある場合、最も考えられる障害部位は(30)部である。

 1 内髄板  2 帯状  3 脳弓  4 Papez
 5 外側腹側(VL)  6 小脳  7 後外側腹側(VPL)  8 内側毛帯
 9 中心後 10 体部位局在 11 視床網様 12 GABA
13 大脳皮質 14 被殻 15 黒質網様 16 淡蒼球内節
17 レンズ核ワナ 18 視床束 19 ドーパミン(DA) 20 黒質緻密
21 直接 22 亢進・上昇 23 低下 24 外側膝状体
25 視放線 26 鳥距 27 下 28 マイヤーループ
29 右上1/4 30 視交叉    

3.脊髄から上行する感覚性伝導路について、1)末梢の受容器、2)一次ニューロンの軸索が脊髄に入った後二次ニューロンに中継するまでに通る部位、3)二次ニューロンの細胞体のある部位、4)二次ニューロンの軸索の通る部位、5)三次ニューロンの細胞体のある部位、それぞれの名称を解答欄に記入しなさい。なお、2)〜5)については、それが末梢の側と同側か反対側(対側)か、どちらかを○で囲みなさい。

  脊髄視床路 後索路 後脊髄小脳路
1)末梢受容器 自由終末 メルケル、パチニ、
マイスナー小体
筋紡錘
2)一次軸索の
通る部位
同側の後外側束 同側の薄束
および楔状束
同側の後索
3)二次細胞体の
ある部位
同側の後根のT層
またはX層
同側の延髄の薄束核
および楔状束核
同側のクラーク核
4)二次軸索の
通る部位
対側の前外側束(側索
腹側部および前索外側部)
対側の内側毛帯 同側の側索後外側部
(後脊髄小脳路)
5)三次細胞体の
ある部位
対側の視床後外側腹側核 対側の視床後外側
腹側核
同側の小脳虫部皮質

4.以下の文中の( )に入る最も適当な言葉を解答欄に記入しなさい。
1.前庭神経を構成する線維は前庭神経節にある(1)細胞の軸索で、脳に入り前庭神経核に終わる。前庭神経核からの二次線維は(2)内側部を通って小脳の(3)の皮質に終わる。また、前庭神経核から出て眼球運動核や頚筋運動核へ向かう線維路を(4)という。
2.小脳半球外側部の皮質は(5)からの線維を受け、小脳核のうち主として(6)に線維を送る。さらに(6)からの線維は(7)を通って(8)へ投射する。
3.交感神経の節前線維を出すニューロンの細胞体は、脊髄の(9)のレベルの(10)にあり、(11)根を通って脊髄から出て脊髄神経に入る。この節前線維が交感神経節に入る時に通るのは2本の交通枝のうちの(12)である。
4.大脳皮質から延髄へ下る線維は、視床と(13)の間にある(14)を通って中脳へ入り、(15)を形成する。さらに橋、延髄においては、それぞれ(16)、(17)と呼ばれる線維束を形成して下行する。この間に、脳神経運動核(多くは反対側の)に線維を送る。脊髄へ下る線維の大部分は延髄下端で(18)を形成し、反対側の脊髄側索を下る。ここに形成される神経路を(19)と呼ぶ。

1 双極 8 視床 15 大脳脚
2 下小脳脚 9 胸髄および上部腰髄 16 橋縦束
3 片葉、小節 10 側核(中間質外側部) 17 錐体
4 内側縦束 11 18 錐体交叉
5 橋核 12 白交通枝 19 外側皮質脊髄路
6 歯状核 13 レンズ核    
7 上小脳脚 14 内包    

5.図中の番号の示す構造の名称を解答欄に記入しなさい。

1 乳頭体 8 舌下神経(]U)
2 動眼神経(V) 9 外転神経(Y)
3 大脳脚 10 三叉神経(X)
4 顔面神経(Z) 11 視索
5 内耳神経([) 12 視神経(U)
6 錐体 13 嗅索
7 オリーブ 14 嗅球

6.図は第Xおよび第Z脳神経について表したものである。この図において、記号の示す構造の名称を解答欄に記入しなさい。なお、F、Ggl、Gl、M、N、Nuclはそれぞれ骨の孔、神経節、腺、筋、神経、神経核を表す。Nucl-1、Nucl-5は感覚核、Nuc1-2、-3、-4は運動核である。M-1、M-2については代表的なものをそれぞれ一つ記すこと。

F-1 上眼窩裂 N-3 下顎神経
F-2 正円孔 N-4 大錐体神経
F-3 卵円孔 N-5 舌神経
F-4 茎乳突孔 N-6 鼓索神経
Ggl-1 三叉神経節 N-7 顔面神経
Ggl-2 翼口蓋神経節 Nucl-1 三叉神経主感覚核
Ggl-3 膝神経節 Nucl-2 三叉神経運動核
Ggl-4 顎下神経節 Nucl-3 唾液核
Gl-1 涙腺 Nucl-4 顔面神経核
Gl-2 顎下腺または舌下線 Nucl-5 孤束核
N-1 眼神経 M-1 頬筋、側頭筋など
N-2 上顎神経 M-2 茎突舌骨筋、口輪筋など

7.次の末梢神経群(A〜P)の神経の中で、筋群(1〜15)の中に支配筋のあるものを探し、その神経と支配筋の対を例にならって下の余白に書き出しなさい。例を除いて10組ある。

末梢神経群
A)腋窩神経 B)外転神経 C)下殿神経 D)筋皮神経 E)脛骨神経 F)尺骨神経 G)上殿神経 H)深腓骨神経 I)正中神経 J)大腿神経 K)動眼神経 L)橈骨神経 M)副神経 N)閉鎖神経 O)迷走神経 P)肋間神経

筋群
1)円回内筋 2)三角筋 3)上斜筋 4)上腕三頭筋 5)上腕二頭筋 6)僧帽筋 7)大胸筋 8)大腿四頭筋 9)大殿筋 10)長腓骨筋 11)内側直筋 12)内閉鎖筋 13)内肋間筋 14)ヒラメ筋 15)輪状甲状筋

例(P−13)

  (A−2)、(C−9)、(D−5)、(E−14)、(I−1)、(J−8)、(K−11)、(L−4)、(M−6)、(O−15)

参考
 外転神経は外側直筋を支配。上殿神経は中・小殿筋、大腿筋膜張筋を支配。
 上斜筋―滑車神経支配、大胸筋―胸筋神経、長腓骨筋―浅腓骨神経、内閉鎖筋―仙骨神経叢、内肋間筋―肋間神経、輪状甲状筋―上喉頭神経


発生学
8.下記1-10の器官、組織、細胞の主な由来として最も適切なものを、
a.神経堤 b.神経外胚葉 c.表層外胚葉 d.中間中胚葉 e.臓側中胚葉 f.壁側中胚葉 g.沿軸中胚葉 h.内胚葉
の記号で答えなさい。

1.心内膜( e ) 2.水晶体( c ) 3.真皮( g ) 4.鼓室上皮( h ) 5.顔面骨( a ) 6.四肢の骨( f ) 7.四肢の筋群( g ) 8.体幹の筋群( g ) 9.腎臓( d ) 10.消化管平滑筋( e )


9.以下の成体の構造1-10に最も関係のある胎生期の構造A-Tを選びなさい。
A.第1鰓弓 B.第2鰓弓 C.第3鰓弓 D.第4鰓弓 E.第6鰓弓 F.第1咽頭嚢 G.第2咽頭嚢 H.第3咽頭嚢 I.第4咽頭嚢 J.前主静脈 K.臍静脈 L.卵黄嚢静脈 M.静脈洞 N.中腎傍管 O.中腎管 P.尿生殖洞 Q.左第4動脈弓 R.左第6動脈弓 S.臍動脈 T.尿膜管

1.耳管( F )  2.肝円索( K ) 3.内側臍ひだ( S ) 4.顔面表情筋群( B ) 5.門脈( L ) 6.動脈管索( R ) 7.精管( O ) 8.膀胱( P ) 9.子宮( N ) 10.下上皮小体( H )


10.次の間いに答えなさい。
1.正常状態で卵円孔が閉じる時期は?
  出生直後
2.未熟児が通常生存可能となる時期は? 
  発生(受精後)25週頃
3.すべての卵母細胞は何時までにつくられているか?
  発生5ヶ月
4.すべての主要な器官の原基が出現し、胚子が著明にヒトとしての外見を持つようになる時期は?
  発生8週末
5.絨毛間腔を満たしているのはなにか?
  母体の血液

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