組織学総論 平成12年度

1.細胞やその構成要素の形状や染まり方は細胞のどのような状態を反映しているか。
ヘマトキシリン・エオジン染色においては、核・リボソーム・粗面小胞体は塩基好性のため、ヘマトキシリンに青染し、細胞質タンパク質はエオジンに赤染する。このため、細胞質が暗い場合には、粗面小胞体やリボソームが多量に含まれていることを示唆しており、タンパク質の合成が活発に行われていることを反映している。

2.組織の分類とそれぞれの性質を述べよ。
1.上皮組織:体表面、腔所および管腔を被覆する多様な組織であり、生体の異なる区分の間の界面として働く。
2.結合組織:中胚葉起源で、全身の多くの組織や器官を構造上、また代謝上で支えている。
3.筋組織:収縮性細胞が集まったもので運動に関わる。
4.神経組織:内部および外部環境から刺激を受け取り、それを分析し統合し、いろいろな効果器官に反応を起こさせる。

3.末梢血塗沫標本で観察可能な血球を数の多いものから図示せよ。
 図は省略
 赤血球:450万〜500万/mm3
 血小板:25万/mm3
 白血球:5000〜8000/mm3
 好中球:65〜70%
 リンパ球:25%
 単球:5%
 好酸球:2〜3%
 好塩基球:0.5%

4.骨組織の構造を図示し軟骨との違いを述べよ。
 (共通点) ・どちらも骨格形をなす
        ・付加成長を行う
        ・骨細胞・軟骨細胞ともに骨小腔・軟骨小腔内にある。
 (相違点)

  軟骨
血管
間質成長
構成成分 骨細胞
細胞間質
軟骨細胞
細胞間質
細胞成分 Osteoblast(骨芽細胞)
Osteocyte(骨細胞)
Osteoclast(破骨細胞)
Chondroblast(軟骨芽細胞)
Chondrocyte(軟骨細胞)
膠原線維 T型コラーゲン (主に)U型コラーゲン
その他 Remodeling(再構築)を行う
Caが豊富
均質

5.筋細胞の多様性と類似性について述べよ。

  骨格筋 心筋 平滑筋
横紋
核の位置 周辺部 線維(細胞)中央 線維(細胞)中央
細胞の形 長大 分岐あり・細い 紡錘状
中間径フィラメント デスミン デスミン デスミン
その他 赤筋と白筋に大別
随意筋が多い
自動能をもつ
不随意
多様性が大きい
再生能を持つ
不随意

6.Intermediate filamentsについて述べよ。
直径10nm前後の細糸で、微細管(直径約25nm)とアクチンフィラメント(直径約5nm)の中間の直径を持つのでこの名前がある。細胞骨格として細胞の形態の維持や細胞間接着の内部補強などの役割を果たす。以下に具体例を挙げる。
   名称             存在部位
  ケラチン            上皮組織
  デスミン            筋組織
  ヴィメンチン          多くの中胚葉由来の組織
                  (線維芽細胞、内皮細胞、血管平滑筋、軟骨芽細胞、大食細胞、間葉細胞)
  グリア繊維性酸性タンパク  星状膠細胞、希突起膠細胞、シュワン細胞
   (GFAP)
  ニューロフィラメント      神経細胞
  ラミン             全ての細胞の核

7.Abbeの式から光学顕微鏡の性能について述べよ。
顕微鏡の分解能をR、波長をλ、開口数をNAとすると、R=0.61λ/NAと表せる。(Abbeの式)開口数とは光学系の明るさ及び分解能を表す量で、媒質の屈折率をμとすると、NA=μsin(θ/2)である。つまり、分解能はλ、NAに左右されるのであって、倍率には影響されない。波長の短い紫外線を用いた場合でも、せいぜい200nmが限界である。(光学顕微鏡の限界)
分解能を挙げるためにはNAを大きくするか、λを小さくすればよい。前者の方法として、油浸レンズを用いることでμを上げたり、対物レンズの入射光を大きくしてθを上げたりする。電子顕微鏡では、波長の短い電子線(0.05Å)を用いることで、分解能を高めている。(約2.8nm)
※ 分解能とは2点を2点として識別しうる限界の距離のことである。

8.大理石病について。
骨芽細胞の活動が活発になりすぎ、破骨細胞の活動を上回る状態を過骨というが、これがひどくなると、骨のリン酸カルシウム濃度が高くなる大理石病になる。この病気では骨は硬くなりすぎ、弾力を失ってもろく折れやすくなる。
また、より重度な大理石病(破骨細胞がないなど)では、骨の改築(リモデリング)をすることができず、生後骨の改造ができない。そのため、頭蓋骨の神経管が成長とともに拡がらず、視神経や聴神経が圧迫されて目が見えず、音が聞こえなくなる。さらに、骨髄の形成が不十分になるため、多くが免疫不全を発症する。
逆に破骨細胞の活動が骨芽細胞の活動を上回ると、骨粗鬆症になり、やはり骨はもろく折れやすくなる。

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