平成15年2月28日実施。120分。
解答案はあまり信用しないようにお願いします。
基本的に解答は、日本語、外国語どちらでもよい、とのこと。
1枚目 表紙
2枚目
1.下図は心臓の房室間を分離し、心室側を上から見たところである。適切な構造名を解答欄に記入し、設問にも答えよ。(手引きp134、97図)
構造名 | 構造名 | 構造名 | 構造名 | ||||
A. | 肺動脈弁 | D. | 右線維三角 | G. | 三尖弁 | J. | 大動脈球 |
B. | 左冠状動脈 | E. | 僧帽弁 | H. | 心室中隔膜性部 | K. | 右冠状動脈 |
C. | 左線維三角 | F. | 線維輪 | I. | 房室中隔 | L. | 大動脈弁 |
(1)Dの真ん中を通る構造の名(上下に貫く、図中の矢印)とその働きについて簡潔に述べよ
ヒス束…洞房結節で発生した歩調取りの興奮を、心室へと伝えるための興奮伝導系である。
(2)E、Gの働きを心室腔側から補助する特殊な構造を二つあげ、その働きを説明せよ。
乳頭筋と腱索…腱索によって弁の自由縁と下面から出て、弁と乳頭筋をしっかりと結びつけている。この構造により弁(帆状弁)は支えられ、心房へ翻入するのを防がれている。
(3)以下の構造は、B、Kの主にどちらによって栄養されるか、記号で答えよ。
右心室( K ) 左心室( B ) 心房中隔前部( B ) 心室中隔後部( K )
3枚目
以下の図は、肝臓を前面、および下面から見たものである。適切な構造名を解答欄に記入し、設問にも答えよ。
ただし、a、bは膜様構造物、i〜lは管状構造物、m、nは索状構造物、oは楕円で囲んだ付近全体をさしていう語である。(参考に…解剖学アトラス(第3版、越智淳三訳、文光堂)のp332の図)
構造名 | 構造名 | 構造名 | |||
a. | 肝鎌状間膜 | f. | 胆嚢 | k. | 門脈 |
b. | 肝冠状間膜 | g. | 尾状葉 | l. | 下大静脈 |
c. | 右葉 | h. | 方形葉 | m. | 肝円索 |
d. | 左葉 | i. | 肝動脈 | n. | 静脈管索 |
e. | 無漿膜野 | j. | 総胆管 | o. | 肝門 |
(1) fとjをつなぐ管を何というか。…胆嚢管
(2) 肝臓から出て、jに導く管を何というか。…総肝管
(3) jは主膵管と深い関係を持つ。その理由を答えよ。
多くの場合、総胆管は十二指腸の下行部内後方で膵管と合流、胆膵管をつくって大十二指腸乳頭に開くから。
(4) 胎生期において、mとnはそれぞれどのようなはたらきをしていたか、説明せよ。
胎盤で動脈血化された胎児の血液は肝臓の下に向かう臍静脈に入り、ごく小部分は肝臓を貫流するが、大部分は肝臓に沿った第1短絡路すなわち静脈管を通って下大静脈へ流入する。
出生後、胎児循環は生後循環へと切り替わり、臍静脈は肝円索、静脈管は静脈管索となる。
4枚目
1.横行結腸の図(一部は切り開いてある)
※適当な図が見つかりませんでした。比較的想像しやすい図なので省略とします。
(1)適切な構造物名を解答欄に記入せよ。
結腸膨起、腹膜垂、横行結腸間膜、結腸ひも、結腸半月ひだ
(2)小腸と結腸との構造の違いについて簡潔に述べよ。
腸間膜以外の上記構造(結腸膨起、腹膜垂、結腸ひも、結腸半月ひだ)がない。また小腸では、大腸に見られない、輪状ひだ(回腸では次第に数が減り、丈も低くなって次第に消失)と腸絨毛(空腸では木の葉のように幅が広く、回腸では円錐形ないし指先型)、パイエル板(集合リンパ小節で腸間膜付着の対向面に存在)が見られる。
2.下図は喉頭の軟骨を示したものである。p、q、rの軟骨の名称を答え、1〜5の筋肉について、それぞれの名前、略称、支配神経と働きを答えよ。(試験の図には上の2枚の図にはある神経が描かれていませんでした。)
参考に…手引きp298、299の210、211図、日本人体解剖学(金子丑之助著、南山堂)下巻p253の図2-26
・軟骨 p.甲状軟骨 q.被裂軟骨 r.輪状軟骨
筋肉の名前 | 略称 | 支配神経 | 働き | |
1 | 輪状甲状筋 | 前筋 | 上咽頭神経外枝 | 声帯を緊張させる |
2 | 甲状被裂筋 | 内筋 | 下咽頭神経 | 声帯をゆるめる、声門を閉じる |
3 | 外側輪状被裂筋 | 側筋 | 下咽頭神経 | 声帯をゆるめる、声門を閉じる |
4 | 斜および横被裂筋 | 横筋 | 下咽頭神経 | 声帯をゆるめる、声門を閉じる |
5 | 後輪状被裂筋 | 後筋 | 下咽頭神経 | 声帯を緊張させる、声門を開ける |
5枚目
次の図を見て以下の問いに答えなさい。(手引きp341の243図)
答え | 答え | ||
1(骨の名前) | キヌタ骨 | 11(3がくっついている窓の名前) | 前庭窓 |
2(骨の名前) | ツチ骨 | 12(ふくらみの名前) | 岬角 |
3(骨の名前) | アブミ骨 | 13(咽頭とつなぐ管の名前) | 耳管 |
4(1〜3の総称) | 耳小骨 | 14(13が咽頭に開く場所) | 耳管咽頭口 |
5(神経の名前) | 鼓索神経 | 15(神経名) | 顔面神経 |
6(5のはたらき) | 舌の前2/3に分布する味覚線維と顎下腺、舌下腺および種々の舌腺へ行く筋前性分泌線維 | 16(15が出る孔の名前) | 茎乳突孔 |
7(神経の名前) | 舌神経 | 17(15が支配する筋の総称) | 表情筋 |
8(7の元となる神経) | 下顎神経(三叉神経) | 18(12の下の窓の名前) | 蝸牛窓 |
9(構造名) | 鼓膜 | 19(18に続く器官) | 蝸牛 |
10(構造名) | 乳突蜂巣 | 20(3につく筋肉) | アブミ骨筋 |
6枚目
以下の構造について述べよ
1. 胸膜腔
強い容積変化をし、隣接器官とずれ合うような内臓器官(心臓、肺、胃腸管の大部分など)は心膜腔、胸膜腔、腹膜腔といった漿液腔の中に横たわっている。漿液腔は完全に閉ざされた毛細間隙であって、鏡のような平滑な漿膜で内張りされ少量の漿液を含んでいる。漿膜は臓側板(臓側漿膜)として器官を覆い、また壁側板(壁側漿膜)となって漿液腔の壁を裏打ちしている。両漿膜は折り返し線で互いに移行している。
肺の漿膜は胸膜と呼ばれる。肺を覆う臓側板すなわち肺胸膜が、壁側板すなわち肋骨胸膜、縦隔胸膜および横隔胸膜などの胸腔の壁を内張りする胸膜から区別される。
臓側胸膜(肺胸膜)は肺表面にゆるく付着しており、容易に剥離できる。この胸膜は単層の上皮、膠原、弾性線維を持つ線維層、リンパ管と血管のある胸膜下層からなる。壁側胸膜は、とくに肋骨胸膜において下層と強固にくっついている。
肺胸膜と壁側胸膜は肺門でつながっており、この両胸膜は全面にわたり閉ざされた胸膜腔を包んでいる。胸膜腔は数mlの漿液を含む。
2. 後腹壁臓器(腹膜後器官)
後腹壁の壁側腹膜よりも後ろの方にある諸器官をいう。十二指腸、膵臓、腎臓、副腎、尿管、腹大動脈、下大静脈、交感神経幹などがあげられる。上行結腸や下行結腸などは後腹膜への埋まり方がごく浅いため、腹膜後器官とは言わない。
腹部の内臓は理論的には全てが腹膜腔外に存在するわけであるから、腹膜後器官、として特別扱いするのは単に便宜のためである。つまり、胃、空腸、回腸、横行結腸など、ほとんどその全周を臓側腹膜によって包まれている器官と比較すると、手術における到達方法や、炎症などの病変の広がりかたに大きな差があるのである。
3. 縦隔
頸筋膜の中葉(気管前葉)と深葉(椎前葉)の間にあって内臓を入れる頸部の腔は、胸郭上口を通じて縦隔、すなわち胸腔の真ん中にある結合組織腔へ続いていく。縦隔は胸骨の後面から椎体の前面にまで広がっている。この腔は両側を縦隔胸膜(壁側胸膜)により、下方では横隔胸膜によって境されている。縦隔は上部と下部に分けられ、下部はさらに前・中・後部に分けられる。
縦隔の上部は胸郭上口から心臓の上方の水平面にまで達する。縦隔の後部、中部および前部はこの平面より下方にある。縦隔の上部はその後部へ出入りする誘導路(脈管と神経)によって占められ、また胸腺を唯一の独立した器官として含んでいる。
縦隔の後部は胸部脊柱と心膜の後壁の間に広がっており、多くは貫通する太い重要な導通路と管状臓器(食道と気管)を含んでいる。縦隔の後部を走るものは、前後に迷走神経幹を伴う食道、下行大動脈、胸管、奇静脈、半奇静脈である。脊柱の側方で、肋骨小頭の前には交感神経幹がある。
縦隔の後部と中部の境界は、気管分岐部の前にある前頭面で、ほぼ肺門に相当する。縦隔の中部には心膜に包まれた心臓がある。心膜には縦隔胸膜が乗っており、これら両膜の間を両側性に横隔神経と心膜横隔動・静脈が走っている。縦隔の前部というのは、心臓の前で心膜と胸膜の間にある細隙状の結合組織腔のことである。
4. 尿生殖隔膜
基本的に深会陰横筋によってつくられ、後部は浅会陰横筋によって、前方は会陰横靱帯によって補強されている。これは、骨盤の出口の前半分をふさぐ構造である。
男性では尿道が、女性では尿道と膣がこれを貫いている。尿道の周りでは筋線維は輪状にも走り、尿道括約筋を形成する。
5. 眼房水
眼房水は前眼房(角膜、虹彩、水晶体で囲まれた腔)と後眼房(虹彩の後方、水晶体を輪状にとりまく)を満たす透明な液体で、99%を水が占めている。眼房水は毛様体上皮で産生され、後眼房に分泌される。瞳孔を通って前眼房に入った眼房水は、やがて虹彩角膜角隙から強膜静脈洞(シュレム管)に吸収される。このようにして、眼房水は絶えず眼房の中を循環し、水晶体と角膜に栄養を与え、眼の内圧を一定に保つのに役立っている。
6. アルコック管(陰部神経管)
内閉鎖筋内にある、筋膜の肥厚によってできた管で、この中を内陰部動・静脈と陰部神経が坐骨直腸窩の外側壁に接して恥骨結合の方へ向けて走る。
7. 上皮小体
甲状腺の背面に4つ存在する。カルシウムとリンの代謝を調節する、パラトルモンを放出する。
7枚目
下図に示した筋肉の名前と、その支配神経をそれぞれ答えよ。(平成11年度中間試験の図と同じ)参考に…人体解剖学(藤田恒太郎著、南江堂)p139の図124、125
筋肉名 | 支配神経 | 筋肉名 | 支配神経 | ||
1 | 三角筋 | 腋窩神経 | 14 | 棘下筋 | 肩甲上神経 |
2 | 肩甲下筋 | 肩甲下神経 | 15 | 小円筋 | 腋窩神経 |
3 | 大円筋 | 肩甲下神経 | 16 | 上腕三頭筋 | 橈骨神経 |
4 | 上腕二頭筋 | 筋皮神経 | 17 | 長橈側手根伸筋 | 橈骨神経 |
5 | 烏口腕筋 | 筋皮神経 | 18 | 短橈側手根伸筋 | 橈骨神経 |
6 | 上腕筋 | 筋皮神経 | 19 | 肘筋 | 橈骨神経 |
7 | 腕橈骨筋 | 橈骨神経 | 20 | 総指伸筋 | 橈骨神経 |
8 | 円回内筋 | 正中神経 | 21 | 尺側手根伸筋 | 橈骨神経 |
9 | 尺側手根屈筋 | 尺骨神経 | 22 | 長母指外転筋 | 橈骨神経 |
10 | 橈側手根屈筋 | 正中神経 | 23 | 小指伸筋 | 橈骨神経 |
11 | 浅指屈筋 | 正中神経 | 24 | 短母指伸筋 | 橈骨神経 |
12 | 長掌筋 | 正中神経 | 25 | 長母指伸筋 | 橈骨神経 |
13 | 棘上筋 | 肩甲上神経 |
8枚目
以下の図は横隔膜を前下方から見た模式図である。適切な構造名を解答欄に記入し、設問にも答えよ。(ただし、1〜3は横隔膜の起始により分けられた3つの部位であり、4は停止である。)手引きp188、137図
構造名 | 構造名 | 構造名 | 構造名 | ||||
1 | 胸骨部 | 4 | 腱中心 | 7 | 外側弓状靱帯 | 10 | 大動脈裂孔 |
2 | 肋骨部 | 5 | 右脚と左脚 | 8 | 食道裂孔 | 11 | 腰方形筋 |
3 | 腰椎部 | 6 | 内側弓状靱帯 | 9 | 大静脈孔 | 12 | 大腰筋 |
8〜10の孔は、それぞれ何を通すか。
8 | 食道、左胃動脈の枝、迷走神経、左横隔神経、交感神経幹、奇静脈(右)、半奇静脈(左) |
9 | 下大静脈、右横隔神経 |
10 | 大動脈、胸管、交感性大動脈神経叢 |
以下の語句を簡潔に説明せよ。
内転筋管
ハンター管ともいう。広筋内転筋膜、大内転筋、長内転筋および内側広筋の間に、これらによって作られるトンネルのことで、内転筋腱裂孔となって膝窩に開く。大腿動静脈を通す管である。
梨状筋下孔
梨状筋は大坐骨孔を横切って孔を二分するが、このふたつの孔が、梨状筋上孔と梨状筋下孔である。梨状筋下孔は下殿動静脈、下殿神経を通す。これらは大殿筋へ向かう。また内陰部動静脈と陰部神経は、梨状筋下孔を出て坐骨棘を回って坐骨直腸窩に達する。さらに、後大腿皮神経と坐骨神経も梨状筋下孔を通る。
鼠径管
鼠径間はお互いに重なり合った側腹筋によってできており、腹壁を斜めに通っていく。前壁は外腹斜筋の腱膜、底は鼠径靱帯、後壁は横筋筋膜、上壁は腹横筋の下縁である。深鼠径輪は内口であり、横筋筋膜の突出によって生じる。浅鼠径輪は外腹斜筋腱膜にあいている裂隙状の外口である。浅鼠径輪は腱膜線維束により境され、後ろでは鼠径靱帯から分かれてできた反転靱帯で補強されている。
男では鼠径管を通って精索が出る。この精索は、精巣挙筋(内腹斜筋の一部+鼠径靱帯から起こる筋線維)を伴う精巣挙筋膜に包まれている。女では、子宮円索とリンパ管が鼠径間を通る。
9枚目
以下の図は膝関節を開いたものである。解答欄に適切な構造名を記入せよ。なお、1〜4は骨、5〜9は靱帯、10、11は半月をそれぞれしめしており、骨については英語またはラテン語も答えよ。
参考に…解剖学アトラス(第3版、越智淳三訳、文光堂)のp104
構造名 | 外国語 | 構造名 | 構造名 | |||
1 | 大腿骨 | femur | 5 | 前十字靱帯 | 9 | 膝蓋靱帯 |
2 | 腓骨 | fibula | 6 | 後十字靱帯 | 10 | 外側半月 |
3 | 脛骨 | tibia | 7 | 外側側副靱帯 | 11 | 内側半月 |
4 | 膝蓋骨 | patella | 8 | 内側側副靱帯 |
以下の語句を簡潔に説明せよ。
腱鞘
筋を補助する装置の一つであり、筋の滑り具合をよくする。その内層、すなわち滑膜層からなる滑液鞘は内側に臓側板を持ち、これが腱の周りにじかに接しており、外側の壁側板とは腱間膜を介してつながっている。臓側板と壁側板の間には滑液が含まれ滑りをよくしている。外層を作る線維層または線維鞘は滑膜層の壁側板に接している。
関節唇
軟骨細胞の散在する膠原線維性結合組織からなっており、関節面を拡大するのに役立っている。
骨間膜
骨格を作る個々の骨は互いに連続的または不連続的に連結している。不動結合という結合は、2つの骨を種々の組織により直接相互に結びつける。
靱帯結合は膠原線維または弾性線維性の結合組織による2つの骨の連結である。この靱帯結合は広く平面的であったり、また狭いこともある。膠原線維性結合組織からなる非常に強靱な靱帯結合が、前腕部における骨間膜である。
椎間円板
外周を取り巻く丈夫な線維輪と柔らかい膠様の核すなわち髄核とからなっている。線維輪は膠原線維と線維軟骨からできており、これらが同心円状に配列、髄核によって緊張した状態を保持している。椎間円板は個々の椎体の間に介在しており、その形は矢状方向では円錐状である。椎間円板の断面は硝子軟骨質を介し、椎骨と軟骨性に結合しており、さらに縦靱帯によって補強されている。
椎間円板は圧を弾力的に受け止めるクッションとして働く。その際髄核がうまく圧を分配している。
10枚目
1. 外頸動脈の分枝と、分布領域について述べよ。
大動脈弓から出た総頸動脈は第4頸椎の高さで外頸動脈、内頸動脈に分かれる。
外頸動脈はまず上甲状腺動脈を出す。これは甲状腺の前面へ向かって舌骨、胸鎖乳突筋への枝、咽頭へ行く枝(上咽頭動脈)を出しながら下行する。
続いて舌動脈を出す。この動脈は舌縁への枝(舌背枝)、舌体と舌尖への枝(舌深動脈)を出す。
次に後頭動脈が出て、顎二腹筋の起始の内側で頭板状筋の下を進んで後頭へ向かう。
次に分枝するのは顔面動脈である。顔面動脈は顎下腺の下へ行き、咬筋の前縁で下顎体縁を横切り、眼角動脈となって内眼角に至る。この間、上行口蓋動脈、扁桃枝、オトガイ下動脈、下および上唇動脈という枝が出る。
さらに上行咽頭動脈が出る。これは咽頭側壁と鼓室へ行き、終枝は後硬膜動脈である。
胸鎖乳突筋枝はその名の通り、胸鎖乳突筋へ向かう。
後耳介動脈は耳の後ろに達するまでに茎乳突孔動脈を出す。
続く顎動脈には分枝が多い。まず下歯槽動脈は顎舌骨筋枝を出してから下顎管に入り、下顎の歯、骨、軟骨組織を栄養、オトガイ動脈となってオトガイ孔から出てオトガイの皮下に至る。中硬膜動脈は脳硬膜の最も重要な動脈であって、棘孔を通って中頭蓋窩へ出、前枝と後枝に分かれる。咬筋動脈、前深側頭動脈、後深側頭動脈、翼突筋枝、頬動脈は頬とその粘膜に向かう。翼口蓋窩へ入る前とその中で、顎動脈の最終部分から四方へ枝が出ていく。後上歯槽動脈は上顎骨へ入って後方の歯と歯肉を栄養し、眼窩下動脈と吻合する。眼窩下動脈は下眼窩裂を通って前進し眼窩に至り、眼窩下管と眼窩下孔を通って眼窩を離れる。その際、前上歯槽動脈は前方の歯と歯肉へ向かう。下行口蓋動脈は翼口蓋管を通って口蓋に達する。翼突管動脈は翼突管を通って上咽頭と耳管へ行く。蝶口蓋動脈は翼突管を通って上咽頭と耳管へ行く。蝶口蓋動脈は蝶口蓋孔を通って鼻腔へ出て、その外側、後、および内側壁を栄養する。
浅側頭動脈は浅在の終枝で、側頭部で前頭枝と頭頂枝に分かれる。
2. 腹部の門脈について説明し、3つの主な側副循環路についても述べよ。
無対の3つの動脈(腹腔動脈、上・下腸間膜動脈)から血液を受け入れる無対の腹部器官(胃腸管、胆嚢、膵臓および脾臓)からの静脈血は、門脈を経て肝臓に達し、肝静脈を経て下大静脈に流れ込む。腸で吸収された栄養素は、最短路を通って肝臓という中枢的な物質代謝器官に到達するのである。
門脈は3本の根静脈(脾静脈、下腸間膜静脈、上腸間膜静脈)から構成されている。
脾静脈は脾動脈と同じように膵臓の上縁に沿って走り、短胃静脈、膵静脈、膵十二指腸静脈を受け入れる。膵体の後ろで脾静脈は下腸間膜静脈と、膵頭の後ろでは上腸間膜静脈と一緒になり、門脈となる。
下腸間膜静脈は下行結腸、S状結腸、直腸上部からの静脈血を導く。その走行は下腸間膜動脈の走行とは異なる。両血管は左結腸動脈がはじまるところまではほぼ一緒に走っている。しかし、その後は下腸間膜静脈は左結腸動脈に従って上行し、続いて上十二指腸空腸ヒダという腹膜の作るヒダの中を走り、十二指腸空腸曲を越えて膵臓の後方へ向かう。
上腸間膜静脈は小腸、盲腸、上行結腸および横行結腸からの血液を運ぶものであり、上腸間膜動脈と共に膵頭の後ろへ行く。その途中、この静脈は膵静脈、膵十二指腸静脈、右胃大網静脈を受け入れる。
門脈管には直接、胃の小彎からの左および右胃静脈、胆嚢からの胆嚢静脈、幽門前面からの幽門前静脈が注ぐ。また肝鎌状間膜の中で肝円索を伴い腹壁の皮静脈と門脈の間の吻合を作る臍傍静脈が注ぐ。
門脈は以下のような領域で上・下大静脈の流域に接している。食道(食道静脈は奇静脈と半奇静脈を経て上大静脈へ流れる。)、直腸(中および下直腸静脈の血流は内腸骨静脈を経て下大静脈へ。)、腹壁(腹壁の静脈は胸腹壁静脈を通って上大静脈へ、浅腹壁静脈を介して下大静脈へ)。
肝硬変などのために門脈に鬱血があると、門脈血の一部は以上のような門脈大静脈吻合を通って肝臓を迂回する。その結果これらの吻合部には静脈瘤を生じる。
おまけ 人体解剖学(藤田恒太郎著、南江堂)p152の図137、138
みにくいですので、念のため。
左の図 左列上から下へ | 左の図 右列上から下へ | 右の図 左列上から下へ | 右の図 右列上から下へ | |
腸骨筋 | 大腰筋 | 大殿筋 | 中殿筋 | |
大腿筋膜張筋 | 恥骨筋 | 内閉鎖筋 | 梨状筋 | |
縫工筋 | 長内転筋 | 半膜様筋 | 小殿筋 | |
大腿四頭筋 | 外閉鎖筋 | 半腱様筋 | 大腿筋膜張筋 | |
膝蓋骨 | 短内転筋 | 腓腹筋 | 大転子 | |
膝蓋靱帯 | 大内転筋 | ヒラメ筋 | 双子筋 | |
前脛骨筋 | 薄筋 | 大腿方形筋 | ||
長母指伸筋 | 短母指伸筋 | 大腿二頭筋 | 長頭 | |
長指伸筋 | 短頭 | |||
短腓骨筋 | 足底筋 | |||
短指伸筋 | 膝窩筋 | |||
長腓骨筋 | ||||
短腓骨筋 |
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