循環器 平成15年度概説試験

平成16年2月24日実施(120分)
1人につき問題冊子1冊と解答用紙1枚。(いずれもA4)マークシートではなく記号を書く方式。
昨年度に引き続き図の問題はなし。 102人中11人不合格。

※過去問参照は14年度概説と15年度卒試のみを調べています。
※解答に際してはレジュメのみで解答できるものは基本的にレジュメのみ、解答できないものについては教科書(イヤーノート、ステップ)を参照しました。本文中の略語については下記のとおりです。なお、レジュメのページ数は項目ごとのページ数で、ページが振っていない項目にも便宜上勝手にページを振っています。
14−○=14年概説○番、G−○=15年卒試○番、R−P○=レジュメ○ページ、YN○=イヤーノート○ページ、S○=ステップ○ページ

1.(1)〜(7)の記述について、正しい記述の組み合わせを選べ。
(1)心拍数は自律神経によって調節され、安静時は副交感神経の緊張が優位である。
(2)洞房結節細胞の活動電位はCa++電流で立ち上がる。
(3)slow inward currentは主にCa++流入によって引き起こされる。
(4)筋小胞体へのCa++の取り込みはNa+/Ca++交換によって行われる。
(5)心筋細胞の筋小胞体内のCa++はカルモジュリンと結合している。
(6)心筋活動電位の再分極は主として外向きNa+電流によって起きる。
(7)サイクリックAMPは筋小胞体のCa++ポンプ活性を低下させる。
a.123  b.345  c.167  d.256  e.247
解答 a
解説 14−1&2、G−1&2、11/28金出先生「循環のしくみ:心筋の収縮と代謝、血管平滑筋のトーヌス調節」、生理学テキスト
(1)○…心拍数は交感神経により↑、副交感神経(迷走神経)により↓。
(2)○…結節細胞の活動電位はCa++電流で、それ以外の心筋細胞の活動電位はNa+電流で立ち上がる。
(3)○
(4)×…Ca++ポンプによる。
(5)×…トロポニンCと結合。
(6)×…外向きK+電流による。
(7)×…Ca++ポンプを抑制しているホスホランバンをリン酸化し、ポンプを活性化してCa++の取り込みを促進する。

2.(1)〜(7)の記述について、正しい記述の組み合わせを選べ。
(1)触診法で測った収縮期血圧は、聴診法で測ったものよりやや低くでる傾向がある。
(2)アデニン・ヌクレイチドの分解産物アデノシンは冠血管平滑筋細胞を弛緩させる。
(3)人の安静時冠血流量は、100g心筋あたり1分間に約75〜80mlである。
(4)骨格筋細胞は血管平滑筋に比べてカルシウム拮抗薬(細胞外Ca++の流入阻害薬)の作用を強く受けるので、その投与中は全身の脱力発作に注意が必要である。
(5)血管平滑筋細胞の緊張の程度はCa++イオンと結合するトロポニンCの量によって決定される。
(6)心臓交感神経を刺激すると、一般に冠血流量が増加するが、これは心臓交感神経に血管拡張繊維が存在するためである。
(7)心筋組織や脳組織はブドウ糖以外の基質をエネルギー産生のためにほとんど利用できない。
a.123  b.345  c.167  d.256  e.247
解答 a
解説 14−1&2、G−1&2、11/28金出先生「循環のしくみ:心筋の収縮と代謝、血管平滑筋のトーヌス調節」、生理学テキスト
(1)○
(2)○
(3)○…R−P3。酸素摂取率は70〜80%。
(4)×
(5)×…R−P7。トロポニンCではなくカルモジュリン。
(6)×
(7)×…R−P3。心臓は主として遊離脂肪酸を用いて好気的代謝を営む。ちなみに脳はブドウ糖のみ。

3.血行動態について、次の記述のうち、正しいものの組み合わせを選べ。
(1)血圧は、臨床現場での心機能評価指標として最も重要である。
(2)肺動脈収縮期圧の正常値は約60mmHgである。
(3)ヒトにおいて、左心系と比べ、右心系の役割は極めて小さい。
(4)前負荷を定めるのは、心血管系全体の平均充満圧である。
(5)運動時の心拍出量の増加、血圧の維持には圧受容器反射系が大きな役割を果たしている。
a.12  b.15  c.23  d.34  e.45
解答 b
解説 12/3原澤先生「循環のしくみ:心室ポンプ機能、心拍出量の調節」
(1)○…心機能を計る簡便な指標としてdouble product(収縮期血圧と心拍数との積)がある。
(2)×…YN30。肺動脈圧は大動脈圧の1/4〜1/5で収縮期17〜32、拡張期4〜13くらい。
(3)×…R−P3。S19。心拍出量と還流量には相関がある(スターリングの法則)。
(4)×…R−P3。S19。拡張末期心室内血液量(静脈還流と心房収縮力)で規定。
(5)○

4.心機能、心拍出量の規定因子について、次の記述のうち、正しいものの組み合わせを選べ。
(1)健常成人の心拍出量は約5リットル/分である。
(2)駆出率の正常率は約80%である。
(3)正常成人において、最大運動時には、心拍出量は安静時の約2倍に増える。
(4)心拍数は拍出量の決定因子ではない。
(5)正常時に心拍出量を決定しているのは心機能より前負荷である。
a.12  b.15  c.23  d.34  e.45
解答 b
解説 12/3原澤先生「循環のしくみ:心室ポンプ機能、心拍出量の調節」
(1)○…心拍出量=心拍数×1回拍出量。
(2)×…YN34。駆出率=1回拍出量(拡張期容積−収縮期容積)/拡張期容積。60%以上が正常。50%では確実に心機能が低下していると判断してよい。ちなみに移植が必要な患者さんの心臓の駆出率は12%程度まで下がっているとか。全身に血液を送るポンプとしての機能がいかに低下しているかがわかりますね。
(3)×…11/28金出先生R−P3。4〜5倍に増える。
(4)×…(1)参照。
(5)○…前負荷が上がると拍出量が上がる。前負荷の影響は非常に大きいと講義で言っていました。

5.活動電位について、次の記述のうち、正しいものの組み合わせを選べ。
(1)洞房結節の活動電位は、Na電流により緩やかに立ち上がる。
(2)心室筋の活動電位はCa電流により急峻に立ち上がる。
(3)心室筋のCa電流は内向きでプラトー相で流入する。
(4)心室筋のK電流は外向きで活動電位の再分極にあずかる。
(5)カリウムチャネルブロッカーは活動電位を延長させる。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 e
解説 G−5、12/4久保田先生「循環のしくみ:電気生理、刺激の発生・伝播と不整脈の発生機序」R−P2、生理学テキスト。
(1)×…Ca電流による。
(2)×…Na電流による。
(3)○
(4)○
(5)○…外向きK電流による再分極を阻害する。

6.不整脈の発生機序について、次の記述のうち、正しいものの組み合わせを選べ。
(1)リエントリーの発生条件は、一方向性のブロックと伝導遅延である。
(2)リエントリーによる不整脈は極めてまれである。
(3)トリガー活動の原因は歩調取り電位の異常である。
(4)心筋細胞が障害されると静止電位が浅くなり、異常自動能が生じる。
(5)細胞内Ca過剰状態では活動電位の再分極直後に遅延後脱分極が生じる。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 c
解説 G−6、12/4久保田先生「循環のしくみ:電気生理、刺激の発生・伝播と不整脈の発生機序」R−P3、生理学テキスト。
(1)○
(2)×
(3)×…トリガー活動=DAD、EAD。歩調取り電位=洞房結節。
(4)○
(5)○

7.次の記述のうち、正しいものの組み合わせを選べ。
(1)肢誘導のT誘導は左手から右手電位を、U誘導は左手から左足電位を、V誘導は右手から左足電位を測定している。
(2)胸部誘導V1〜V6は単極誘導であり、その部位で計測された心電図を示す。
(3)心電図の平均電気軸は肢誘導の心電図のQRS波の振幅から求める。
(4)胸部誘導のV1、V2誘導は第4肋間で肋骨右縁と左縁、V4は第5肋間で左鎖骨中線との交点に電極をつけて記録する。
(5)肢誘導のaVR、aVL、aVF誘導は双極誘導である。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 d
解説 14−16、12/5筒井先生「循環器検査法:心電図」R−P2、3。
(1)×…T誘導は右手から左手、U誘導は右手から左足、V誘導は左手から左足で、これらは双極誘導。
(2)○
(3)○
(4)○…V3はV2とV4との中点に置くことに注意。
(5)×…肢誘導のaVR、aVL、aVF誘導と胸部誘導は単極誘導、肢誘導のT、U、V誘導は双極誘導。

8.次の記述のうち、正しいものの組み合わせを選べ。
(1)心電図のPQ時間は房室伝導時間を示しており、正常値は0.12秒以上0.21秒未満である。
(2)ST部分は心筋虚血の時に上昇したり、下降したりするが、必ずしも心筋虚血に特異的ではない。
(3)QRS波は全ての心室筋の興奮から再分極が終了するまでの時間を反映している。
(4)心電図のP波は心房興奮、QT時間は心室興奮の伝播を反映する。
(5)正常のQRS波の幅は0.10秒以下である。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 d
解説 14−17、12/5筒井先生「循環器検査法:心電図」R−P3。
(1)×…0.12≦PQ時間≦0.20。
(2)○
(3)○
(4)○
(5)×…レジュメでは「<0.12秒」となっていますが、本によって記述が違います。参考までに「心電図のABC」のP30には0.06≦QRS≦0.10と書いてあります。また、QRS≧0.12で完全脚ブロックなので覚えておきましょう。

9.正しい組み合わせはどれか。
(1)心電図の平均電気軸は-30度(0度)より負の場合を左軸偏位、-30度〜+90度(0〜+90度)を正常軸、+90度以上を右軸偏位と定義している。
(2)洞結節、房室結節、ヒス束、右脚、左脚、プルキンエ線維は刺激伝導系である。
(3)QT時間は心拍数により変化し、心拍が早いと長くなり、心拍が遅いと短くなる。
(4)心電図の目盛りは5cmが1秒である。
(5)心電図を記録するときは必ず校正波をいれ、1cmが1mVか、0.5cmが1mVか分かるようにしておく。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 b
解説 14−19、12/5筒井先生「循環器検査法:心電図」R−P2、3。
(1)○
(2)○
(3)×…RR間隔に依存するらしいので、逆ではないでしょうか。自信がありませんが。
(4)×…横軸は1mmが0.04秒なので5cmでは2秒。
(5)○

10.正しい組み合わせはどれか。
(1)右房負荷でU、V、aVFなどでP波が幅広くかつ高振幅になる。
(2)左房負荷でU、V、aVFなどでP波が先鋭かつ高振幅になる。
(3)心房下部から刺激が発生するとU、V、aVFなどでP波が陰性になる。
(4)右房負荷は右心系の拡大や伝導異常に伴って発生する。
(5)左房負荷は僧帽弁の異常に伴って起こることが多い。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 e
解説 14−20、12/11&12樗木先生「循環器検査法:心電図」R−P15。
(1)×…尖った高いP(肺性P)が見られる。ただ、P波の時間は正常範囲内で、幅広にはならない。また、U、V、aVFは下壁横隔膜面の電気現象を反映している。
(2)×…2峰性のP(僧帽性P)が見られる。
(3)○…選択肢から。
(4)○…心電図のABC−P96。
(5)○…心電図のABC−P98。

11.正しい組み合わせはどれか。
(1)左室肥大ではV1,2誘導のS波とV5,6誘導のR波の振幅が増大する。
(2)左室肥大に伴ってT、aVL誘導やV5,6誘導のST部分とT波が陰転化することがある。
(3)右室肥大はV5、V6誘導のS波の振幅が増大する。
(4)右室肥大のとき右軸偏位を示すことはまれである。
(5)肥大の心電図ではQRS幅は0.12秒以上ある。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 a
解説 14−21、12/11&12樗木先生「循環器検査法:心電図」R−P6〜9。
(1)○…V1,2は右・左室後壁の電気現象を、V5,6は左室側壁の電気現象をそれぞれ反映。
(2)○…T、aVLは左室前側壁、高位側壁の電気現象を反映。ST部分が上に凸のストレイン型になる。
(3)○
(4)×…右軸偏位≧110°
(5)×…肥大ではなく、完全右・左脚ブロックで。

12. 正しい組み合わせはどれか。
(1)下壁の陳旧性心筋梗塞では、U,V,aVF誘導に異常Q波が見られ、陰性T波を伴うことが多い。
(2)広範囲前壁心筋梗塞の急性期には、V1〜6誘導にST上昇やT波の増高が見られる。
(3)労作性狭心症の場合、運動負荷などでST部分が水平もしくは下方行に低下するが、安静によって正常化する。
(4)心筋梗塞の心電図は必ず異常Q波が見られる。
(5)狭心症の発生には発作時にST部分が上昇することはない。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 a
解説 14−22、12/11&12樗木先生「循環器検査法:心電図」R−P10〜13。
(1)○…心電図のABC−P58。このとき現れる左右対称の陰性T波を冠性T波と呼ぶ。
(2)○…心電図のABC−P62。急性期にはT波の増高やST上昇が見られ、異常Q波や冠性T波はまだ見られない。
(3)○…心電図のABC−P70。
(4)×…一般に異常Q波は見られますが、「必ず」と言えるのかは分かりません。
(5)×…心電図のABC−P72。異型狭心症の発作時(スパスム発生時)に見られる。

13.正しい組み合わせはどれか。
(1)完全左脚ブロックはQRS幅が0.12秒以上でV1誘導ではrSパターンをV6誘導ではR波と陰性T波を認める。
(2)完全右脚ブロックはQRS幅が0.12秒以上でV1誘導ではrSR'パターンをT、,aVL、V6誘導では幅の広いS波を認める。
(3)右脚ブロックの時には右室肥大の存在は診断できない。
(4)左脚ブロックの時にはその他の心電図異常も診断できる。
(5)左脚ブロックは何らかの心疾患に伴って起こる事が多いが右脚ブロックは伴わないことも多い。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 b
解説 14−23、12/11&12樗木先生「循環器検査法:心電図」R−P12。
(1)○…心電図のABC−P102。rが欠如するとQS型になる。QRS幅が0.10〜0.12の場合を不完全ブロックと呼ぶ。
(2)○…心電図のABC−P100。
(3)×…右室肥大は右脚ブロックの重要な鑑別診断。
(4)×
(5)○

14.正しい組み合わせを選べ。
(1)右冠動脈の閉塞により左室前壁や中隔の壁運動低下を生じる。
(2)回旋枝の閉塞により左心室側壁や後壁の壁運動低下を生じる。
(3)心尖部4腔像では主に左心室の側壁と中隔が観察できる。
(4)心尖部2腔像で観察される心腔は左心室と右心室である。
a.134のみ  b.12のみ  c.23のみ  d.4のみ  e.1〜4のすべて
解答 c
解説 12/10市来先生「循環器検査法:心エコー・ドプラー法」
(1)×…1/20&21下川先生「虚血性心臓病:狭心症」R−P1の図23−1参照。前下行枝の閉塞による。右冠動脈では右室や中隔の運動低下。
(2)○…1/20&21下川先生「虚血性心臓病:狭心症」R−P1の図23−1参照。
(3)○…R−P7。
(4)×…R−P8。左心房と左心室を観察できる。

15.正しい組み合わせを選べ。
(1)狭窄部における圧較差は2×(速度)^4で求められる。
(2)パルスドップラー波は速い血液を見るのに適している。
(3)駆出率はおよそ(左室拡張期内経^2−左室収縮期内経^2)/左室拡張期内経^2で計算される(壁運動異常がない場合)。
(4)心内腔や壁厚などはMモード法により計測される。
a.134のみ  b.12のみ  c.23のみ  d.4のみ  e.1〜4のすべて
解答 d
解説 14−13&14、G−14、12/10市来先生「循環器検査法:心エコー・ドプラー法」
(1)×…R−P9。連続波ドップラーと4×(流速)^2で求められる。この式を簡易ベルヌーイの式という。
(2)×…R−P9。パルスドップラーは任意の一点の測定ができるが低速の血流しか測定できない。それに対し、連続波ドップラーは測定部位の指定はできないが、速い血流を測定することができる。
(3)×…問題4参照。駆出率=1回拍出量(拡張期容積−収縮期容積)/拡張期容積。
(4)○…R−P1。

16.次の疾患の心エコー所見について適切な組み合わせを選べ。
(1)心房中隔欠損症    心室中隔の奇異性運動
(2)心タンポナーデ    右室の拡大
(3)拡張型心筋症     僧帽弁の収縮期前方運動
(4)肥大型心筋症     非対称性中隔肥厚
(5)心サルコイドーシス  心室中隔基部のひ薄化
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 c
解説 14−15、G−16、12/10市来先生「循環器検査法:心エコー・ドプラー法」
(1)○…R−P16。収縮期に右室側へ移動する。
(2)×…R−P14。echo-free spaceがみられる。右心系の拡大は心房中隔欠損で見られる。
(3)×…R−P14。左室の拡大とびまん性の壁運動低下が見られる。僧帽弁の収縮期前方運動は肥大型心筋症の所見。
(4)○…R−P13。
(5)○…選択肢から。

17.胸写にて、右第2弓の突出が認められる疾患には以下がある。
(1)三尖弁閉鎖不全  (2)心房中隔欠損症  (3)心室中隔欠損症
(4)ファロー四徴症  (5)動脈管開存
a.12  b.15  c.23  d.34  e.45
解答 a
解説 12/8筒井先生「循環器検査法:画像診断CT・RI検査法、胸写」R−P3
他に三尖弁狭窄、Ebstein病、肺動脈狭窄でも見られる。

18.胸写にて、肺血管陰影が中枢で拡張し、末梢では細くなる疾患には以下がある。
(1)心房中隔欠損症  (2)原発性肺高血圧症  (3)肺血栓塞栓症
(4)肺動脈狭窄  (5)僧帽弁閉鎖不全症
a.12  b.15  c.23  d.34  e.45
解答 c
解説 12/8筒井先生「循環器検査法:画像診断CT・RI検査法、胸写」R−P5
肺実質疾患、肺血管閉塞疾患、左→右短絡性心疾患で見られる。

19.タリウム心筋シンチグラフィー検査において用いられる負荷法には以下のものがある。
(1)運動  (2)アデノシン(ATP)  (3)バルサルバ
(4)アセチルコリン  (5)ジピリダモール
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 b
解説 12/8筒井先生「循環器検査法:画像診断CT・RI検査法、胸写」R−P6〜8、S2〜4。
他にドブタミンも用いられる。

20.左室造影が、病態の評価に有用である疾患はどれか。
(1)僧帽弁閉鎖不全症  (2)僧帽弁狭窄症  (3)心房中隔欠損症
(4)大動脈弁閉鎖不全症  (5)拡張型心筋症
a.12  b.15  c.23  d.34  e.45
解答 b
解説 12/15多治見先生「循環器検査法:心カテーテル法、血管造影」R−P6
左室造影は左室容量・壁運動の評価、僧帽弁逆流の有無と程度を調べるのに有用。

21.Swan-Ganzカテーテルで評価可能なものはどれか。
(1)肺動脈血管抵抗  (2)心拍出量  (3)体循環血管抵抗
(4)左室駆出率  (5)心内シャント率
a.12  b.15  c.23  d.34  e.45
解答 a
解説 14−24
Swan-Ganzカテーテルとは静脈からカテーテルを入れて右房から右室を経て肺動脈まで入れるもの。他に右房内圧、左房内圧(=肺動脈楔入圧)が評価できる。

22.次の疾患の中でカテーテルを用いた血管形成術の適応とならないものはどれか。
(1)冠攣縮性狭心症  (2)左冠動脈主幹部病変  (3)不安定狭心症
(4)心原性ショック  (5)急性心筋梗塞
a.12  b.15  c.23  d.34  e.45
解答 a
解説 S241、242
2枝完全閉塞の残り1枝、左冠動脈主幹部病変は禁忌。カテーテルによる血管形成術は再狭窄の可能性があり、例えば前者に実施した場合、再狭窄が起こると3枝全てが閉塞してしまうため。

23.大動脈弁閉鎖不全症の所見として適切なのはどれか。
(1)収縮期逆流性雑音  (2)脈圧の増加  (3)速脈
(4)僧帽弁前尖エコーのdoming  (5)U音の奇異性分裂
a.12  b.15  c.23  d.34  e.45
解答 c
解説 YN97〜98、S216
(1)×…拡張期に聞こえる。収縮期に聞こえるのは大動脈弁狭窄症。
(2)○
(3)○
(4)×…fluttering。具体的にどんなことなのかは分かりませんでした。
(5)×…大動脈弁狭窄症の所見。

24.次の症状、所見について正しいのはどれか。
(1)奇脈とは呼気時に比べ吸気時に収縮期血圧が10mmHg以上低下することを言う。心タンポナーデの時にみられる。
(2)交互脈はあきらかな心不全症状を有する心筋障害のある場合に見られる。
(3)毛細血管拍動(Quincke徴候)は爪床を軽く押さえ、赤くなったり消えたりするのを観察することで確認できる。大動脈閉鎖不全など脈圧が上がる場合に認められる。
(4)Valsalva操作で胸腔内圧を上昇させると、血圧、脈圧は低下し、心拍数は上昇する。
a.123のみ  b.124のみ  c.34のみ  d.4のみ(?)  e.1〜4のすべて
解答 a
解説 YN17、S27〜28
(1)○…他に収縮性心膜炎、重症喘息でもみられる。
(2)○…左心不全の指標である。
(3)○
(4)×…YN40、S110。Valsalva操作により迷走神経を刺激して心臓への静脈還流量を下げる。これにより脈拍が下がる。

25.次の聴診所見について正しいものを選べ。
(1)U音の奇異性分裂はUAが遅れるために起こり、完全左脚ブロックやWPW症候群などで見られる。
(2)V音は平均左房圧の上昇、硬い左室、駆出分画の低下を伴う大きな左室が存在するときに認められ、心筋症など左心機能不全に伴うことが多い。
(3)心膜摩擦音は通常拡張早期に聴かれる低調性の雑音である。ウイルス性心膜炎、全身性エリテマトーデス、尿毒症などに伴うことが多い。
(4)僧帽弁狭窄の拡張期雑音は僧帽弁開放の直後から始まり、U音大動脈成分(UA)とのあいだに短い間があるため、遅れた拡張早期雑音あるいは拡張中期雑音と呼ばれる。
a.123のみ  b.124のみ  c.34のみ  d.4のみ  e.1〜4のすべて
解答 b
解説 G−25
(1)○
(2)○
(3)×…S264。新タンポナーデがないときに聴かれる高調性の雑音。
(4)○…YN13〜14、S196。左室流入の際に通路が狭く乱流が起こることによる。低調音。

26.誤っているのはどれか。
(1)うっ血性心不全による呼吸困難は臥位で軽快する。
(2)右心不全では頸静脈怒張や下腿の浮腫などが見られる。
(3)心タンポナーデにより呼吸性奇脈が生じる。
(4)左心不全では心拡大、頻脈を起こす。
a.12のみ  b.124のみ  c.34のみ  d.1のみ  e.1〜4のすべて
解答 d
解説 
(1)×…YN19、S78〜80。左房圧上昇による起坐呼吸はうっ血性心不全の特徴である。
(2)○…YN20、S80。静脈のうっ血による。
(3)○…YN17、S28。問題24(1)参照。他に収縮性心膜炎でも起こる。
(4)○…YN19。左心不全では心拍出量が低下(=血圧低下)し、肺にうっ血をきたすため。

27.労作性狭心症の典型的な症状で正しいものを選べ。
(1)痛みは胸骨裏面で広さを持っていて、指尖で指すことはできない。
(2)痛みは心臓の負担が増す状態(運動、食事、興奮、排便など)でおこる。
(3)持続は数分、長くとも15分以内が多い。瞬間的な痛みは狭心症ではない。
(4)運動の停止やニトログリセリンの舌下投与が痛みの軽減に有効である。
a.12のみ  b.14のみ  c.34のみ  d.2のみ  e.1〜4のすべて
解答 e
解説 14−28、S230、1/20&21下川先生「虚血性心臓病:狭心症」R−P4
(1)○…絞扼感や圧迫感が特徴的。
(2)○…一定以上の労作により狭心症が誘発される。冠動脈に器質的狭窄があり、酸素需要の増加に対応できなくなるため。
(3)○…どんなに長くても30分以内で、これ以上続くと心筋梗塞を疑う。
(4)○…ニトログリセリンが効かない場合は心筋梗塞を疑う。

28.左心不全について正しいものを選べ。
(1)胸部X線写真上、まず上肺野の肺血管陰影が拡大し、下肺野で狭小化する。
(2)胸水貯留は左側に初発することが多い。
(3)心エコー検査では左室収縮機能が正常であれば、うっ血性心不全が生じることはない。
(4)聴診上ギャロップリズムの聴取は心不全の徴候として参考になる。
(5)聴診上湿性ラ音の聴取は肺うっ血を疑わせる。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 c
解説 YN19、S79、12/18原澤先生「心不全:病態生理・診断」
(1)○
(2)×…右に多い。ただ、胸水は左心不全の主症状とはいえない。胸水は体循環の影響が大きいので、右心不全や両心不全の徴候と考える。
(3)×
(4)○…YN11。T音(房室弁の閉じる音)、U音(動脈弁の閉じる音)に加え、V音(拡張早期の心室の急速充満期に発生。必ずしも病的なものではなく、健康な若年者でも聴取することがある。)、W音(強力な心房収縮により発生。高齢者や運動選手でも聴かれる。)が聴こえるようになること。
(5)○…湿性ラ音=断続性ラ音。肺水腫による。

29.心不全について次の記述のうち正しい組み合わせを選べ。
(1)心原性肺水腫を来たした患者を治療し回復した後は心不全という診断名は不適切である。
(2)Forrester分類は急性心不全にも慢性心不全にも適応される。
(3)心不全の生命予後、機能予後は基礎疾患によって異なる。
(4)心不全の評価として、どの程度の運動が可能かは重要である。
a.12  b.15  c.23  d.34  e.45
解答 d
解説 12/18原澤先生「心不全:病態生理・診断」
(1)×…心不全を肺水腫が起こった状態で考えた旧来の定義では○であるが、現在は「末梢が要求する血液量を供給できない」状態を心不全と捉え、「慢性心不全により肺水腫をきたした」と考えるので、肺水腫を起こしても心不全と言える。
(2)×…Forrester分類は慢性心不全にはあまり役立たない。
(3)○
(4)○…運動耐容能が下がると、急性増悪や突然死をきたす。

30.慢性心不全患者の治療について正しいものを選べ。
(1)心機能低下があっても無症状であればアンジオテンシン変換酵素阻害薬は使わない。
(2)洞調律の心不全患者にはジギタリスは禁忌である。
(3)フロセミドはうっ血を軽減するのに有用であるが、高カルシウム血症を生じることがあるので注意が必要である。
(4)心不全患者に対してできるだけβ遮断薬導入を試みることが勧められている。
a.134のみ  b.12のみ  c.23のみ  d.4のみ  e.1〜4のすべて
解答 d
解説 14−32、12/19広岡先生「心不全:治療」R−P1
(1)×…左室の進行性の拡大と収縮の低下、すなわちリモデリングの抑制に役立つと言われている。
(2)×
(3)×…低K血症を生じる。高Ca血症を生じるのは抗アルドステロン薬のスピロノラクトン。フロセミドは錠剤もしくは静注(消化管浮腫で吸収が低下しているとき)で用いる。
(4)○…少量(1/4くらい)から用いる。

31.心不全患者における不整脈治療について正しいものを選べ。
(1)慢性心不全患者の心室性不整脈治療としてはアミオダロンを使用するが間質性肺炎などの副作用に注意が必要である。
(2)植え込み型除細動器は心不全患者の致死性心室性不整脈治療に有用である。
(3)心房細動においては抗凝固療法としてワーファリンによりINRを1前後にコントロールする。
(4)心不全患者の心室性不整脈に対してT群抗不整脈薬の積極的使用が勧められる。
a.134のみ  b.12のみ  c.23のみ  d.4のみ  e.1〜4のすべて
解答 b
解説 14−33、12/19広岡先生「心不全:治療」R−P1
(1)○
(2)○…R−P4。血行動態が破綻する心室頻拍や心室細動に有効。
(3)×…1前後ではなく2.5前後に。
(4)×…心機能が低下している例では敬遠される。

32.拡張型心筋症について誤った記述の組み合わせをa−eの中から選択せよ。
(1)心不全の原因は左心室の収縮機能不全である。
(2)主な死因は心不全や心室性不整脈である。
(3)心不全慢性期のβ遮断薬投与は原則禁忌である。
(4)心エコーでは限局性に左室壁運動が低下している。
(5)確定診断では二次性心筋疾患の除外は必要ない。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 e
解説 14−45、G−32、1/27小池先生「心筋・心膜疾患の診断と内科治療」R−P1〜3
(1)○…ポンプ機能の低下が本態である。
(2)○…心室頻拍、心室細動など。
(3)×…慢性心不全では慢性的なカテコールアミンの増加が起きており、それによりβreceptorがdown regulateしている。β遮断薬はこのβreceptorをup regulateする。必ず少量から使用することと急性心不全に対しては禁忌であることが注意点。
(4)×…びまん性の壁運動低下。限局性の運動低下は虚血性心疾患に特徴的。
(5)×…二次性心筋疾患=特定心筋疾患。症状が似ているため、鑑別が重要。

33.肥大型心筋症について正しい記述の組み合わせをa−eの中から選択せよ。
(1)心拡大による収縮機能障害が心不全の原因となることがある。
(2)約半数に遺伝性を認める。
(3)心移植の主な対象疾患ではない。
(4)心尖部肥厚型では心電図でgiant negative Tをしばしば認める。
(5)心房細動を合併しても血行状態には影響を及ぼさない。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 d
解説 14−46、G−33、1/27小池先生「心筋・心膜疾患の診断と内科治療」R−P3〜4
(1)×…一般に収縮機能は正常。ただし、拡張型心筋症用に左室が拡大して収縮機能障害が起こり、心不全を起こすこともある。
(2)○
(3)○…薬物療法(β遮断薬、Ca拮抗薬)主体。拡張型心筋症は移植の対象。
(4)○
(5)×…心房細動→心房収縮障害→流入低下→低心拍出&心不全となり、とたんに予後が悪くなる。

34.心室性不整脈について誤った記述の組み合わせをa−eの中から選択せよ。
(1)心室性期外収縮は最も頻度の多い不整脈の一つである。
(2)心室頻拍の際、心電図上房室解離を認める。
(3)Torsade de pointesは心室細動の一種である。
(4)心室性不整脈は必ず治療しなければならない。
(5)突然死の家族歴があり、V1、V2誘導でST上昇をともなう不完全右脚ブロックを認めた場合はBrugada症候群の可能性は低い。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 e
解説 14−47、1/7小池先生「不整脈:頻脈性不整脈」
(1)○…健常人でも半数に見られる。
(2)○
(3)×…YN42。EADによる心室性頻拍。心室細動への移行がありえる。
(4)×…原因に問題があれば治療する。
(5)×…YN46、S139。東アジアの若年男性に多く、突然死の原因となるので植え込み型除細動器の適応である。

35.心房粗細動について正しい記述の組み合わせをa−eの中から選択せよ。
(1)心房細動は不整脈のなかでも頻度は少ない。
(2)心房粗動のF(鋸歯状)波がU誘導、V誘導、aVf誘導で下向きのものは通常型心房粗動である。
(3)心房細動はRR間隔が不整な絶対不整脈である。
(4)WPW症候群に合併する心房細動は心室頻拍とも鑑別が必要である。
(5)発作性心房細動には自覚症状があまりないことが多い。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 d
解説 14−48、1/7小池先生「不整脈:頻脈性不整脈」R−P4
(1)×
(2)○
(3)○…心房粗動では整。
(4)○…YN50、S125。pseud VTと呼ばれる。ジギタリス、Ca拮抗薬禁忌。
(5)×…動悸や胸痛などの自覚症状を認める。慢性心房細動には自覚症状がない。

36.冠循環の特徴について正しい記述の組み合わせは以下のうちどれか。
(1)冠循環血流量は心拍出量の約5%である。
(2)冠血流は主として拡張期に流れる。
(3)酸素摂取率は安静時で最大に近く、心筋への酸素供給は冠血流に依存する。
(4)一定の灌流圧の範囲で血流を一定に保つ自己調節能は、脳や腎循環ほど発達していない。
(5)血管内皮は種々の弛緩因子を産生・遊離するが血管の恒常性の維持にはあまり関与していない。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 a
解説 14−34、G−36&37、1/19下川先生「虚血性心臓病:冠循環の生理と心筋虚血」、朝倉のP596〜601を下川先生が執筆されているので、それも参照。
(1)○…R−P1。
(2)○…R−P1。心拍数が多くなると拡張期が短くなるため、虚血に陥りやすくなる。
(3)○…R−P1。安静時でも70%程度の酸素摂取率。これは極限に近く酸素供給量を増やすには冠血流自体を増やすしかない。最大運動時には血流は5〜6倍に増加し、これを冠循環の予備能という。
(4)×…R−P2。約80〜160mmHgで一定に保たれる。自己調節能は心、腎、脳で発達。
(5)×…R−P3。PGI2、NO、EDHFが関連。

37.心筋虚血に関する正しい記述の組み合わせは以下のうちどれか選べ。
(1)心筋虚血は心筋酸素需要量と酸素供給量の不均衡により生じる。
(2)冠血流量の減少を生じる機序には器質的な冠狭窄と機能的な冠攣縮(スパスム)がある。
(3)無症候性心筋虚血の頻度は高くない。
(4)気絶心筋(Stunned myocardium)とは、梗塞に陥った心筋が長期間機能不全に陥っている病態である。
(5)冬眠心筋(Hibernating myocardium)とは慢性の冠血流の低下に伴い心筋が機能を低下させて適応している病態である。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 b
解説 14−35、G−35、1/19下川先生「虚血性心臓病:冠循環の生理と心筋虚血」
(1)○…R−P4。
(2)○…R−P3〜4。器質的な冠狭窄により生じるのが労作狭心症、機能的な冠攣縮(スパスム)により生じるのが異型狭心症。実際の狭心症には両者の要素が混在していることが多い。
(3)×…R−P5。高い。痛みを伴わないため、無理をして心臓に負担をかけ、突然死の可能性がある。
(4)×…R−P6。最灌流によって梗塞を免れた心筋が長時間にわたって機能不全に陥っている。Slowly reversible。
(5)○…R−P6。Quickly reversible。

38.狭心症の問診に極めて有用な「SAVES」の特徴について正しい記述の組み合わせは以下のうちどれか。
(1)S:sudden onset(突然の出現)
(2)A:anterior chest pain(左前胸痛)
(3)V:vague chest pain(鋭利な痛みではなく締め付けられるような圧迫感)
(4)E:ectopic beats(期外収縮による脈不整の自覚)
(5)S:shortness of breath(息切れを伴う)
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 a
解説 14−36、1/20&21下川先生「虚血性心臓病:狭心症」R−P6
(1)○
(2)○
(3)○
(4)×…E:effort or excitement(労作時や興奮時)
(5)×…S:short duration(短時間。具体的には30分以内)

39.狭心症の病型に関して、正しい記述の組み合わせは以下のうちどれか?
(1)安定労作狭心症:一定の閾値の中等度の労作で生じるが再現性はない。
(2)不安定狭心症:心筋梗塞に移行する危険性が高い病態。
(3)異型狭心症:冠動脈攣縮により生じ発作時に心電図で一過性のST上昇を認める。夜間から明け方に多いが日中でも生じる。
(4)冠攣縮性狭心症:異型狭心症も含めた冠動脈攣縮で生じる狭心症の総称で、発作時にはST低下を認めるものも含める。
(5)梗塞後狭心症:心筋梗塞後に生じる狭心症で予後良好のサイン。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 d
解説 14−37、G−39、1/20&21下川先生「虚血性心臓病:狭心症」
(1)×…R−P4。労作を中止すると症状が自然消失する。
(2)○…R−P4。入院して集中加療が必要。
(3)○…R−P4。突然死を引き起こす。
(4)○…R−P5。Ca拮抗薬が有効。過換気や寒冷刺激などによる誘発テストがある。
(5)×…R−P5。心筋が生き残っていると、後に不整脈などを起こしえるので予後不良。

40.狭心症の治療方針について正しいものを選べ。
(1)不安定狭心症は入院安静の上集中加療をおこなう。
(2)器質的狭窄には心筋の酸素需要を抑えるNO薬を用いる。
(3)スパスムにはβ受容体拮抗薬を用いる。
(4)有意冠動脈狭窄には血栓形成がないのでアスピリンを中心とした抗血小板薬で治療する。
(5)薬剤でコントロールできないときには冠インターベンションを考慮する。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 c
解説 14−39、G−40&41、1/20&21下川先生「虚血性心臓病:狭心症」
(1)○…R−P14。あらゆる薬剤を使って抑え込む。
(2)×…R−P12〜13。β遮断薬を用いる。
(3)×…R−P12〜13。スパスムにはβ遮断薬は禁忌。Ca拮抗薬を用いる。
(4)○…他にヘパリンも。
(5)○

41.冠動脈インターベンションについて正しい記述の組み合わせは以下のうちどれか選べ。
(1)冠動脈形成術(PTCA)では術後3〜6ケ月の間に30〜40%の症例に生じる再狭窄が問題であった。
(2)冠動脈ステント術の導入によりその頻度が半減したが、再狭窄は依然として重要な問題である。
(3)一枝病変は原則として薬物療法を優先させる。
(4)左冠動脈主幹部病変も冠動脈形成術のよい適応である。
(5)動脈バイパス術には長期開通度の高い静脈グラフトが用いられる。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 a
解説 14−40、G−22&23&40、1/20&21下川先生「虚血性心臓病:狭心症」R−P16〜20、2/20毛利先生「冠インターベンション」
(1)○
(2)○…ステント導入で再狭窄は15〜20%に減少。ステント上に抗増殖薬(抗癌剤)を塗布して再狭窄を防ぐ。
(3)○…1枝病変では内科治療も外科治療(バイパス)も長期成績に差がない。2枝、3枝病変では外科治療が優位。
(4)×…問題22参照。禁忌である。
(5)×…長期開通度が高いのは動脈グラフトで、こちらが用いられている。短期的には静脈グラフトの方が開通度が高い。

42.虚血性心疾患について正しい記述の組み合わせを選べ。
(1)危険因子として重要なものは高コレステロ―ル血症である。なかでもLDLコレステロ―ル値が高いほど虚血性心疾患の発生率が高くなる。
(2)危険因子の数が多いほど虚血性心疾患の発症リスクが高くなる。
(3)コレステロ―ル低下療法によって虚血性心疾患の発生率が低下することは証明されている。
(4)我が国において虚血性心疾患の発生頻度は増加している。
a.134のみ  b.12のみ  c.23のみ  d.4のみ  e.1〜4のすべて
解答 e
解説 14−41、G−42、1/22&23江頭先生「虚血性心臓病:心筋梗塞」
(1)○
(2)○
(3)○
(4)○…それでもアメリカのほうがまだまだ多い。

43.急性心筋梗塞症について正しい記述の組み合わせを選べ。
(1)閉塞性血栓は大部分動脈硬化部位の破綻ruptureにより起こる。
(2)破綻部位の病理組織学的特徴としては、炎症・脂質沈着・脆弱な被膜、などが上げられる。このような病変の質的異常をプラーク不安定化(病的動脈硬化)という。
(3)閉塞性血栓が起きやすい不安定化部位の動脈硬化性狭窄の程度は70%以上の狭窄である場合が多い。狭窄が軽度−中等度の場合は少ない。
(4)不安定化動脈硬化部位の破綻の原因として冠動脈攣縮、ストレスや交感神経緊張などが挙げられる。
a.134のみ  b.12のみ  c.23のみ  d.4のみ  e.1〜4のすべて
解答 b
解説 14−42、G−43、1/22&23江頭先生「虚血性心臓病:心筋梗塞」R−P1
(1)○…血栓により血流が途絶する。
(2)○
(3)×…軽度−中等度の場合が多い。重度の場合は少ない。
(4)×…心筋梗塞の原因にはなるが、粥腫破綻の原因にはならない。

44.急性心筋梗塞症の診断について正しい記述の組み合わせを選べ。
(1)不安定狭心症との鑑別には心電図と心筋逸脱酵素の経時的変化が役立つ。
(2)症状としての胸痛は30分以上続き、ニトログリセリンは無効であることが多い。
(3)心電図で最も初期の変化は冠性T波である。
(4)心筋壊死は心外膜側から始まり内膜側へ進展する。
(5)急性心膜炎との鑑別診断には心エコー検査が有用である。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 b
解説 14−43、G−44、1/22&23江頭先生「虚血性心臓病:心筋梗塞」R−P3〜5
(1)○…心筋梗塞ではCK-MB、AST、LDHが上昇するが、不安定狭心症では変化なし。心電図もT波増高→ST上昇→ST下降→冠性T波出現などの経時的変化を示す。
(2)○…鎮痛はモルヒネで。
(3)×…発作直後から現れるのはT波増高。冠性T波は約1週間後から現れ、約1ヵ月後に消える。
(4)×…内膜側の方が酸素消費が大きいので内膜側から広がる。wave-front現象。
(5)○…解離性大動脈瘤との鑑別にはCTが有用。

45.急性心筋梗塞について正しい記述の組み合わせを選べ。
(1)発症早期(6時間以内)には冠動脈閉塞部位を再疎通させる再還流療法が予後の改善に有効である。最疎通療法として血栓溶解療法、或いは経皮的冠動脈形成術が選択される。
(2)Forresterの血行動態分類は心機能の評価と治療の選択に有用である。SubsetU(肺うっ血+、末梢循環不全−)の場合、利尿薬と血管拡張薬が選択される。
(3)二次予防(再梗塞防止)にはβ遮断薬やアンギオテンシン変換酵素阻害薬が選択される。これらの薬剤が有効な機序として心室拡大(心室再構築:remodeling)の防止が注目されている。
(4)3枝病変で心機能が低下している場合、冠動脈バイパス術のよい適応である。
a.134のみ  b.12のみ  c.23のみ  d.4のみ  e.1〜4のすべて
解答e
解説 14−44、G−45、1/22&23江頭先生「虚血性心臓病:心筋梗塞」
(1)○…R−P8。発症早期(特に30分以内)の死亡率は非常に高く治療は急を要する。血栓溶解療法の一つとして、組織型プラスミノーゲンアクチベータインヒビターが用いられるが、高血圧、消化管出血には禁忌である。
(2)○…R−P6。
(3)○…R−P11〜12。アンジオテンシン受容体拮抗薬やアスピリンの併用で効果がさらに上がる。
(4)○…R−P10。問題41(3)参照。

46.人工心肺回路を構成するもので正しいものの組み合わせを選べ。
(1)ポンプ  (2)人工肺  (3)送血カニューレ  (4)リザーバー
a.134のみ  b.12のみ  c.23のみ  d.4のみ  e.1〜4のすべて
解答 e
解説 1/16森田先生「心臓手術の基礎的理解:開心補助手段」プリントP1〜2
(1)○…遠心ポンプ、ロータリーポンプがある。
(2)○…気泡型、膜型があり、今は膜型が用いられている。
(3)○
(4)○
この他に脱血カニューレも必要。

47.下の文章から正しいものを選べ。
(1)心筋保護液を冠動脈から投与するためには大動脈遮断が必要。
(2)心筋保護液は低温(4℃)と高カリウム濃度(20mEq/L)によって心臓を停止させる。
(3)心筋保護液は冠静脈洞から投与するのも可能。
(4)心筋保護のためには心臓の局所冷却を併用する。
a.134のみ  b.12のみ  c.23のみ  d.4のみ  e.1〜4のすべて
解答 e
解説 1/16森田先生「心臓手術の基礎的理解:開心補助手段」プリントP3〜5、R−P6。
(1)○…選択肢から。
(2)○
(3)○…選択肢から。
(4)○…心筋保護液、心臓局所冷却、blood cardioplegiaを併用する。

48.人工心肺回路に血液を脱血する際に脱血カニューレを挿入する部位として用いられるものを選べ。
(1)上大静脈  (2)右心房  (3)左心室  (4)左心房
a.134のみ  b.12のみ  c.23のみ  d.4のみ  e.1〜4のすべて
解答 b
解説 1/16森田先生「心臓手術の基礎的理解:開心補助手段」
講義を聞いた限りでは脱血カニューレは静脈系に挿入するものだと思いますが、動脈系からも脱血することがあるんでしょうか。また、右心房を開けないとき(CABG=バイパス、弁置換術)時に右心房からの脱血が可能。当たり前ですね。

49.右心房に開口している構造物を選べ。
(1)上大静脈  (2)右冠動脈入口部  (3)冠静脈洞  (4)三尖弁
a.134のみ  b.12のみ  c.23のみ  d.4のみ  e.1〜4のすべて
解答 a?
解説 
1、3、4は確実に○ですが、右冠動脈入口部がどうなのか分かりませんでした。分かったら教えてください。

50.完全房室ブロックを有する永久ペースメーカー埋め込み適応患者に対して、選択可能なペースメーカーは何れか。
(1)VVI  (2)AAI  (3)DDD  (4)VDD
a.134のみ  b.12のみ  c.23のみ  d.4のみ  e.1〜4のすべて
解答 a
解説 1/7安藤先生「不整脈の外科」R−P4
1文字目はペーシング部位、2文字目はセンシング部位、3文字目は応答形式。1、2文字目はVは心室、Aは心房、Dはその両方、Oはなしをそれぞれ表す。3文字目はIは抑制型、Tは同期型、Dは両方をそれぞれ表す。例えばAAIであれば、心房に一定時間収縮が見られなければ心房を刺激(1文字目のA)する。収縮が見られた場合はそれを感知(2文字目のA)して、ペースメーカーの刺激を抑制する(3文字目のI)。この問題の場合、房室ブロックなので心房から心室に刺激が伝わらず、心室の収縮がみられないことがあると思われ、(2)のAAI以外が適応だと思います。なお、現在一般にDDDとAAIが多く用いられている。また、ペースメーカー使用者へのMRIは禁忌なので、これも覚えておきましょう。

51.心房細動を有する患者に対するMazeの手術の記述として正しい組み合わせはどれか。
(1)血栓塞栓症の既往は手術適応条件の1つである。
(2)肺静脈左房開口部の切断(またはアブレーション)は有効な手技である。
(3)Maze手術によりmacroreentryが抑制される。
(4)Cox/Maze ProcedureにはT、U、Vの手技の改良がなされた。
a.134のみ  b.12のみ  c.23のみ  d.4のみ  e.1〜4のすべて
解答 e
解説 
(1)○…血栓塞栓症の抑制にも有効である。
(2)○
(3)○…術後も心房細動が残存することがあり、心房細動には自動能亢進やマルチプルマイクロリエントリーの関与も指摘されている
(4)○

52.心臓外科周術期の細菌感染について正しい組み合わせはどれか。
(1)心臓手術は基本的には清潔手術であるが、人工弁置換患者では体内に異物を挿入するため、感染予防のために長期(4週間以上)にわたり抗生剤を投与すべきである。
(2)術前検査で咽頭からMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)が検出されたが、血行動態が安定した人工弁置換予定患者であったので手術に踏み切った。
(3)ペニシリンに感受性のある黄色ブドウ球菌による感染性心内膜炎の47才女性患者、ドパミン10γ/kg/minを必要とする肺水腫を伴う高度の鬱血性心不全(大動脈弁逆流4度)がある。白血球23,000/mm3で39度の発熱があるが手術に踏み切った。
(4)高脂血症、高血圧症でヘビースモーカーの82才男性、冠動脈バイパス術後2日目、38度の発熱をきたした。最も考えやすい原因は肺炎である。
(5)抗生物質が効かない、いわゆる耐性菌の増加はステロイド剤の多用と関係が深いとされている。
a.12  b.15  c.23  d.34  e.45
解答 d
解説 14−58、G−55
(1)×…感染性心内膜炎では最低4週間の抗生物質投与が必要ですが、この場合は必要なし。
(2)×…抗生剤投与でMRSAが陰性化してから手術を行う。
(3)○…感染性心内膜炎患者の心機能が低下してきたら手術に踏み切る。また、内科的に治療が困難な心不全は手術らしいですが、それにも該当するのでしょうか。
(4)○
(5)×…選択肢から。

53.心臓外科周術期の心不全管理について正しいものを選べ。
1.50歳女性、冠動脈バイパス術後、尿量が減少し、心拍出量も1.8L/mon/m^2に低下した。肺動脈楔入圧は3mmHgであった。治療の第一選択はIABP(大動脈内バルーンポンピング)である。
2.心臓外科周術期患者の循環管理で最も重要な指標は体血圧であり、収縮期圧で90mmHgあれば他の指標は無視してよい。
3.血液ヘモグロビン値と全身の酸素需要量が一定ならば心拍出量と混合静脈血液飽和度は反比例する。
4.IABP(大動脈内バルーンポンピング)は心臓の拡張期にバルーンを膨らませ拡張期血圧を上げ、冠血流量を増加させる
5.開心術後の洞徐脈の場合、心房ペーシングと心室ペーシングを同じペーシング数で比較すると心房ペーシングの方が心房圧をさげ心拍出量を増やす。
解答 選択肢不明
解説 14−59、G−56、YN37
(1)×…左房圧=肺動脈楔入圧が正常範囲(4〜12mmHg)にあり、心拍出量が2.2 L/mon/m^2以下の場合には、術後の低心拍出量症候群(LOS)を疑うらしいですが、左房圧の値が微妙ですね。一応、この文章がLOSだと考えて解答してみます。IABPも治療の選択肢の一つのようですが、まずForresterの分類Vに準じて輸液などで電解質バランスの補正を行う。
(2)×…収縮期血圧以外の指標を無視することはありえないでしょう。
(3)×…比例する。心拍出量が多ければ、それだけたくさんの血液が供給され、静脈血の酸素飽和度が高いまま戻ってくる。
(4)○…冠血流は拡張期に流れる。
(5)○…おそらく。詳しいことは分かりませんでしたが、心房ペーシングによって心房圧が下がるのは確からしい。

54.正しいものを3つ選べ
(1)心室中隔欠損では大動脈弁の逸脱を生じることがある。
(2)大動脈弓離断症で動脈管開存を合併している場合、心不全軽減のために動脈管が早く閉じることが望ましい。
(3)心室中隔欠損閉鎖術では左心室切開で行うことが多い。
(4)大動脈縮窄症では下半身のみにチアノーゼが見られることがある。
(5)多発性心室中隔欠損症では欠損閉鎖術ではなく肺動脈絞扼術が行われることがある。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 c
解説 2/4&10&17「先天性心疾患:先天性心臓病の外科治療」
(1)○…R−P5。直ちに欠損孔のパッチ閉鎖が必要。
(2)×…2/10&17チアノーゼ性心疾患プリントP5。大動脈弓離断では下半身への血流は肺動脈→動脈管→下行大動脈という経路に依存しており、動脈管が閉鎖すると、ただでさえ供給が足りない血液が下半身に全く供給されなくなるので、動脈管は必要。
(3)×…右室切開。
(4)○…R−P16。そのような状態をdifferential cyanosisという。下行大動脈への血流が少ないために起こる。(2)の大動脈弓離断症でも起こる。
(5)○…R−P5。姑息手術として行う。根治を目指すにはパッチ閉鎖ですが、それが難しい時に行う。

55.僧帽弁狭窄症の合併症として考えられるものはどれか。
(1)上行大動脈嚢状拡大 (2)心房細動 (3)左房内血栓 (4)鞍状塞栓症 (5)乳頭筋断裂
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 d
解説 1/16木村先生「弁膜症:僧帽弁、三尖弁、大動脈弁」R−P2〜3
心房細動→左房内血栓→鞍状塞栓症という流れ。

56.大動脈弁閉鎖不全症について誤っているものはどれか。
a.速脈  b.左心不全  c.狭心痛  d.遠心性肥大  e.連続性心雑音
解答 e
解説 YN97、S214
(1)○
(2)○…肺うっ血による症状。
(3)○…冠循環の低下による症状。
(4)○
(5)×…To and fro murmur(往復雑音)が聴こえる。

57.左心補助装置について正しいものはどれか選べ。
(1)永久使用目的の人工心臓が装着されたことがある。
(2)左房脱血タイプより心尖部脱血タイプのほうが臨床成績は良好である。
(3)死因は機械の疲労が多い。
(4)ワーファリン・抗血小板剤による抗凝固療法が必要である。
a.134のみ  b.12のみ  c.23のみ  d.4のみ  e.1〜4のすべて
解答 b
解説 14−63、1/9富田先生「人工心臓と心臓移植の現状」
(1)○
(2)○…しかし、日本では空気駆動の左房脱血タイプしか使えない。
(3)×…早期では感染や多臓器不全、その後では感染や脳卒中が多い。
(4)×…必要ないものもある。

58.心臓移植について正しくないものはどれか。
(1)転移性心臓腫瘍も適応となる。
(2)急性拒絶反応の診断は、心筋壊死に伴い上昇する血清中のAST(GOT)やCPK−MB値により診断する。
(3)心臓移植後経過がよくとも、医学的には社会復帰は難しい。
(4)慢性期における閉鎖性冠動脈閉鎖病変は、主に動脈粥状硬化が原因である。
a.134のみ  b.2のみ  c.12のみ  d.23のみ  e.1〜4のすべて
解答 e
解説 14−64、1/9富田先生「人工心臓と心臓移植の現状」
(1)×…禁忌。他にも肺高血圧、糖尿病、活動性の感染などは禁忌。適応は主に拡張型心筋症や虚血性心疾患。
(2)×…自覚症状、心電図、心筋バイオプシーなどが用いられ、心筋バイオプシーにより確定診断。
(3)×…1年以上生存した人の70%が社会復帰。
(4)×…拒絶反応がメイン。閉鎖性冠動脈閉鎖病変もその一つである。免疫抑制剤にはサイクロスポリンやFK506などが用いられるが、副作用に注意する。

59.急性心膜炎を疑わせる所見はどれか。
(1)胸痛  (2)ECG胸部誘導における広範なST上昇  (3)風邪様症状  (4)心膜摩擦音
a.134のみ  b.2のみ  c.12のみ  d.23のみ  e.1〜4のすべて
解答 e
解説 G−60、2/9富田先生「心筋・心膜・心内膜疾患」R−P1
(1)○…前屈で軽減する。
(2)○
(3)○
(4)○

60.感染性心内膜炎に対する外科治療について正しいもの。
(1)菌塊による脳梗塞を生じたときは緊急手術の適応である。
(2)起炎菌が不明の時は現在でも成績不良である。
(3)手術の基本は膿瘍部を外科的に切除し修復することであるが、房室結節弁輪部あるいは冠動脈に病変が及んだときは病変部を残して手術せざるを得ない。
(4)外科治療後の再燃性PVEに対しては手術の適応外である。
解答 選択肢不明
解説 G−61、2/9富田先生「心筋・心膜・心内膜疾患」R−P3
(1)×…手術は血管塞栓症を繰り返す時に行う。
(2)○
(3)○
(4)×…PVE=人工弁心内膜炎。これは弁置換を受けて1年以内に2〜3%に発生し、それ以降は年に0.5%発生。内科的治療によるコントロールが難しい場合は弁置換などの手術を行う。

61.冠動脈バイパス手術(CABG)の手術適応として正しいものを選択せよ。
(1)急性心筋梗塞の超急性期には一般的にCABGよりPTCAが適応となる。
(2)右冠動脈主幹部病変はCABGの適応である。
(3)心筋梗塞の既往があれば、通常CABGの適応とならない。
(4)重症多枝病変ほどCABGのよい適応となる。
(5)80才以上の症例は全てCABGの適応から除外される。
a.124  b.135  c.234  d.245  e.1〜5のすべて
解答 a
解説 14−65、G−62、1/28松井先生「虚血性心臓病の外科治療」
(1)○…R−P5〜6。PTCAの方が早く、低侵襲であるため。
(2)○…絶対適応は左冠動脈主幹部病変、2枝完全閉塞の残る1枝の病変。これはPTCAの禁忌と同じ。
(3)×…R−P2。心筋梗塞後狭心症なども適応となる。
(4)○…R−P5。(2)参照。
(5)×…暦年齢より肉体年齢を考える。

62.冠動脈バイパス手術成績、手術手技について正しいものを選択せよ。
(1)早期開存率、遠隔期開存率のいずれにおいても、内胸動脈グラフトは静脈グラフトより明らかに優れている。
(2)最近我が国における初回CABG手術の病因死亡率(手術後在院死亡率)は全国平均で約2%にまで改善してきた。
(3)OPCAB(off-pump CABG)は体外循環を使用しない心拍動下バイパス手術で、最近著増傾向にある。
(4)多枝バイパス術においては、内胸動脈グラフト1本のみの使用より、両側内胸動脈グラフトを使用した方が、遠隔期生存率において優れている。
(5)冠動脈バイパス手術では、緊急手術も待機手術もほぼ同じriskで手術可能である。
a.123  b.234  c.1345  d.1234  e.1〜5のすべて
解答 b
解説 14−66、G−63、1/28松井先生「虚血性心臓病の外科治療」
(1)×…R−P3。早期では静脈グラフトが、遠隔期では動脈グラフトがそれぞれ優れている。
(2)○…R−P4。初回緊急手術では死亡率は10%程度。
(3)○…R−P5。松井先生は「オフポンプの方がいい」と言っていましたが、森田先生は「動いているものを縫うわけだから、絶対にこっちがいいとは言えないんじゃないかと思う。状況によって使い分けた方がいい」と言っていました。是非はともかく今後も増える傾向にあるというのは間違いないでしょう。
(4)○…R−P4。他に右胃大網動脈なども用いられる。
(5)×…R−P4。(2)参照。

63.急性心筋梗塞合併症の外科治療について正しいものを選択せよ。
(1)左室自由壁破裂は急性心筋梗塞に合併した突然死の原因となるが、時に外科治療により救命される場合がある。
(2)心室中隔穿孔による心不全は、なるべく内科的に管理し、亜急性ないし慢性期に外科治療を行った方が改善が得られる。
(3)僧帽弁乳頭筋断裂による急性僧帽弁閉鎖不全は、緊急手術が唯一の救命手段である。
(4)左室瘤は一般に慢性期に手術適応となるが、最近はDor手術がよく行われる。
a.123  b.234  c.134  d.124  e.1〜4のすべて
解答 c
解説 1/28松井先生「虚血性心臓病の外科治療」R−P6
(1)○
(2)×…心破裂(心室中隔穿孔、左室自由壁破裂、僧帽弁乳頭筋断裂)は緊急手術が唯一の救命手段。
(3)○…(2)参照。
(4)○…左室瘤は急性心筋梗塞の機械的合併症。

64.以下の文で正しいものを選べ
(1)完全型心内膜床欠損症(別名:房室中隔欠損症)ではダウン症の合併が多い。
(2)アイゼンメンジャー化した心房中隔欠損症でも、欠損孔の遺残を生じないように注意しさえすれば安全に閉鎖術を行える。
(3)ファロー四徴症の心血管造影の特徴所見として、"goose-neck sign"が挙げられる。
(4)心室中隔欠損閉鎖術の合併症として、房室ブロックの発生に特に注意を要する。
(5)心室中隔欠損症の術後の肺血流量は術前と比べて減少する。
a.12  b.15  c.23  d.34  e.45
解答 ?
解説 
(1)○…1/30大野先生「先天性疾患:心臓の発生と奇形・先天性心臓病」R−P3、S157。完全型心内膜床欠損症の40%にDown症を合併する。
(2)×…2/4&10&17先天性心疾患「先天性心疾患:先天性心臓病の外科治療」R−P1。禁忌である。Eisenmenger症候群とは左右短絡性の疾患において肺血管抵抗が上昇し、右左短絡が優勢になった場合のこと。心室中隔欠損、心房中隔欠損、動脈管開存症、総動脈幹症などでみられる。
(3)×…YN108、S159。心内膜床欠損症に特徴的。
(4)○…2/4&10&17先天性心疾患「先天性心疾患:先天性心臓病の外科治療」R−P5。
(5)○…左右短絡がなくなるので。

65.以下の文で正しいものを選べ。
(1)心室中隔欠損では大動脈弁の逸脱を生じることがある。
(2)大動脈弓離断症で動脈管開存を合併している場合、心不全軽減のために動脈管が早く閉じることが望ましい。
(3)心室中隔欠損閉鎖術は左心部切開で行うことが多い。
(4)大動脈縮窄症では下半身のみにチアノーゼが見られることがある。
(5)多発性心室中隔欠損症では欠損閉鎖術でなく肺動脈絞扼術が行われることがある。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 c
解説 問題54と同じ。復元ミスでしょうか。

66.先天性心臓奇形の内、通常チアノーゼを呈するものは以下のどれか。
(1)動脈管開存症  (2)心房中隔欠損症  (3)心室中隔欠損症
(4)ファロー四徴症  (5)完全大血管転位症
a.12  b.15  c.23  d.34  e.45
解答 e
解説 14−53、2/10&17「先天性心疾患:先天性心臓病の外科治療」チアノーゼ性心疾患プリントP1
心臓から出て行く時点で既にチアノーゼの定義(血液中の還元ヘモグロビンが5g/dl以上)に当てはまってしまっているものを特に中心性チアノーゼと呼び、ファロー(肺動脈狭窄、右室肥大、心室中隔欠損、大動脈右位)も完全大血管転移症もこれに該当する。ファローは肺動脈狭窄のために肺血流量が少ない。

67.体肺短絡術として用いられるBlalock-Taussig手術が適応となりうる疾患はどれか。
(1)ファロー四徴症  (2)三尖弁閉鎖症  (3)総動脈幹症
(4)動脈管開存症  (5)部分型心内膜床欠損症
a.12  b.15  c.23  d.34  e.45
解答 a
解説 14−54、G−66、2/10&17「先天性心疾患:先天性心臓病の外科治療」チアノーゼ性心疾患プリントP6
Blalock-Taussig手術とは鎖骨下動脈と肺動脈とをつないで肺血流を増やそうとするもの。ファローも三尖弁閉鎖症も肺血流が少ないので適応となる。鎖骨下動脈を肺動脈につないでしまったら上肢の血流はどうなるのか…という疑問が生じるが、新生児期にこの手術を行った場合は側副血行路が自然に発達して上肢への血流は保たれるとのこと。大人ではこんなことは起こらないので、Blalock-Taussig手術は行えない。

68.次の内正しい組み合わせはどれか。
(1)ファロー四徴症  ―― subclavian flap法
(2)総動脈幹症    ―― Mustard手術
(3)三尖弁閉鎖症   ―― Total cavopulmonary connection
(4)大血管転位症T型 ―― 大動脈スイッチ手術
(5)左心低形成症候群 ―― ノーウッド手術
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 e
解説 14−56、G−67、2/4&10&17「先天性心疾患:先天性心臓病の外科治療」、2/10&17チアノーゼ性心疾患プリント
(1)×…R−P6&16、プリントP10。subclavian flap法とは左鎖骨下動脈を縦に切開して反転させ大動脈に縫い合わせるもの。大動脈が狭くて下肢への血流が不十分な大動脈縮窄への手術。自己組織なので再狭窄が少ないという利点もある。ファローでは肺への血流が少ないので、この手術は不適当。
(2)×…R−P8&12、プリントP7。Mustard手術とは心房内バッフルにより心房内血流転換を図るもので完全大血管転位症の根治手術として用いられる。最近は行われなくなっているらしい。
(3)○…プリントP2&6。Fontan型手術の一つで、左房内導管を用いて上大静脈と肺動脈とを吻合する。肺血流を増加させる。
(4)○…R−P8〜9、プリントP7。T型とは心室中隔欠損を合併しないもの。スイッチ手術とは文字通り大動脈と肺動脈とを入れ替えるものでT型及びU型(心室中隔欠損がある)への現在の標準術式(根治的)。
(5)○…R−P14〜15、プリントP9。姑息手術。右室からも大動脈へ血流を流す。肺循環は体肺動脈シャントにのみ依存する。

69.Differential cyanosisをきたす疾患はどれか。
(1)純型肺動脈閉鎖症
(2)大動脈離断複合
(3)大動脈縮窄症
(4)両大血管右室起始症
(5)総肺静脈環流異常症
a.12  b.15  c.23  d.34  e.45
解答 c
解説 2/10&17「先天性心疾患:先天性心臓病の外科治療」チアノーゼ性心疾患プリントP1
問題54(4)参照

70.非解離性大動脈瘤についての説明で正しくないものを選べ。
(1)胸部大動脈瘤は上行、弓部、胸部下行瘤に分けられるが、特に左鎖骨下動脈付近に発生するものは遠位弓部大動脈瘤よばれている。これは、炎症性大動脈瘤の好発部位で高齢化に伴い増加している。
(2)大動脈は、男性より女性に多く発生し、部位別では腎下部>上行>胸部下付行>弓部>腎上部>胸腹部に順で発生しやすい。
(3)痛みの出現した大動脈瘤は切迫破裂といわれ、1ケ月以内に30%が破裂するので手術の絶対適応である。
(4)胸部大動脈瘤緊急手術の成績は極めて不良であるので、―般に瘤径6cm以上、Marfan症候群やその類似疾患では瘤径5cm以上で手術適応とされている。
(5)胸腹部大動脈瘤手術では、脊髄虚血による片麻痺と腹部臓器虚血の予防が重要で、補助手段として超低体温法を行うことがある。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 b
解説 14−70、G−72、2/12川内先生「胸部大動脈・肺動脈疾患」
(1)×…R−P1。炎症性ではなく動脈硬化性。変性性疾患であるため、60〜70歳代に多い。遠位弓部に発生すると反回神経を圧迫するため嗄声が生じる。
(2)×…R−P1。男:女=2:1で男性に多い。
(3)○…R−P2〜3。
(4)○…R−P3。非破裂の場合でも緊急手術の死亡率は10%程度と高率。
(5)×…R−P4。片麻痺ではなく対麻痺。脊髄虚血は主にAdamkiewicz動脈の損傷による。

71.大動脈瘤についての説明で正しいものを選べ。
(1)解離腔が血栓で完全に閉塞している例は早期血栓閉塞例とされ、リエントリーを伴うStanford分類B型に多く、手術適応になることは少ない。
(2)Stanford分類A型の急性期の自然予後は極めて不良であり発症後48時間以内で50%の患者が死亡するが、退院後の予後は比較的良好である。
(3)急性A型大動脈解離はエントリー近くの動脈壁が外方に破裂することが多いなど、内膜亀裂(エントリー)を含む上行大動脈の人工血管置換術が基本術式である。
(4)解離性大動脈瘤のエントリー部位としては、大動脈基部が60%、左鎖骨下動脈遠位例が30%である。
(5)弓部大動脈瘤手術時の脳保護法として、超低体温循環停止法は脳梗塞等の合併症が多く、臨床的には使用困難である。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 d
解説 14−69、G−71、2/12川内先生「胸部大動脈・肺動脈疾患」
(1)×…早期血栓閉鎖型にリエントリーはない。
(2)○…R−P7。退院後の予後は瘤径との相関はあるが、A型もB型も変わらない。また、急性A型及び合併症(Ulcer like projectionや心タンポナーデなど)のある急性B型が手術対象のため、早急にA型かB型かを診断する必要がある。
(3)○…R−P9。
(4)○…R−P6(図20)。
(5)×…R−P4。超低体温循環停止法とは20℃以下にして脳を保護するもの。限界は60分程度で、40分以内が望ましいとされている。使われることもあるが、脳保護法としては脳分離体外循環法>逆行性脳灌流法(90分以内)>超低体温循環停止法の順に優れている。

72.肺塞栓症の説明で正しいものを選べ。
(1)急性肺血栓塞栓症は下肢の静脈系で形成された血栓(深部静脈血栓症)が血流にのって肺に到達し肺動脈を閉塞することによって発症する。
(2)急性肺塞栓症は、全く無症状のものから突然死をきたすような重篤なものまで様々である。
(3)急性肺血栓塞栓症は、多くが自然にまたは治療により血栓が溶解して治癒し、慢性肺塞栓症に移行するものは1%以下である。
(4)慢性肺塞栓症は、いったん発症すれば進行性であり重症例では生命および機能的予後は悪く、適応があれば血栓内膜剥離術が行われる。
a.134のみ  b.12のみ  c.23のみ  d.4のみ  e.1〜4のすべて
解答 e
解説 14−68、2/12川内先生「胸部大動脈・肺動脈疾患」
(1)○…R−P11。エコノミークラス症候群の機序を考えればよい。
(2)○…R−P11。このため診断が重要になる。
(3)○…R−P14。急性と慢性には基本的に連続性がないと考えた方がよい。
(4)○…R−P14。慢性では内科的治療は無効で、肺移植を要する場合もある。反復の予防のため、下大静脈にGreenfield filterを挿入することも。

73.乳児の心不全症状として比較的頻度が高いものはどれか。
(1)不穏  (2)体重増加不良  (3)チアノーゼ発作  (4)大泉門膨隆  (5)発汗過多
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 b
解説 14−91、G−73、1/28福重先生「先天性疾患:小児心臓の特徴・小児心臓病患者の管理」R−P3
チアノーゼや大泉門膨隆が見られるものもある(ファロー四徴症など)と思いますが、不穏、体重増加不良、発刊過多よりは頻度は低いでしょう。これらの症状の原因として、肺静脈うっ血をきたしやすいことも挙げられている。

74.胎児循環の特徴として正しいものはどれか。
(1)卵円孔・動脈管・静脈管が重要な役割を持つ。
(2)胎生期には、心奇形の存在により状態は悪化しない。
(3)肺血管抵抗は出生後約1ヶ月間ほとんど変化しない。
(4)心臓の予備能は悪い。
(5)肺動脈には両心拍出合計の約7%しか流れない。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 c
解説 14−92、G−74、1/30大野先生「先天性疾患:心臓の発生と奇形・先天性心臓病」R−P2
(1)○…卵円孔:右房→左房、動脈管:肺動脈→下行大動脈、静脈管:肝臓をバイパス。出生後に卵円孔、動脈管は左房圧上昇のために、静脈管は臍帯静脈閉鎖のためにそれぞれ閉鎖する。
(2)×…最重症の先天性心疾患は血行動態が維持できないために胎児期に死亡する。
(3)×…胎児期の1/10に減少する。
(4)○
(5)○…肺の成長に必要な分だけ流れる。

75.先天性心疾患の疫学について正しいのはどれか。
(1)Marfan症候群はfibrillin遺伝子の異常により生じる。
(2)21 trisomyで高頻度に合併する先天性心疾患は心内膜床欠損である。
(3)先天性心疾患と関連の深い遺伝子病としてWilliams症候群がある。
(4)生産児における先天性心疾患の発生頻度は約5.0%である。
(5)Noonan症候群は、ウイルスの胎内感染が原因である。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 a
解説 14−93、G−75、1/30大野先生「先天性疾患:心臓の発生と奇形・先天性心臓病」R−P3
(1)○
(2)○…21 trisomy=Down症。問題64(1)参照。
(3)○
(4)×…約1%。そのうちの90%が手術可能。
(5)×…50%以上にミスセンス変異がある。45XOのTurner症候群と顔貌が似ている。Noonan症候群では肺動脈弁狭窄、Turner症候群では大動脈狭窄があり、鑑別が重要。

76.次の文章について正しいのはどれか。
(1)完全大血管転移症はBAS(Balloon atrial septostomy)を必要とすることがある。
(2)総肺静脈環流異常症は通常新生児期に発症する。
(3)肺動脈弁下部(漏斗部)狭窄が存在する場合には、無酸素発作への注意が必要である。
(4)肺動脈血流のための動脈管開存維持には、プロスタグランディン合成阻害薬が有効である。
(5)心房中隔欠損症は、ほとんどの症例が乳児期に心不全で発見される。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 a
解説 14−94、G−76、2/2石川先生「先天性疾患:先天性心臓病」
(1)○…R−P2〜3。完全大血管転位症では体動脈血の酸素化のために心房間交通が必要になる。そのため、心房間交通が不十分な場合、バルーンによる心房中隔裂開術や外科治療を行う。
(2)○…R−P3。明らかな心雑音が伴わない場合、発見が遅れることもあるが、通常新生児期に発症。肺うっ血が高度で早期外科治療が必要になることが多い。
(3)○…R−P4。
(4)×…R−P1。プロスタグランディンが必要。
(5)×…R−P3。乳幼児期以降に発見される。心室中隔欠損は自然閉鎖が期待できるが、心房中隔欠損では期待できない。

77.バイタルサインについて誤りはどれか。
(1)正常新生児の安静時心拍数は180/分に達する。
(2)成長に伴う血圧の上昇は幼児期が最も顕著である。
(3)多呼吸は呼吸器系、あるいは心臓血管系の異常を意味する。
(4)小児期の高血圧は大部分が本態性である。
(5)下肢の収縮期血圧は上肢と同じか少し高いのが正常である。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 c?
解説 G−77、1/28福重先生「先天性疾患:小児心臓の特徴・小児心臓病患者の管理」
(1)×?…選択肢から。R−P3。レジュメには「120〜180/分」と書いてありますが、この範囲が全て「安静時」に起こるものなのかがわかりません。
(2)○?…選択肢から。
(3)○
(4)×…ほとんどが二次性である。新生児期、乳児期ではその大部分が腎疾患、心疾患による。学童期から本態性高血圧が見られるようになり、思春期以降その割合は急増する。
(5)×?…選択肢から。成人ではその通り(ステップによれば、動脈が深部を通るから)。小児の場合違うのでしょうか。

78.先天性心疾患の病態・管理について正しいのはどれか。
(1)肺動脈弁狭窄症は外科的弁切開術が第一選択である。
(2)心房中隔欠損症は10代前半の手術が望ましい。
(3)50mmHg以上の大動脈弁狭窄症では突然死の危険がある。
(4)動脈管開存症はコイルによる閉鎖が可能である。
(5)心室中隔欠損で動脈弁閉鎖不全合併の頻度が高いのは円錐部欠損である。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 e
解説 14−96、G−78
(1)×
(2)×…YN107、2/4&10&17「先天性心疾患:先天性心臓病の外科治療」R−P1。25歳くらいまで可能であるが、3〜10歳で行うのが望ましい。
(3)○…YN96。先天性であれば、無症状でも突然死を防ぐために弁修復術、弁置換術を勧める。
(4)○
(5)○…YN104、S155。円錐部=漏斗部。

79.チアノーゼ型先天性心疾患の合併症として正しいのはどれか。
(1)脳膿瘍  (2)多血症  (3)高尿酸血症  (4)感染性心内膜炎
a.134のみ  b.12のみ  c.23のみ  d.4のみ  e.1〜4のすべて
解答 e
解説 14−97、G−79、YN102
(1)○…奇異性塞栓による。肺動脈狭窄症に多い。
(2)○…低酸素血症に対する代償性変化として起こり、脳血栓を起こすこともある。ファロー四徴症に多い。
(3)○
(4)○…右→左シャント部の乱流によって起こる。ファロー四徴症に多い。

80.正しい組み合わせはどれか。
(1)全身性エリテマトーデス   −房室ブロック
(2)強皮症           −肥大型心筋症
(3)ベーチェット病       −動脈瘤
(4)Duchenne型筋ジストロフィー−拡張型心筋症
(5)アントラサイクリン系抗癌剤 −心筋障害
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 e
解説 14−98&99、G−80&81、2/20加治先生「全身疾患に合併する心血管病:カテーテルアブレーション」
(1)×…R−P2。心外膜炎やLibman-Saccs型心内膜炎を起こす。
(2)×…R−P2。拡張型心筋症を起こす。他に心外膜炎も起こる。
(3)○…R−P3。他に血栓性静脈炎も起こる。
(4)○…R−P2。心不全の原因となる。
(5)○…R−P3。拡張型心筋症が用量依存性に起こる。

81.次のうち正しいものを選べ。
(1)感染性心内膜炎の起炎菌として、もっとも頻度が高いのは黄色ブドウ球菌である。
(2)甲状腺機能低下症では高心拍出性心不全を呈することがある。
(3)β受容体阻害剤は心拍出量を低下させるので甲状腺機能亢進症に伴う心不全には禁忌である。
(4)心アミロイドーシスの心臓エコーでは心肥大と高輝度を示す。
a.134のみ  b.12のみ  c.23のみ  d.4のみ  e.1〜4のすべて
解答 d
解説 2/20加治先生「全身疾患に合併する心血管病:カテーテルアブレーション」
(1)×…R−P1。A群β型溶血性連鎖球菌が多い。
(2)×…R−P1。甲状腺機能亢進症で起こる。
(3)×…R−P1。甲状腺クリーゼ(急性増悪)の時に抗甲状腺剤に加え、ヨード製剤、β受容体阻害剤を用いる。
(4)○…輝度が上がり、中隔と弁との肥厚がみられる。

82.正しい組み合わせを選べ。
(1)WPWに伴う心房細動はカテーテルアブレーションの良い適応である。
(2)カテーテルアブレーションは左心系に起源のある不整脈では施行されない。
(3)カテーテルアブレーションのエネルギー源は低周波である。
(4)発作性上室性頻拍はカテーテルアブレーションで90%以上根治可能である。
(5)心室頻拍の一部にもカテーテルアブレーションは有効である。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 c?
解説 2/20加治先生「全身疾患に合併する心血管病:カテーテルアブレーション」R−P4
(1)○
(2)×?
(3)×…高周波を用いる。
(4)○…発作性上室性頻拍への治療の最終手段がカテーテルアブレーションらしいですが、90%以上根治可能なのかは分かりません。カテーテルアブレーション全体としての成功率は70〜98%で、心タンポナーデや房室ブロックといった重篤な合併症は1%未満。
(5)○…他に発作性上室性頻拍や偽性心室頻拍を起こすWPW症候群も適応。

83.正しい組み合わせを選べ。
(1)動脈硬化の脂肪線条(fatty streak)は多くの場合中年より出現する。
(2)虚血性心疾患や脳梗塞の多くは動脈硬化を基盤として発症する。
(3)動脈硬化は動脈の内膜の肥厚をきたすため動脈は狭窄する。
(4)30〜50代の女性の動脈硬化の程度は、一般に男性に比して軽い。
(5)動脈硬化は粥腫(atheroma)から脂肪線条(fatty streak)へと進行する。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 d
解説 14−73、病理
(1)×…子供にも出現する。
(2)○
(3)○
(4)○
(5)×…逆。脂肪線条から粥腫へ。

84.動脈硬化血管壁の病理組織像に関し、正しいものはどれか。
(1)動脈硬化初期に認められる線状脂肪沈着(fatty streak)は通常、泡沫化した平滑筋細胞より成る。
(2)コレステロール・エステルに富み、線維性被膜が発達していない冠状動脈硬化は通常脆弱であり、粥腫硬化による動脈硬化を起こしやすい。これを不安定プラークと呼び、臨床上問題となる。
(3)ウサギなどの実験動物の動脈硬化病変は胸部大動脈に多いが、ヒトの動脈硬化病変は腹部大動脈から腸骨動脈域に好発する。
(4)メンケベルク型動脈硬化は石灰沈着を伴い、通常大血管に発生する。
(5)動脈硬化病変は年令とともに進行し、退縮はしない。
a.12  b.15  c.23  d.34  e.45
解答 c
解説 14−74、病理
(1)×…泡沫化したマクロファージからなる。一部は平滑筋からもなる。
(2)○
(3)○
(4)×…大血管ではなく、中等血管に発生。
(5)×…退縮もする。

85.動脈には動脈硬化が発生しやすい動脈とそうでないものがある。
(1)上行大動脈  (2)腹部大動脈  (3)冠状動脈  (4)腸骨動脈  (5)腸間膜動脈
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 d
解説 14−75、病理

86.粥腫破綻について関係が深い病変の組み合わせはどれか選べ。
(1)偏心性粥腫  (2)内膜内マクロファージ浸潤  (3)内膜内平滑筋細胞増生
(4)内膜石灰沈着  (5)血栓形成
a.123  b.245  c.345  d.125  e.134
解答 d
解説 14−76、病理

87.心筋梗塞に関係する病変について正しい記述はどれか。
(1)心筋収縮帯壊死は再灌流障害によることが多い。
(2)出血性梗塞であり病変内出血を伴うことが多い。
(3)奇異性心筋梗塞の発生には側副血行路の発達が関与している。
(4)貫壁性心筋梗塞には線維素性心外膜炎を伴いやすい。
(5)前下行枝閉塞は後下壁梗塞を生ずることが多い。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 d
解説 14−77、病理
(1)×…不可逆性細胞障害早期に再灌流があれば収縮帯壊死に,後期に再灌流があれば凝固壊死と出血が見られる。
(2)○
(3)○
(4)○…壊死細胞由来の自己抗体に対する免疫応答による。
(5)×…前下行枝閉塞では前壁。後下壁は回旋枝の閉塞による。

88.血管炎でANCAが関連していると考えられるものを選べ。
(1)結節性多発動脈炎 (2)高安動脈炎 (3)アレルギー性肉芽腫性血管炎(Churg-Strauss症候群)
(4)Wegener肉芽腫症  (5)顕微鏡的結節性多発動脈炎
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345
解答 e
解説 14−78、病理、2/18藤井先生「大動脈・末梢動脈・肺動脈疾患:血管炎」R−P3。
(1)×
(2)×
(3)○…P-ANCA(perinuclear ANCA)
(4)○…C-ANCA(cytoplasmic ANCA)
(5)○…P-ANCA(perinuclear ANCA)

89.次のうち最も正しいものの組み合わせはどれか。
(1)マルファン症候群で発生する弁疾患のうち最も頻度が高いのは大動脈狭窄症である。
(2)細菌性心内膜炎では弁の破壊によって僧房弁逆流症が発生することがある。
(3)リウマチ熱後の僧房弁疾患としては僧房弁狭窄症と僧房弁逆流症のどちらも発生する。
(4)僧房弁逸脱症候群の原因としては動脈硬化による僧房弁の変形が最も多い。
a.123のみ  b.124のみ  c.13のみ  d.23のみ  e.1〜4のすべて
解答 d
解説 14−79、病理、1/16木村先生「弁膜症:僧帽弁、三尖弁、大動脈弁」R−P6
(1)×…僧帽弁逸脱。
(2)○
(3)○
(4)×…腱索、乳頭筋異常。

90.以下の心筋症のタイプとその原因との組み合わせの中で正しいものはどれか。
(1)肥大型心筋症 − 遺伝的背景  (2)拡張型心筋症 − 細胞周囲線維化
(3)肥大型心筋症 − 心筋錯綜配列  (4)拘束型心筋症 − 心筋アミロイドーシス
a.123のみ  b.124のみ  c.13のみ  d.23のみ  e.1〜4のすべて
解答 ?
解説 14−80、病理
(1)○…常染色体優性遺伝、半数に家族歴を認める。
(2)×…拡張型心筋症に特異的な組織所見はない。
(3)○
(4)○

91.急性動脈閉塞症の症状として適当でないものを選べ。
a.間歇性跛行  b.チアノーゼ  c.疼痛  d.脈拍の欠落  e.皮膚感覚の脱落
解答 a
解説 G−91、2/6&16伊東先生「腹部大動脈・末梢動脈・静脈・リンパ」R−P1
間歇性跛行は慢性動脈閉塞症の症状。急性動脈閉塞症の症状としては6Psとして疼痛(pain)、拍動触知不能(pulslessness)、蒼白(pale)、知覚異常(paresthesia)、運動麻痺(paralysis)、衰弱(prostration)がある。

92.慢性動脈閉塞症におけるFontainの分類について正しい組み合わせを選べ。
(1)FontainT度の患者は安静時疼痛を有する。
(2)FontainU度の患者は間歇性跛行を呈する。
(3)FontainV度の治療の第1選択は血行再建術である。
(4)FontainW度の治療において、外科治療は適応とならない。
a.123のみ  b.124のみ  c.13のみ  d.23のみ  e.1〜4のすべて
解答 d
解説 14−87&89、2/6&16伊東先生「腹部大動脈・末梢動脈・静脈・リンパ」
(1)×…R−P1。安静時疼痛はV度の症状。T度の症状は冷感、しびれ感で、治療は抗血小板剤、抗凝固剤、プロスタグランジンなどの薬物治療。
(2)○…R−P1。跛行距離>300m(立ち止まって休憩するまでに300m以上歩く)では薬物療法、跛行距離<300mでは外科治療も考慮。
(3)○…R−P2。V度(主として夜間の安静時疼痛)では外科治療が第一選択。血行再建術としては人工血管、自家静脈が挙げられる。
(4)×…R−P2。W度(潰瘍、壊疽)では外科治療が第一選択。

93.腹部大動脈瘤について正しい組み合わせを選べ。
(1)男女比は6〜8:1で男に多い。
(2)腎動脈が瘤から分岐する例が約半数に見られる。
(3)一般に最大径5cm以上が手術適応となるが、4cm以上でも手術することがある。
(4)虚血性心疾患を20-30%に合併する。
a.134のみ  b.12のみ  c.23のみ  d.4のみ  e.1〜4のすべて
解答 e
解説 G−93、2/6&16伊東先生「腹部大動脈・末梢動脈・静脈・リンパ」R−P2
(1)○…70歳前後の男性に多い。
(2)○…90%が腎動脈よりも下にできる。
(3)○…手術適応は@径が4cm以上、A径が腎下部の正常大動脈の径の2倍以上のいずれか。4cmを超えると破裂する確率が急に高まる。
(4)○…必ず術前にジピリダモール負荷タリウム心筋シンチにより合併症の有無を検査する。異常があれば冠動脈造影を行い、必要に応じて術前にバルーンなどで冠動脈の再建を行う。

94.下肢静脈瘤について正しい組み合わせを選べ。
(1)男性に圧倒的に多い。
(2)ストリッピング手術は大伏在静脈を大腿静脈の合流部で結紮する手術である。
(3)皮膚病変を伴うことはない。
(4)代表的な症状は下腿のだるさ、重さである。
a.134のみ  b.12のみ  c.23のみ  d.4のみ  e.1〜4のすべて
解答 d
解説 2/6&16伊東先生「腹部大動脈・末梢動脈・静脈・リンパ」R−P3
(1)×…立ち仕事の女性に多い。
(2)×…大伏在静脈を大腿静脈の合流部で結紮するのは高位結紮術。ストリッピング手術とは大伏在静脈を引っこ抜く手術。いずれも深部静脈から表在静脈への逆流を防ぐのが目的。
(3)×…色素沈着、皮膚炎、潰瘍などが起こる。
(4)○…朝は比較的症状が軽い。

95.非解剖学的バイパス術に相当する血管再建術式の組み合わせを選べ。
(1)大動脈−大腿動脈バイパス術  (2)大腿動脈−大腿動脈交叉バイパス術
(3)腋窩動脈−大腿動脈バイパス術  (4)大腿動脈−膝窩動脈バイパス術
a.134のみ  b.12のみ  c.23のみ  d.4のみ  e.1〜4のすべて
解答 c
解説 
非解剖学的バイパス術とは解剖学的血流の流れに沿ってないバイパス術のこと。

96.正しい組み合わせを選べ。
(1)高安動脈炎は弾性型動脈に限局した中・外膜病変を基盤とする。
(2)Buerger病は高齢男性に好発し、喫煙者に多い四肢の中小動脈の閉鎖をきたす疾患である。
(3)高安動脈炎の注意すべき合併症は、大動脈弁閉鎖不全とそれに引き続く心不全、高血圧や脳血管障害並びに虚血性心疾患である。
(4)川崎病の本態は冠動脈炎を特徴とする全身の血管炎であり、予後の点から心臓病変が最も重要視される。
a.134のみ  b.12のみ  c.23のみ  d.4のみ  e.1〜4のすべて
解答 a
解説 14−81、G−97、2/18藤井先生「大動脈・末梢動脈・肺動脈疾患:血管炎」
(1)○…R−P1。高安動脈炎=大動脈炎症候群。胸部・腹部大動脈とその主要分枝及び太い肺動脈に発生。若年女性に多い(男女比1:8)。
(2)×…R−P4。若年男性に多い。治療としては運動療法、薬物療法、手術療法などと共に厳格な禁煙が重要である。
(3)○…R−P1。ステロイド、サイクロスポリンで治療。必要に応じて手術療法を行う。
(4)○…R−P3。川崎病=粘膜皮膚リンパ節症候群。発生は1歳児に最も多く、男女比は1.5:1。治療はγグロブリン大量投与、血漿交換、アスピリンによる抗凝固療法。

97.正しい組み合わせをa−eの中から選択せよ。
(1)古典的結節性多発動脈炎は、中・小動脈壁およびその周囲における病変を主体とする壊死性血管炎である。
(2)古典的結節性多発動脈炎の主な死因は腎不全で、ついで心不全が多い。
(3)顕微鏡的結節性多発動脈炎は、毛細血管および細動静脈などの小血管を主体とする白血球破砕性血管炎が特徴的である。
(4)好中球細胞質抗体(perinuclear ANCA)はウェゲナー肉芽腫症に特異性が低い。
(5)ウェゲナー肉芽腫症は上気道、下気道や腎に好酸球が多数浸潤した肉芽腫を伴う壊死性血管炎を特徴とする。
a.12  b.15  c.23  d.34  e.45
解答 ?
解説 14−82、G−96、2/18藤井先生「大動脈・末梢動脈・肺動脈疾患:血管炎」
(1)○…R−P2。結節性多発動脈炎全体は中年男性に好発。
(2)○…R−P2。腎不全が25〜30%を占める。
(3)×…R−P2。壊死性の血管炎でP−ANCAが高率に陽性。。
(4)○…R−P3。perinuclear ANCA=P−ANCA。ウェゲナー肉芽腫症に特異的なのはC−ANCA。ちりょうはサイクロフォスファマイドとプレドニソロンの併用による免疫抑制。
(5)×…R−P3。好酸球の浸潤は稀で、主に単球、好中球が浸潤。

98.誤っている記述を一つ選択せよ。
a.疫学とは人間集団を対象として人間の健康およびその異常の原因を宿主、病因、環境の各面から包括的に考究し、その増進と予防を図る学問である。
b.疫学研究の観察対象の単位は個人の場合と集団の場合とがある。いずれの場合も同一人の要因と結果の両測定値が必要である。
c.観察対象が個人の場合の疫学研究方法は観察研究と介入研究の2つに大別できる。
d.研究者がある因子への暴露を人為的に与えたり、取り除いたりすることによって起こってくる事態を記録して比較する方法を介入研究という。
e.メタアナリシスとは、一つの疫学研究から明確な結論が出ない場合に質の高い小規模研究を併せて評価する統計学的手法である。
解答 b
解説 14−83、G−98、2/18藤井先生「循環器疾患の疫学」
観察研究の1つである生態学的研究は、対象集団の個人ごとの資料を基に解析するのではなく、集団を単位にして、病院と疾病の関係を記載する方法である。この研究には以下の方法がある。
・1つの調査時点において、異なる地域や国のあいだで病因と疾病の関係を比較記載する。
・1つの国や地方を対象として、時間的な変化から病因と疾病の関係を比較記載する。
したがって、このように集団を観察対象にする場合は、同一人の要因と結果の両測定値は必要でない。

〔疫学研究のタイプ〕
(T)観察学的疫学研究…疫学研究者自身は、集団、集団構成員に対して何の介入もしない研究
記述疫学
分析疫学
生態学的研究(地域相関研究)
横断的研究(横断研究、断面研究、有病率研究)
症例対照研究(患者対象研究、後向き研究、回顧法)
コホート研究(前向き研究、縦断研究、追跡研究、将来法、要因対照研究)
(U)介入研究…疫学研究者自身が、集団、集団構成員に対して意図的に介入し、規定要因の変容をはかるもの
臨床研究
地域研究

99.正しい組み合わせをa−eの中から選択せよ。
(1)観察研究では要因の作用する時期と疾病が発生する時期に時間的なずれがある。この時間経過を考慮した方法を"縦断研究"と呼び、考慮しない方法を"横断(断面)研究"と呼ぶ。
(2)コホート研究は、要因暴露の情報を調査開始時点で取る"後向きコホート研究"と、過去の記録や資料をもとにする"前向きコホート研究"に大きく分類される。
(3)縦断研究は、比較する2群の調査集団の設定を暴露の有無で行う"コホート研究"と疾病の有無で行う"患者対象研究"に大きく分類される。
(4)コホート研究は患者対象研究と異なり罹患率を直接測定できる。
a.134のみ  b.12のみ  c.34のみ  d.4のみ  e.1〜4のすべて
解答 a
解説 14−84、G−99、2/18藤井先生「循環器疾患の疫学」
(1)○
(2)×…「前向き」と「後向き」とが逆。
(3)○
(4)○

100.誤っている記述を一つ選択せよ。
a.循環器疾患のリスクは、通常観察研究によって測定される。この代表的研究が米国Framingham研究や久山町研究である。
b.臨床経験だけでなく、再現性があり偏りのない臨床観察を系統的に行い、予後や診断、治療に応用する方法の一つとしてEBM(evidence-based medicine)が提唱されている。
c.選択バイアス(selection bias)は研究のために集めた患者それぞれが研究に関係する因子以外の点で異なっているときに起こる。
d.バイアスを制御する方法として、ランダム化、マッチ、層化、標準化などの手法が用いられる。
e.バイアスが少ない点で症例対象研究は無作為割付比較試験よりも優れている。
解答 e
解説 14−85、2/18藤井先生「循環器疾患の疫学」
a○…観察研究の中でもコホート研究に分類される。
e×…無作為割付比較試験の方がバイアスが少ない。

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