循環器 平成15年度卒業試験

問1.血管の緊張調節や冠血流に関する(1)〜(5)の記述の中で、正しい記述の組み合わせはどれか。
(1)冠状静脈の血液酸素含量は上大静脈の血液酸素含量より少ない。
(2)血管平滑筋細胞の緊張の程度はCa++と結合するトロポニンCの量によって決定される。
(3)骨格筋細胞は血管平滑筋細胞に比べてCa++拮抗薬(流入阻害薬)の作用を強く受けるので、その投与中は全身の脱力発作の注意が必要である。
(4)ニトログリセリンは攣縮状態の冠動脈をほとんど弛緩させない。
(5)血管のα受容体刺激は基本的に血管を緊張させる。
a.(1)(2) b.(1)(5) c.(2)(3) d.(3)(4) e.(4)(5)
【解説・解答】
(1)冠循環の酸素分圧較差は他の臓器に比してかなり大きいので○。
(2)血管平滑筋では、トロポニンCではなくカルモジュリンと結合するので×。
(3)×。
(4)弛緩させる。×。
(5)○。
∴ b

問2.心筋細胞の興奮収縮連関や代謝に関する(1)〜(5)の記述の中で、正しい組み合わせはどれか。
(1)筋小胞体へのCa++の取り込みはCa++ポンプによって行われる。
(2)血漿Ca++イオン濃度が低下しても、心電図は変化しない。
(3)心筋細胞の細胞外へのCa++の排出にNa+/ Ca++交換はほとんど関与しない。
(4)心筋細胞の細胞質Ca++の過剰負荷は心筋拍動の収縮性を増強する。
(5)好気性代謝を営む正常心筋の基質の60−70%は遊離脂肪酸である。
a.(1)(2) b.(1)(5) c.(2)(3) d.(3)(4) e.(4)(5)
【解説・解答】
(1)ポンプによりCa濃度の低い細胞質側から濃度の高い筋小胞体内に取り込まれる。○。
(2)血清K値と血清Ca値の異常は心電図に変化をもたらすので、×。
(3)関与する。×。
(4)細胞のCa過剰は細胞機能を障害し、悪循環によって細胞を破壊するので、×。
(5)○。
∴ b

問3.圧−容積関係からみた心臓と動脈の連関について正しい組み合わせはどれか。
(1)左室の収縮力が増すと、収縮末期圧容積関係は急峻になる。
(2)収縮末期圧容積関係が急峻になると一回拍出量は低下する。
(3)一回拍出量が低下すると、駆出率は増加する。
(4)血管抵抗が上昇すると、一回拍出量は低下する。
(5)前負荷が増加すると、一回拍出量は増加する。
a.(1)(2)(3)   b.(1)(2)(5)   c.(1)(4)(5)   d.(2)(3)(4)   e.(3)(4)(5)
【解説・解答】
(1)収縮末期圧容積関係の傾き(Emax)は収縮力の指標となる。急峻であるほど収縮力は増しているといえる。よって○。詳しくは授業プリント(循内久保田先生)を読んでください、グラフ載ってます。
(2)収縮力増しているということになるので心拍出量も増す。×。
(3)収縮力が増すと駆出率が増加する。つまり心拍出量が増すと駆出率は増加する。よって×。
(4)血管抵抗(後負荷)が小さいほど心拍出量は増加する。よって○。
(5)前負荷(循環血液量、静脈圧)が大きいほど心拍出量は増加する。○。
∴ c

問4.静脈と心臓の連関について正しい組み合わせはどれか。
(1)心機能曲線と静脈還流曲線の交叉するところで右房圧と心拍出量は決まる。
(2)心収縮力が低下すると、心機能曲線は平坦になる。
(3)血管抵抗が高いほど、静脈還流曲線は急峻になる。
(4)循環血液量が多いほど、静脈還流曲線は平坦になる。
(5)交感神経が緊張すると、静脈還流曲線は右上方へ移動する。
a.(1)(2)(3)   b.(1)(2)(5)   c.(1)(4)(5)   d.(2)(3)(4)   e.(3)(4)(5)
【解説・解答】
(1)心機能曲線=右房圧と心拍出量の関係、心臓のポンプ機能を表す。静脈還流曲線=右房圧と静脈還流量の関係、血管系の特性表す。定常状態では心拍出量と静脈還流量は一致しているので、これらの交点がその心臓と血管系によって得られる右房圧と心拍出量となる。○。
(2)○。他にも拡張障害や弁膜症、不整脈などによっても生じる。
(3)心臓が動き出すと血液は静脈系から動脈系へと移動し、静脈系の血液量が減るので静脈圧は低下する。動脈系へと移動した血液は抵抗血管を通って静脈系へ戻ってくるが、血管抵抗が高いとすぐには戻ってこれないので、その分早く静脈圧が低下することになる。つまり血管抵抗の減少によって曲線は急峻になる。よって×。(授業プリントより抜粋、詳しくはそちらを)
(4)組織の酸素需要が増し抵抗血管が開くと、心拍出量が増えても静脈圧はあまり低下しなくなり、最大心拍出量が大きくなる。よって曲線は右上方に移動する。×。
(5)静脈の緊張度が亢進するので、○。
∴ b

問5.活動電位について正しいのはどれか。
(1)洞房結節の活動電位はCa電流により緩やかに立ち上がる。
(2)心室筋の活動電位はNa電流により急峻に立ち上がる。
(3)心室筋のCa電流は内向きで、プラトー相で流入する。
(4)心室筋のK電流は外向きで、活動電位の脱分極にあずかる。
(5)Kチャネルブロッカーは活動電位を短縮させる。
a.(1)(2)(3)   b.(1)(2)(5)   c.(1)(4)(5)   d.(2)(3)(4)   e.(3)(4)(5)
【解説・解答】
(1)洞結節や房室結節の特殊心筋細胞では脱分極の主役は内向きCa電流である。○。
(2)○。
(3)記述の通り。○。
(4)脱分極→再分極。×。
(5)短縮→延長。×。
∴ a

問6.不整脈の発生機序について正しいのはどれか。
(1)トリガー活動は歩調とり電位によって生じる。
(2)細胞内Ca過剰状態では活動電位の再分極直後に遅延後脱分極が生じる。
(3)心筋細胞が傷害されると静止膜電位が浅くなり、異常自動能が生じる。
(4)リエントリーの発生条件は、一方向性ブロックと伝導遅延である。
(5)リエントリーによる不整脈は極めて稀である。
a.(1)(2)(3)   b.(1)(2)(5)   c.(1)(4)(5)   d.(2)(3)(4)   e.(3)(4)(5)
【解説・解答】
(1)正常では歩調とり電位=洞房結節。トリガーは遅延後脱分極や早期後脱分極による。×。
(2)遅延後脱分極:心筋障害、強心配糖体、低K血症+高Ca血症などにより細胞内Ca過剰状態になると活動電位の再分極直後に遅延後脱分極が発生しその振幅が閾値に達するとトリガ―されて異常興奮となる。○。
(3)この通り。○。
(4)この通り。○。
(5)多くの不整脈がリエントリーによって生じる。×。
∴ d

問7.70才男性、高血圧患者の心電図(図表)所見として正しい解釈の組み合わせを1つ選べ。
(心電図は1mV=1cmである)

(1)両室肥大が考えられる。
(2)左房負荷傾向がある。
(3)ST-T変化は必ずしも心筋虚血とは限らず、ストレイン型変化が疑われる。
(4)左室肥大のみである。
(5)右房負荷も認められる。
a.(1)(2)(3)   b.(1)(2)(5)   c.(1)(4)(5)   d.(2)(3)(4)   e.(3)(4)(5)
【解説・解答】
(1)V1のS+V5のR>35mmだがV1でR>Sはない。よって左室肥大のみ。×。
(2)V1でP波の陰性相の振幅が大きくなっている。左房肥大の所見。○。
(3)心室にかかる圧負荷大きくなると、STが上に凸の下降を示し、T波が逆転する現象(ストレイン型変化)が現れる。○。
(4)(1)より、○。
(5)P波が特に高いわけでもなく、右房負荷所見は見られない。×。
∴ d

問8.心電図(図表)の患者は失神発作をおこし。父方の血縁者の突然亡くなった方がいる。正しいものの組み合わせを1つ選べ。(心電図は1mV=1cmである)

(1)血漿Caイオンが高い。
(2)心室頻拍をおこす。
(3)QT時間が長い。
(4)低K血症や運動、驚愕など特徴的な誘因によって発作が起こる。
(5)異常q波と冠性T波がある。
a.(1)(2)(3)   b.(1)(2)(5)   c.(1)(4)(5)   d.(2)(3)(4)   e.(3)(4)(5)
【解説・解答】
(1)QT延長が見られるのでむしろ低Caだと思われる。×。
(2)QTが延長すると、ときにTdPという特殊な心室頻拍を生じることがある。○。
(3)見ての通り(QTc>0.44秒)。○。
(4)低KだとQT延長する。先天性のQT延長症候群によるTdP型心室頻拍では驚愕、怒り、アラーム音、雷鳴などが誘因となることが知られており、交感神経の関与が明らかとなっている。よって○。
(5)冠性T波はV2・V3で微妙だが、異常Q波はない。×。
∴ d

問9.心電図(図表)の患者は39才男性で僧帽弁狭窄症である。正しい心電図解釈の組み合わせを1つ選べ。

(1)右室肥大である。
(2)ストレイン型の左室肥大である。
(3)狭心症の合併が疑われる。
(4)右軸偏位が見られる。
(5)左房負荷も合併している。
a.(1)(2)(3)   b.(1)(2)(5)   c.(1)(4)(5)   d.(2)(3)(4)   e.(3)(4)(5)
【解説・解答】
(1)右室肥大に伴う心電図変化の基本は{@V1~V2の高いR波A著明な右軸偏位BV1~V2のST低下・陰性T波}である。この心電図はこれらを満たす。○。
(2)左室肥大:V1のS+V5のR>35mmという所見がない。×。
(3)ST低下っぽくも見えますが選択肢的に(?!)疑われない気がします・・・。×。
(4)○。
(5) V1でP波の陰性相の振幅が大きくなっており、左房肥大の所見である。○。
∴ c

問10.54才女性の心電図(図表)の正しい心電図診断の組み合わせを1つ選べ。

   (1)前壁心筋梗塞の慢性期である。
   (2)完全右脚ブロックである。
   (3)完全左脚ブロックである。
   (4)平均電気軸はこの例では正常軸である。
   (5)QRS幅は0.12秒以上ある。
a.(1)(2)(3)   b.(1)(2)(5)   c.(1)(4)(5)   d.(2)(3)(4)   e.(3)(4)(5)
【解説・解答】
QRS幅の延長、V1V2でのQS(rS)パターン、V5V6でのq波のないR波と陰性T波、電気軸
は正常〜左軸、R波の分裂などの所見が左脚ブロックに一致。
(1)慢性期にしてはST上昇しすぎなのでは?。×。
(2)×。(3)これは左脚ブロック。○。
(4)TとaVFより、正常軸。○。
(5)○。
∴ e

問11.心電図(図表)の患者は胸痛で受診した74才男性である。正しい心電図所見の組み合わせを1つ選べ。(心電図は1mV=1cmである) aの心電図は発症2時間後、bは2日後、cは1ヶ月後である。



   (1)下壁の陳旧性心筋梗塞も合併している。
   (2)前壁心筋梗塞である。
   (3)肢誘導は低電位傾向である。
   (4)bの心電図の胸部誘導ではっきりしているが、QT時間が延長している。
   (5)左脚ブロックである。
a.(1)(2)(3)   b.(1)(2)(5)   c.(1)(4)(5)   d.(2)(3)(4)   e.(3)(4)(5)
【解説・解答】
(1)U、V、aVFに異常Q波見られず、梗塞のようにはみえません・・・。×。
(2)二時間後にV2〜V5でST上昇しています。○。
(3)肢誘導での低電位差心電図=TUVの全てで上下の振幅が0.5mV未満。図を見る限り、○。
(4)QT延長所見があります。○。
(5)問10に説明あり。×。
∴ d

問12.22才男性、2日間の持続する胸痛で受診し、左が入院時、右が15日後の症状軽快時の心電図(図表)である。臨床経過も考えて、正しい心電図解釈の組み合わせを1つ選べ。

(1)広範囲(前壁、下壁)の急性心筋梗塞の心電図である。
(2)異型狭心症の心電図である。
(3)心外膜炎の心電図である。
(4)全誘導でST上昇が入院時心電図に見られる。
(5)15日後の心電図は正常心電図である。
a.(1)(2)(3)   b.(1)(2)(5)   c.(1)(4)(5)   d.(2)(3)(4)   e.(3)(4)(5)
【解説・解答】
実はこの問題と同じ心電図が授業プリントにあるのですが、急性心膜炎の例らしいです。急性心筋梗塞後合併症としてのものでしょう。
(1)○。
(2)(1)(5)は正しい気がするので選択肢的に○かもしれないけど、ちょっぴりナゾです。○。
(3)急性心膜炎?×。
(4)aVL、aVRで見られない。×。
(5)ST正常化しており、他の所見含めても正常と思われる。○。
∴ b

問13.39才男性の心電図(図表)に関連して正しいものの組み合わせを1つ選べ。

(1)T誘導の陰性P波、aVRの陽性P波は左右の電極の付け間違いでも見られる。
(2)右室肥大である。
(3)側壁心筋梗塞の心電図である。
(4)右軸偏位と胸部誘導のR波の減高が見られる。
(5)右胸心の心電図である。
a.(1)(2)(3)   b.(1)(2)(5)   c.(1)(4)(5)   d.(2)(3)(4)   e.(3)(4)(5)
【解説・解答】
(1)○。
(2)右胸心だとすればこの心電図から右室肥大ということがわかるのでしょうか???×。
(3)ST変化等が見られない。×。
(4)T誘導でマイナスなので右軸偏位。胸部誘導のR波が確かに低い。○。
(5)異常P波(Tで陰性、aVRで陽性)や胸部誘導でQRS波の動き方が正常と逆になっていることから、右胸心疑われる。○。
∴ c
 
問14.以下の文章のうち正しいものの組み合わせを選べ。
(1) 簡易ベルヌーイの式による圧較差は4×(速度)×(速度)で計算される。
(2) 経食道心エコー法は僧帽弁や左心房の観察に優れる。
(3) 僧帽弁狭窄症ではDDR(EFスロープ)は増加する。
(4) 連続波ドップラー法ではある一点の血流速度を測定できる。
a.(1)(3)(4)のみ b.(1)(2)のみ c.(2)(3)のみ d.(4)のみ e.(1)~(4)の全て
解答.b
(3):MSではDDR減少。
(4):パルスドップラーが正しい。

問15.図表は収縮期の胸骨左縁長軸像である。この疾患の聴診所見について正しい文章の組み合わせを下記より選べ。

(1) 僧帽弁開放音が聴取される。
(2) 拡張期雑音を聴取する。
(3) バルサルバ法により雑音は変化しない。
(4) 収縮期のクリックを聴取することがある。
a.(1)(3)(4)のみ b.(1)(2)のみ c.(2)(3)のみ d.(4)のみ e.(1)~(4)の全て
解答b
MSだと思われる。
(3):バルサルバ法で胸腔内圧をあげると左心系の血流が増え、雑音は増大する。
(4):僧帽弁逸脱の所見。

問16.図表のMモード心エコー図について適切な文章の組み合わせを選べ

(1) び漫性の壁運動低下を認める。
(2) 左室流出路の狭窄が疑われる。
(3) 右心系の容量負荷の所見である。
(4) エコーフリースペースを認める。
a.(1)(3)(4)のみ b.(1)(2)のみ c.(2)(3)のみ d.(4)のみ e.(1)~(4)の全て
解答e
(1):拡張型心筋症
(2):HOCM
(3):右心負荷
(4):心嚢液貯留

問17.18歳女性。幼児期より心雑音を指摘されていた。2音の分裂は幅広く、胸骨左縁第2肋間にて駆出性収縮期雑音を聴取した。胸部X線像をしめす(図表)。この患者で認められると思われる所見を選べ。

(1) 肺動脈拡張
(2) 大動脈拡張
(3) 左室拡大
(4) 心尖部挙上
(5) 肺血管影減少
a.(1)(2)(3) b.(1)(2)(5) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(4) e.(3)(4)(5)
解答c
聴診所見からPSが疑わしい。
(1):左第2弓の突出がある。狭窄後拡張か?
(4):心尖部挙上は右室の拡大の所見。
(5):PSならばこうなるはず・・・実際は写真がよくみえないけれど

問18.45歳男性胸部X線と胸部CTを示す(図表)。この患者にみとめられる身体所見を選べ。

(1) 遅脈
(2) 4音
(3) Kussmaul徴候
(4) 心膜ノック音
(5) 腹水
a.(1)(2)(3) b.(1)(2)(5) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(4) e.(3)(4)(5)
解答e
心膜の石灰化の所見がみられる。収縮性心膜炎。
Kussmaul徴候、奇脈、右心不全徴候など心タンポナーデに似た所見がある。拡張早期の心膜ノック音が有名。

問19.62歳女性。主訴は労作時呼吸困難。Mモード心エコーを示す(図表)。胸部X線でみとめられると思われる所見を選べ。

(1) 左3弓の突出
(2) 石灰化
(3) 左房の2重陰影
(4) 左4弓の挙上(持ち上がり)
a.(1)(3)(4)のみ b.(1)(2)のみ c.(2)(3)のみ d.(4)のみ e.(1)~(4)の全て
解答a
DDRの低下からMSを疑う。(1),(3)は左房負荷の所見。(4)は右室負荷。(2)に関しては確かに弁輪部の石灰化が来ることはあるが、Xpに写るほどではないと思われる。

問20.63歳女性。30年前に先天性心疾患の根治手術を受けている。息切れで来院された。第2肋間胸骨左縁にto-and-fro murmurを聴取する。心臓カテーテル検査結果、心電図、胸写を示す(図表)。正しいものの組み合わせはどれか。

(1) 病歴・・・心不全
(2) 心音・・・心房中隔欠損
(3) 心カテ所見・・・左室拡張障害
(4) 心電図・・・右室肥大
(5) 胸写・・・著名な肺動脈の拡大
a.(1)(2)(3) b.(1)(2)(5) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(4) e.(3)(4)(5)
解答c
(1) 病歴から心不全を疑うのは当然。呼吸器症状はかいていない。
(2) ASDのみでto and fro murmurを来すことはまず無いと思われる。聴診部位からPSとPRの合併が最も可能性が高い。
(3) 左房圧の上昇がみられず、左室の拡張障害は考えられない。むしろ右房圧、右室圧の上昇から右心系の障害を考える。
(4) 見ての通り。
大きく張り出した肺動脈がみえる。

問21.問20の疾患の病態として正しいのはどれか。
(1) 左室の容量負荷
(2) 心房レベルでの逆短絡
(3) 右室不全
(4) 肺動脈弁閉鎖不全
(5) 閉塞性肺動脈病変
a.(1)(2)(3) b.(1)(2)(5) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(4) e.(3)(4)(5)
解答e
(1) 左房圧はそれほど上昇していない。
(2) 心カテで酸素飽和度の変化が無い。
(3) 右房圧の上昇がある。
(4) 人工弁の寿命によるものか?
上に同じ。

問22.ステントによる冠インターベンションについて正しいものはどれか。
(1) バルーンによるPTCA後の冠動脈解離の治療として有効である。
(2) 急性心筋梗塞の治療として有効である。
(3) び漫性に狭窄が存在する細い冠動脈病変治療には不適である。
(4) 合併症として血栓性閉塞がある。
a.(1)(3)(4)のみ b.(1)(2)のみ c.(2)(3)のみ d.(4)のみ e.(1)~(4)の全て
解答e

問23.バルーンによる経皮的冠動脈形成術(PTCA)のリスクが高い病変はどれか。
(1) 石灰化病変
(2) 病変長の長いもの
(3) 完全閉塞病変
(4) 静脈グラフト病変
a.(1)(3)(4)のみ b.(1)(2)のみ c.(2)(3)のみ d.(4)のみ e.(1)~(4)の全て
解答e

問24.次の症状、所見について正しいのはどれか。
(1) 奇脈とは呼気時に比べ吸気時に収縮期血圧が10mmHg以上低下することを言う。心タンポナーデの時に見られる。
(2) 交互脈は明らかな心不全症状を有する心筋障害のある場合にみられる。
(3) 毛細血管拍動(Quincke徴候)は爪床を軽く押さえ、赤くなったり消えたりするのを観察することで確認できる。大動脈弁狭窄や僧帽弁狭窄など血圧が低い場合に認められる。
(4) Valsalva操作で胸腔内圧を上昇させると、血圧、脈圧は低下し、心拍数は増加する。
a.(1)(3)(4)のみ b.(1)(2)のみ c.(2)(3)のみ d.(4)のみ e.(1)~(4)の全て
解答b
(3)Quincke徴候はARなどの脈圧増大がある場合にみられる。

問25.次の聴診所見について正しいのを選べ。
(1) U音の奇異性分裂はUAが遅れるためにおこり、完全左脚ブロックやWPW症候群などでみられる。
(2) V音は平均左房圧の上昇、硬い左室、駆出分画の低下を伴う大きな左室が存在するときに認められ、心筋症など左心機能不全に伴うことが多い。
(3) 心膜摩擦音は収縮期及び拡張期の両時相に聴かれることが多く、ウィルス性心膜炎、全身性エリテマトーデス、尿毒症などに伴うことが多い。
(4) 静脈こま音(venous hum)は鎖骨上窩で、胸鎖乳突筋の内側かその付着部の間でよく聴かれる連続性のうなり声のような雑音である。重症の貧血や甲状腺機能亢進などで認められる。
a.(1)(3)(4)のみ b.(1)(2)のみ c.(2)(3)のみ d.(4)のみ e.(1)~(4)の全て
解答e

問26.次のうち正しいのはどれか。
(1) チアノーゼは青色症とよばれ、皮膚及び粘膜が暗青色を示す状態である。皮膚または粘膜の毛細血管の中にある血液中の還元ヘモグロビン量がふえると(5g/dl以上)おこる。
(2) 30分以上続く胸痛があり、ニトログリセリンが無効であれば心筋梗塞を疑う。
(3) 肺性心などの右心不全では起坐呼吸や夜間呼吸困難がみられることが多い。
(4) うっ血性心不全では咳、痰、血痰を来すことがあり、呼吸困難を伴う。
a.(1)(3)(4)のみ b.(1)(2)のみ c.(2)(3)のみ d.(4)のみ e.(1)~(4)の全て
解答b(3)起坐呼吸は左心不全の症状の典型的なもの。

問27.脈拍測定により推測できないのはどれか?
(1) 呼吸性不整脈
(2) 期外収縮
(3) 心房細動
(4) 完全左脚ブロック
a.(1)(2)のみ  b.(1)(4)のみ  c.(3)(4)のみ  d.(2)のみ  e.(4)のみ
@○A○ 脈を触れればわかる。
B×C× 脚ブロック・心房細動は体の脈拍に関係ないのでわからない。 

問28.症例:70歳男性、20歳代から心肥大を指摘されていた。10年前に呼吸困難のため近医を受診。詳細は不明だが入院治療で軽快している。今回同様の症状が出現したため、循環器内科に緊急入院となった。受診時の心電図、胸部X線写真、心エコー図を示す(図表)。以下のうち正しいものを選べ。

(1) 心電図上は心房粗動でやや頻脈である。
(2) 胸部X線写真上は軽度肺うっ血、心拡大、胸水の貯留が認められる。
(3) 心エコー図上、左心室の拡大が認められる。
(4) 左室収縮能は保たれている。
a. (1)(3)(4)のみ  b. (1)(2)のみ  c. (2)(3)のみ  d. (4)のみ  e. (1)〜(4)の全て
@× 心電図はRR間隔が不整で基線のゆれ(f波)がみられる。心房細動。
A○ 画像が不鮮明なんで、肺うっ血がよくわかりませんが多分あるでしょ。心拡大・胸水貯留は認められる。
B○ 拡大している。
C× 左室の壁運動が低下しているのがMモードでわかる。

問29.問28の症例に対して、スワン・ガンツカテーテルを挿入して血行動態をモニターして治療を開始した。血圧110/80mmHg、心拍数80〜120/分、不規則、CVP(中心静脈圧)15mmHg、PCWP(肺動脈楔入圧)22mmHg、心係数1.8L/分/m2であった。入院時身体所見、検査所見として考えられるものを選べ。
(1) 湿性ラ音の聴取
(2) 4音の聴取
(3) 頚静脈の怒張
(4) 血中BNP値の高値
a. (1)(3)(4)のみ  b. (1)(2)のみ  c. (2)(3)のみ  d. (4)のみ  e. (1)〜(4)の全て
心係数2.2以下、楔入圧18以上よりForresterW度の心不全。Aは当然ある。左房圧が高く、中心静脈圧も高値(通常4〜10)。左右で心不全だから、@Bは正解。Cはよく分かりませんでした。が、選択肢的に正解でしょう。

問30.問28の症例に対する初期治療として適切なものを選べ。
(1) 酸素吸入
(2) フロセミドの静脈内注射
(3) ジゴキシンの静脈内投与
(4) ホスホジエステラーゼ阻害薬の静脈内持続投与
a. (1)(3)(4)のみ  b. (1)(2)のみ  c. (2)(3)のみ  d. (4)のみ  e. (1)〜(4)の全て
@×?A○B○C×
ForresterWなんで、利尿薬・強心薬・血管拡張薬・輸液。PDE阻害薬は強心薬だが、慢性心不全に対しては心筋に無理をさせてしまって、予後を悪化させるので使用しない。酸素はやってもいいような気がするが、選択肢的には×?

問31.問28の考えうる基礎疾患は何か?
(1) 肥大型心筋症
(2) 拡張型心筋症
(3) 虚血性心疾患
(4) 僧房弁狭窄症
a. (1)(3)(4)のみ  b. (1)(2)のみ  c. (2)(3)のみ  d. (4)のみ  e. (1)〜(4)の全て
@×A○B○C× 心エコーで壁運動の低下が見られること、カテーテルで駆出率の低下があることから拡張型心筋症と思われる。また、V5,6で冠性のT波が見られることから古い心筋梗塞があるものと思われる。僧房弁が狭くなっているような所見はみられない。

問32.拡張型心筋症について正しい記述の組み合わせを選べ。
(1) 主な死因は心不全や心室性不整脈である。
(2) 心不全の原因は左心室の収縮機能不全による。
(3) 心不全慢性期のβ遮断薬投与は一般的に禁忌である。
(4) 心エコーでは限局性に左室壁運動が低下している。
(5) 診断は二次性心筋疾患の除外による。
a. (1)(2)(3)  b. (1)(2)(5)  c. (1)(4)(5)  d. (2)(3)(4)  e. (3)(4)(5)
@○ 死因は心不全・心室性不整脈に関連する。
A○ 左室駆出率が6か月後の死亡と相関する
B× 心不全全般に心筋を休ませるために使用する。
C× 心エコー:心室内腔の著しい拡大、心室壁運動のびまん性低下、駆出率の低下。
D○ 

問33.閉塞型心筋症について正しい記述の組み合わせを選べ。
(1) 閉塞型肥大型心筋症では頚動脈波で収縮期にピークを二峰性に触れる(spike and dome pattern)。
(2) 心房細動を合併しても血行動態には影響を及ぼさない。
(3) 心移植の主な対象疾患である。
(4) 心尖部肥厚型では心電図でgiant negative Tをしばしば認める。
(5) 非対称性中隔肥厚(ASH)の診断には左室造影より心エコーのほうが有用である。
a. (1)(2)(3)  b. (1)(2)(5)  c. (1)(4)(5)  d. (2)(3)(4)  e. (3)(4)(5)
@○ 肥大した心筋が流出路をふさぐのでいったん圧が下がるが、その後は心筋が血液を搾り出し、再び圧が上昇する。
A× 心房細動を合併した肥大型心筋症は、心房細動単独よりもずっと高頻度に脳塞栓を起こしやすい。肥大型心筋症と心房細動の合併例では、アスピリンではなく、ワーファリン治療が勧められる。
B× 心移植といえば、拡張型心筋症。肥大型心筋症はβ遮断薬・Ca拮抗薬。
C○ 心尖部肥厚型(Japanese type)は巨大陰性T波をとる。原因は不明。
D○ 左室造影では中隔の肥厚を確認できない。右室も同時にやれば中隔肥厚もわかると思うが。

問34.心電図(図表)の正しい診断の組み合わせを選べ。(aは上段が発作時。下段が非発作時)

(1) aの上段は上室性頻拍の心電図である。
(2) aの上段は心室頻拍の心電図である。
(3) bは洞性不整脈の心電図である。
(4) bは上室性期外収縮の心電図である。
(5) cは心室性期外収縮の心電図である。
a. (1)(2)(3)  b. (1)(2)(5)  c. (1)(4)(5)  d. (2)(3)(4)  e. (3)(4)(5)
@○A× QRS幅が狭く、P波がQRS波と一対一で確認できる。上室性。
B×C○ 洞性だと、洞結節が早期に刺激しただけなので、P波は通常と同じ。上室性の場合、異所性刺激なのでP波の形が変化する。
D○ P波を伴わない、幅広のQRS波。心室性。

問35.不整脈の心電図(図表)の正しい診断の組み合わせを選べ。

(1) aは心室頻拍が最も考えられるが、このようなQRS幅の広い頻拍の時には変行伝導を伴う上室性頻拍やWPW症候群における心房細動との鑑別が必要である。
(2) bは心房粗動の心電図であり、頚動脈洞マッサージ(←と→との間)により房室伝導が抑制されている。
(3) bは心室細動の心電図である。
(4) cは呼吸性不整脈の心電図である。
(5) cは心房細動の心電図である。
a. (1)(2)(3)  b. (1)(2)(5)  c. (1)(4)(5)  d. (2)(3)(4)  e. (3)(4)(5)
@○
A○B× RR間隔が整。鋸歯状のF波が見られ、PとQRSは2:1対応と思われる。QRSの幅が狭い、T波とQRS波が鑑別できるなどの点から、心室細動ではない。
C×D○ 基線が細かくゆれており、RR間隔が不整であることから心房細動であると思われる。 

問36.冠循環の特徴を述べた以下の記述のうち、正しい記述の組み合わせはどれか?
(1) 冠循環における酸素摂取率は他臓器と異なり極限値に近く、心筋への酸素供給は主として冠血流の増減に規定される。
(2) 心筋は活発な好気的代謝を営んでいる。
(3) 最大運動時の心筋血流量は安静時の約5〜6倍に増加しうる(冠循環の予備能)
(4) 心筋の酸素消費量を推定する指標として、「収縮期×心拍数」であるdouble productが臨床的に有用である。
a. (1)(3)(4)のみ  b. (1)(2)のみ  c. (2)(3)のみ  d. (4)のみ  e. (1)〜(4)の全て
@○A○B○C○ 解説の仕様がない、、、

問37.冠循環の調節機構に関する以下の記述のうち正しい記述の組み合わせはどれか?
(1) 冠循環では灌流圧の変化に関わらず血流を一定に保つ「自己調節能」が脳循環・腎循環とともによく発達している。
(2) 血管内皮は種々の血管弛緩因子を産生・遊離して、冠動脈のトーヌスの調節だけではなく、動脈硬化の進展抑制にも関与している。
(3) 冠動脈の収縮・弛緩(トーヌス)の調節には、自律神経調節や血管内皮による調節が関与しているが、代謝調節の関与も大きい。
(4) 冠動脈狭窄による血流の減少を代償する機序の一つに副血行路の発達がある。
a. (1)(3)(4)のみ  b. (1)(2)のみ  c. (2)(3)のみ  d. (4)のみ  e. (1)〜(4)の全て
@○
A○ 内皮細胞が産生するNOは血管平滑筋に作用して血管拡張性に働くほか、血小板凝集抑制、平滑筋増殖抑制、白血球接着抑制、活性酸素産生抑制などの作用をもち、動脈硬化を抑制する。
B○C○ 

問38.心筋虚血に関する以下の記述のうち正しい記述の組み合わせはどれか?
(1) 心筋虚血は心筋酸素需要量と酸素供給量の不均衡により生じる。
(2) 心筋血流量を減少させる因子として、冠動脈硬化による器質的狭窄と冠動脈攣縮による機能的狭窄がある。
(3) 心筋虚血が生じていても患者がそれを自覚しない「無症候性心筋虚血」は高齢者・糖尿病患者には生じやすいが、心筋梗塞の既往のある患者・冠動脈バイパス術を受けた患者などには生じにくい。
(4) 心筋が壊死に陥ってなくても心筋収縮力が低下している病態があり、「気絶心筋(stunned myocardium)」は慢性の心筋虚血で、「冬眠心筋(hibernating myocardium)」は一過性の心筋虚血で生じる。
a. (1)(3)(4)のみ  b. (1)(2)のみ  c. (2)(3)のみ  d. (4)のみ  e. (1)〜(4)の全て
@○A○
B× 陳旧性心筋梗塞がある患者では無症候性心筋梗塞が起こりやすい
C× 慢性の心筋虚血 → 冬眠
   一過性虚血   → 気絶

問39.狭心症に関する以下の記述のうち、正しい記述の組み合わせはどれか?
(1) 発生状況により「安静狭心症」と「労作狭心症」に分類され、前者は主として冠動脈攣縮が、後者は主として器質的冠狭窄が関与しているが、実際にはこの両因子が種々の程度に混在する場合が多い。
(2) 「不安定狭心症」の基本的な考え方は、狭心症患者のうち心筋梗塞に移行しやすい危険な状態の患者の早期診断・加療のために設けられた病型である。
(3) 「異型狭心症」とは、心電図上一過性のST上昇(貫壁性心筋虚血)を認める狭心症のことで冠動脈攣縮が原因となっているが、わが国では頻度の多い狭心症である
(4) 急性心筋梗塞後に起きる「梗塞後狭心症」は、心筋がまだ生存していることを示し、予後不良のサインである。
a. (1)(3)(4)のみ  b. (1)(2)のみ  c. (2)(3)のみ  d. (4)のみ  e. (1)〜(4)の全て
@○A○B○C○ 

問40 狭心症の治療に関する以下の記述の打ち,正しい記述の組み合わせはどれか。
(1) 基本的には,薬物療法・冠動脈インターベンション・冠動脈バイパス術の3つがある。
(2) 薬物療法では,冠動脈拡張作用・冠攣縮防止作用を有するカルシウム拮抗薬,心筋の酸素需要量を低下させるβ遮断薬,血管拡張作用を有する硝酸薬などが主として用いられる。
(3) 冠動脈インターベンションに関しては,冠動脈形成術後(PTCA)に30?40%の症例に生じる再狭窄が問題であったが,ステントの登場により,その発生率が半減した。
(4) 冠動脈バイパス術の絶対的な適応になる場合は,左冠動脈主幹部病変や2枝完全閉塞の残りの1枝有意狭窄病変などがあげられる。
a.(1)(3)(4)のみ b.(1)(2)のみ c. (2)(3)のみ d. (4)のみ e. (1)?(4)の全て
答 e. (1)○(2)○(3)○;下川先生が授業で言ってました(4)○

問41 狭心症の治療方針に関する以下の記述のうち,正しい記述の組み合わせはどれか。
(1) 不安定狭心症の治療の基本は入院・安静である。
(2) 薬物治療抵抗性の場合は,緊急冠動脈造影を行い,冠動脈病変を確認してから次の方針を立てる。
(3) 狭心症の好発時間帯をよく把握して投薬(投薬時間の設定・薬剤の作用持続時間などの点に関する考慮)を行う。
(4) 冠動脈バイパス術は,可能な限り狭心症が安定化してから行う方が成績がよい。
a.(1)(3)(4)のみ b.(1)(2)のみ c. (2)(3)のみ d. (4)のみ e. (1)?(4)の全て
答 e. (1)○(2)○(3)○(4)○
臨床医学群「循環器」虚血性心臓病:狭心症(下川)プリントそのまんま

問42 虚血性心疾患について正しい記述の組み合わせはどれか。
(1) 冠危険因子として最も重要なのは高コレステロール血症である。疫学研究により血清コレステロール値が高いほど虚血性心疾患の発生率が高くなることが明らかにされている。
(2) コレステロール低下療法によって虚血性心疾患の発生率が低下することは証明されている。
(3) 虚血発作の発生頻度の日内変動(例:昼間起こりやすい。夜間に起きやすい。)は認めない。
(4) 生活様式の欧米化に伴って,本邦の虚血性心疾患発生率は欧米と同等になった。
(5) 冠動脈攣縮(スパスム)が心筋梗塞の原因になることがある。
a.(1)(2)(3) b. (1)(2)(5) c. (1)(4)(5) d. (2)(3)(4) e. (3)(4)(5)
答 b.(1)○(2)○(3)×;異型狭心症は朝方発症しやすい(4)×:まだまだ米国の方が多いはず(5)○
臨床医学群「循環器」虚血性心臓病:心筋梗塞(江頭)プリントおよびノート参照

問43 急性心筋梗塞について正しい記述の組み合わせはどれか。
(1) 心筋梗塞症のほとんどは閉塞性血栓による血流途絶が原因である。
(2) その血栓は大部分動脈硬化部位の破綻ruptureにより起こる。
(3) その動脈硬化部位の破綻は動脈硬化性狭窄が軽度?中等度の部位に起こることが多い。
(4) 動脈硬化部位の破綻の原因として冠動脈攣縮や交感神経緊張などが上げられる。
a.(1)(3)(4)のみ b.(1)(2)のみ c. (2)(3)のみ d. (4)のみ e. (1)?(4)の全て
答 e. (1)○(2)○(3)○(4)○
解説:「循環器」虚血性心臓病:心筋梗塞(江頭)プリントおよびノート参照

問44 急性心梗塞症の診断について正しい記述の組み合わせはどれか。
(1) 不安定狭心症との鑑別には心電図と心筋逸脱酵素の経時的変化が役立つ。
(2) 症状としての胸痛は30分以上つづき,ニトログリセリンは無効であることが多い。
(3) 心電図でもっとも初期の変化は冠性T波である。
(4) 心筋壊死は心外膜側から始まり内膜側へ進展する。
(5) 解離性大動脈瘤との鑑別診断にはCT検査が有用である。
a.(1)(2)(3) b. (1)(2)(5) c. (1)(4)(5) d. (2)(3)(4) e. (3)(4)(5)
答 b. (1)○(2)○(3)×;ST上昇が初期(4)×;心内膜側→心外膜側(5)○
解説:「循環器」虚血性心臓病:狭心症(下川)プリント参照

問45 急性心筋梗塞について正しい記述の組み合わせはどれか。
(1) 心筋梗塞症発症早期(6時間以内)の死亡率は高い。その主たる原因はポンプ機能不全であり,不整脈の頻度は少ない。
(2) 発症早期(6時間以内)には冠動脈閉塞部位を再疎通させる再潅流療法が予後の改善に有効である。
(3) Forresterの血行動態分類は心機能の評価と治療の選択に有用である。SubsetII(肺うっ血+,末梢循環不全-)の場合,利尿薬と血管拡張薬が選択される。
(4) 二次予防(再梗塞防止)にはβ遮断薬やアンギオテンシン変換酵素阻害薬が選択される。これらの薬物が有効な機序として心室拡大(心室再構築:remodeling)の防止が注目される。
(5) 左冠動脈前下行枝高度狭窄の1枝病変の場合,内科的治療だけでは予後は悪いので,冠動脈形成術あるいは冠動脈バイパス手術の適応となる。
a.(1)(2)(3) b. (1)(2)(5) c. (1)(4)(5) d. (2)(3)(4) e. (3)(4)(5)
答 d. (1)×;不整脈の頻度は70%と高い(2)○(3)○(4)○(5)×?
解説:「循環器」虚血性心臓病:心筋梗塞(江頭)プリント参照。

問46 心臓移植の禁忌となりうるものを選びなさい。
(1) 肺高血圧症
(2) 糖尿病
(3) 活動性の感染症
(4) 根治していない悪性疾患
a.(1)(3)(4)のみ b.(1)(2)のみ c. (2)(3)のみ d. (4)のみ e. (1)?(4)の全て
答 e (1)○(2)○(3)○(4)○
臨床医学群「循環器」人工心臓と心臓移植の現状(冨田)プリント参照

問47 人工心肺について正しいものを選びなさい。
(1) 人工心肺は人工肺とポンプから構成される。
(2) 人工肺には膜型と気泡型の2種類がよく使われていた。
(3) 脱血カニューレは肺静脈に挿入する。
(4) 人工心肺を開始する前にプロタミンを投与する。
a.(1)(3)(4)のみ b.(1)(2)のみ c. (2)(3)のみ d. (4)のみ e. (1)?(4)の全て
答 b. (1)○ (2)○ (3)×;上大静脈に挿入する (4)×;ヘパリンを投与する

問48 心筋保護に関して正しいものを選びなさい。
(1) 大動脈遮断しなければcardioplegia(心筋保護液)を用いて心臓を停止させることが出来ない。
(2) 大動脈の遮断により脳梗塞を引き起こすことがある。
(3) 心筋保護液には赤血球を含まないcrystaloid cardioplegiaと赤血球を含むblood cardioplegiaの2種類がある。
(4) 大動脈弁置換術の場合大動脈を切開するので,通常cardioplegiaは選択的に冠動脈孔へ注入する。
a.(1)(3)(4)のみ b.(1)(2)のみ c. (2)(3)のみ d. (4)のみ e. (1)?(4)の全て
答 e? (よく分かりませんでした。すみません)

問49 人工心肺について正しいものを選びなさい。
(1) 脱血法には落差脱血と陰圧脱血の2種類がある。
(2) 落差脱血を用いる場合に右心系を切開するときには,上大静脈と下大動脈の周りにテープを回して脱血カニューレと静脈壁の間を密閉することが必要である。
(3) 心臓を停止させる場合,もし左心系を開かないときには左室の拡大を防ぐ意味で左室にチューブ(ベント)を挿入して左室を減圧する必要がある。
(4) 酸素化された血液の送血は多くの場合上行大動脈へカニューレを挿入して行うが,場合によっては大腿動脈や鎖骨下動脈が使われることもある。
a.(1)(3)(4)のみ b.(1)(2)のみ c. (2)(3)のみ d. (4)のみ e. (1)?(4)の全て
答 d. (1)×;ポンプ脱血を含め3種類(2)○(3)○(4)○

問50 正しいものを選びなさい。
(1) 洞結節は上大静脈と右心房の接合部の近くに存在する。
(2) 洞結節は下大静脈と右心房の接合部の近くに存在する。
(3) 房室結節は三尖弁の中隔尖と前尖の間の交連部近くに存在する。
(4) 房室結節は大動脈弁の無冠尖と右冠尖の間の交連部の近くに存在する。
a.(1)(3)(4)のみ b.(1)(2)のみ c. (2)(3)のみ d. (4)のみ e. (1)?(4)の全て
答 a. (1)○(2)×(3)○(4)○

問51 僧帽弁について正しいものを選びなさい。
(1)「僧帽弁の前尖」と「大動脈弁の無冠尖と右冠尖の交連部」とは線維性の連続を有する。
(2)僧帽弁の前尖からの腱索はすべて前外側乳頭筋より起始している。
(3)僧帽弁の後尖の付着部の線維輪に並行して左冠動脈の回旋枝が走行する。
(4)僧帽弁前外側交連部の近くに左冠動脈の主幹部が存在する。
a.(1)(3)(4)のみ b.(1)(2)のみ c. (2)(3)のみ d. (4)のみ e. (1)?(4)の全て
答 e. (1)○(2)○(3)○(4)○

問52 冠動脈について正しいものを選びなさい。
(1) 前下行枝は心室中隔の上縁に沿って走行する。
(2) 対角枝は前下行より起始する。
(3) 鈍角枝は回旋枝より起始する。
(4) 鋭角枝は右冠動脈より起始する。
a.(1)(3)(4)のみ b.(1)(2)のみ c. (2)(3)のみ d. (4)のみ e. (1)?(4)の全て
答 e. (1)○(2)○(3)○(4)○
臨床医学群「循環器」循環のしくみ:循環系の構造と機能(森田)プリント参照


問53.永久ペースメーカーのペーシング様式について以下の記述より正しいものを選べ。ただし第一文字は刺激部位、第二文字は感知または検出部位を示し、Vは心室、Aは心房、Dはその両者、Oは"なし"を表す。第3文字は応答様式を示し、Tは抑制型、Tは同期型、Dはその両者、Oは"なし"を表す。
(1) DDDは両室ペーシング、両室センシングであり、自己のP波やR波を検出した場合には刺激発生を抑制または同期し、自己心拍と競合しない。
(2) VVIでは心室収縮(R波)が一定の時間感知されないとき心室を刺激する。
(3) AAIの適応は房室伝導障害を伴わない洞機能不全症候群である。
(4) VOOでは心房収縮(P波)を感知し、かつ一定の時間心室収縮(R波)が検出されないとき心室を刺激する  
a.(1)(2)(3)のみ b.(1)(2)のみ c.(2)(3)のみ d.(4)のみ e.(1)~(4)の全て
解答 a
(1) ○
(2) ○
(3) ○
(4) × VOO型ではセンシング機能はない。設定レートで心室ペーシングのみを行う。AOO型、VOO型、DOO型は通常は用いられず、手術時の電気メス使用時  など電磁障害がさけられない状況で用いられる。

問54.以下の記述より正しいものを選べ。
(1) Adams-Stokes症候群では意識消失発作後に神経学的後遺症が残る。
(2) 洞調律時に右側胸部誘導(V1〜V3)で右脚ブロックとST上昇を伴う特発性VTをBrugada症候群と呼び、その再発率は極めて高く、植え込み型除細動器の適応となる。
(3) 補正洞結節回復時間は550msec未満である。
(4) Wenckebach型ブロックは第1度房室ブロックである。
(5) A型WPW症候群ではKent束が左側(僧帽弁輪部)にあり、B型WPW症候群ではKent束が右側(三尖弁輪部)に位置する。
a.(1)(2)(3) b.(1)(2)(4) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(5) e.(3)(4)(5)
解答 d
(1)× Adams-Stokes症候群とは不整脈に由来する脳循環血流量減少による失神発作の
こと。脳血流減少の度合いにもよるが、一般的に神経学的後遺症は残さない。
(2)○ 同症候群は右側胸部誘導(V1〜V3)で右脚ブロックとST上昇を伴う特発性VFのこと。Brugada型心電図を検査で発見されても多くは予後良好である。ただし一度でもVFの既往のあるものは植え込み型除細動器の適応となる。VFの既往がなければ主に経過観察とする。
(3)○ 補正洞結節回復時間(corrected sinus node recovery time,CSRT)とは洞結節回復時間(sinus node recovery time,SRT)から洞周波を差し引いたもの。SRTは右房から種々の頻度で30秒〜2分間ペーシングし、ペーシングを中止した際の最後のペーシングによるP波から最初の自発によるP波までの時間をいう。
(4)× Wenckebach型ブロックは第2度房室ブロックでありMobitzT型。PQ時間が徐々に延長→QRS波脱落という周期を繰り返す。
(5)○ A型ではV1誘導でのQRS波は上向き、B型ではV1誘導でのQRS波は下向きとなる。

問55.心臓外科周術期の細菌感染について正しい組み合わせはどれか。
(1) 人工弁置換術施行患者では感染予防のため術後長期間(1ヶ月)抗生剤を投与する。
(2) ペニシリンに感受性のある連鎖球菌による感染性心内膜炎の35歳男性患者。ドパミン15γ/kg/minを必要とする肺水腫を伴う高度のうっ血性心不全(大動脈弁逆流)4度)を有する。38度の発熱が続いていたが手術に踏み切った。
(3) 高脂血症、高血圧症でヘビースモーカーの82才男性。冠動脈バイパス術後2日目、39度の発熱をきたした。もっとも考えやすい原因は肺炎である。
(4) 血行動態が安定してきた人工弁置換予定患者に術前検査で鼻咽頭からMRSA〔メチシリン抵抗性黄色ブドウ球菌〕が検出された。MRSA感染による自覚症状は全くないので手術を施行した。
a.(1)(3)(4)のみ b.(1)(2)のみ c.(2)(3)のみ d.(4)のみ e.(1)~(4)の全て
解答 c
(1)×
(2)○ 感染性心内膜炎患者の心機能が低下してきたら手術に踏み切る。
(3)○
(4)× 抗生剤投与によりMRSAが陰性化した後に手術を施行する。

問56.心臓外科周術期の心不全管理について正しい組み合わせはどれか。
(1) IABP(大動脈内バルーンポンピング)は心臓の収縮期にバルーンをふくらませ収縮期血圧を上げ、冠血流を増加させる。
(2) 血液ヘモグロビン値と全身の酸素需要量が一定の時、心拍出量が増加すると混合静脈血酸素飽和度も増加する。
(3) 心筋収縮力と前負荷が一定ならば、後負荷としての体血圧が高ければ高いほど心拍出量は減少すると考えられる。
(4) 75才女性、冠動脈バイパス術後、尿量が減少し、心拍出量も1.6L/min/m2に低下した。肺動脈楔入圧は3mmHgであった。治療の第一選択はIABP(大動脈内バルーンポンピング)である。
a.(1)(3)(4)のみ b.(1)(2)のみ c.(2)(3)のみ d.(4)のみ e.(1)~(4)の全て
解答 c
(1) × 拡張期にバルーンをふくらませることにより大動脈拡張期圧が上昇して冠動脈 
の血流を増加させることができる。また、収縮期にバルーンを萎ませることにより大動脈拡張期圧が低下して全身への血液駆出が容易になる。
(2) ○
(3) ○
(4) × 術後の低心拍出症候群。Forester分類Vに準じて治療を行う。

問57.次の疾患のうち、軽度の症状の出現でも手術適応となるものはどれか。
(1) 僧帽弁狭窄
(2) 僧帽弁閉鎖不全症
(3) 大動脈弁狭窄症
(4) 大動脈弁閉鎖不全症
(5) 三尖弁閉鎖不全症
a.(1)(2)(3) b.(1)(2)(5) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(4) e.(3)(4)(5)
解答 d 
(1)×
(2)○ Washington manual 参照
(3)○ ASにおいては長期間の代償期間を経て症状が出現する。症状出現後の平均余命は狭心痛から5年、失神から3年、左心不全から2年と言われる。症状が出現した場合は速やかに手術を行う。
(4)○ ASに準じる
(5)× 

問58.ASに特徴的なものはどれか。
(1) 遅脈
(2) 失神発作
(3) 遠心性左室肥大
(4) 大砲音
a.(1)(3)(4)のみ b.(1)(2)のみ c.(2)(3)のみ d.(4)のみ e.(1)~(4)の全て
解答 b
(1)○ 
(2)○ 大動脈圧低下による脳血流低下が失神発作を起こす。
(3)× 大動脈弁の狭窄により左室には圧負荷がかかる。その代償のため心臓は肥大(求心性肥大)するが、拡大(遠心性肥大)はしない。
(4)× 大砲音は完全房室ブロック時に心室−房室弁連動の不全により起こる音である。

問59.心臓移植について正しいものはどれか。
(1) Shamway法(心房吻合)よりbicaval(上下大静脈)吻合のほうが術後合併症が少ない。
(2) FK506よりサイクロスポリンのほうが副作用として高血圧が問題となる。
(3) 拒絶反応は、抗原性の強い血管内皮や心筋細胞を中心にして生じる。
(4) 慢性期における一番の合併症は慢性冠動脈閉塞である。
a.(1)(3)(4)のみ b. (2)のみ c. (1)(2)のみ d. (2)(3)のみ e.(1)~(4)の全て
解答 e
(1)○ bicaval吻合では術後のTRやdenervationなどの合併症が少ない。
(2)○ 注意すべき副作用には、CsA:高血圧、腎毒性、肝障害  FK506:腎毒性、耐糖能異常 などがある。
(3)○
(4)○ 移植後拒絶には超急性拒絶反応、急性拒絶反応、慢性拒絶反応がある。慢性拒絶反応とは移植後6カ月以降に起こってくる冠状動脈の動脈硬化性病変のことをいう。移植後遠隔期にはこの慢性拒絶反応や感染が頻度の多い合併症となる。

問60.急性心膜炎を疑わせる所見はどれか。
(1) 胸痛
(2) ECG胸部誘導における広範囲ST上昇
(3) 風邪様症状
(4) 心膜摩擦音
a.(1)(3)(4)のみ b. (2)のみ c. (1)(2)のみ d. (2)(3)のみ e.(1)~(4)の全て
解答 e
(1) ○
(2) ○
(3) ○
(4) ○

問61.IEに対する外科治療について正しいものはどれか。
(1) 菌塊による脳梗塞を生じたときは緊急手術の適応である。
(2) 起炎菌が不明の時は現在でも成績が不良である。
(3) 手術の基本は膿瘍部を外科的に切除し修復することであるが、房室結節・弁輪部あるいは冠動脈に病変が及んだときは病変部を残して手術を施行せざるを得ない。
(4) 外科治療後の再燃性PVEに対しては手術の適応にならない。
a.(1)(3)(4)のみ b. (2)のみ c. (1)(2)のみ d. (2)(3)のみ e.(1)~(4)の全て
解答 d
(1) × 血管塞栓症を反復するときに手術を行う。
(2) ○  
(3) ○ 
(4) × PVE(Prosthetic valve endocarditis:人工弁心内膜炎)は弁置換を受けて1年  
以内に患者の2〜3%に発生し,それ以後には年0.5%で発生する。内科的治療に抵抗性となることが多く、コントロールが不良な場合再度の弁置換などの外科的に介入する。

問62.冠動脈バイパス手術(CABG)の手術適応として正しいものを選択せよ。
(1) 急性心筋梗塞の超急性期には一般にPTCAよりCABGが適応となる。
(2) 左冠動脈主幹部病変はCABGの絶対適応である。
(3) 心筋梗塞の既往を有する狭心症は通常CABGの適応とはならない。
(4) 重症多枝病変ほどCABGのよい適応となる。
(5) 80歳以上の症例でも暦年齢より肉体年齢にてCABGの適応を考慮する。
a.(1)(2)(4) b.(1)(3)(5) c.(2)(3)(4) d.(2)(4)(5) e.(1)~(5)の全て
解答 d
(1) × 急性心筋梗塞超急性期に梗塞部位の血行再還流を行うにはPTCAのほうが、  
CABGよりも早く、侵襲も少なく目的を達成できるために優れている。
(2) ○ CABGの絶対適応はLMT(左冠動脈主幹部)病変および冠動脈2枝が完全閉
塞している場合の第三枝病変。
(3) × 
(4) ○
(5) ○

問63.冠動脈バイパス手術成績、手術手技について正しいものを選択せよ。
(1) グラフト開存率をみると、早期開存率では静脈グラフトが、遠隔期開存率では動脈グラフトが優れている。
(2) 最近の我が国における初回待機CABG手術の病院死亡率(手術後在院死亡率)は全国平均で約2%にまで改善してきた。
(3) OPCAB(Off-pump CABG)は体外循環を使用しない心拍動下バイパス手術で最近著増傾向にある。
(4) 近年、静脈グラフトの使用は減少し、内胸動脈を主とした動脈グラフトを多用したCABGが主流となっている。
(5) 冠動脈バイパス手術の再手術は初回手術より明らかに手術リスクが高い。
a.(1)(2)(3)(4) b.(2)(3)(4)(5) c.(1)(3)(4)(5) d.(1)(2)(4)(5) e. (1)~(5)の全て
解答 e
(1) ○
(2) ○
(3) ○
(4) ○
(5) ○

問64.通常右−左短絡となる疾患は以下のうちのどれか。
(1) 体肺血流比が0.8のファロー4徴症
(2) 体肺血流比が3.5の心房中隔欠損症
(3) 体肺血流比が1.5の心室中隔欠損症
(4) アイゼンメンジャー化した完全型心内膜床欠損症
(5) 高度肺動脈狭窄を伴う両大動脈右室起始症
a.(1)(2)(3) b.(1)(2)(5) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(4) e.(3)(4)(5)
解答 c
(1)○
(2)×
(3)×
(4)○
(5)○

問65.肺動脈絞扼術の適応が考えられる疾患の組み合わせはどれか.
(1) ファロー四徴症
(2) 肺動脈狭窄症
(3) 完全型新内膜床欠損症 
(4) 肺動脈狭窄を伴わない両大血管右室起始症
(5) 大動脈縮窄症 
a.(1)(2)   b.(1)(5)   c.(2)(3)   d.(3)(4)   e.(4)(5) 
解答:d  (1) × (2) × (3) 〇 (4) 〇 (5) ×
解説:肺動脈絞扼術は,肺血流量増加に伴う肺高血圧の進行から肺血管床を保護し,肺静脈還流血の増大,心室の容量負荷から生じる心不全を軽減するために行われる.しかし,同術式は心室の圧負荷により心筋肥大,心室拡張障害をきたしうるため,必ずしも合理的な術式ではなく,短期的な効果を期待した姑息手術と考えるべきである.適応が考えられる疾患としては,心室中隔欠損症,完全大血管転位症,三尖弁閉鎖症,単心室症,形態的に一期的根治手術が困難な両大血管右室起始症や総動脈幹遺残症,左室低形成を伴う完全型心内膜床欠損症がある.
(1) Fallot四徴症は肺血流を増やすための姑息的手術としてBlalock-Taussig shuntを行い,根治術として心室中隔欠損のパッチ閉鎖と右室流出路の拡大術を行う.(2) 経皮的バルーン肺動脈弁形成術などを行う.(4) 通常心室中隔欠損があり,肺動脈狭窄を伴わないものは肺血流量が増大し,肺動脈狭窄を伴うものは肺血流量が減少する.(5) 狭窄部切除後端々吻合や人工血管置換などを行う.

問66.Blalock-Taussig shuntの適応となりうる疾患はどれか.
(1) 純型肺動脈閉鎖
(2) 肺動脈狭窄を伴わない三尖弁閉鎖症
(3) 心房中隔欠損症
(4) 心室中隔欠損症
(5) 完全大血管転位症V型
a.(1)(2)   b.(1)(5)   c.(2)(3)   d.(3)(4)   e.(4)(5)     
解答:b  (1) 〇 (2) × (3) × (4) × (5) 〇
解説:Blalock-Taussig shuntは,肺血流減少群の先天性心疾患に対する姑息手術で,鎖骨下動脈を肺動脈に吻合する.適応疾患は低年齢であったり,肺動脈の発育が悪いために一期的な心内修復術が困難であるFallot四徴症,肺動脈閉鎖症,重症の肺動脈狭窄を合併する単心室,両大血管右室起始症,三尖弁閉鎖症,完全大血管転位症V型,重症のEbstein奇形などである.
(5) 完全大血管転位症V型(心室中隔欠損症と肺動脈狭窄症があるもの)ではRastelli手術前の姑息手術として用いられることがある.(2) 三尖弁閉鎖症で肺動脈狭窄を伴うものは肺血流量が減少し(主なルートは右房→左房→左室→大動脈→動脈管→肺動脈)この術式の適応となるが,肺動脈狭窄(および閉鎖)を伴わないものは心室中隔欠損症があり肺血流量が増加する(主なルートは右房→左房→左室→右室→肺動脈)ためこの術式の適応とならず肺動脈絞扼術の適応となる.

問67.次の内正しい組み合わせはどれか.
(1) 左室低形成症候群 ― Norwood stageT手術
(2) 肺動脈閉鎖を伴うファロー四徴症 ―  Rastelli手術
(3) 大動脈縮窄症 ― Subclavian flap aortoplasty手術
(4) 単心室症 ― Total cavopulmonary connection(TCPC)手術
(5) 大血管転位症 ― Jatene(arterial switch)手術
a.(1)(2)(3)のみ  b.(1)(2)のみ  c.(2)(3)のみ  d.(4)のみ  e.(1)~(5)の全て
解答:e  (1) 〇 (2) 〇 (3) 〇 (4) 〇 (5) 〇
解説:(1) 左室低形成では肺静脈血は左房から右房へ短絡し右室,肺動脈から動脈管経由で体循環へ供給される.手術は第1期Norwood手術,第2期Glenn手術,第3期Fontan手術を行う.Norwood手術は肺動脈幹と大動脈弓を吻合し,RV-PA shunt(右心室と肺動脈に心外導管設置)を行う.(2) Rastelli手術は右心室と肺動脈に心外導管を設置し,心室内導管による心室内血流転換を行う.(3) Subclavian flap aortoplasty手術は左鎖骨下動脈を縦に切開し反転して縮窄部を拡大する.(4) Fontan手術には心房と肺動脈を直接吻合して右心房と左心房の間を仕切る術式(APC法)と,上大静脈を切断して右肺動脈に吻合し,下大静脈の血液を心房の中のトンネルを通して肺動脈に導く術式(TCPC法)がある.最近ではTCPC法として心房内トンネル法にかわり,心臓の外に置いた人工血管を用いる術式(心外導管法)が多くなっている.(5) 完全大血管転位症にはT型(心室中隔欠損症がないもの、あっても軽い),U型(心室中隔欠損症があるもの),V型(心室中隔欠損症と肺動脈狭窄症があるもの)があり,T,U型はJatene手術を行う.この術式は大動脈と肺動脈を同じレベルで横断し、両者を交換して吻合すると同時に冠動脈も移転させる.V型はRastelli手術を行う.

問68.プロスタグランディン投与が禁忌である疾患はどれか。
(1) 動脈管開存を伴う高度肺動脈狭窄症
(2) 動脈管開存、肺動脈閉鎖を伴うファロー四徴症
(3) 動脈管開存を伴う大動脈離断症
(4) 動脈管開存症
(5) 動脈管開存、高度肺動脈狭窄を伴う三尖弁閉鎖症
a.(1)(2)(3)のみ  b.(1)(2)のみ  c.(2)(3)のみ  d.(4)のみ  e.(1)~(5)の全て
解答:d   (1) × (2) × (3) × (4) 〇 (5) ×
解説:プロスタグランディンは動脈管の閉鎖を抑制する.動脈管開存のうち肺血流が減少する(1), (2), (3), (5) や体循環系と肺循環系が断絶している 完全大血管転位症,大動脈縮窄,大動脈閉鎖では本症の合併はむしろ救命的に作用する.(4)以外は動脈管依存性先天性心疾患でプロスタグランディン投与は禁忌ではないが,酸素投与は禁忌である.

問69.次のシェ―マ(図表)に示された血行動態を示すのはどの疾患か.

RA;右房,RV;右室,LA;左房,LV;左室,Ao;大動脈,PA;肺動脈
a. 大血管転位症
b. 総肺静脈還流異常症
c. 三尖弁閉鎖症
d. エプスタイン奇形
e. ファロー四徴症
解答:e
解説:肺動脈狭窄症,心室中隔欠損症,大動脈騎乗,右室肥大が認められる.

問70.次のシェーマ(図表)に示された分類があるのはどの疾患か。

a. 大血管転位症
b. 総肺静脈還流異常症
c. 三尖弁閉鎖症
d. エプスタイン奇形
e. ファロー四徴症
解答:b
解説:総肺静脈還流異常症はすべての肺静脈が左心房に還流せずに,体静脈系に還流する.生存には心房中隔欠損が不可欠となる.静脈洞型心房中隔欠損症に合併しやすいが,心房中隔欠損がない場合は姑息的に心房中隔欠損を作成する必要がある.図表はDarling分類である.
1)上心臓型;無名静脈(腕頭静脈)(Ta型)or上大静脈(Tb型)へ連結
2)傍心臓型;冠状静脈洞(Ua型)or右房(Ub型)へ連結
3)下心臓型;門脈,静脈管,下大静脈,下静脈等横隔膜下へ連結(V型)
4)混合型(W型)

問71.解離性大動脈瘤についての説明で正しくないものはどれか.
(1) 解離性大動脈瘤とは,突然に大動脈壁の内膜に亀裂が生じ,中内膜に血液が流入して大動脈壁が内層と外層に剥離され,大動脈が真腔と解離腔に分離された状態をいう.急激に発症し,放置すればリエントリー近くの動脈壁が外方に破裂して出血死することが多い.
(2) 急性大動脈解離の解離腔が血栓で完全に閉塞している例は早期血栓閉塞型とされ,リエントリーを伴うStanford分類B型に多く,手術適応となることは少ない.
(3) 急性動脈解離には動脈硬化病変は少ないのが一般的であるが,動脈硬化を伴う場合はDeBakeyU型に多い.
(4) Stanford分類A型の急性期の自然予後は極めて不良であり発症後48時間で約50%の患者が死亡するが,慢性期の予後は比較的良好で,A型とB型での差は無くなる.
a.(1)(2)(3)のみ  b.(1)(2)のみ  c.(2)(3)のみ  d.(4)のみ  e.(1)~(4)の全て
解答:a   (1) × (2) × (3) × (4) 〇
解説:(1) リエントリーではなくエントリー,(2) 早期血栓閉鎖型にはリエントリーはない,
(3) DeBakeyU型ではなくDeBakeyV型に多い,(4) 急性期の解離性大動脈瘤(=急性大動脈解離)の自然予後は発症後48時間で50%が死亡するが,急性期死亡のほとんどはStanfordA型である.なお急性期は発症後2週間まで.

問72.大動脈瘤の治療についての説明で正しいものはどれか.
(1) 胸部大動脈瘤緊急手術の成績は極めて不良であるので,一般に瘤径6cm以上,Marfan症候群やその類似疾患では瘤径5cm以上で手術適応として待機手術を行うべきである.
(2) 胸腹部大動脈瘤手術では,Adamkiewicz動脈損傷による脊髄虚血からおこる対麻痺と腹部臓器虚血の予防が重要で,補助手段として超低体温循環停止法を行うことがある.
(3) 薬物治療では治癒が望めないので基本的には外科治療であるが,手術死亡率は5~20%と高く,脳梗塞,脊髄麻痺などの重篤な手術合併症が特に若年者に多い.
(4) 急性大動脈解離では積極的降圧療法が必要であり,降圧療法により腎への影響が生じて も許容される.
(5) 急性A型大動脈解離では,内膜亀裂 (entry)を含む上行大動脈の人工血管置換術が基本術式である.
a.(1)(2)(3) b.(1)(2)(5) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(4) e.(3)(4)(5)   
解答:b   (1) 〇 (2) 〇 (3) × (4) × (5) 〇
解説:(3) 手術合併症は高齢者に多い,(4) 急性大動脈解離において急性A型解離および腎虚血などの合併症を有するB型解離は緊急手術の適応である.
  
問73.乳児の心不全症状として比較的頻度が高いのはどれか.
(1) 不穏
(2) 大泉門膨隆
(3) 無酸素発作
(4) 体重増加不良
(5) 発汗過多
a.(1)(2)(3) b.(1)(2)(5) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(4) e.(3)(4)(5)
解答:c   (1) 〇 (2) × (3) × (4) 〇 (5) 〇
解説:乳幼児の心不全の症状は非特異的で,その主訴は,不機嫌,泣き声が弱い,皮膚は青白く,哺乳力が弱い,体重増加が順調に進まない,頻脈,汗をよくかく,喘鳴や咳嗽も頻繁に見られる.これには,簡単に肺静脈うっ血を来たしやすいことも関係しており,多呼吸や努力呼吸(必発.吸気時に肋間は陥凹するほど),喘鳴,咳嗽といった呼吸困難症状が前面に出やすくなる.肺血流量の増加を伴うことで,気道閉塞,無気肺を合併することもある.無酸素発作は6ヵ月〜2歳のFallot四徴症に多い.Fallot四徴症では心不全よりも無酸素発作による失神,痙攣が症状の中心で,無酸素発作の機序は肺動脈弁下部〜漏斗部の痙攣性収縮によって肺血流量が急激に減少することで起こるらしい.

問74.胎児循環の特徴として誤りはどれか.
(1) 卵円孔・動脈管・静脈管が重要な役割を持つ
(2) 胎生期には心奇形の存在により状態は悪化しない.
(3) 心臓の予備能は十分である.
(4) 肺血管抵抗は出生後約1か月間ほとんど変化しない.
(5) 肺動脈には両心拍出合計の約7%しか流れない.
a.(1)(2)(3) b.(1)(2)(5) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(4) e.(3)(4)(5)
解答:d  (1) 〇 (2) × (3) × (4) × (5) 〇
解説:(1) 心内短路(卵円孔)と二つの心外短路(動脈管と静脈管)が存在する.(2) 最重症の先天性心疾患は胎児期に死亡して胎児循環適応例のみが生存する.(3) 胎盤がreservoirとなり拡張期に胎児からの血流を受ける(diastolic run-off).(4) 胎児期の肺循環抵抗は出生後の10倍以上である.
(胎児循環:2002/5/21授業プリントより)
臍帯静脈からの酸素化された血液は,一部は肝臓を通り,残り(40~60%)は静脈管を経て,肝臓をバイパスして下大静脈へ流れる.さらにその半分以上は,卵円孔を経て左房,左室,上行大動脈へ流れる.上大静脈の血液は,右房,右室を経て,動脈管より下行大動脈に流れる.

問75.先天性心疾患の疫学について誤りはどれか.
(1) Marfan症候群はJAG1遺伝子の異常により生じる.
(2) 21 trisomyで高頻度に合併する先天性心疾患は動脈管開存症である.
(3) 先天性心疾患と関連の深い遺伝子病としてWilliams症候群がある.
(4) 生産児における先天性心疾患の発生頻度は約1.0%である.
(5) Turner症候群はウイルスの胎内感染が原因である.
a.(1)(2)(3) b.(1)(2)(5) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(4) e.(3)(4)(5)   
解答:b   (1) × (2) × (3) 〇 (4) 〇 (5) ×
解説:(1) Marfan症候群は第15番染色体長腕15q に存在する単一の異常遺伝子(突然変異)によって起こる.常染色体性優性遺伝であるが,25%は卵子または精子での異常遺伝子の出現(自発的な新たな突然変異)によってひき起される.この遺伝子は結合組織の線維成分を構成しているフィビリリンの生産をコントロールしている.JAG1遺伝子はAlagille症候群(症候性肝内胆管減少症)の責任遺伝子で,これは肝内胆管形成不全にもとづく新生児黄疸を主兆とし,また心臓・肺動脈・神経の形成異常を伴う遺伝病である.(2) 21trisomy(Down症候群を来たす)の40~50%に心疾患の合併があり心室中隔欠損症(40%),心房中隔欠損症(20〜30%),ファロー四徴症(10%),動脈管開存症(10%)の順に多い.
(3) Williams症候群 (Williams-Beuren症候群; WBS)は,妖精様の顔貌と心血管系の奇形を特徴とする10,000人に1人と比較的頻度の高い奇形症候群である.染色体7q11.23領域に欠失が原因と考えられている.心血管奇形として代表的なものが大動脈弁の弁上狭窄で,そのほか、肺動脈末梢狭窄,肺動脈弁上狭窄,心室中隔欠損,心房中隔欠損がある.
(5) Turner症候群は正常の女性には2本あるX染色体の一方の完全な欠損か一部の欠損が偶然に起こったものである.

問76.次の文章について誤りはどれか.
(1) 純型肺動脈閉鎖症はBAS (Baloon atrial septostomy)を必要とすることがある.
(2) 総肺静脈還流異常症は通常新生児期に発症する.
(3) 完全大血管転位症T型は新生児期を比較的無症状で経過する.
(4) 肺動脈血流のための動脈管開存維持にはインドメタシンが有効である.
(5) 心房中隔欠損症で肺高血圧を合併することが多い.
a.(1)(2)(3) b.(1)(2)(5) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(4) e.(3)(4)(5)
解答:e   (1) 〇 (2) 〇 (3) × (4) × (5) ×
解説:(1) 肺動脈閉鎖兼正常心室中隔(純型肺動脈閉鎖)では心臓に還流してきた静脈血が肺循環と体循環に還流するために心房間交通は必須であり,心房間交通が不十分な症例ではBAS(バルーン心房中隔裂開術)又は外科治療が必要である.BASの適応は肺動脈閉鎖症,三尖弁閉鎖症,完全大血管転位,総肺静脈還流異常症などである.一般に純型肺動脈閉鎖症の治療はプロスタグランディンE1(PGE1)による動脈管開存後,Blalock-Taussing短絡術などの外科治療を行う.(3)完全大血管転位(TGA)にはT型(心室中隔欠損症がないもの、あっても軽い),U型(心室中隔欠損症があるもの),V型(心室中隔欠損症と肺動脈狭窄症があるもの)がある.T型はTGAの約2/3を占め,チアノーゼが強く新生児期に重症化しやすい.U型はT型よりチアノーゼは軽く,新生児期より重症化することは少ないが,肺高血圧を呈し6カ月以内に大部分は死亡する.V型は比較的予後は良い.(4) インドメタシンではなくプロスタグランディンE1.インドメタシンはプロスタグランディン合成阻害作用があり,動脈管を閉鎖させるため動脈管開存症に用いられる.インドメタシンは酸性抗炎症剤で解熱,鎮痛,抗炎症作用があり関節リウマチ,変形性関節症などにも用いられる.(5) 肺血流量の増加はあるが肺高血圧を合併することは少なく,乳児期に重症になることは稀である.

問77.バイタルサインについて誤りはどれか。
(1)正常新生児の安静時心拍数は180/分に達する
(2)成長に伴う血圧の上昇は幼児期が最も顕著である
(3)多呼吸は呼吸器系、あるいは心臓血管系の異常を意味する
(4)小児期の高血圧は大部分が本態性である
(5)下肢の収縮期血圧は上肢と同じか少し高いのが正常である
a.(1)(2)(3)   b.(1)(2)(5)     c.(1)(4)(5)     d.(2)(3)(4)    e.(3)(4)(5)
〈解答・解説〉c?
(1)×?正常新生児の安静時心拍数は150±30回/分。他の年代に比べ変動が大きく正常でも時に180回/分に達するが、設問を"通常どの位か?"というニュアンスで読むと×になる。
(2)○?そうらしいです。小児期に血圧は成長とともに上昇して成人の値に近づく。
(3)○ 
(4)× 小児の高血圧はほとんどが二次性であり、新生児期・乳児期にはその大部分が腎疾患、
次いで心疾患によるものである。学童期からわずかではあるが本態性高血圧が出現し、その割合は思春期になり急増する。
(5)×??成人ではその通りだが小児の場合違うのでしょうか?他の選択肢の関係で×となる‥。

問78.先天性心疾患の病態・管理について誤りはどれか。
(1)肺動脈弁狭窄症では外科的弁切開術が治療の第一選択である
(2)心房中隔欠損症は10歳代前半での手術が望ましい
(3)50mmHg以上の大動脈弁狭窄症では突然死の危険性がある
(4)動脈管開存症はコイルによる閉鎖が可能である
(5)心室中隔欠損で大動脈弁閉鎖不全合併の頻度が高いのは膜様部欠損である
a.(1)(2)(3)   b.(1)(2)(5)      c.(1)(4)(5)     d.(2)(3)(4)     e.(3)(4)(5)
〈解答・解説〉d
(1)× PSの現在の第一選択の治療法は経皮的バルーン肺動脈弁形成術PTPV。
(2)○ VSDと異なり欠損孔の自然閉鎖は期待できず、小児期以降ではほとんどない。他方、心房中隔欠損閉鎖術は25歳以前に行うと成功率が極めて高いという成績がある。
(3)○ ASは左室−大動脈の平均圧較差(mean LV-Ao PG)が50mmHgを超えるころから症状が出現する。症状出現後の予後は狭心痛から5年、失神から3年、左心不全から2年とされ、時に突然死もあり得る。mean LV-Ao PG 50mmHg以上が手術適応の目安とされる。50mmHgとは何を指しているのか不明で設問に不備があるが他との兼ね合いから考えても○。
(4)○ 最近は動脈管の細い症例に対して経カテーテル的に塞栓用コイルを動脈管に留置する方法も盛んになりつつある。
(5)× 漏斗部に欠損孔がある高位VSDでは大動脈弁直下から右室に向かって早い血流が生じるため大動脈弁右冠尖が欠損孔に引き込まれて変形し、進行すれば閉鎖不全に陥る。

問79.チアノーゼ型先天性心疾患の合併症として起きてくるのはどれか。
(1)脳膿瘍
(2)糖尿病
(3)高尿酸血症
(4)感染性心内膜炎
a.(1)(3)(4)のみ b.(1)(2)のみ    c. (2)(3)のみ    d.(4)のみ   e.(1)〜(4)の全て
〈解答・解説〉a
 (1)○ 全身から戻った静脈血中に含まれている細菌類が左→右シャントによりそのまま大動脈に駆出され、奇異性塞栓による脳膿瘍が起こることがある。
 (2)× 関連はない。
 (3)○ 低酸素血症の代償としての多血症が生じる。赤血球増加に基づく核酸代謝亢進による尿酸産生増加、低酸素血症による腎機能(腎クリアランス)の低下により高尿酸血症となる。最近、成人では尿細管での尿酸再吸収の増加が主な原因と考えられるようになっている。
 (4)○ 例えばVSDを合併するような疾患では欠損孔を通過するジェット流により心内膜表面
が障害され細菌が付着することによる心内膜炎が生じる。

問80.次の組み合わせから正しいものを選べ。
(1)甲状腺機能低下症・・・・・・・心臓弁膜症
(2)全身性エリテマトーデス・・・・心膜炎
(3)ベーチェット病・・・・・・・・動脈瘤
(4)サルコイドーシス・・・・・・・房室ブロックなどの伝導障害
(5)皮膚筋炎・多発筋炎・・・・・・発作性上室性頻拍症
a.(1)(2)(3)   b.(1)(2)(5)      c.(1)(4)(5)     d.(2)(3)(4)     e.(3)(4)(5)
〈解答・解説〉d
(1)× 関連ない。
(2)○ Limbman-Sacks型の心内膜炎を引き起こす。
(3)○ 診断基準の副症状には血管病変も含まれる。本症自体の生命予後は比較的良好だが、形成された動脈瘤の破裂は致死的となる。
(4) ○ 頻度は低いが肉芽腫によって刺激伝導系や心筋が侵されるため致死的不整脈を起こす。
(5)× 本症では横紋筋である心筋も侵され、約30%で何らかの心電図異常が認められる。ただ し、発作性上室性頻拍症は主にWPW症候群に合併し、本症に明確に結びつけられるも のではない。

問81.次の記載から正しいものを選べ。
(1)進行性筋萎縮症(Duchenne型筋ジストロフィー)では拡張型心筋症様の病態を示すことがある
(2)アントラサイクリン系抗癌剤の心筋障害は容量依存性があり心筋壁の著明な肥厚を来すことが多い
(3)リウマチ熱の後遺症として発生する弁膜症では三尖弁狭窄症が最も多い
(4)心臓アミロイドーシスの予後は比較的良好である
(5)甲状腺機能亢進症では心房細動や心不全を認めることがある
a. (1)(2)   b. (1) (5)       c. (2)(3)     d. (3)(4)      e. (4)(5)
〈解答・解説〉b
(1)○ 骨格筋のみならず心筋にも変性がみられ、しばしば心不全を合併する。拡張型心筋症様の病態を呈する症例も多い。
(2)× 前半は正しい。アントラサイクリン系抗癌剤の心筋障害は拡張型心筋症様であり多少の心筋壁の遠心性肥大は認められるがそれほど著明ではない。
(3)× リウマチ熱に罹患してから10年以上経過して起こる。あらゆる弁に起こりうるが僧帽弁が最も頻度が高い(60%)。三尖弁狭窄症のほとんどはリウマチ熱後遺症で起こり、多くはMSを合併する。
(4)× 心筋や弁にアミロイド線維が沈着して心室壁が肥厚すると拡張障害によって拘束型心筋症となる。 ついで収縮障害も起こり、鬱血性心不全となる。 治療抵抗性で、数ヶ月の経過 で進行し1年以内に死亡することが多い。
(5)○ 甲状腺機能亢進症では心房細動・高拍出性心不全をきたすことがある。

問82.心電図(図表)のうちカテーテルアブレーションの適応の可能性がないと考えられるものをひとつ選べ。

〈解答・解説〉c
カテーテル・アブレーションの適応は、WPW症候群・房室結節回帰性頻拍・心房粗動・( 特発性 )心室頻拍・脚枝間回帰性頻拍である。
○ a. δ波の存在によるQRS時間延長がみられる。→WPW症候群
○ b. RR間隔は狭く頻脈性の不整脈である。QRS波形は正常であることから心室頻拍とは異なる。P波はQRS波に埋もれていることから心房と心室の興奮がほぼ同時に起こっていることが考えられる。→房室結節回帰性頻拍か
× c. やや冠状に見えるP波は、その間隔を見てみると一定。(3番めのP波は2番めのQRS 波 に重なって見えない。)一方RR間隔も一定である。P波とQRS波がお互い無関係に自らの調律をとり房室解離の状態である。→完全房室ブロック
○ d. 変形したQRS波が規則的に存在しRR間隔は狭く頻脈性の不整脈である。P波はQRS波に埋もれて存在すると考えられる。→心室頻拍
○ e. 鋸歯状のF波が存在し、3:1伝導(一部5:1)でQRS波形は正常である。→心房粗動

問83.虚血性心疾患についての以下の記述で正しいものは、
(1)代表的基礎疾患として、急性心筋梗塞、狭心症、急性心臓死、高血圧性心臓病がある。
(2)急性冠動脈症候群の発生要因には、冠動脈内血栓形成が重要である。
(3)粥腫破綻の機序は不明であるが、被膜の薄さ、脂質の量、浸潤マクロファージによる基質の破壊が関与していると考えられている。
(4)奇異性心筋梗塞の発生には、側副血行路の発達が関与している。
(5)合併症として、不整脈、心源性ショック、自己免疫性心筋炎、心室瘤などがある。
a.(1)(2)   b.(2)(3)       c.(3)(4)      d.(4)(5)      e.(2)(3)(4)
〈解答・解説〉b
(1)× 基礎疾患としては高血圧・高脂血症・糖尿病が有名。その他、肥満・喫煙なども発症に
関与する。
(2)○ 急性冠動脈症候群の発生要因となるのは、不安定プラークの破綻とそれに続く血栓形成である。
(3)○ その通り。
(4)×?奇異性心筋梗塞を、冠動脈閉塞の主因が冠動脈の粥状硬化でなく冠攣縮に基づく梗塞ととらえるならば、冠動脈閉塞は緩徐ではなく側副血行路の発達は見られない。
(5)× 不整脈・心源性ショック・心室瘤は起こる。その他、心室細動・心不全・心室中隔穿孔など。自己免疫性心筋炎は起こらない。

問84.次のうち誤っているものはどれか。
a. 粥腫(atheroma)が破綻すると血栓が形成され動脈内腔を閉塞することがある。
b. 動脈壁はもともと石灰化が起きやすい構造をしているが、動脈硬化巣は石灰化をきたしにくいのが特徴である。
c. 動脈硬化の危険因子には年齢、高脂血症、高血圧、糖尿病が挙げられる。
d. 泡沫細胞は主にマクロファージによりなっており、脂質を貪食したために細胞質が泡沫状になったものを言う。   
e. 粥腫の形成には、平滑筋細胞の増殖や膠原線維の増加が重要な役割を果たす。
〈解答・解説〉b
a. ○
b. × 進行した動脈硬化巣は石灰沈着を伴う場合が多い。
c. ○
d. ○
e. ○

問85.心内膜炎についての以下の記述で正しいものはどれか。
(1)ループス心内膜炎の疣贅は、閉鎖縁に沿って形成されるのが特徴的でverrucous endocarditisとも呼称される。
(2)細菌性心内膜炎は、しばしば弁の破壊、同部の血栓形成を伴い、高度な弁膜の機能障害の原因となる。
(3)非細菌性血栓性心内膜炎(NBTE)は、悪液質に陥った癌患者に多発し、血栓性塞栓症の原因となる。
(4)NBTEは、右心系に好発し左心系に起こることは稀である。
(5)リウマチ性心内膜炎による弁膜症は、抗生剤による治療が進歩した現在では殆んど見られなくなっている。
a.(1)(2)   b.(2)(3)       c.(3)(4)      d.(4)(5)      e. (1)(2)(3)
〈解答・解説〉b
(1)× SLEではatypical verrucous endocarditisが生じる。僧帽弁に多く、弁膜閉鎖縁や表面、弁膜付着部の裏面に結節状あるいは桑の実状の白色の疣贅が不規則・散在性に認められる。
(2)○ その通り。
(3)○ その通り。悪性腫瘍、外傷、局所乱流、循環血液中の免疫複合体、脈管炎、および凝固能亢進状態に反応して心臓の弁および隣接する心内膜に無菌性の血小板やフィブリン血栓が形成されるのがNBTEである。
(4)× 右心系に好発するのは細菌性心内膜炎である。
(5)× リウマチ熱の減少とともに減ってきたが殆ど見られないとは依然言えず、注意を払う必要がある。

問86.次の血管炎のうち、大動脈に好発するものはどれか。
(1)閉塞性血栓性動脈炎(Thromboangitis obliterans)
(2)巨細胞性動脈炎(Giant cell arteritis)
(3)高安動脈炎(Takayasu's arteritis)
(4)"いわゆる"炎症性動脈瘤("so-called"inflammatory aneurysm)
(5)川崎病(Kawasaki's disease)
a.(1)(2)   b.(1)(5)       c.(2)(3)    d.(3)(4)     e. (4)(5)
〈解答・解説〉c
(1)× 末梢に発生する。
(2)○ 大型血管に起こる血管炎であり,大動脈瘤などを起こす。
(3)○ 大血管に起こる。
(4)× 中型,小型動脈におこる。
(5)× 冠動脈,腋窩動脈,腸骨動脈などにおこる。

問87.Moenckeberg型動脈硬化に見られる血管病変はどれか。
a. 中膜石灰沈着硬化
b. 閉塞性動脈硬化
c. 硝子化細動脈硬化
d. 閉塞性血栓性動脈硬化
e. 細動脈壊死
〈解答・解説〉a
動脈硬化には、メンケベルグ型動脈硬化・細動脈硬化・粥状硬化の3種類があり、メンケベルグ型動脈硬化は太い動脈に生じて中膜の石灰沈着が特徴である。細動脈硬化は直径0.1mm以下の細い動脈に生じ脳や腎臓で問題となり高血圧との関連が重視されている。粥状硬化は内膜に限局性の病変(粥腫atheroma)を作り虚血性心疾患の引き金としてこの3種の中で臨床上最も重要視されている。

問88.動脈硬化で見られる内膜平滑筋細胞の増殖に関係する因子はどれか。
a. PDGF
b. VEGF
c. IL-1
d. TNF-α
e. INF-α
〈解答・解説〉a
何らかの原因で血管内皮細胞が障害されると血小板の凝集が起こり、血小板由来増殖因子(PDGF)を分泌する。この働きにより平滑筋細胞の内膜への遊走と増殖が促され、粥腫形成の一端を担うことになる。

89.25歳女性。左手指爪下の痛みを伴う血管性病変を一つ選べ。
a.Angiosarcoma
b.capillary hemangioma
c.glomus tumor
d.cystic hygroma
e.Kaposi's sarcoma
<解答>(glomus tumor)
glomus tumor:グロムス腫瘍。真皮深層の循環末梢部の最終器官であるneuromyoaterial glomusに由来する良性腫瘍で、単発症と多発性のものがある。各年齢層に生じ、女性に多い。皮膚、上肢、指、特に爪下に後発するが、胃・十二指腸、鼻腔などにも発生する。1cm内外の小腫瘍で紫青〜赤色、弾性軟で、自発痛や寒冷・接触により激しい発作性の疼痛を伴うが、多発例では痛みは少ない。

90.45歳、男性。左心不全で死亡した剖検例。肉眼的に左心房壁より発生した、最大径5cmの腫瘤状病変を認め、組織学的には粘液状ないし線維性間質に富む病変で血管と星芒状細胞の増生が目立った。本症例の診断を a.〜e.から一つ選べ。
a. lipoma
b. myxoma
c. rhabdomyoma
d. solitary fibroma
e. mesothelioma
<解答>b
myxoma:粘液腫。心臓の良性腫瘍。その75%は左房に発生。男女比1:3.好発年齢30〜60歳代。

91.急性動脈閉塞症の症状として適当でないものは以下のどれか
a.間欠性跛行
b.チアノーゼ
c.疼痛
d.脈拍の欠落
e.皮膚感覚の脱落
<解答>a
pain, pulseless, pallor, paresthesia, paresisの五つ。間欠性跛行は閉塞性動脈硬化症で見られる。

92. 65歳男性。200mの歩行で両側の下腿部に疼痛が生じる。短時間休憩することで再び200m歩くことができる。この症例について正しいものを選択せよ。
(1)下り坂で症状が増悪すれば閉塞性動脈硬化症が疑わしい。
(2) 閉塞性動脈硬化症とすれば病変は鼡径部より中枢にある。
(3)立ち止まるのみで症状の改善が認められれば腰部脊柱管狭窄症をより疑うことになる。
(4) 腰部脊柱管狭窄症はしばしば閉塞性動脈硬化症と並存する。
a.(1)(3)(4)のみ b.(1)(2)のみ c .(2)(3)のみ d .(4)のみ e .(1)〜(4)全て
<解答>c.
(1)×
(2)○両側の疼痛なので
(3)○
(4)×

93. 腹部大動脈瘤について正しい組み合わせを選べ
(1)男女比は6〜8:1で男性に多い。
(2)腎動脈が瘤から分岐する例が約40%にみられる。
(3)一般的に最大径5cm以上の腹部大動脈が手術適応であるが、4cm前後でも適応となることがある。
(4)虚血性心疾患を20-30%に合併している。
a.(1)(3)(4)のみ b.(1)(2)のみ c .(2)(3)のみ d .(4)のみ e .(1)〜(4)全て
<解答>e

94. 下肢静脈瘤について正しい組み合わせを選べ
(1)立ち仕事を職業とする男性に多い。
(2)Perthes検査は深部静脈の開通性、穿通枝の機能を見る検査である。
(3)下腿潰瘍の原因となることがある。
(4)ストリッピング手術とは大伏在静脈を大腿静脈の合流部で結紮する手術である。
a.(1)(3)(4)のみ b.(1)(2)のみ c .(2)(3)のみ d .(4)のみ e .(1)〜(4)全て
<解答>c
(1)×立ち作業、女性に多い
(2)○
(3)○
(4)×大伏在静脈を高位結紮

95. 68歳男性。3年前から100mの歩行で左下肢に跛行を認めていたが最近になって休まずに歩行できる距離がだんだん短くなり現在では30mの歩行で立ち止まらずにはいられなくなった。今回さらに夜間に左足の疼痛で眠れないこともあるため来院した。図表にこの患者の血管造影を示す。

Q1この症例について正しい組み合わせを選べ
(1)Fontain分類の3度である
(2)右下肢においては膝窩動脈の拍動は良好に触知できると思われる。
(3)右内腸骨動脈の描出は末梢まで良好である。
(4)左総腸骨動脈は側副血行路を介して描出されている。
(5)歩行時には左殿部にも痛みが生じることがある。
a.(1)(2) b.(1)(5) c.(2)(3) d.(3)(4) e.(4)(5)
<解答>b
(1)○安静時疼痛
(2)(3)×見た感じ途絶えてます。
(4)見えません
(5)○

Q2この症例の治療方針として正しい組み合わせを選べ
(1)経皮的血管形成術
(2)腋窩動脈―大腿動脈バイパス術
(3)大動脈―大腿動脈バイパス術
(4) 大腿動脈―膝窩動脈バイパス術
(5)左下肢切断術
a.(1)(2) b.(1)(5) c.(2)(3) d.(3)(4) e.(4)(5)
<解答>a.
左にはPTA右には腋窩動脈―大腿動脈バイパス術ではないかと

96 正しい組合せを選択せよ
1 顕微鏡的結節性多発動脈炎は、毛細血管および細動静脈などを主体とする白血球破砕性血管炎が特徴的である
2  プロテイナーゼに対する抗好中球細胞質抗体はウェゲナー肉芽腫症に特異的が高い。
3 古典的結節性多発動脈炎は、中・小動脈壁およびその周囲における壊死性血管炎である
4  ウェゲナー肉芽腫症は上気道、下気道や腎に肉芽腫を伴う壊死性血管炎を特徴とする
5 古典的結節性多発性動脈炎の主な死因は肝不全で、次いで心不全が多い
a 123 b 125 c 145 d 234 e 345
<解答>d
(1)×:結節性多発動脈炎(PAN)は、主として、中動脈を侵すとされていたが、細・小動脈における壊死性血管炎は顕微鏡的結節性多発動脈炎と呼ばれる。
(2)○:結節性多発動脈炎(PAN)は、主として、中動脈を侵すとされていたが、細・小動脈における壊死性血管炎は顕微鏡的結節性多発動脈炎と呼ばれる。
(3)○:PANは壊死性血管炎をきたす中心的疾患で、全身の主に中小動脈を侵す原因不明の疾患。
(4)○
(5)×:腎不全が多い(25〜30%)

97.正しい組合せをa.〜e.から選択せよ。
(1) 川崎病は予後の点から心臓病変が最も重要視される。
(2) アレルギー性肉芽腫性血管炎は中年女性に好発し、喘息やアレルギー体質が先行してみられる。
(3) 高安動脈炎は細小動脈に限局した中・外膜病変を基盤とする。
(4) 側頭動脈炎の重大な合併症として腎不全があげられる。
(5) 高安動脈炎の重要な合併症は大動脈弁閉鎖不全とそれに引き続く心不全、高血圧や脳血管障害ならびに虚血性心疾患である。
a.(1)(2)(3) b.(1)(2)(5) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(4) e.(3)(4)(5)
<解答>b
(1)○
(2)○
(3)×弾性型動脈
(4) ×合併症としてはリウマチ性多発筋痛症(50%)が多い。
(5)○

98.正しくない記述をa.〜e.から一つ選べ。
a.疫学とは人間集団を対象として人間の健康及びその異常の原因を宿主、病因、環境の各面から包括的に考究し、その増進と予防を図る学問である。
b.観察対象が個人の場合の疫学研究方法は観察研究と介入研究の2つに大別できる。
c.研究者がある因子への暴露を人為的に与えたり取り除いたりすることによって起こってくる事象を記録して比較する方法を介入研究という。
d.メタアナリシスは、一つの疫学研究から明確な結論が出ない時に、質の高い小規模研究を合わせて評価する統計学的手法である。
e.疫学研究の観察対象の単位は個人の場合と集団の場合がある。いずれの場合でも同一人の要因と結果の両測定値が必要である。
<解答>e
観察研究の1つである生態学的研究は、対象集団の個人ごとの資料を基に解析するのではなく、集団を単位にして、病院と疾病の関係を記載する方法である。この研究には以下の方法がある。
1つの調査時点において、異なる地域や国のあいだで病因と疾病の関係を比較記載する。
1つの国や地方を対象として、時間的な変化から病因と疾病の関係を比較記載する。
したがって、このように集団を観察対象にする場合は、同一人の要因と結果の両測定値は必要でない。

〔疫学研究のタイプ〕
(T)観察学的疫学研究―疫学研究者自身は、集団、集団構成員に対して何の介入もしない研究
記述疫学
分析疫学
生態学的研究(地域相関研究)
横断的研究(横断研究、断面研究、有病率研究)
症例対照研究(患者対象研究、後ろ向き研究、回顧法)
コホート研究(前向き研究、縦断研究、追跡研究、将来法、要因対照研究)
(U)介入研究―疫学研究者自身が、集団、集団構成員に対して意図的に介入し、規定要因の変容をはかるもの
臨床研究
地域研究

99. 正しくない記述の組み合わせをa.〜e.から選択せよ。
(1)観察研究では要因の作用する時期と疾病が発生する時期に時間的なずれがある。この時間経過を考慮した方法を"縦断研究"と呼び、考慮しない方法を"横断研究"と呼ぶ。
(2) コホート研究は、要因曝露の情報を調査開始時点でとる"後向き研究"と、過去の記録や資料をもとにする"前向き研究"とに分類される。
(3) 循環器疾患の代表的な介入研究としてFramingham studyや久山町研究があげられる。
(4) 縦断研究は、比較する2群の調査集団の設定を曝露の有無で行う"コホート研究"と、疾病の有無で行う"患者対照研究"に大きく分類される。
(5) コホート研究は患者対照研究とは異なり罹患率を直接測定できる。
a.(1)(2) b.(1)(5) c.(2)(3) d.(3)(4) e.(4)(5)
<解答>c
(1)○ (2)×要因曝露の情報を集め、その後の疾患発生を見るのが前向きコホート研究であり、過去の記録や資料から情報を集めるものを後向きコホートという。 (3)×介入研究ではなくコホート研究である。
(4)○(5)○

100. 正しくない記述をa.〜e.からひとつ選べ。
a. 利尿薬やβ遮断薬を中心とした降圧薬治療の心血管病予防効果は多くの介入試験で示されている。
b. 米国退役軍人病院研究は中壮年者高血圧に対する降圧薬療法の有用性を示した介入研究である。
c. ACE阻害薬は心不全患者の予後を改善することが多くの介入試験で明らかにされている。
d. 84歳を越える超高齢者においても降圧薬治療の心血管病予防効果が確立している。
e.心筋梗塞の再発予防にHMG-CoA還元酵素阻害薬によるコレステロール低下療法が有効である。
<解答>d
高齢者高血圧においても降圧薬治療の心血管病予防効果が示されているが、80歳を越える高齢者高血圧においてはいまだ明らかではない。

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