循環器 平成16年度卒業試験

2004年 卒業試驗問題(復元)
1.血管平滑筋やCa2+の動態について正しいものを選べ。
1) 安静時冠血流量は心拍出量の2%である。
2) 血管平滑筋の収縮は細胞質内のCa2+濃度だけでなく、作用部位のCa2+感受性にも影響される。
3) アセチルコリンが血管平滑筋に放出する血管弛緩因子の実態はNOである。
4) 骨格筋細胞は血管平滑筋に比べてCa拮抗薬(細胞外Ca2+の流入阻害薬)の作用を強く受けるので、その投与中は全身の脱力発作に注意が必要である。
5) 血管拡張物質はcAMPを活性化させることにより効果を発現する。
  a 1.5 b 1.2 c 2.3 d 3.4 e 4.5

<解答> c
1×…冠動脈は全血流(4〜5?/分)の5%。腎(1/4)、肝(1/4)、脳(1/5弱の700ml)も有名。
4×…過去問より                 5.×…cGMPの生成↑で弛緩作用。


2.心筋細胞の興奮収縮連関や代謝に関する(1)〜(5)の記述の中で、正しい組み合わせは?
1) 心筋の収縮期バルジングは局所心筋細胞壊死の証拠である。
2) 洞房結節の活動電位はCa電流により緩やかに立ち上がる。
3) 心室筋のCa電流は内向きでプラトー相で流入する。
4) 骨格筋細胞は血管平滑筋細胞に比べてCa拮抗薬の作用を強く受けるので、その投与中には全身の脱力発作の注意が必要である。
5) トロポニンCと結合するCaイオンはL型Caチャネルから流入する量の方が、筋小胞体から放出されるものよりも多い。
 a(1)(2) b(1)(5) c(2)(3) d(3)(4) e(4)(5)

<解答>c


3.活動電位について正しいものはどれか(2003年卒試問5と同じ)
(1)洞房結節の活動電位はCa電流により緩やかに立ち上がる
(2)心室筋の活動電位はNa電流により急峻に立ち上がる
(3)心室筋のCa電流は内向きで、プラトー相で流入する
(4)心室筋のK電流は外向きで、活動電位の脱分極にあずかる
(5)Kチャネルブロッカーは活動電位を短縮させる
a.(1)(2)(3) b.(1)(2)(5) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(4) e.(3)(4)(5)
<解答>a


4.不整脈の発生機序について正しいのはどれか。
(1) トリガー活動は歩調とり電位によって生じる。
(2) 細胞内Ca過剰状態では活動電位の再分極直後に遅延後脱分極が生じる。
(3) 心筋細胞が傷害されると静止膜電位が浅くなり、異常自動能が生じる。
(4) リエントリーの発生条件は、一方向性ブロックと伝導遅延である。
(5) リエントリーによる不整脈は極めて稀である。
a.(1)(2)(3) b.(1)(2)(5) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(4) e.(3)(4)(5)

<解答>d


5.心機能、心拍出量の規定因子について、次の記述のうち、正しいものの組み合わせを選べ。
(1)健常成人の心拍出量は約5リットル/分である。
(2)臨床で心機能を評価するのは、駆出率が重要である。
(3)健常成人において、最大運動時には心拍出量は安静時の約2倍に増える。
(4)安静時には、心拍出量が大きいほど心機能は良い。
(5)正常時に心拍出量を決定しているのは、前負荷である。
a.(1)(2)(3) b.(1)(2)(5) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(4) e.(3)(4)(5)

<解答>a  


6.正しい組み合わせを選べ.
1) 正常では右房圧は左房圧よりも低い。
2) 肺循環の血管抵抗は体循環の血管抵抗の1/2である。
3) 体循環の血圧の決定因子は血管抵抗が主である。
4) 姿勢変動や運動時の血圧制御には圧受容体反射が必須である。
5) 心臓は交感神経と副交感神経の調節を受けているが、末梢血管は交感神経の調節のみである。
a.(1)(2)(3) b.(1)(2)(5) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(4) e.(3)(4)(5)

<解答>c

7.心電図(図表)の70歳男性、高血圧患者の心電図所見として正しい解釈の組み合わせを1つ選べ。(心電図は1mV=1cm) <2003年 卒試問7に類似のため、心電図を流用しています>

(1)V1,2のS波の振幅とV4,5,6のR波の振幅が大きいことなどから左室肥大が考えられる。
(2)左房負荷傾向がある。
(3)V4,5,6のST-T変化は左室肥大による二次的変化が疑われる。
(4)心房細動が考えられる。
(5)右房負荷も認められる。
a.(1)(2)(3) b.(1)(2)(5) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(4) e.(3)(4)(5)

<解答>a   2003年 卒試 問7参照

8.心電図(図表)の患者は失神発作をおこし。父方の血縁者の突然亡くなった方がいる。正しいものの組み合わせを1つ選べ。(心電図は1mV=1cmである) <2003年 卒試問8に類似のため、心電図を流用しています>

1) 運動や驚愕が誘因となって頻拍発作が起こることが多い。
2) 特徴的な心室頻拍を起こし、失神や突然死に至ることがある。
3) 心筋細胞のイオンチャネル異常によって、QT延長が起こる。
4) Kが高いことも発作の誘因となる。
5) 心電図では異常q波と冠性T波を認める。
a.(1)(2)(3) b.(1)(2)(5) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(4) e.(3)(4)(5)

<解答>a 2003年卒試 問8参照


9.心電図(図表)の患者は39才男性で僧帽弁狭窄症である。正しい心電図解釈の組み合わせを1つ選べ。<2003年 卒試問9に類似のため、心電図を流用しています>

(1) 右室肥大である。
   (2) ストレイン型の左室肥大である。
   (3) 狭心症の合併が疑われる。
   (4) 右軸偏位が見られる。
   (5) 左房負荷も合併している。
a.(1)(2)(3)   b.(1)(2)(5)   c.(1)(4)(5)   d.(2)(3)(4)   e.(3)(4)(5)

<解答>c
(1)右室肥大に伴う心電図変化の基本は
@V1〜V2の高いR波 A著明な右軸偏位 BV1~V2のST低下・陰性T波  である。
この心電図はこれらを満たす。○。
(2)左室肥大:V1のS+V5のR>35mmという所見がない。×。
(5) V1でP波の陰性相の振幅が大きくなっており、左房肥大の所見である。○。

10. 54才女性の心電図(図表)の正しい心電図診断の組み合わせを1つ選べ。
※心電図は2003年卒試問10と同じものです。

1) V1〜4にQSパターンが見られST上昇もあるので前壁心筋梗塞の急性期である。
2) QRS幅は0.12秒以上ある。
3) 完全左脚ブロックである。
4) 平均電気軸はこの例では正常軸である。
5) 完全右脚ブロックも伴っている。
a(1)(2)(3) b(1)(2)(5) c(1)(4)(5) d(2)(3)(4) e(3)(4)(5)

<解答>d
QRS幅の延長、V1V2でのQS(rS)パターン、V5V6でのq波のないR波と陰性T波、電気軸は正常〜左軸、R波の分裂などの所見が左脚ブロックに一致。
(4)TとaVFより、正常軸。○。

13.39歳男性の心電図(図表)に関して正しいものの組み合わせを選べ
※心電図は2003年卒試と同じでした。

(1)右軸変位があり、胸部誘導のR波およびS波がV1からV6へむかうにつれ減高している
(2)左右の手首の電極を入れ替え、胸部は右胸部に対称性にV1〜V6に相当するように電極をつけると正常心電図波形を得ることができる
(3)右室肥大もある
(4)右房負荷もある
(5)右胸心の心電図である
a(1)(2)(3) b(1)(2)(3) c(1)(4)(5) d(2)(3)(4) e(3)(4)(5)

<解答>c 2003年卒試 問13参照
(1)T誘導でマイナスなので右軸偏位。胸部誘導のR波が確かに低い。○。
(5)異常P波(Tで陰性、aVRで陽性)や胸部誘導でQRS波の動き方が正常と逆になっていることから、右胸心疑われる。○。

14.図は心尖四腔像のカラードップラー検査である。この疾患およびエコー所見において正しいものを選べ。(図は2002年卒試19番と同じ)

(1)心音でII音の固定性分裂を認める。
(2)連続性雑音を認める。
(3)右室への容量負荷を認める。
(4)心エコー上、心室中隔の奇異性運動を認める。

a.(1)(3)(4) b.(1)(2)
c.(2)(3) d.(4) e.(1)〜(4)

<解答>a
LAからRAへのflowが認められる(赤いシグナルはプローブ向きの血流である)。したがってASD。ASDではU音の固定性分裂が認められる。またL→R shuntにより右心系に負荷がかかり右心系は拡大する。心室中隔の奇異性運動が認められる。


15.40歳女性。呼吸困難と息切れを主訴に来院した。図に心エコーを示す。正しいのはどれか。(問題文は不正確です)
(1)右室の拡張がみられる
  (2)びまん性の心室壁運動低下がみられる
  (3)ACE阻害薬を投与する
  (4)心室中隔の非対称性肥厚がみられる
a(1)(3)(4)のみ b(1)(2)のみ c(2)(3)のみ d(4)のみ e(1)〜(4)の全て
<解答>c  
解説 図はBモード、Mモード(2004年度卒試16の(1)参照)のエコーで、心室内腔の著しい拡張と、びまん性の心室壁運動低下がみられました。拡張型心筋症です。
(1)左室内腔の拡大がみられます。 (2)(3)は○
(4)ASH asymmetric septal hypertrophy肥大型心筋症の所見です


16.図を見て正しいものを選べ
<画像> MSの断層心エコー左室長軸像、MSのMモード心エコー
1) DDR低下(EF低下)を認める 2) 1音は減弱する
3) 左房拡大を認める 4) リウマチ熱が原因
a.1,3,4 b 1,2 c. 2,3 d.4 e.全て

<解答>a
解説 MSのMモード心エコー⇒DDR低下、拡張期異常前方運動、M弁エコーの増強・多重化1)○ MS→左房圧↑→DDR diastolic descent rate↓ 2)× MS→T音↑


17.18歳女性。幼児期より心雑音を指摘されていた。2音の分裂は幅広く、胸骨左縁第2肋間にて駆出性収縮期雑音を聴取した。胸部X線像を示す。この患者で認められると思われる所見を選べ。
1) 肺血管陰影減少  2)肺動脈拡張  3)大動脈拡張
4)左室拡大         5) 心尖部挙上
 a.(1)(2)(3) b.(1)(2)(5) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(4) e.(3)(4)(5)

<解答>b


18.45歳男性。胸部X線とCTを図に示す。この患者に認められる身体所見を選べ。
 (1) 遅脈 (2) 4音 (3) Kussmaul徴候 (4) 心膜ノック音 (5) 腹水
 a.(1)(2)(3) b.(1)(2)(5) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(4) e.(3)(4)(5

<解答>e 解説 2003年度卒試18番と同じ


19. 62歳女性。主訴は労作時呼吸困難。Mモード心エコーを示す。胸部X線で認められると思われる所見を選べ。
(1)左3弓の突出  (2)石灰化  (3)左房の二重陰影 (4)左4弓の挙上(持ち上がり)
a. (1)(3)(4)のみ b.(1)(2)のみ c.(2)(3)のみ d.(4)のみ e.(1)〜(4) のすべて

<解答>a.  解説 2003卒試問19.に同じ


20.60歳の女性。30年前に先天性心疾患の根治術を受けた。息苦しさと主訴に来院した。胸骨左縁第二肋間にto-and-fro murmurを聴取する。心電図、心カテ、胸写を示す。
正しいのはどれか? (2003年卒試 問20に類似。図は2003卒試問20のもの)

1) 病歴 心不全
2) 心音 ASD
3) 心カテ 左室拡張不全
4) 心電図 右室肥大
5) 胸写  肺動脈拡張
a.(1,2,3) b.(1,2,5) c.(1,4,5) d.(2, 3, 4) e.(3, 4, 5)

<解答>c 解説 2003年度卒試問20と類似


21.問題20の疾患の病態として正しいのはどれか
(1) 左室の容量負荷 (2) 心房レベルでの右?左シャント
(3) 右心不全 (4) 肺動脈弁閉鎖不全 (5) 閉塞性肺動脈病変
a.(1,2,3) b.(1,2,5) c.(1,4,5) d.(2, 3, 4) e.(3, 4, 5)

<解答>e(03年度卒業試験問題21と類似)
解説 (1)× 左心系の圧所見は正常範囲内 
(2)× 心カテでの右房の酸素飽和度の上昇を認めない
(3)○ 右心系の圧の上昇を認める  (4)○ 聴診所見から 


22.ステントによる冠インターベンションについて正しいものを選べ。
(1)バルーンによるPTCA後の冠動脈解離の治療として有効である。
(2)急性心筋梗塞の治療として有効である。
(3)瀰漫性に狭窄が存在する細い冠動脈病変の治療には不適である。
(4)合併症として血栓性閉塞がある。
  a.(1)(3)(4) b.(1)(2) c.(2)(3) d.(4) e.(1)〜(4)

<解答>e


23.PTCAのリスクが高い病変はどれか
1)石灰化病変 2) 病変長の長い病変 3)完全閉塞病変 4) 静脈グラフト病変
a 134 b 12 c 23 d 4のみ e 1〜4のすべて

<解答>e
静脈グラフトは動脈グラフトと比べて内膜肥厚・粥状硬化をきたしやすく、閉塞をきたしやすい。


24. 次の症状、所見について正しいものはどれか
1) 奇脈とは呼気時に比べて拡張期血圧が10mmHg以上低下することを言う。心タンポナーデの時に見られる。
2) 起座呼吸では横になると苦しくなり、座位で軽快する。肺うっけつで見られる。
3) 毛細血管拍動(Quincke徴候)は爪床を軽く押さえ、赤くなったり消えたりするのを観察することで確認できる。大動脈弁閉鎖不全など脈圧が大きい場合に見られる。
4) チアノーゼは青色症とよばれ、皮膚および粘膜が暗青色を示す状態である。皮膚または粘膜の毛細血管の中にある血液中の還元へモグロビンが増えると(5g/dl以上)おこる。
a 123 b 234 c 134 d 124 e 1〜4のすべて

<解答>b
1)×奇脈⇒吸気時に収縮時血圧が10mmHg以上低下。
心タンポナーデ、収縮性心内膜炎でみられる。

25.心音について正しいのはどれか?
1) 心音にはI音、II音のほかIII音、IV音、半月板駆出音、房室弁開放音、クリック音などがある。
2) I音の減弱は左室収縮力の低下や左室拡張末期圧の上昇を反映し、急性心筋梗塞や心筋炎、拡張型心筋症など重篤な心筋の障害と関連があることが多い。
3) 僧房弁狭窄症では左房圧が高いのでII音の亢進、III音を伴う。
4) II音の病的分裂には1)分裂の程度が生理的分裂に比して著しい病的な吸気時分裂、2)吸気時分裂(奇異性分裂、逆分裂)、3)固定性分裂、の三種類ある。
a 1,2,3  b 1,2,4  c 3,4  d 1〜4

<解答>b 解説 3)MS⇒T音↑、V音(−)


27.労作時狭心症について誤っているものはどれか?
1)痛みは、胸骨裏面で広さを持っていて、指尖で指すことはできない。
2)痛みは心臓の負担が増す状態(運動、食事、興奮、排便など)で起こる。
3)持続時間は15分以上のものが多く、30分以上のこともある。5分以内のものは狭心症とはならない。
4)運動の停止やジギタリスなどの強心薬の投与が痛みの軽減に有効である。
a, 12 b, 14 c, 34 d, 2 e, 1〜4すべて

<解答>C
(1)〇 (2)○ (3)× 狭心症は5分以内のものが多い (4)×ジギタリスではなくニトログリセリン


28.次のエコー所見から考えうる疾患は?
エコー上壁運動の低下がみられました。 選択肢は5択

<解答> DCM


29. 問28の症例に対して、スワン・ガンツカテーテルを挿入して血行動態をモニターして治療を開始した。血圧110/80mmHg、心拍90、不規則、CVP15mmHg、PCWP 22mmHg、心係数2.4l/min/m2, 入院時身体所見、検査所見として考えられるものを選べ。
(1) 湿性ラ音の聴取 (2) 3音の聴取 (3) 頚静脈の怒張 (4) 血中BNP値の高値
a. (1)(3)(4) b. (1)(2) c. (2)(3) d. (4) e.すべて

<解答>e


30.問28の初期治療としてはどれか?
1) 酸素吸入 2) ジゴキシン静脈内投与
3) フロセミド静脈内投与 4) 亜硝酸薬静脈内持続投与
a.(1),(3),(4) b.(1),(2) c.(2),(3) d.(4) e.(1)〜(4)

<解答> c? (1)〜(4)とも治療としては正しいが初期治療としては(2),(3)かと。ただ現実的には最近はジギタリスは使わないそうです。


31.慢性心不全患者の治療について正しいものを選べ。
(1)心機能低下があっても無症状であればアンジオテンシン変換酵素阻害薬は使わない。
(2)洞調律の心不全患者にはジギタリスは禁忌である。
(3)フロセミドはうっ血を軽減するのに有用であるが、高カルシウム血症を生じることがあるので注意が必要である。
(4)心不全患者に対してできるだけβ遮断薬導入を試みることが勧められている。
a.134のみ  b.12のみ  c.23のみ  d.4のみ  e.1〜4のすべて

<解答> d 2003年 概説試験 30番と同じ。
(1)× ACE阻害薬はリモデリングを防ぐ効果があり、第一選択薬。
(2)× 房室ブロックがある場合に禁忌。        (3)× 高Caでなく、高尿酸
(4)○ 最近判明。大規模研究でも予後改善能に優れることが分かってきた。


32.拡張型心筋症について正しい記述の組み合わせを選べ。
(1) 主な死因は心不全や心室性不整脈である。
(2) 心不全の原因は左心室の収縮機能不全による。
(3) 心不全慢性期のβ遮断薬投与は一般的に禁忌である。
(4) 心エコーでは限局性に左室壁運動が低下している。
(5) 診断は二次性心筋疾患の除外による。
a. (1)(2)(3)  b. (1)(2)(5)  c. (1)(4)(5)  d.(2)(3)(4) e. (3)(4)(5)

<解答> b
1)○ 死因は心不全・心室性不整脈に関連する。2)○ 左室駆出率が6か月後の死亡と相関する。 3)× 心不全全般に心筋を休ませるために使用する。
4)× 心エコー:心室内腔の著しい拡大、心室壁運動のびまん性低下、駆出率の低下。
5)○ 平成15年卒試32番と同じ


33.swan-ganzカテーテルの図があって、その疾患について当てはまるものを選べ。(左室、左室流出路、大動脈の圧波形が描いてあり、収縮期圧が、左室流出路で下がり、大動脈の圧と一緒になっていた   …?)
    1.閉塞性肥大型心筋症(HOCM)である
    2.HOCMでは、頚動脈波で収縮期にピークを二峰性に触れる(spike and dome)
    3.心房細動を合併しても血行動態に影響は与えない
    4.非対称性中隔肥厚(ASH)の診断には、左室造影より心エコーの方が有用である
    5.心尖部肥厚型では、心電図でgiant negative Tをしばしば認める
   a. 123 b.125 c. 145 d.234 e.345

<解答>swan-ganzカテーテルは右心系を調べるものなのでこの問題おかしいです。問題文の後半が正しいとしたらこの疾患はHOCMですが、(1)○ (2)○?あえていうなら脈が触れるかどうかはあやしい (3)×与える(4)○ (5)×?この文自体は正しいが心尖部肥厚型はHOCMではない。答えわかりません 


34.心電図(図表)の正しい診断の組み合わせを選べ。(aは上段が発作時、下段が非発作時)

(1)aの上段は上室性頻拍の心電図である。
(2)aの上段は心室頻拍の心電図である。
(3)bは洞性不整脈の心電図である。
(4)bは上室性期外収縮の心電図である。
(5)cは心室性期外収縮の心電図である。


a(1,2,3)b(1,2,5)c(1,4,5)d(2,3,4)e(3,4,5)


<解答>C 問題文・選択肢・心電図とも2003年卒試34番と同じ
A× QRS幅が狭く、P波がQRS波と一対一で確認できる。上室性。
C○ 洞性だと、洞結節が早期に刺激しただけなので、P波は通常と同じ。
上室性の場合、異所性刺激なのでP波の形が変化する。
D○ P波を伴わない、幅広のQRS波。心室性。


35.正しいものを3つ選べ
1. aの不整脈の先天性な原因はカリウムチャネルの異常である
2. aの不整脈は抗不整脈で生じることがある
3. aの不整脈でtorsade de pointesを生じることはない
4. bは東洋人より白人に多い
5. bは心室細動を起こし、突然死を生じることがある
a(1,2,3)b(1,2,5)c(1,4,5)d(2,3,4)e(3,4,5)

心電図所見
a.明らかなQT時間の延長とT波に続く紡錘波が所々で見られた
 国試94E-15のような心電図 (→QT延長症候群)
b.V1〜V3に右脚ブロック型のQRS波とST上昇が見られた (→Brugada症候群)

<解答> b
○1. K電流が抑制され早期後脱分極が起きるらしい。
○2. 抗不整脈薬・抗うつ薬・抗精神病薬、低Ca血症・低K血症・低Mg血症で発生。
×3. torsade de pointesを生じる。 ×4. 日本人・東南アジア人に多いらしい。
○5. 特発性心室細動を起こす


問36.冠循環の特徴を述べた以下の記述のうち、正しい記述の組み合わせはどれか?
(1) 冠循環における酸素摂取率は他臓器と異なり極限値に近く、心筋への酸素供給は主として冠血流の増減に規定される。
(2) 心筋は活発な好気的代謝を営んでいる。
(3) 最大運動時の心筋血流量は安静時の約5〜6倍に増加しうる(冠循環の予備能)
(4) 心筋の酸素消費量を推定する指標として、「収縮期×心拍数」であるdouble productが臨床的に有用である。
a. (1)(3)(4)のみ  b. (1)(2)のみ  c. (2)(3)のみ  d. (4)のみ  e. (1)〜(4)の全て

<解答>e 2003卒試36番と同一問題(選択肢の順番が変わっているだけ)


37.心筋虚血に関する以下の記述のうち、正しい記述の組み合わせを選びなさい。
1) 心筋虚血は、心筋酸素需要量と酸素供給量の不均衡によって生じる
2) 心筋虚血が生じていても、患者がそれを自覚しない「無症候性心筋虚血」は、高齢者・糖尿病患者・心筋梗塞の既往のある患者・冠動脈バイパス術を受けた患者などに生じる。
3) 冠動脈循環量を減少させる因子として、冠動脈硬化による器質的狭窄と冠動脈攣縮による機能的狭窄がある
4) 心筋が虚血に陥ってなくても心筋収縮力が低下している病態があり、「気絶心筋stunned myocardium」や「冬眠心筋hibernating myocardium」などの病態がよく知られている
a134 b12 c 23 d4 eすべて

<解答> e 2003年度卒業試験38番に類題あり。毎回の卒試・概説でも同じような出題あり。


38.狭心症の病型について正しい記述の組み合わせはどれか?
(1) 発生状況により「安静狭心症」と「労作狭心症」に分類され、前者は主として冠動脈攣縮が、後者は主として器質的冠狭窄が関与しているが、実際にはこの両因子が種々の程度に混在する場合が多い。
(2) 「不安定狭心症」の基本的な考え方は、狭心症患者のうち心筋梗塞に移行しやすい危険な状態の患者の早期診断・加療のために設けられた病型である。
(3) 急性心筋梗塞後におきる「梗塞後狭心症」は、心筋がまだ生存していることを示し、予後不良のサインである。
(4) 「異型狭心症」とは、心電図上一過性のST上昇(貫壁性心筋虚血)を認める狭心症のことで冠動脈攣縮が原因となっているが、わが国では頻度の多い狭心症である。
a.(1)(3)(4) b.(1)(2) c.(2)(3) d.(4)のみ e.(1)〜(4)全て

<解答>e 1)○ (2)○ (3)○心筋梗塞を再発しやすい (4)○ 


40.狭心症の治療に関する以下の記述のうち、正しい記述の組み合わせはどれか。
1) 基本的には、薬物治療・冠動脈インターベンション・冠動脈バイパス術の3つがある。
2) 薬物療法では、冠動脈拡張作用・攣縮防止作用を有するカルシウム拮抗薬、心筋の酸素需要量をさげるβ遮断薬、血管拡張作用を有する硝酸薬などが主として使われる。
3) 冠動脈インターベンションに関しては、冠動脈形成術後に30〜40%の症例に生じる再狭窄が問題であったが、ステントの登場によりその発生率が半減した。
4) 冠動脈バイパス術の絶対的な適応になる場合には、左冠動脈主幹部病変や2枝完全閉塞の残りの1枝有意狭窄病変などが挙げられる。
a.(1)(3)(4) b.(1)(2) c.(2)(3) d.(4) e.(1)~(4)すべて

<解答>e


41.狭心症の治療方針に関する以下の記述のうち、正しい記述の組み合わせはどれか?
1) 不安定狭心症の治療の基本は入院安静である。
2) 薬物治療抵抗性の場合は、緊急冠動脈造影を行い、冠動脈病変を確認してから次の方針を立てる。
3) 狭心症の好発時間帯をよく把握して投薬(投薬時間の設定・薬剤の作用持続時間などの点に関する考慮)を行う。
4) 冠動脈バイパス術は、可能な限り狭心症が安定化してから行う方が成績がよい。
a.1),3),4) b.1),2) c.2),3) d.4)のみ e.1)〜4)すべて

<解答>e
(1)基本はとにかく安静、そしてすぐに診断治療。心筋梗塞に移行する可能性が高いので。


42.虚血性心疾患について正しい組み合わせはどれか。
1) 冠危険因子として最も重要なのは高コレステロール血症である。疫学研究により血清コレステロール値が高いほど虚血性心疾患の発生率が高くなることが明らかにされている。
2) コレステロール低下療法によって虚血性心疾患の発生率が低下することは証明されている。
3) 虚血発作の発生頻度の日内変動(例:昼間起こりやすい。夜間に起きやすい。)は認めない。
4) 生活様式の欧米化の伴って、本邦の虚血性心疾患発生率は欧米と同等になった。
5) 冠動脈攣縮(スパスム)が心筋梗塞の原因になることがある。

a.(1)(2)(3) b.(1)(2)(5) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(4) e.(3)(4)(5)

<解答>b (1)○ (2)○ (3)×冠攣縮性狭心症のほとんどは明け方に発症する 
(4)×具体的な数字はわかりませんでしたが、米国の方が多いとの記載はありました。(5)○


45.急性心筋梗塞について正しい記述の組み合わせを選べ。
(1)心筋梗塞発症早期(6時間以内)の死亡率は高い。その主たる原因はポンプ機能不全であり、不整脈の発症頻度は少ない。
(2)発症早期(6時間以内)には冠動脈閉塞部位を再疎通させる再還流療法が予後の改善に有効である
(3)Forresterの血行動態分類は心機能の評価と治療の選択に有用である。
(4)二次予防(再梗塞防止)にはβ遮断薬やACE阻害薬が選択される。これらの薬剤が有効な機序として心室拡大(心再構築:Remodeling)
の防止が注目されている。
(5)重症の1枝病変の場合、内科治療だけでは予後が悪いので、冠動脈形成術あるいは冠動脈バイパス術のよい適応となる。
a.(1)(2)(3) b.(1)(2)(5) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(4) e.(3)(4)(5)

<解答>d
(1)×不整脈の発生頻度は高い(2,3日で90%以上発症)しかし、不整脈による死亡は少ない 
(2)○Golden timeは六時間。再潅流法にはPTCAと血管溶解法がある。(3)○ 
(4)○ACE阻害薬にはりモデリング抑制作用があり、その作用はβ遮断薬と相加的である。 
(5)×一枝病変はCABGの適応ではない


46. 人工心肺の回路で基本的な構成要素として正しいものの組み合わせを選べ
(1) 人工肺 (2) 熱交換器 (3)ポンプ (4)脱血カニューレ
a. 134のみ b. 12のみ c. 23のみ d. 4のみ e. 1〜4のすべて

<解答>e
人工心肺の基本的な構成要素としては人工肺、熱交換器、ポンプ、脱血カニューレ、フィルターetc.


49. 大動脈弁置換、僧帽弁置換術後の患者。次のX線写真に対する説明で正しいのはどれか?
1) aの写真は正面像である。 2) bの写真は右前斜位像である。
3) cの写真は左前斜位像である。 4) dの写真は側面像である。
正しいのを3つ選ぶ。

<解答>写真がないので答えはわかりません。右前斜位像右の胸をフィルムに近づけ45度傾けて撮った写真。右室流出路と左房を見るのに便利。左前斜位像は左の胸をフィルムに近づけて60度傾けて撮った写真。すべての心室と心房が写る。


51.図に示す患者の人工ペースメーカーとして考えられる組み合わせを選べ
(1)VVI (2)VVD (3)AAI (4)DDD (5)DDDR
a(1)(2)(3) b(1)(2)(5) c(1)(4)(5) d(2)(3)(4) e(3)(4)(5)

<解答>図がないので答えはわかりません。
ペースメーカーの種類を表すアルファベットには下記の意味がある
項目 刺激部位 感知部位 反応様式 機能 抗頻拍
文字 O:なし O:なし O:なし O:なし O:なし
A:心房 A:心房 T:同期 P:プログラム可能 P:抗心拍
V:心室 V:心室 I:抑制 M:プログラム可能 S:電気ショック
D:A+V D:A+V D:T+I C:交信可能
R:心拍応答 D:P+S
※ 機能:Pは心拍数と出力のみMは三種類以上
例えば、AAIは右房(A)を刺激すると同時に右房(A)にセンサーを置き自己のP波を感知する。すると心拍を抑制(I)する。
〜疾患とペーシング法の選択〜
 @:房室ブロック;洞機能が正常ならDDD、不全ならDDD(R)またはVVI(R)
 A:洞機能不症候群;房室伝導が正常ならAAI(R)、異常ならDDD(R)またはVVI(R)
 B:@Aと心房細動の合併;VVI(R)


52.IABP(大動脈内バルーンポンピング)において2対1で補助循環を行っている。バルーン先端の圧センサーにて圧変化を測定したところ、図のようになった。正しいものはどれか。(問題自体少しあやふやです。)

1)Aはバルーンの拡張期間である。
2)Bは心筋内圧であり、これとDの差が冠動脈環流圧になる。
3)Eが低くなっているのは、バルーンが収縮したからである。
4)FがCより低くなっているのは心機能が低下しているからである。
a.(1)(2)(3)のみ b.(1)(2)のみ c.(2)(3)のみ d.(4)のみ e.(1)〜(4)の全て


<解答>よくわかりません。すみません。IABPは大動脈内に挿入されたバルーンが収縮と拡張を繰り返すことにより、心機能の改善をはかる補助循環装置である。左室拡張期にバルーンを膨張させることにより拡張期動脈圧を上昇させ、その結果冠血流量は増加する(diastolic augumentation)。左室収縮期には急速にバルーンを収縮させ、駆出抵抗を減少させることにより左室後負荷は減少し心筋酸素消費量は減少する(systolic unloading)。
(1) ○大動脈圧の上昇があるのでバルーン拡張期である (2)○ (3)○ (4)多分×心機能低下というより、バルーンの収縮による大動脈収縮期圧の減少であろう。


53 大動脈内バルーンパンピング(IABP)の適応について正しいものを選べ
(1)高度の大動脈弁閉鎖不全を有する症例には禁忌である。
(2)成人には100cc、小児には20ccのバルーンを使う。
(3)大動脈解離に対しては禁忌である。
(4)不安定狭心症に対しては有効である。
a 1,3,4 b1,2 c2,3 d,4 e1〜4の全て

<解答>a
(2)これのみ×。使用するバルーンは30〜40ml。IABPの禁忌は重症僧帽弁閉鎖不全、高度の動脈硬化や大動脈瘤が存在する症例、心臓以外に重篤な疾患がある症例、うっ血性心不全の末期例、不可逆性の脳血管障害


54.開胸術後の検査値で早急な対応が必要なものは以下のうちどれか。
1) BUN 60   2) クレアチニン 3.5 3) ナトリウム 139 4) カリウム 6.8
a134 b23 c4 d全て

<解答>c (1)(2)は確かに高値だが早急な対応が必要ではない。
(4)高K血症は心停止になるので早急な対応が必要


55.心臓外科手術の周術期管理について正しいものの組み合わせを選べ。
1) ペニシリンに感受性のある連鎖球菌による感染性心内膜炎の患者。ドパミン15γ/kg/minを必要とする肺水腫を伴う高度のうっ血性心不全(大動脈弁逆流4度)を有する。WBC13000/mm2で39℃の発熱があったため、手術を延期した。
2) 術前検査で咽頭よりペニシリン耐性黄色ブドウ球菌が検出された軽度心不全を持つ弁置換予定患者。手術を延期した。
3) 忘れました。(正しかったと思います)
4) 高脂血症、高血圧でヘビースモーカーの82才男性。冠動脈バイパス術後2日目、39℃の発熱を来たした。もっとも考えられるのは、免疫力低下によるウイルス感染である。
a.1)3)4),b.1)2),c.2)3),d.4),e.1)?4)のすべて

答え C((3)が正しいとすればですが…)
1)× 感染性心内膜炎(IE)は手術適応があると判断されれば血行動態がかなり悪化してからでは成績が悪くなるので感染が十分にコントロールされていない急性期であっても手術を躊躇するべきではない。
IEの外科治療の適応は@内科治療でコントロールできない心不全、感染A弁の破壊高度、弁輪部膿瘍B人口弁心内膜炎C塞栓症
2)○ 抗生剤投与によりMRSAが陰性化した後に手術を施行する。
4)×? 肺炎が原因ではないかと…。術後24h〜72hの発熱は肺炎(多分細菌性?)、カテーテルに関連するsepsis,誤嚥性肺炎が一般的な原因であることが多い。


56.僧帽弁疾患について正しいものを二つ選べ。
a. MRの原因の大部分はリウマチ熱である
b. MSの原因は不明なものが多い
c. 大動脈弁僧帽弁は解剖学的に連続性がないので僧帽弁置換術では大動脈弁損傷に気をつける必要はない
d. MRでは左帽内圧波形でV波が増強している
e.MSの外科治療では人工弁を使用しないこともある

答え d e
a× 近年リウマチ性は激減し非リウマチ性の検索断裂によるものが増えている。
b× ほとんどがリウマチ熱の後遺症  C× 大動脈弁と僧帽弁は線維性組織で連続がある。 d○  
e○ 外科治療としては、PTMC、直視下交連切開術、僧帽弁置換術がある。


57.大動脈疾患について正しいのを選べ
1) ASの手術適応に大動脈弁を介した圧格差は重要な因子とならない。
2) 重度のARによる心不全の治療にIABPは有効である。
3) ASで症状のあるものに突然死は少ない。
4) ARは解離性大動脈瘤に合併することがある。
5) 大動脈弁置換術では成人でも弁輪拡大しないといけないことがある。
a. (1, 2)  b. (1, 5) c. (2, 3) d. (3, 4) e. (4, 5)

答え e
1)× ASの外科適応としては@LV-Aoの圧較差≧50mmHgA弁口面積≦0.75cm2B狭心痛、失神発作、左心不全(NYHAV以上)        2)× 中等度以上のARに対しては、IABPは禁忌。
3)× 死因の半数以上はうっ血性心不全であるが突然死も10〜20%程度あると言われている。
4)○  5)○? 2003年1/16の講義プリントによるとARの手術の項目に@人工弁置換術A狭小弁輪拡大術を必要とする弁置換術BAAEに対するBentall手術とあるので○ではないでしょうか?

58.左心補助装置について正しい組み合わせを選べ。
1) 現在永久的な補助装置が使用されている
2) 左房脱血よりも左心脱血の方が予後がよい
3) 死因は心移植後の合併症が最も多い
4) ワーファリンや抗血小板薬による抗血栓療法は必要である
a1,3,4のみ b2のみ c23のみ d34のみ e全て正しい

答え b(?)
1)×? 現在VASの適応症例は@心原性ショックなどでIABP或いはPCPSを含む内科的治療にも関わらず急性重症心不全を離脱せず長期の循環補助により救命が期待できる症例A慢性心不全の急性増悪例では、急速に心不全が増悪し循環補助を行うことにより状態の状態の改善が期待できる症例、心臓移植適応症例(ブリッジ使用)などである。現在までの最高は1090日らしいのでたぶん永久的ではないのではないかと思います。
2)○? 国立循環器病センターの場合では、VASの国循型において左室脱血例と、左房脱血例で累積補助期間を検討すると、平均補助期間は165日から485日へと3倍に延長したという事です。また初期は左房脱血を採用していたが、1999年からは左室脱血を採用しているそうです。
また体内埋め込み型のLVADも左室脱血方式である。
3)×? 合併症としては感染と血栓形成が挙げられる。国立循環器病センターの場合では、VAS適応例の死亡原因ととしては感染症や出血性梗塞を含む脳梗塞、脳出血が主であるみたいです。
4)? PT-INRが3〜4前後になるようにワーファリンを投与するみたいですが、抗血小板薬が必要かどうかは分かりませんでした。


59.心臓移植について誤っている記述の組み合わせはどれか。
(1)心保存時間の許容時間は8時間以内である。
(2)急性拒絶反応を見るには血清中のCPK-MGが良い。
(3)心移植後に経過が順調であっても社会復帰は難しい。
(4)慢性期における閉塞性冠動脈閉塞病変は動脈硬化によるものである。
a.(1)(3)(4)のみ b.(2)のみ c.(2)(3) d.(1)?(4)の全て
(2002年 59番と同じ)

答え e
1、× 4時間以内である。 2、× 急性拒絶反応の診断は心内膜心筋生検法による組織学的診断が最も信頼性が高い。  3、× 移植後1年以上生存した患者の社会復帰率は70%である。  4、× 慢性拒絶反応によるものと考えられている。


60.冠動脈バイパス手術(CABG)の手術適応で正しいものを選べ。
1) 急性心筋梗塞の超急性期は、CABGよりもPCI(percutaneous coronary intervention)が適応となる。
2) 左冠動脈主幹部病変はCABGの絶対的適応である。
3) 心筋梗塞の既往のある狭心症は一般的にCABGの適応はない。
4) 重症多枝病変ほどCABGのよい適応である。
5) 80歳以上の症例はCABG適応とならない。
a(124) b(135) c(234) d(245) e(全て)

1)○ 2)○ 3)×? 4)○ 5)×? CABGの年齢分布は高齢者が年々増加しており、2001年では80歳代以上が5.4%、70歳代以上が42.5%を占める。2003年度卒試問い62に「80歳以上の症例でも暦年齢より肉体年齢にてCABGの適応を考慮する。」という選択肢があることからこれを言いたかったのではないでしょうか?


61. 冠動脈バイパス手術成績、手術手技について正しいものを選べ。
1) 早期開存率も、遠隔期開存率も、静脈グラフトより動脈グラフトの方が成績がよい。
2) 最近のわが国における初回待機CABG手術の病院内死亡率は全国平均で2%以下である。
3) OPCAB(pff-pump CABG) は体外循環を使用しない心拍動下バイパス術で、最近増加傾向にある。
4) 多枝バイパス術においては、内胸グラフト1本のみの使用より、両側内胸動脈グラフトを使用したほうが遠隔期生存率において優れている。
5) 冠動脈バイパス手術では、緊急手術も待機手術もほぼ同じリスクで手術可能である。
a. (1)(2)(3) b. (2)(3)(4) c. (1)(3)(4)(5) d. (1)(2)(3)(4) e. すべて

答え aまたはd
1)○ saphenous veinグラフトの早期開存率は85〜95%、10年後の開存率は50〜60%。
これに対しITA(内胸動脈)は10年開存率でも90%以上であり、ITAの使用が急速に拡大してきている。
2)○ 日本冠動脈外科学会による全国集計資料(1998年)によると院内死亡 初回待機的CABG:1.94%     3)○
4)○? 1999年にcleveland clinicからそういう報告はでていますが反対意見もあるみたいです。   5)× 初回待機手術の死亡率が1.33%、再手術待機手術では2.87%、初回緊急手術では9.39%、再手術緊急手術では22.22%(2001年度)であり、緊急性、再手術が手術成績に大きく影響している。


63.正しいものを選べ。
1) 心室中隔欠損閉鎖術でヒス束を傷つけると完全房室ブロックになる。
2) 姑息手術というのは根治手術ができない症例に行い、延命を目的としたものである。
3) 出生後、肺血管抵抗は時間とともに増加する。
4) Eisenmenger化したASDはなるべく早期の手術をする。
5) 完全型ECDの左室造影でgoose neck signをみる。
 a. (1, 2) b. (1, 5) c. (2, 3) d. (3, 4) e. (4, 5)

解答: b?
1)○ 2)×? 姑息手術は症状の軽減や根治手術のための準備的な目的で行う事もある。 3) 出生後肺呼吸が始まり、肺血管抵抗は急速に低下する。 4) × Eisenmenger化したものは手術適応なし。5)○


64. 正しい選択肢を選べ。
1)大動脈弁逸脱症に合併する心室中隔欠損症は欠損孔が小さくても早期に閉鎖すべきである
2) 大動脈離断症で動脈管開存症を合併するとき、できるだけ早期に閉鎖するのが良い。
3) 新生児の動脈管開存を閉鎖させたいときはPGE1を使用する。
4) 大動脈縮窄症の外科形成手術として、Subclavian flap法がある。
5) ?
a) 123 b) 125 c) 145 d) 234 e) 345

答え C?
1)○ 2)× 体循環が動脈管に依存する血行動態で生命維持に動脈管開存が必須である。PGによる動脈管開存を図ると同時に緊急手術を必要とする。 3)× PGは閉鎖を抑制する。インドメタシンを投与する。 4)○


65. 正しい文章の組み合わせを選べ。
1) 心房中隔欠損症では、自然縮小、自然閉鎖がしばしば認められる。
2) 大動脈縮窄症の特徴とされる rib notching は、新生児期に見られることはない。
3) 完全型心内膜床欠損症と部分型(不完全型)心内膜床欠損症との違いは、心室中隔欠損の有無である。
4) 心室中隔欠損の児が重症の心不全となっていても、乳児の手術は非常に危険なため1才まで待ったほうがよい。
a.(1)(3)(4) b.(1)(2) c.(2)(3) d.(4) e.(1)-(4)

答え C
1)× 自然閉鎖率は低い。一方VSDは高率に自然閉鎖する。 2)○ 新生時期には見られず、年長(6〜8歳以上)になると見られる。  3)○ 4)× 乳児期に内科的治療に反応しない重症心不全例は直ちに手術を行う。


66.通常チアノーゼを伴うのは?
1) ファロー四徴症   2)大血管転位症 3)VSD 4) ECD
5)高度肺動脈狭窄を伴う両大血管右室起始症

答え 1)○ 2)○ 3)× 4)× 5)○


67.Differential cyanosisを呈することのある疾患の組み合わせを選べ。
1) ファロー四徴症 2)大動脈離断症 3)大動脈縮窄症
4)三尖弁閉鎖症 5)完全型心内膜床欠損症
a(1,2) b(1,5) c(2,3) d(3,4) e(4,5)

【解答】c  ※過去問に同じ問題ありました。


68.Blalock-taussig shuntの適応となりうる疾患はどれか。
(1)純型肺動脈閉鎖 (2)肺動脈狭窄を伴う三尖弁閉鎖症
(3)心房中隔欠損症 (4)心室中隔欠損症 (5)総動脈幹症
a.(1)(2) b.(1)(5) c.(2)(3) d.(3)(4) e.(4)(5)

<解答>b     B-Tシャント術は鎖骨下動脈と肺動脈を吻合し、肺血流増加を目的とする術式。


69.正しい組み合わせを選べ
1)大動脈縮窄症 ? Subclavian flap aortoplasty
2)大血管転位症 ? Jatene手術
3)左心低形成症候群 ? Norwood stageI
4)単心室症 ? TCPC
5)肺動脈閉鎖を伴うTOF ? Rastelli手術
a. (1,2,3) b. (1,2) c. (2,3) d.(4のみ) e.全て

<解答>a。   単心室症にはFontan手術を行う。5)のRastelli手術はTGAに対する術式


70.次のシェーマを見て、該当する先天性心疾患を選択せよ。
右室腔内に転移した三尖弁中隔尖・後尖、右房化右室、機能的右室などの説明とともに図がありました。(図略)
a) 大血管転位症 b)総肺静脈還流異常症
c)三尖弁閉鎖 d)Ebstein奇形 e) Fallot四徴症

<解答>d        説明は全てd)に関する特徴的なキーワード


72. 自覚症状のない活動的な75歳男性のCT写真を示す。正しいものを2つ選べ。
(画像:胸部造影CT。大動脈弓部に胸部大動脈瘤あり。)
1.遠位弓部の大動脈瘤である。 2.手術を選択した方がよい。
3.瘤内ステントグラフトの良い適応である。 4.B型大動脈脈解離である
5.内科的な治療を選択した方がよい。
a)12 b)15 c)23 d)34 e)45

<解答>aかc 胸部大動脈瘤なので2は○で4,5は×。


74.胎児循環の特徴として誤っているのはどれか選べ。
(1)肺血管抵抗は出生直後10倍に変化する。
(2)胎生期には心奇形の存在により状態は悪化しない。
(3)心臓の予備能は十分である。
(4)両心拍出量の40%が胎盤に流れる。
(5)卵円孔・動脈管・静脈管が重要な役割を持つ。
a,(1)(2)(3) b.(1)(2)(5) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(4) e.(3)(4)(5)

<解答>a 2003年卒試74・2003年概説74・2002年卒試82・2002年概説92を参照


75.先天性心疾患の疫学について正しいのはどれか?(3つ選ぶ)
1)18トリソミーは約50%に心疾患を合併する。
2)先天性心疾患の発生率は約5.0%である。
3)先天性心疾患と関連の深い遺伝子病としてWilliams症候群がある。
4)Marfan症候群はfibrillin遺伝子の異常により生じる。
5)21トリソミーで高頻度に合併する先天性心疾患は完全心内膜欠損症である。

<解答>3)4)5) 3)Williams症候群では弁上部大動脈狭窄症を起こす。4),5)は文章の通り。
2)に関しては5%ではなくて約1%なので×


76.次の文章について誤りはどれか.
(1) 純型肺動脈閉鎖症はBAS (Baloon atrial septostomy)を必要とすることがある.
(2) 総肺静脈還流異常症は通常新生児期に発症する.
(3) 完全大血管転位症?型は新生児期を比較的無症状で経過する.
(4) 肺動脈血流のための動脈管開存維持にはインドメタシンが有効である.
(5) 心房中隔欠損症で肺高血圧を合併することが多い.
a.(1)(2)(3) b.(1)(2)(5) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(4) e.(3)(4)(5)

<解答>e 2003年度の76問目に同じ


77.次の先天性心疾患の中で肺血流が増加し、チアノーゼが見られないものを選べ。
1) 心房中隔欠損症       2)完全大血管転位症 3)三尖弁閉鎖症
4)心室中隔欠損症 5)動脈管開存症
a.(1)(2)(3) b.(1)(2)(5) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(5) e.(3)(4)(5)

<解答>c         2002概説、卒試参照。1)4)5)でチアノーゼはおきない。


78.先天性心疾患の病態・管理について正しい記述の組み合わせをa.〜e.から選択せよ。
1) 肺動脈弁狭窄症では外科的弁切開術が治療の第一選択である。
2) 心房中隔欠損症では10歳代前半での手術が望ましい。
3) 心室中隔欠損症で大動脈弁閉鎖不全合併の頻度が高いのは漏斗部欠損である。
4) 動脈管開存症は原則的に全例手術適応である。
5) 圧格差50mmHg以上の大動脈弁狭窄症では突然死の危険性がある。
a.123 b.125 c.145 d.234 e.345

<解答>e.  1は経皮的バルーン肺動脈弁形成術が第一選択なので×。


79. 在胎38週2日で経膣分娩にて出生。出生体重3200グラム。Apgarスコアは1分6点、5分8点であった。出生直後よりチアノーゼをきたし、酸素投与にて改善を認めなかったため、生後12時間に搬送されてきた。活気がなく全身状態は不良。全身チアノーゼ(経皮酸素飽和度60%)。心拍数170〜180/分。呼吸数70〜80/分。呼吸は浅く速いが陥凹は目立たず、呼吸音も異常なし。心音はT音正常、U音は単一で肺動脈成分の減弱を認める。胸骨左縁第2肋間にわずかに連続性雑音を聴取する。肝脾腫はない。 この患者でみられる所見はどれか?

(1)肺血管陰影の減弱 (2)胸水貯留 (3)ばち指
(4)心電図にて右室肥大 (5)木靴心
a.(1)(2)(3) b.(1)(2)(5) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(4) e.(3)(4)(5)

<解答>c 酸素投与でチアノーゼ改善なかった事から、チアノーゼ(+)の先天性心疾患を考える。単一U音でUp減弱と出生直後のチアノーゼ(TOFのみでは出生直後にチアノーゼは示さない)からTOFに肺動脈閉鎖が合併した病態ではないか?(以前の極型Fallot四徴症)


80.正しい組み合わせを選べ。
 (1)甲状腺機能低下症・・・心房細動、高心拍出性心不全
 (2)心アミロイドーシス・・・房室ブロック
 (3)ベーチェット病・・・動脈瘤
 (4)Duchenne型筋ジストロフィー・・・拡張型心筋症
 (5)特発性好酸球増多症・・・肥大型心筋症
a.(1)(2)(3) b.(1)(2)(5) c.(1)(4)(5) d.(2)(3)(4) e.(3)(4)(5)

<解答>d  1)×低下→亢進 

82.次の心電図のうち、カテーテルアブレーションの適応の可能性がないと考えられるものをひとつ選べ(2003年卒試 問82 と同じ)



<解答>   c  
カテーテル・アブレーションの適応は、WPW症候群・房室結節回帰性頻拍・心房粗動・( 特発性 )心室頻拍・脚枝間回帰性頻拍である。
○ a. δ波の存在によるQRS時間延長がみられる。→WPW症候群
○ b. RR間隔は狭く頻脈性の不整脈である。QRS波形は正常であることから心室頻拍とは異なる。P波はQRS波に埋もれていることから心房と心室の興奮がほぼ同時に起こっていることが考えられる。→房室結節回帰性頻拍か
× c. やや冠状に見えるP波は、その間隔を見てみると一定。(3番めのP波は2番めのQRS波に重なって見えない。)一方RR間隔も一定である。P波とQRS波がお互い無関係に自らの調律をとり房室解離の状態である。→完全房室ブロック
○ d. 変形したQRS波が規則的に存在しRR間隔は狭く頻脈性の不整脈である。P波はQRS波に埋もれて存在すると考えられる。→心室頻拍
○ e. 鋸歯状のF波が存在し、3:1伝導(一部5:1)でQRS波形は正常である。→心房粗動

83.虚血性疾患についての正しい記述を選べ
1) 関連する疾患として、急性心筋梗塞、狭心症、急性心臓死、高血圧性心臓病がある。
2) 急性冠動脈症候群の発生要因には、冠動脈内血栓形成が重要である。
3) 粥状破綻の機序は不明であるが、被膜の薄さ、脂質の量、浸潤マクロファージによる基質の破綻が関与していると考えられている。
4) 奇異性心筋梗塞の発生には、側副血行路の発達が関与している。
5) 合併症として、不整脈、心源性ショック、自己免疫性心筋炎、心室瘤などがある。
a.(1)(2) b.(1)(5) c.(2)(3) d.(3)(4) e.(4)(5)

<解答>c 2003年卒試83と同じ
(1)× 基礎疾患としては高血圧・高脂血症・糖尿病が有名。その他、肥満・喫煙なども発症に関与。
(2)○ 急性冠動脈症候群の発生要因となるのは、不安定プラークの破綻とそれに続く血栓形成。
(4)×?奇異性心筋梗塞を、冠動脈閉塞の主因が冠動脈の粥状硬化でなく冠攣縮に基づく梗塞ととらえるならば、冠動脈閉塞は緩徐ではなく側副血行路の発達は見られない。
(5)× 不整脈・心源性ショック・心室瘤は起こる。その他、心室細動・心不全・心室中隔穿孔など。自己免疫性心筋炎は起こらない


85.心内膜炎について以下の記述で正しいのはどれか。
1)ループス心内膜炎の疣贅は、閉鎖縁に沿って形成されるのが特徴的でverrucous endocarditisとも呼称される。
2)細菌性心内膜炎は、しばしば弁の破壊、同部の血栓形成を伴い、高度な弁膜の機能障害の原因となる。
3)非細菌性血栓性心内膜炎(NBTE)は、悪液質に陥った癌患者に多発し、血栓性塞栓症の原因となる。
4)NBTEは、右心系に好発し左心系に起こることは稀である。
5)リウマチ性心内膜炎による弁膜症は、抗生剤による治療が進歩した現在では殆ど見られなくなっている。
 a.(1)(2) b.(2)(3) c.(3)(4) d.(4)(5) e.(1)(2)(3)

<解答>b 2003年卒試 問85と同じ
(1)× SLEではatypical verrucous endocarditisが生じる。僧帽弁に多く、弁膜閉鎖縁や表面、弁膜付着部の裏面に結節状あるいは桑実状の白色の疣贅が不規則・散在性に認められる。
(3)○ その通り。悪性腫瘍、外傷、局所乱流、循環血液中の免疫複合体、脈管炎、および凝固能亢進状態に反応して心臓の弁および隣接する心内膜に無菌性の血小板やフィブリン血栓が形成されるのがNBTEである。 (4)× 右心系に好発するのは細菌性心内膜炎である。
(5)× リウマチ熱の減少とともに減ってきたが殆ど見られないとは依然言えず注意を払う必要がある


86.次の血管炎のうち大動脈に好発するものはどれか?
1)閉塞性血栓性動脈炎          2)巨細胞性動脈炎
3)高安動脈炎                  4)梅毒性血管炎             5)川崎病
(選択肢)a 1)2) b 1 )5) c 2)3) d 3)4) e 4)5)

<解答>c           2003年卒試86と同じ
(1)× 末梢に発生。      (2)○ 大型血管に起こる血管炎であり,大動脈瘤などを起こす。
(3)○ 大血管に起こる。    (4)× 中型,小型動脈におこる。
(5)× 冠動脈,腋窩動脈,腸骨動脈などにおこる。


87. Moenckeberg型動脈硬化に見られる血管病変はどれか?ひとつ選べ。
a. 中膜石灰化所見 b.閉塞性動脈硬化 c.硝子化細動脈硬化
d. 閉塞性血栓性動脈硬化 e.細動脈壊死

<解答> a)2003年卒試87と同じ
動脈硬化には、メンケベルグ型動脈硬化・細動脈硬化・粥状硬化の3種類があり、メンケベルグ型動脈硬化は太い動脈に生じて中膜の石灰沈着が特徴である。細動脈硬化は直径0.1mm以下の細い動脈に生じ脳や腎臓で問題となり高血圧との関連が重視されている。粥状硬化は内膜に限局性の病変(粥腫atheroma)を作り虚血性心疾患の引き金としてこの3種の中で臨床上最も重要視されている。


問88.動脈硬化で見られる内膜平滑筋細胞の増殖に関係する因子はどれか。
  a. PDGF b. VEGF c. IL-1 d. TNF-α e. INF-α

<解答> a 2003年 卒業試験 88と同じ
何らかの原因で血管内皮細胞が障害されると血小板の凝集が起こり、血小板由来増殖因子(PDGF)を分泌する。この働きにより平滑筋細胞の内膜への遊走と増殖が促され、粥腫形成の一端を担うことになる。

89.25歳女性。左手指爪下の痛みを伴う血管性病変を一つ選べ。
a . Angiosarcoma                b . capillary hemangioma
c . glomus tumor          d . cystic hygroma        e . Kaposi's sarcoma
<解答> c. 2003年卒試89と同じ
glomus tumor:グロムス腫瘍。真皮深層の循環末梢部の最終器官であるneuromyoaterial glomusに由来する良性腫瘍で、単発症と多発性のものがある。各年齢層に生じ、女性に多い。皮膚、上肢、指、特に爪下に後発するが、胃・十二指腸、鼻腔などにも発生する。1cm内外の小腫瘍で紫青〜赤色、弾性軟で、自発痛や寒冷・接触により激しい発作性の疼痛を伴うが、多発例では痛みは少ない。

90 .40歳男性。左心不全で死亡した剖検例。肉眼的に左心房壁より発生した、5cmの腫瘤状病変を認め、組織学的には粘液状ないし線維性間質に富む病変で血管と星芒状細胞の増生が目立った。本症例の診断を1つ選べ
a. lipoma                b. myxoma             c. rhabdomyoma
d. solitary fibroma        e. mesothelioma

<解答>b. 2003年卒試90と同じ
myxoma:粘液腫。心臓の良性腫瘍。その75%は左房に発生。男女比1:3.好発年齢30〜60歳代。


92 . 82歳男性。1年ほど前より300〜400mの歩行で右下腿に疼痛が生じるようになった。4-5分休息することにより再び同様な距離を 歩くことができる。最近になり、休まずに歩くことができる距離が 短くなり、100mの歩行で疼痛を自覚するようになった。尚、 3年前にも左下肢でも同様な症状が出現し、手術が施行されている。 図表:患者の下肢動脈血管造影。
この症例について正しいものを選べ。
1) 閉塞性血栓性血管炎(Buerger病)を疑う。
2) 右側は浅大腿動脈が閉塞しており、左側は大腿-膝窩動脈バイパス術が 施行されている。また、開存している動脈には虫食い像が見られる。
3) 高齢であっても跛行距離が短く日常生活に支障があれば手術適応がある。
4) 最近はステント治療などの血管内治療が発達しているので、この症例に ついても血管内治療で十分な長期成績を期待できる。
5) 術後に症状の改善が得られれば、術後の薬物療法の必要はない。
選択肢 a.1)2) b.1)5) c.2)3) d.3)4) e.4)5)

<解答>C?


93.腹部に拍動性腫瘤あり、CTにて、動脈瘤の所見。この症例について正しいもの三つ選べ。
a) 腹痛を伴うことが多い
b) 動脈瘤から腎動脈が出ている
c) 5cm以上だから無症状でも手術適応となる
d) ステントを用いて治療する
e) 下腸間膜動脈の再建を伴うことは少ない

<解答> b、c、e
a)×原則破裂するまでは無症状。        b)○腎動脈分岐の下で起こりやすい。
c)○腹部は4cm以上で手術。          d)×人工血管置換。               e)○


94.下肢静脈瘤について、正しいものを選べ。
1) 一次性静脈瘤の原因は、大伏在静脈の弁不全が多い。
2) 一次性静脈瘤で肺梗塞を来たすのはまれである。
3) Trendelenburg testは深部静脈系と穿通枝の開存性、弁不全を確認するための検査である。
4) 静脈エコー検査は術前検査として必須である。
5) 標準手術として伏在静脈を抜去するストリッピング手術が行われるが再発率が高く、再発率の低い硬化療法が一般的になりつつある。
a.12 b.15 c.23 d.34 e.45

<解答> a
1)○ 2)○ 肺梗塞を来たすのが多いのは二次性。  3)×開存性はPerthes検査。4)×。
5)×硬化療法は侵襲は少ないが、再発の危険がある。 


95.深部静脈血栓症について正しいものを選べ。
1) 急性期はびまん性で無痛性の厚い「 ブタの皮様」 の外観を呈する下肢の腫脹をきたす。
2) 深部静脈が再開通すれば、慢性期に下肢の腫脹、うっ血性皮膚炎等をきたす静脈炎症候群は起こらない。
3) 危険因子として、静脈血栓症の既往、下肢の外傷、骨盤内の手術、長期のベッド上安静、急性心筋梗塞、慢性心不全、悪性腫瘍、避妊薬服薬中などがある。
4) 初期治療として、持続的ヘパリン投与を行い、引き続きワーファリンの経口投与を3〜6ヶ月持続する。
5) 多くの症例で肺塞栓予防目的で下大静脈フィルターを挿入する。
a. (1, 2) b. (1, 5) c. (2, 3) d. (3, 4) e. (4, 5)

<解答> d?
1)×疼痛あり 2)×?  3)○ 4)○? 5)×肺塞栓が凝固療法後も再発する場合に使用する。


96.正しくないものをひとつ選べ。
(1) 疫学とは人間集団を対象として人間の健康およびその異常の原因を宿主、病因、環 境の各面から包括的に考究し、その増進と予防を図る学問である。
(2) 観察対象が個人の場合の疫学研究方法には観察研究と介入研究の2つに大別できる。
(3) 研究者がある因子への暴露を人為的に与えたり、取り除いたりすることによって起こってくる事態を記録して比較する方法を介入研究という。
(4) メタアナリシスとは、ひとつの疫学研究から明確な結論が出ない場合に質の高い小規模研究をあわせて評価する統計学的手法である。
(5) 疫学研究の観察対象の単位は個人の場合と集団の場合とがある。いずれの場合も同一人の要因と結果の両測定値が必要である。

<解答>e (2003卒試と同じ)


98.誤っているものを選べ。
1) 84歳を超える超高齢者においても降圧薬治療の心血管病予防効果が確立している。
2) ALLHATでは、降圧利尿薬よりもACE阻害薬がハイリスク高血圧患者の予後を有意に改善させることが証明された。
3) 心筋梗塞の再発予防にHMG-CoA還元酵素阻害薬によるコレステロール低下療法が有効である。
4) ACE阻害薬は心不全患者の予後を改善することが多くの介入試験で明らかにされている。
5) 利尿薬やβ遮断薬を中心とした降圧薬治療の心血管病予防効果は多くの介入試験で示されている。
a. 1,3,4 b. 1,2 c. 3,4 d.4 e.1〜5すべて

<解答> b
1)×生存率の改善は無い上、エビデンス不足 2)× 利尿薬の方が効果が高かった。3)4)○5)○? 


99.正しい組み合わせを選べ。
1) 川崎病は予後の点から心臓病変が最も重要視される。
2) アレルギー性肉芽腫性血管炎は中年女性に好発し、喘息やアレルギー体質が先行して見られる。
3) 高安動脈炎は細小動脈に限局した中・外膜病変を基盤とする。
4) 側頭動脈炎の重大な合併症として腎不全があげられる。
5) 高安動脈炎の重要な合併症は大動脈弁閉鎖不全とそれに引き続く心不全、高血圧や脳血管障害ならびに虚血性心疾患である。
a.123 b.125 c.145 d.234 e.345

<解答>b (2003年97番と同じ)
(1) (2)○ (3)×弾性型動脈 (4) ×合併症としてはリウマチ性多発筋痛症(50%)が多い。 (5)○

101.成人男子について正しい記述の組み合わせを選べ
a.体重の約60%は水分である。        b.新生児より体重あたり水分の占める割合は大きい。
c.一日の最小排泄量は1500mlである。 d.全水分量の約8%が血漿量である。
1. ab 2. bc 3. cd 4. abc 5. acd

<解答> 5
a)○  b)×新生児は80% c)尿以外は含めるのか?選択肢的には○ d)○

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