基礎化学熱力学(師井教官)試験問題
平成13年度前期

Kimland氏提供。

試験時間は90分。試験は基本的に教科書(「熱力学と化学平衡」師井先生著)の章末問題からの出題。講義も教科書中心なので、教科書は絶対に買った方が良いでしょう。先着1名様に私が買った教科書をプレゼントします。kimulandscape@mail.goo.ne.jpまでご連絡ください。


次の4問から3問を選んで解答せよ。


1、 内部エネルギーとは何か。次に、内部エネルギーと熱力学第一法則の関係を説明せよ。(P38、2章章末問題の問1)

(解答)
・ 内部エネルギー
原子・分子の運動エネルギーと、原子・分子の相互作用エネルギーの和である。運動エネルギーには、単原子分子では並進エネルギーと電子エネルギーとが、多原子分子では並進エネルギー、回転エネルギー、振動エネルギーさらに電子エネルギーがある。また、アボガドロ数程度の原子・分子の集団を扱うので、分子間の相互作用エネルギーが存在する。
・ 内部エネルギーと熱力学第一法則との関係
熱力学第一法則を式で表すと、dU=δg+δWとなる。ただし、dUは内部エネルギーの変化、δgは外界からもらった熱、δWは外界からされた仕事である。これはエネルギー移動による系の状態変化を閉鎖系での内部エネルギーの変化で定義し、エネルギー保存則を説明している。


2、可逆変化であるカルノーサイクルにおけるエントロピー変化を、横軸に温度、縦軸にエントロピーを用いて図示せよ。(P57、3章章末問題の問2)

(解答)
P41の図3.2とP143の解答を参照。


3、 純物質が定圧で次のような変化をするとき、気相(温度T)のエントロピーを与える式を示せ。(P52)

     Ttr         Tf        Tb
固相T → 固相U → 液相 → 気相(T)
     転移       融解      蒸発

(解答)
P52の式3.35を参照。

4、 自由度を決める相律の式(f=C−P+2)を導け。ただし、Cは成分の数、Pは相の数とし、且つ成分間に化学平衡は成立せず、成分は非電解質とする。(P78)

(解答)
C−1個のモル分率が分かれば、残る1成分のモル分率も決まる。モル分率が分かれば、示強的変数である化学ポテンシャルも決定される。ゆえに、1つの相を規定するのに必要な示強的変数の数はC+1個(温度、圧力、C−1個の成分のモル分率)である。さらにP相系なので、系全体を規定するのに必要な独立変数の数はP(C+1)となる。ところで、独立変数の数は数学的には変数間の等式の数だけ少なくなる。温度、圧力、化学ポテンシャルのいずれにもP−1個の等式がある。それゆえ、系全体での等式の数は(P−1)(C+2)となるので、全系の示強的変数を規定するのに必要な独立変数の数は変数の数から等式の数を差し引いたものである。
よって、f=P(C+1)−(P−1)(C+2)=C−P+2


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