細菌学 平成15年度本試験

平成15年10月3日実施
解答用紙は問題用紙と共通、B4の裏表1枚。
受験者102中8人不合格。

(表面)
1.1)原核細胞と真核細胞の違いを図示して説明せよ。
2) 1)で述べた違いに基づき、以下の化学療法剤の作用点と選択毒性について、説明せよ。
@)ペニシリン系薬剤

A)マクロライド系薬剤

2.1)バクテリオファージに関する次の語句を簡潔に説明せよ。
@)プラーク
   少量のファージと大量の菌を混ぜて培養するとファージは菌に感染した後、増殖・溶菌というサイクルを繰り返す結果、最初にファージのあったところを中心に溶菌斑を生じる。この溶菌斑のこと。

A)溶原菌とプロファージ
       溶原菌:ファージゲノムを維持しながら分裂・増殖を続ける菌のこと
       プロファージ:溶原菌の中におけるファージのゲノムのこと

B)形質導入
 2つに分類することができる。
  普遍形質導入:特定の遺伝子を導入するとは限らず、菌のどの遺伝子でも導入できる
特殊形質導入:特定の遺伝子ないしは遺伝子群のみを導入する

C)溶原変換
   特定のテンペレートファージによる溶原化によって特定の形質が菌に与えられる現象であり、その形質を支配する遺伝子がファージゲノムの一部としてはじめから存在する。ゆえに、このファージによる感染を受けた菌の100%にその形質が伝えられる。(簡単に言えば、ファージそのもののDNAが入っていくということ。溶原変換の代表的な例は、ジフテリア菌におけるジフテリア毒素、コレラ毒素、O157など。)
 
2)細菌の遺伝に関する次の語句を説明せよ。
@)Fプラスミド
       大腸菌に存在し、大腸菌どうしあるいは大腸菌から他の腸内細菌へ接合により伝達される能力をもつプラスミドのこと
A)形質転換
       細菌や真核生物の性質に生じた遺伝性の変化。菌体から抽出した高分子DNAが直接他の菌体に取り込まれて新しい形質の獲得につながる現象のこと。(培養動物細胞の場合は、通常ウイルスや発癌物質の処理により、癌様の性質を獲得することをいう。)

B)制限酵素と修飾酵素
       制限酵素:細菌などが有するDNAの特定の塩基配列を認識して切断する作用をもつ酵素
       修飾酵素:細菌などが有する自己のDNAが自らの酵素によって分解を受けないための酵素

3.次の細菌をグラム染色した時に顕微鏡で観察される形態と配列の特徴を図示し、グラム陽性か陰性か書きなさい。
(1)化膿レンサ球菌
Gram +
(2)黄色ブドウ球菌
Gram +
(3)淋菌
Gram -
(4)炭疽菌
Gram +
(5)緑膿菌
Gram -

(裏面)
4.以下の細菌の感染源と感染経路を書き、それらを知ることが、感染予防にいかに役立つかを説明しなさい。
1)レジオネラ
    土壌や湖、冷却塔、噴水、給水給湯設備、24時間風呂、加湿器の中などに潜んでおり、エアロゾルなどに含まれ経気道感染をおこす。このため、噴水では風下に行かない、人工温泉には行かない、などが感染予防に役立つ。

2)腸管出血性大腸菌
    ほとんどの牛牧場に存在すると言われている。先進国では特に多い菌である。牛肉や便で汚染された野菜などを経口接取することによって感染する。疑いのある食物は食べないようにすることが感染予防に役立つ。

3)腸炎ビブリオ
    しらす や 石巻き貝などの海産物、魚介類の中にいる好塩性の菌で、NaClがないと増殖できない。食中毒の原因菌であり汚染された魚介類の生食によって感染する。ゆえに魚介類の生食を避けることが感染予防に役立つ。

4)メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
    ブドウ球菌は耐性菌が出現しやすい。MRSAは院内感染が多いとされる。病院において、抗生物質を頻繁に変えることがMRSAの出現を抑えることにつながり、感染予防にも役立つ。

5)結核菌
    結核患者の咳などによって飛散する、飛沫核に含まれる結核菌を吸い込むことによって感染が成立する。(まれには経皮的に、あるいは消化管から感染することもある。)ゆえに結核患者に不用意に近づかないことが感染予防に役立つ。

5,クラミジアの細胞内増殖環について図示して説明せよ。

 戸田新細菌学第32版 p 720 を参照のこと (鹿児島大学の先生が授業で板書なさいました。)

6.次の形態を示す真菌の属名を( )内に書きなさい。


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