細菌学実習レポート 第1回
(無菌操作、グラム染色、手の常在菌と消毒薬の効果)

実施日 平成15年4月8日(火)、11(金)

1. 目的
細菌を取り扱う基本的な手技を習得すると共に、最も基本的な染色法であるグラム染色の方法を学ぶ。また、手に常在菌が存在することを確かめ、消毒前後を比較することによって消毒薬の効果を検証する。

2. 方法
(無菌操作 分離培養)
※必ずガスバーナーをつけておく。
(1)白金耳は使用前にガスバーナーでよく焼く。
(2)菌液の試験管のふたを開け、試験管の口を焼いてから少し冷ました白金耳で菌液をとる。
(3)もう一度試験管の口を焼いてふたをし、白金耳を用いて寒天培地に菌液を塗布する。
※この時、培地を落下細菌になるべくさらさないよう、斜めに持つ。
(4)菌液の塗布は、一度塗り広げ、その一部をとってさらに別の場所に塗り広げる、というように、
少しずつ薄くなるようにする。こうすることにより、いずれかの濃度でうまく分離される。

(グラム染色)
(1)スライドグラスに菌液を塗り、乾燥後、火炎固定する。
(2)よく冷ましてから、Hucker液で2分間染色。
(3)ルゴール液を注いでHucker液を洗い、さらにルゴール液を加えて約2分間放置する。
(4)スライドグラスを傾けてルゴール液をきり、純アルコールで色素が溶け出なくなるまで脱色。
(5)スライドグラスの背に水をかけて洗浄。
(6)サフラニン液で1分ほど後染色し、水洗、乾燥する。

(手の常在菌と消毒薬の効果)
(1)寒天培地を半分に仕切り、消毒前に左手を軽くスタンプする。
(2)消毒後、反対の半分に右手を軽くスタンプする。
(3)培養。
(4)培地上のコロニーを観察し、消毒の効果判定を行う。

3. 結果
(無菌操作 分離培養)
添付のスケッチに示したとおり、分離培養は成功したと言える。肉眼観察のみの所見になるが、コロニーも
同一種のものと見られるものばかりで、無菌操作もうまくいつたと考えてよいと思う。

(グラム染色)
グラム陽性の球菌(ブドウ球菌)とグラム陰性の桿菌(大腸菌)が観察された。(スケッチ参照)

(手の常在菌と消毒薬の効果)
人差し指と小指に多くの常在菌が見られた。消毒後はなぜか菌が増える、という結果が得られた。また、2つのコロニーから菌を採取してそれぞれグラム染色後に観察したが、いずれもグラム陽性の球菌であった。(スケッチ参照)

4. 考察・感想
手の常在菌について。消毒前後で手をかえていることもあって、単純な比較はできない。しかし消毒も、その方法が中途半端であると、手のしわなどに潜り込んでいる細菌を表面に出すだけになるため、消毒の効果が見られないことがあるという。今回の実習でも、消毒の仕方に不備があった可能性がある。

5. 設問
(1) 皮膚の常在菌としてはどのようなものが存在するか。
皮膚の常在菌は顔面、頸部、腋窩、陰部などに特に多い。Staphylococcus epidermidis(表皮ブドウ球菌、グラム陽性球菌)、Micrococcus(ミクロコッカス属、グラム陽性球菌)、などが主なものであるが、真菌のCandida属やPityrosporum属なども存在する。
皮膚1平方センチメートルあたりの菌数は通常10^3〜10^4程度であるが、10^6に達することもある。十分に消毒すれば一時無菌に近くなるが、次第に汗腺などから残存した菌が出現し、元に戻る。

(2) 実際にどのような菌が観察されたか。
グラム陽性球菌。Staphylococcus epidermidis、Micrococcusのようなブドウ球菌属の菌である可能性が高い。

(3) 消毒と滅菌の違いについて。
滅菌はすべての微生物を完全に死滅させるか、または除去することである。
消毒は、対象物中の病原性の微生物を死滅させ、その潜在的感染能力を消滅させることである。

(4) 皮膚に使用される消毒薬にはどのようなものがあるか。
ヘキサクロロフェンなどのフェノール誘導体、クロルヘキシジン(ヒビテン)、アルコール類、第4級アンモニウム塩、両性界面活性剤などがある。

参考文献
戸田新細菌学 改訂32版  南山堂(2002)

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