実施日 平成15年6月20日(金)、7月1日(火)、7日(月)
1. 目的
種々の真菌のcolonyの肉眼的観察を行い、また、顕微鏡下の形態、構造を理解する。
2. 方法
(1) サブロー寒天培地を家の玄関近くに1時間ほど放置し、ふたをしてから1週間ほど培養した。
(2) 形成された真菌をセロテープで少しとり、Lactophenol cotton blueを少量たらしたプレパラートに貼り付けた。
(3) これを顕微鏡下に観察した。
(4) 純培養された種々の真菌を同様の方法で観察した。
3. 結果
レポート末にスケッチと共に記述。
4. 考察
真菌とその病原性について。
真菌は下等真核生物の一つである。最も狭義の古典的定義によれば、真菌は光合成能を欠き、多糖体性の細胞壁を有する下等真核生物から、生殖細胞に鞭毛のあるもの(卵菌類、ツボカビ類など)を除いた集団ということになる。このように定義された真菌には、後述のように接合菌類(接合胞子を形成)、子嚢菌類(子嚢胞子を形成)、担子菌類(担子胞子を形成)、不完全菌類(最後の2者と関係あるが分類不能)の4群が含まれる。
真菌は真核生物である。このことに由来する性質の中で医学的に重要なのは、細胞質のリボソームが80S型(ミトコンドリアのリボソームは70S型)であるために、タンパク合成阻害を起こす抗細菌化学療法剤は真菌には実用上ほとんど無効であることと、膜ステロールの存在と関係して、ステロールを持たない細菌には作用せず、真菌に有効な薬剤が存在することである。
名称 | 分布など | 起こりうる病気 | 備考、その他 | |
深在性真菌症の原因菌 | カンジダ・アルビカンス | 口腔、皮膚などに常在 | カンジダ症の大部分、菌交代症 | 人から人へは伝染しない |
アスペルギルス属 | 生活環境に広く存在 | アスペルスギルス症、菌交代症 | 終末感染の様相を呈し、治療困難 | |
ペニシリウム属 | 自然界に広く存在 | ペニシリウム症(爪、耳、肺など) | 青カビ(緑ないし青色を呈する) | |
スコプラリオプシス属 | 自然界に広く存在 | スコプラリオプシス症(爪、耳など) | 褐色調の集落 | |
ガラクトミセス・ゲオトリクム | 自然界に広く存在 | ゲオトリクム症(肺、口腔、皮膚など) | 穀物、チーズなどの加工食品の汚染菌 | |
フィロバジディエラ・ネオフォルマンス | 自然界に広く存在(特にハトの糞中) | クリプトコッカス症(髄膜炎、皮膚など) | 全身性に症状を発することもある | |
ムーコル目、エントモフトラ目 | 自然界に広く存在 | 接合菌症(日和見感染、急性で致命的) | 接合菌類(胞子を形成する菌糸型真菌) | |
アジェロミセス・カプスラーツス・バリエタス・カプラーツス | 土壌、鳥類の糞など | カプスラーツス型ヒストプラズマ症(肺→全身感染) | アジェロミセス属イヌ、ネコ、ウマなども感受性 | |
アジェロミセス・カプスラーツス・バリエタス・ズボアジイ | 主にアフリカ | ズボアジイ型ヒストプラズマ症 | 真菌学的には上記カプラーツスと区別できない | |
アジェロミセス・デルマティティディス | 土壌中(アメリカ東部) | ブラストミセス症北アメリカ分芽菌症 | 二形性真菌酵母型 | |
パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス | 土壌中?(日本には存在せず) | パラコクシジオイデス症(男性に多い) | 南アメリカ分芽菌症とも、二形性 | |
コクシジオイデス・イミチス | アメリカ西南部など土壌中 | コクシジオイデス症 | 良性が多いが、感染の危険は高い | |
ニューモシスチス・カリニイ | カリニ肺炎 | 原虫に類似、健康な人は発症しない | ||
皮下真菌症の原因菌 | スポロトリックス・シェンキイ | 土壌、朽木(アメリカ、関東、近畿、九州など) | スポロトリコーシス(皮下真菌症) | 二形性真菌不完全真菌類 |
黒色真菌 | 土壌、朽木など属によって異なる | 黒色真菌症 | 不完全真菌類で黒色のものの総称 | |
(日和見感染症) | ||||
菌腫の原因菌 | 世界中に分布、発症は地域限局的 | 菌腫(原因菌により様々な症状、治療) | 他の菌類にも菌腫を起こすものあり | |
皮膚真菌症原因菌 | 皮膚糸状菌 | 皮膚糸状菌症(角質に富んだ表在部位) | 不完全菌3属子嚢菌1属 | |
表在性皮膚真菌症の原因菌 | ピエドライア属 | 黒色砂毛(毛髪のみ) | 自覚症状なし | |
トリコスポロン属 | 白色砂毛(毛髪のみ) | 自覚症状なし | ||
ホルタエア属 | 黒癬 | |||
マラセジア属 | 癜風 | 自覚症状なし | ||
その他 | 角膜真菌症原因菌 | Fusariumなど多種 | 角膜真菌症 | 慢性、難治性 |
参考文献
戸田新細菌学 改訂32版 南山堂(2002)
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