1. ある症例(デング熱)についての文章が書かれていて、この症例に関する設問が7問ほど
1) このウイルスを運ぶベクターは何か
ネッタイシマカ
2) このウイルスの感染で起こる重症感染は何か
デング出血熱(DHS)/デングショック症候群(DSS)
3) またそれはどのようなときに起こるのか
免疫増強説によると、デングウイルスの既感染者における二次感染や母体からの移行抗体を持つ乳児では、感染促進抗体がデングウイルスに結合し、その抗体がFcレセプターに結合することによってウイルスのマクロファージへの感染を増強し、DHF/DSSを起こしていると考えられている。
ウイルス毒力説では、血清型が違い、ウイルスの毒力が強いので、DHS/DSSが起こると考えられている。
4) 日本で見られるこのウイルスと同じ科に属するウイルスの名前とそのvectorは
日本脳炎ウイルス、コガタアカイエカ
2. RetrovirusとB型肝炎ウイルスは共に逆転写を行うという点で共通である。
1) この二つのウイルスの構造について図示せよ。
Retrovirus:ss(+) RNA seg(2) エンベロープ+、正20面体
エンベロープ(SU、TMタンパク)
プロテアーゼ、インテグラーゼ、逆転写酵素を含む
ヌクレオカプシド(NC、CA、MAタンパク)
B型肝炎ウイルス:ds DNA(環状) エンベロープ+、正20面体
DNAポリメラーゼ、プロテインキナーゼ、逆転写酵素を含む
エンベロープ(HBsAg)
コア(HBcAg)
2) この二つのウイルスのlife cycleを図示せよ。
Retrovirus
SUタンパクで細胞膜のシアル酸と結合(吸着)
TMタンパクによる細胞膜との膜融合(侵入)
RTによる逆転写
核へ移行し、INによって宿主DNAへの取り込み(プロウイルス)
転写によるウイルスタンパクとウイルスゲノムの産生
エンベロープタンパクは小胞体で翻訳され、ゴルジ装置を通って細胞表面へ運ばれる
ウイルスゲノムとウイルスタンパクは細胞膜でエンベロープをかぶって出芽
PRの働きでプロセシングが行われ、NC、CA、MAタンパクが産生される
B型肝炎ウイルス
膜融合により細胞内に侵入
核へ移行し転写、翻訳(DNAポリメラーゼ)
RNA中間体を通した増殖(逆転写酵素)
細胞膜にエンベロープタンパクが運ばれ、出芽
3.
1) 野うさぎとmyxomavirusの関係について。
オーストラリアでは野うさぎの数が増加したので、これを退治するためにmyxomavirusが用いられた。その結果について述べよ。
最初は接触およびカの媒介によりウイルスが広がり、99%以上の野うさぎが死滅したものの、15年後には抵抗性の野うさぎが生き残って再び繁殖するとともに、弱毒化したウイルスが共存している事実が認められた。
2) インフルエンザのpandemicな流行について説明せよ。
遺伝子再集合による。
4. アシクロビルについて。
アシクロビルは抗ヘルペス薬として知られている。
以下の問いに答えよ。
1) その作用機序について説明せよ。
ウイルスのチミジンキナーゼにより特異的に1リン酸化され、chain termination(DNA鎖延長阻止)を起こす。
2) アシクロビルは副作用が少ないことで知られるが、それは何故か。
ウイルスのチミジンキナーゼによって1リン酸化されなければ作用しないため、ウイルス非感染細胞には影響を及ぼしにくいため。
3) アシクロビルはサイトメガロウイルスには効かないが、それは何故か。
サイトメガロウイルスはチミジンキナーゼ遺伝子を持たないから。
4) アシクロビルに耐性のヘルペスウイルスが現れた。その耐性の機序に関して考えうることを2つ述べよ。
チミジンキナーゼに変異を起こしアシクロビルを1リン酸化しなくなる。
DNAポリメラーゼに変異を起こしアシクロビルを取り込まなくなる。
5.
1) 母子感染の経路について3つ挙げよ。
経胎盤感染:子宮内で胎盤を通じて感染が起こるもの
例)風疹ウイルス、サイトメガロウイルス、HIV
産道感染:出生時に母親の産道にいる病原体が新生児に感染する場合と出生時の母親の出血により血液感染する場合がある。
例)単純ヘルペスウイルス、B型肝炎ウイルス、HIV
母乳感染:母乳中のリンパ球に感染しているウイルスが新生児に移行する場合
例)成人T細胞白血病ウイルス
2) 母子感染の予防法について述べよ。
ワクチン接種、帝王切開による出産など
6. プラークによるウイルスの定量法に関する問題
1) PFUの計算
2) 分からないとのこと
3) ウイルス数を電子顕微鏡で
4) プラーク数、ウイルスの電顕による観察以外にウイルスを定量する方法を一つ挙げよ。
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