ウイルス学 平成8年度本試験

1. ウイルスの一段増殖曲線とはなにか
また、これを調べることにより何が分かるか
全ての細胞にウイルスを感染させ、その後の経時的ウイルス産生量を測定し、時間経過ごとの1細胞あたりのウイルス感染価をプロットしたもの。
ウイルスの一段階増殖に要する時間がわかる(ウイルスによって異なる)。

2. ウイルス粒子の基本構造をポリオウイルス、麻疹ウイルスを例にとって図解せよ。
ポリオウイルス:ss(+) RNA エンベロープ− 正20面体
麻疹ウイルス:ss(-) RNA エンベロープ+ 螺旋対称 転写酵素あり
エンベロープ:H(SLAMへの吸着、赤血球凝集能あり)、F(膜融合活性)
エンベロープの裏打ち:Mタンパク
RNAポリメラーゼ活性:NP、L、Pタンパク
図は戸田新の804ページ参照のこと。

3. positive strand virus、negative strand virusとは何か。
また、その違いを2つ挙げ、それぞれの例を3つずつ挙げよ。
よく出題されていますね。
positive strand virusとは、mRNAと同様の塩基配列を持つ核酸を含むウイルス
negative strand virusとは、mRNAと相補的な塩基配列を持つ拡散を含むウイルス
違いは、positive strand virusは転写酵素(RNA依存性RNAポリメラーゼ)を持たないこと、またnegative strand virusはトランスフェクションではウイルス粒子が産生されない。
positive strand virus:ピコルナウイルス、カリシウイルス、アストロウイルス、トガウイルス、フラビウイルス、コロナウイルス
negative strand virus:パラミクソウイルス、ラブドウイルス、フィロウイルス、オルトミクソウイルス、アレナウイルス、ブニヤウイルス

4. リケッチアとウイルスの類似点と相違点を挙げよ。
● 形態:リケッチアはグラム陰性球桿菌であるが、ウイルスはウイルス核酸とそれを包み込んで保護するタンパクの殻からなる粒子である。
● 大きさ:ウイルスは直径25-250nm、リケッチアはリケッチア属で0.3-0.5×0.8-2μm、エールリキア属で直径0.5μmである
● リケッチアは二分裂で増殖するがウイルスは宿主細胞内で核酸複製がされて増殖。
● 宿主細胞の中でしか増殖できないのは共通だが特にリケッチアは動物細胞の中でのみ増殖できる(ウイルスは植物細胞内で増殖する種もある)
ほかにもあるかもしれません。
また日本で観られるリケッチアとその特徴的症状を述べよ。
これは細菌学を参考にしてください。

5.Human immunodeficiency virusが感染してから、最終的にヒトを死に至らしめるまでに、感染者の体内で起こっていることを説明せよ。:H14年度第四問参照

6. Arbovirusについて
1) 定義
節足動物の媒介によって脊椎動物間に伝播されるウイルス

2) どのfamilyのウイルスが属するか
トガウイルス、フラビウイルス、ブニヤウイルス、レオウイルス

3) 代表的なウイルスを3つと日本で観られるウイルスを1つ挙げよ。
東部ウマ脳炎ウイルス カ
黄熱ウイルス ネッタイシマカ
デング熱ウイルス ネッタイシマカ
クリミアコンゴ出血熱ウイルス マダニ
リフトバレー熱ウイルス カ
日本脳炎ウイルス コガタアカイエカ

4) 感染過程
ウイルスに感染している節足動物にかまれることによってウイルスが毛細血管に注入されることにより感染する

5) 体内のどこを探せば見つかるか
血液中

7. emerging virusとはなにか。また、その例を挙げよ。そのような症状を示すのは何故か
最近新しくヒト社会に出現し、病原性を発揮するようになったウイルスのこと
ニパウイルス:脳炎
シンノンブレウイルス:ハンタウイルス肺症候群
動物の保有していたウイルスなので、ヒトには免疫が確立されていないから。

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