神経 平成15年度卒業試験

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1.62歳男性。5年前からの左手の震えに気づく。その後徐々に姿勢が前傾となり歩行が小刻みとなってきた。身体全体の動きも遅く、表情が固い。また、姿勢バランスも悪くなり、しばしば転ぶようになった。幻覚や痴呆はない。この症状について正しいのはどれか。
a.L-dopaが有効である。
b.自律神経の異常がしばしば見られる。
c.長く経過するとすり減り現象や、スイッチオン・オフ現象が見られる。
d.声は大きくなる
e.コリンエステラーゼ阻害薬が有効である。
解答 a,b,c(2番と同じ選択肢があったのではないかと…)
解説 1/6授業プリント3枚目、ステップP177、朝倉P1995。
 明らかにパーキンソン病の症状ですね。四大症候=寡動(動きが遅い、表情が硬い)、振戦(左手の震え)、筋固縮、姿勢反射異常(姿勢バランスが悪い)
a.○…中脳黒質の変性によりドパミン産生低下。ドパミン前駆体のL-dopaは治療薬となる。
b.○…自律神経細胞にも変性が認められるため。便秘、発汗障害、起立性低血圧など。
c.○…すり減り現象はwearing offとしてどの教科書にも記述あり。スイッチオン・オフ現象は服薬時間にかかわらず、突然動けなくなるオフ、突然動けるようになるオンといった現象が日に何度も見られること、だそうです。
d.×…寡動・無動の一環で声は小さくなる。
e.×…パーキンソン病はドパミン系がコリン系に対して異常に不活性化して起こる。コリンエステラーゼ阻害薬はコリン系の活動を亢進させるので、使うなら逆の抗コリン剤。

2.40歳男性、半年前から右手の脱力に気付いた。その後、上肢の筋力低下を認め、右手の母指球、小指球及び骨格筋は萎縮していた。下肢の腱反射は亢進、Babinsuki-反射陽性だった。見られる所見は?
a.筋電図での脱神経所見がみられる
b.錐体路(内包後脚)のT2高信号
c.オリゴクローナルバンドがみられる
d.延髄、小脳の萎縮
e.舌の線維束収縮
1.abc  2.abe  3.ade  4.bcd  5.cde
解答 2
解説 1/6授業プリント4枚目、ステップP203、朝倉P2014。
 腱反射亢進は上位運動ニューロン障害、筋萎縮は下位運動ニューロン障害の特徴なので、どちらも侵されるALS(筋萎縮性側索硬化症)です。
a.○…筋線維収縮電位、陽性鋭波などを脱神経所見、というそうです。
b.○…皮質脊髄路〜内包後脚(錐体路にあたる)でT2高信号を認めることがある。
c.×…皆無とはいえないようですが…。多発性硬化症、亜急性硬化性全脳炎で出現率が高い。
d.×…運動ニューロン疾患なので延髄・小脳が萎縮する理由はないと思われます。
e.○…それとともに舌は萎縮します。(下位ニューロン障害による球麻痺症状)

3.小脳失調でみられるのはどれか。
a.偽アテトーゼ
b.定方向性眼振
c.断綴性言語
d.四肢筋トーヌス低下
e.Romberg徴候
1.abc  2.abe  3.ade  4.bcd  5.cde
解答 ?
解説 レジュメP13、朝倉P1935、ステップP74
a.×?…目を閉じるとアテトーゼ様の運動(piano playing finger)が見られる。
b.×…注視眼振。脊髄後索失調では眼振は起こらない。
c.○…ゆっくり、一語一語ちぎるような話し方。(断綴=だんてつ)
d.○…筋トーヌスの低下は小脳失調か下位ニューロン障害、脊髄後根障害。(朝倉P1934、ステップP72)
e.×…両足を揃えて立ち、閉眼すると倒れる。小脳失調では陰性。陽性なら脊髄後索の障害など。

4.正しい組み合わせはどれか?
a.アルツハイマー  ―  Lewy小体
b.Pick病      ―  階段状に悪化
c.脳血管性痴呆   ―  慢性進行性に悪化
d.進行性核上性麻痺 ―  垂直性眼球運動障害
e.進行麻痺     ―  神経梅毒
1.abc  2.abe  3.ade  4.bcd  5.cde
解答 5?
解説 1/6授業プリント
a.×…Lewy小体の出現はパーキンソン病に特徴的に認められる。アルツハイマーについては朝倉P1990、ステップP100。
b.×…朝倉P1994、ステップP108。進行は階段状というわけではないと思います。
c.○?…朝倉P1973、ステップP106。血管の閉塞や出血により脳細胞が障害されて起こるとされる。
d.○…朝倉P1998、ステップP187。パーキンソンニズムとともに出現。(特に下転)
e.○…朝倉P2030、ステップP175。麻痺性痴呆とも呼ばれ、神経梅毒の一型(症状)。

5.腱反射の低下する疾患を3つ選べ
1.ギランバレー
2.亜急性連合性脊髄変性症
3.HAM
4.MS
5.フィッシャー症候群
解答 1、5(「3つ」ではなく「2つ」じゃなかろうか…。)
解説 
1.○…朝倉P2137、ステップP221。末梢神経障害で腱反射は消失する。
2.×…朝倉P2074、ステップP210。ビタミンB12不足により悪性貧血などとともに起こる。膝蓋骨腱反射亢進。
3.×…朝倉P2021、ステップP174。両下肢で腱反射は亢進する。(胸髄の白質が主に変性するため。)
4.×…朝倉P2044、ステップP211。多発性硬化症。錐体路障害=上位ニューロン障害=腱反射は亢進。
5.○…朝倉P2030、ステップP223。ギランバレー症候群の類縁疾患と考えられる。

6.40歳女性。2年前よりふらつき、ろれつが回らない。父親も60歳より同様の症状があった。神経学的には注視麻痺、構音障害、四肢の協調運動障害、体幹失調を認める。痴呆、筋硬直、自律神経症状はない。正しい組み合わせを述べよ。
a.遺伝しているので、父親より発症が早い。
b.遺伝子でCAGリピートの増幅を認める。
c.筋トーヌスは正常から低下を示す。
d.症状は再発・寛解を繰り返す。
e.歩行は小刻みになる。
1.abc  2.abe  3.ade  4.bcd  5.cde
解答 1
解説 1/6授業プリント、朝倉P2002、ステップP189。Huntington病ですね。
a.○…常染色体優性遺伝。親から子へと受け継がれる時にリピート数が増える傾向があります。
b.○…トリプレットリピート病のひとつ。正常約17のリピートが42以上。
c.○…選択肢より。つまり固縮したりはしない、ということ。
d.×…発症すると寛解することなく進行していきます。再発・寛解は多発性硬化症などに見られます。
e.×…これはParkinson病のことでしょう。

7.多系統萎縮症を3つ選べ
a.PSP(進行性核上性麻痺)
b.STD?
c.OPCA(オリーブ橋小脳萎縮症)
d.SND(線条体黒質変性症)
e.SDS(シャイドレージャー症候群)
解答 c,d,e(6番と同じ選択肢があったのではないかと…)
解説 1/6授業プリント、朝倉P2000、2008、ステップP202。
 小脳症状、自律神経障害、パーキンソニズムを3主徴とする。以下の3疾患は別々の疾患と考えられてきたが、表現型の異なる同一疾患と考えられるようになった。
a.×…朝倉P1998、ステップP187。パーキンソニズムと眼球運動障害(下方注視麻痺が顕著)
b.×…sexually transmitted disease?復元ミスでは?
c.○…小脳性運動失調で始まり、次第にパーキンソニズムや排尿障害が出現。
d.○…Parkinson病と類似の臨床像で、進行とともに排尿障害、自律神経症状。
e.○…自律神経症状が先行する。

8.パーキンソン病について正しいものを選べ。
a.前傾姿勢となりやすい。
b.姿勢時振戦が見られる。
c.十万人に四人の割合である。
d.病理学的に老人斑が見られる。
e.病理学的にLewy小体が見られる。
解答 a,e
解説 1/6授業プリント、朝倉P1995、ステップP177。
a.○…歩くときも、前傾姿勢で腕を振らず、小刻みに歩きます。
b.×…安静時振戦。姿勢時振戦は甲状腺機能亢進症やWilson病。なお運動時振戦(企図振戦)は小脳失調症で認められ、指鼻試験が行われる。
c.×…10万人あたり欧米で150人、日本で50人程度。
d.×…アミロイドで神経細胞を早死にさせるとされる。Alzheimer病に特徴的。
e.○…これが病理所見上の特徴。黒質の変性した色素細胞内に認められるエオジン好性の封入体

9.55歳男性、発熱あり。翌日より意識レベル低下し、四肢に強直間代発作が出現したため入院となった。体温38.2度、混迷状態、項部硬直あり。CRP2.4、髄液所見 細胞50/ul(単核球優位)、蛋白126mg/ul。CTで左の側頭葉にまだらに造影される低吸収域をみとめた。脳波では片側性に周期性にspikeをみとめた。最も考えられる疾患を選べ。
1.細菌性髄膜炎  2.AIDS痴呆  3.進行性多巣性白質脳症  4.ヘルペス脳炎  5.脳膿瘍
解答 4
解説 1/20の授業プリント、朝倉P1946、2019、ステップP162。
 「周期性一側てんかん型放電」はヘルペス脳炎の特徴だそうです。
単純ヘルペス脳炎が疑われる。本症に特徴的な片側の側頭葉病変、けいれん、片側性スパイク(PLEDS)が認められる。髄膜刺激症状などの髄膜炎の症状(発熱、意識レベルの低下、項部硬直)も認められる。CRP(正常<0.6)は炎症を示す。髄液の細胞数増加(正常<5)、単核球優位という所見から多核球優位の細菌性髄膜炎は除外される。蛋白増加(正常15-45)。糖所見はない(正常:血糖×2/3、ウィルス性髄膜炎では不変)。単純ヘルペス脳炎の治療にはアシクロビルが有効。

10.63歳女性。目が見えなくなり眼科受診。一週間後にふらつきが出現、二週間後に歩行不能。一ヶ月後には寝たきりとなり、時折ピクピクと不随意振戦が見られる。以下の脳波(PSD)を見て、正しい組み合わせを選べ
a.初期は頭部MRIで大きな異常は出ない。
b.脳波上PSDを認める。
c.診断のために脳幹誘発電位が有効である。
d.輸血により高頻度で異常を認める。
e.通常の髄液検査で異常は認められない。
1.abc  2.abe  3.ade  4.bcd  5.cde
解答 2
解説 Creutzfeldt-Jakob病が疑われる。本症は急速進行性であり週単位で増悪。脳波所見として周期性同  期性放電(PSD)が認められる。
a○ MRIでは中期以降に著明な脳萎縮が認められる。
b○ 本症では脳波所見として周期性同期性放電(PSD)が認められる。
c× 脳波検査やMRI。
d× 輸血ではなく硬膜移植や下垂体移植による医原性感染の可能性はある。なお発症率は100万人に1人。
e○ 炎症性ではないため、一般の髄液所見はすべて正常。

11.次の反射とその髄節レベルで正しいものを選べ。(2002年度卒試問11と全く同じ)
a. 下顎反射    :橋
b. 上腕二頭筋反射 :頚椎4〜5
c. Wartenberg反射 :頚椎5〜6
d. 膝蓋腱反射   :胸椎12〜仙椎2
e. アキレス腱反射 :仙椎
1.ab 2.ae 3.bc 4.cd 5.de

解答2
解説
a○ 顔面神経
b× C5-6
c× 錐体路の傷害による病的反射(指屈筋反射)
d× L2-4
e○ S1

12.次の中で、髄液検査にて糖が高度に低下するものはどれか
a. HTLV−1関連ミエロパチー
b. ウイルス性髄膜炎
c. 真菌性髄膜炎
d. 結核性髄膜炎
e. 癌性髄膜炎
1.abc 2.abe 3.ade 4.bcd 5.cde

(解答)5
(解説) 糖はウィルス性髄膜炎以外の髄膜炎で低下する。以下は各疾患の特徴。1/20のプリント参照。
・HAM…輸血や母乳を介してHTLV-1が感染。慢性進行性の脊髄症。下肢の痙性対麻痺(深部腱反射亢進、バビンスキー徴候陽性)と膀胱直腸障害が特徴。IFN-αによる治療。
・ウィルス性髄膜炎…最も軽症。糖→、単核球↑、蛋白↑、初圧↑。
・真菌性髄膜炎…クリプトコッカス>カンジダ>アスペルギルス。墨汁染色。
・結核性髄膜炎…脳底部の炎症による脳神経障害、血管炎による脳梗塞、水頭症を伴う。
髄液は塩化物イオン↓、フィブリン析出、単核球↑、糖↓、蛋白↑、初圧↑。
・癌性髄膜炎…単核球↑、腫瘍細胞↑、糖↓、蛋白↑、初圧↑。
・細菌性髄膜炎…重症。髄液は混濁〜膿性、多核球↑、糖↓、蛋白↑、初圧↑。年齢別に起炎菌が異なり、
3ヶ月未満は大腸菌、成人は髄膜炎菌や肺炎双球菌、高齢者は肺炎双球菌が多い。

13.髄液検査について正しいもの。
a. 腰椎上部を穿刺する。
b. 頭蓋内占拠病変がある場合は行わない。
c. 髄液採取後、頭を上げると頭痛を生じる。
d. クモ膜下出血と穿刺時の出血の鑑別には遠沈を行う。
e. 正常髄液中では多核球:リンパ球=1:2である。
1.abc 2.abe 3.ade 4.bcd 5.cde

(解答)4
(解説)
a× 腰椎下部(L4-5)のJacoby線を目安にする。成人ではL1まで脊髄が入っている。
b○ 致命的なヘルニアを避けるため禁忌(穿刺部に感染のあるときや、CT、MRIなどで明瞭な頭蓋内占拠病変が証明されたときも禁忌)。
c○ 起立性頭痛…髄液検査や麻酔を行う際の穿刺によって硬膜に穴が開きそこから髄液が漏れることにより髄液圧が下がり、髄液によって支えられていた脳が沈下しそれに伴い神経等が引っ張られて頭痛が起こる。
d○ くも膜下出血と穿刺時の外傷による出血とを鑑別するには、髄液を遠心して上澄のキサントクロミーを確認する。キサントクロミーとは上澄みが黄色調を呈する所見であり、出血が陳旧性であることを示唆する。
e× 正常髄液中の細胞は主にリンパ球が占めている。

14.42才男性発熱を伴う下痢が二日間続き二週間後に筋力低下をきたした。 呼吸困難を生じたため入院した。肺活量は830mlと低下していた。診断治療について正しいものを選べ
a. 末梢神経伝達速度測定は診断に有用である
b. 髄液検査は診断に有用である
c. MRI検査は診断に有用である
d. 副腎皮質ステロイドは有効である
e. 血漿交換は有効である
1.abc 2.abe 3.ade 4.bcd 5.cde

(解答)2
(解説)2月6日の授業プリント参照。
Guillain-Barre症候群が疑われる。本症はポリニューロパチー(多発性の末梢神経障害)であり、またカンピロバクターなどの感染が原因の下痢などの前駆症状があり、その1〜3週間後に、下肢遠位部に両側対称性に運動麻痺(呼吸筋麻痺も起こる)を来たす。発生機序としては起炎菌と神経との交叉抗原説が提唱されている。髄液所見:細胞数は増加していないのに蛋白濃度が増加する(蛋白細胞解離)。重症例には血漿交換やγグロブリン大量静注療法が行われる。軽症例は経過観察。
a○ 節性脱髄(シュワン細胞の髄鞘が破壊される)を来たすので伝道速度は低下する。脱髄型(予後良好)と軸索障害型(予後不良)の判定ができる。
b○ 蛋白細胞解離(細胞→、蛋白↑)、抗ガングリオシド抗体陽性。
c× 末梢神経伝導速度の測定や髄液
d× ステロイドは有効性が全く認められず、また髄鞘の再生を遅らせる懸念があるため使用されない。治療は血漿交換、γグロブリン大量投与。ちなみに同じ炎症性多発神経障害のCIDPではステロイドもあり。
e○ 血液中の抗体やサイトカインを除去する。

15.65歳の男性。8年前に胃潰瘍で胃の2/3を切除している。2ヶ月ほど前から歩行時のふらつき、下肢のジンジン感出現。両側錐体路徴候陽性、膝蓋腱反射軽度低下、下肢の温痛覚軽度低下、振動覚・関節位置覚高度低下。疾患は何か。
(1)脚気
(2)亜急性連合性脊髄変性症
(3)Chaecot-Marie-Tooth病
(4)Freidreich失調症
(5)慢性炎症性脱髄性ニューロパチ−(CIDP)

(解答)(2)
(解説)2月6日の授業プリント参照。
亜急性連合性脊髄変性症が疑われる。本症は脊髄疾患であり、ビタミンB12の欠乏によって脊髄後索、脊髄側索、および末梢神経が侵される。脊髄後索の障害は深部感覚障害(Romberg徴候(+))を来たし、脊髄側索(錐体路)の障害は下肢の痙性麻痺や深部反射の亢進を来たし、末梢神経の障害は感覚障害を来たす。
・脚気…ビタミンB1の欠乏による多発神経炎。主として知覚鈍麻や知覚異常を来たす。
・Charcot-Marie-Tooth病(CMT)…末梢神経障害であり、節性脱髄を中心とするCMT1と軸索変性を中心とするCMT2の二つに分けられる。下肢遠位部の筋力低下、筋萎縮を来たす(コウノトリ足)。また下垂足を来たし鶏歩になる。CMT1は節性脱髄が中心になるため、末梢神経伝導速度は著明に低下する。
・Freidreich失調症…遺伝性(常劣)の脊髄小脳変性症であり、グルタミン酸をコードするGAAリピートの増幅が見られる。本症では脊髄後索、脊髄小脳路が中心に侵される。脊髄後索の障害では深部感覚障害などを来たし(Romberg徴候(+))、脊髄小脳路の障害では構音障害、眼振などの小脳症状を来たす。また骨格異常、心筋症、糖尿病も起こる。
・慢性炎症性脱髄性ニューロパチ−(CIDP)…末梢神経障害であり、Guillain-Barre症候群(GBM)に類似。ただし運動ニューロンの障害が優位のGBMとは違って、本症は感覚ニューロンも侵されるため、筋力低下と感覚障害とを来たす。検査所見と治療はGBMに類似する。ただしGBMでは無効であった副腎皮質ステロイドが本症では有効という大きな違いがある。

16.多発単神経障害をきたしやすいものを1つ選べ。
 1 関節リウマチ
 2 ベーチェット病
 3 糖尿病
 4 シェーグレン症候群
 5 多発動脈炎

解答 5
解説 2月6日の授業プリント参照。多発単神経炎は単神経障害(単一の末梢神経障害)が複数発生した疾患であり、神経障害は左右不対称である。本症の原因は全身の血管炎(結節性多発動脈炎など)やサルコイドーシスであり、あちこちで生じる虚血によって神経が侵される。

17.37歳女性。宴会で大量飲酒後に嘔吐・腹痛・下痢があった。また手足のしびれも認めた。その後不眠が続いている。光過敏症はない。
  a. 尿中ポルフィリノーゲンの増加を認める
  b. 常染色体優性遺伝である
  c. 不眠に対してはバルビツールが有効である
  d. ヘム合成経路の異常がある
  e. 急性ポルフィリン血症である。

(解答)? 「誤りを1つ選べ」ならcですが。
(解説)ポルフィリン症の鑑別。アルコールで誘発、皮膚光過敏症(−)より急性間欠性ポルフィリン症か。
a. ○
b. ○
c. × 本症の誘因となる。
d. ○
e. ○

18.55歳女性。45歳の頃から徐々に進行してきた痙性対麻痺を主訴として入院となった。神経学的には下肢の深部腱反射亢進と両側バビンスキー反射陽性であった。髄液所見 細胞数10/3 蛋白量70mg/dl。末梢血塗抹標本および髄液細胞診にて核の分葉したリンパ球を認めた。この疾患について正しいものを選べ。
  a 東日本でよく見られる  b 抗ウイルス剤が有効である
  c 排尿障害を認める頻度が高い  d 下肢の感覚障害例が多い
  e IFNαが有効である。
 1.abc 2.abe 3.ade 4.bcd 5.cde

(解答)5
(解説)1月20日の授業プリント参照。おそらくHTLV-T関連脊髄症。
 HAMは輸血や母乳を介したHTLV-1の感染が原因であり、慢性進行性の脊髄症である。下肢の痙性対麻痺(深部腱反射亢進、バビンスキー徴候陽性)と膀胱直腸障害が特徴的な所見。IFN-αによる治療が行われている。
a. × 九州に多い。
b. × HTLV1自体の活動性は低いため、抗ウィルス剤の効果はあまり期待できない。
c. ○ 頻尿、尿失禁など。
d. ○ 異常感覚(ジンジン感)や感覚鈍麻。
e. ○ 効かない人もいるらしいが。

19.重症筋無力症について。夕方になると筋力低下と眼瞼下垂がみられ、筋電図、胸部CTがしめされ、waningと胸腺腫。間違いはどれかで二つ選ぶ。
a. waxingが見られる
b. 血液浄化療法が効果的
c. wainingが見られる
d. 拡大胸腺摘出術を行う
e. 深部反射は低下または消失する。

(解答)a,e
(解説)2月2日の授業プリント参照。
a× 漸増現象(waxing)は高頻度の反復刺激で筋の活動電位が大きくなる現象であり、Lambert-Eaton筋無力症候群(多くは肺小細胞癌に合併、抗Caチャネル抗体による自己免疫)においてみられる。
b○ 血中の抗AChR抗体を除去する目的で血漿交換療法を行うことがある。
c○ 減衰現象(waning)…反復神経刺激を行うと刺激によって誘発される筋の活動電位が次第に減衰する現象
d○ 胸腺を周囲の脂肪組織とともに一塊として摘出。
e× 深部腱反射は基本的に正常。

20.次の写真をみて、障害されている神経を選べ。(写真は4〜5枚。安静時に右眼瞼下垂、眼球運動は左眼は正常。右眼は外転以外すべて障害)
1.右外転神経 2.右動眼神経 3.右MLF
4.左MLF    5.???橋被蓋部か何か???

(解答)2
(解説)眼瞼下垂から積極的にVに障害があるとわかる。外転できるのでYに障害はありません。

21.復唱ができないのはどれか
a.超皮質性感覚性失語
b.超皮質性運動性失語
c.Broca失語
d.Wernicke失語
e.伝導性失語
1.abc 2.abe 3.ade 4.bcd 5.cde
解答 5
解説 1/27プリント

23.正しい組み合わせを選べ。(2001年度問20と同じ)
a)Tay-sachs病----------hexosaminidaseA
b)Fabry病  -----------β-galactosidase
c)McArdle病 -----------phosphofructokinase
d)Nieman-Pick病------sphingomyelinase
e)異染性白質dystrophy---arylsulpataseA
1) abc   2) abe   3) ade   4) bcd   5) cde
解答 3
解説 1/30プリントP2〜5、岩城先生プリントP32。
a)○…=GM2ガングリオシドーシス。
b)×…α-galactosidaseA。
c)×…筋型ホスホリラーゼ。
d)○
e)○

24.19歳女性。腹部エコーで肝硬変。錐体外路症状。角膜写真。誤ったものを選べ。
(Wilson病をうかがわせる病歴・画像)
a Kayser-Fleischer輪を認める
b 尿中銅排泄量低下
c 血中セルロプラスミン高値
d D-ペニシラミンとVit.B6の併用
e 甲殻類、レバー、ナッツ類等を避ける。
 1 ab  2 ad  3 bc  4 cd  5 de
解答 3
解説 1/30プリントP1、岩城先生プリントP33
a)○
b)×…血中銅↓、尿中銅排泄量↑。
c)×…血中セルロプラスミン↓。
d)○
e)○…銅摂取量を1mg/day以下に。他に銅を多く含む食品=キノコ、ココア、チョコレートなど。

25.(文章が長すぎて覚えられませんでした・・・。要するにMSの症状が増悪・寛解してた)
20歳の女性。2年前に視力低下をきたし、2,3ヶ月後に回復した。両下肢の筋力低下etc.
腹部に絞扼感があり、それより下位の温痛覚低下、下肢の脱力をきたした。病変部位はどこか。1つ選べ。
1? 2? 3? 4Th8〜Th10 5?   (選択肢忘れました)
解答 4(これで多分あっていると思います)
解説 症状から白質に病変があることが分かります。具体的な障害部位と症状の対応については教科書の図などを参考にしてください。

26.25の症例について正しいものを3つ
a 急性期にはステロイドパルス療法が行われる。
b INF-βが再発防止に有効である。
c けいれん発作の頻度が高い。
d パーキンソン症状がよく見られる
e 髄液オリゴクローナルバンドが見られる。
 1 abc  2 abe  3 ade  4 bcd  5 cde
解答 2
解説
a)○…他に血漿交換、リンパ球除去も有効。
b)○
c)×
d)×
e)○…他に髄膜炎、脳炎といった感染症でも見られます。

27.8歳、男児。出生、発育は正常。小学校に通う頃からしゃがみ立ちができなくなり、次第に歩行困難となった。現在は車椅子で生活している。神経学的所見は、四肢近位筋萎縮・筋力低下、腱反射消失、血清CK3850U/L(正常45~163U/L)。この疾患について正しい組み合わせを選べ。
(下肢の写真、筋生検の写真、ジストロフィン染色の写真(正常と異常)があった。)
a.伴性劣性遺伝で男子に発症する
b.呼吸筋障害を伴う
c.腓腹筋の仮性肥大が認められる
d.思春期以降に発症する
e.女性キャリアに症状が出ることはない
(1) a,b,c   (2) a,b,e   (3) a,d,e   (4) b,c,d   (5) c,d,e
解答 1
解説 2/2プリント1枚目。
しゃがみ立ちが出来ないことをGowers徴候といい、これは四肢近位筋の筋力低下で起こる徴候。さらに近位筋優位の筋萎縮、腱反射消失からmyopathyであることが分かる。また、CKの上昇から筋組織に壊死が起こっていることも分かる。以上の所見と年齢、性別を考慮してDuchenne型筋ジストロフィーだと診断できる。
a)○
b)○…死因の75%は呼吸不全。
c)○
d)×…DMD:2〜5歳、BMD:5〜25歳に好発。
e)×…下腿の仮性肥大、CK上昇、筋力低下などが見られる。

28.40歳男性。この3ヶ月に全身倦怠感が起こり、筋肉痛、重たいものを持ち上げにくくなった。全身像を示す。CK 1430U/l(正常45-163)、アルドラーゼ30IU/l(正常1.5-5.7)
正しいのはどれか (近位筋優位の筋萎縮を呈している)。
a 両側眼瞼部の浮腫性紫紅色紅斑があると悪性疾患の合併頻度が上がる
b CKの変動は活動性の指標となる
c 筋電図上でFibrillation potentialが出ないことが有用である。
d ステロイドは少量から漸増して用いる
e 急性期は安静が原則である
1 abc   2 abe   3 ade   4 bcd   5 cde
解答 2
解説 2/2プリント3枚目。
筋力低下、筋肉痛、CK、アルドラーゼの上昇から多発筋炎・皮膚筋炎と思われる。
a)○…両側眼瞼部の浮腫性紫紅色紅斑=ヘリオトロープ疹。これは皮膚筋炎に特有の症状。
b)○…治療効果判定に用いる。
c)×…出ることが有用。
d)×…パルス療法。
e)○

29.ニューロパチーに関して正しいものを選べ。
a 脱髄性病変では末梢神経伝導速度が低下する。
b 末梢神経のonionbulb形成は脱髄性ニューロパチーで見られる。
c Churg-Strauss syndromeは多発単神経炎を呈する。
d 針筋電図検査で右図のような所見を認める
e 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)では髄液細胞数、蛋白量ともに高値となる。
解答 a,b,c(dは判定不能なので)
解説 2/6プリント。
a)○…跳躍伝導が障害されるので。軸索病変なら筋電図での筋電位低下が起こる。
b)○…脱髄と再生を繰り返すため。
c)○
d)判定不能…伝導速度が低下していれば○、伝導速度が変わらずに筋電位が低下していれば×。
e)×…髄液細胞数↓、蛋白量↑。

30.25歳男性夜間左目奥に痛みを感じ救急車で来院。受診時痛みは軽減していた。全身所見、神経所見に異常なし、CT正常。正しいのは?
a アルコール、喫煙で頭痛は誘発されやすい
b 中年女性に多い
c 頭痛は両側性
d トリプタンはある程度効く
e 100%酸素投与が有効
1 abc  2 abe  3 ade  4 bcd  5 cde
解答 3
解説 2/3プリントP13。
視覚的前兆が頭痛に先行して起こっており、持続時間が長くないことから前兆を伴う片頭痛だと考えられる。群発頭痛なら前駆症状がないはず。
a)○
b)×…若年女性に多い。群発頭痛は中年男性に多い。
c)×
d)○…ただし虚血性心疾患がある場合には禁忌。
e)○…群発頭痛にも効果がある。

31.疾患と病変部位の組み合わせで、正しいものを選べ。
a. 晩発性皮質性小脳萎縮症 −   ルイ体
b. Parkinson病      −   黒質緻密層
c. 筋萎縮性側索硬化症   −   脊髄前角細胞,脳神経運動核,Betz巨細胞
d. Shy-Drager症候群    −   脊髄中間外側核
e. Pick病         −   頭頂葉
    (1)a,b,c (2)a,b,e (3)a,d,e (4)b,c,d (5)c,d,e
解答 4
解説 「大脳変性」のプリントより
(a)×ルイ体が関わるのは歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症
(b)○中脳黒質緻密層から線条体へのドーパミン含有細胞の脱落
(c)○脊髄前角細胞、脳神経運動核の変性。Betz巨細胞の消失。
(d)○仙髄の中間質外側核の変性、脱落が見られる
(e)×Pick病は前頭葉と側頭葉の萎縮が目立つ

32.神経血管減圧術が奏効しないのは?
a難治性三叉痛  b難治性舌咽神経痛  c片側顔面けいれん
dもやもや病  e中枢型痙性斜頸(ジストニア)
1 ab  2 ae  3 bc  4 cd  5 de
解答 5
解説 神経血管減圧術…片側の顔面のけいれんや疼痛など、脳神経の刺激症状が中高年になって出現し、あらゆる内科的治療にも有効な効果を示さない症例では、その神経の起始部で太い血管が当たっていることがある。→この血管が圧迫の原因と思われるのでこれを外科的に移動させ除圧。適応疾患としては片側顔面けいれん、三叉神経痛、蝸牛・前庭神経圧迫による難治性めまいや耳鳴り、副神経圧迫による痙性斜頸、迷走神経や延髄圧迫による異常高血圧など。

34.70歳男性。高血圧と糖尿病で通院中。倒れているところを発見された。血圧150/90、脈拍90.血管造影で内頚動脈起始部の高度狭窄。
 a すぐに降圧療法を行う。
 b (忘れました)
 c 一過性黒内症が生じることがある。
 d 抗血小板療法を開始する。
 e 抗アンギオテンシン変換酵素阻害薬が有効である。
 1 abc  2 abe  3 ade  4 bcd  5 cde
解答 4( eが間違いなので・・。)
解説 1/13脳血管障害2のプリント
(a)×すぐに降圧すると脳虚血が起こる可能性があるので、徐々に行うのがいいらしい
(c)○内頚動脈の狭窄でよく見られる
(d)○
(e)×血圧の降下が起こるので

35.正しいものを選べ
a.Sturge-Weber症候群 ― 顔面ポートワイン様母斑
b.結節性硬化症     ― 躯幹の線状渦状白斑
c.hypomelanosis of Ito  ― 木の葉様白斑
d.色素失調症      ― 線状紅斑性水疱
e.神経線維腫症(type1)  ― カフェオレ斑
(1) abc  (2) abe  (3) ade  (4) bcd  (5) cde
解答 3
解説 12/8小児神経学のプリント
(a) ○
(b) ×皮脂腺腫、色素脱出斑
(c) ×線・渦状または斑状色素脱失
(d) ○
(e) ○

36.WEST症候群に関する記述で正しいものを選べ。
a典型的な発作型はミオクロニー発作と非定型欠神発作である。
b精神運動発達の停止、あるいは退行を認める。
c日本では、治療としてビタミンB6やACTHを使用する事がしばしばある。
d発作は主に覚醒期に出現する。
e脳波では特異的なサプレッションバーストを呈する。
(1) a,b,c (2) a,b,e (3) a,d,e (4) b,c,d (5) c,d,e
解答 4
解説 2/17「小児のてんかん」
(a)×tonic spasmsと点頭発作が典型的
(b)○
(c)○
(d)○
(e)×脳波はhypsarrhythmiaが見られる

37.Lennox-Gastaut症候群に関する記述のうち正しいものを選べ。(2002年の問48と同じ)
a.知能障害を合併することは稀である。
b.幼児期前半に好発する。
c.典型的な発作は夜間に起こる強直痙攣、非定型欠伸、失立発作である。
d.脳波ではslow spike & waveが特徴的である。
e.単剤の抗けいれん薬では発作のコントロールが困難なことが多い。
(1) a,b,c (2) a,b,e (3) a,d,e (4) b,c,d (5) c,d,e
解答 4
解説 2/17「小児のてんかん」
(a) ×正常型は全体の10%
(b) ○1〜4歳で好発
(c) ○
(d) ○
(e) ×上の三つが正しいので・・。

38.熱性痙攣について正しいものを選べ
a. 日本では幼児の0.5%が発症する。
b. 単純型熱性痙攣は、好発年齢は6生月~2歳で比較的持続も短い。
c. 予防目的としてはジアゼパム座薬を用いることが多い。
d. 後でてんかんを発症するものが多い。
e. 発作は全体の5割で複雑部分発作である。
解答 b
解説 2/17「小児のてんかん」
(a)×頻度は6~8人/100人
(b)○
(c)×ジアゼパム座薬は発作時の抗けいれん作用
(d)×てんかんへの移行は3%
(e)×てんかん発作は鑑別診断で除外

40.Reye症候群で正しいもの3つ。
a 髄液細胞数増加 b 尿中アミノ酸増加 c 低血糖 d 肝脂肪変性 e 血中NH3増加
解答 cde
解説 ステップ内科第2巻P118、朝倉P2026、新臨床内科学
Reye症候群・・急速な脳浮腫と肝脂肪変性を主病変として、髄液細胞増加を欠く。高アンモニア血症、低血糖が見られる。

41.福山型筋ジストロフィーで見られる症状・検査所見で正しいものを選べ。
 1 多小脳回  2 眼病変  3 知能正常  4 筋緊張亢進  5 関節拘縮
解答 1
解説 ステップP239
脳奇形と重度の精神遅滞、近位筋に優位な筋力低下を認めるとある。

42.生来健康な6才の男児。知能低下の進行と頻発する痙攣がある。肝脾腫はなく、ガーゴイリズムもない。正しいのはどれか?
a 病変の主座は大脳灰白質である可能性が高い。
b 脳波検査をすべきである。
c SSPEの可能性があるので、麻疹抗体価をはかるべきである。
d 男児であるので、Adrenoleukodystoropathy の可能性が低い。
e ムコ多糖症の可能性が高い。
1abc 2abe 3ade 4bcd 5cde 
解答 1
解説 ステップP165、217  1/30の授業プリント
まず、Adrenoleukodystoropathyは伴性劣性遺伝なので、男子におこる。
SSPEは6〜9歳の小児に好発し、性格変化と知能低下で発症することが多く、脳波では周期性同期生放電をきたすので、脳波検査も有用ではないかと思われる。
あとは選択肢から。
   
44.2歳男児。精神運動発達の退行を痙性四肢麻痺の亢進を呈し、肝脾腫、ガーゴイル様顔貌はない。腱反射の著しい減弱あり。MRI(T2W1?)で白質に広範な高吸収域を認める。最も妥当な組合わせはどれか。
  a ムコ多糖症の可能性が高いので、尿中ムコ多糖を調べる必要がある。
  b 大脳白質の脱髄病変がある可能性がある。
  c 異染性白質脳症やKrabbe病の可能性がある。
  d 末梢神経障害の可能性があるため、神経伝導速度を調べる。
  e 基底核に病変の主座がある可能性がある。
 1 abc  2 abe  3 ade  4 bcd  5 cde 
解答 4
解説 ステップP217
乳幼児期に、白質に異常が認められるので、異染性白質ジストロフィーやKrabbe病が疑われる。
これらの病変では、末梢神経も侵される。

46.83歳男性。高血圧、糖尿病あり。起床時、構音障害、左上下肢脱力感を認めたため来院した。血圧160/70、脈拍80、整。意識障害なし。CT、MRI、MRアンギオを示す。(MRIで右視床付近に小さな高吸収域、それ以外不明)正しいものを2つ選べ。
  a 降圧治療を直ちに行う。
  b 脳出血が疑われる。
  c アテローム血栓が疑われる。
  d トロンボキサンA2を投与する。
  e ラクナ梗塞が疑われる。
 1 ab  2 ae  3 bc  4 cd  5 de
解答 2 
解説 ステップP130、138
 脳梗塞だとおもわれる。
 脳出血ならば、CTで異常画像が描出されるはずだし、日中に起こることが多いので。
 トロンボキサンA2は血小板集積傾向があるから、梗塞には用いられない。
 ラクナ梗塞は持続する高血圧が原因となることが多く、実際に高いので、答えは2

47.62歳女性。朝から強いめまい、嘔気が出現。昼頃に洗顔のために歩くと足元がふらつき、水で顔を洗った時にはじめて顔面の左半分の感覚と右手の感覚が鈍いことに気付いた。夕方にはお茶にむせて咳き込むことが多くなり、外来受診時、血圧170/90mmHg、脈拍88/分 整、注視方向性の水平性眼振、構音障害、嚥下障害、左顔面感覚低下、右半身の感覚障害を認めた。明らかな運動麻痺は認めないが、左上下肢の運動失調を認めた。本症例の責任病巣はどれか。
  1 右延髄内側  2 左延髄外側  3 右延髄外側  4 左延髄内側  5 右視床
解答 2
解説 ステップP143
延髄外側症候群と思われる。椎骨動脈の閉塞でおこる。
延髄の外側には、同側顔面の温痛覚をつかさどる三叉神経脊髄路核や、反対側の上下肢の温痛覚をつかさどる外側脊髄視床路がある。また、前庭神経核や舌咽神経核、迷走神経核が虚血に陥れば、それなりの症状がでる。

48.57歳男性。頭痛とともに右上下肢が動かしにくくなり、救急車で来院した。来院時、血圧190/90mmHg、脈拍80/分・整。意識は清明、右不全片麻痺を認めた。頭部CTを図に示す。この症例に関して正しいものはどれか。(左被殻付近にhighな領域が認められた)
  a 著名な縮瞳がみられることが多い
 b 意識障害は軽い
  c グリセロールによる治療を開始する
  d ヘパリンによる抗凝固療法を行う
  e 開頭血腫除去術の適応がある
(1)a,b (2)a,e (3)b,c (4)c,d (5)d,e
解答 3
解説 ステップP130
CT像や片麻痺の有無により、被殻出血と思われる。
脳出血の場合は血圧管理と脳浮腫対策が大事で、グリセロール製剤による浸透圧で浮腫を減らすのがよいと思われる。血圧が高いので、手術は危険なのか??
P130の表から被殻出血は意識障害が軽いとあった。抗凝固療法は出血しているので×

49.60歳男性。一ヶ月前より一分以内の右上下肢脱力を認めていた。左頚部雑音および起立性低血圧を認める。この症例について正しいものを3つ選べ。
1左内頚動脈狭窄がある
2一過性脳虚血発作である
3甲状腺腫がある
4閉塞性動脈硬化症である
5動脈硬化の危険因子を検索する必要がある
解答 1、2、5
解説 ステップP149
一過性脳虚血発作と思われる。内頚動脈系の虚血の際は、片麻痺が生じうるし、左頚部に雑音が聞こえるので、ここに狭窄があると考えてよい。
  
50.70歳女性、家で倒れているところを家族に発見された。意識障害、右片麻痺、運動性失語を認め、救急車にて来院した。血圧170/90mmHg、脈拍88・整、緊急頭部CTを撮影した。以下の選択肢から適当なものを選択せよ。
CT:左側頭葉中大脳動脈還流域全体がlow density
1.血栓溶解療法を行うために、緊急頭部血管造影検査を行う。
2.心電図モニターを行い不整脈を検索する。
3.出血性梗塞を起こしやすい。
4.経胸壁心臓超音波検査にて左房内血栓の有無を評価する。
5.急性期にはトロンボキサン合成酵素がよく用いられる。
1.AB  2.AE  3.BC  4.CD  5.DE
解答 3
解説 ステップP141、145
中大脳動脈の塞栓により、意識障害、右片麻痺、特に運動性失語が生じるものと思われる。
さらに救急車で運ばれてきて、24時間たっていないCT像で、低吸収をしめしているので、症状がいっきにでる心原生脳塞栓である可能性が高い。
そう考えると、非弁膜症性心房細動が原因になりうるし、出血性梗塞をおこしやすいので、不整脈の有無も調べる必要性がありそうである。
ちなみに、左房血栓は経食道心エコーを用いるし、トロンボキサン合成酵素は血小板を集積するので不適切かと。

51.VP shuntの先はどこか。
1.側脳室前角 2.側脳室後角 3.側脳室下角 4.第3脳室 5.第4脳室
解答 3
解説 側脳室ではあるのですが、それ以上を書いた記述はありませんでした。ただし左右に一つずつある側脳室のうち通常右側に入れるそうなので、下角でしょうか?

55.MRIにおいてGdで増強されないものは次のうちどれか?
a)脈絡叢  b)下垂体  c)松果体  d)乳頭体  e)海馬
1)ab  2)ae  3)bc  4)cd  5)de
解答 5
解説 下垂体は正常でも増強される。CSFを持つ部位はT1で低信号を示す。a○、b×で選択肢的に5

56.MRI矢状断を図(p18)に示す。矢頭で示される構造物について正しい記述の組み合わせを選べ。(図は問題文中のとおりMRI矢状断で、矢頭は脳梁を指していた)
a)左右視床間を連絡する
b)手術で上方から切開すると側脳室に入る。
c)難治性てんかん、特にdrop attackに対する手術対象部位である。
d)先天性に欠損することがある。
e)海馬と連絡はない。
1)abc  2)abe  3)ade  4)bcd  5)cde
解答 5
解説 
a)×…これは違いますね。
b)×
c)○
d)○…脳梁欠損はよくある先天性奇形だとか。○
e)○…脳梁は海馬とは連絡なし。○

57.急性硬膜外血腫の出血源となる血管が通る頭蓋孔はどれか。
1.上眼窩裂  2.正円孔  3.卵円孔  4.棘孔  5.頚静脈孔
解答 4
解説 急性硬膜外血腫は棘孔を出入り口とする中硬膜動静脈の損傷により起こることが多い。

58.40歳女性。半年前から左聴力低下と耳鳴りを自覚していた。造影MRI(左CP angleにenhanced lesion)を示す。適切な診断名を選べ。
1.聴神経鞘腫  2.髄膜腫  3.血管芽腫  4.星細胞腫  5.膠芽腫
解答 1?
解説 聴力低下と耳鳴りということは神経鞘腫では?CP angle(小脳橋角)は内耳道で発生した腫瘍が続いて増殖しやすい箇所。

59.50歳男性。突然の頭痛、嘔吐で発症。単純CTを図に示す。直ちに行う検査はどれか。二つ。
(a)腰椎穿刺  (b)diffusionMRI  (c)脳血流SPECT  (d)脳血管撮影  (e)helicalCT
画像ないのでいかんともしがたいです。

60.59と連番。クモ膜下で術後におこりえることは?
1.下垂体腫瘍  2.大脳鎌ヘルニア  3.肝硬変  4.水頭症  5.脳血管攣縮
これだけではちょっと無理。

61.65才女性。最近左を向くとものが二重に見えるようになった。造影CTを示す。この腫瘍の解剖学的指標になる部分を選べ。
(画像が二枚ありました。一枚目は水平断面で、し骨洞がきれいにみえるレベルでした。二枚目は視神経がきれいにみえるレベルでした。左の視神経から腫瘍が発生しているように見え、だいたい斜台の左寄りにみえました。)
a蝶形骨  b海面静脈洞  cメッケル腔  d斜台  e大錐体神経
1abc 2abe  3ade  4bcd  5cde
解説 メッケル腔とは何でしょうか…。でも先輩のコメントを見る限り蝶形骨と斜台はポイントになりそうな様子なので答えは3?

62.61の治療法は?
  a)手術で摘出  b)ガンマーナイフ療法 c)定位生検術 d)普通の放射線 e)化学療法
1)a,b 2)a,e 3)b,c 4)c,d 5)d,e
解答 ?

63.7歳男性のMRI T1強調画像を示す。正しいのは?
(何か脳幹部にT1lowのmass、多分astrocytomaかな?)
a. 病変は小脳半球にある。
b. 予後は不良である。
c. 水頭症の合併がしばしば見られる。
d. 痙攣発作がしばしば見られる。
e. 手術により全摘出ができる。
1.a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
解答 3?
解説 1/26、1/27、1/29脳腫瘍授業プリント。先輩のコメントを全面的に信用すると。
a.×
b.○…脳幹部(橋が多い)に発生するastrocytomaは極めて予後が悪い。
c.○…第4脳室を圧迫するため。
d.×…脳幹部の腫瘍では失調や麻痺が主症状。痙攣発作は大脳半球が侵されたときによく見られる。
e.×…選択肢より。脳幹を侵すと難しいでしょう。

64.視力障害と多尿で発症した19歳男性のGd造影MRIを示す。この腫瘍について正しいものを選べ。(画像は正中の矢状断像で脳梁の背側にビミョ〜な色に染まった腫瘤の画像が示されてました。)
1、放射線は無効。2、小脳半球に好発。3、予後は非常に悪い。
4、脊髄播腫性病変を認める頻度が多い。5、髄液中のhCG上昇を認める頻度が多い。
解答 5
解説 (14年度概説の49を参照)視力障害と多尿からは下垂体病変を疑わせる。(視床下部後葉から抗利尿ホルモンが出る、すぐ上には視交叉がある。)10代の男児に好発するのは胚細胞性腫瘍であるジャーミノーマでしょう。松果体に最も多く、下垂体にも好発(下垂体はトルコ鞍に覆われ、上方に浸潤)。胚細胞性腫瘍のうち最も未分化な腫瘍であるため、放射線感受性が高く、5年生存率は90%を超える。
 以上で1〜3は×。また脳室系から遠い腫瘍のため脊髄播種性病変を認める可能性も低いと思われます。ジャーミノーマは胚細胞腫なのでhCGが上昇するのでは。

65.画像は小脳の中央に造映される大きい腫瘍、性別は忘れました。年齢は幼児期くらい?鑑別を2つあげよ。
1髄芽腫 2神経鞘腫 3膠芽腫 4血管芽腫 5上皮腫
解答 1,
解説 1/26、1/27、1/29脳腫瘍授業プリント
1○…小児脳腫瘍の約15%
2×…聴神経腫瘍が多く、小児にはまれ。
3×…小児にはまれ。成人の大脳に好発。
4×…成人の小脳に好発、小児にはまれ。
5○…(上衣腫の誤りと思います。)小児に多い。第4脳室に好発。

66.未破裂動脈瘤について正しいものを1つ選べ。
1 破裂する確率は年間5%と言われている
2 糖尿病はリスクファクターである
3 多嚢胞性卵巣症候群では破裂しやすい
4 自覚症状は複視や眼瞼下垂である。
5 治療としてはγナイフが適応である。
解答 4
解説
1×…年間1〜2%程度。
2×…未破裂動脈瘤の手術後に症状が顕在化することがあるが、直接のリスクファクターではない。
3×…嚢状の動脈瘤は紡錘状のものより破裂しやすいが、多嚢胞性卵巣症候群との関連は分かりません。
4○…どちらも動眼神経の圧迫による症状。先行して瞳孔散大、対光反射の消失が見られる。
5×…開頭によるクリッピングやコイリングが適応となる。

69.11歳男児。右頭部に硬式野球のボールが当たった。受傷時より強い頭痛あり。2時間後の単純CTを示す。診断は何か。
1)急性硬膜外血腫
2)急性硬膜下血腫
3)外傷性クモ膜下出血
4)脳挫傷
5)脳震盪
(画像は脳底部の出血で3が答え)

70.(69)の症例に関して、今後における治療・検査方針は以下のどれか。
1、ベッド上安静
2、線溶療法
3、開頭血腫除去
4、穿頭血腫ドレナージ
5、血管造影
解答 1
解説
この場合、特発性のクモ膜下出血とは異なり再出血はないので、手術などの治療は必要ない。通常、脳浮腫が起こっていないかどうか、出血が止まったどうかを確認するために入院して繰り返しCTなどを行うらしい。

71.70歳の女性。1ヶ月前に転倒した。最近右手足に力が入らないため受診した。MRI FLAIR画像を示す。正しいのはどれか。
画像所見: 左前頭・側頭葉表面に三日月状の hyperintensity な病変が認められる。
a) アルコール常用者に多い。
b) 両側性であることもまれではない。
c) 開頭手術が必要である。
d) 脳挫傷を伴うため予後は悪い。
e) 病変に被膜はない。
1. (a)(b) 2. (a)(e) 3. (b)(c) 4. (c)(d) 5. (d)(e)
解答 1
解説 外傷による慢性硬膜下血腫ではないかと思われます
慢性硬膜下血腫・・何らかの外傷により大脳皮質と硬膜静脈洞をつなぐ架橋静脈が切れて、くも膜と硬膜の間に出血し、血腫を形成したもの。(新臨床内科学より)
a) ○アルコール常用者によく見られるそうです。
b) ○新臨床内科学では三日月状の血腫が両側に見られました。
c) ×血腫が小さいのなら保存療法をするそうです
d) 脳挫傷をともなっているかどうかはよく分かりません
e) ×血腫による皮膜が形成されているはず

72.生下時より、背部が図のようであった。下肢の動きが悪く、肛門括約筋の動きも悪い。T1強調のMRIを示す。手術はどれを行うか。(*図は二分脊椎で、皮膚の欠損があり、脊髄髄膜瘤です。MRIは水平断で、脳室の著名な拡大を認め水頭症です)
a 脊髄くも膜嚢胞摘出   b 脊髄形成   c 硬膜形成
d PVシャント  e 内視鏡的第3脳室底開窓術
1 a b c 2 a b e 3 a d e 4 b c d 5 c d e
解答 4
解説 小児神経外科(森岡先生)のプリント
Arnold−Chiari奇形の第2型だと考えられます。
二分脊椎と水頭症が合併しているのでその治療
水頭症にはVPシャント。二分脊椎で脊髄髄膜瘤なので脊髄形成と硬膜形成が必要だと思います。
内視鏡的〜は閉塞性水頭症のときのみの適応らしいです。

76.60歳(位)の男性。仕事の能率の低下を指摘されて来院。MRのフレア画像とMRangioを以下に示す。診断はどれか。(画像上、側脳室萎縮といった典型的なaを思わせる所見ではない。びまん性に萎縮ととるかどうかで悩んだ。angioで血管が全体的に細いように見られる。bを選んだ人が多い模様。)
aアルツハイマー病
b両側中大脳動脈閉塞
cもやもや病
d正常圧水頭症
e両側内頚静脈閉塞
解答 b?
解説 画像がないので全くわかりません。もやもや病はないと思うのですが・・・。

79.25歳、男性。感冒様症状と下痢をおこした。10日後に四肢の筋力が低下し緊急入院。明ら
かな感覚低下はないが、髄液にて蛋白細胞解離を認める。筋電図にてみられる所見は?
 a 振幅の低下
 b ミオトニア(急降下爆撃音)
 c high amplitude and long duration
 d 安静時のpositive sharp wave
 e F波出現の低下
1abc  2abe  3ade  4bcd  5cde
解答 5
解説 飛松先生の脳波のプリント+2/6末梢神経疾患プリント
感冒様症状と下痢に引き続いての急性の運動障害、髄液での蛋白細胞解離
これらはギラン・バレー症候群の症状です。
抗ガングリオシド抗体による末梢神経への攻撃による運動障害です。
a) ×神経原性なので振幅は高くなります
b) ×?選択肢より
c) ○神経原性では長持続・高振幅
d) ○安静時の陽性鋭波(positive sharp wave)は神経原性に特徴的
e) ○F波とは、感覚神経と運動神経を同時に発火させ波が衝突した時に運動線維の興奮が感覚線維のを圧倒することでα運動ニューロンが発火して得られる波形(プリント20ページ)               
運動神経がやられているので、F波は出にくいのではないかと思います。

81.48歳の女性。5〜6年前から月に数回、何か妙な感じがした後、それまでの動作が止まり、30秒間ぐらい口をもぐもぐさせ、手指を動かしたりする発作が起こる。患者は発作中のことは全然覚えておらず、発作以外の時は全く正常に生活できる。本症例のてんかんの臨床病型はどれか。
  1 単純部分発作  2 複雑部分発作  3 欠神発作
  4 ミオクロニー発作  5 強直間代発作

【解答】2
【解説】year note 2004 J-160参照
1 単純部分発作では意識障害も知能障害もない。自律神経症状やTodd's paralysisをきたす。
2 複雑部分発作では意識障害はあるが知能障害はない。自動症(口をもぐもぐさせたり、その場にそぐわない異常行動をすること)を伴い、発作中の行動を忘れる。
3 欠神発作は小児に好発し、数秒間意識消失し、知能は正常である。
4 ミオクロニー発作は1−10歳に好発。意識は保たれ、四肢、体幹屈筋群の対称性の瞬間的攣縮を起す。
5 強直間代発作では突然意識を消失し、呼吸が停止し、眼球が上転する。咬舌、尿失禁を伴う。

82.症例81の脳波所見を示す。以下から当てはまるものを選べ。
(1)右半球性棘徐波 (2)右側頭部棘徐波 (3)両側全般性棘徐波 (4)左半球性棘徐波 (5)左側頭部棘徐波

【解答】2or5?
【解説】図がないので解答作成できません。
  複雑部分発作は側頭部中心みたいではあります。

84.正しいものを選べ。
a、上腕骨内側上顆切除は肘部管症候群に対する手術である。
b、母指対立筋再建には長掌筋を用いる。
c、腱移行では該当する関節可動域が十分保たれている必要がある。
d、Riordan法は尺骨神経麻痺に対する手術である。
e、尺骨神経前方移行は、ギヨン管症候群に対する手術である。
1,abc 2,abe 3.ade 4.bcd 5.cde

【解答】1
【解説】2/3の授業プリント(末梢神経疾患(1))参照
a ○ King法と呼ばれ、尺骨神経の走行をスムーズにする。(5枚目裏)
b ○ Camitz法と呼ばれる。(7枚目裏)
c ○ 腱移行の基本原則は、十分な可動域、MMTはgood以上、移行腱>麻痺腱、移行腱の走行が直線、単一の筋腱を2分して別々の目的に移行することは不可。(7枚目表)
d × 橈骨神経麻痺に対する運動再建。(8枚目表)
e × 肘部管症候群に対する手術。ギヨン管症候群とは尺骨神経管症候群のこと。

85.末梢神経障害について正しいものを選べ。(2001の55に同じ)
 a. neurapraxiaでは自然治癒が望める。
 b. 切断された遠位側の軸索は一旦waller変性におちいる。
 c. 神経の種類によってその回復速度に違いがある。
 d. 神経切断部に少しでも間隙があるときは、神経移植を行った方がよい。
 e. 上位腕神経叢麻痺では、手関節の背屈が障害される。
1.abc  2.abe  3.ade  4.bcd  5.cde

【解答】1
【解説】2/3の授業プリント(末梢神経疾患(1))参照
a ○ 回復に時間がかかる場合のみneurolysis(神経剥離)を行う。(1枚目裏)
b ○ 軸索変性による二次的な髄鞘変性のこと。(口頭)
c ○ 回復にかかる時間は橈骨神経>正中神経>尺骨神経(2枚目表)
d × 届かない時にのみ移植をするとのことなので×でしょう(口頭)
e × 上位腕神経叢麻痺ではC5,6,7の障害により肩関節運動障害と肘関節運動障害をきたす。(2枚目表)

86.58歳女性。慢性リウマチ性関節炎で24年間薬物治療を行っていた。1年前より徐々に階段の上り下りがきつくなっていたが、最近両側上下肢に麻痺が出現してきた。X線レントゲン撮影を行うと、環椎が軸椎より前方向に偏位している所見がみられた。次のうち正しいものを選べ。
a,X線レントゲンは頚椎伸展性側面像が見やすい。
b,上下肢の麻痺は髄節症状である
c,MRI画像は有用ではない。
d,環椎横靭帯の断裂がみられる。
e,第3頚椎以下にも病変が存在することがある。
  1. a b   2. a e   3. b c   4. c d   5. d e
【解答】5?
【解説】
a ×? 選択肢的には×です。
b × 髄節症状は灰白質の障害。ここは白質の障害だと思われるので×でしょう。
c × MRIは非常に有効だと思います。
d ○? 環椎が前方に偏位しているので断裂は考えられます。
e ○? 病変が存在しないとは言えないと思いますが・・・。

87.86の治療について2つ選べ。
1 抗リウマチ薬の変更
2 積極的に頚椎牽引
3 後頭から固定する。
4 固定の際骨移植を行う
5 固定の際靭帯を修復する
【解答】
【解説】 積極的に牽引、はなさそうです。固定と手術が基本のようなので3〜5のうち2つだろうと思いますがはっきりわかりません。

88.核医学を用いた脳機能画像所見について、正しいものの組み合わせをえらべ。
(a)アセタゾラミド(ダイアモックス)負荷は閉塞性脳血管障害の評価に有用である。
(b)パーキンソン病ではF-18DOPA集積が増加する。
(c)Luxury perfusionは亜急性期梗塞でみられ、酸素摂取率が増加する。
(d)アルツハイマー痴呆では側頭・頭頂葉のF-18FDG集積が低下する。
(e)脳梗塞による対側小脳の血流低下は脳代謝の低下を反映したものである。
1)abc 2)abe 3)ade 4)bcd 5)cde
【解答】3
【解説】
a ○ アセタゾラミド負荷は脳循環予備能の評価に用いられます。
b × 基底核での18F-DOPAの取り込みは低下する。
c × Luxury perfusionとは過剰血流、贅沢灌流のこと。血管の自動調節能の消失による。血流は増加するが、酸素摂取量・酸素代謝量は減少している。
d ○ 側頭・頭頂葉の血流・代謝が低下するようです。
e ○ crossed cerebellar diaschisisと呼ばれる現象です。

90.47歳 女性 一過性の頭痛 念のためCTを撮った。 正しいものを選べ
(画像所見:頭頂部の水平断。単純と造影が並んで示された。病変は内部均一。左脳のみに壁に寄り添う形で存在。造影でエンハンスされていた)
1慢性硬膜下血腫 2海綿血管腫 3星細胞腫 4髄膜腫 5転移性脳腫瘍  
【解答】4
【解説】画像がないため確実ではないですがおそらく4だと思います。
1 × 三日月型を示すことが多い。病変は均一ではない。
2 ?
3 × 造影ではエンハンスされません。
4 ○ 均一にエンハンスされます。
5 × ほとんどが皮髄境界に発生します。

91.正しいもの2つ
a 視神経鞘はシュワン細胞である。
b 小脳テント切痕ヘルニアは動眼神経麻痺を起こす。
c 横隔神経は頚髄から出る。
d 迷走神経は頚部では椎骨動脈に沿う。
e 脊髄は第5腰椎で終糸となる。
答え b c
a ×オリゴデンドログリア
b ○H14-45
c ○C4
d ×内頚動脈
e L1~L2

93.(92)の呼吸不全について正しいのはどれか。
a)延髄網様体の変性 b)声帯の麻痺 c)肺炎の増悪 d)呼吸筋の萎縮 e)高炭酸ガス血症

95.75歳男性。2年前より振戦、体動不良が出現。3ヶ月前に転倒し、大腿部を打撲し起立不能となった。その後筋強直、無動が著明となり肺炎で死亡した。剖検脳にて、中脳黒質は退色していた。HE染色標本を示す。(黒質の神経細胞内にエオジン好性の封入体Lewy小体が認められる写真でした。)この疾患について正しいものを選べ。
a 小脳の萎縮が認められる。
b 大脳基底核の萎縮が認められる。
c 大脳基底核内のドパミン濃度は低下している。
d 橋の青班核や延髄背側核にも同様の所見が見られる。
e 前核細胞の萎縮が認められる。
(1) a,b (2) a,e (3) b,c (4) c,d (5) d,e
答え b c
 黒質、Lewy小体→パーキンソン病

96.25才男性。口渇、多尿、全身倦怠感が出現、次第に射精ができなくなり、恥毛脱落を認めたため受診した。頭部CTでは、トルコ鞍上に腫瘍を認め、脳室内に播種があった。 化学療法(エトポシド、シスプラチン)を行ったところ、腫瘍は消失した。腫瘍組織像を示す。診断は何か?
病理組織像:いわゆるtwo cell patternが認められました。
1.下垂体腺種  2.頭蓋咽頭腫  3.胚腫(germinoma) 4.ラトケ嚢胞  5.悪性リンパ腫
<解答> 3
 若い男性、下垂体病変、two cell pattern →ジャーミノーマ

97.大脳半球の腫瘍。クロマチンに富む巨細胞が見られる。この腫瘍の特徴は?
1 血行転移
2 髄膜から発生
3 血管内皮細胞増殖
4 10染色体欠損
5 細胞分裂像はまれ
<解答> 3
クロマチンに富む巨細胞→Gioblastoma

98.57歳男性。異常行動が出現し、対人関係のトラブルが次第に多くなった。2年後、人の会話が理解できないなどの痴呆症状が出現し、異常行動が次第に増悪した。続いてえん下障害が出現し、るいそうをきたし発症後6年で死亡した。脳内に嗜銀球を認める。この症例について正しいものを2つ選べ。
1アミロイドの蓄積が脳内に見られる
2側頭葉の萎縮が激しい
3記憶障害よりも人格荒廃が顕著である
4黒質の神経細胞の脱落が著しい
5痴呆をきたす変性疾患で最も頻度が高い
<解答> 2、3
 人格障害→痴呆、Pick嗜銀球。Pick病。

99.70歳の女性。右目の視力低下を認め、眼科を受診したが異常なしと言われた。2週間後、右上肢の脱力が出現し、さらに2週間後にはつじつまの合わないことを言うようになり、無言無動状態となった。その後、ミオクローヌスも出現し、1ヵ月後に死亡した。MRIで大脳萎縮を認めた。病理所見はよく分からなかったが、プリオン蛋白でも示していたのかな?正しいものを選べ。
a.大脳がどーのこーの・・・。
b.大脳について。
c.β蛋白
d.アミロイド沈着
e.何とかブロット法(サザンブロット法?)
(1)a,b (2)a,e (3)b,c (4)c,d (5)d,e
?ミオクローヌスで大脳萎縮と来ればプリオン病な気がしますが

100.正しいものを2つ選べ。
a.中硬膜動脈の破綻は慢性硬膜下血腫の原因となる。
b.高血圧はラクナ梗塞の原因となる。
c.延髄外側症候群は椎骨動脈の閉塞によることが多い。
d.閉じ込め症候群は内頚動脈〜(忘れた)枝血栓症の慢性期に見られる。
e.視床出血は中大脳動脈からの穿通枝の破綻による。
<解答> b c
b その通り
c Wallenberg症候群。ステップP143
d ステップP98。×みたいです
e 後大脳動脈です


膀胱直腸障害を来たすものはどれか?
1 ALS
2 馬尾神経腫瘍
3 HAM
4 Shy-drager症侯群
5 (忘れた)
<解答> 4
3 △ステップP174。起こすこともあるっぽいんですが
4 ○ステップP200。必発みたいです。

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