聴・嗅・味覚器 平成17年度卒業試験

平成17年11月25日実施(復元)
【1】(1) 伝音系について間違っているのはどれか?
a.内耳腔のガス組成は静脈のガス分圧と同じである。
b.空気と鼓膜の音響インピーダンスはほぼ同じである。
c.耳管の役割は、内耳腔の圧調節と排泄、上咽頭からの逆流防止である。
d.伝音系の増幅機構のうちもっともgain(増幅率)が高いのはてこ比である。
e.内耳腔は10-12歳頃まで発達する。
概説2003と同じ

(2)聴力検査につき正しいものはどれか。
1.自記オージオグラムの鋸歯状波の振幅縮小は補充現象陽性を示す。
2.気導聴力と骨導聴力(A-Bgap)とを比較すれば内耳性・後迷路性難聴を鑑別できる。
3.聴力脳幹反応(ARB)は主観的聴力検査である。
4.語音弁別能(語音明瞭度)は正常人では100%に達する。
5.聴神経腫瘍の患者では一過性閾値上昇(TTS)が認められる。
a)1.2.3  b)1.2.5  c)1.4.5  d)2.3.4  e)3.4.5

(3)良性発作性頭位めまい症について間違っているものは?
1.中枢性である  2.耳石器の石が半器官内に浮遊しているものが大部分である
3.眼振に潜時、疲労現象がある  4.後半器官性と外側半器官性がある
5.Epley法などの理学療法が有効である
1 a  2 b  3 c  4 d  5 e

(4)メニエール病について正しいものはどれか
 (1)発症は発作性で反復性である。  (2)発作の激しいときは意識障害を伴う。
 (3)進行すると温度眼振検査で半規管麻痺(CP)を生じる。
 (4)初期は低音域難聴が多い。  (5)めまいのため、物が二重に見える
a(1,2,3)  b(1,2,4)  c(1,3,4)  d(2,3,4)  e(3,4,5)
<解答> c  平成17年度概説3-4と全く同じ。

(5)Bell麻痺の予後判定に有用な検査はどれか?
1)ウイルス抗体価  2)ティンパノグラム  3)神経興奮性検査(NET)
4)電気誘発筋電図(ENoG)  5)聴力検査
a. 12  b. 15  c. 23  d. 34  e. 45

(6) 純音聴力図を示す。考えられる疾患は?(図は片側の感音性難聴の所見です。)
 a耳小骨離断  b耳硬化症  c突発性難聴  d加齢性難聴  e慢性騒音性難聴
(2003概説に同様の問題あり)

(7)7歳の男児。学校の健康診断で右耳の難聴を指摘され、精密検査目的で来院した。
自覚的に耳痛なく、局所所見で鼓膜の穿孔や耳漏もない。ティンパノメトリーでAd型であった。純音聴力検査を示す。最も考えられるのはどれか。
05概説にあるやつと同一問題

(9)鼓室硬化症について正しいものを選べ
1)中耳炎の後遺症である。  2)耳小骨の可動性が失われることがある。
3)中耳粘膜の石灰化が見られる。  4)アブミ骨の固着が認められることはない。
5)放置しておくと合併症の危険がある。
a)123  b)125  c)145  d)234  e)345

(10)聴神経腫瘍について正しいものはどれか。
1.突発性難聴が初発症状となることがある。
2.Bruns眼振は聴神経腫瘍に特異的である。  3.眼振に潜時、疲労現象が認められる。
4.顔面神経障害を来たすことはない。  5.前庭神経から発生することが多い。
a.1,5  b.3,4  c.2,3,4  d.1,2,5  e.すべて

(11)側頭骨骨折について誤りのものを選べ。
a 縦骨折と横骨折がある。  b 難聴・めまい・顔面神経麻痺などが主症状である。
c 骨折部整復のため緊急に観血的処置が必要になることが多い。
d 難聴は伝音性が多い。  e 髄膜炎を併発することがある。

(13)耳痛をきたす疾患はどれか。
1)急性中耳炎  2)結核性中耳炎  3)滲出性中耳炎
4)慢性化膿性中耳炎  5)ハント症候群
a)1、5  b)1、2、5  c)2、3、4  d)4、5  e)すべて

(14)内耳性難聴をきたすものはどれか。
(1)アスピリン  (2)アミノ配糖体抗生物質  (3)砒素
(4)ループ利尿薬  (5)シスプラチンなどの抗癌剤
a(1)(5)  b(3)(4)  c(2)(3)(4)  d(1)(2)(5)  eすべて

(15)乳幼児乳突洞炎について正しい組み合わせを選べ。
1.耳介しょう立  2.耳後部腫脹  3.高熱  4.耳痛  5.緊急乳突洞削開
選択肢の組み合わせを忘れてしまいました。すみません…
2004年卒試16番とまったく同じ問題です。

(16)顔面神経麻痺の治療について間違っているものは?
a.早期治療と予後は密接に関係する。
b.ステロイド剤はウイルス感染を増悪させるので予後を悪くする。
c.抗ウイルス剤を使用する。
d.発症2ヶ月以上経過した症例に手術加療は無効なことが多い。
e.理学療法が有効である。
解答:b

(17)突発性難聴について正しいものをえらべ。
(1)早期診断が重要。  (2)内耳性難聴である。  (3)めまいは伴わない。
(4)両側性である。  (5)顔面神経麻痺を伴う。
a)1,2  b)3,4  c)2,3  d)1,2,5  e)すべて

(18)真珠腫性中耳炎で正しいものはどれか。
1)再発がある  2)弛緩部穿孔が多い。
3)頭位によって誘発される眼振の向きは一定しない。
4)感音性難聴を伴うことが多い  5)瘻孔症状を伴うことがある。
a.1)2)  b.3)4)  c.2)3)  d.1)2)5)  e.すべて

(19) 難聴を伴わないめまいを起こすのはどれか。
a.前庭神経炎  椎骨脳底動脈不全  メニエル病  外リンパ瘻孔

(20)人工内耳について正しいものを選べ。
a.片側聾に有効である。  b.先天性聾では有効性が示されていない。
c.中枢性難聴でも言葉が聞き取れる。  d.内耳を直接電気刺激する装置である。
e.ペースメーカーと異なり体内器に電池は必要ない。


【2】次の説明文の( )内に適当な語句を入れて文章を完成させよ。
(1)誤嚥とは( )を越えて下気道まで異物が侵入することである。これによって起こる肺炎を( )肺炎という。
(2)パーキンソン病における嚥下障害では、咽喉頭粘膜支配の知覚神経のトランスミッ
ターである( )が減少している。
(3)Wallenberg症候群における嚥下障害では咽頭の( )が低下していることが多く、
外科的治療としては( )の適応となる。
(4)偽性救麻痺タイプの嚥下障害は( )型誤嚥である。
(5)気道防御反射や咽頭期嚥下の惹起には迷走神経の枝である( )が重要な役割を果
たしている。

【3】(1)正しい組みあわせを選べ。
a.小児の声帯結節は難治性で手術適応である。
b.喉頭肉芽腫は声帯の膜様部中央が好発部位である。c.声帯溝症は見た目ほど嗄声はひどくない。
d.特発性声帯麻痺は左側に多い。  e.急性声門炎は声門閉鎖良好で、嗄声も強くない。
1.ab  2.cd  3.abe  4.bcd  5.すべて

(2)正中頚嚢胞について正しいものを2つ選べ
a 甲状舌管の遺残物である  b 第2鰓弓から発生する
c 本体はリンパ組織である  d 放射線感受性が高い  e 舌骨付近に好発する
1.ab  2.ae  3.bc  4.cd  5.de

(3)以下から正しいものを選びなさい
1小児の声帯結節は難知性なので手術が勧められる。
2喉頭結節は声帯膜様部中央に好発する。
3声帯溝症みかけより嗄声が強い。  4特発性声帯麻痺は左に好発。
5喉頭炎(声帯炎)では声門閉鎖は良好で嗄声もない。
選択肢不詳。

(4)下咽頭癌について正しい組み合わせはどれか
a梨状後部癌は女性に多い  b組織的に扁平上皮癌が多い
c放射線照射は有効である  d頚部リンパ節には転移しにくい
1acdのみ  2abのみ  3bcのみ  4a-dのすべて

(5)鼻腔腫瘍について正しい組み合わせはどれか
a副鼻腔癌の亜部位で最も多いのは上顎洞である。
b骨破壊を伴う一側性上顎洞炎では上顎癌を強く疑う。
c上顎癌に対する治療は、放射線−化学療法は用いた集学的治療が一般的におこなわれる。
dアレルギー性鼻炎は花副鼻腔癌のリスクファクターである。
e鼻副鼻腔癌の病理組織学的に最も多いのは腺癌である。
1abc  2abe  3ade  4bcd  5cde

(6)上咽頭癌で正しいのは
a.鼻出血を初発症状とすることがある b.EBウイルスが関与しているといわれている
c.頸部リンパ節転移は稀である  d.治療は手術が第一選択である
1)a,c,d  2)a,b  3)b,c  4)d  5)a,b,c,d

(9)? 58歳の男性、1年前から鼻出血と右耳の滲出性中耳炎を反復していた。2ヶ月前から右頸部に硬い腫瘤が出現し、次第に増大してきた。10日前から複視も出現してきた。最も考えられるのはどれか。
a、蝶形骨洞癌  b、上咽頭癌  c、中咽頭癌  d、上顎癌  e、中耳癌
2005年概説問題と同じ

(11)頚部リンパ節転移について正しいものを選べ。
a.頚部リンパ節転移が疑われた場合、原発巣の検索より先に頚部リンパ節生検を行う。
b.USやCTは頚部リンパ節転移の広がりや血管浸潤の様子を調べることができる。
c.悪性リンパ腫で頚部リンパ節転移が起こることがある。
d.頭頚部癌では、頚部リンパ節転移は起きない。
1.(a.c.d)  2.(a.b)  3.(b.c)  4.(d)  5(a-dすべて)
(解答)3  (解説)a.× まずは原発巣から検索する。b.〇 c.〇 d×頭頚部癌では、頚部リンパ節転移は起きうる。

【4】以下の設問に答えなさい。
症例1.55歳、男性
主訴:鼻閉、鼻出血、眼痛  既往歴、家族歴:特記なし
現病歴:50歳ごろより鼻閉、鼻出血を自覚、徐々に悪化し、微熱、全身倦怠感、眼痛も出現してきたため、近医より紹介受診となる。体重減少は1ヶ月で3kg。近医での尿検査で尿蛋白、血尿陽性であった。初診時所見:鼻背中は発赤、腫脹し、鼻くう内では中鼻甲介が肉芽状で痂皮が付着していた。鼻中隔は穿孔し、粘膜に壊死性肉芽腫を認めた。
設問1.最も疑われる疾患をあげなさい。
設問2.診断に必要な検査をあげなさい。

症例2.53歳、女性
主訴:くしゃみ、鼻閉、水様性鼻汁、目のかゆみ  既往歴、家族歴:特記なし  現病歴:8年前より毎年2月から5月にかけてくしゃみ、鼻閉、水様性鼻汁、目のかゆみが出現していた。2005年も2月下旬より上記主訴が出現してきたため当科外来を受診した。
設問3.最も疑われる疾患をあげなさい。
設問4.診断に必要な検査をあげなさい。
設問5.治療法をあげなさい。

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