臨床遺伝学・遺伝子治療 いつかの追試験

T)カッコ内に適当な言葉を選択肢より選び、解答欄にアルファベット文字で答えなさい。
1. 癌の発生は多段階の(1)の蓄積による
a.癌遺伝子 b.癌抑制遺伝子 c.アポトーシス d.遺伝子変異
2. 癌遺伝子は英語で(2)という。
a.DNA b.oncogene c.supressor gene d.apoptosis
3. 癌の増殖において、癌抑制遺伝子は自動車の部品に例えると(3)の役を果たす。
a.クラクション b.ハンドル c.アクセル d.ブレーキ
4. 癌抑制遺伝子は対立遺伝子の(4)が変異を起こせば癌化する。
a.一つ b.二つ c.三つ d.四つ
5. LOHとは(5)の消失のことである。
a.癌遺伝子 b.癌抑制遺伝子 c.ヘテロ接合性 d.DNA
6. 家族性大腸腺腫症は(6)段階発癌のよいモデルである。
a.一 b.二 c.多 d.全
7. 大腸癌で変異が多く見られる癌抑制遺伝子は(7)である。
a.p53 b.APC c.DCC d.abcの全て
8. 膵癌では(8)遺伝子の変異が高率に認められる。
a.ras b.myc c.fos d.jun
9. 中国およびアフリカにおけるある地域の肝細胞癌の発癌には、(9)が深く関与していると考えられる。
a.B型肝炎ウイルス b.C型肝炎ウイルス c.E型肝炎ウイルス d.アフラトキシン
10. B型肝炎からの肝発癌には(10)蛋白が関与していると考えられる。
a.X b.Y c.Z d.P

【解答】(1)d (2)b (3)d (4)b (5)c (6)c (7)d (8)a (9)d (10)a
【解説】
(1)(2)(3)(4)略 (5)Loss of Heterozygosity(LOH)
(6) (7)APC欠損、p53欠損, K-Ras活性化、β-caatenin欠損、Smad4欠損など。(cf.Step内科6p118家族性腺腫性ポリポーシス)
(8)略 (9)aflatoxin(発癌性カビ毒の一種)cf.戸田新p116
(10)cf.戸田新p850左

U)問いに答えなさい。
(1) 母親がウィルソン病のとき、その子も同じ病気である確率は?
 (ウィルソン病の頻度は1:40000とする)

【解答】1/200
【解説】
Wilson disease・・・cf.朝倉p1143 or Step内科3p111
常染色体劣性遺伝病である。疾患遺伝子をa、正常遺伝子をAとすると、発病者はaaホモであり、一本の染色体がaを持つ確率は200×200=40000より1/200。よって1/200の確率で疾患遺伝子を持つ染色体が2本あるのでヘテロは1/100です。父親がヘテロで、生まれた子供の半分として計算し1/200となるのではと。

父Aa──┬──aa母
  ┌─┬┴┬─┐
  Aa Aa  aa  aa

(2) 相談者(男性)の父親がベッカー型筋ジストロフィーである。相談者本人は、検査の結果、筋ジストロフィーは否定された。相談者の妻(家系内に筋ジストロフィー患者はいない)の体内にいる相談者の子供(性は不明)がベッカー型筋ジストロフィーを発症するかどうかを相談に来た。どのように判断するかについて家系図を書いて説明せよ。

【解答】女児はcareer、男児はnormalとなる。
【解説】
Becker型筋ジストロフィー cf.朝倉p2155
Duchenne型は重症型、Becker型は軽症型。dystrophin遺伝子(Xp.21.2)の異常による伴性劣性遺伝形式をとる。
父X'Y──┬──XX母
   ┌─┬┴┬─┐
   X'X X'X XY XY
X'・・・変異を含むX染色体

(3) ミトコンドリアDNA異常とtriplet-repeat diseaseの遺伝的・臨床的特徴をそれぞれ簡潔に記せ。

【解答】
ミトコンドリアDNA異常・・・母系遺伝なので、罹患している母からは必ず伝わる。高い突然変異率をもち、ボトルネック効果で変異が固定されやすい。
triplet-repeat disease・・・3塩基が反復する。世代を経るにしたがって反復数が増え、重症化する傾向がある。

V)サザンハイブリダイデーション(southern hybridization)の原理とその応用について簡単に示せ。

【解答】略
【解説】サザンハイブリダイデーション≒サザンブロット cf. Essential p322

W)遺伝子の発現様式について、シクロオキシゲナーゼ遺伝子を例にとり簡潔に説明せよ。

【解答】
Cox-1とCox-2の2種類が知られている。Cox−1は非誘導の構成型酵素。Cox-2は誘導型酵素で、炎症部位で誘導される。
cf.NEW薬理p190

X)次の文章の( )の中に当てはまる単語を下の語群の中から選んで文書を完成させなさい。
アミロイド蛋白とはコンゴーレッド染色で染まるβシート構造をとる蛋白質である。それが末梢神経系に沈着するか、中枢神経系に沈着するかで異なる病像を呈する。中枢神経系にアミロイド蛋白の沈着する疾患としては(1)が有名であり、(2)が老人斑を形成して神経細胞の脱落が生じる。(2)はプロセッシングの違いにより40アミノ酸と42アミノ酸からなるものがあるが、(1)の老人斑には(3)が多く含まれており、最近は髄液中のこれらの蛋白の比を調べることで(1)の診断を行うことも可能になった。この他にもいくつかの蛋白質がアミロイド蛋白の形成に関わっていることが分かってきたが、なかでも(1)の高齢発症者に(4)の特有のポリモルフィズムの組み合わせを有する人が多いことが分かった。以上のようにこの疾患の発症前診断がある程度可能になってきたため、根本的な治療法のない現在ではやたらと発症前診断を行うことが社会的問題となりつつある。しかしその一方、この神経難病に対する病態解析への道が次々と開けつつあることも事実である。
 数々の遺伝性神経内科疾患の中には、ゲノム内の3塩基繰り返し配列の回数が疾患の発症と大きく関わっているものがある。そのようなものは最近リピート病と呼ばれるようになってきた。痙性対麻痺と小脳症状、下位運動ニューロン障害や末梢神経障害など多彩な臨床症状を呈しポルトガルのアゾレス諸島と日本に多く認められる(5)、進行性の痴呆と特異的な不随意運動(chorea)が特徴的な(6)、ヨーロッパよりアジアに多く見られ、小脳症状とミオクローヌスの認められる(7)、筋肉にミオトニア現象の見られる(8)などがある。ここにあげたリピート病の中では、(8)以外のものでは3塩基対繰り返し配列が遺伝子の(9)の部分にあり、ポリグルタミン鎖が中枢神経系に変性を引き起こすことが実験動物で確認されている。リピート病では世代を経るに従って繰り返し配列が延長することが多いが、そうなると臨床的に発症年齢は早くなり、症状も重篤になる傾向がある。この現象を(10)という。

〔選択語群〕
(イ)β蛋白  (ロ)prion repeated protein(PrP)  (ハ)Cystatin-C 
(ニ)トランスサイレチン(プレアルブミン)  (ホ)サイコシン 
(ヘ)アポリポ蛋白B  (ト)アポリポ蛋白E  (チ)40アミノ酸 (リ)42アミノ酸 
(ヌ)Dentatorubropapllidoluysian atrophy(DRPLA) 
(ル)Machado-Joseph病  (ヲ)筋緊張性ジストロフィー
(ワ)Charcot−Marie−Tooth病(CMT)  (カ)Huntington舞踏病 
(ヨ)Fabry病  (タ)Kennedy-Alter-Sung症候群(KAS; Bulbospinal muscular atrophy) 
(レ)Crow-Fukase症候群  (ソ)アルツハイマー病 
(ツ)Gerstmann-Straussler-Scheinker病(GSS) (ネ)Creutzfeldt-Jakob病 
(ナ)5´非翻訳領域  (ラ)3´非翻訳領域  (ム)イントロン  (ヰ)エクソン 
(ノ)contamination  (オ)retrospection   (ク)anticipation (ヤ)retropulsion

【解答】(1)ソ (2)イ (3)リ (4)ト (5)ル 6)カ (7)ヌ (8)ヲ (9)ラ (10)ク
【解説】
アルツハイマー病・・・cf.朝倉p1990 、Step内1p100
Machado−Joseph病・・・脊髄小脳変性症のサブタイプ。CAG repeat。cf.朝倉p2007,2012、Step内1p199
Huntington舞踏病・・・cf.朝倉p2002 、Step内1p189
Dentatorubropapllidoluysian atrophy(DRPLA)・・・歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症。CAG repeat。 cf.朝倉p2012 、Step内1p198
筋緊張(強直)性ジストロフィー・・・CTG repeat。 cf.朝倉p2163、Step内1p239
Charcot−Marie−Tooth病(CMT)・・・朝倉p2139、Step内1p224
Fabry病・・・朝倉p2054
Crow-Fukase症候群・・・朝倉p1897
Gerstmann-Straussler-Scheinker病(GSS)・・・プリオン病 朝倉p2023、Step内1p172
Creutzfeldt-Jakob病・・・プリオン病 朝倉p2023、Step内1p169

Y)次の文章で正しいものに○、誤りに×をつけなさい。
1. 血友病Aは伴性優性遺伝である。
2. 血友病Aの重症型の遺伝子異常として、相同組み換えによる遺伝子逆位が最も多い。
3. 血友病Bは凝固第XI因子遺伝子の異常による。
4. von Willebrand因子は血管内皮細胞表面に結合し、凝固を抑制する。
5. 血友病の軽症ではミスセンス変異が多い。
6. von Willebrand disease(vWD)は男性に多い。
7. vWDは出血時間が延長する。
8. 血友病保因者と正常男性との男児では血友病が50%の確率である。
9. 血友病では関節内出血が多く関節拘縮をきたすことが多い。
10. 血友病Aでは第[因子製剤投与によりインヒビターを発症する症例があり、なるべく最初から第[因子製剤は投与せずにバイパス療法を行う。

【解答】(1)× (2)○ (3)× (4)× (5) ○ (6)× (7)○ (8)○(9)○ (10)×
【解説】
血友病hemophilia cf. 朝倉p1908、Step内2p352
伴性劣勢遺伝病。出血時間正常。PT正常。APTT延長。
A型・・・第[因子活性低下
B型・・・第\因子活性低下
いずれも欠乏する凝固因子を経静脈的に補充するのが第一選択。
インヒビター(同種抗体)存在例(5~20%)では補充療法は無効で、活性型プロトロンビン製剤などが用いられる。

von Willebrand disease(vWD)cf. 朝倉p1911、Step内2p355
常染色体優性(劣性)遺伝病。出血時間延長。PT正常。APTT延長

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