救急医療 平成15年度本試験

3、4、13、14、16、18、19、22は授業がないか範囲が違います。また21は試験直前に授業があります。

1.(脳神経外科:宮園正之)以下の文章で正しいものは○、間違っているものには×を記入せよ
1)Japan coma scale(JCS)での2桁とは、何らかの刺激で覚醒する状態を言う。
2)クッシング現象とは脳ヘルニアをきたすほどの頭蓋内圧亢進状態のときに生じる血圧上昇、徐脈のことを言う。
3)急性硬膜下血腫には意識清明期(lucid interval)があることが多い。
4)角膜反射の求心路は三叉神経、遠心路は顔面神経、核は中脳である。
5)除脳硬直肢位とは、上肢が屈曲し、下肢が伸展する肢位を言う。
<解答・解説>脳神経外科 宮園先生  プリント配布なし
1) ○ Japan coma scale…脳の障害部位を判定するのに非常に有効。
@覚醒(1桁の意識障害):大脳皮質障害
A刺激で覚醒(2桁):脳幹と大脳皮質間の障害
B刺激しても覚醒せず(3桁):脳幹障害  (標準救急P238 298)
2)○ 脳ヘルニアには、テント切痕ヘルニア・大後頭孔ヘルニア・帯状回ヘルニアの3種があり、前者2種は脳幹が落ち、呼吸停止となるため致死的。脳ヘルニアをきたすほどの頭蓋内圧亢進状態→血圧上昇・徐脈(Cushing現象)
※ 瞳孔不同などをチェックして早期発見が重要。
3)× 急性硬膜下血腫:脳挫傷、脳表の血管障害で発生。受傷直後から意識障害が出現し、進行性に悪化。
急性硬膜外血腫:硬膜動脈、静脈洞の損傷、骨折部からの出血によって硬膜と頭蓋骨の間に発生する血腫。受傷直後、意識清明期を経て意識が低下(血腫の増大→脳圧迫)。(標準救急P304 305)
4) × 核は橋にある。中脳に核があるのはVとW。
5) × 四肢は伸展、脊柱が弓なりになる。(生理学テキストP98)

2.(心臓外科:益田宗孝)解離性大動脈瘤についての記載の内、誤っているのはどれか。
1)Stanford type Aの解離性大動脈瘤は外科的療法に比し降圧療法の予後が不良である。
2)Stanford type Bの解離性大動脈瘤は内科的治療が第一選択である。
3)Stanford type Bで腸管虚血があれば手術適応である。
4)Stanford type Aで心タンポナーデがある場合は症状の改善を待って手術する。
5)Stanford type Aは緊急手術の適応である。
解答群a.123のみ  b.12のみ  c.23のみ  d.4のみ  e.1〜5の全て
<解答>d
<解説>心臓外科 益田先生 11/15プリント
1)2)○ 6枚目。TypeAは外科治療、typeBは内科治療が第1選択。
3)○ 7枚目。TypeBでも腎・消化管・下肢血流障害があれば早期手術。
4) × 7枚目。緊急手術の適応。
5) ○ 7枚目。

3.(消化器・総合外科:肝臓島田光生)次の記述の中で正しい記述には○、誤っているものには×をつけよ
1)日本外傷学会肝損傷分類のIb型は中心性肝破裂である。
2)日本外傷学会肝損傷分類のVb+HVr型とは、右肝静脈損傷を合併した表在性損傷のことである。
3)銃創による腹部外傷はすべて緊急開腹手術の適応である。
4)右下部の肋骨骨折がある場合、腎損傷を念頭におく必要がある。
5)肝損傷に対する緊急手術の際の出血のコントロールには、Cantlie法が重要である。

4.(周産母子センター新生児内科部門:曳野俊治)新生児仮死の合併症(単なる症状は除く:例けいれん)をひとつずつ答えなさい
答4−1)中枢神経系:
4−2)呼吸器系:
4−3)循環器系:

5.(整形外科:前田健)四肢・脊椎外傷に関し、誤っているものを選べ
(1)開放損傷のgolden hourは約6時間である。
(2)フォルクマン拘縮は前腕のコンパートメント症候群である。
(3)切断指の保存は、冷却した生理食塩水に直接切断指を浸しておく。
(4)頸髄損傷の場合交感神経が優位となり血圧は上昇しやすい。
(5)脊椎の脱臼が判明した場合、その場で緊急に徒手整復を試みるべきである。
解答群a)1,2,3  b)1,2,5  c)1,4,5  d)2,3,4  e)3,4,5
<解答>e
<解説>整形外科 前田先生 11/15プリント
1) ○ 2枚目。開放性損傷において、一期的創閉鎖あるいは一期的骨結合可能な経過時間で、一般的には6時間程度。
2) ○ 4枚目と6枚目。前腕の筋区域の内圧が上昇し、筋および神経に分布する細小血管の循環が傷害されて変性に陥る。
3) × 4枚目。指を生食で浸したガーゼで包む。生食の中に切断指を浸し凍結させることは禁忌。
4) × 7枚目。第5胸髄高位より頭側の脊髄損傷では交感神経が遮断。副交感神経が優位。この結果、徐脈と血管緊張低下による低血圧をきたす。
5) × 7枚目。2次的な脊髄障害を防止し、脊髄の不可逆的変化を最小限にとどめなければならない。

6.(小児科:兼光聡美)次の文章の( )内に適当な語句を下の選択項目A〜Kから選べ
(1)小児は発熱に伴い(@)になりやすいので注意が必要である。
(2)ライ症候群は(A)などのウイルス感染後に発症し(B)が原因の一つと疑われている。
(3)小児の心肺停止の特徴として(C)が原因となることが多い。
(4)発熱後数日経過してからのけいれんは(D)、(E)などを考えなければならない。
(5)乳幼児の呼吸困難で吸気延長を呈するものは(F)などである。
(6)3か月未満の乳児の発熱は(G)の可能性が高く注意が必要である。
(7)(H)が疑われる時にはまず全身骨X線撮影を行う。
(8)乳児の不機嫌の原因として(I)も考えなければならない。
選択肢  A.脳炎  B.クループ  D.腸重積  E.呼吸不全  F.脱水  G.アスピリン
H.被虐待児症候群  I.細菌感染症  J.髄膜炎  K.インフルエンザ
<解答・解説>小児科 兼光先生 9/16プリント
  @F AK BG CE DA EI FB GJ HH ID
1) 小児は成人に比べて体重に占める水分の割合が多い。
2) Reye症候群…プリント2枚目。
3) 1枚目。気道閉塞、呼吸不全が心肺停止の原因となることが多い。
4) 熱性痙攣との鑑別。
5) 3枚目。表4。
6) 3~4枚目。小児感染症は経過が早く重症化しやすいので注意が必要。
7) 5枚目。
8) 6枚目。図4。

7.5と同じ問題につき削除

8.(冠動脈疾患治療部:廣岡良隆)
1)60歳男性が持続する胸痛で救急外来を受診した。まず鑑別すべき重篤な循環器疾患は何か?
(1)僧房弁狭窄症  (2)肥大型心筋症  (3)急性心筋梗塞  (4)大動脈解離  (5)肺塞栓
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345

2)心原性ショックの定義にあてはまるものはどれか?
(1)収縮期血圧が90mmHg未満、または前値より30mmHg以上の低下
(2)暖かい湿潤した皮膚
(3)時間尿量が50ml未満
(4)意識障害
a.134のみ  b.12のみ  c.23のみ  d.4のみ  e.1〜4の全て
<解答・解説>循環器内科・冠動脈疾患治療部 廣岡先生 10/6プリント
  1)e 2)a?
1) 救急外来。胸痛を訴える患者…肺塞栓・急性心筋梗塞・大動脈解離(授業で。)
2) 4枚目。
●診断基準
(1)収縮期圧90mmHg以下、または前値より30mmHg以下
(2)血流量減少の所見(以下の3条件を満たすこと)
a)尿量・・・20ml/hr以下
b)意識障害ある。
c)末梢血管収縮の所見、すなわち、皮膚が冷たく、かつ湿潤していること。(ただし、疼痛・薬物・出血による血圧低下を除き、代謝性アシドーシスなどの臓器灌流不全が不整脈・迷走神経緊張状態などを直接原因とせず、30分以上持続する)  治る.comより。
心拍出量減少により血圧は低下するが、代償機構として心拍数増加と末梢血管収縮による血圧を維持しようとする反応が働く。また、容量血管の収縮も起こり、静脈還流を保とうとする代償反応も見られる。末梢血管収縮は、皮膚や筋肉の細動脈で著しく、この結果ショック初期では脳・腎などの重要臓器では皮膚、筋肉に比べ、血流量は比較的維持されている。(標準救急P188)

9.(麻酔科・蘇生科:入田和男→瀬戸口秀一)24歳、男性。交通事故で胸腹部を強打して救急治療室へ搬送された。搬送直後、心電図上55/分の接合部調律であったが、パルスオキシメータは指尖脈波を検出できず、頸動脈も触知しなかった。以下の5項目の内、最初に行うべき処置として適切なのはどれか。
a.胸腔穿刺  b.エピネフリン1mg静脈内投与  c.心嚢穿刺
d.赤血球輸血  e.硫酸アトロピン0.5mg静脈内投与
<解答・解説>救急・集中治療部 瀬戸口先生
授業ではやってないので無視していいと思いますが。
解答:b
エピネフリン:α作用によって末梢血管を収縮させ、冠動脈や脳血管への血流を増加させる。また、β作用によって心筋の収縮力、心拍数を上げる働きがある。

10.(遺伝子・細胞療法部:稲葉頌一)
[1]不適合輸血について正しいものに○、誤っているものには×を付けよ。
1.( )多くの不適合輸血事故で輸血直後には無症状である。
2.( )不適合輸血事故での死亡は高ナトリウム血症による不整脈が原因である。
3.( )不適合輸血事故では急性DICが生じ、腎糸球体が障害される。
4.( )不適合輸血の原因は事務的ミスが多い。
5.( )不適合輸血事故は昼間・通常勤務帯に起きやすい。

[2]高カリウム血症の治療にはどのような方法があるか?正しいものに○、誤っているものには×を付けよ。
1.( )Glucagon−insulin療法
2.( )重炭酸ナトリウム投与
3.( )キレート薬の使用
4.( )マグネシウム投与
5.( )血液透析
<解答・解説>遺伝子・細胞治療部 豊嶋先生 10/4プリント
  [1] 1.× 2.× 3.○ 4.○ 5.× [2] 1.○ 2.○ 3.× 4.×? 5.○
   [1] 1. ABO式血液型不適合…輸血開始直後から。ショック・DIC・急性腎不全・肝障害(高ビリルビン血症・黄疸)→ 多臓器不全
      2. 不適合輸血の死亡報告例の多くは、高K血症である。(第9回赤十字血液シンポジウムより。)
      3. そのとおり。
      4. プリント1枚目。
      5. 1枚目。時間外(夜間、休日)に多い。
   [2] 高K血症に対する治療(標準救急P245)
1. 細胞膜の安定化(血清K濃度は不変)
1) 10%グルコン酸Ca
2. Kの細胞内取込促進(Kの細胞内移動であり、一時的効果)
1) アルカリ化剤投与(重曹:重炭酸ナトリウム)
2) グルコース・インスリン療法
3. Kの排泄促進
1) 利尿薬(腎不全では効果期待できず)
2) イオン交換樹脂
3) 血液透析・腹膜透析・持続血液濾過透析

11.(胸部救急疾患:吉野一郎)
正しいものに○を、誤っているものに×をつけよ。
1( )Flail chestは隣接する3本以上の肋骨が各々2ヶ所で骨折し、flail segmentを形成する。
2( )Flail chestは急性呼吸不全をきたすので、直ちに外科的整復を行う。
3( )外開放性気胸には直ちに胸腔ドレナージを行う。
4( )縦隔気腫では肺損傷を疑う。
5( )横隔膜破裂は早期に開胸して修復する。
6( )緊張性気胸は急性呼吸・循環不全をきたすので、緊急手術の適応である。
7( )初回自然気胸の場合、保存的治療後の再発率は50%である。
8( )外傷性気道損傷は気管分岐部付近に多い。
9( )外科手術は肺血栓症の危険因子である。
10( )気道異物は右気管支系に多い。
<解答・解説>胸部救急疾患・第二外科 吉野先生 11/8プリント
  1.○ 2.× 3.○ 4.○ 5.○ 6.× 7.× 8.○ 9.○ 10.○
1. Flail chest segment:吸気時陥凹・呼気時膨隆
2. 内固定法:気管内挿管または気管切開を行い、陽圧人工呼吸を2~3週間継続することにより、Flail segmentを内側から固定し、胸郭の整復と骨融合を達成しようとするもの。(標準救急P320)
外固定法:ワイヤーやプレートで折れた肋骨を繋げて固定する。
3. 穿通性胸部外傷や爆傷の際見られる。外界の空気が胸壁創を通って自由に胸腔内へ出入りするため、患側肺は高度に虚脱し、呼吸困難・チアノーゼ・低酸素血症を呈する。 治療は深呼気で胸壁創を閉鎖し、閉鎖性気胸としたのち、ただちに胸腔ドレナージを開始する。(標準救急P321)
4. 肺損傷や食道損傷などを疑う。
5. 本来胸腔内は陰圧、腹腔内は陽圧。横隔膜破裂は呼吸と静脈還流に影響を及ぼす。人工呼吸と開胸手術を行う。
6. 2枚目。安静・穿刺脱気・胸腔ドレナージ。
7. 30%。2度目以降は50%。
8. 前胸部に強大な外力を受けた際に両側肺が左右に伸展され、気管・気管支にも左右に張力が作用して気管分岐部に損傷が発生する。(標準救急P324)
9. 2枚目。肺血栓塞栓症の成因。
10. 3枚目。右側気管支のほうが正中からの角度が小さいため。

12.(臨床放射線科:相部仁)
1)次の緊急IVRの記述のうち、正しい文はどれか。
a.夜間、血圧が60/mmHgと出血性ショックを呈した動脈性出血患者に対して、直ちに輸血・輸液を行ったところ、血圧は120/60mmHgまで回復し、全身状態は安定したので、緊急IVRの適応ではないと判断し、一晩様子を見ることとした。
b.肝細胞癌破裂症例に対して、緊急血管造影下に抗癌剤アドリアマイシン30mg+リピオドール5ml及びマイトマイシンC10mg+ゼラチンスポンジ細片にて動脈塞栓療法(TAE)を施行した。
c.気管支鏡下でコントロール出来ない大量喀血症例に対し、緊急血管造影下にゼラチンスポンジ細片にて気管支動脈塞栓術(BAE)を施行した。
d.動脈性出血症例を緊急血管造影下にTAEを行い、止血に成功したが、再出血の恐れもあるため、念のため輸血をしばらく続けた。
e.肝仮性動脈瘤破裂症例において、動脈瘤内に金属コイルを用いてTAEを施行した。

2)下肢深部静脈血栓症における下大静脈フィルターの留置部位はどこか。
a.下大静脈と肝静脈の合流部
b.肝部下大静脈
c.下大静脈と右腎静脈の合流部
d.下大静脈と左腎静脈の合流部
e.下大静脈と腎静脈の合流部の直下

<解答・解説>臨床放射線科 田嶋先生 11/8プリント
  1)c,e 2)e
1) a. × 動脈の再破裂による出血の危険性。
b. × 8枚目。抗癌剤が漏れ出るので不可。
c. ○ 6枚目。
    喀血に対する気管支動脈塞栓術
     気管支拡張症・慢性気管支炎・肺結核などが原因で喀血を繰り返す場合に、気管支動脈までカテーテルを超選択的に入れてゼラチンスポンジや塞栓用金属コイルなどでその部分に血液が流れないようにして出血を止める。   水戸(?)済生会 放射線科HPより。
d. × 輸血は必要ない?
e. ○ 仮性大動脈瘤:大動脈壁が全層または外膜の一部を残して破れ、瘤壁が周りの構造によってかろ うじて保たれている状態。

2) 肺塞栓症のほとんどは下肢の深部静脈血栓症に伴って発生する。下大静脈フィルターは深部静脈から移動する血栓を捕獲するための構造をもつ金属器具である。原則として腎静脈合流部の下方に留置するが、合流部直下まで血栓がある症例では合流部の上方に留置してもよい。(標準救急P102)

13.(法医学:池田典昭)溺水が疑われる意識不明の患者に対する対処法として誤っているのはどれか。
1.溺水の性状によって治療法の選択に注意が必要である。
2.意識不明の原因としては、窒息以外の要因も考える必要がある。
3.治療のためには血中電解質濃度測定が必須である。
4.大量の水を吸引しているので輸液は不要である。
5.一旦回復後は抗生物質の投与が必要である。
<解答>4

14.(精神科:黒木俊秀)次の文章のうち正しいもの2つを下から選べ。
ア)パニック発作の救急治療には、フェノバルビタールの筋肉注射を実施する。
イ)パニック発作では、死ぬかもしれないという恐怖や離人感がみられる。
ウ)外傷後ストレス障害(PTSD)は、災害発生後数日間にみられる不安障害をいう。
エ)災害に伴うPTSDは、被災者の救助活動に従事する者にも生じる。
オ)救急医療で最も遭遇する機会の多い精神障害は、痴呆である。

15.(腹部救急:水元一博)47歳男性。以前から時々上腹部痛があったが放置していた。昼食後に上腹部の激しい痛みを自覚し救急車で来院した。来院時、血圧は80/60、脈搏110/分、38.5度の発熱があった。上腹部にBlumberg signを認めた。以下の中から考えられる疾患を可能性の高いものから順に3つ選びなさい。
1.急性膵炎  2.急性胃腸炎  3.腸閉塞  4.十二指腸潰瘍  5.急性胆嚢炎  6.脾臓破裂
解答群A(123)  B(134)  C(145)  D(156)  E(246)  F(356)
<解答・解説>腹部救急 水元先生 11/17プリント
  解答:C
急性腹症:急激に発症する腹痛を主訴とし、緊急手術の必要性が考慮される病態。
Blumberg's sign=腹膜刺激症状。
急性膵炎…腹痛は左季肋部や心窩部に発し、背中に放散する。本症では、激しい炎症のために発熱をきたす。また、重症の急性膵炎では、誘導されたサイトカインが毛細血管透過性を著しく亢進させ、膵臓周囲や後腹膜腔に大量の滲出液が貯留する。このために循環血漿量は一挙に減少し、循環血漿量減少性ショックを引き起こす。(STEP 消P297)
十二指腸潰瘍…十二指腸が穿孔すれば、激しい腹痛を訴え、あっという間に汎発性腹膜炎を来たす。筋性防御やBlumberg徴候などの腹膜刺激症状も出現。また、穿孔に伴う出血が多ければ、血圧の低下や頻脈を来たし、放置すれば出血性ショックに陥る危険性がある。(STEP 消P68)
急性胆嚢炎…この問題では、治療が遅れたために胆嚢穿孔に至った可能性もある。胆石を有する患者に突然発症。発熱、悪寒、戦慄とともに右季肋部痛を訴える。(STEP P278)
急性胃腸炎、腸閉塞が何で外れるのかわかりませんが、"もう一年分の過去問"と選択肢を比較するとこれしか正解がないので。
急性腹症の定義と腹痛の分類について問題を出されるそうです。

16.(周産期新生児外科救急疾患:田口智章)新生児の外科的救急疾患について正しい組み合わせを選べ
1)胸腹部単純X線写真において頸部(胸部)にcoil upがみられ腹部に消化管ガスが見られない場合は食道閉鎖のGross C型の可能性が高い。
2)Double bubble signは空腸閉鎖に特徴的な所見である。
3)腹壁破裂では肝臓が脱出することはない。
4)新生児胃破裂では立位の腹部単純X線写真にてsaddle bag signが特徴的である。
5)鎖肛では病型診断にInvertographyが有用である。
解答群a)123 b)234 c)345 d)145 e)125 f)全部正しい g)全部間違い

17.(形成外科的救急疾患:海塚安郎)
1.a)症例:救急車で、沸かしている風呂に誤って転落した8歳男児の熱傷患者が搬送されてきた。所見は、右下肢、臀部、右上肢水庖を認め、水庖底は発赤があり、痛がって泣き叫んでいた。その他の部位に、皮下出血、打撲等の異常は無かった。この症例について診断(深度、受傷面積)、及び初療時行うべき処置を3つ箇条書きで記しなさい。

b)症例:外来にて、経過観察中の肝硬変患者が、9月初旬魚の生食をした後に、発熱、ショック、下肢痛が出現し来院。行うべき感染に対する処置と、可能性のある起炎菌を2つ記せ。

2.以下の軟部組織感染症の記載で正しいものに○を誤っているものには×を付けよ。
a.( )壊死性筋膜炎治療の原則は、抗生剤の全身投与である。
b.( )A群連鎖球菌による壊死性筋膜炎発症患者は多くの症例で基礎疾患を持つ。
c.( )非クロストリジウム性ガス壊疽は、極めて急速に進行し、青壮年に多い。
d.( )壊死性筋膜炎の起炎菌は、多くが多剤耐性菌である。
<解答・解説>形成外科的救急疾患 海塚先生 10/4プリント
  1.a)浅達性U度熱傷 25% 輸液・局所療法(冷却)・vital sign check・末梢静脈確保 など。
   b)患肢切断(安全策)・壊死組織の切開、洗浄・抗生剤投与(外科的デブリドマン)・全身管理(血糖管理・
    中心静脈栄養法)など。
    Vibrio vulnificus , Aeromonasu hydrophila
  2. a.×? b.× c.× d.○
  1.a) プリント図2。水疱が形成されるもので、水疱底の真皮が赤色を呈しているものは、浅達性U度熱傷。
     受傷面積は5の法則。右上肢(10%)と右下肢(15%)で計25%。
     治療法はプリントの1~3枚目。
     熱傷患者が搬入されたら…
・ Vital sign check
・ 血液ガス測定:呼吸機能、アシドーシスの有無。
・ 創面冷却と疼痛除去:水道水、氷水
・ 静脈確保
・ 補液の開始:乳酸加リンゲル液投与
・ 局所治療:冷却、洗浄、局所治療剤使用。必要なら減張切開。 などなど。(標準救急P378)
   b) 診断:壊死性筋膜炎
肝硬変を基礎疾患、生の魚介類摂取後に発症…Vibrio vulnificus , Aeromonasu hydrophila
治療は、感受性のある抗生剤の全身投与+十分な範囲の外科的デブリドマン。(プリントより。)
治療:四肢に初発することが多いので、もっとも確実で安全な方法は、早期の患肢切断である。炎症が限局しているものや、免疫不全を認めない症例では、患肢の温存を試みる。この際は、全壊死組織を切開、開放し、頻回に洗浄する。また組織浸透性の良好な抗菌性局所療法剤を使用する。全身管理として、血糖の管理を確実に行い、中心静脈栄養法も併用し十分な栄養投与を行う。炎症が広がれば切断。抗生物質は適切なものを選択使用。多剤併用が必要なことが多い。(標準救急P287)
  2. a. d.…上記のとおり。
    b…持たないことが多い。(プリント3枚目)
    c…ゆっくり。高年齢層。(プリント表6)

18.(周産期母体胎児救急疾患:月森清巳)
1)DICの発生に関連する産科的因子はどれか。
(1)羊水塞栓  (2)前置胎盤  (3)微弱陣痛  (4)羊水過少  (5)常位胎盤早期剥離
解答群a.(1)(2)  b.(1)(5)  c.(2)(3)  d.(3)(4)  e.(4)(5)

2)26才、妊娠28週3日の初妊婦。本日、午前5時に持続性の有痛性子宮収縮と不正性器出血が認められたため、午前6時に救急車にて来院。
来院時現症は、身長158cm、体重58kg(非妊時48kg)、血圧152/94oHg、脈拍82/分、患者の顔面は苦悶様で、理学診では子宮は板状硬であった。内診所見は、外子宮口開大度1cm、展退度50%、先進部は児頭小泉門で下降度−2、子宮口位置は後方、硬度中等度であった。胎児心拍数陣痛図では、心拍数基線は140bpm、一過性頻脈は認めず、遅発一過性徐脈が各子宮収縮毎に出現、基線細変動は消失していた。超音波断層法では、胎盤後血腫像が認められた。診断として正しいのはどれか。
解答群
a.切迫早産  b.前置胎盤  c.常位胎盤早期剥離  d.弛緩出血  e.子宮破裂

19.(血管疾患における救急:伊東啓行)急性動脈閉塞症における特徴的な症状を5つあげよ
 疼痛pain、蒼白paleness、動脈拍動消失pulselessness、運動麻痺paresis、知覚異常paresthesiaの5P

20.(救急医学概論、心肺蘇生法:漢那朝雄)
1.トリアージについての下記の記載のうち、正しいものの組み合わせを選べ。
a.トリアージは、限られた人的・物資資源のなかで、多数の傷病者に最善の医療を施行するために行う。
b.トリアージ分類で、最優先に治療を要する群を示す色は赤である。
c.CPRを必要とする患者の搬送・治療が最優先される。
d.トリアージは一回行えばよい。
e.トリアージを行う者は治療にも積極的に参加すべきである。
解答群1)a,b  2)a,b,c  3)b,c,d  4)a,d,e  5)e

2.病院前救護に関連する下記の記載のうち、正しいものの組み合わせを選べ。
a.病院前救護の質保証のために、メディカルコントロール体制が構築されつつある。
b.高エネルギー外傷患者は、脊柱固定(ネックカラー、ボード)が行われた状態で搬送時間短縮のため直近の病院に搬送されるべきである。
c.救急救命士が現時点で行える医行為の中に気管挿管は含まれている。
d.救急救命士が行える医行為の中に自動体外式除細動器による除細動は含まれている。
e.救急患者の大部分は外来診療のみで帰宅可能である。
解答群1)a,b  2)a,b,c  3)b,c,d  4)a,d,e  5)e

3.以下の記載のうち、誤っているものを一つ選べ
a.災害現場の医療における3Tとは、triage,treatment,transportationである。
b.自然災害対策における一般的原則は、予防、準備、被害の軽減化である。
c.大量の傷病者が発生した場合、災害弱者(小児、女性、老人、貧困層)の治療が最も重要である。
解答群1)a  2)b  3)c

4.心肺停止、心肺脳蘇生に関連する下記の記載のうち、正しいものの組み合わせを選べ。
a.わが国のSIDSのリスクファクターは、仰向け寝、両親の喫煙、人工栄養である。
b.SIDS発生のピークは1歳前後である。
c.一般市民が心肺蘇生法を学ぶ機会は、最近10年間の間に著明に増加している。
d.来年以降を目途に早期除細動の実現のために、講習を受けた一般市民がAEDを使用できる見通しである
e.心停止後、脳の不可逆性変化が始まるのは8〜10分後である。
解答群1)a,b  2)a,b,d  3)c,d  4)a,d,e  5)c,d,e

5.心肺停止、心肺脳蘇生に関連する下記の記載のうち、正しいものの組み合わせを選べ。
a.心肺停止者の社会復帰率について、心静止(Asystole)は心室細動(VF)より高い。
b.VFにより心停止に陥った傷病者が5分後に除細動された場合、その生存退院率は90%程度である。
c.AEDによる除細動では二次災害発生に注意する必要性はほとんどない。
d.AEDの「心尖部」電極パッドは、左鎖骨中線上の乳頭下である。
e.救命の連鎖(The chain of survival)とは、迅速な通報、迅速なCPR開始、迅速な除細動、迅速な二次救命処置である。
解答群1)a,b  2)a,b,c  3)b,c,d  4)a,d,e  5)e

<解答・解説>災害救急医学 漢那先生 9/6 9/16プリント
1. 2)  2. 4)   3.c  4. 3)  5. 5)

1. トリアージ:負傷者を @治療しても回復する見込みの少ないもの、A治療すれば回復が見込まれるもの、B治療しなくても回復するもの、の3つに分け、医療資源をAに集中する戦略を言う。(標準救急P35)
a. 9/6救急医学概論2の2枚目まんま。
b. ・緑タッグ:非緊急・軽症例。緊急度・重症度ともに低く、基本的には外来処置で済む患者。
・ 黄タッグ:非緊急・重症例。緊急度は高くないが、重症患者。
・ 赤タッグ:緊急・非致死的重症例。緊急度も重症度も高いが、致死的でない患者。
・ 黒タッグ:死亡および致死的重症例。心肺停止あるいは致死的重症例で、救命の可能性が極めて低い患者。治療の対象外であり、原則として病院に搬送しない。(標準救急P35)
c. とっても緊急度が高い。
d. 9/6救急医学概論2の3枚目。
e. 多数の患者が同時発生する場合は、一人一人の患者を問題にするミクロ的視点ではなく、多数の患者を救命するマクロ的視点に立つ必要がある。(標準救急P35)

2. a. 救急医学概論1の1枚目。
b. 同ページ。救急医療施設の整備。患者の症状、状態から最適な環境の整った医療施設へ搬送。
c. 救急医学概論2の2枚目。この試験の時点では×やけれど、今現在は研修後ならできる。
d. 救急医学概論2の2枚目。
e. 9/7病院救護体制の1枚目に書いてあるには、全国で51.3%らしい。大部分とは言いがたいですが。

3. a.b. 救急医学概論1の4枚目。
c. 「大量の傷病者が発生した」際にはtriageの原則に基づいて優先順位を決めるのでは。

4. a. 救急医学概論2の3枚目。うつ伏せ寝。
b. 生後2~4ヶ月。
e. 9/16プリント。4~6分後から。

5. 9/16プリント。
a. 7枚目。
b. 5枚目。50%くらい。
c. 5枚目。周囲の安全確認しないと感電の可能性。
d. 5枚目。左中腋窩線上。
e. 2枚目。

21.(外傷、救急患者の診察、急性呼吸不全、多臓器不全とDIC:財津昭憲)次の文章で誤っているものには×、正しいものには○をつけよ
1.( )創と傷の決定的違いは、創は皮膚の開放性機械的損傷であるが、傷は非開放性機械的損傷である。
2.( )外傷治療の戦略は、先ずは緊急度判定〔トリアージ〕で助かる可能性のあるものを選び、次ぎに呼吸、循環、体液、代謝管理の対症療法による救命処置で救命に成功したら、病態に応じた特殊検査で損傷の範囲と程度を見極め、原因治療を施す。
3.( )外傷患者の緊急度の判定は、患者に接ししだい、話しかけながら、息づかい(A:airway)と意識(D:dysfunction of central nervous system)を診て、胸郭の動き(B:breatbing)、皮膚と脈を触れ、外出血(C:circulation)を15秒程度で観察する。異常を感じたら蘇生を開始する。
4.( )外傷患者の蘇生の開始に先立って、外出血や胸部の開放性損傷の有無を確認するために着衣を取り去り、全身を露出(E:exposure)させるが、その後は体温の評価と保温(E:environmental control)が重要で、低体温は生理的な代償機転を破綻させて出血傾向が出現して蘇生が困難になる。
5.( )脳低温療法の目的は頭部損傷の二次的脳傷害の予防により機能的予後の改善である。これにより植物症が減り意識回復例が増えた。
6.( )急性呼吸不全の病態は、肺における酸素の取り込みが不十分なために、細胞では酸素不足のため好気的代謝が営めず、エネルギー不足となり生命の危機的状態になったものである。
7.( )急性呼吸不全の対症療法は血中酸素分圧を取り敢えず上昇させる酸素投与とPEEPで、根本療法は肺酸素化効率を上げる肺血管外水分量を正常化することである。
8.( )肺血管外水分量の正常化は血管からの血漿成分の漏出を止めるために血小板輸血し、全身性炎症反応を抑え、水分とナトリウム投与制限をし、腎機能が保たれているなら利尿を促進させ、腎機能が障害されているなら持続血液濾過透析で積極的に細胞外液を体外に排泄する。
9.( )肺血管外水分量の正常化のために積極的に細胞外液を体外排出している最中に循環血液量不足が顕著になり、まだ急性肺不全が改善されていないならば濃厚赤血球輸血を緩徐に行い、心拍出量と酸素運搬能を正常範囲に維持する。
10.( )全身性炎症反応症候群(SIRS)は、以下の4項目
・体温が36度より低い(<36度)か、または38度より高い(>38度)、
・脈拍は90回/分より多い(>90/min)、
・呼吸数は20回/分より多い(>20/min)か、もしくは、動脈血二酸化炭素分圧が32mmHgより低い(PaCO2<32oHg)、
・白血球数が12,000個/mm3より多い(>12,000/mm3)か、もしくは4,000個/mm3より少ない(<4000/mm3)、もしくは、白血球の幼若球が10%より多い(幼若球>10%)
のうち2項目以上を満たすならば診断される。
<解答>おそらく全て○

22.(顔面、頭頸部領域救急疾患:熊本芳彦)以下の文章で誤っているものを選べ
1.側頭骨骨折では縦骨折に比べ横骨折は主に内耳損傷や顔面神経管損傷が多い。
2.鼻出血では慌てずに気道の確保などを行い、部位の確認と適切な処置が必要である。
3.急性喉頭蓋炎では呼吸困難を生じることがある。
4.気道異物は呼吸困難をすぐに生じない事もあり注意が必要である。
5.顔面骨骨折はXpやCTを撮らないと骨折部位は不明なことが多い。

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