救急医療 平成16年度本試験

平成16年11月26日実施(60分)
問題冊子、解答冊子共にA4。枚数は問題11枚、解答2枚で問題冊子は持ち帰り可。
102人受験、1人不合格。

1.(遺伝子・細胞治療部:豊嶋先生)
1)ABO不適合輸血について正しいものに○を付けよ。
1.( )無意識下の患者で、輸血後の血尿はABO不適合輸血を疑う。
2.( )ABO不適合輸血事故では急性DICが生じ、腎糸球体が障害される。
3.( )ABO不適合輸血事故での死亡は高ナトリウム血症による不整脈が原因である。
4.( )ABO不適合輸血では早期から大量の輸液を行う。
5.( )ABO不適合輸血事故は昼間・通常勤務帯に起きやすい。
<解答・解説>
10月4日前半、不適合輸血の講義。15年度本試験大問10参照
1.2.○?
3.×:ナトリウムではなくカリウム
4.○
5.×:夜間・時間外に起きやすい。

2)輸血副作用に関して正しいものに○を付けよ。
6.( )輸血関連肺障害(TRALI)は輸血後2−3週で発症することが多い。
7.( )検体の取り違えなどのミスによる事故を防止するため、血液型検査は2回行う。
8.( )ABO以外の血液型の違いによる溶血性副作用を防止するため不規則抗体スクリーニングを行う。
9.( )ベッドサイドでの輸血は、医師が1人で行うのが望ましい。
10.( )1歳未満の新生児では、抗体産生能力と赤血球造血の未熟性のため血液型検査で偽陰性になることがある。
<解答・解説>
10月4日前半、不適合輸血の講義。15年度本試験大問10参照
6.×:1−2時間以内
7.8.○
9.×:複数で声を出して確認すべき。
10.○


2.(胸部救急疾患:吉野先生)
正しいものに○を、誤っているものに×をつけよ。
1( )Flail chestは隣接する3本以上の肋骨が各々2ヶ所で骨折し、flail segmentを形成する。
2( )Flail chestは急性呼吸不全をきたすので、直ちに外科的整復を行う。
3( )外開放性気胸には直ちに胸腔ドレナージを行う。
4( )縦隔気腫では肺損傷を疑う。
5( )横隔膜破裂は早期に開胸して修復する。
6( )緊張性気胸は急性呼吸・循環不全をきたすので、緊急手術の適応である。
7( )初回自然気胸の場合、保存的治療後の再発率は20−30%である。
8( )外傷性気道損傷は気管分岐部付近に多い。
9( )外科手術は肺血栓症の危険因子である。
10( )気道異物は右気管支系に多い。
<解答・解説>
11月8日前半、胸部救急疾患の講義。15年度本試験大問11参照
1.○
2〜4.○?
5.○
6.×:開胸すると悪化するので基本的に行わない。
7.○
8.?
9.10.○


3.(臨床放射線科学:田嶋先生)
次の救急疾患のIVRに関する、疾患−画像所見−治療の組合せのうち、正しいものの組合せはどれか。正しいものには○、誤りには×をつけよ。
1( )重症急性膵炎−造影CTにてGrade T、U(厚生労働省重症度判定基準)−FOYを用いた動注療法
2( )骨盤骨折−造影CTで血管外漏出像−金属コイルを用いた経皮的動脈塞栓術
3( )肺塞栓症−下肢静脈造影で陰影欠損像−上大静脈フィルター留置術
4( )IVHカテーテル離断−単純X線写真で上大静脈内異物−スネア型異物回収カテーテルを用いた異物除去術
5( )下部消化管出血−出血シンチグラフィーで集積−バソプレッシン動脈内注入療法
<解答・解説>
11月8日後半、救急時の放射線科的診断・手技。
1.×:GradeW以上の壊死を認める場合に行う。FOY=タンパク溶解酵素阻害剤
2.○
3.×:上大静脈ではなく下大静脈。
4.×?:単純X線では検査しないのでは?
5.○


4.(形成外科的救急疾患:海塚先生)
1)症例:救急隊より自殺企図で自宅で灯油をかぶりライターで着衣の上から火をつけ、家人によりバケツの水で消火された、37歳の女性熱傷患者を搬送したい旨の連絡があり、応諾した。患者は、15分後当院熱傷処置室に搬送されてきた。所見は、顔面、両上肢、躯幹前面は、白色レザー様で、特に両上肢、躯幹前面では、皮膚の硬化が著明であった。また、背部の上半分、右下肢大腿前面は、破れた水庖が認められた。口腔内は発赤し、鼻腔には焼けた鼻毛があり、煤の喀出が見られた。
この症例について診断(深度、受傷面積等)、及び初療時行うべき処置を4つ箇条書きで記しなさい。
<解答・解説>10月4日、形成外科的救急疾患の講義。
診断深度:V度(白色レザー様より)
受傷面積:V度は顔面(9)+両上肢(9×2)+躯幹前面(18)=45%、他にU度も10%以上と思われる。
その他:気道熱傷があり、処置に注意が必要。
初療処置1.冷却
2.気管内挿管
3.冷却
4.静脈路確保・輸液

2)下の軟部組織感染症の記載で正しいものに○を誤っているものには×を付けよ。
1.( )壊死性筋膜炎は、多くは外傷を契機に発症し、予後が悪い。早期診断し、ペニシリン系抗生剤の全身投与が必須である。
2.( )A群連鎖球菌による壊死性筋膜炎発症患者は、多くの症例で基礎疾患を持ち、一旦発症するとその進行は、激烈である。
3.( )クロストリジウム性ガス壊疽は、極めて急速に進行し、青壮年に多い。
4.( )vibrio vulnificusによる、壊死性筋膜炎の発症には季節性、地域性があり、7〜9月の九州の東シナ海に面した地域で多発する。
<解答・解説>10月4日、形成外科的救急疾患の講義。
1.×:ペニシリンには耐性株が多い+外科的デブリドマンが必須。
2.×:基礎疾患はないことが多い。
3.○:ただし早期の治療で予後良好。
4.○:水温20度以上の汽水域で生息する。


5.(外傷外科初期診療:鮎川先生)
外傷患者初期診療に関する文章のうち、正しいものには○、間違っているものには×をつけてください。
1.( )救急隊からの第一報時に損傷部位、損傷の程度を詳細に訪ねる。
2.( )頸椎カラー装着より気道の開放を優先する。
3.( )primary surveyでAに問題があり、気管挿管が困難であれば、輪状甲状間膜穿刺・切開を選択する。
4.( )外傷性ショックの90%以上は出血性ショックである。
5.( )静脈路確保では、中心静脈路が第一選択である。
6.( )切迫するDがあっても、nonresponderで、かつFASTで液体貯留増加があれば、緊急開腹止血術を優先する。
7.( )外傷でおこる閉塞性ショックとしては、緊張性気胸やフレイルチェストを考える。
8.( )primary surveyの循環の異常時撮影するのは、胸写と腹部単純写である。
9.( )primary surveyのABCDEsの"D"は鑑別診断(differential diagnosis)の頭文字である。
10.( )輸液は39度程度に加温する。
<解答・解説>11月10日、外傷初期治療の講義。
1.×?
2.×:頸椎損傷の恐れがあれば極端な頭部後屈は行わない。
3.×?:間膜ではなく靱帯。
4.○
5.×:肘正中皮静脈
6.×:切迫するDがある時はすぐに脳外科医を呼ぶ。
7.○
8.×?:超音波なども。
9.×:Dysfunction of CNS=中枢神経障害の評価
10.○


6.(小児救急:兼光先生)
1)下記より正しいもの2つ選べ。
(a)小児の心肺停止の特徴として不整脈などの循環不全によるものが多い。
(b)乳児の意識レベル点数評価であやして笑うのは1桁で表現される。
(c)乳幼児突然死症候群はそれまでの健康状態、既往歴からその死亡が予測される。
(d)ライ症候群はアセトアミノフェンが原因の一つと疑われている。
(e)被虐待児症候群が疑われる時には全身骨X写真、頭部CTを行う。
<解答・解説>9月16日後半、小児救急疾患の講義。14年度本試験大問8、15年度本試験大問6参照。
(a)×:気道閉塞などの呼吸不全が多い。
(b)○:1桁は刺激していなくても覚醒している状態。あやして笑うのは1。
(c)×:予期されない。
(d)×:アスピリン。
(e)○

2)小児の発熱に関して正しいもの2つ選べ。
(a)小児では腋窩温が37.0度あれば発熱といえる。
(b)3か月未満の乳児の発熱はウイルス感染の可能性が高く、経過観察でよい。
(c)風邪症状を伴わない乳児の発熱は敗血症、尿路感染症などを疑う。
(d)小児は発熱に伴い脱水になりやすいので注意が必要である。
(e)解熱剤の第一選択はアスピリンである。
<解答・解説>9月16日後半、小児救急疾患の講義。14年度本試験大問8、15年度本試験大問6参照。
(a)×:37.0度は平熱。37.5度あれば発熱といえる。
(b)×:細菌感染。3ヶ月未満の乳児の発熱には特に注意が必要。
(c)○:他に中耳炎など。
(d)○:
(e)×:Reye症候群の恐れ。アセトアミノフェンを用いる。

3)下記より正しいもの2つ選べ。
(a)乳幼児に最も頻度が高い痙攣の原因はてんかんである。
(b)発熱後数日してからの痙攣は熱性痙攣を考える。
(c)乳幼児の不機嫌では腸重積、そけいヘルニアなども鑑別する。
(d)意識障害がある患者にはまず髄液検査を行う。
(e)ライ症候群は肝細胞に脂肪変性を伴う。
<解答・解説>9月16日後半、小児救急疾患の講義。14年度本試験大問8、15年度本試験大問6参照。
(a)×:熱性痙攣である。
(b)×:高熱の上昇期に痙攣が起こるのが熱性痙攣。
(c)○:
(d)×:頭蓋内圧亢進状態では禁忌。
(e)○:

4)小児の呼吸困難症状の診察時に正しいもの2つ選べ。
(a)クループ症状がある時、無理に咽頭所見をみることは禁忌である。
(b)喉頭異物の可能性がある時は指で異物を除去する。
(c)吸気延長は気管支喘息を考える。
(d)乳児では軽い上気道炎症状から急速に無呼吸を含む重篤な呼吸障害へ進行する場合がある。
(e)過換気症候群では応急処置として酸素投与を行う。
<解答・解説>9月16日後半、小児救急疾患の講義。14年度本試験大問8、15年度本試験大問6参照。
(a)○:
(b)×:禁忌。無理に取ろうとしないこと。
(c)×:クループを考える。
(d)○:
(e)×:ペーパーバッグ・リブリージングを行う。

5)小児の事故に関して正しいもの2つ選べ。
(a)タバコ誤飲によるニコチン中毒の致死量は0.1mg/kgである。
(b)灯油誤飲の場合ただちに胃洗浄をおこなう。
(c)ボタン型アルカリ電池の誤飲では腸管穿孔の可能性もあり内視鏡による取り出しなどの処置が必要になる。
(d)気管支異物の胸部所見では聴診で偏側肺の呼吸音の増強、胸写で縦郭の対側への偏位を認める。
(e)気管支異物の特徴として突然発症する咳、喘鳴を認める。
<解答・解説>9月16日後半、小児救急疾患の講義。14年度本試験大問8、15年度本試験大問6参照。
(a)×:1mg/kg
(b)×:
(c)○:
(d)×:呼吸音は減弱、または消失。
(e)○:それと発熱。


7.(法医学:池田先生)
次のうち、明らかに異状死体であるのはどれか。○をつけよ。
1.( )昨日、上気道炎と診察した乳児が、心肺停止状態で搬送された
2.( )喘息発作により救急搬送された患者が窒息死した
3.( )傍らにインシュリン注射器があった糖尿病患者が死亡状態で搬送された
4.( )救急搬送患者がCT検査で病的くも膜下出血が発見された
5.( )肝硬変患者が吐血し、窒息状態で搬送された
<解答・解説>10月27日前半、救急医療に必要な法医学的知識の講義。14年度本試験大問4参照。
3は確実かと思いますが他はよくわかりません。1,4,5に関しては「死んでないじゃないか。」という意見も…。


8.(循環器:廣岡先生)
急性冠症候群について正しいものを選べ。
1.( )プラークの破綻と血栓形成がその基本的な病態と考えられている。
2.( )急性心筋梗塞は含まれるが不安定狭心症は含まれない。
3.( )発症直後は、生化学的マーカーは有用ではない。
4.( )冠動脈造影はなるべく待って行うべきである。
5.( )抗血小板薬は冠動脈造影が終わってから投与すべきである。
<解答・解説>10月6日前半、急性冠症候群の講義。
1.○
2.×:両方と虚血性心臓突然死が含まれる。
3.×:トロポニンなどは比較的迅速に上昇。
4.×:疑わしければ早期に実施。
5.×?

急性冠症候群に際して冠動脈造影を行う場合、正しいものを選べ。
6.( )責任病変をすぐにバルーンで拡張すべきである。
7、( )血行動態が不安定であっても大動脈バルーンパンピングは使用しない。
8.( )心電図上STが上昇していないと冠動脈造影の適応は無い。
9.( )責任病変の拡張が成功すればTIMI grade3の血流再開が得られる。
10.( )末梢塞栓症を防止することが重要視されている。
<解答・解説>10月6日前半、急性冠症候群の講義。
6.×?
7.8.×
9.○:TIMI grade3=造影遅延なく末梢に血流がある状態。
10.○


9.(急性腹症:水元先生)
急性腹症に関する以下の記述のなかから正しいものを3つ選び○をつけなさい。
1.( )十二指腸潰瘍の腹痛は、空腹時に発生することが多い。
2.( )急性胃腸炎はもっとも代表的な急性腹症である。
3.( )関連痛・放散痛とは、原疾患による体性痛が周辺の関連する臓器へ広がった痛みのことである。
4.( )尿管結石による腹痛は、尿管平滑筋の収縮に伴う内臓痛である。
5.( )Blumberg signが存在する場合は、腹膜炎の存在を意味する。
6.( )絞拒性イレウスの場合は、絶食などの保存的治療で完治する場合が多い。
<解答・解説>11月17日後半、腹部救急疾患2の講義。
1.○:食べると胃酸が中和される。
2.×:「手術の必要が考慮される」病態ではない。
3.×:臓器ではなく表面に広がる。
4.5.○
6.×:手術を行う。


10.(腹部救急:武富先生)
次の記述に関して正しいものを選び○をつけよ。
1.( )肝被膜下血腫は、肝切除の適応である。
2.( )膵損傷の原因は交通事故によるものが最も多い。
3.( )主膵管の完全断裂を伴う膵損傷は経過観察可能である。
4.( )脾被膜下血腫の経過観察中に遅発性破裂が起こる事はない。
5.( )十二指腸損傷は腹部単純撮影にて診断可能である。
6.( )Morison窩のみに貯留が認められた場合の推定出血量はおよそ600mlである。
7.( )肝複雑型深在性損傷は日本外傷学会肝損傷分類のW型にあたる。
8.( )Letton-Wilson手術とは脾損傷に対する手術術式である。
9.( )広範囲小腸損傷を認めた場合、できるだけ小腸を長く温存する事が重要である。
10.( )腹腔穿刺液中のアミラーゼ値は損傷部位の同定に有用ではない。
<解答・解説>11月17日前半、腹部救急疾患1の講義。
1.×:肝被膜下血腫=Ta型。経過観察を行う。
2.○:いわゆるハンドル外傷。
3.×:手術の絶対適応。
4.×:遅延性脾破裂は数ヶ月たってから起こることもあり注意が必要。
5.×:特に後腹膜腔への破裂は診断しにくい。CTなどを行う。
6.×:Morison窩=肝臓と腎臓の境界。ここに限局する貯留は150ml程度。
7.×:これはV型。W型はないのでは?
8.×:膵頭部の断裂に対する手術術式。
9.○:短腸症候群を防ぐため。
10.×:十二指腸の近くであれば高濃度になる、など。


11.(トリアージ、病院前救護、漢那先生)
1)トリアージについての下記の記載のうち、正しいものの組み合わせを選べ。
a.トリアージは、限られた人的・物資資源のなかで、多数の傷病者に最善の医療を施行するために行う。
b.トリアージ分類で、最優先に治療を要する群を示す色は赤である。
c.CPRを必要とする患者の搬送・治療が最優先される。
d.トリアージは一回行えばよい。
e.トリアージを行う者は治療にも積極的に参加すべきである。
1)a,b  2)a,b,c  3)b,c,d  4)a,d,e  5)e
<解答>2
<解説>9月6日前半、救急医療概説2の講義。15年度概説大問20−1参照。
a.b.○
c.○:CRP=cardiopulmonary resuscitation
d.×:繰り返し行われるべきもの。
e.×:トリアージに専念すべき。

2)病院前救護に関連する下記の記載のうち、正しいものの組み合わせを選べ。
a.病院前救護の質保証のために、メディカルコントロール体制が構築されつつある。
b.高エネルギー外傷患者は、脊柱固定(ネックカラー、ボード)が行われた状態で搬送時間短縮のため直近の病院に搬送されるべきである。
c.救急救命士が行える医行為の中に自動体外式除細動器による除細動は含まれていない。
d.救急患者の大部分は外来診療のみで帰宅可能である。
1)a,b  2)a,b,c  3)b,c,d  4)a,d  5)d
<解答>4
<解説>9月6日前半、救急医療概説1・10月6日後半、病院前救護体制(星川先生)の講義。15年度概説大問20−2参照。
a.○
b.×:搬送後の迅速、適切な処置が行える病院へ。
c.×:2003年4月以降可能になった。
d.○:大部分というのはどうかと…。選択肢より。

3)以下の記載のうち、誤っているものを一つ選べ
a.( )災害現場の医療における3Tとは、triage,treatment,transportationである。
b.( )自然災害対策における一般的原則は、予防、準備、被害の軽減化である。
c.( )大量の傷病者が発生した場合、災害弱者(小児、女性、老人、貧困層)の治療が最も重要である。
<解答>c
<解説>9月6日前半、救急医療概説の講義。15年度概説大問20−3参照。
c.×:「大量の傷病者が発生した」際にはtriageの原則に基づいて優先順位を決めるのでは。

4)心肺停止、心肺脳蘇生に関連する下記の記載のうち、正しいものの組み合わせを選べ。
a.わが国のSIDSのリスクファクターは、仰向け寝、両親の喫煙、人工栄養である。
b.SIDS発生のピークは1歳前後である。
c.一般市民が心肺蘇生法を学ぶ機会は、最近10年間の間に著明に増加している。
d.今年7月以降、早期除細動の実現のために、一般市民がAEDを使用できることとなった。
e.心停止後、脳の不可逆性変化が始まるのは8〜10分後である。
1)a,b  2)a,b,d  3)c,d  4)a,d,e  5)c,d,e
<解答>3
<解説>9月6日前半、救急医療概説2・9月16日前半、心肺蘇生法の講義。15年度概説大問20−4参照。
a.×:仰向け寝ではなくうつぶせ寝。
b.×:2〜4ヶ月がピーク。
c.d.○
e.×:4〜6分後。

5)心肺停止、心肺脳蘇生に関連する下記の記載のうち、正しいものの組み合わせを選べ。
a.心肺停止者の社会復帰率について、心静止(Asystole)は心室細動(VF)より高い。
b.VFにより心停止に陥った傷病者が5分後に除細動された場合、その生存退院率は90%程度である。
c.AEDによる除細動では二次災害発生に注意する必要性はほとんどない。
d.AEDの「心尖部」電極パッドを貼付する位置は、左鎖骨中線上の乳頭下である。
e.救命の連鎖(The chain of survival)とは、迅速な通報、迅速なCPR開始、迅速な除細動、迅速な二次救命処置である。
1)a,b  2)a,b,c  3)b,c,d  4)d,e  5)e
<解答>5
<解説>9月16日前半、心肺蘇生法の講義。15年度概説大問20−5参照。
a.×:VF・pulseless VT>PEA(pulseless electrical activity)>Asystole
b.×:50%ほど。1分ごとに7〜10%下がっていく。
c.×:濡れている傷病者、金属面に接している傷病者の時は特に注意。
d.×:もう少し外側です。
e.○


12.(死、急性呼吸不全、多臓器不全:財津)
下記の記載のうち、正しいものには○をつけよ。
1.( )生物の本質は遺伝子である
2.( )宇宙線や紫外線、スーパーオキサイドで遺伝子に損傷が生じるが、細胞には遺伝子エラーを修復する機構がある。
3.( )遺伝子エラーが蓄積すると老化が引き起こされ、老化の結果として個体は死を迎える。
4.( )細菌やアメーバーは一倍体細胞生物であるので、基本的に死がない。
5.( )二倍体細胞生物は有性生殖で染色体の組み替えと、遺伝子の混ぜ合わせで、その両親とは全く違った新しい遺伝子の組み合わせの個体が生まれる。
6.( )二倍体細胞生物では遺伝子に異常がある場合、および、新しい遺伝子を次世代に残した親は確実に死のシステムで抹殺される。
7.( )細胞死には老化の結果の受動的死と、遺伝子にプログラムされた積極的な寿命によるアポトーシスの死が存在する。
8.( )個体死には病死、事故死、老衰死がある。
9.( )医療の目的は100歳以上の百寿者を増やし、極限寿命まで健康に過ごさせることで、一般医療では病死者を減らすことを、救急医療では事故死者を減らすことを目的にしている。
10.( )死への悪循環は、種々の原因に端を発する(1)意識障害→(2)舌根沈下→(3)換気不全→(4)低酸素血症→低酸素性脳症による(1)意識障害の進行である。
11.( )酸素はミトコンドリア内膜のクリステにある水素伝達系酵素群で水素イオンの代謝に使用され、その時6分子の酸素は1分子のブドウ糖からミトコンドリアの基質のクエン酸回路で作られた24個の水素イオンと反応し、12個の水分子と34個のATPを産生する。
12.( )呼吸管理の目的は酸素運搬能の改善である。酸素運搬量に最も寄与するのは心拍出量で、次は血液中のヘモグロビン濃度で、動脈血酸素分圧上昇による改善効果は1%以内の微々たるものである。
13.( )急性呼吸不全とは肺における酸素の取り込みが障害され、酸素の個々の細胞への酸素の供給が不足し、個々の細胞は十分な好気的代謝が営めずエネルギー不足となり、生物個体としての生命の危機的状態になっているものを指す。
14.( )急性呼吸不全は大別して、1)換気障害、2)肺酸素化障害、3)混合性呼吸障害に大別される。
15.( )換気不全は人工換気の適応である。
16.( )人工呼吸器に出来ることは、1)酸素濃度の調節、2)呼吸リズムの創出、3)強制吸気、4)吸気補助、5)PEEP、6)加湿、の6つである。
17.( )肺酸素化障害は局所的に血流のある虚脱肺胞が存在し、肺内血流シャントが形成されている。
18.( )肺酸素化障害の対症療法は人工呼吸器による高濃度酸素投与とPEEPである。
19.( )肺酸素化障害の根本療法は中枢および末梢の気道管理にある。中枢気道閉塞の原因は気道内分泌物の貯留、気道内異物、気道圧迫などによる中枢気道閉塞である。末梢気道閉塞の原因の大部分は肺血管外水分量の増加である。
20.( )混合型呼吸障害は肺血管系の塞栓性血流障害で、器質的変化を来しているものが多い。
21.( )呼吸停止と心停止があれば臨床死で、蘇生可能な仮死から蘇生不可能な真死まで含む。
22.( )仮死は個々の細胞や臓器は嫌気性エネルギー代謝で辛うじて生きているが、生物個体としては機能停止状態で蘇生の可能性がある。
23.( )真死は個々の細胞のエネルギー代謝の永久的破綻で自己融解が始まり細胞死や臓器死で生物個体として蘇生の可能性が無くなった生物学的死である。
24.( )脳死は人工呼吸管理と循環管理による延命治療が行われることで新たに生じたヒトの死の形態で、脳幹部を含めて大脳皮質機能が不可逆的に永久に停止した状態で、呼吸循環管理を継続しても自発呼吸や意識が回復する可能性のないものを言う。
25.( )全身性炎症反応症候群は、1)高体温>38℃、または、低体温<36℃、2)頻脈>90/分、3)頻呼吸>20/分、または、過換気による低二酸化炭素血症PaCO2<32mmHg、4)白血球増多>12,000/mm3、または、白血球減少<4,000/mm3、または、幼若球増多>10%のうち、二項目以上満たす時に診断する。
26.( )全身性炎症反応症候群はその原因である感染や外傷を治癒するため細胞質でIL1やTNFαが産生し、それに反応している機序であるが、両刃の剣で炎症反応刺激が長期に過剰に持続すると、実質臓器細胞の核内でHMGB1が産生されてアポトーシスを引き起こすので、実質臓器の細胞死→臓器障害→臓器不全→個体死となる。
<解答・解説>11月25日、急性呼吸不全・多臓器不全と脳死の講義。14年度大問18・22、15年度大問21参照。
おそらく全て○。客観的事実であるというより、彼の考えの上で、という意味ですが。

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