院内感染 平成15年度本試験

2004,1.6実施

担当 林 純(12/9 プリント配布がありませんでした)
以下の問いに解答群より選び答えなさい。

 A.1)が正しい B.1)2)が正しい C1)2)3)が正しい D.4)が正しい E.全て誤っている

1.標準予防策として正しい組合せはどれか。
1)血液などを暴露した場合には、上司に報告する必要がある。
2)注射針は他人への感染防止のため、リキャップして捨てる。
3)誤って血液が、創のある皮膚に触れた後は直ちにアルコール綿で拭き取る。
4)採血時の手袋着用は院内感染防止に対する効果はない。
( A  )
1・・・12/14プリント3p 直ちに所属の管理者に報告。
2・・・針刺し事故を防止には、リキャップ禁止+廃棄ボックスの設置+セーフティ製品の導入
3・・・よくわかりませんが、選択肢的にX?
4・・・あります


2.飛沫予防策として正しい組合せはどれか。
1)コホーティングか不可能であれば、患者のベット間隔を2m以上保つか、患者間に仕切りを設ける。
2)対象となるのは麻疹である。
3)医療従事者が入室する時は、手袋を着用する必要がある。
4)聴診器や血圧計は患者専用とする。
( A  )
1・・・飛沫の飛ぶ範囲は約2メートル
2・・・麻疹は空気感染
3、4・・・これらは接触予防のとき?12/7プリント5p


3.空気予防策として正しい組合せはどれか。
1)医療従事者が入室するときは、タイプN95微粒子用マスクを着用する。
2)空気感染とは微生物を含む直径5ミクロン以下の飛沫物が飛散することによって伝播される感染様式をいう。
3)対象となる病原体は水痘などである。
4)聴診器や血圧計は患者専用とする。
( C  )
1・・・飛沫核レベルの微粒子を遮断するのはこのマスク12/20
2・・・飛沫核=5ミクロン以下
3・・・空気感染は麻疹、水痘、結核
4・・・これは接触予防12/7プリント5p


4.接触予防策として正しい組合せはどれか。
1)患者の尿や便は特別な処理は必要ない。
2)排菌患者に直接接触する場合にはガウンを着用する。
3)聴診器や血圧計は患者専用とする。
4)接触予防策が必要な病原体はセラチアなどである。
( 全てただしい?  )
1・・・特に言及されていなかったので、○だと思います。
2・・・濃密に接するときは絶対に必要です。
3・・・12/7プリント5p
4・・・多分そうだと。


5.ウイルス対策として正しい組合せはどれか。
1)緑膿菌は飛沫予防策を適用する。
2)標準予防策とはB型肝炎、C型肝炎、AIDSに適用する。
3)風疹に対しては空気予防策を適用する。
4)A型肝炎の初期では接触予防策を適用する。
( D  )
1・・・緑膿菌は接触感染
2・・・標準予防策は、HBV、HCV、HIV等の血液感染予防のための対策です。
3・・・風疹は飛沫感染
4・・・12/14プリント3 HAVは接触感染


院内感染試験間題(結核) 担当:中西 洋一(12/20)
1.結核の感染様式について正しいものはどれか
a.飛沫感染
b.空気感染
c.水系感染
d.接触感染
e.性感染
選択肢 a b c d e      回答b
  P2・・結核は飛沫核感染


2.ツベルクリン反応が陰転するのはどの場合か
1.加齢
2.初感染2週以内
3.非結核性抗酸菌症
4.重症結核
5.ステロイド全身投与
選択肢 a(1,2,3) b(1,2,5) c(3,4,5) d(2,3,4) e(1,4,5)    回答e
  p3・・ツベルクリンが陰転するのは、
・高齢
・免疫機能低下(AIDS,DM,腎透析、ステロイド、免疫抑制、癌)
・T細胞の病巣動員(重症結核、結核性胸膜炎、サルコイドーシス)
     

3.結核院内感染対策の基本的5要素について、正しくない組み合わせはどれか
a.菌の除去-------隔離・治療
b.菌密度の低下------ホルマリン蒸燻
c.吸入菌数の減少----N95マスク
d.発病の予防--------BCG・化学予防
e.早期発見----------定期検診
選択肢 a b c d e             回答b
  P2・・1.菌の除去:早期発見、隔離、治療
    2.菌密度の低下:換気、紫外線照射、患者のマスク(これは何でもいい)
    3.吸入菌数の減少:職員のマスク(N95)
    4.発病の予防:BCG接種、化学予防
    5.早期発見:定期健診、有症状時の受診と検査


4.以下の結核症のうち、隔離が必要なのはどれか
a.脊椎カリエス
b.結核性胸膜炎
c.気管支結核
d.腎結核
e.結核性髄膜炎
選択肢 a b c d e             回答c
  隔離が必要;肺結核(肺結核、気管支結核、(結核性胸膜炎))
    不必要;肺外結核(粟粒結核、粟粒結核、結核性髄膜炎、腎・腸・皮膚結核、脊椎カリエス、結核性副睾丸炎)


5.我が国の結核感染の疫学要因について正しいものを選べ
1.高齢者で塗抹陽性患者が増加している
2.若い医療従事者の大半は結核に自然感染している
3.室内の密閉度の向上は結核院内感染の防止に有用である
4.診断の遅れは院内感染を広げる
5.気管支鏡検査は院内感染発生のリスクを高める
選択肢 a(1,2,3) b(1,2,5) c(3,4,5) d(2,3,4) e(1,4,5)    回答e
  P1,2,4・・高齢者において、塗沫陽性患者は増加していて、若い医療従事者のほとんどは結核 未感染者。換気、早期発見は、基本的な予防策。ネブライザー、気管支鏡、人工呼吸器は、結核感染に重要な医療器具。


6.結核の院内感染に有用な対策を選べ
1.予防衣着用
2.紫外線照射
3.室内換気
4.マスク着用
5.食器の別使用
選択肢 a(1,2,3) b(1,2,5) c(3,4,5) d(2,3,4) e(1,4,5)      回答d?
  P2・・問題3を参照。


7.結核に感染した場合の対策につき正しいものは
1.化学予防
2.胸部X線による追跡
3.BCG接種
4.隔離
5.2段階ツベルクリン反応
選択肢 a(1,2) b(1,5) c(2,3) d(3,4) e(4,5)    回答 選択肢的にa?
  P4・・結核感染が生じたときの予防は化学予防。BCGは感染する前での予防、2段階ツベルクリン試験は院内感染の予防では?


8.感染危険度指数の算出に必要なものはどれか
1.咳
2.痰
3.熱
4.重症度
5.ガフキー号数
選択肢 a(1,2) b(1,5) c(2,3) d(3,4) e(4,5)    回答b
  感染危険度指数=最大ガフキー号数×咳月
   ガフキー号数・・塗沫検査において、1ccに7000個の菌が存在したとき1号

重要度 感染危険度指数
最重要 10以上
重要 0.1〜9.9
その他 0および、肺外結核

「外科的立場から」試験問題  (12/14)
1.Standard Precautions(広義のUniversal Precautions)の概念を述べよ。(P2)
 既知の感染症または、感染を疑う症状の有無に関係なく、全ての患者の血液、体液、排泄物、病的な皮膚(手術創、潰瘍、熱傷など)、および粘膜を潜在的感染媒体とみなし、これらを適切な手段で隔離して(手袋などの防御用具の使用)感染防止をはかる方策。

具体的対策方法について述べよ。(P2)
患者処置の前後で手洗いをする。手洗い後はペーパータオルを使って乾かす。
血液、体液に触れる可能性のあるときは手袋を使用し、もし手に触れたら直ちに流水と石鹸による手洗い、場合によっては消毒する。
血液、体液が飛び散る可能性のある場合は、プラスチックエプロン、マスク、ゴーグルなどの防御用具を使用する。
感染性廃棄物の分別・保管・運搬・処理を適切に行う。(注射針のリキャップをしない。鋭利器具は使用後直ちに耐貫通性容器に廃棄する。)
手袋をはずした後も手洗いをする。


2.以下の感染症の主な感染経路は空気感染、飛沫感染、接触感染のうちどれか。(P3)
インフルエンザ、結核、MRSA、水痘、麻疹、風疹、O157、VRE
<解答>
空気感染するもの:結核、水痘、麻疹、
飛沫感染するもの:インフルエンザ、風疹、
接触感染するもの:MRSA、O157、VRE

3.針刺し事故を起こした場合、直ちに行うべき対応について述べよ。(P3)
   さした皮膚部分の血液を絞り出す。口腔粘膜からの吸収を防止するため、口ですってはいけない。直ちに所属の管理者に報告し、記録する。


4.CDCの手術部位感染防止ガイドラインに関する以下の記述に対し、それぞれ正しいものには○、間違っているものには×をつけよ。
1)手術部位感染は、手術後7日以内に発症した切開部表層・深層の感染もしくは臓器・腔の感染である。
2)手術部位感染は、外科手術の患者では、術後肺炎に次いで多い院内感染である。
3)遠隔部位の感染は手術部位感染の原因となるため、その感染症が治癒するまで定時手術を延期する。
4)糖尿病患者は血糖値を適切に管理し、周術期を通して高血糖は特に回避する。
5)喫煙は手術部位感染の明確な危険因子であるので、定時手術前の少なくとも30日間は禁煙を指導する。

回答 1・・X  2・・X  3・・○  4・・○  5・・○
解説 1・・術後30日以内(インプラント留置の場合は1年以内)の手術創、体腔・臓器の感染(P6)
   2・・38%を占め最多(P6)
   3・・カテゴリーTA。可能な限り予定手術の前には手術部位から離れた部位の感染症を特定、治療し、遠隔部位感染症を有する患者はその感染症が治癒するまで予定手術を延期する。(P7)
   4・・カテゴリーTB。全ての糖尿病患者で血糖値を適切に管理し、周術期を通じて高血糖は特に回避する。(P7)
   5・・カテゴリーTB。(P7)


5.以下の定義をそれぞれ述べよ。
滅菌とは:(P4)
  全ての微生物を殺滅させるか、完全に除去すること。

消毒とは:(P4)
  人体に有害な微生物の感染性をなくすか、数を少なくすること。


6.滅菌法を三つあげ、それぞれの特徴について記せ。(P4)
滅菌法@.
    高圧蒸気滅菌
   特徴:
    真空にした容器内に飽和水蒸気を送り込み加圧することにより、高温となった飽和水蒸気が被滅菌物と接触して大量の潜熱を放出して急激に過熱し、発生した水分がタンパク凝固を促進して微生物を死滅させる。

   A
    エチレンオキサイドガス滅菌
   特徴:
    EOGが微生物を構成するタンパク質のアルキル化を起こして死滅させる。 

   B
    プラズマ滅菌
   特徴:
    高真空の状態で過酸化水素を噴霧し、そこに高周波でエネルギーを加えると電離したイオンとしての過酸化水素ガスプラズマができる。このプラズマ化により反応性の高いラジカルが生成され、このラジカルが微生物を死滅させる。


7.消毒薬に関する以下の記述に対し、正しいものには○、間違っているものには×をつけよ。(P5)
1)高水準の消毒薬に分類されるグルタラール(サイデックス(R)など)は芽胞やウイルスにも有効で、材質を傷めにくい特徴のため、内視鏡消毒の第一選択薬であるが、毒性が高いため扱いには注意が必要である。

2)次亜塩素醸ナトリウム(ハイター(R)など)はウイルスを含む広範囲の微生物に有効で、低残留性であるので、床などの環境消毒の他、食器の消毒にも用いられる。

3)ポビドンヨード(イソジン(R)など)は芽胞を除く全ての微生物に有効であるので、手術野の皮膚や粘膜の消毒の他、手術器具の消毒にも用いられる。

4)消毒用エタノールは芽胞を除く広範囲な抗微生物スペクトルを示し、速効性であるので広く皮膚及び器具の消毒に使用される。ウイルス一般にも有効であるが、B型肝炎ウイルスには無効とされている。

5)クロルヘキシジン(ヒビテン(R)など)は結核菌、ウイルス、芽胞には効果がないが、皮膚親和性がよく殺菌効果が持続するため広く皮膚消毒に使用されるほか、粘膜にも使用される。

回答 1・・○  2・・○  3・・X  4・・○  5・・X
解説 1・・グルタラールが気化したガスは有害
   2・・次亜塩素酸ナトリウムは金属や、皮膚・粘膜には使用されない。
   3・・ポビドンヨードは腐食性のため、金属、非金属の消毒には用いない。HBVに有効?
   4・・その通り。http://www.kawamoto-sangyo.co.jp/infomation/infosub02.html
   5・・クロルへキシジンは粘膜には用いられない。

8.手術時手洗いの目的を述べよ。(P5)
  手指の皮膚に付着する一過性細菌を極力除去し、常在細菌をも減少させることを目的として行う。手術中に手袋が破損した場合に皮膚に存在する細菌によって術野が汚染されるのを防ぐ。


9.手術前の除毛についての現在の考え方を述べよ。(P6)
  手術前日の剃刀による剃毛は、皮膚損傷から小膿瘍形成につながり、術後感染の原因となる。剃毛するならば手術直前に行う。毛の少ない部分は除毛を行わないことも有効である。除毛の必要な場合は、脱毛クリームまたはバリカンによって除毛する。


内科領域  担当:下野信行(12/7 プリント配布あり)

問題1)
75歳男性。陳旧性脳梗塞、慢性呼吸不全で治療中。今回肺炎を起こしたために内科に入院した。入院後10目目である。入院当初は喀痰が多かったが、現在は少なくなってきた。呼吸状態はやや不良で酸素2l投与中である。軽度の痴呆があって、入院後は経口摂取が困難なために点滴を施行している。ルートとしては、左前腕に末梢の点滴ルートがあって、カルバペネム系抗生物質と抗真菌薬の投与が行われている。さらに右鼠径部から中心静脈栄養が施行されている。また尿量測定のために尿道留置カテーテルが挿入されている。腎部の皮膚に軽度の発赤がある。

あなたは主治医として入院後の病院感染として、どのような感染症を考えますか?(5点)
またその際の起炎菌として、どのようなものを考えますか?(5点)
最後にそれらの予防についても答えなさい(5点)

<解答例>
あなたは主治医として入院後の病院感染として、どのような感染症を考えますか?(5点)

 左前腕の点滴ルートや、右祖頚部の血管ルートからの感染、その他に、尿道留置カテーテルからの感染がかんがえられる。(P5のカテーテル菌欠症でもいいかと。腎部に発赤があるので、呼吸器からの酸素投与からの感染ではないのかと思います。)

またその際の起炎菌として、どのようなものを考えますか?(5点)

 コアグラーゼ陰性ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌、クレブシエラ菌、エンテロバクター、セラチア
 (P6の院内血流感染の起炎菌を参照。腎部の発赤とのことなので、尿路感染を起こすものを選び、抗真菌薬を投与しているので、カンジダは除いています。ただ、これらすべてがカルバペネムに耐性があるかよくわかりませんでした。あと、参考までに、セラチアは、点滴からの感染の具体的事例としてでており、クレブシエラは肺炎桿菌で肺炎からの流れはスムーズなのかなと。)

最後にそれらの予防についても答えなさい(5点)

医療従事者の手指の汚染⇒手洗い、アルコール含有消毒薬
消毒液(消毒綿、消毒綿球)の汚染
薬液の消毒⇒混合後速やかに使用、クリーンベンチ内での薬液調整
接続部の汚染(カテーテル三方活栓の接続部・キャップ、ヘパリンロックアダプターなど)       ⇒クローズドシステムの利用
カテーテル刺入部の汚染⇒フィルムドレッシング
(P5の血流感染防止のためにを参照。この問題は本当に自信ありません。すいません。)

問題2) 以下の記述のうちで正しいものには○、誤っているものには×を記せ。(5点)
(  )院内肺炎の起炎菌として、最も重要なものはペニシリン系を中心に耐性の見られる耐性肺炎球菌である。
(  )院内感染の頻度を減らすには、環境の整備が重要であり、特に床やベッドの手すりなどは中等度の消毒薬で消毒することが重要である。
(  )メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、医療従事者を含めた健常者にも常在していることも多く、培養で検出されたからといって、すべて治療の対象となるわけではない。
(  )院内感染の感染経路としてもっとも頻度の高いものは、飛沫感染であるのでマスクの着用、手洗い、うがいが重要である。
(  )多剤耐性緑膿菌はカルバペネム系、アミノグリコシド系およびキノロン系に耐性を示す緑膿菌をいい、治療薬剤がない点ではMRSAよりも治療に難渋することが多い。

順に ○、X、○、X、○?
1・・P8
2・・環境対策として、床は特別に汚染されない限り、日常的な消毒は不要である。
3・・MRSAは常在菌の一つ
4・・頻度が一番多いのは、接触感染(P4)
5・・P9
カルバペネム(IPM=イミペネム)、アミノグリコシド(AMK=アミカシン)、キノロン(CPFX=シプロフロキサシン)の3系統全てに耐性なものが多剤耐性菌。

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