症候学 平成16年度本試験

平成16年度 症候学 本試験
平成17年1月14日実施(110分)
問題・解答用紙はA4で6枚、全て回収。以下は余分に取った問題をデータ化。
102人受験、全員合格。

<1ページ(2内科、飯田先生)>
解答はすべて次ページ下の解答欄に記入すること
1)次の文章で正しいものにはO,間違っているものには×をつけよ
(1)失神とは,意識消失が緩徐に起こり,かつその持続時間が短い状態をいう.
(2)吐血は回腸からの出血でも起こりうる.
(3)十二指腸潰瘍からの下血は,通常黒色便となる.
(4)一般的に1000mlの吐血があれば,意識は混濁し、不穏となる.
(5)新鮮血下血の患者における第一選択の検査は,上部消化管内視鏡検査である.
(6)糖尿病性昏睡では,低血圧となる.
(7)熱射病の意識障害は,低体温性昏睡を呈する.
(8)除脳姿勢の意識障害患者では,高位大脳半球の広範な障害が疑われる.
(9)昏迷とは,うとうとしているが質問には答えることができる状態をいう.
(10)意識障害のない患者では,Glasgow coma scaleは15点となる.
(11)Cheyne-Stokes呼吸を呈する意識障害患者では,呼吸中枢の障害がある.
(12)吐血患者の喀出物は,通常鮮紅色を呈し,泡を含む.
(13)黒色便(melena)は通常,上行結腸より口側の出血で起こる.

<解答・解説>12月20日、吐血・下血・意識障害(飯田先生)の講義プリント。
(1)×:4ページ。意識障害が「突然」起こり、持続時間が短い。
(2)×:1ページ。基本はTreitz靱帯より口側から、まれには回腸から。
(3)○:1ページ。黒色便は通常上行結腸より口側の出血で起こる。
(4)×:2ページ。もっと多量(1500〜2500ml)の出血があったときの症状。
(5)×:3ページ。肛門や直腸からの出血を疑わせるので大腸内視鏡検査など。
(6)○:5ページ。内臓出血、各種中毒、Addison病でも低血圧となる。
(7)×:5ページ。高体温。感染症、頭蓋内傷害でも。
(8)×:最後のページ。これは除皮質硬直の記述。除脳硬直は中脳から橋にいたる重篤な病変。
(9)×:4ページ。これは傾眠の記述。混迷は眠っているようであるが強い疼痛刺激で開眼する状態。
(10)○:5ページ。15点満点。最低(深昏睡)は3点。
(11)○:5ページ。呼吸の深さが次第に増して最大となり、ついで減少して無呼吸となる、という周期をとる呼吸。
(12)×:1ページ。これは喀血の記述。通常暗赤色で泡を含まない。
(13)×:3ページ。黒色便は空腸上部まで。回腸〜右側結腸の出血は暗赤色便となる。


2)次の表の空欄に適切な語句を入れよ.
(A)吐血・下血患者の処置手順
吐血・下血→(14)のチェック
→(15)症状あり→(15)に対する治療
↓(16)確保、血管確保
↓(17)カテーテル挿入、CVPカテーテル挿入
→(15)症状なし→問診・理学所見、ルーチン検査
             ↓
出血源の検索と(18)
(19)検査、血管造影、シンチグラフィー、消化管造影

<解答・解説>12月20日、吐血・下血・意識障害(飯田先生)の講義プリント2ページ。
(14)バイタルサイン  (15)ショック  (16)気道  (17)尿道  (18)止血  (19)内視鏡


<2ページ>
(B)覚醒の臨床的評価法としてよく用いられるJapan Coma Scale(3−3−9度方式)
T.刺激しないでも覚醒している状態
(1桁で示す) 1. (20)とはいえない
2.(21)がある
3.自分の名前,(22)が言えない
U.刺激すると覚醒する状態
(2桁で示す) 10.(23)で容易に開眼する
20.(24)で開眼する
30.痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すとかろうじて開眼する
V.刺激をしても覚醒しない状態
(3桁で示す) 100.(25)に対し,払いのけるような動作をする
200.痛み刺激で少し手足を動かしたり顔をしかめる
300.痛み刺激で反応しない
<解答・解説>12月20日、吐血・下血・意識障害(飯田先生)の講義プリント4ページ。
(20)意識清明  (21)見当識障害  (22)生年月日  (23)呼びかけ
(24)痛み(疼痛)刺激  (25)痛み(疼痛)刺激


<3ページ(1内科、原田先生)>
次の文章は発熱、皮膚、腫瘤、貧血の症候学について述べたものです。( )内に適切な語を入れ、その番号にしたがって下段に記せ。
1.内因性発熱物質としては(1)、IL−1、IL−6、IFNがよく知られており、これらは体温中枢の(2)を刺激し、その結果発熱が生じる。
2.不明熱の原因として最も多いのは感染症であるが、その他に(3)や(4)も重要である。
3.貧血の発生機序には出血および、赤血球の(5)と破壊亢進であり、破壊亢進の代表的疾患は(6)である。
4.貧血は赤血球指数によって、小球性貧血、正球性貧血、大球性貧血に分類されるが、小球性貧血および大球性貧血の代表的疾患はそれぞれ(7)と(8)である。
5.最も高頻度に見られる貧血は(9)であり、MCHは(10)を示す。
6.黄疸は赤血球の破壊により生じた(11)が血中で過剰となり全身の組織に沈着した状態で、血中濃度が(12)mg/dl以上に増加すると眼球結膜の黄染が見られる。
7.種々の原因で止血が困難になると出血傾向がみられる。原因は大きく1)血小板減少による一次止血異常、2)(13)の量的・質的異常による二次止血異常に区別され前者では(14)が、後者では深部出血が特徴的である。
8.リンパ節腫脹は1)感染症による腫脹、2)感染症以外の反応性腫脹、3)悪性腫瘍による腫脹に分類されるが、感染症リンパ節腫で肉芽腫を形成する(15)は最近注目されており、悪性腫瘍によるリンパ節腫脹は(16)が最も多い。
9.脾腫は感染症、膠原病、血液疾患などに伴って見られるが、高度の脾腫がみられるのは血液疾患では慢性白血病と(17)、肝疾患では肝硬変と(18)である。
10.高度の貧血、出血傾向、発熱が遷延する場合、鑑別すべき最も重要な血液疾患は(19)と(20)である。
<解答・解説>1月6日、発熱・貧血(原田先生)の講義プリント参照。
1.(1)TNF−α  (2)PG受容体:1ページ左下。 
2.(3)悪性腫瘍  (4)膠原病:1ページ右中
3.(5)産生障害  (6)溶血性貧血:2ページ左中。
4.(7)鉄欠乏性貧血  (8)悪性貧血:2ページ右下。
5.(9)鉄欠乏性貧血  (10)低値:2ページ左下。
6.(11)ビリルビン  (12)2〜3:3ページ右上。
7.(13)血液凝固因子  (14)紫斑:3ページ下半分。
8.(15)結核  (16)悪性リンパ腫:4ページ左上。
9.(17)骨髄線維症  (18)特発性門脈圧亢進症:4ページ左中。
10.(19)白血病  (20)多発性骨髄腫


<4ページ(3内科、名和田先生)>
1.下記の各設問に適切な言葉を回答欄に記入しなさい。
@血清間接型ビリルビンは肝細胞に取り込まれ(1)抱合し、直接型ビリルビンとなり、毛細血管より胆汁内に排泄され、腸内細菌により還元され、(2)となる。
体質性黄疸を来す疾患として間接型高ビリルビン血症を呈し、間接型ビリルビンの肝細胞への移送障害を来す(3)と、ビリルビン抱合障害を来す(4)と直接型高ビリルビン血症を呈し、ICG試験が高度異常を来す(5)があげられる。
肝外性閉塞性黄疸では尿中ビリルビンは(6)し、糞便は(7)色を呈し、一方溶血性黄疸では尿中ビリルビンは(8)する。
A食欲に重要なホルモンとして脂肪細胞より分泌される(9)は視床下部で作用し食欲を(10)し、一方胃より分泌される(11)は食欲を(12)する。
肥満症の診断にはまずBMI(Body mass index)が(13)以上で、(14)が存在する場合、肥満症と診断する。
2次性肥満として内分泌肥満には(15)、(16)、遺伝性肥満には(17)などがあげられる。
やせを示す疾患として血中ACTH、血中コルチゾールが低下し、中年の人に多い(18)や、30才以下の女性に多く、標準体重の(19)以下のやせを示し、食行動異常を伴う(20)があげられる。

<解答・解説>12月21日、黄疸・肥満(名和田先生)の講義プリント
@(1枚目参照)(1)グルクロン酸  (2)ウロビリノーゲン  (3)Gilbert症候群
  (4)Crigler-Najjar症候群  (5)Rotor症候群  (6)増加  (7)灰白  (8)減少
A(2枚目参照)(9)Leptin  (10)抑制  (11)Ghrelin  (12)亢進
  (13)25  (14)内臓脂肪  (15)クッシング症候群  (16)甲状腺機能低下症
  (17)Prader-Willi症候群  (18)ACTH単独欠損症  (19)20%  (20)神経性食欲不振症

2.次の言葉を200字以内で説明しなさい。
@Courvoisier徴候
ALemmel症候群
BMetabolic syndrome
C標準体重の計算の仕方

<解答例>
@胆嚢より下方の胆管が閉塞することによって胆嚢が無痛性に腫大することで、黄疸を伴う。三管合流部より乳頭側の胆管癌や、膵乳頭部癌ではこれを触知することがあり、通常結石ではおこらない。なぜなら結石では胆嚢は通常損なわれず、拡張しないからである。(ステッドマンなど)

A乳頭部に近い十二指腸憩室では、内容停滞による憩室の膨大により、胆管、膵管を圧迫したり、乳頭部が憩室炎の波及により機能不全を起こして胆汁や膵液の排出障害を起こし、これに起因する胆道・膵疾患の症状を呈することがある。これをLemmel症候群という。(朝倉p1034)

B肥満に高血圧、高脂血症などを伴ったもので、マルチプルリスクファクター症候群、死の四重奏などと同じように使われる。一般に動脈硬化の進展が多く見られ、脳梗塞、心筋梗塞の危険性が高い。単なる肥満ではなく、内臓脂肪肥満といわれ、皮下よりも腹腔内で脂肪量が多い場合が多い。(朝倉p1691)

C身長(メートル)の2乗に22をかけて算出する。また、体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗で割った値はBMI(body mass index)といわれ、体重の評価に用いられる。これは22でもっとも有病指数が低いとされている。22より低すぎる場合は感染症などにかかりやすくなり、高すぎる場合は糖尿病などにかかりやすくなる。


<5ページ(4ページの解答用紙)>

<6ページ(総合診療部、林先生)>
次の各問いについて下記の解答群より選び答えなさい。
A.@Aが正しい  B.@ABが正しい  C.全て正しい  D.Cのみ正しい  E.全て誤っている

1.呼吸器症状に関することで正しい組み合わせを選べ。
@拘束性換気障害は肺・胸隔が硬くなり、肺活量が低下するが、1秒率は低下しない。
Aタンパク量が3.0g/dl以下の胸水は滲出液である。
Bproductive coughがみられる疾患として、間質性肺炎、咽頭癌があげられる。
C喀血は泡沫がみられ、酸性である。

<解答・解説>1月7日、腹痛・呼吸困難(林先生)の講義プリント
@○:講義資料No.1の左下。間質性肺炎など。
A×:No.2の右下。2.5g/dl以下の胸水が濾出液。滲出液は3〜4以上。
B×:No.2の左。いずれもdry coughがみられる疾患。
C×:No.2の左。喀血はアルカリ性。
よって解答は?AかE?


2.次のうち、正しい組み合わせを選べ。
@甲状腺機能低下症は食欲亢進を来す疾患の一つである。
A気管支喘息ではfine crackleが聴診される。
B細菌性肺炎の胸水は漏出液である。
C摂食中枢と満腹中枢は大脳扁桃核にある。

<解答・解説>1月7日、腹痛・呼吸困難(林先生)の講義プリント
@×:No.3中。食欲不振を来す。他にもAddison病、感染症、精神神経学的原因など多い。
A×:No.2右。Wheezesが聴診される。
B×:No.2右。膿性胸水なので滲出性。
C×:満腹中枢…視床下部腹内側核。空腹中枢…視床下部外側部。
よって答えはE。


3.腹痛に関することで正しい組み合わせを選べ。
@関連痛は緊急手術適応のことが多い。
A急性腎孟腎炎は緊急手術の適応である。
B急性腹症とは緊急手術が絶対適応の疾患群である。
C腹部所見で筋性防御は体性痛と関連がある。

<解答・解説>1月7日、腹痛・呼吸困難(林先生)の講義プリント
@×:体性痛なら○かと。
A×:No.4右下。手術は必要としない。
B×:No.4右下。
C○
よって答えはD。


4.次のうち、正しい組み合わせを選べ。
@Treiz靭帯の肛側の出血では吐血しない。
A1000mlの出血があるとタール便になる。
B1500mlの出血があるとショック状態となる。
Cグルクロン酸非抱合型の間接ビリルビンは尿に排泄されない。

<解答・解説>1月7日、腹痛・呼吸困難(林先生)の講義プリント
@○:基本的には。
A○:確証はありませんがおそらく。
B○:No.3右上。軽度から中等度のショック。
C○:アルブミンと結合しているため。
よって答えはC。


5.次のうち、正しい組み合わせを選べ。
@クローン病の病変は非連続性である。
A嚥下障害の原因としてアカラジアがある。
Bmicroglossiaはアミロイドーシスでみられる。
C舌癌は男性に多く、舌尖に多い。

<解答・解説>1月7日、腹痛・呼吸困難(林先生)の講義プリント
@○:No.4左下。潰瘍性大腸炎は直腸から連続。
A○:No.5左上。他に逆流性食道炎、腫瘍など。
B×:microglossia(小舌症)ではなく、macroglossia(巨舌症)が見られる。
C×:男性に多いが部位としては辺縁部に多い。
よって答えはA。

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