腎・高血圧 平成16年度概説試験

2004年度概説試験(獲得)
病理
以下の記述の正誤を解答欄に○×で記入せよ。
1.尿管極に存在する傍系球体装置は、血管平滑筋細胞に由来する顆粒細胞が産生するレニンの生理作用により血中のアンジオテンシン系を介して血中Na濃度、血圧の調節に関与している。
2.腎内に分布する糸球体の全てに病変が存在する場合を彌漫性 diffuse、また個々の糸球体の一部に病変が限局する場合を区域性 segmentalと呼ぶ。
3.増殖性変化を示す糸球体病変では、白血球浸潤、また内皮細胞や上皮細胞の増生が目立つ。
4.半月体crescent形成には、糸球体毛細血管の透過性が破綻して生じるBowman嚢腔内フィブリン沈着と上皮細胞増生が原因となる。
5.腎炎に見られる免疫複合体は、免疫抗体法により係蹄壁に穎粒状に分布することが多いが、Goodpasture症候群では線状分布を示すのが特徴的である。
6.溶連菌感染後糸球体腎炎では、電顕で基底膜内にhumpが出現するのが特徴的である。
7.膜性腎炎の基底膜変化の特徴はスパイクspike形成であり、一方膜性増殖性腎炎では二重膜構造を呈することが鑑別点となる。
8.膜性増殖性腎炎では低補体血症を伴うことが多く、その原因に補体の古典的活性化とともに活性化代替路 alternative pathwayが関与している。
9.膜性糸球体腎炎の多くは特発性であるが、SLE、糖尿病や感染症などに合併することがある。
10.糖尿病に特異的な腎病変は基底膜のびまん性肥厚であり、この変化は本症の臨床経過に良く相関する。
11.DICの微小血栓は腎皮質の間質毛細血管に最も好発する。
12.SLEやWegener肉芽腫症に随伴する腎炎の鑑別には、血中州CA値の上昇とその種別が参考になる。
13.我国に最も多い腎炎型は、IgA腎症である。
14.lgA腎症の糸球体所見としてびまん性のメザンジウム増殖性変化が特徴的である。
15.糸球体硬化症は、特発性は小児に多く、続発性の代表的基礎疾患は糖尿病でネフローゼ症候群の原因となる。

1)○ 2)○3)?4)?5)○ 6)○ 7)○ 8)○ 9)?10)×特異性は低い 11)?12)?13)○ 14)×メサンギウム増殖の部位と程度はさまざま 15)?

小児
問1.腎機能の発達について正しいものを一つ選べ。
A)糸球体は出生後も新生を続ける。
B)GFRは2歳ころまでに成人とほぼ同じレベルに達する。
C)新生児の尿希釈力は成人に比べて低い。
D)尿濃縮力は生後1ヵ月時にほぼ最大に達する。
E)新生児の蛋白尿は正常である。

<解答>B 出生時のGFRは成人の1/5、2週間後には2/5、2ヶ月で1/2、2〜3歳で成人レベル
<解説>A× 在体34週までに糸球体の形成は完了  C× 新生児の尿希釈力は成人レベル
   D× 新生児の尿濃縮力は成人の約1/2、生後約3か月で成人レベル。  E?

問2.小児のネフローゼ症候群について下記の文章より正しいものを二つ選べ。
A)小児のネフローゼ症候群の約9割が原発性腎疾患で、その内微小変化型ネフローゼ症候群が約50%を占める。
B)微小変化型ネフローゼ症候群の好発年齢は3〜6歳で、男女比は約2:1で男児に多い。
C)微小変化型ネフローゼ症候群では電顕所見として上皮細胞下に特徴的なhumpがみられる。
D)重大な合併症である血栓症は腎動脈に多い。
E)微小変化型ネフローゼ症候群の9割以上はステロイド剤に反応し完全寛解するが、その7割は再発し、2〜4割程度がステロイド依存性、頻回再発する。

<解答>B、E
<解説>A× 微小変化型ネフローゼ症候群が約85%を占める。
   C× 電顕で糸球体上皮足突起の癒合がみられる。   D× 合併症:腎静脈血栓症

問3.Henoch-SchoIein紫斑病について下記の文章より正しいものを二つ選べ。
A)三大症状とは、皮膚症状、腹部症状、腎炎症状である。
B)全身性の血管炎がその病態と考えられ、細静脈を主病変とする。
C)出血時間、凝固時間の延長とともに、凝固第]V因子活性の低下がみられることがある。
D)腎炎の合併は約10%である。
E)腎炎合併例では糸球体のメサンジウム領域にIgA腎症と同様のIgAの沈着がみられる。

<解答>B、E
<解説>A× 3主徴は皮膚症状、関節症状、腹部症状。
   C× 出血時間、凝固時間は正常。 D× HSPの40〜80%に尿異常が見られると報告されている。

問4.下記の文章より正しいものを二つ選べ。
A)溶血性尿毒症症候群(HUS)の三徴は、下痢症、溶血性貧血、腎障害である。
B)HUSは腸管出血性大腸菌感染症(VTEC)感染症者の約80%に発症する。
C)ネフリン(nephrin)は糸球体上皮細胞足突起間のスリット膜部に存在する蛋白で、先天性ネフローゼ症候群のフィンランド型(finish type)はこの異常により発症する。
D)先天性腎性尿崩症U型では集合尿細管の管腔側の水チャネル(aquaporin2:AQP2)の遺伝子異常が指摘されており、常染色体劣性遺伝形式をとる。
E)小児慢性腎不全の原因として腎尿路奇形の頻度は低い。

<解答>C、D
<解説>A× 3主徴は溶血性貧血、血小板減少、急性腎機能障害。
   B× 10%に発症する。   E× 腎尿路奇形が最多である。

問5.次の文を読み、以下の問いに答えよ。
13歳の女児。学校集団検尿で蛋白尿と血尿を指摘され来院した。身体的には異常を認めない。血圧128/70mmHg、尿所見(来院時):蛋白3+、潜血2+、沈渣に赤血球25〜40/1視野、白血球6〜8/1視野、穎粒円柱1/1〜2視野。血清生化学所見:総蛋白6.8g/dl、尿素窒素16.3mg/dl、クレアチニン0.9mg/dl、総コレステロール200mg/dl。CH50 10単位以下。ASO 300単位。

1.診断のためにまず行うのはどれか。
A)尿中β2ミクログロブリン測定  B)血清抗核抗体測定  C)超音波検査
D)係静脈性腎孟造影          E)排泄性膀胱造影
2.考えられる疾患はどれか。
1)IgA腎症    2)膜性腎症   3)ループス腎炎   
4)膜性増殖性糸球体腎炎    5)巣状分節状糸球体硬化症
A(1、2)、B(1、5)、C(2、3)、D(3、4)、E(4、5)

1.<解答>?
2.<解答>?

移植
問1.腎臓の解剖について正しいものを選びなさい。
1)尿管は骨盤内で総腸骨動静脈と交差する。
2)右性腺静脈は通常、右腎静脈に環流する。
3)左腎静脈は通常、大動脈の背面を走行する。
4)腎門部で尿管は最も背側に位置する。
A(1のみ)、B(1、4)、C(2、3)、D(1、2、4)、E(1-4すべて)

<解答>?

問3.腎移植について正しいものを選びなさい。
1)腎移植では一般にレシピエントの自己腎を摘出する。
2)ドナー腎動脈が複数の場合でも腎移植は可能である。
3)24時間冷保存後の腎臓は移植可能である。
4)腎移植後も腎性貧血は改善しない。
A(1のみ)、B(1、4)、C(2、3)、D(1、2、4)、E(1-4すべて)

<解答>C

問4.拒絶反応、免疫抑制について正しいものを選びなさい。
1)細胞性拒絶反応は Bcellが主体の拒絶反応である。
2)血液型不適合ドナーからの腎移植にはレシピエントの脾臓摘出術と術前からの血漿交換療法が必要となる。
3)慢性拒絶反応は移植腎血管の慢性線維性狭窄を伴う不可逆性の変化である。
4)サイトメガロウィルスは移植後に肝炎を起こすことが多い。
A(1のみ)、B(1、4)、C(2、3)、D(1、2、4)、E(1-4すべて)

<解答>C

泌尿器
問1.正しい組み合わせを選べ。
1)小児の膀胱尿管逆流(VUR)症例においてはVURが自然消失することがある。
2)VUR患者が末期腎不全に進展することはほとんどない。
3)VURは高齢の女性に発見される場合が多い。
4)VUR患者の管理においては尿路感染の合併に注意を払う必要がある。
A(1、2)、B(2、3)、C(3、4)、D(1、4)、E(1、3)

<解答>D <解説>2× 腎不全に至ることもある  3× 小児に多い。

問2.正しい組み合わせを選べ。
1)VURに伴う腎障害の評価に腎シンチグラフィーが有用である。
2)VURを確認する方法として排尿時膀胱造影が有用である。
3)VUR症例の約9割が腎瘢痕を形成する。
4)尿管口の形態とVURの重症度には相関はない。
A(1、2)、B(2、3)、C(3、4)、D(1、4)、E(1、3)

<解答>B <解説>1× レノグラムが有用。  4×

問3.正しい組み合わせを選べ。
1)VURに合併する尿路感染の起炎菌としてはグラム陽性菌よりもグラム陰性菌の割合が高い。
2)尿路感染がコントロールされていないVUR症例では腎孟腎炎を頻発することがある。3)逆流性腎症の重症度を判定する上で蛋白尿の出現は指標とはならない。
4)VURに伴う腎瘢痕は、多くの場合、成人してはじめて出現する。
A(1、2)、B(2、3)、C(3、4)、D(1、4)、E(1、3)

<解答>A

高血圧
問1.正しい組み合わせを選べ。
1)動脈圧受容体は主に左心房や肺静脈に存在する。
2)腎臓による体液量調節機構は急性血圧調節機構において最も重要な役割を果たす。
3)尾側延髄腹外側野(CVLM)の活動性冗進は交感神経を抑制性に調節し、一方、吻側延髄腹外側野(RVLM)の活動性亢進は交感神経を興奮性に調節している。
4)大動脈および太い動脈の伸展性が低下すると収縮期血圧および脈圧が上昇する。
5)本態性高血圧患者では腎臓の圧利尿曲線は右方に偏位している。
A(1、2、3)、B(1、2、5)、C(1、3、5)、D(2、3、4)、E(2、3、5)、F(3、4、5)

<解答>
<解説>

問2.レニン・アンジオテンシン系に関する記述として正しい組み合わせを選べ。
1)キマーゼはアンジオテンシン1の主な産生酵素である。
2)アンジオテンシンU2型(AT2)受容体の刺激により血管拡張が惹起され、細胞増殖は抑制される。
3)アンジオテンシンUはレニン分泌を抑制する。
4)アンジオテンシン変換酵素は肺胞上皮に特異的に存在する。
5)アンジオテンシン変換酵素阻害薬はブラジキニンの分解を抑制する。
A(1、2、3)、B(1、2、5)、C(1、3、5)、D(2、3、4)、E(2、3、5)、F(3、4、5)

<解答>
<解説>2× 血管は収縮、細胞は増殖される。
   
問3.老年者高血圧の病態に関する記述として正しい組み合わせを選べ。
1)心拍出量、総末梢血管抵抗はいずれも低下する。
2)一般的に拡張期血圧は上昇し、脈圧は減少する。
3)食後低血圧を呈することがある。
4)圧受容体反射機能が低下している。
5)主要臓器における血流の自動調節能の下限域が高圧側にシフトしている。
A(1、2、3)、B(1、2、5)、C(1、3、5)、D(2、3、4)、E(2、3、5)、F(3、4、5)

<解答>F
<解説>1× 総末梢血管抵抗は増加する。   2× 拡張期血圧は低下、脈圧は上昇。

問4.次の症例について答えよ。
症例:52歳男性
病歴:45歳頃より会社の健康診断で肥満、尿糖陽性、血糖値軽度上昇を指摘されていたが、放置。本年の健康診断で、さらに蛋白尿と高血圧(160/92mmHg)を指摘され、当院を紹介された。
家族歴:父親に高血圧、母親に糖尿病、既往歴:特になし、生活歴:たばこ30本/日、ビール500cc/日
外来時診察所見:身長167cm、体重82kg、脈拍72/分、整、血圧162/96mmHg(座位、右)、甲状腺腫なし、頸部雑音なし、心音と呼吸音に異常なし、腹部所見なし、下肢浮腫なし、神経学的所見:膝蓋腱反射軽度低下、下肢振動覚軽度低下、眼底(右)Keith-WagenerI度、点状出血2カ所、白斑なし。
検査所見
検尿:蛋白+、尿糖++、潜血−、尿沈査:円柱なし、血計:正常。
血液生化学:総蛋白7.2g/d1、アルブミン3.5g/dl、クレアチニン1.4mg/dl、BUN 25mg/d1、ALT 52IU/L、AST 72IU/L、γ-GTP 220IU/L、血清Na142mEq/L、K 3.6mEq/L、総コレステロール282mg/dl、中性脂肪326mg/dl、HDLコレステロール34mg/dl、血糖168mg/d1、HbA1C8.4%、心電図 左室肥大、胸写 異常所見なし。
このような患者の治療方針で正しい組み合わせを選べ。
1)血圧値は軽度高いのみであり、減塩やカロリー制限などの食事療法と運動療法で経過を見るように指導し、3ヶ月後の来院を指示。
2)慢性糸球体腎炎の合併が強く疑われるため、腎生検が必須である。
3)投与する降圧薬としてレニン・アンジオテンシン系阻害薬が好ましい。
4)降圧目標レベルは、140/90mmHgである。
A(1のみ)、B(3のみ)、C(1、3)、D(3、4)、E(1、3、4)、F(すべて)

<解答>B

問5.老年者高血圧の治療に関する記述として誤った組み合わせを選べ。
1)80歳以上の高血圧は治療を必要としない。
2)老年者であっても生活習慣の修正、特に減塩が重要である。
3)老年者の服用頻度が高い非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)は一部の降圧薬の作用を減弱する。
4)第一選択薬として、β遮断薬が推奨される。
5)合併症のない老年者高血圧の降圧目標は125/75mmHg未満とする。
A(1、3、4)、B(1、2、5)、C(1、3、5)、D(1、4、5)、E(2、3、4)、F(3、4、5)

<解答>D
<解説>1× 84歳以下では降圧治療の有用性が証明されている。
   4× 第一選択薬はCa拮抗薬、ACE阻害薬/AU受容体拮抗薬、利尿薬。
   5× 降圧目標は140~160/90未満。

問6.降圧薬と副作用の組み合わせが正しいものを選べ。
1)ACE阻害薬…乾咳、高カリウム血症
2)Ca拮抗薬…浮腫、動悸、便秘
3)サイアザイド系降圧利尿薬…低カリウム血症、耐糖能低下、インポテンツ
4)α遮断薬…起立性低血圧、浮腫
5)β遮断薬…徐脈、気管支攣縮、
A(1、2、3)、B(1、2、4)、C(2、3、4)、D(2、3、5)、E(3、4、5)、F(すべて)

<解答>F

問7.非薬物療法のなかで降圧作用が確認されている組み合わせを選べ。
1)体重減量 2)減塩 3)ビタミンC 4)定期的な運動 5)アスピリン
A(1、2、3)、B(1、2、4)、C(1、2、5)、D(2、3、5)、E(3、4、5)

<解答>B

問8.正しい組み合わせを選べ。
1)血圧レベルは脳卒中と深い関連があるが、虚血性心臓病との関連はない。
2)本邦の疫学研究では血圧値が140/90mmHg以上では脳梗塞の発症リスクが増加することが示されている。
3)本邦の食塩摂取量は戦後一貫して低下し目標値に達している。
4)数回の来院で安定して血圧150/95mmHg以上を高血圧と考える。
5)家庭血圧測定での血圧は、白衣高血圧の除外の役に立つ。
A(1、2)、B(2、5)、C(1、3、4)、D(2、4、5)、E(1、3、5)、F(すべて)

<解答>B
<解説>1× 血圧レベルは心血管疾患発症(脳卒中、心疾患、腎疾患)と深い関連がある。
   3× 食塩摂取量は近年増加している。 4× 血圧140/90mmHg以上。

問9.正しいものを選べ。
1)カルシウム拮抗薬とβ遮断薬の組み合わせは有効である。
2)気管支喘息患者へのカルシウム拮抗薬の投与は禁忌である。
3)利尿薬とACE阻害薬の組み合わせは有効である。
4)妊婦にはACE阻害薬の投与は禁忌である。
5)本邦の高血圧治療ガイドラインでは第一次選択薬にβ遮断薬は含まれていない。
A(1、2、3)、B(1、2、4)、C(1、3、4)、D(3、4、5)、E(1、3、5)、F(すべて)

<解答>C
<解説>2× 気管支喘息患者にはβ遮断薬は禁忌である。
   5× 第一選択薬はCa拮抗薬、ACE阻害薬、AU受容体拮抗薬、少量の利尿薬、β遮断薬、およびα遮断薬。

問10.正しくないものを選べ。
1)脳梗塞患者では血圧が上昇していることが多く、再発予防のため早急に至適血圧(120/80oHg 未満)にする必要がある。
2)ACE阻害薬は腎機能を悪化させるため、慢性腎不全では使用しない。
3)左室肥大の改善効果はβ遮断薬がもっとも強い。
4)閉塞性動脈硬化症では浮腫の副作用があるカルシウム拮抗薬は使用しない。
5)利尿薬は尿酸排泄を促進するため痛風を有する高血圧患者でよく使用される。
A(1、2、3)、B(1、2、4)、C(1、3、4)、D(3、4、5)、E(1、3、5)、F(すべて)

<解答>?
<解説>1× 急性期では原則として高圧薬は使用しない。慢性期よりゆっくりと降圧を開始する。
   3× ACE阻害薬が最も強い。 
   4× 閉塞性動脈硬化症ではCa拮抗薬やACE阻害薬を使う。
5× 利尿薬は尿酸を上昇させるので痛風には禁忌。

問11.原発性アルドステロン症に関して正しい組み合わせを選べ。
1)二次性内分泌性高血圧の中で最も頻度が高い。
2)血漿レニン活性、血漿コーチゾル濃度はともに低い。
3)低カリウム血症、代謝性アルカローシスがみられる。
4)特発性アルドステロン症の治療は、まず副腎摘出術を考える。
5)腺腫によるものは、ACTH依存性である。
A(1、2、3)、B(1、2、5)、C(1、3、5)、D(2、3、4)、E(2、3、5)、F(3、4、5)

<解答>C
<解説>2× コルチゾールは低下しない。 4× 治療は抗アルドステロン薬のスピロノラクトン

問12.褐色細胞腫に関して正しいものを選べ。
1)腫瘍の発生部位として後腹膜腔が最も多く、しかも半数以上は悪性である。
2)副腎髄質や傍神経節に存在するクロム親和性細胞が腫瘍化したものである。
3)主症状として頭痛、動悸、発汗があげられる。
4)降圧薬を用いる場合はβ遮断薬を第一選択薬とする。
5)甲状腺髄様癌と合併したSipple症候群では両側性、家族性のことが多い。
A(1、2、3)、B(1、2、5)、C(1、3、5)、D(2、3、4)、E(2、3、5)、F(3、4、5)

<解答>E
<解説>1× 悪性は10%。  4× α遮断薬が第一選択薬。

問13.()内の正しいものを選べ。
1)血圧は一般に昼間高く、夜間就寝中に低下する日内変動を示すが(dipper)、夜間の血圧降下が減少ないし消失する状態はnon-dipperと定義され、non-dipperパターンを呈する高血圧患者はdipperと比較して、一般的に臓器障害の合併は(A:少ない、B:多い、C:同程度である)。
2)動脈硬化による腎動脈狭窄は腎動脈の(A:起始部、B:中間部、C:遠位側)に多い。
3)腎静脈分腎レニン検査で、腎動脈狭窄側の静脈血レニン活性が健常側に比し(A:1.3、B:1.5、C:1.7)以上の場合、有意な左右差があるとみなされる。
4)腎血管性高血圧では、アンジオテンシン変換酵素阻害薬のカプトプリル負荷により血漿レニン活性は著しく(A:低下する、B:不変である、C:上昇する)。

<解答>1)B 2)A 3)B? 4)C

問14.先天性副腎過形成に伴う高血圧に関して正しい組み合わせを選べ。
1)高血圧とともに高カリウム血症がみられる。
2)高血圧をきたすのは11β-hydroxylase欠損症と17α-hydroxylase欠損症である。
3)酵素欠損のためにコルチゾルが低下した結果、ACTH分泌亢進をきたす。
4)治療は、まず副腎摘出術を考える。
A(1、2)、B(1、3)、C(2、3)、D(2、4)、E(3、4)

<解答>C
<解説>1× 低カリウム血症  4×まずホルモン補充療法
 
問15.アンジオテンシン変換酵素阻害薬の禁忌、または適していない病態を選べ。
1)両側性腎動脈狭窄 2)糖尿病合併高血圧 3)妊娠高血圧
4)うっ血性心不全 5)高カリウム血症を伴う腎不全
A(1、2、3)、B(1、2、5)、C(1、3、5)、D(2、3、4)、E(2、3、5)、F(3、4、5)

<解答>C

問16.悪性高血圧に関する記述で正しい組み合わせを選べ。
1)悪性高血圧症は拡張期血圧が130mmHg以上で、かつ眼底所見がKeith-Wagener W度の所見を呈するものと定義される。
2)悪性高血圧の症状として視力障害が多くみられる。
3)Keith-WagenerW度の所見はKeith-WagenerV度の所見に加えて軟性白斑を伴うものである。
4)合併症のない悪性高血圧は高血圧緊急症(Hypertensive emergency)であり、1時間以内に降圧を図るべき状態と理解されている。
5)悪性高血圧にみられる低カリウム血症はレニン・アンジオテンシン系の亢進によることが多い。
A(1、2、3)、B(1、2、5)、C(1、3、5)、D(2、3、4)、E(2、3、5)、F(3、4、5)

<解答>B
<解説>3× Kieth-WagnerV度は出血、軟性白斑
   4× 合併症のない悪性高血圧は高血圧急迫症(Hypertensive urgencies)

問17.妊娠高血圧に関する記述で正しい組み合わせを選べ。
1)妊娠中の高血圧は収縮期血圧160mmHg以上、かつ拡張期血圧95mmHg以上とされている。
2)正常妊娠では、第2三半期(14週〜27週)には、妊娠前に比し血圧が低下する。
3)妊娠中毒症の主徴は高血圧、蛋白尿、浮腫である。
4)子痛前症は妊娠初期より発症することが多い。
5)妊婦に対する高血圧治療には、メチルドーパ、ラベタロール、ヒドララジンが用いられる。
A(1、2、3)、B(1、2、5)、C(1、3、5)、D(2、3、4)、E(2、3、5)、F(3、4、5)

<解答>E
<解説>1× 妊娠中の高血圧は、血圧の絶対値が高いか(140/90mmHg以上)、受胎前または妊娠初期と比較して収縮期血圧で25mmHg以上または拡張期血圧で15mmHg以上の血圧上昇がみられる場合をいう。
   4× 子癇前症:妊娠20週を過ぎて血圧が上昇し、蛋白尿と浮腫を伴う。

腎臓
問1.血液生化学検査で男女差がみられる項目はどれか。
A)総蛋白、B)クレアチニン、C)ナトリウム、D)カリウム、E)カルシウム

<解答>B

問2.次の症候群の特徴を示す選択肢を(A)〜(E)より選べ。
1)Bartter症候群 2)Gitelman症候群 3)Fanconi症候群 4)Liddle症候群 5)Gordon症候群

【選択肢】
A)低K血症、代謝性アルカローシス、若年性高血圧 B)低Ca血症、低Mg血症、正常血圧
C)低K血症、高Ca尿症、正常血圧 D)糖尿、アミノ酸尿、発育不全
E)高Cl性アシドーシス、高K血症、高血圧

<解答>1)C、2)B、3)D、4)A、5)E

問3.腎生検で糸球体に以下の所見を認めた。@PAS染色で、メサンギウム領域の拡大、管内性・管外性の細胞増殖と分葉傾向、A蛍光抗体法で、IgG、IgA、IgM、C3、C1qが陽性、B電子顕微鏡で、メサンギウム領域、基底膜内皮下に高度のdense depositを認めた。

この所見で最も考えられる腎病理の組織診断は次のうちどれか。
A)IgA腎症 B)原発性膜性腎症 C)ループス腎炎 D)糖尿病性腎症 E)アミロイド腎

<解答>C

問4.ネフローゼ症候群について記述した文章を示す。最も可能性がある組織学的診断を下の選択肢の中から選び、その記号をカッコ内に示せ。
1)尿蛋白の選択性が高く、蛍光抗体法では全て陰性である。
2)高齢者に頻度が高く、蛍光抗体法ではIgGと補体C3が顆粒状に沈着する。
3)持続的な低補体血症が特徴で、糸球体病変は分葉状を示す。
4)腎生検で得られた糸球体の係蹄の一部に分節性の硬化病変を有す。
5)最も頻度が高い増殖性糸球体腎炎で、蛍光抗体法でIgAが陽性である。
【選択肢】
A)膜性増殖性糸球体腎炎、B)微小変化群、C)ループス腎炎、D)糖尿病性腎症、
E)IgA腎症、F)巣状糸球体硬化症、G)悪性腎硬化症、H)膜性腎症、I)腎アミロイドーシス

<解答>1)B、2)H、3)A、4)F、5)E

問5.以下の糸球体腎炎ないしは腎症の中で低補体血症を特徴とするのはどれか。
A)膜性腎症 B)急性糸球体腎炎 C)IgA腎症 D)巣状糸球体硬化症 E)糖尿病性腎症

<解答>B

問6.微小変化群ネフローゼ症候群について正しい記載はどれか。
A)再発しない。 B)尿蛋白の選択性が高い。 C)高血圧を合併する。
D)慢性腎不全に至る。 E)副腎皮質ステロイド薬は無効である。

<解答>B

問7.急性腎不全の病態を表す語句を下の選択肢の中から2つずつ選べ。
1)腎後性急性腎不全 2)腎性急性腎不全 3)腎前性急性腎不全
【選択肢】
A)急性尿細管壊死、B)FENa1%未満、C)前立腺癌、D)腎痩術、E)心不全、F)FENa2%以上

<解答>1)C,D、 2)A,F、 3)B,E

問8.高齢者の腎疾患について、頻度が高い疾患はどれか。
1)ANCA関連糸球体腎炎 2)溶連菌感染後急性糸球体腎炎 3)膜性腎症
4)Fanconi症候群 5)ループス腎炎
A(1、2)、B(1、3)、C(1、4)、D(2、3)、E(2、5)

<解答>B

問9.次の症例についての質問に答えよ。
【症例】75歳、男性.主訴:腰痛、体重減少。検尿:尿蛋白;テステープ法(-)、尿潜血反応(-)、尿糖(±)。血液生化学検査:血清クレアチニン3.8mg/dl、BUN68mg/dl、Ca10.3mg/dl。

疾患としては何が最も考えられるか? 次のうちから選べ。
A)IgA腎症 B)多発性骨髄腫 C)腎後性急性腎不全 D)急性尿細管壊死 E)糖尿病性腎症

<解答>C

問10.人工腎臓(血液透析、腹膜灌流)によって速やかな改善が期待できる病態として正しい組み合わせはどれか。
1)肺水腫 2)代謝性アシドーシス 3)高K血症 4)腎性貧血 5)尿毒症性末梢神経障害
A(1、2、3)、B(1、2、5)、C(1、4、5)、D(2、3、4)、E(3、4、5)

<解答>A

問11.肝不全の患者で低Na血症(118mEq/L)を有し、輸液治療で、低Na血症の補正を試みた。3日後、血清Na濃度は165mEq/Lと上昇し、意識障害が発現した。意識障害の原因として考えられる臨床診断は次のうちどれか。
A)急性硬膜下血腫 B)脳出血 C)橋中心髄鞘崩壊症 D)クモ膜下出血 E)多発性硬化症

<解答>C

問12.次のような病歴、現症、入院時検査所見を示した例で腎生検をおこなった。予測される組織像どれが最も考えられるか。
【症例】38歳、女性、【主訴】嘔気、食欲不振。既往歴、家族歴、生活歴に特記事項なし。【現病歴】6月中旬、上気道炎(発熱39℃)罹患。近医で抗生物質と解熱薬を投与され軽快。7月3日、尿蛋白(±)、血清クレアチニン値3.6mg/d1と上昇。
【入院時現症】血圧144/86mmHg,脈拍72/分,皮疹・浮腫・リンパ節腫脹なし。
【入院時検査所見】
検尿;蛋白(±),血尿(±),糖(+),尿沈渣(一部好酸球を認める).検血;赤血球415万/μ1,
Hb 12.Og/dl,白血球9300/μl,血小板23.2万/μl
血液生化学的検査;TP 6.8g/dl(Alb 3.5g/dl),BUN 54mg/dl,Creat 4.5mg/dl,Na 139mEq/L,K 4.6mEq/L, Cl 111mEq/L
血清学的検査;CRP 1.2mg/dl,CH50 31,ANF(-),ANCA(-)。
腎径(腎エコー)右13cm、左13.5cm、水腎症なし、
Gaシンチグラフィー:両腎に有意のRI取り込み像を認める。
【選択肢】
A)半月体形成性腎炎、B)急性間質性腎炎、C)膜性増殖性糸球体腎炎、
D)糖尿病性腎症、E)微小変化群

<解答>B

問13.次の症例の第一選択薬はどれか。
【症例】60歳、男性.血痰、全身倦怠感、微熱、蛋白尿(3+)、顕微鏡的血尿、血圧160/96mmHg、
血清カルシウム8.6mg/dl、血清リン5.4mg/dl、血清カリウム5.4mEq/L、血清クレアチニン5.2mg/dl、BUN 72mg/dl、C-ANCA 100EU、血液ガス(pH 7.36、PO2 56mmHg、pCO2 35mmHg)、胸部X線撮影で多発性の境界不明瞭な浸潤影。
A)活性型ビタミンD B)副腎皮質ステロイド C)ループ利尿薬
D)経ロ活性炭吸着薬 E)アンジオテンシンT変換酵素阻害薬

<解答>B Wegener肉芽腫症

問14.以下の病態でアニオンギャップが正常のアシドーシスはどれか。
A)尿細管性アシドーシス B)尿毒症性アシドーシス C)糖尿病性ケトアシドーシス
D)乳酸性アシドーシス E)アルコール性ケトアシドーシス

<解答>A

問15.次の検査所見でアニオンギャップはいくつか。
末梢血:Hb 11g/dl、Ht34%、WBC 10,800/μ1、血小板 12万/μ1
動脈血ガス;pH 7.14、HCO3- 6mEq/L、PO2 98mmHg、PCO2 17mmHg。
電解質;Na156mEq/L、K 5.OmEq/L、Cl 118mEq/L。
血液生化学;BUN 140mg/dl、クレアチニン3.2mg/dl、HbAlc 4.5%

<解答>156-(118+6)=32

問16.血液透析期間が25年の患者で特徴的な骨関節合併症は次のうちどれか。
A)骨粗髪症 B)骨軟化症 C)変形性関節症
D)透析アミロイドーシス E)骨硬化症

<解答>D

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