腎・高血圧 平成17年度卒業試験

平成17年11月24日実施(復元)
試験問題を過去問と変えると平方先生がおっしゃったようで身構えていた人も多かったが、最初の10問程度が少し難しいかな、くらいで病理の問題が少なくなっており、さらに国試の問題も入ったりして若干易化。また、腎臓分野以外は過去問とほとんど同じ。
<腎臓・病理>
【1】血中クレアチニン1.5mg/dl、尿中クレアチニン4.5mg/dl、1日尿量2880ml/day、体表面積1.8m2のクレアチニン.クリアランスを計算せよ。ただし標準体表面積を1.5m2とする
a. 72  b. 60  c. 50  d. 36  e. 25

【2】腎臓で産生されるものはどれか。
A)尿素 B)クレアチニン C)尿酸 D)アンモニア E)ベーター2ミクログロブリン

【3】尿中Na排泄量が低下するものは?
1.Addison病 2.肝硬変 3.腎前性急性腎不全 4.甲状腺機能低下症 5.SIADH
 a 12  b 15  c 23  d 34  e 45

【4】ネフローゼの診断基準について誤っているものを選べ。
 A.一日尿蛋白量3.5g以上  B.血清総蛋白濃度6.0g/dl未満
 C.血清アルブミン濃度3.0g/dl未満  D.血清総コレステロール濃度250mg/dl以上
 E.血清クレアチニン濃度1.2mg/dl以上
<解答>E.

【6】15歳女性、上気道炎後10日の症例。尿蛋白2+ 潜血2+、扁桃発赤を認める。(その他に検査データが挙げられていましたが、溶連菌感染後AGNに矛盾しない所見です。)このとき検査すべき項目は?
1.ASO  2.IgA  3.抗好中球細胞質抗体  4.抗糸球体基底膜抗体  5.血清補体価
a)1.2  b)1.5  c)2.3  d)3.4  e)4.5

【7】IgA腎症の予後に関わりが深いものを選べ。
1.血尿  2.蛋白尿  3.高血圧  4.血清IgA高値
a.(1,3,4)  b.(1,2)  c.(2,3)  d.(4)  e.全て

【8】IgA腎症について正しいのはどれか
1,IgAが糸球体メサンギウム領域に沈着する
2,無症候性血尿が主要徴候である  3,血中IgAは低下する
4,ネフローゼ症候群をきたすことが多い  5,血清補体価は正常である
A,123  B,125  C,145  D,234  E,345

【9】蛋白尿の選択性(selectivity index)を示すクリアランス比として正しいものを選べ。
A)アルブミンとβ2ミクログロブリン  B)アルブミンとトランスフェリン
C)IgAとIgG  D)IgGとIgM  E)IgGとトランスフェリン

【10】ネフローゼ症候群を呈するのはどれか。
1.アミロイドーシス 2.HodgKin病 3.巣状糸球体硬化症 4.全身性エリテマトーデス
A.1,3,4のみ  B.1,2のみ  C.2,3のみ  D.4のみ  E.1-4すべて

【11】尿細管性アシドーシスを来たすものの組み合わせを選べ。
1 Goodpasture症候群  2 Fanconi症候群  3 Sjogren症候群
4 多発性骨髄腫  5 原発性高アルドステロン症
a 1,2,3  b 1,2,5  c 1,4,5  d 2,3,4  e 3,4,5

【12】Alport症候群について誤ったものを選べ。
1)感音性難聴をみとめる。  2)尿異常は蛋白尿で始まる。
3)女性は男性より進行性である。  4)W型コラーゲンの異常がある。
5)電子顕微鏡で糸球体基底膜の層状の肥厚を伴う。

【13】血清補体価が低下するのはどれか。
1)急性糸球体腎炎  2)紫斑病性腎炎  3)IgA腎症
4)膜性腎症  5)ループス腎炎
 A)1、2  B)1、5  C)2、3  D)3、4  E)4、5

【14】糖尿病性腎症について正しいものはどれか。
1.初期には糸球体濾過量は増加する。
2.腎不全の進行に伴いインスリン需要量は増加する。
3.アルドステロン分泌は増加している。
4.尿に赤血球円柱を認める。  5.腎不全の進行は比較的急速である。
A.1,2  B.1,5  C.2,3  D.3,4  E.4,5

【15】60歳男性。血痰、全身倦怠感、微熱で受診した。尿蛋白(3+)、顕微鏡的血尿、血圧160/96mmHg、血清カルシウム濃度8.6mg/dl、血清リン5.4mg/dl、血清カリウム濃度5.4mg/dl、血清クレアチニン濃度5.2mg/dl、BUN76mg/dl、MPO-ANCA(抗好中球細胞質抗体)100U/l、CRP12.0mg/dl、血液ガス(pH 7.16、pO2 76mmHg、pCO2 35mmHg)、胸部X線検査にて多発性に境界不明瞭な浸潤影がみられた。
設問1.この疾患の腎組織所見で予想されるものはどれか。
A.半月体形成性糸球体腎炎  B.管内増殖性糸球体腎炎
C.膜性増殖性糸球体腎炎  D.悪性高血圧  E.巣状糸球体硬化症

設問3.この疾患について正しいのは?
1)わが国では小児例が半数を占める。 2)腎臨床症候はネフローズ症候群を呈する。
3)生命予後は、腎生存予後とも不良である。
4)生命予後に影響を与える因子の一つに肺病変の有無があげられる。
5)死を原因として感染症によるものが半数を占める。
  A)123  B)125  C)145  D)234  E)345

【16】血清クレアチニン5.0mg/dlの患者において、急性腎不全と慢性腎不全の鑑別で有用なのは?
A.24時間クレアチニンクリアランス  B.パラアミノ馬尿酸(PAH)クリアランス
C.レノグラフィー  D.腎エコー  E.尿中Na濃度
解答:D 急性腎不全と慢性腎不全の鑑別のポイントは既往歴と腎のサイズ

【17】急性腎不全で腎前性、腎性の鑑別に有効なのはどれか。
1)尿浸透圧  2)尿蛋白量  3)24時間尿量  4)尿中K排泄量  5)尿中Na排泄率
A(1,2)  B(1,5)  C(2,3)  D(3,4)  E(4,5)

【18】尿毒症の症候として見られるものはどれか。
1)皮膚掻痒  2)心膜炎  3)Kussmaul呼吸  4)口臭
A.134のみ  B.12のみ  C.23のみ  D.4のみ  E.1-4のすべて

【19】高カリウム血症の治療として適当なものを選べ。
1血液透析  2生食投与  3スピロノラクトン
4インスリン、ブドウ糖投与  5陽イオン交換樹脂
A)123  B)125  C)145  D)234  E)345

【20】慢性腎不全に特徴的な症候はどれか。
1)代謝性アシドーシス 2)低Ca血症 3)低Mg血症 4)低尿酸血症 5)高リン血症
A.123  B.125  C.145  D.234  E.345

【22】56歳男性。38度の発熱が続いており食欲もなく臥床していた。食事、水分摂取は不良。その後次第に尿量減少、全身倦怠感、下肢の脱力を自覚し来院。母方の兄弟に3人慢性透析患者がいる。身長168cm体重68kg脈拍血圧に異常はなし。眼瞼貧血様、
口臭有り(尿臭)、皮膚粘膜に脱水所見有り。腹部に両側長径18cm横径13cmの腫瘤を
触れる。血算 Hb 10 WBC 10800 Plt 120000
生化 Na 148 K 7.6 Cl 108 BUN 140 Cr 6.0 HbA1c 4.5
血ガス pH 7.14 HCO3- 12 PaO2 98 PCO2 16
(1) アニオンギャップを計算し最も近いものを選びなさい。(カリウムは除いて計算すること)
A22  B28  C32  D36  E40
(2) この疾患について間違っているものを一つ選びなさい。
A家族歴がある。  B病変は片側性である。  C肝にも病変が見られる。
D脳動脈瘤を伴うことがある。  E腎性高血圧の原因となる。
(3)この状態を改善するために行う処置はどれか
1)血液透析  2)スピロノラクトン投与  3)輸血
4)ブドウ糖インスリン療法  5)重曹投与
A)123  B)125  C)145  D)234  E)345

【24】人工腎臓(血液透析、腹膜還流)によって速やかな改善が期待できる病態として
正しい組み合わせはどれか。
 1.肺水腫  2.代謝性アシドーシス  3.高カリウム血症
 4.腎性貧血  5.尿毒症性末梢神経障害
A.123  B.125  C.145  D.234  E.345

【25】血液透析と腹膜透析の差異について正しい組み合わせを選ぶ。(組み合わせ不明)
a.腹膜透析を行うと、社会復帰が難しい。
b.腹膜透析は血液透析に比べて、厳重なカリウム制限を必要としない。
c.腹膜透析のほうが残存機能を維持する。
d.腹膜透析と血液透析とどちらが血圧変動が小さいか。

【26】PTHについて正しいものを選べ
a高PはPTHの分泌を促進する  b高CaはPTHの分泌を抑制する
cPTHは骨代謝の回転抑制させる  dビタミンDはPTHの分泌を抑制する
e透析患者では健常者に比べて骨のPTH感受性が低下している
1.abc  2.abe  3.ade  4.bcd  5.cde

<小児>
【2】小児ネフローゼで正しいものを選べ。
 A.9割が原発性腎疾患で、そのうち約50%が微小変化群である。
 B.好発年齢は3〜6歳の男児である。  C.電顕で上皮細胞下にhampを認める。
 D.重大な合併症である血栓症は腎動脈に多い。
 E.9割以上はステロイドに反応し、ほとんど再発しない。

【3】小児の慢性腎不全について正しいものを選べ。(2004年過去問と同じ)
A、原因として原発性糸球体腎炎が最も多い。 B、維持透析には腹膜透析が用いられる。
C、合併症として腹膜炎があるが、近年増加傾向である。
D、慢性腎不全は成長ホルモンの低下による成長障害がある。
E、成人に比べ腎移植の割合が低い。

【4】小児慢性腎不全について正しいものを一つ選ぶ。
A 原因としては原発性糸球体腎炎が最も多い。
B 維持透析としては腹膜透析が選択される。
C 合併症として腹膜炎があるが近年急増している。
D 慢性腎不全の小児は成長ホルモン分泌低下による成長障害をきたす。
E 成人に比べて腎移植の割合は低い。

【5】8歳女児。1週間前より腹痛がみられ、タール便が出現したため、近医受診。受診時、両下腿と臀部に点上出血認めたため、入院とし治療を開始した。ステロイド療法を行った後、腹痛は軽快したが、2週間後の検尿で尿潜血2プラスであった。今まで検尿異常指摘されたことはない。次のうちこの患者に期待される所見の組み合わせとして正しいものを選びなさい。
1.関節痛や間節腫脹がみられることがある。
2.糸球体組織ではIgAがメサンギウム領域に沈着した像がみられる。
3.血小板低下がみられる。  4.第13因子活性の上昇がみられる。
5.全身性の血管炎がみられ、白血球破壊性血管炎を特徴とする。
a.123  b.125  c.145  d.234  e.345

<泌尿器科>
【1】膀胱尿管逆流(VUR)について正しいものを2つ選べ。
1 小児では自然消失することがある  2 末期腎不全に至ることはほとんどない
3 高齢女性に発見されることが多い
4 患者管理においては尿路感染の合併に注意を払う必要がある
a.12  b.23  c.34  d.14  e.13
2004概説 泌尿器1番と同一問題

【2】正しいものを2つ選ぶ
a.VURに伴う腎障害の評価に腎シンチグラフィーが有用である
b.VURを確認する方法として排尿時膀胱造影が有用である
c.VURの約9割が腎瘢痕を形成する
d.尿管口の形態とVURの重症度は関係しない。

【3】正しいものを2つ選ぶ
a.VURに合併する尿路感染症の起炎菌としてはグラム陽性菌よりもグラム陰性菌の割合が高い
b.尿路感染がコントロールされていないVURでは腎盂腎炎を頻発することがある。
c.逆流性腎症の重症度を判定する上で蛋白尿の出現は指標にはならない
d.VURに伴う腎瘢痕は多くの場合、成人にてはじめて出現する。
A(1,2)  B(2,3)  C(3,4)  D(1,4)  E(1,3)

<腎移植>
【1】腎の解剖について正しいものを選べ。
1)左腎は第11胸椎、右腎は第12胸椎の高さに位置し、副腎とともに脂肪皮膜に覆われる。
2)左腎静脈は大動脈の背側を走行する。  3)右性腺静脈は通常右腎静脈に還流する。
4)尿管は骨盤内で総腸骨動脈と交差する。
A(1)  B(1,4)  C(2,3)  D(1,2,4)  E(1,2,3,4)
<解答>B. 2003年卒業試験 移植1番の類題。

【2】正しいものを選べ
1)日本では、心停止下の腎臓摘出にドナーカードはいらない。
2)脳死体では、角膜反射は消失する。  3)80歳でも健康体であればドナーとなりうる。
4)日本では、15歳未満の脳死下での臓器摘出は認められてない。
a. 1のみ  b. 14  c. 23  d. 124  e. すべて

<高血圧>
【1】( )に適切な語句を下記の選択項目から選択せよ。ただし、複数回用いてもよい。
・1999年のWHO/ISHや2000年の日本高血圧学会による高血圧分類では、高血圧は収縮期血圧(1)mmHg以上、かつ/または拡張期血圧(2)mmHg以上と定義されている。
・悪性高血圧症の定義は拡張期血圧が(3)mmHg以上で、眼底所見がKeith-Wagener W度の所見を呈するもの、すなわちKeith-Wagener V度の所見に加えて(4)を伴うものである。
・動脈圧受容器からの情報は延髄の(5)に入力したのち、尾側延髄腹外側野を介して、吻側側延髄腹外側野の活動性を緊張性に(6)している。
・アンジオテンシン変換酵素はアンジオテンシンTをアンジオテンシンUに変換するのみならず、ブラジキニンの(7)を促進する。
・腎傍糸球体細胞からのレニン分泌はアンギオテンシンUにより(8)され、体液量の増加により(9)される。
・血圧は一般に昼間高く、夜間就寝中に低下する日内変動を示すが、夜間の血圧下降が減少する代表的な疾患として、(10)が挙げられる。
・線維筋性異形成による腎動脈狭窄は腎動脈の(11)に多く、大動脈炎性の場合は、腎動脈の(12)に多い。
【選択項目】
A)90、 B)95、 C)100、 D)110、 E)120、 F)130、 G)140、 H)150、 I)160、 J)170、 K)180、 L)軟性白斑、 M)硬性白斑、 N)うっ血乳頭、 O)出血、 P)疑核、 Q)青斑核、 R)弧束核、 S)刺激、 T)抑制、 U)産生、 V)分解、 W)腎血管性高血圧、 X)クッシング症候群、 Y)起始部、 Z)中間〜遠位部
2002年の卒試の最初の穴埋めといっしょ。最後の動脈硬化が大動脈炎にかわってるだけ。選択肢もいっしょ

【2】臓器合併症のない高血圧患者の非薬物療法として推奨されるものはどれか。
1)食塩摂取制限  2)マグネシウム、カルシウムの摂取制限
3)野菜や果物の摂取  4)タンパク質の摂取制限  5)適度の有酸素運動
A.1,2,3  B.1,2,5  C.2,3,4  D.2,3,5  E.3,4,5  F.1,3,5
2002年度卒試 高血圧17番と同問

【4】高血圧の薬物治療について正しくないものを選べ。
1.高度の腎不全患者では高アルドステロン薬のスピロノラクトンが適している。
2.耐糖能異常のある患者ではα遮断薬も有効である。
3.冠動脈攣縮狭心症を有する患者にはCa拮抗薬が有効である。
4.ACE阻害薬には蛋白尿抑制効果がある。
5.原発性アルドステロン症患者の降圧にはループ利尿薬が有効である。
A.12  B.15  C.23  D.34  E.35  F.24

【5】以下の条件下の高血圧の薬物療法に関して正しいものを選べ。
1.解離性大動脈瘤では収縮期血圧を150mmHg程度に維持するように降圧療法を行う。
2.妊娠中毒症ではレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系が亢進しているので、ACE阻害薬が第一選択となる。
3.閉塞性肺疾患患者ではβ(ベータ)遮断薬は好ましくない。
4.降圧治療を受けている患者でも、外科手術前には降圧薬は1〜2週間中止するのが原則である。
5.前立腺肥大症を有する高血圧患者には、α(アルファ)遮断薬も積極的な適応と
なる。
A.12  B.15  C.23  D.34  E.35  F.24

【9】低K血症を来たす高血圧症は以下のどれか。
1.原発性アルドステロン症  2.腎血管性高血圧
3.barrter症候群  4.liddle症候群  5.甘草大量摂取による高血圧

【10】原発性アルドステロン症に関して正しいのはどれか。
(1)内分泌性高血圧の中で最も頻度が高い。
(2)低カリウム、代謝性アルカローシスが見られる。
(3)腺腫によるものは、ACTH依存性である。
(4)血清レニン活性や血漿コルチゾール濃度はいずれも低い。
(5)特発性アルドステロン症の治療では、まず副腎摘出術を考える。
A.(1,2,3)  B.(1,2,5)  C(2,3,4)  D(2,3,5)  E(3,4,5)  F(1,3,5)

【11】次に行う検査3つ
1.血漿レニン活性  2.腹部血管エコー  3.MIBGシンチ
4.腎生検  5.腎シンチグラム、レノグラム

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