泌尿・生殖器 平成15年度卒業試験

(泌尿器科分)
2.次のうち正しいものを選べ
 1.初期血尿−後部尿道〜膀胱頚部の出血
 2.終末期血尿−前部尿道からの出血
 3.全血尿−膀胱頚部以外の膀胱と上部尿路の炎症
 4.無症候性血尿−尿路系腫瘍 
 5.終末期排尿痛−急性膀胱炎
A(1,2,3)B(2,3,4)C(1,3,5)D(1,4,5,)E(3,4,5)
(解答)E
(解説)STEP泌尿器科より
×(1)初期血尿は前部尿道からの出血
×(2)終末期血尿は後部尿道〜膀胱頚部の出血
○(3)
○(4)
○(5)
 
3.37歳 男性 最近、陰嚢が腫大してきた。疼痛なし。鑑別は?
(1)陰嚢水腫
(2)急性精巣上体炎
(3)精巣腫瘍
(4)流行性耳下腺炎
(5)精液瘤
A(1、2、3)B(2、3、5)C(1、3、5)D(1、4、5)E(3、4、5)
(解答)C
(解説)STEP泌尿器科より
○(1)
×(2)陰嚢部頭痛が特徴
○(3)精巣腫瘍の初期症状は無痛性陰嚢腫大
×(4)流行性耳下腺炎(ムンプスウイルス感染症)では陰嚢部の腫脹・疼痛を特徴とする精巣炎を続発する。
○(5)

4.正しい組み合わせを選べ
1 機能性尿失禁とは排尿反射に対する上位中枢からの抑制路が何らかの原因で遮断されて生じる尿失禁で、トイレまで我慢できずに尿が漏出してしまうものである。
2 腎後性無尿は骨髄内臓器腫瘍による浸潤や圧迫、後腹膜リンパ節転移による圧迫などが原因になっていることが多く、治療としてステントの留置や経皮的腎ろう造設術が行われる。
3 尿量が一日100ml以下の場合を無尿とよぶが、尿閉との鑑別には超音波検査が有効である。
4 排尿障害を起こす薬物として。三環系抗うつ薬や抗ヒスタミン薬がある。
5 腎の大きな結石でしばしば仙痛発作を来すことがある
1)123  2)234  3)345  4)124  5)235 
(解答)3
(解説)2002年度卒試7、STEP泌尿器科より
×(1)切迫尿失禁の誤り
○(2)
○(3)
○(4)
×(5)小さい方が痛みが強い

5.正しいものを三つ選べ
1、尿流量検査で最大尿流量が低下していれば、膀胱の排泄機能は低下していると言ってよい
2、腎障害例に対し排泄性尿路造影検査を行なう場合、描出をよくするために造影剤の濃度を上げる
3、chain cystography(チェーン膀胱造影)は、腹圧性尿失禁の診断方法として重要
4、骨シンチで集積像が見られたら骨転移と診断してよい
5、膀胱癌の存在診断は膀胱鏡が最も優れている
6、正しかったが忘れた
(解答)
(解説)2002年度卒試3
×(1)年齢、性別、排尿量によっても変化する。 
×(2)
○(3)
×(4)骨の炎症性変化や、外傷、骨折、変形性関節性疾患等の骨新生が盛んな時期にも取り込まれる
○(5)
 (6)

7.正しい組合わせはどれか。
 1 骨盤腎 ・・・ 尿管の延長
 2 下大静脈後尿管 ・・・ 左水腎症
 3 完全重複腎盂尿管 ・・・ Weigert-Meyer法則
 4 馬蹄鉄腎 ・・・ 腎長軸延長線の下方交叉
 5 海綿腎 ・・・ 腎石灰症(nephrocalcinosis)
  A 123  B 234  C 124  D 245  E 345
(解答) E
(解説)標準泌尿器科より
×(1)骨盤腎とは、胎生期の腎の上昇が骨盤腔内で止まったもの。よって尿管延長ない。
×(2)下大静脈後尿管とは、右尿管の一部が下大静脈の背側から前面へと迂回するもの。血管との交叉部で血流が障害されると水腎症になりうるだろうがもちろん右側である。
○(3)重複腎盂尿管とは、腎盂が腎の上極・下極の2ヶ所ににあってそれぞれの腎盂から尿管が走行するものであり、膀胱への開口がそれぞれ別個であるものを完全型という。上半腎の尿管口は下半腎のそれよりも遠位に位置することをWeigert−Meyer法則という。
○(4)馬蹄鉄腎とは、左右の腎の下極のみが融合して馬蹄鉄のような形をとるものであり、腎長軸延長線は腎より尾側において交叉する。
○(5)腎石灰症は、上皮小体機能亢進証、海綿腎、腎尿細管性アシドーシスによるものが多い。
                    
9.尿路結石について正しいものを選びなさい
(1)感染結石として重要な成分はリン酸マグネシウムアンモニウムである
(2)尿のpHがアルカリ性では感染結石、酸性では尿酸結石とシスチン結石、高カルシウム尿症ではシュウ酸カルシウム結石ができやすい
(3)シスチン尿症は常染色体優性遺伝であり、シスチン結石はレントゲンでX線陽性結石である
(4)アロプリノールは尿中への尿酸の排泄を促し尿路結石の成因となる
(5)尿路結石に対し最も多く行われているのはESWLである
(1)123 (2)234 (3)124 (4)125 (5)235
(解答)4
(解説)STEP泌尿器科より
○(1)尿素分解菌は尿素を分解し、アンモニアと炭酸ガスを生じ炭酸アンモニウムを形成、さらにリン酸マグネシウムアンモニウムの沈殿を生じる為、結石の合併が多い。
○(2)
×(3)シスチン尿症は常染色体劣性遺伝でシスチン結石X線透過結石の一つ
×(4)アロプリノ−ルは尿酸合成阻害薬であり、痛風の治療に用いられる。尿酸排泄を促進 するのは、プロベネシドである。
○(5)ESWL(体外衝撃波結石破砕術)

10.尿路感染症に関する記載のうち誤っているものの組み合わせを選べ
 1)尿道炎において鏡検で淋菌を証明できればクラミジア尿道炎の混合感染を考えなくてよい
 2)単純性膀胱炎における起炎菌はブドウ球菌が最も多い
 3)尿路感染症は多くの場合は腎からの順行感染で起こる
 4)急性腎盂腎炎を繰り返す患者に対して排尿時膀胱造影を行うべきである
 5)複雑性尿路感染症においては基礎疾患の治療が大切である
   A(123) B(234) C(125) D(145) E(235)
(解答)A
(解説)STEP泌尿器科より
×(1)淋菌性尿道炎の20?30%にクラミジアの混合感染を伴う
×(2)ブドウ球菌→E.coli(大腸菌)
×(3)腎からの順行性感染→膀胱からの逆行性感染
○(4)原因としてVUR、尿流停滞、代謝性疾患などがあげられ、排尿時膀胱造影はVURの鑑別に必要。
○(5)尿路に基礎疾患があるために起こるのが複雑性尿路感染症。

12.神経因性膀胱に関して正しい記述はどれか
 1)下位の排尿中枢はS2〜S4である
 2)脳血管障害による神経因性膀胱は無抑制収縮がみられ、頻尿、切迫性失禁などの症状を呈する
 3)頚・胸椎損傷では排尿筋・外尿道括約筋協調不全が出現することが多く、高圧膀胱やVURを合併しやすい
 4)骨盤内手術後に知覚障害と収縮機能障害を生じるがコンプライアンス低下は無い
 5)間欠的自己導尿は膿尿が必発であり結石症の要因となる
  A)1,2,3B)2,3,4C)1,2,4 D)1,2,5 E)2,3,5
(解答)A
(解説)STEP泌尿器科より
○(1)下位の排尿中枢はT6?S4(主にS2?S4)
○(2)反射性神経因性膀胱
○(3蓄尿と排尿が円滑におこなわれず、尿路感染症や肉柱などを形成する
×(4)骨盤内手術で下位の排尿中枢以下を損傷した場合は自律性神経因性膀胱という。反射弓が入出力ともに破壊されているのが特徴である。膀胱内圧曲線は膀胱の低コンプライアンスを呈する。
×(5)間歇的自己導尿は幹線の危険性がないと考えられている

13.誤ったものの組み合わせを選べ。
 (1)射精は交感神経の興奮によって起こる
 (2)TUR-P後の合併症として逆行性射精を比較的高頻度に認める
 (3)RPLND(後腹膜リンパ節郭清)では射精障害は起こらない
 (4)精索静脈瘤は右側に多く、不妊の原因となる
 (5)脊髄損傷患者でも正常な射精機能は保たれている。
A)123 B)125 C)145 D)234 E)345
(解答)
(解説)STEP泌尿器科、2002年卒試5より
○(1)
?(2)射精障害は合併するが、高頻度かは不明
×(3)RPLNDでは交感神経系を損傷して逆行性射精を起こしやすい
×(4)右側→左側
?(5)T11?L2の交感神経中枢からでる下腹神経が射精に関与。脊髄損傷患者の80%は射精障害を伴う

14.腎移植について正しい組み合わせを選べ。
(1)わが国の腎移植の成績は種々の免疫抑制剤により1年生着率はおよそ70%である。
(2)最近脳死体提供腎移植は増加している。
(3)免疫抑制剤使用による感染にはサイトメガロウイルスによるものがあり治療にはガンシクロビルを用いる。
(4)移植手術では腎動脈は外腸骨動脈に腎静脈は内腸骨静脈に吻合する。
(5)最近、配偶者による非血縁者間の移植が増えている。
A1、2、3 B2、3、4 C2、3、5 D1、4、5 E3、4、5
(解答)C
(解説)2002年卒試9、ワシントンマニュアル
×(1)90%前後である。
○(2)
○(3)
×(4)腎動脈は内腸骨動脈、腎静脈は外腸骨静脈に吻合する
○(5)

15.腎細胞癌について正しいものを選べ。
(1)近位尿細管由来であり、画像上 hypervascularな像を呈することが多い。
(2)血行性転移よりリンパ行性転移をきたしやすい。
(3)原因不明の発熱、貧血、高カルシウム血症などの徴候が見られることがある。
(4)根治的腎摘除術ではまず腎動静脈の結紮を行うが、副腎は副腎不全予防のため、摘出してはならない。
(5)肺転移に対してインターフェロンやインターロイキン2等による免疫療法が有用である。
   a 123 b 234 c 135 d 145 e 235
(解答)C
(解説)STEP泌尿器科より
○(1)
×(2)血行性転移が多い
○(3)
×(4)根治的腎摘除術は周囲脂肪組織、Gerota筋膜、副腎も含めて摘出する
○(5)転移のあるものには免疫療法が20%ほどに有効

16.正しいものを選べ。
 1 原発性腎盂尿管癌で自排尿細胞診の陽性率はとても高い。
 2 原発性膀胱癌は大部分が移行上皮癌である。
 3 膀胱癌の発生と芳香族アミン化合物との相関は疫学的にはない。
 4 上皮内癌はBCG膀胱内注入療法の適応である。
 5 尿路変向術には失禁型の尿管皮膚瘻や回腸導管自然排尿型のHaustmanやStuder法などがある。
   A 124  B 234  C 125  D 145  E 245
(解答)E
(解説)2002年卒試12,STEP泌尿器科より
×(1)自排尿では陽性率が低い。分腎尿細胞診や擦過細胞診を利用
○(2)大部分(80%以上)が移行上皮癌
×(3)芳香族アミンは膀胱腫瘍の発生要因と考えられている
○(4)
○(5)

17.精巣腫瘍について正しい組み合わせを選べ
(1)有痛性陰嚢腫大を主訴とすることが多く、精巣上体炎、精巣炎との鑑別が重要である
(2)精巣腫瘍のマーカーとしてβ―hCG LDH AFPがある
(3)胚細胞性精巣腫瘍は組織学的にセミノーマと非セミノーマに大別され、進行した症例では前者は放射線療法、後者はシスプラチンを中心とした化学療法が有効である。
(4)非セミノーマには胎児性癌、絨毛癌、卵黄のう腫瘍、奇形腫等があり、この中では奇形腫の予後が極めて不良である。
(5)転移があったとしても患側精巣を高位結さく切除する。
 A(1,2,3)B(1,2,5)C(2,3,4)D(2,3,5)E(3,4,5)
(解答)?当てはまるものがない
(解説)2002年卒試8、STEP泌尿器科より
×(1)無痛性の陰のう腫大である。
○(2)
?(3)確かにセミノーマは放射線感受性は高いが、進行した症例ではセミノーマ、非セミノーマに関わらず、化学療法が治療の中心となる。
×(4)絨毛癌と胎児性癌の予後が悪い。
○(5)精巣腫瘍は臨床病期に関わらず、全例高位除睾術を施行し、これによって組織型を決定する

18.40歳女性。2年前から徐々に体重が増加し、満月様顔貌を認めるようになった。6ヶ月前より無月経になり、同じ頃高血圧を指摘されて降圧薬を投与されている。血中コルチゾル26.6μg/dl(正常5−15)、DHEA(これだったか少し自信がないですが)221(正常130−160)この患者で見られる所見はどれか。
 1 血中ACTH低下
 2 血中コルチゾルの日内変動の消失
 3 デキサメタゾン8mg2日間投与により、尿中17-OHCS低下
 4 メチラポン(メトロピン)試験で、尿中17-OHCS著増
 5 131Iアドステロールシンチグラフィで一側に強い放射線集積を認める
  A 123  B 235  C 125  D 145  E 245
(解答)C
(解説)2002年卒試16
中年女性、体重増加、満月様顔貌、無月経、高血圧、コルチゾール高値よりCushing症候群の診断は問題ないだろう。ポイントはdehydroepiandrosterone(DHEA)の値である。これは、テストステロンの前駆体であり、副腎アンドロゲンと呼ばれる男性ホルモンのことである。これが低値になるのは、副腎が勝手にコルチゾールをがんがん分泌して、ACTH分泌が抑制されている副腎腺種しかない。副腎腫瘍なら癌も考えられるが、癌の場合自ら副腎アンドロゲンを産生するため著明に増加するので否定できる。
○(1)
○(2)Cushing症候群ではコルチゾールの日内変動は消失する。
×(3)、×(4)キサメサゾン8mg抑制試験、メトロピン試験が陽性であればCushing病(下垂体腺種)である。
○(5)副腎腺種なので、患側のみに集積を認める。

19.前立腺癌についての穴埋め問題(2002年問題19と類似問題です。)
 ・(1)で前立腺癌は石様の硬い硬結としてふれる。
 ・前立腺の腫瘍マーカーは(2)である。
 ・前立腺癌では若年で限局性の場合、観血的治療として(3)が行われる。
 ・前立腺癌の治療法として、外科的去勢や内科的去勢、エストロゲン剤、抗アンド
  ロゲン剤等の(4)が行われる。
(文書長くて完全には覚えられませんでしたが、こんな感じです。)
(解答)(1)直腸診(2)PSA(3)前立腺全摘術(4)内分泌療法

(婦人科)
1.女性生殖器の発生・解剖に関して正しいものをひとつ選べ。
 a.卵巣動脈は総腸骨動脈より分枝し、下行し尿管の前を横切って卵巣堤索を通って卵巣に達する。
 b.卵胞は原始卵胞、一次卵胞、グラーフ卵胞、胞状卵胞の順に成熟する。
 c.骨盤臓器を下方から支持しているのが尿生殖隔膜と骨盤隔膜である。
 d.尿生殖ヒダは発育し大陰唇を形成する。
 e.ダグラス窩は膀胱子宮窩という腹膜腔のくぼみで立位で一番低い部位である。
【解答】c  (ac:Compass産婦人科、bd:NEW産婦人科)
a)× 卵巣動脈は腹大動脈より分岐する。(cf. 子宮動脈は内腸骨動脈から分岐し、尿管の前を走行。) 卵巣堤索=卵巣と骨盤を結ぶ支持組織
b)× 卵胞の発育は、原始卵胞→発育卵胞(一次→二次)→グラーフ卵胞
c)○ 骨盤底(=骨盤出口を閉鎖する組織)は3層で、骨盤隔膜(内層)・尿生殖隔膜(中層)・会陰筋(外層)
d)× 外生殖器は7wまで男女の分化なし。尿生殖ヒダは小陰唇、陰唇陰嚢隆起は大陰唇になる。
e)× Douglas窩=直腸子宮窩

2.正しいものをひとつ選べ。
 a.GnRHの分泌は常に律動性に行われている。
 b.インヒビンはLHの分泌を特異的に抑制する。
 c.アクチビンはLHの分泌を特異的に刺激する。
 d.エストロゲンの一過性上昇で排卵が誘発される。
 e.プロゲステロンの分泌は初経の発来に必要である。
【解答】a  (a:NEW産婦人科、bce:webで適当に、d:Compass産婦人科)
 a)○ GnRHの分泌は通常60〜120分間隔でパルス状に行われている。
 b)× インヒビンは、FSH分泌を抑制する。
 c)× アクチビンは、FSH分泌を刺激する。
 d)× 排卵誘発はLHサージ。エストロゲン(E2)のピークはLHサージの前。
 e)? (プロゲステロンと初経は関係ないと書いてある解説は複数発見。)

3.28歳の主婦。月経不順と3ヶ月間の無月経を訴えて婦人科を受診した。内診と超音波断層法にて子宮および付属器に異常はなく、基礎体温測定を指示された。一ヶ月後に受診したところ基礎体温は低温一相性であった。
  この症例について正しいものをひとつ選べ。
 a.妊娠の可能性があるのでホルモン治療は行わない。
 b.破綻出血の予防に低用量経口避妊薬を投与する。
 c.早発閉経の予防にエストロゲン製剤を投与する。
 d.機能性子宮出血の予防にプロゲステロン製剤を投与する。
 e.無排卵周期症の治療に排卵誘発剤を投与する。
【解答】d  (Compass産婦人科)
  低温一相性=無排卵である。
 a)× 妊娠4ヶ月までは高温相が持続する。
 b)×? 低用量経口避妊薬投与では消退出血を起こさないため破綻出血を来たす??
 c)×? 早発閉経では、性器・付属器の萎縮があることが多い。
 d)○ 機能性性器出血(=低温一相)では、黄体ホルモン薬投与で消退出血を起こさせる。
 e)× 無排卵周期症は、月経(+)、排卵(-)

4.子宮内膜症について正しいものをひとつ選べ。
 a.子宮内膜炎や子宮内膜過形成を合併することが多い。
 b.過多月経を認め貧血を合併することが多い。
 c.GnRHアナログ療法ではアドバック療法が有用である。
 d.保存的治療としてGnRHパルス療法が行われる。
 e.エストロゲン依存性であるためアンドロゲン療法が有効である。
【解答】c  (Compass産婦人科、c:webで。)
 a)× 無関係。子宮内膜炎は分娩・流産・中絶後に雑菌が進入して起こる。子宮内膜過形成は子宮体癌の前癌病変。
 b)× 過多月経を認めるのは子宮腺筋症。子宮内膜症では、月経困難(月経痛)、性交痛、不妊。
 c)○ アドバック療法=エストロゲンが低下しすぎたときにエストロゲン製剤を投与し、副作用を押さえる。
 d)× GnRHアナログ(誘導体)療法を行う。
 e)×? ダナゾール(抗ゴナドトロピン)療法は行う。

5.次の性分化異常を示す疾患のうち、染色体異常によるものをひとつ選べ。
 a.双頸双角子宮
 b.ロキタンスキー・キュスター・ハウザー症候群
 c.副腎性器症候群
 d.ターナー症候群
 e.精巣性女性化症
【解答】d  (Compass産婦人科)
 a)× 子宮奇形は左右Muller管の癒合障害で、形態異常は子宮・膣のみ。(尿路奇形は合併しやすい。)
 b)× =痕跡的子宮を伴う膣欠損症。(⇔機能性子宮を認める膣欠損症)
 c)× コルチゾール生成酵素の欠損で、21-hydroxylase欠損が最多。常・劣遺伝。染色体異常(-)
 d)○ ターナー=45,XO。胎生期の性腺分化停止→卵胞(-)→estrogen(-)→二次性徴(-)
 e)× 伴・劣遺伝。男性半陰陽(ホントは男、表現型は女)。男性ホルモンレセプター欠損。

6. 次の症例について設問に答えよ。
〔症例〕結婚後5年になる29歳の女性が、挙児を希望して来院した。避妊したことはなく、一度も妊娠したことはない。結婚後より次第に月経時の血液量が増加し、最近下腹部の膨満感があるという。
1) 行うべき検査として必須でないものをひとつ選べ。
a. 超音波断層法
b. 夫の精液検査
c. 性交後試験
d. 基礎体温の記録
e. コルポスコピー
解答 e
解説 コルポスコピーは子宮頸部癌の診断に有用

2) 内診で骨盤内に新生児頭大の腫瘤を認めた。骨盤MRI検査(T2強調画像)および子宮卵管造影を別紙図1、図2に示す。
この患者の診断としてもっとも考えられるものをひとつ選べ。
a. 子宮体癌
b. 子宮頸癌
c. 子宮筋腫
d. 子宮内膜ポリープ
e. 中隔子宮
解答 c
解説 T2強調で辺縁明瞭な低信号の筋腫結節、大きな筋腫では腫瘍内に不均一な高信号域が混在している。

3) この患者に手術を行う場合、選択すべき術式をひとつ選べ。
a. 単純子宮全摘手術
b. 広汎子宮全摘手術
c. 子宮筋腫核手術
d. 子宮内膜ポリープ切除術
e. 子宮中隔切除術
解答 c

7. 次のうち、正しくないものをひとつ選べ。
a. 子宮脱は腹圧性尿失禁や排尿障害を伴うことが多い。
b. 全子宮脱とは子宮全体が膣外に出た状態をさす。
c. 膣欠損症では卵巣の欠損を伴う。
d. 処女膜閉鎖症では膣留血症を伴う。
e. ミュラー管由来臓器の奇形は尿路奇形を伴うことが多い。
解答 c
解説 膣欠損症では多くの場合卵巣卵管は存在している。

8. 次の文を読み、問いに答えよ。
  45歳女性。接触出血を訴えて受診した。
  1)別紙図3は子宮膣部より採取した擦過細胞診像である。次のうち、正しくないものをひとつ選べ。
a. 核クロマチンの増量がみられる。
b. 核の大小不同がみられる。
c. 角化傾向がみられる。
d. 腺腔形成がみられる。
e. 炎症細胞浸潤がみられる。
解答 d
解説 子宮頚癌の角化型扁平上皮癌の細胞診所見は腫瘍性背景の中に角化型の悪性細胞が多数見られ、強いオレンジG好性を示す。ヘビ状、オタマジャクシ状、紡錘形、線維状、などの奇怪な細胞が出現するのが特徴的である。組織学的に角化型と診断するのに有用な角化真珠は、細胞診標本上には出現しないことも多い。

2)この症例のコルポスコピー像として予想される特徴的な所見をひとつ選べ。
a. 異常隆起
b. コンジローマ
c. 白色上皮
d. 赤点斑
e. モザイク
解答 c
解説 コルポスコピー上で微細な白い斑波通常錯角化に一致するが、過角化では通常厚く、表面粗造のプラークを形成する。

9.次のうち、正しくないものをひとつ選べ。
a. 肉眼的にすべての絨毛が嚢胞化していても、胎芽を伴う場合は部分奇胎と診断する。
b. 細胞遺伝学的に全胞状奇胎の染色体はすべて母親由来である。
c. 胞状奇胎娩出後の一時管理中に尿中または血中のhCGが判別線以下を推移する場合を経過順調型という。
d. 胞状奇胎妊娠の1〜2%に絨毛癌を続発する。
e. 組織学的に証明されていなくとも基準を満たせば臨床的絨毛癌として取り扱ってもよい。
解答 b
解説 すべて父親由来である。

10.症例は53歳、G4P3、閉経50歳の既婚婦人で、一年前に子宮の腫大を指摘されていた。経過観察されていたが最近、急速に腫瘤が増大し、内膜組織診で上皮性および非上皮性の悪性細胞が認められた。この疾患の診断名をひとつ選べ。
a. 子宮内膜癌
b. 子宮内膜増殖症
c. 子宮内膜間質肉腫
d. 子宮平滑筋肉腫
e. 子宮癌肉腫
解答 e
解説 癌肉腫ではミューラー管由来と考えられる悪性の混合腫瘍で上皮性、非上皮性成分双方の主要成分が混在。

11.婦人科検査法について誤っているものをひとつ選べ。
a. コルポスコピー診で酢酸加工後、異型血管が現れ子宮頚部異形成と診断した。
b. 頸部スメアがパパニコロウ(papanicoloau)分類Vaのため上皮内癌を疑った。
c. 子宮膣部の狙い組織診で微小浸潤癌と診断されたため、円錐切除術を行った。
d. 粘膜下子宮筋腫が疑われ、子宮鏡(ヒステロスコピー)を行った。
e. 卵巣癌が疑われたため、腫瘍マーカーCA125とCA19-9を測定した。
解答 b
解説 Wのとき上皮内癌を疑う。

12.婦人科検査法について誤っているものをひとつ選べ。
a. 多嚢胞性卵巣症候群(PCO)の診断に経膣超音波検査を行う。
b. 卵胞の観察に経膣超音波検査を行う。
c. 子宮内腔を評価するため黄体期に子宮卵管造影検査を行う。
d. 原発性無月経の患者に染色体検査を行う。
e. 腹腔鏡で子宮内膜症の確定診断を行う。
解答 c

13.外陰・膣疾患について誤っているものをひとつ選べ。
a. 外陰Paget病は外陰の表在性腺癌である。
b. 外陰癌は高齢者に多い。
c. 膣癌の組織型としては扁平上皮癌が多い。
d. バルトリン腺嚢胞の治療に開窓術や造袋術が行われる。
e. ベーチェット病の外陰潰瘍からヒトパピローマウイルスが検出される。
解答 e
解説 ヒトパピローマウイルスが関連するのは尖圭コンジローマ

14.婦人科炎症性疾患について誤っているものをひとつ選べ。
a.トリコモナス膣炎では膿性の泡沫状黄色帯下を認める。
b.カンジダの治療には抗真菌剤を用いる。
c.閉経後はエストロゲンの低下により老人性膣炎が生じやすくなる。
d.単純ヘルペスウイルスは無痛性の外陰潰瘍を形成する。
e.骨盤内炎症性疾患(PID)の起炎菌としてはクラミジアが多い。
(解答)d
(解説)HSVは顕性感染の場合激烈な症状を伴うことがある。激しい疼痛のために排尿困難や歩行障害を伴う。その他はすべて正しい。

15.婦人科良性腫瘍について誤っているものをひとつ選べ。
a.筋腫分娩の患者に貧血を認めた。
b.子宮腺筋症が妊娠中に増悪した。
c.成熟嚢胞性奇形腫(類皮嚢胞腫)が茎捻転を起こした。
d.卵巣に充実性腫瘍をみとめ線維腫と診断した。
e.機能性卵巣腫瘍の診断にピルを投与した。
(解答)b
(解説)妊娠中の子宮内膜は、プロゲステロンの作用により間質細胞は脱落膜細胞に
    変化し、上皮が萎縮する。子宮腺筋症があった場合にも同様のメカニズムに
    より内膜類似組織に萎縮がみられる。自然妊娠・分娩自体にも治療効果が期
    待できるが、薬剤により同様の効果を期待するものが偽妊娠療法である。

16.次の症例を読んで設問に答えよ。
[症例]45才の既婚女性。人間ドックで骨盤内腫瘤を疑われて来院した。内診で右付属器部に手拳大の腫瘤を触知した。子宮は前傾前屈、鶏卵大で、左付属器部は触知しなかった。腹部超音波検査にて右付属器部に単房性の嚢胞性腫瘍を認め、一部に充実部を認めた(別紙図4)。血中CA-125は550U/ml(正常35以下)、CEAは0.5ng/ml(正常2.5以下)であった。開腹術を行い術中迅速病理組織細胞診に提出した右卵巣の組織を示す(別紙図5)。卵巣腫瘍の被膜は破綻しておらず、腹水細胞診も陰性であった。

1) この症例について誤っているものを一つ選べ。
a.術前にCTを撮影した。
b.病巣はなかったが大網も切除した。
c.骨盤リンパ節郭清を行った。
d.手術進行期分類はUc期であった。
e.術後にタキサン製剤およびプラチナ製剤による多剤併用化学療法を行った。
(解答)d
(解説) 
a.○腫瘍の広がりを見る。 
b.○初期癌に対しては子宮全摘、両側付属器切除、大網切除が基本。 
c.○初期卵巣癌に対する郭清はサンプリング(2〜3個選び、迅速で転移陽性例に治療的郭清)を行う。 
d.×一側の卵巣に限局し、癌性腹水がなく、被膜破綻がないのでTa期。 
e.○初期癌に対してajuvant型化学療法を行う。

2)この腫瘍をひとつ選べ。
a.漿液性嚢胞腺癌
b.粘液性嚢胞腺癌
c.類内膜腺癌
d.明細胞腺癌(類中腎癌)
e.卵黄嚢腫
(解答)a(orc?)
(解説)
単房性の嚢胞は漿液性、多房性は粘液性のことが多い。CA-125高値を示すのは漿液性嚢胞腺癌や子宮内膜症、子宮筋腫など。粘液性嚢胞腺癌ではCA19-9やCEAの高値を示す。病理学的には漿液性嚢胞腺癌ではスリット状の空隙が、粘液性嚢胞腺癌では杯細胞が見られる。類内膜腺癌・明細胞癌はエコーでは嚢胞内に乳頭状に突出した充実性部分を認める。明細胞癌の組織像は胞体の明るい腫瘍細胞が腺管を形成しつつ増生する。卵黄嚢腫は若年者(30歳以下)に好発し、AFP高値を示す。

(病理)
次の文章のうち正しいものには○、間違っているものには×をつけよ。

1)乳房パジェット病(Paget's desease)は、臨床的には乳頭の湿疹様病変を示し、組織学的には乳頭に特発する悪性リンパ腫の一型である。

2)乳腺症は、乳腺の非炎症性、非腫瘍性の増殖性病変で、大小不同の結節として触れ、両側乳房に発生することが多い。

3)浸潤性乳管癌の中でも硬癌は、乳管内に限局腫瘤を形成しないため、発見が困難で予後不良である。

4)腎細胞癌は、肉眼的な色調は黄白色であるが、これは脂肪を多く含んだ粘液性の間質が、腫瘍細胞を取り囲むように発育するためである。

5)糖尿病性腎症の病理学的診断においては、特殊染色を用いて、メサンギウムや糸球体基底膜に沈着したアミロイドを確認することが重要である。

6)副腎皮質腺腫は、アルドステロン、コルチゾールなどの副腎皮質ホルモンを過剰分泌することが多い。

7)腎芽腫は、別名、グラビッツ腫瘍(Grawitz tumor)ともいう。

8)腎盂、尿管、膀胱の腫瘍のなかでは、移行上皮由来の乳頭状増殖を示すものが最も多い。

9)前立腺肥大症は、病理組織学的には外腺(周辺帯)の過形成であり、外腺の構成成分、すなわち腺性成分が著名に増生している。

10)前立腺癌の組織分類として、グリソン(Gleason)分類もしくはWHO分類がよく用いられる。

11)精巣のセミノーマ(seminoma)の病理組織像は、胚細胞に似た大型の円形ないし多角形の境界明瞭な細胞質を有する腫瘍細胞が、胞巣を形成して増殖している。

12)尖圭コンジローマは、扁平上皮乳頭腫でありその発生にhuman papilloma virus (HPV) が関連しているが、陰茎のみならず子宮頸部にも発生する。


13)子宮筋腫は、発生頻度の高い子宮の良性上皮性腫瘍であり、病理組織学的には相交錯する筋繊維芽細胞で構成される。 

14)子宮体癌は、子宮内膜から発生する腺癌が多く、閉経後の55−60歳が発生のピークである。

15)子宮頸部異形成は、子宮頸部がポリープ様に隆起する形態異常であり、先天性疾患である。 
 
16)子宮頸癌は、子宮頸部扁平上皮から発生する扁平上皮癌が多いが、頸部腺から発生する腺癌も見られる。

17)卵巣漿液性嚢胞腺腫は、卵巣移行上皮由来であり、腺癌と異なり腺上皮は二層性を保っている。

18)卵巣奇形腫は、胚細胞性腫瘍で組織発生学的に外・中・内の三胚葉由来の組織が種々混在し、症例によっては脳組織も見られることがある。
 
19)絨毛癌は、病理組織学的に絨毛構造を呈することが、侵入(破壊)胞状奇胎との鑑別点である。

20)クルーケンベルグ腫瘍(krukenberg tumor)は、その多くは腹腔内原発腫瘍が転移したもので、特殊染色において粘液反応高度陽性である。

【解答】  (わかりやすい病理学)
 1)× 乳房Paget病=乳癌のうち、乳頭近くの乳管に起こり、表皮に進展する癌。びらん性湿疹様紅斑を呈し、組織学的には明るい細胞質をもつPaget細胞が表皮内に散在or集族性にみられる。(cf. 乳癌=乳管上皮から発生する(=乳管癌)。表皮に進展→Paget病、小葉へ浸潤→小葉癌。)
 2)○ 乳腺症は30〜40台に多い。圧痛・腫脹を認め、良性の増殖・化生・退行性変化が混在。
 3)× 硬癌は浸潤癌のひとつなので乳管内に限局しない。予後不良は○。(浸潤性乳管癌の予後は、(良)乳頭腺管癌→充実腺管癌→硬癌(悪))
 4)× 腎細胞癌の割面はやや黄白色調。これは、腫瘍細胞がグリコーゲンや脂肪に富んでいるため(明細胞癌)。間質は毛細血管のみで、結合組織がみられない。
 5)× 糖尿病性腎症の特徴的変化は、糸球体メサンギウム基質の結節状肥厚。(cf. アミロイド沈着はコンゴ赤染色)
 6)○ 原発性アルドステロン症・クッシング症候群、副腎性器症候群等を呈す。副腎癌でも同様。
 7)× 腎芽腫=Wilms腫瘍、腎細胞癌=Grawitz腫瘍
 8)○ 下部尿路(腎盂・尿管・膀胱・尿道)の上皮性腫瘍の90%以上が移行上皮癌で、乳頭状の増殖を示す。膀胱側壁、三角部に好発。尿管では下部1/3が多い。
 9)× 前立腺肥大症は、尿道周囲の内腺領域に生じる結節性過形成。そのため尿道狭窄をきたす。逆に、前立腺癌は外腺に好発するため尿道圧排はきたしにくい。
 10)○? 前立腺癌の組織分類にはGleason分類がよく用いられる。WHO分類は不明。
 11)○
 12)○
 13)× 病理組織学的には束状に増殖し、渦状を示す。
 14)○ 子宮体癌の85〜90%が腺癌。
 15)× 1975年WHOは上皮の一部分がさまざまの程度の異型細胞によって置換された病変と定義している。
 16)○
 17)× 一層性の低い円柱上皮に覆われ、線毛が見られることもある。
 18)○
 19)× 絨毛癌は通常の妊娠、胞状奇胎に認められる絨毛構造を認め得ない。
 20)○

もどる

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送