泌尿・生殖器 平成16年度卒業試験

2004年度 卒業試験(復元)
<泌尿器科>
1. 以下の記述のうち正しいものの組み合わせを選べ。
(1)左腎静脈は大動脈の背側を横断し下大静脈に注ぐ。
(2)右副腎中心静脈は右腎静脈に注ぐ。
(3)副腎動脈は下横隔膜動脈、大動脈、腎動脈からの分枝により栄養される。
(4)左精巣 ( 牽丸 ) 静脈は左腎静脈に注ぐ。
(5)左腎静脈が腹部大動脈と上腸間膜動脈との間で圧迫されることがある。
A(1)(2)(4) B(1)(2)(5)  C(1)(3)(5) D(1)(4)(5)  E(3)(4)(5)

2003年度概説試験1と同じ。答えE。


2. 以下の記述のうち正しいものの組み合わせを選べ ( 血尿 : 肉眼的血尿 ) 。
(1)初期血尿--------------膀胱からの出血
(2)無症候性血尿----------尿路悪性腫瘍
(3)終末時排尿痛----------急性膀胱炎
(4)全血尿----------------頚部以外の膀胱上部尿路 ( 腎・尿管 ) からの出血
(5)終末時血尿------------前部尿道からの出血
A (1)(2)(3) B (2)(3)(4) C (1)(3)(5) D (l)(4)(5) E (3)(4)(5)

2003年度卒試2と同じ。答えB。


3.37 歳の男性疼痛なく、一側の陰嚢が腫大してきた。考えられる疾患はどれか。
(1)急性精巣上体(副睾丸) 炎
(2)陰嚢水腫
(3)精巣 (睾丸) 腫瘍
(4)流行性耳下腺炎性精巣 ( 皐丸 ) 炎
(5)精液瘤
A (1)(2)(3) B (2)(3)(4) C (1)(3)(5) D (l)(4)(5) E (3)(4)(5)

2003年度卒試3と同じ。(1)と(4)は疼痛があるため、答えは(2)(3)(5)となる。


4.正しい組給わせを選べ。
(1)機能性尿失禁とは排尿反射に対する上位中枢からの抑制路が何らかの原因で遮断されて生じる失禁で、トイレまで我慢できずに尿が漏出してしまうものである。
(2)腎後性無尿は骨盤内臓器腫瘍による浸潤や圧迫、後腹膜リンパ節転移による圧迫などが原因となっていることが多く、治療として経尿道的尿管ステントの留置や経皮的腎痩造設術が行われる。
(3)尿量が 1 日 100 ml 以下の場合を無尿と呼ぶが、尿閉との鑑別には勝脱部の超音波検査が有用である。
(4)排尿障害の原因となる薬剤の代表的なものには三環系抗うつ薬、抗ヒスタミン薬などがある。
(5)腎の大きな結石でしばしば疝痛発作をきたすことがある。
A (1)(2)(3) B (2)(3)(4) C (1)(3)(5) D (l)(4)(5) E (3)(4)(5)

2003年度卒試4と同じ。答えB。


5. 以下の文章で適切なものはどれか。
(l) 副腎シンチグラブィーで 131I- アドステロールは副腎皮質に、 131I-MIBG は副腎髄質 に集積する。
(2) 膀胱癌の存在診断は膀胱鏡が最もすぐれている。
(3) チェーン勝脱造影は、腹圧性尿失禁の診断方法として用いられる。
(4) 骨シンチグラフィーで異常集積が認められれば、骨転移と診断してよい。
(5) 尿流量検査で最大尿流率が低下していれば、勝統の排尿機能は低下しているといってよい。
(6) 腎機能障害症例に対し排泄性腎孟造影検査を行う場合、描出をよくするために造影剤の量を多くする。
A (1)(2)(3) B (2)(3)(4) C (1)(3)(5) D (l)(4)(5) E (3)(5)(6) F(4)(5)(6)
G 以上のいずれの組み合わせでもない

2003年度卒試5と同じ。答えA。


6. 以下の項目の中で正しいものを選べ。
(1) 嚢胞腎(polycystic kidny)は常染色体劣性遺伝の小児型と、常染色体優性遺伝の成人型があり、血尿、高血圧、腎不全の原因となる。
(2) 腎盂・尿管移行部や尿管膀胱接合部狭窄による水腎( 水尿管 ) 症では、尿流障害による腎孟内庄の上昇が腎実質を圧迫して腎障害をもたらすことは稀である。
(3) 尿道下裂では排尿障害、索状物(chordee) による勃起不全、尿失禁等の症状がみられる。
(4) 融合腎 (fusedkidney 〉の中で最も多いのは馬蹄腎 (horse shoe kidney) である。
(5) 乳少児の腎孟腎炎 (pye1onephritis) は、膀胱尿管逆流 (vesicoureteralreflux)の関与が多い。
A (1)(2)(3) B (2)(3)(4) C (1)(2)(5) D (l)(4)(5) E (2)(4)(5)

2002年度卒試4と一部同じ。(3)尿道下裂では尿失禁は見られないため×。答えはD。


7. 正しい組み合せばどれか。
(1)骨盤腎―――――――尿管の延長
(2)下大静脈後尿管―――――――――左水腎症
(3)完全重複腎孟尿管――――――――Weigert-Meyer 法則
(4)馬蹄鉄腎――――――――――腎長軸延長線の下方交差
(5)海綿腎―――――――――――腎石灰症(nephrocalcinosis)
A (1)(2)(3) B (2)(3)(4) C (1)(3)(5) D (l)(4)(5) E (3)(4)(5)

2003年度卒試7と同じ。答えE。


8. 以下の記述のうち正しいものの組み合わせを選べ。
(1) 膀胱損傷において腹膜刺激症状の有無にて、腹膜内損傷か腹膜外損傷かを区別できることが多い。
(2) 非開放性的の多くは腎挫傷であり、保存的治療が可能である。
(3) 腎外傷において血尿は必発であり、血尿を認めない場合管外傷は否定できる。
(4) 後部尿道の損傷は骨盤骨折に伴うことが多い。
(5) 尿道損傷の部位診断には尿道造影、勝脱鏡検査は必須である。
A (1)(2)(3) B (2)(3)(4) C (1)(2)(4) D (2)(3)(5) E (2)(4)(5)

2002年度卒試1と一部同じ。(2)○85%は保存的治療を行っている。(5)×腹部の触診、エコー、直腸診及び逆行性尿道造影が有用です。答えはCとなる。


9. 尿路結石について正しい答えの組み合わせばどれか ?
(1) 感染結石として重要な成分はリン酸マグネシウムアンモニウムである。
(2) アルカリ性尿は感染結石、酸性尿は尿酸結石、シスチン結石、高カルシウム尿はシユウ酸カルシウム結石ができやすい。
(3) シスチン尿症は常染色体優位遺伝であり、その結石はレントゲン陽性結石である。
(4〉アロプリノールは尿中へ尿酸の排泄を促し、尿酸結石の成因となる。
(5) 尿酸結石に対し最も多く行われている手術はESWL である。
A (1)(2)(3) B (2)(3)(4) C (1)(2)(5) D (l)(4)(5) E (2)(3)(5)

2003年度卒試9と同じ。答えC。


1O. 尿路感染症に関する記載のうち誤っている組み合わせを選択せよ。
(1) 複雑性尿路感染症においては基礎疾患の治療が大切である。
(2) 単純性勝脱炎における起炎菌は、ブドウ球菌が最も多い。
(3) 尿路感染症は多くの場合、腎からの順行性感染で起こる。
(4) 急性腎盂腎炎を繰り返す患者に対しては排尿時膀胱造影を行うべきである。
(5) 尿道炎において鏡検で淋菌が証明されたら、クラミジア尿道炎の混合感染を考えなくて良い。
A (1)(2)(3) B (2)(3)(4) C (1)(2)(5) D (l)(4)(5) E (3)(4)(5)

2003年度卒試10と同じ。正しいのは(1)と(4)である。誤っているのは(2)(3)(5)。


11. 尿路感染症に関する記載のうち正しいものを選択せよ。
(1) 尿路感染症の症候として、混濁尿、排尿痛、発熱、頻尿、などがある。
(2) 膿腎症は尿路の閉塞に伴う腎感染であり、化学療法のみの保存的加療で十分である。
(3) 急性前立腺炎では前立腺部の圧痛を認め、前立腺マッサージは禁忌である o
(4) 精巣上体 (副睾丸) 炎は、尿道・前立腺からの逆行性感染で起こる。
(5) 精巣炎の原因とに流行性耳下腺炎がある。
A (1)(2)(3) B (2)(3)(4) C (1)(3)(5) D (l)(4)(5) E (3)(4)(5)

(1)○(2)×腎摘除術の適応である。(3)×腫大、緊張し、圧痛が強い時期は前立腺マッサージは禁忌だが、炎症が落ち着き、緊張が低下してきたら前立腺マッサージで排膿する。(4)○(5)○ 答えはD。


12. 神経因性膀胱に関する記載のうち正しいものを選択せよ。
(1) 骨盤内手術後には知覚障害と膀胱の収縮機能障害を生じるが、膀胱のコンプライアンス低下は認めない。
(2) 脳血管障害による神経因性膀胱では無抑制収縮がみられ、頻尿、切迫性失禁などの症状を呈する。
(3) 頚・胸椎損傷では排尿筋・外尿道括約筋協調不全が(DSD)が出現することが多く、高圧膀胱のため膀胱変形や膀胱尿管逆流症などを合併しやすい。
(4) 下位の排尿中枢は、S2〜4 である。
(5) 間欠的自己導尿は膿尿が必発であり、尿路結石症の要因となる。
A (1)(2)(3) B (2)(3)(4) C (1)(2)(4) D (l)(2)(5) E (2)(3)(5)

2003年度卒試12と同じ。答えB。


13. 誤っている組み合わせはどれか ?
(1) 射精は交感神経の興奮によって起こる。
(2) LND( 後腹膜リンパ節郭清 ) では射精障害は起こらない。
(3) TUR-P 後の合併症として、逆行性射精を比較的高頻度に認める。
(4) 精索静脈瘤は右側に多く、男性不妊症の原因となることがある。
(5) 脊髄損傷患者でも正常な射精機能は保たれている。
A(1)(2)(3) B (2)(3)(4) C (1)(2)(5) D (1)(4)(5) E (2)(4)(5)

2003年度卒試13と同じ。答えE。


14. 腎移植について正しいものの組み合わせばどれか。
(1) 腎移植後のウイルス感染症として代表的なものはサイトメガロウイルス感染症でganciclovirが治療に用いられる。 (2) 我が国の腎移植おいて、脳死体腎移植数は減少している。
(3) 我が国の腎移植成績は種々の免疫抑制剤の登場で年々向上しており , 近年の生体腎移植における1年生着率は約 7O%前後である。
(4) 腎移植手術においては、一般的には腎動脈は内腸骨動脈、腎静脈は外腕静脈に吻合する。
(5) 近年、配偶者をドナーとする非血縁者間生体腎移植が増加している。
A (1)(2)(3) B (2)(3)(4) C (2)(3)(5) D (l)(4)(5) E (3)(4)(5)

2003年度卒試14と同じ(1)○(2)×増加している。(3)×90%くらいである。(4)×腎静脈は外腸骨静脈に吻合する。(5)○ 答えは?。

15. 腎細胞癌につき正しいのはどれか。
(1) 近位尿細管由来であり、画像上hypervascularな像を呈することが多い。
(2) 血行性転移よりもリンパ行性転移をきたしやすい。
(3) 原因不明の発熱、貧血、高カルシウム血症などの徴侯が見られることがある。
(4) 根治的腎摘除術ではまず腎動静脈の結紮を行うが、副腎は副腎不全予防のため摘出してはならない。
(5) 肺転移に対し、インターフェロンやインターロイキン2 等の免疫療法が行われる。
A (1)(2)(4) B (2)(3)(4) C (1)(2)(5) D (l)(4)(5) E (2)(4)(5)

2003年度卒試15と同じ。正しいのは(1)(3)(5)。


16. 正しい文章の組み合わせを選べ。
(1) 尿路変向術には失禁型の尿管皮膚痩や回腸導管、自然排尿型の Hautman や Studer法などがある。
(2) 原発性膀胱癌の組織型としては大部分が移行上皮癌である。
(3) 勝脱癌の発生と芳香族アミン化合物 ( ベンチジン、 2-ナフチラミンなど) の相関は、疫学的には認められない。
(4) 上皮内癌 (careinoma in situ ) はBCG膀胱内注入療法の適応である。
(5) 原発性腎孟尿管癌において自排尿の尿細胞診の陽性率は非常に高い。
A (1)(2)(4) B (2)(3)(4) C (1)(2)(5) D (l)(4)(5) E (2)(4)(5)

(答)A  2003年度概説16番と同じ。


17. 精巣腫療について、正しい組み合わせはどれか。
(1) 有痛性陰嚢腫大を主訴とすることが多く、精巣上体炎、精巣捻転との鑑別が重要であり、経皮的超音波ガイド下の針生検が有用である。
(2) 精巣腫療の腫瘍マーカーとしてAFP、HCG-β、LDH が有用である。
(3) 転移巣があっても高位除睾術を行い、患側精巣を摘出し病理診断を行う。
(4) 胚細胞性精巣展療は組織学的にセミノーマと非セミノーマに大別され、前者は放一射線療法 (+ 化学療法 ) 、後者はシスプラチンを中心とした化学療法が有効である。
(5) 非セミノーマには胎児倒、繊毛癌、卵黄嚢腫瘍、奇形種などがあり、このなかでは奇形種の予後が極めて不良である。
A (1)(2)(3) B (2)(3)(4) C (1)(2)(4) D (2)(3)(5) E (3)(4)(5)

(答)B  2003年度概説17番と同じ。


18.4O 歳の女性。 2 年前から、徐々に体重増加と満月様顔貌とを認めるように なった。 6 カ月前から無月経となった。同じころに高血圧を指摘され、降圧薬を投与された。
血中コルチゾール26.6μg/dl(正常5-15) 、 dehydroepiandrosterone sulfate 22μg/dl(正常 130〜160) 。
この患者でみられる所見はどれか。
(1) 血中 ACTH は低下する。
(2) 血中コルチゾールの日内変動は消失する。
(3) アドステロール副腎シンチグラフィーにより一側に強い放射能集積をみる。
(4) メチラポン ( メトピロン ) 試験で尿中 17-OHCS/ 日は著増する。
(5) デキサメタゾン8mg を 2 日間投与すると、尿中 17-OHCS/日は減少する。
A (1)(2)(3) B (2)(3)(5) C (1)(2)(5) D (1)(4)(5) E (2)(4)(5)

(答)A  2003年度概説18番と同じ。


19.() 内に適当な語句をいれよ。
( 1 ) で前立腺癌は石様に硬く触れ、圧通がない。前立腺癌の腫蕩マーカーに( 2 ) があり、前立腺癌の診断や治療効果の判定に用いられる。治療法としては、比較的年齢が若く限局性前立腺癌の場合には、観血的治療として ( 3 ) がおこなわれる。そして、外科的去勢、内科的去勢 (LH -RHアゴニスト ) 、エストロ ゲン剤、抗アンドロゲン剤などの ( 4 ) 療法や放射線療法、また、未分化癌や再燃癌には化学療法もおこなわれる。

(答)1.直腸内指診 2.PSA 3.神経温存法による前立腺精嚢全摘術(?) 4.ホルモン


<婦人科>
1, 女性生殖器の発生・解剖に関して正しいものをひとつ選べ。
a. ミューラー管の発育はtestosteroneによって抑制される。
b. 卵管はヴォルフ氏管より発生する。
c. 腟前庭は外尿道口、腟腔、Bartholin腺、Skene腺が開口している。
d. 卵管は間質部、峡部、中間部、膨大部、卵管采に区別される。
e. 成人婦人の通常の子宮の大きさは鵞卵大である。

(答)c.   b. ヴォルフ氏管→ミュラー管 e. 鵞卵→鶏卵大


2. 正しいものをひとつ選べ。
 a. 排卵はLHサージのピークの1日前に起こる。
b. インヒビンはnegative feedbackでFSH産生を抑制する。
c. GnRHは、黄体期では20~30分周期でパルス状分泌される。
d. LHは卵巣の内莢膜細胞に結合してandrogenの産生を刺激する。
e. 視床下部で産生されたGnRHは神経分泌により下垂体後葉へ運ばれる。

(答)d.   a. LHサージのあと排卵 b. negative feedback→×


3. 正しいものをひとつ選べ。
a. 顆粒膜細胞から黄体細胞が形成されプロゲステロンが合成される。
b. 原始卵胞は排卵が近づくにつれて分裂を繰り返し二次卵胞となる。
c. 多嚢胞卵巣症候群の卵巣では、白膜下に多数の黄体が観察される。
d. エストラジオールは芳香化酵素によってエストロンから合成される。
e. エストロゲンの増加はnegative feedbackによりLHサージを誘発する。

(答)a   d. 芳香化酵素;エストロゲン合成酵素  e. negative→positive


4. 正しいものをひとつ選べ。
a. 基礎体温は就寝前の一定時刻に測定する。
b. 性交後試験は精子の数を調べるために行う。
c. 子宮卵管造影検査は子宮内腔の観察のため黄体期に行う。
d. 経腟超音波検査で排卵の有無をモニターすることができる。
e. アッシャーマン症候群では子宮鏡検査で子宮内腔の拡張を認める。

(答)d. a. 就寝前→起床時 b. 性交渉後に子宮頚管粘液と精子との適合(相性)をみる c.月経直後


5. 次の症例を呼んで、以下の説明に答えよ。
 <症例> 29歳の女性。結婚後5年になるが、挙児を希望して来院した。避妊したことはなく、一度も妊娠したことはない。結婚後より次第に月経時の経血量が増加し、最近下腹部の膨満感があるという。

1)まず勧めるべき検査として適当でないものはどれかひとつ選べ。
a. 超音波断層法 b. 夫の精液検査 c. 性交後試験(フーナーテスト)
d. 基礎体温測定 e. コルポスコピー

2) 内診の結果、骨盤内に新生児頭大の腫癒を認め、骨盤部 MRI 検査 (T2 強調画像、別紙図 1) および子宮卵管造影を行った ( 別紙図 2) 。
この患者の診断としてもっとも考えられるものを一つ選べ。
a. 子宮頚癌 b. 子宮体癌 c. 卵巣腫湯 d. 子宮筋腫 e. 中隔子宮

3) この患者に手術を行う場合、選択すべき術式を一つ選べ。
a. 単純子宮全摘出術および両側付属器切除術 b. 広汎子宮全摘出術
c. 子宮筋腫核出術 d. 片側付属器切除術 e. 子宮中隔切除術

(答) 1.e 2.d 3.c 2003年概説6番と同じ。


6. 22 歳の女性で、初経がない。外性器として膣の形成は認める。身長は 145cm で、外反肘がある。次の疾患のなかで最も疑われる疾患を一つ選べ。
a. クライネフェルター症候群 b. ロキタンスキー・キュスター・ハウザー症候群
c. ターナー症候群 d. 精巣性女性化症 e. 副腎性器症候群

(答)c


7. 子宮内膜症について正しいものを一つ選べ。
a. 子宮内膜炎や子宮内膜過形成を合併することが多い。
b. 保存的治療として GnRH アナログのパルス療法が行われる。
c. GnRH アナログ療法では骨量減少に注意する必要がある。
d. エストロゲン依存性であるためタモキシフェン療法が有効である。
e. 過多月経のために貧血を合併することが多い。

(答)c. 2003年概説7番と同じ。


8. 次のうち、 正しくないものを一つ選べ。
a. 膣欠損症では子宮の欠損を伴うことが多い。
b. 膣縦中隔症では腫留血症を伴うことが多い。
c. ミュラー管由来臓器の奇形は尿路奇形を伴うことが多い。
d. 全子宮脱とは子宮全体が睦外に出た状態をさす。
e. 子宮脱は腹圧性尿失禁や排尿障害を伴うことが多い。

(答)b  他のは正しい。


9. 症例は 59 歳、 G0P0 、閉経 52 歳の既婚婦人で、不妊症の治療歴があった。 10 日前 よりの少量の性器出血があり、前医の内膜細胞診で陽性と診断され、紹介され来院した。 最も念頭に置かなければならない疾患について正しいものを一つ選べ。
a. 高危険因子として喫煙歴がある。
b. 平均年齢は子宮頚癌患者に比べて若年である。
c. 子宮頚部、膣部細胞診での検出率はわずか 50% である。
d. 臨床進行期 II 期の症例が半数以上を占める。
e. 手術療法として子宮全摘出術のみで両側付属器切除はかならずしも必要ではない。

(答)c  子宮体癌;原則として子宮全摘+両側付属器切除。


10. 次の文を読み、問いに答えよ。
45 歳女性。接触出血を訴えて受診した。
1) 別紙図 3 は子宮陸部より採取した擦過細胞診像である。次のうち、正しくないものを一つ選べ。
a. 核クロマチンの増量がみられる b. 核の大小不同がみられる
c. 角化傾向がみられる d. 腺腔形成がみられる
e. 炎症細胞浸潤がみられる

2) この症例のコルポスコピー像として予想される特徴的な所見を一つ選べ。
a. モザイク b. 白色上皮 c. 表面隆起 d. 赤点斑 e. コンジローマ

(答) 1)d 2)b 2003年度卒試婦人科8と同じ。


11. 次のうち、正しくないものを一つ選べ。
a. 肉眼的に全ての絨毛が嚢胞化していれば全胞状奇胎と診断する。
b. 細胞遺伝学的に全胞状奇胎の染色体はすべて母親由来である。
c. 胞状奇胎娩出後の一次管理中に尿中または血中の hCG が判別線以下を推移する場合を経過順調型という。
d. 胞状奇胎妊娠の 1~2% に級毛癌を続発する。
e. 組織学的に証明されていなくとも基準を満たせば臨床的級毛癌として取り扱ってもよい。

(答) b 2003年度卒試婦人科9とほぼ同じ。


12. 婦人科検査法について誤っているものを一つ選べ。
a. 子宮頚部を酢酸加工して腔拡大鏡診 ( コルポスコピー ) を行った。
b. 頚部スメアがパパニコロウ (Papmkoloau) 分類Vaのため軽度異形成を疑った。
c. 子宮内膜症が疑われたため、子宮内膜組織診を行った。
d. 子宮鏡 ( ヒステロスコピー ) で子宮内膜ボリープと診断した。
e. 子宮内膜がMRIのT2 強調画像で高信号に ( 白く ) 描出された。

a.b.○ 2002年度概説産婦人科4参照
c.× 腹腔鏡、超音波などで子宮外の内膜組織を確認する必要がある。
d.○ e.○ 2001年度卒試産婦人科4参照
(答) c


13. 外陰・膣の疾患について誤っているものを一つ選べ。
a. 大陰唇は皮下脂肪が豊富である。
b. 外陰癌は骨盤リンパ節にも転移する。
c. 外陰癌に有効な抗癌剤としてブレオマイシンが使用される。
d. 尖圭コンジローマの病変からヘルペスウイルスの感染が同定される。
e. 膣癌は後陸円蓋部に生じやすい。

d.× 尖圭コンジローマはヒトパピローマウイルス
a.○ b.○ 2002卒試婦人科11参照 c.○ 2002概説婦人科12参照 e.○


14. 婦人科炎症性疾患について誤っているものを一つ選べ。
a. カンジダ腫炎で白色ヨーグルト状の帯下を認める。
b. 単純ヘルペスウイルスの初感染を副腎皮質ステロイドで治療する。
c. トリコモナス膣炎の治療にメトロニダゾールを用いる。
d. 鼠径リンパ肉芽腫症はSTDである。
e. ヒト免疫不全ウイルス (HIV) は RNA ウイルスである。

(答)b
a.c.e.○ 2002概説婦人科16参照 d.○ b.× アシクロビルを用いると思う。ステロイドは免疫抑制のためよくないと思う。


15. 婦人科良性腫瘍について誤っているものを一つ選べ。
a. 粘膜下筋腫に過多月経、月経困難症を認めた。
b. 子宮筋腫が閉経後に軽快した。
c. 不妊症の子宮筋腫患者に筋腫核出術を行った。
d. 卵巣内膜症性嚢胞の治療にエストロゲンを投与した。
e. 卵巣線維腫に胸水が合併した。

(答) d a.b.○ 2002卒試婦人科9参照 d.× 2002概説婦人科10参照
c.○ e.○ メイグス症侯群


16. 次の症例を読んで、以下の設問に答えよ。
〔症例〕 60 才の既婚婦人。腹部の膨満感を主訴として来院し卵巣癌疑いにて開腹術を行った。検査所見 :CA1251,150U/ml ( 正常 35 以下 ) 、CEA0.5ng/dl( 正常 2.5 以下 ) 、 CA19-9 200U/ml( 正常 32 以下 )o 手術所見 ( 別紙図 4): 子宮は正常大なるも 左卵巣は径 15cm 、右卵巣は径 6cm に腫大し、共に嚢胞性一部充実性の腫蕩を形成していた。腹水を 1500ml 認め、骨盤腹膜、大網、横隔膜下面に転移巣を認め た。腹水細胞診は陽性で、摘出した骨盤リンパ節にも転移を認めた。摘出腫、癌のHE 染色標本 : 淡明な胞体でグリコーゲンに富む細胞が腺管状に発育する部分( 別紙図 5 左 ) と核が細胞の遊離面に近く突出する犬釘細胞 (hobnal cell) 型の 細胞が乳頭状に増殖する部分 ( 別紙図 5 右 ) を認めた。

1) この卵巣癌患者の進行期はどれか
a. Ic b. IIa c. IIc d. IIIa e. IIIc

2) この腫瘍の病理診断はどれか
a. 漿液性嚢胞腺癌 b. 粘液性嚢胞腺癌 c. 明細胞癌 ( 類中腎癌 )
d. 類内膜腺癌 e. クルッケンベルグ腫瘍 ( 印環細胞癌 )

(答)1)e? 2)c
1)腹腔内転移が認められ、腹腔外転移はないのでV期であることは間違いない。Vaでは顕微鏡的腹腔内播種であるから、手術所見で横隔膜などに転移を認める本例はVcであろう。
2)hobnail cellは明細胞癌の特徴。


<病理>
1) 急性尿細管壊死の病理組織像では、近位尿細管上皮の変性壊死、剥離が見られる。
2) 腎淡明細胞癌の間質は、血管成分に乏しいことが多い。
3) 腎淡明細胞癌の淡明な細胞質には、粘液が豊富に含まれている。
4) 副腎皮質腺腫は、アルドステロン、コルチゾールなどの副腎皮質ホルモンを過剰分泌することが多い。
5) 腎芽腫(Wilms' tumor)は、後腎組織より発生し、多彩な組織像を呈す。
6) 膀胱移行上皮癌乳頭状型の上皮成分は、通常移行上皮より低層化配列(6層以下)を示すものが多い。
7) 前立腺肥大症は、病理組織学的には外腺(周辺帯)の過形成であり、外腺の構成成分、すなわち腺性成分が著明に増生している。
8) 前立腺癌高分化型の腺管をおおう腫瘍細胞は、2層性の構造異型をとる。
9) 精巣のセミノーマの(seminoma)の確定診断は、経皮的針生検にて合胞体性巨細胞が認められることである。
10) 尖圭コンジローマは、扁平細胞上皮乳頭腫でありその発生にhuman papilloma virus (HPV)が関連しているが、陰茎のみならず子宮頚部にも発生する。
11) 子宮筋腫の続発性の組織変化として、石灰化や硝子様変性などが見られる。
12) 子宮内膜癌は腺腫が多く、子宮腺筋症の異所的な内膜から発生するものが多い。
13) 子宮頚部上皮内癌は、子宮頚部の扁平円柱上皮境界に接する移行帯に好発する。
14) 子宮頸癌は、扁平上皮癌と腺癌との混合型も見られる。
15) 卵巣腫瘍は嚢胞性腫瘍が多く、そのなかの漿液性嚢胞腺種は多房性のものが多い。
16) 卵巣成熟嚢胞性奇形腫は、外胚葉由来である皮膚とその付属器組織からなる。
17) 全胞状奇胎の絨毛間質は、血管と栄養芽細胞が著明に増成する。
18) 子宮外妊娠では、子宮内膜にArias-Stella反応が見られることがある。
19) 子宮膣部びらんは、大部分は組織学的に仮性びらんである。
20) 卵巣莢膜細胞腫は、粘液性腫瘍で嚢胞状の肉眼所見を呈する。

1)○ 3)× 2003概説病理1.1)参照。 4)× 副腎皮質腺腫は内分泌非活性腫瘍である。 5)○ 6)? 7)× 前立腺肥大症は内腺に好発。癌は外腺に好発。 8)○? 2002概説病理5.3)参照。 9)×? セミノーマでは合胞体性巨細胞がみられることはあるが、必ずあるわけではないようです。10)○ 2003卒試病理12と同じ。 11)? 12)? 13)○ 14)○ 15)× 漿液性嚢胞腺腫は単房性が多く、粘液性のものは多房性が多い。 16)× 三胚葉の成分を含む。 17)○? 18)○ 19)○ 20)× 卵巣莢膜細胞腫は充実性腫瘍。

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