泌尿・生殖器 平成17年度卒業試験

平成17年12月1日実施(獲得)
<泌尿器科>
【1】肉眼的血尿に関する記述のうち正しいものの組み合わせを選べ。
(1)初期血尿:後部尿道〜膀胱頸部からの出血  (2)終末時血尿:前部尿道からの出血
(3)全血尿:頸部以外の膀胱〜上部尿路(腎・尿管)からの出血
(4)無症候性血尿:尿路悪性腫瘍  (5)排尿痛を伴う血尿:急性膀胱炎
A(1)(2)(3)  B(2)(3)(4)  C(1)(3)(5)  D(1)(4)(5)  E(3)(4)(5)

【2】以下の文章で適切なものはどれか。
(1)尿流量検査で最大尿流率が低下していれば、膀胱の排尿機能は低下しているといってよい。
(2)腎機能障害症例に対し排泄性腎孟造影検査を行う場合、描出をよくするために造影剤の量を多くする。
(3)チェーン膀胱造影は、腹圧性尿失禁の診断方法として用いられる。
(4)骨シンチグラフィーで異常集積が認められれば、骨転移と診断してよい。
(5)副腎シンチグラフィーで131I−アドステロールは副腎皮質に、131I-MIBGは副腎髄質に集積する。
(6)膀胱癌の存在診断は膀胱鏡が最もすぐれている。
A(1)(2)(3)  B(2)(3)(4)  C(1)(3)(5)  D(3)(4)(5)  E(3)(5)(6)
F(4)(5)(6)  G以上のいずれの組み合わせでもない

【3】左右の腎機能を区別して検査できるのはどれか。
(1)静脈性腎孟造影  (2)レノグラム  (3)PSP排泄試験
(4)尿濃縮試験  (5)インジゴカルミン排泄試験
A(1)(2)(3)  B(1)(2)(5)  C(1)(4)(5)  D(2)(3)(4)  E(3)(4)(5)

【4】次のうち正しいものはどれか。
(1)結石などによって急激に尿管閉塞を来した場合、腎孟内圧が急激に上昇し、尿の腎外溢流を起こすことがある。
(2)慢性の尿管閉塞では尿管は径の増大のみならず長さも延長することが多い。
(3)膀胱の肉柱形成や仮性憩室は神経因性膀胱や前立腺肥大症患者によく見られる。
(4)尿管部分閉塞の場合腎のNa吸収低下、その結果排泄の増加をみることも少なくない。
答えA1,3,4  B1,2  C2,3  D4のみ  Eすべて正しい

【5】正しい答えの組み合わせはどれか?
(1)射精は副交感神経の興奮によって起こる。 (2)RPLNDでは射精障害は起こらない。
(3)TUR-P後に逆行性射精が起こることはまれである。 (4)精索静脈瘤は左側に多い。
(5)脊髄損傷患者でも電気刺激などにより射精機能は可能である。
答えA:12  B:23  C:34  D:45  E:51  F:すべて正しい
G:すべて間違い  H:上記のいずれの組み合わせでもない

【6】神経因性膀胱に関する記載のうち正しいものを選択せよ。
(1)下位の排尿中枢は、S2〜4である。
(2)脳血管障害による神経因性膀胱では無抑制収縮がみられ、頻尿、切迫性失禁などの症状を呈する。
(3)頸・胸椎損傷では排尿筋・外尿道括約筋協調不全(DSD)が出現することが多く、高圧膀胱のため膀胱変形や膀胱尿管逆流症などを合併しやすい。
(4)骨盤内手術後には知覚障害と膀胱の収縮機能障害を生じるが、膀胱のコンプライアンス低下は認めない。
(5)間欠的自己導尿は膿尿が必発であり、尿路結石症の要因となる。
A(1)(2)(3)  B(2)(3)(4)  C(1)(2)(4)  D(1)(2)(5)  E(2)(3)(5)

【7】尿路結石症について正しい答えの組み合わせはどれか?
(1)カルシウム結石は下部尿路に多く、また性別では男性に多い。
(2)結石成分で最も頻度が高いのは尿酸結石である。
(3)感染結石は尿のPhがアルカリ性、尿酸結石は酸性でできやすい。
(4)レントゲン陰性結石で最も頻度が高いものは尿酸結石である。
(5)現在、尿路結石症に対して最も多く行われている手術はESWLである。
答えA.1,5  B.2,3,5  C.1,3,5  D.3,4,5  E.1,2,5  F.すべて正しい

【8】以下の記述のうち正しいものの組み合わせを選べ。
(1)腎外傷において血尿は必発であり、血尿を認めない場合腎外傷は否定できる。
(2)非開放性腎外傷の多くは腎挫傷であり、保存的治療が可能である。
(3)膀胱損傷において腹膜刺激症状の有無にて、腹膜内損傷か腹膜外損傷かを区別できることが多い。
(4)後部尿道の損傷は骨盤骨折に伴うことが多い。
(5)尿道損傷の部位診断には尿道造影、膀胱鏡検査は必須である。
A(1)(2)(3)  B(2)(3)(4)  C(1)(2)(4)  D(1)(2)(5)  E(2)(3)(5)

【9】尿路感染症に関する記載のうち正しいものを選択せよ。
(1)尿路感染症は多くの場合、腎からの順行性感染で起こる。
(2)単純性膀胱炎における起炎菌は、ブドウ球菌が最も多い。
(3)複雑性尿路感染症においては基礎疾患の治療が大切である。
(4)腎孟内にカテーテルが留置された患者に細菌尿がみられた場合、症状がなくても注射薬による治療を14日間程度行うべきである。
(5)急性腎孟腎炎を繰り返す患者に対しては排尿時膀胱造影を行うべきである。
A(1)(2)  B(1)(3)  C(2)(4)  D(3)(5)  E(4)(5)

【10】膀胱尿管逆流(VUR)にっいて正しいのはどれか。
(1)両側性発生はまれである。 (2)女性に多くみられる。 (3)神経因性膀胱にも合併する。
(4)排尿時膀胱造影は診断上有用である。  (5)保存療法で治癒は望めない。
A(1)(2)(3)  B(1)(2)(5)  C(1)(4)(5)  D(2)(3)(4)  E(3)(4)(5)

【11】正しい組み合わせを選べ。
(1)腹圧性尿失禁とは排尿反射に対する上位中枢からの抑制路が何らかの原因で遮断されて生じる失禁で、トイレまで我慢できずに尿が漏出してしまうものである。
(2)腎後性無尿は骨盤内臓器腫瘍による浸潤や圧迫、後腹膜リンパ節転移による圧迫などが原因となっていることが多く、治療として経尿道的尿管ステントの留置や経皮的腎瘻造設術が行われる。
(3)尿量が1日100ml以下の場合を無尿と呼ぶが、尿閉との鑑別には膀胱部の超音波検査が有用である。
(4)排尿障害の原因とねる薬剤の代表的なものには三環系抗うつ薬、抗ヒスタミン薬などがある。
(5)腎の大きな結石ではしばしば病痛発作をきたすことがある。
A(1)(2)(3)  B(1)(2)(4)  C(2)(3)(4)  D(2)(3)(5)  E(3)(4)(5)

【12】腎不全,腎移植について正しいものの組み合わせはどれか。
(1〕血液透析療法は,メリットとして簡便で,循環動態や血圧に対する影響が少ない。
(2)我が国の腎移植成績は種々の免疫抑制剤の登場で年々向上しており,近年の生体腎移植における1年生着率は約70%前後である。
(3)我が国の腎移植おいて,脳死体腎移植数は減少している。
(4)腎移植後のウイルス感染症として代表的なものはサイトメガロウイルス感染症でganciclovirが治療に用いられる。
(5)腎移植手術においては,一般的には腎動脈は内腸骨動脈,腎静脈は内腸骨静脈に吻合する。
(6)近年,配偶者をドナーとする非血縁者間生体腎移植が増加している。
A(1)(2)  B(3)(4)  C(5)(6)  D(4)(6)  E(2)(6)  Fすべて正しい
Gすべて間違い  H上記のいずれの組み合わせでもない

【13】褐色細胞腫について誤っているものを選べ。
(1)主要な症状はカテコールアミンの放出による。
(2)メトピロンテストが診断の目的に行われる。
(3)循環血液量が増加する。  (4)術前から交感神経遮断薬を使用する。
(5)クロム親和性細胞由来である。
答えA1,3,4  B1,2  C2,3  D4のみ  Eすべて正しい

【14】腎細胞癌につき正しいのはどれか。
(1)近位尿細管由来であり、画像上hyporvascularな像を呈することが多い。
(2)血行性転移よりもリンパ行性転移をきたしやすい。
(3)原因不明の発熱、貧血、高カルシウム血症などの徴候が見られることがある。
(4)根治的腎摘除術ではまず腎動静脈の結紮を行うが、副腎は副腎不全予防のため摘出してはならない。
(5)肺転移に対し、インターフェロンやインターロイキン2などの免疫療法が行われることがある。
A(1)(2)(3)  B(2)(3)(4)  C(1)(3)(5)  D(1)(4)(5)  E(2)(3)(5)

【15】正しい文章の組み合わせを選べ。
(1)原発性腎孟尿管癌において自排尿の尿細胞診の陽性率は非常に高い。
(2)原発性膀胱癌の組織型としては大部分が移行上皮癌である。
(3)膀胱癌の発生と芳香族アミン化合物(ベンチジン、2-ナフチラミンなど)の相関は、疫学的には認められない。
(4)上皮内癌(carcinoma in situ)はBCG膀胱内注入療法の適応である。
(5)尿路変向術には失禁型の尿管皮膚瘻や回腸導管、自然排尿型のHautmanやStuder法などがある。
A(1)(2)(4)  B(2)(3)(4)  C(1)(2)(5)  D(1)(4)(5)  E(2)(4)(5)

【16】前立腺肥大症に関する記述のうち、正しいものはどれか。
(1)前立腺肥大症は前立腺癌と同様、前立腺辺縁領域(peripheral zone)から発生することが多い。
(2)前立腺肥大症は肥大結節の大きさと自覚症状が比例する。
(3)前立腺肥大症の治療は薬物療法と手術療法に大別され、症状の程度や全身状態により治療方法が選択される。
(4)前立腺肥大症患者に前立腺癌が合併することもある。
(5)前立腺肥大症の代表的な症状は排尿困難と夜間頻尿である。
A(1)(2)(3)  B(2)(3)(5)  C(1)(2)(5)  D(1)(4)(5)  E(3)(4)(5)

【17】以下の記述で正しいものの組み合わせを選べ
(1)高齢者ほど前立腺癌の潜在癌の頻度は高い。
(2)前立腺内に限局する前立腺癌では経尿道的前立腺切除術が根治的治療となる。
(3)前立腺癌の約50%は内分泌療法が無効である。
(4)低分化の前立腺癌は高分化のものに比べ内分泌療法に良く反応する。
(5)内分泌療法に抵抗性となった前立腺癌ではcisplatinを中心とする抗癌化学療法が有効であることが多い。
A.1  B.2  C.3  D.4  E.5  F12  G.23  H.34  I.45

【18】前立腺癌に関する記述のうち正しいものはどれか
(1)前立腺癌は放射線に対する感受性は非常に低いため、放射線治療が選択されることは少ない。
(2)限局性前立腺癌に対し、前立腺全摘術を行った場合、約30%の症例に生化学的再発(PSA再発)が起こるとされている。
(3)前立腺全摘術における合併症としては、術後の尿失禁および性機能障害(勃起機能障害)があげられる。
(4)血中PSAは前立腺癌だけではなく、前立腺肥大症や前立腺炎で上昇する場合もある。
(5)前立腺癌の転移部位としては、肺と肝が最も多い。
A(1)(2)(4)  B(2)(3)(4)  C(1)(2)(5)  D(1)(4)(5)  E(2)(4)(5)

【19】精巣腫瘍について、正しい組み合わせはどれか。
(1)有痛性陰嚢腫大を主訴とすることが多く、精巣上体炎、精巣炎との鑑別が重要である。
(2)通常、充実性であり、陰嚢水腫との鑑別は透光性の有無で比較的容易であるが、はっきりしない場合には経皮的超音波ガイド下の針生検が有用である。
(3)胚細胞性精巣腫瘍は組織学的にセミノーマと非セミノーマに大別され、進行した症例では前者は放射線療法、後者はシスプラチンを中心とした化学療法が有効である。
(4)非セミノーマには胎児性癌、絨毛癌、卵黄嚢腫瘍、奇形種などがあり、このなかでは奇形種の予後が極めて不良である。
(5)基本術式は高位除睾術であり、経陰嚢的に患側精巣を摘出する。
A(1)(2)  B(2)(3)  C(2)のみ  D(3)(4)  E(3)(5)  F(3)のみ

【20】40歳の女性。2年前から、徐々に体重増加と満月様顔貌とを認めるようになった。6ヵ月前から無月経となった。同じころに高血圧を指摘され、降圧薬を投与された。血中コルチゾール26.6μg/dl(正常5-15)、dehydroepiandrosterone sulfate:22μg/dl(正常130-160)。この患者でみられる所見はどれか。
(1)血中ACTHは低下する。  (2)血中コルチゾールの日内変動は消失する。
(3)デキサメサゾン8mgを2日間投与すると、尿中17-OHCS/日は減少する。
(4)メチラポン(メトピロン)試験で尿中17-OHCS/日は著増する。
(5)131Iアドステロール副腎シンチグラフィーにより一側に強い放射能集積をみる。
A(1)(2)(3)  B(2)(3)(5)  C(1)(2)(5)  D(1)(4)(5)  E(2)(4)(5)

<婦人科>
【1】女性生殖器の発生・解剖に関して正しいものを1つ選べ。
a.子宮動脈は総腸骨動脈より分枝する外腸骨動脈から分かれている。
b.ダグラス窩は膀胱子宮窩のことである。
c.子宮内膜は月経周期に伴い月経期、増殖期、分泌期の順に周期的変化をする。
d.子宮頸管上皮は移行上皮に被覆されている。
e.卵胞は原始卵胞、発育卵胞、グラーフ卵胞、白体、黄体と発育変化していく。

【2】正しいものを1つ選べ。
a.排卵はLHサージのピークの約12時間前に起こる。
b.インヒビンはnegative feedbackでFSH産生を抑制する。
c.GnRHは、黄体期では30-60分周期でパルス状分泌される。
d.LHは卵巣の内來膜細胞に結合してアンドロゲンの産生を刺激する。
e.視床下部で産生されたGnRHは神経分泌により下垂体後葉へ運ばれる。

【3】正しいものを1つ選べ。
a.顆粒膜細胞から黄体細胞が形成されプロゲステロンが合成される。
b.原始卵胞は排卵が近づくにつれて分裂を繰り返し二次卵胞となる。
c.多嚢胞卵巣症候群の卵巣では、白膜下に多数の黄体が観察される。
d.エストラジオールは芳香化酵素によってエストロンから合成される。
e.エストロゲンの増加はnegative feedbackによりLHサージを誘発する。

【4】婦人科検査法について誤っているものを1つ選べ。
a.扁平円柱上皮境界(SCJ)の内側に扁平上皮癌はできやすい。
b.頸部スメアのPapanicoloau分類クラスIVは上皮内癌に相当する。
c.膣拡大鏡診(コルポスコピー)で白色上皮は酢酸加工前に診断する。
d.腹腔鏡は外性子宮内膜症の診断に有用である。
e.CT'はリンパ節転移の検索に有用である。

【5】正しいものを1つ選べ。
a.基礎体温は就寝前の一定時刻に測定する。
b.性交後試験は精子の運動率を調べるために行う。
c.子宮卵管造影検査は子宮内腔の観察のため黄体期に行う。
d.経膣超音波検査で排卵の有無をモニターすることができる。
e.アッシャーマン症候群では子宮鏡検査で子宮内腔の拡張を認める。

【6】Tuner症候群について正しいものを1つ選べ。
a.LH-RHテストの反応性は不良である。  b.低身長,外反肘,翼状頸が特徴的である。
c.血中エストロゲンとゴナドトロピンは低値を示す。
d.カウフマン療法により月経を起こすことはできない。
e.頻度は新生女児の10000〜15000出産に一例である。

【7】子宮内膜症について正しいものを1つ選べ。
a.経口避妊薬の投与が治療に有用である。
b.子宮内膜に炎症性病変を認めることが多い。
c.卵巣機能不全や黄体機能不全の原因となる。
d,プロゲステロンが病変形成を促進させる。
e.月経時に凝血塊を認め貧血を合併することが多い。

【8】次のうち、正しくないものを1つ選べ。
a.膣欠損症では尿路奇形を伴うことが多い。
b.膣縦中隔症では膣留血症を伴うことが多い。
c.処女膜閉鎖症では膣留血症を伴うことが多い。
d.子宮脱では腹圧性尿失禁や排尿障害を伴うことが多い。
e.子宮脱では膀胱脱・直腸脱を伴うことが多い。

【9】正しいものを1つ選べ。
aプロゲステロンの増加は頸管粘液を増加させる。
b.黄体期の頸管粘液は粘稠度が増加して牽糸性に富む。
c.頸管粘液の分泌は排卵後7日頃の黄体期がもっとも多い。
d.頸管粘液の性状から着床期を推測することができる。
e.精子・頸管粘液不適合は人工授精の適応となる。

【10】婦人科良性腫瘍について誤っているものを1つ選べ。
a.漿膜下筋腫に頻尿を認めた。  b.筋腫分娩の患者をレゼクトスコープで治療した。
c.高度の子宮内膜症を骨盤に認め、凍結骨盤の状態であった。
d.卵巣内膜症性嚢胞が妊娠して悪化した。 e.機能性卵巣嚢腫の診断にピルを投与した。

【11】54歳女性。血性帯下を訴えて受診した。1)と2)の問いに答えよ。
1)図は子宮膣部より採取した擦過細胞診像である。次のうち、正しくないものを1つ選べ。

a.炎症細胞浸潤がみられる。 b.壊死像がみられる。 c.コイロサイトーシスがみられる。
d.核クロマチンの増量がみられる。  e.核の大小不同がみられる。


2)この症例のコルポスコピー像として予想される特徴的な所見を1つ選べ。
a.白色上皮  b.モザイク  c.赤点斑  d.異常隆起  e.コンジローマ

【12】外陰・膣の疾患について誤っているものを1つ選べ。
a.大陰唇に毛包を認める。  b,外陰ヘルペスでは細胞診で核内封入体を認める。
c.バルトリン腺炎の治療に抗生剤を用いる。
d.外陰Paget病は外陰の表在性扁平上皮癌である。  e.外陰癌は高齢者に多い。

【13】次の症例を読み、1)と2)の問いに答えよ。
【症例】65才の既婚婦人が下腹部の膨満感を主訴として来院した。内診で骨盤内に小児頭大の腫瘤を触知した。腫瘍マーカーはCA125: 50U/ml(正常35以下)、CA19-9: 700U/ml(正常32以下)で、経腹超音波検査の所見は図2の様であった。手術時、腹水を500ml認めた。卵巣の原発腫瘍に加え、大網に転移性腫瘍を認め、腹腔内に多くの播種像を認めた(図3)。摘出腫瘤のH-E染色組織像(図4)では高円柱様の腫瘍細胞を認めた。肺、肝および消化管内に病巣は無かった。




1)この卵巣癌患者の進行期はどれか。
a.IIa  b.IIc  c.IIIb  d.IIIc  e.IV

2)この腫瘍の組織診断はどれか。
a.クルッケンベルグ腫瘍(印環細胞癌)  b.漿液性嚢胞腺癌
c.粘液性嚢胞腺癌  d.明細胞癌(類中腎癌)  e.類内膜腺癌

【14】次のうち、正しくないものを1つ選べ。
a.細胞遺伝学的に全胞状奇胎の染色体はすべて母親由来である。
b.胞状奇胎娩出後の一次管理中に尿中または血中のhCGが判別線以下を推移する場合を経過順調型という。
c.全胞状奇胎は部分胞状奇胎に比べて悪性化の頻度が高い。
d.組織学的に証明されていなくとも基準を満たせば臨床的絨毛癌として取り扱ってもよい。
e.絨毛癌は組織学的に絨毛構造を示さない。

【15】症例は37歳、G0P0、元来月経不順で不妊症の治療を受けている。しばしば不正性器出血があり、経膣超音波検査で子宮内膜の肥厚を指摘された。精査するにあたり最も念頭に置かなければならない疾患はどれか1つ選べ。
a.子宮体癌  b.子宮腺筋症  c.子宮内膜増殖症  d.子宮肉腫  e.子宮筋腫

【16】婦人科炎症性疾患について誤っているものを1つ選べ。
a.ビフィズス菌が膣内を酸性に保つ。  b.小児期膣炎の起炎菌には大腸菌が多い。
c.カンジダ膣炎の治療に抗真菌剤を用いる。
d.トリコモナス腟炎では泡沫状黄色帯下を認める。
e.クラミジア頸膣炎はSTDである。

<病理>
【1】腎細胞癌についての以下の記述の中で、正しいものの組み合わせを選べ。
1)腎糸球体基底膜由来である。  2)肉眼像ではしばしば出血・壊死をみる。
3)腎静脈や下大静脈に腫瘍塞栓をつくることはまれでない。
4)長期透析後に腎細胞癌が発生することは極めてまれである。
a)1,3,4のみ  b)1,2のみ  c)2,3のみ  d)4のみ  e)1〜4すべて

【2】腎細胞癌の組織像についての以下の記述の中で、正しいものの組み合わせを選べ。
1)淡明細胞癌、顆粒細胞癌、嫌色素細胞癌などに分類される。
2)腎淡明細胞癌の間質は、線維成分に富むことが多い。
3)腎淡明細胞癌の淡明な細胞質には、グリコーゲンが農富に含まれている。
4)集合管癌(Bellini管癌)は腎髄質に発生する。
a)1,3,4のみ  b)1,2のみ  c)2,3のみ  d)4のみ  e)1〜4すべて

【3】腎芽腫(Wilms' tumor〕についての以下の記述の中で、正しいものの組み合わせを選べ。
1)10〜15才に好発する。  2)後腎組織より発生し、多彩な組織像を呈す。
3)ときに両側性に発生する。  4)発生にはRb遺伝子の異常が深く関与している。
a)1,3,4のみ  b)1,2のみ  c)2,3のみ  d)4のみ  e)1〜4すべて

【4】膀胱の疾患についての以下の記述の中で、正しいものの組み合わせを選べ。
1)増殖性膀胱炎ではvon Brunn細胞巣がみられることがある。
2)移行上皮癌は、乳頭状増殖を示すものが最も多い。
3)膀胱移行上皮癌乳頭状型の上皮成分は、通常の移行上皮より高層化(7層以上)したものが多い。
4)膀胱に発生する肉腫では、横紋筋肉腫が多くこれは小児に好発する。
a)1,3,4のみ  b)1,2のみ  c)2,3のみ  d)4のみ  e)1〜4すべて

【5】前立腺肥大症、前立腺癌についての以下の記述の中で、正しいものの組み合わせを選べ。
1)前立腺肥大症は、組織学的に前立腺被膜下の外腺領域の過形成である。
2)前立腺肥大症は、組織学的に前立腺腺組織の過形成であり間質成分は乏しくなる。
3)前立腺癌は組織学的に異型が強く、高分化型でも組織診断は容易である。
4)前立腺癌の組織学的gradingとしてGleason分類が多用されている。
a)1、3,4のみ  b)1,2のみ  c)2,3のみ  d)4のみ  e)1〜4すべて

【6】子宮頸部異形成についての以下の記述の中で、正しいものの組み合わせを選べ。
1)子宮頸部異形成は、扁平上皮と円柱上皮の移行部に好発する。
2)子宮頸部異形成は、自然治癒することがある。
3)近年、子宮頸部異形成と同様の概念としてCIN(cervical intraepithelial neoplasia)が用いられ、異型度に従いI〜IIIに分類される。
4)子宮頸部の異形成の発生とhuman papilloma virus(HPV)感染の関連が重要視されている。
a)1,3,4のみ  b)1,2のみ  c)2,3のみ  d)4のみ  e)1〜4すべて

【7】子宮体部病変についての以下の記述の中で、正しいものの組み合わせを選べ。
1)子宮外妊娠では、子宮内膜にArias-Stella反応がみられることがある。
2)子宮内膜症が子宮筋層に起こった場合を子宮腺筋症と呼ぶ。
3)子宮平滑筋腫で出血、壊死をみることは少なく、平滑筋肉腫との鑑別に有用である。
4)病理学的に、子宮平滑筋腫と平滑筋肉腫との鑑別は核異型度で決められる。
a)1,3,4のみ  b)1,2のみ  c)2,3のみ  d)4のみ  e)1〜4すべて

【8】子宮癌についての以下の記述の中で、正しいものの組み合わせを選べ。
1)子宮頸部扁平上皮癌の組織型として、角化型と非角化型がある。
2)子宮頸部腺癌は極めてまれである。
3)子宮内膜異型塔殖症は子宮内膜癌の前癌病変と考えられる。
4)子宮内膜癌の多くは腺癌であり、その中でも正常の内膜に類似する類内膜腺癌が多い。
a)1,3,4のみ  b)1,2のみ  c)2,3のみ  d)4のみ  e)1〜4すべて

【9】卵巣腫瘍・腫瘍様病変についての以下の記述の中で、正しいものの組み合わせを選べ。
1)卵巣子宮内膜症はチョコレート嚢胞をきたす。
2)卵巣漿液性腫瘍には境界悪性病変が存在するが、卵巣粘液性腫瘍には境界悪性病変は存在しない。
3)卵巣漿液性腫瘍の腫瘍上皮は、卵管上皮や卵巣表層上皮に似る。
4)卵巣粘液性腫瘍は、腫瘍上皮の性状から内頸部型、腸上皮型と混合型に分けられる。
a)1,3,4のみ  b)1,2のみ  c)2,3のみ  d)4のみ  e)1〜4すべて

【10】卵巣腫瘍についての以下の記述の中で、正しいものの組み合わせを選べ。
1)卵巣にもしばしば子宮内膜に類似する類内膜腺癌が発生する。
2)卵巣顆粒膜細胞腫では、成人にみられるものと若年者にみられるもので組織学的特徴が異なる。
3)卵巣未熟奇形腫は臨床的には良性と考えられる。
4)卵黄嚢腫瘍の組織像で、しばしばCall-Exner bodyが認められる。
a)1,3,4のみ  b)1,2のみ  c)2,3のみ  d)4のみ  e)1〜4すべて

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